タブネオスカプセル10mg
添付文書情報2023年06月改定(第3版)
商品情報
- 禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- 顕微鏡的多発血管炎、多発血管炎性肉芽腫症。
(効能又は効果に関連する注意)
抗好中球細胞質抗体陰性の顕微鏡的多発血管炎及び多発血管炎性肉芽腫症患者を対象とした臨床試験は実施していないため、ガイドライン等の最新の情報を参考に、本剤の投与が適切と判断される患者に使用すること〔17.1.1参照〕。
- 用法・用量
- 通常、成人にはアバコパンとして1回30mgを1日2回朝夕食後に経口投与する。
- 肝機能障害患者
- 8.1. 本剤の投与は、適応疾患の治療に精通している医師のもとで行うこと。
8.2. 肝機能障害があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与期間中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること〔9.3.1、11.1.1参照〕。
8.3. 本剤の投与中はニューモシスティス肺炎に対する適切な予防措置を考慮すること〔11.1.2参照〕。
9.3.1. 重度肝機能障害<Child-Pugh分類:C>のある患者:肝機能が悪化するおそれがあるので、患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること(本剤は主に肝臓で代謝され、重度の肝機能障害患者(Child-Pugh分類:C)を対象とした臨床試験は実施していない)〔8.2、11.1.1、16.4参照〕。
- 相互作用
- 本剤は主としてCYP3A4により代謝される。また、CYP3A4に対して弱い阻害作用を有する〔16.4、16.7.3参照〕。
10.2. 併用注意:1). 強いCYP3A4誘導剤又は中程度のCYP3A4誘導剤(カルバマゼピン、フェニトイン、リファンピシン等)、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)〔16.7.1参照〕[アバコパンの血漿中濃度が低下し本剤の効果が減弱する可能性があるため、これらの薬剤との併用は避け、CYP3A4誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること(これらの薬剤等のCYP3A4誘導作用による)]。
2). 強いCYP3A4阻害剤(イトラコナゾール、クラリスロマイシン、リトナビル等)、グレープフルーツジュース〔16.7.2参照〕[アバコパンの血漿中濃度が増加する可能性があるので、併用時には患者の状態を十分観察すること(これらの薬剤及びグレープフルーツジュースの強いCYP3A4阻害作用による)]。
3). シクロスポリン、シロリムス、タクロリムス等〔16.7参照〕[治療域が狭くCYP3A4で代謝される薬剤を併用する場合は、必要に応じて適切に血漿中濃度をモニタリングすること(アバコパンはCYP3A4の弱い阻害作用を有する)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 肝機能障害:肝細胞損傷(0.6%)、胆汁うっ滞性肝炎(0.6%)等の重篤な肝胆道系障害(2.4%)、および重篤な肝機能検査値上昇(1.2%)があらわれることがある〔8.2、9.3.1参照〕。
11.1.2. 重篤な感染症:肺炎(1.2%)等の重篤な感染症があらわれることがある〔8.3参照〕。
- 11.2. その他の副作用
1). 感染症および寄生虫症:(1%以上~10%未満)上気道感染、鼻咽頭炎、鼻炎。
2). 血液およびリンパ系障害:(1%以上~10%未満)好中球減少症。
3). 胃腸障害:(1%以上~10%未満)悪心、下痢、嘔吐、上腹部痛。
4). 神経系障害:(1%以上~10%未満)頭痛。
5). 皮膚および皮下組織障害:(1%未満)血管浮腫。
6). 臨床検査:(1%以上~10%未満)血中クレアチンホスホキナーゼ増加、白血球数減少。
- 授乳婦
- 投与しないことが望ましい(ハムスターを用いた生殖発生毒性試験において、骨格変異増加が認められており、ウサギを用いた生殖発生毒性試験において、流産増加が認められている)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ハムスターを用いた生殖発生毒性試験において、本剤を母動物に強制経口投与すると出生仔の血漿中にアバコパンが検出されている)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
日本人健康成人男性に本剤10~100mg注)を空腹時に単回経口投与したときのアバコパン及び主要代謝物であるM1の血漿中薬物動態パラメータは次の通りであった。
→図表を見る(PDF)
注)本剤の承認されている用法及び用量は「通常、成人にはアバコパンとして1回30mgを1日2回朝夕食後に経口投与する。」である。
16.1.2 反復投与
日本人健康成人男性に本剤30mgを食後に1日2回7日間反復経口投与したとき、アバコパンの血漿中薬物濃度は投与5日目に定常状態に達した。投与1日目及び投与7日目におけるアバコパン及びM1の薬物動態パラメータ及び7日間反復投与におけるアバコパン及びM1の血漿中濃度推移は次の通りであった。
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16.2 吸収
日本人健康成人男性8例における食事(低脂肪食)の影響を検討した結果、Tmax(空腹時:1.50時間、食後:2.50時間)及びt1/2(空腹時:44.3時間、食後:109時間)に影響を及ぼし、食後投与時のCmax及びAUC0-∞は、空腹時投与に比較してそれぞれ約1.08及び2.11倍であった。白人健康成人男性16例における食事(高脂肪食)の影響を検討した結果、Tmax(空腹時:2.01時間、食後:6.00時間)及びt1/2(空腹時:73.5時間、食後:97.6時間)に影響を及ぼし、食後投与時のCmax及びAUC0-∞は、空腹時投与に比較してそれぞれ約1.08及び1.72倍であった(外国人データ)。
16.3 分布
ヒト血漿、ヒト血清アルブミン及びヒトα1‐酸性糖タンパクに対するアバコパンの結合率はいずれも99.9%超であり、活性代謝物であるM1の結合率は、α1‐酸性糖タンパクでは約99%、ヒト血漿及びヒト血清アルブミンでは99.9%超であった(in vitro試験)。
日本人健康成人に本剤30mgを食後に単回経口投与したときの見かけの分布容積(Vz/F)は3351.3Lであった。
16.4 代謝
アバコパンは主にCYP3A4、その他2D6、2C19、2C8、2B6等を介して肝臓で酸化的に代謝された(in vitro試験)。[9.3.1、10.参照]
健康成人に[14C]アバコパン100mgを経口投与したとき、血漿中にはアバコパン及びM1(メチル基の水酸化体)を含む複数の第一相代謝物が検出された。血漿中総放射能に対して血漿中のアバコパン及びM1の占める割合は、それぞれ約18%及び約12%であった(外国人データ)。主要代謝物であるM1は、アバコパンと同程度の薬理活性を有した。
16.5 排泄
健康成人に[14C]アバコパン100mgを経口投与したとき放射能の尿中総排泄率は投与量の約10%、糞中総排泄率は投与量の約77%であった。また、アバコパン(未変化体)の尿及び糞中総排泄率は、それぞれ0.1%未満及び7%であった(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
アバコパンを投与された368例(日本人51例を含む)を対象とした母集団薬物動態解析の結果より、軽度から重度の腎障害を有する患者におけるアバコパンのAUCτ,ssは、正常な腎機能の患者とおおむね同様であった。
16.6.2 肝機能障害患者
軽度から中等度の肝機能障害患者15例(Child‐Pugh分類:A及びB)に本剤30mgを単回経口投与したとき、アバコパン及びM1のCmax及びAUC0-∞は肝機能正常者と比較していずれも1.3倍以内の増加であった(外国人データ)。
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16.7 薬物相互作用
16.7.1 リファンピシン
健康成人16例に本剤単回30mgと強いCYP3A4誘導剤であるリファンピシン1日1回600mgを併用投与したとき、アバコパン及びM1のAUC0-∞及びCmaxは本剤を単独投与したときと比べて、アバコパンでそれぞれ93%及び79%低下し、M1でそれぞれ93%及び73%低下した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.2 イトラコナゾール
健康成人16例に本剤単回30mgと強いCYP3A4阻害剤であるイトラコナゾール1日1回200mgを併用投与したとき、アバコパン及びM1のAUCτ及びCmaxは本剤を単独投与したときと比べて、アバコパンでそれぞれ2.19倍及び1.87倍、M1でそれぞれ1.19倍及び1.03倍であった(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.3 ミダゾラム
健康成人16例に本剤1日2回30mgとCYP3A4基質であるミダゾラム単回2mgを併用投与したとき、ミダゾラムのAUC0-∞及びCmaxはミダゾラムを単独投与したときと比べて、それぞれ1.81倍及び1.55倍であった(外国人データ)。[10.参照]
16.7.4 セレコキシブ
健康成人16例に本剤1日2回30mgとCYP2C9基質であるセレコキシブ単回200mgを併用投与したとき、セレコキシブのAUC0-∞及びCmaxはセレコキシブを単独投与したときと比べて、それぞれ1.15倍及び1.64倍であった(外国人データ)。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国際共同第III相試験(ADVOCATE試験)
活動性の顕微鏡的多発血管炎及び多発血管炎性肉芽腫症患者注)331例(日本人21例を含む)を対象に、本剤とプレドニゾンを比較する52週間の無作為化、二重盲検、ダブルダミー、実薬対照、第III相試験を実施した。本剤群の被験者(166例)には、本剤30mg1日2回を52週間投与した。プレドニゾン群の被験者(164例)には、プレドニゾンを20週間かけて60mg/日から0になるよう漸減投与した。すべての被験者は、標準的な免疫抑制療法(静注シクロホスファミド13週間、経口シクロホスファミド14週間、又は静注リツキシマブ4週間)のいずれかが投与された。シクロホスファミドを投与された被験者は、シクロホスファミドに続けてアザチオプリン又はミコフェノール酸モフェチルが投与された。
26週時の寛解及び本試験の主要評価項目である52週時の寛解維持の結果は次の通りであり、52週時の寛解維持についてはプレドニゾン漸減投与群に対する本剤群の優越性が示された。
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本剤群の副作用発現頻度は60.2%(100/166例)であった。主な副作用は、悪心(6.6%)、上気道感染、頭痛(各6.0%)、下痢、嘔吐及び関節痛(各4.2%)であった。[5.参照]
注)次の基準を満たす患者を対象とした。
・シクロホスファミド又はリツキシマブによる治療を要する、新規診断又は再燃患者
・ANCA陽性の患者
・BVASの主要項目1つ以上、主要項目以外の項目3つ以上、又は蛋白尿及び血尿に関する腎臓項目2つ以上のいずれかに該当する、疾患活動性を有する患者(BVASの主要項目は、壊疽、上/強膜炎、網膜変化(血管炎/血栓症/滲出物/出血)、感音性難聴、大量喀血/肺胞出血、呼吸不全、虚血による腹痛、血清クレアチニン増加>30%あるいはクレアチニンクリアランス低下>25%、髄膜炎、脳卒中、脊髄病変、脳神経麻痺、感覚性末梢神経障害、運動性多発性単神経炎、赤血球円柱及び/又は糸球体腎炎と設定した。)
・eGFR15mL/min/1.73m2以上の患者
また、次の患者を除外した。
・肺胞出血のため、侵襲的な肺換気補助を要する患者
・日本人については、重症の間質性肺炎を合併する患者
18.1 作用機序
本剤は選択的C5a受容体(C5aR)拮抗作用によってC5a‐C5aRシグナルを介した好中球のプライミングを抑制する。それにより、好中球によって誘発されるANCAを介した血管炎の増幅を緩和させ、ANCA関連血管炎の病態を改善する。
18.2 C5aRに対する拮抗作用
ヒト単球系細胞株U937、ヒト好中球及びヒトC5aRノックイン(hC5aR KI)マウス白血球に対してC5a刺激による走化性を抑制し、C5aRに対して拮抗作用を示した。未変化体と主要代謝物であるM1のC5aRに対する拮抗作用は同程度であった。(in vitro試験)
18.3 ANCA誘発糸球体腎炎モデルに対する作用
hC5aR KIマウスを用いて作製したANCA誘発糸球体腎炎モデルにおいて、糸球体の半月体形成及び壊死の発現率、並びに腎機能障害の指標である尿蛋白、尿白血球及び尿潜血を減少させた。
- 一包可:不可
- 分割:不可
- 粉砕:不明
- 製造販売会社
- キッセイ薬品
- 販売会社
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