ガラフォルドカプセル123mg
添付文書情報2023年11月改定(第3版)
商品情報
- 禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- ミガーラスタットに反応性のあるGLA遺伝子変異を伴うファブリー病。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 本剤はファブリー病と確定診断された患者に対して使用すること。
5.2. 本剤の投与開始に先立って、患者のGLA遺伝子変異のミガーラスタットに対する反応性を確認すること〔24.参照〕。
- 用法・用量
- 通常、成人及び12歳以上の小児にはミガーラスタットとして1回123mgを隔日経口投与する。なお、食事の前後2時間を避けて投与すること。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 本剤の曝露量は食事の影響を受けるため、食事の前後2時間を避けて投与すること〔16.2.1参照〕。
7.2. 投与時刻は原則毎回一定とする(服用予定時刻に服用できなかった場合は、服用予定時刻から12時間以内に服用し、服用予定時刻から12時間を超えた場合は、次の服用予定日時から服用を再開する)。
7.3. 酵素補充療法との併用に関する有効性及び安全性は確立されていない。
- 腎機能障害患者
- 本剤投与中は、定期的に腎機能、心機能、臨床検査値等を確認する等経過を十分に観察し、本剤投与で効果が認められない場合には治療法の変更を考慮すること。
9.2.1. 重度の腎機能障害患者:重度腎機能障害のある患者は有効性及び安全性を指標とした臨床試験では除外されている(本剤の血中濃度が上昇するおそれがあることから、重度の腎機能障害のある患者への投与は推奨されない)〔16.6.1、17.1.1、17.1.2、18.1、18.2参照〕。
- 相互作用
- 10.2. 併用注意:カフェイン〔16.7.2参照〕[カフェインとの同時摂取により、本剤のCmax及びAUC0-infがそれぞれ60%及び55%減少したとの報告があることから、本剤服用の前後2時間は摂取を避けること(機序は不明である)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 11.2. その他の副作用
1). 心臓:(1%以上5%未満)動悸。
2). 耳および迷路:(1%以上5%未満)回転性めまい。
3). 胃腸:(5%以上10%未満)下痢、(1%以上5%未満)悪心、腹痛、便秘、口内乾燥、便意切迫、消化不良、嘔吐。
4). 一般・全身:(1%以上5%未満)疲労、疼痛。
5). 臨床検査:(1%以上5%未満)血中クレアチンホスホキナーゼ増加、体重増加、血圧上昇。
6). 筋骨格系および結合組織:(1%以上5%未満)筋痙縮、筋肉痛、斜頚、四肢痛。
7). 神経系:(10%以上)頭痛、(5%以上10%未満)錯感覚、(1%以上5%未満)浮動性めまい、感覚鈍麻。
8). 精神:(1%以上5%未満)うつ病。
9). 腎および尿路:(1%以上5%未満)蛋白尿。
10). 呼吸器、胸郭および縦隔:(1%以上5%未満)呼吸困難、鼻出血。
11). 皮膚および皮下組織:(1%以上5%未満)発疹、皮膚そう痒症。
- 高齢者
- 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下していることが多い)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用すること(ウサギ胚胎仔発生に関する試験において、臨床推奨用量投与時の曝露量の244倍以上に相当するミガーラスタットの投与により、母動物毒性が発現し、着床後胚死亡率増加、体重減少、流産、骨化遅延、軽微な骨異常増加等が認められた)。
授乳しないことが望ましい(ラットで乳汁へ移行することが報告されている)。
- 小児等
- 本剤の曝露量は体重の影響を受ける可能性があることから、12歳以上の小児には患者の体重に留意した上で投与の適否を判断し、投与にあたっては患者の状態を十分に観察すること。12歳以上16歳未満で体重45kg未満の患者は臨床試験に組み入れられていない。また、12歳未満の小児等を対象とした臨床試験は実施していない〔16.1.3、17.1.3参照〕。
- その他の注意
- 15.2. 非臨床試験に基づく情報雄ラットの受胎能及び初期胚発生に関する試験において、臨床推奨用量投与時の曝露量の0.163倍、1.5倍に相当するミガーラスタットの投与により、受胎率低下(それぞれ75%、55%)が認められた(受胎率の低下は投与中止4週間後に回復した)。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
日本人健康成人男性(13例)にミガーラスタットとして123mgを絶食下に単回経口投与したときの血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは次のとおりであった。
表1 ミガーラスタット123mgを単回経口投与したときの薬物動態パラメータ
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図1 ミガーラスタット123mgを単回経口投与したときの血漿中濃度推移(平均値±標準偏差)
16.1.2 反復投与
外国人女性ファブリー病患者(4例)にミガーラスタットとして123mgを12週間隔日経口投与したときの薬物動態パラメータは次のとおりであり、反復投与によって曝露量が増加する傾向は認められなかった。
表2 ミガーラスタットとして123mgを12週間隔日経口投与したときの薬物動態パラメータ
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16.1.3 母集団薬物動態解析
健康成人(179例)及び外国人ファブリー病患者(101例)から得られた血漿中本薬濃度に基づく母集団薬物動態解析の結果、本薬の薬物動態に影響を及ぼす共変量として腎機能及び体重が選択された。12歳以上16歳未満かつ体重45kg以上及び16歳以上のファブリー病患者にミガーラスタットとして123mgを経口投与したとき、母集団薬物動態解析に基づく薬物動態パラメータの推定値は次のとおりであった。[9.7参照]
表3 母集団薬物動態解析に基づき推定した、ファブリー病患者での各年齢区分における薬物動態パラメータ
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16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
外国人健康成人(19例)にミガーラスタットとして123mgを絶食下、ブドウ糖飲料と同時、高脂肪食摂取の1時間前、軽食摂取の1時間前又は軽食摂取の1時間後に単回経口投与したときの薬物動態パラメータは次のとおりであった。[7.1参照]
表4 投与タイミング別における薬物動態パラメータ
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16.2.2 生物学的利用率
外国人健康成人(10例)にミガーラスタットとして123mgを単回経口投与したときの絶対的バイオアベイラビリティは約75%であった。
16.3 分布
日本人健康成人男性(13例)にミガーラスタットとして123mgを絶食下に単回経口投与したときのみかけの分布容積(V/F)は71.7Lであった。
ミガーラスタットの14C標識体(1~100μmol/L)のヒト血漿タンパク非結合率は98.1~111%であった(in vitro)。
16.4 代謝
外国人健康成人男性(6例)にミガーラスタットの14C標識体123mgを単回経口投与したとき、投与24時間後までにプールした血漿中データから算出した血漿中総放射能に対する未変化体の割合は約77%であり、O‐グルクロン酸抱合体(M1、M2及びM3)の割合は13%(5、2及び6%)であった。
ミガーラスタットはCYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP3A4/5に対する阻害作用、CYP1A2、CYP2B6、CYP3A4に対する誘導作用は示さなかった(in vitro)。
16.5 排泄
外国人健康成人男性(6例)にミガーラスタットの14C標識体123mgを単回経口投与したとき、投与240時間後までに投与放射能の77.2%が尿中に、20.4%が糞中に排泄された。また、投与12時間後までの投与放射能に対する未変化体及びO‐グルクロン酸抱合体(M1、M2及びM3の合計)の尿中排泄率は55%及び5%であった。
ミガーラスタットはBCRP、P‐gp、MATE1、MATE2‐K、OAT1、OAT3及びOCT2の基質ではなく、BCRP、BSEP、P‐gp、MATE1、MATE2‐K、OATP1B1、OATP1B3、OAT1、OAT3、OCT1、OCT2に対する阻害作用は示さなかった。また、SGLT1の基質であり、阻害作用(IC50値:64.7mmol/L)を有することが示唆されたが、SGLT2の基質ではなく、阻害作用は示さなかった(in vitro)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害者
外国人腎機能正常者(CLcr≧90mL/min、8例)、軽度腎機能障害者(60≦CLcr<90mL/min、8例)、中等度腎機能障害者(30≦CLcr<60mL/min、8例)及び重度腎機能障害者(15≦CLcr<30mL/min、8例)にミガーラスタットとして123mgを単回経口投与したときの薬物動態パラメータは次のとおりであった。また、腎機能正常者、軽度、中等度及び重度腎機能障害者の半減期(幾何平均値)は6.4、7.7、22.2及び32.3時間であり、腎機能の低下に伴い延長した。[9.2.1参照]
表5 腎機能正常者及び腎機能障害者における薬物動態パラメータ
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16.7 薬物相互作用
16.7.1 アガルシダーゼ アルファ及びアガルシダーゼ ベータ
外国人男性ファブリー病患者(12例)にアガルシダーゼ アルファ0.2mg/kg又はアガルシダーゼ ベータ0.5mg/kg若しくは1.0mg/kgを静脈内投与下でミガーラスタットとして123mgを単回経口投与したときの薬物動態パラメータは次のとおりであった。
表6 血漿中ミガーラスタット濃度又は血漿中α‐Gal A活性に及ぼす影響
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16.7.2 カフェイン及び甘味料
外国人健康成人(20例)にミガーラスタットとして123mgと各飲料(カフェイン含有飲料又は甘味料含有飲料)を絶食下で同時摂取したときのミガーラスタットの薬物動態に及ぼす影響は次のとおりであった。[10.2参照]
表7 血漿中ミガーラスタット濃度に及ぼす影響
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17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国際共同第III相試験
本試験は本剤と酵素補充療法(アガルシダーゼ アルファ又はベータ)の有効性及び安全性を評価するランダム化非盲検実薬対照試験である。酵素補充療法を実施中の日本人を含む18~72歳の男女ファブリー病患者57例(男性25例、女性32例、eGFR≧30mL/min/1.73m2)を対象に、ミガーラスタット123mgが18ヵ月間隔日経口投与又は酵素補充療法が2週間に1回18ヵ月間点滴静脈内投与された。その後、12ヵ月間の非盲検継続投与期では全例にミガーラスタット123mgが隔日経口投与された。本剤に反応性のあるGLA遺伝子変異を有する52例(本剤群34例(日本人5例)、酵素補充療法群18例(日本人1例))が解析対象とされた。主要評価項目である投与18ヵ月時までの糸球体ろ過量の年間変化量の結果は、次表のとおりであり、本剤群で酵素補充療法群と同等であった。
表8 糸球体ろ過量の年間変化量の結果
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また、左室重量係数及び血漿中lyso‐Gb3濃度の結果は次表のとおりであった。
表9 左室重量係数及び血漿中lyso‐Gb3濃度の結果
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投与18ヵ月時までに複合臨床的アウトカム*(腎イベント、心イベント、脳血管イベント又は死亡)を発現した被験者割合は、本剤群で29%(10/34例)、酵素補充療法群で44%(8/18例)であった。
なお、本剤を30ヵ月間投与した被験者におけるeGFRCKD‐EPI及びmGFRiohexol年間変化量は-1.72[-2.65、-0.78]mL/min/1.73m2(31例)及び-2.75[-4.81、-0.68]mL/min/1.73m2(30例)、左室重量係数の変化量は-3.8[-8.9、1.3]g/m2(28例)、複合臨床的アウトカムを発現した被験者割合は32%(10/31例)であった。[9.2.1参照]
*複合臨床的アウトカムは腎イベント、心イベント、脳血管イベント及び死亡からなり、各イベントの定義は次のとおり。
腎イベント:①ベースラインと比較してeGFRCKD‐EPIが15mL/min/1.73m2以上低下かつeGFRCKD‐EPIが90mL/min/1.73m2未満、又は②24時間尿タンパクがベースラインと比較して33%以上増加かつ24時間尿タンパクが300mg以上と定義された。
心イベント:心筋梗塞、不安定狭心症、新規の症候性不整脈(抗不整脈薬の投与、直流除細動、ペースメーカー又は植込み型除細動器を要する)、又はニューヨーク心臓協会分類III度又はIV度のうっ血性心不全と定義された。
脳血管イベント:脳卒中、又は一過性脳虚血発作と定義された。
投与30ヵ月時までの本剤投与群の副作用の発現率は37.3%(19/51例)であり、主な副作用は頭痛13.7%(7/51例)であった。
17.1.2 海外第III相試験
本試験は本剤の有効性及び安全性を評価するランダム化二重盲検プラセボ対照試験である。酵素補充療法を未実施又は6ヵ月以上実施していない16~74歳の外国人男女ファブリー病患者67例(男性24例、女性43例、eGFR≧30mL/min/1.73m2)を対象に、ミガーラスタット123mg又はプラセボが6ヵ月間隔日経口投与された。その後、18ヵ月間の非盲検継続投与期では全例にミガーラスタット123mgが隔日経口投与された。本剤に反応性のあるGLA遺伝子変異を有する50例(プラセボ群22例、本剤群28例)における腎間質毛細血管あたりのGL‐3封入体数の変化量は次表のとおりであった。
表10 腎間質毛細血管あたりのGL‐3封入体数の変化量の結果
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本剤を18~24ヵ月間投与した被験者におけるeGFRCKD‐EPI年間変化量は-0.30[-1.65、1.04]mL/min/1.73m2(41例)、左室重量係数の変化量は-7.7[-15.4、-0.0]g/m2(27例)であった。[9.2.1参照]
投与24ヵ月時までの本剤投与群の副作用の発現率は45.3%(29/64例)であり、主な副作用は下痢7.8%(5/64例)、頭痛7.8%(5/64例)、悪心6.3%(4/64例)及び錯感覚6.3%(4/64例)であった。
17.1.3 海外第III相試験
本試験は、本剤の安全性、薬物動態、薬力学、有効性を評価する多施設共同非盲検試験である。酵素補充療法を未実施、又は酵素補充療法を実施していた場合はスクリーニングの14日以上前に酵素補充療法による治療を中止した12歳以上18歳未満かつ体重45kg以上の、本剤に反応性のあるGLA遺伝子変異を有する外国人ファブリー病患者21例を対象にミガーラスタット123mgが12ヵ月間隔日経口投与された。
本剤を12ヵ月間投与した被験者におけるベースラインからのeGFR(改変シュワルツ推算式)の変化量(平均値±標準偏差)は-1.6±15.40mL/min/1.73m2(19例)、左室重量係数の変化量(平均値±標準偏差)は-3.9±13.53g/m2(18例)であり、血漿中lyso‐Gb3濃度の変化量(中央値(範囲))は0.2(-65.4、115.8)ng/mL(19例)であった。
投与12ヵ月時までの副作用発現率は23.8%(5/21例)であり、主な副作用は頭痛9.5%(2/21例)であった。[9.7参照]
18.1 作用機序
ファブリー病はGLA遺伝子の変異によるα‐Gal Aの活性低下により、GL‐3等の基質が蓄積し、腎障害、心筋症、脳血管疾患等の組織障害をもたらす。特定のGLA遺伝子変異により、異常な高次構造をとる不安定なα‐Gal Aが生成することがあるが、ミガーラスタットはα‐Gal Aに対する薬理学的シャペロンとして作用し、小胞体上で特定の変異型α‐Gal Aに選択的かつ可逆的に結合してリソソームへの適切な輸送を促進する。リソソーム内では、ミガーラスタットが解離し、遊離したα‐Gal Aにより蓄積したGL‐3の分解作用を呈する。[9.2.1参照]
18.2 薬理作用
マウスα‐Gal A遺伝子を欠損し、ヒト変異型α‐Gal A導入遺伝子を発現させたファブリー病マウスモデルにミガーラスタットを経口投与した時、皮膚、心臓、腎臓、脳及び血漿中のα‐Gal A活性は有意かつ用量依存的に増加し、GL‐3濃度は低下した。また連日投与レジメンと比較して、間欠投与レジメン(隔日投与など)ではより高い組織中GL‐3濃度低下作用が認められた。[9.2.1参照]
- 一包可:不可
- 分割:不可
- 粉砕:不明
- 製造販売会社
- アミカス・セラピューティクス
- 販売会社
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