ミラクリッド注射液10万単位
添付文書情報2021年04月改定(第1版)
商品情報
- 警告
- 本剤の投与は緊急時に十分対応できる医療施設において、患者の状態を観察しながら行うこと。
- 禁忌
- ウリナスタチン製剤に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- 1). 急性膵炎(外傷性急性膵炎、術後急性膵炎及びERCP後急性膵炎を含む)、慢性再発性膵炎の急性増悪期。
2). 急性循環不全(出血性ショック、細菌性ショック、外傷性ショック、熱傷性ショック)。
(効能又は効果に関連する注意)
〈急性循環不全〉次の点に十分留意すること。
・ 〈急性循環不全〉本剤の投与は一般的なショックの治療法(輸液療法、酸素吸入、外科的処置、抗菌剤等)に代わるものではない。
・ 〈急性循環不全〉ショック症状が改善すれば、投与を中止すること。
- 用法・用量
- 〈急性膵炎、慢性再発性膵炎の急性増悪期〉
通常、成人には初期投与量として1回25000~50000単位を500mLの輸液で希釈し、1回当たり1~2時間かけて1日1~3回点滴静注する。以後は症状の消退に応じて減量する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
〈急性循環不全〉
通常、成人には1回100000単位を500mLの輸液で希釈し、1回当たり1~2時間かけて1日1~3回点滴静注するか、又は、1回100000単位を1日1~3回緩徐に静注する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
- 合併症・既往歴等のある患者
- 白血球減少があらわれることがあるので、定期的に臨床検査を行うなど観察を十分に行うこと〔11.1.2参照〕。
9.1.1. 薬物過敏症又はその既往歴のある患者。
9.1.2. 過敏性素因患者。
9.1.3. 過去にウリナスタチン製剤の投与を受けた患者:過敏症があらわれることがある〔11.1.1参照〕。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック(頻度不明)、アナフィラキシーショック(頻度不明):血圧降下、頻脈、胸内苦悶、呼吸困難、皮膚潮紅、蕁麻疹等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと〔9.1.3参照〕。
11.1.2. 白血球減少(頻度不明)〔8.重要な基本的注意の項参照〕。
- 11.2. その他の副作用
1). 血液:(頻度不明)白血球減少、好酸球増多。
2). 肝臓:(頻度不明)AST上昇・ALT上昇等。
3). 過敏症:(頻度不明)発疹、そう痒感。
4). 消化器:(頻度不明)悪心・嘔吐、下痢等。
5). 注射部位:(1%未満*)血管痛、(頻度不明)発赤、そう痒感。
6). その他:(頻度不明)発熱。
*)ウリナスタチン(凍結乾燥製剤)における発現頻度。
- 高齢者
- 減量するなど注意すること(一般に生理機能が低下している)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(動物実験(ラット)において乳汁中への移行を示唆する結果が報告されている)。
- 小児等
- 小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
16.1 血中濃度
健康成人男性にウリナスタチン(凍結乾燥製剤)30万単位/10mLを静脈内投与注)すると、血中濃度は3時間までほぼ直線的に低下し、消失半減期は約40分であった。
16.5 排泄
健康成人男性にウリナスタチン(凍結乾燥製剤)30万単位/10mLを静脈内投与注)すると、投与後6時間までに投与量の約24%が尿中に排泄された。
注)本剤の承認された1回用量は、静脈内投与の場合、10万単位までである。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈急性膵炎、慢性再発性膵炎の急性増悪期〉
17.1.1 国内第II相及び第III相試験
ウリナスタチン(凍結乾燥製剤)は急性膵炎及び慢性再発性膵炎の急性増悪期の患者における上腹部痛、悪心・嘔吐、圧痛、抵抗、腫瘤、腹膜炎症状、ショック症状などの自他覚症状を改善し、白血球数、アミラーゼ、AST、ALTなどの臨床検査値の異常値を改善した。急性膵炎及び慢性再発性膵炎の急性増悪期に対する有効率は83.9%(183/218例)であった。
〈急性循環不全〉
17.1.2 国内第II相試験
急性循環不全に対する有効率は82.5%(47/57例)で、ショック患者における収縮期血圧、脈拍数、Base Excess、尿量、意識状態などの異常を改善した。また、ウリナスタチン投与群において副作用は認められなかった。
17.1.3 国内第III相試験
ショック患者を対象としたアプロチニン(60万単位/日×3日)とウリナスタチン(凍結乾燥製剤)(30万単位/日×3日)との二重盲検試験において、ウリナスタチンの有用率は71.7%(43/60例)で、アプロチニンに比し有意に優っていた(p<0.01)。また、ウリナスタチン投与群において副作用は認められなかった。
18.1 作用機序
ウリナスタチンは、トリプシン、α‐キモトリプシン、エラスターゼなどの蛋白分解酵素、ヒアルロニダーゼ、リパーゼなどの糖・脂質分解酵素を阻害する。
18.2 膵酵素に対する阻害作用
ウリナスタチンは、トリプシンあるいはフォスフォリパーゼA2刺激によりイヌ膵切片から遊離する種々の膵酵素を阻害する(in vitro)。
18.3 実験的急性膵炎に対する作用
18.3.1 トリプシン含有タウロコール酸ナトリウム水溶液を主膵管に注入してトリプシン膵炎を惹起させたイヌ及びラットにウリナスタチンを静脈内投与したところ、生存率は有意に上昇した。
18.3.2 フォスフォリパーゼA2含有タウロコール酸ナトリウム水溶液を主膵管に注入してフォスフォリパーゼA2膵炎を惹起させたイヌにウリナスタチンを静脈内投与したところ、生存率は有意に上昇した。
18.3.3 十二指腸ループを作製して、十二指腸液逆流膵炎を惹起させたラットにウリナスタチンを静脈内投与したところ、生存率は有意に上昇した。
18.4 実験的ショックに対する作用
18.4.1 熱傷性ショックのマウスにウリナスタチンを静脈内投与したところ、生存率は有意に上昇した。
18.4.2 外傷性ショックのラットにウリナスタチンを静脈内投与したところ、生存率は有意に上昇した。
18.4.3 エンドトキシンショックのマウスにウリナスタチンを静脈内投与したところ、生存率は有意に上昇した。
18.4.4 出血性ショックのラットにウリナスタチンを静脈内投与したところ、生存時間は有意に延長した。
18.5 ライソゾームに対する作用
18.5.1 In vitroの実験で、ウリナスタチンは分離したラット肝ライソゾーム膜を安定化させた。
18.5.2 出血性ショックのラットにウリナスタチンを静脈内投与したところ、ライソゾームの空胞化、膜破壊及び膜破壊による酸性フォスファターゼの放出が抑制されたことからライソゾーム膜安定化作用が示唆された。
18.6 体外循環時の血中酵素に対する作用
ウリナスタチンは、先天性及び後天性心疾患患者における体外循環時のAST及びライソゾーム酵素(cathepsin‐D、β‐glucuronidase)活性の上昇を有意に抑制した。
18.7 心筋抑制因子(MDF)産生抑制作用
ウリナスタチンは、ショックにより惹起されるMDFの産生を有意に抑制した(ラット)。
18.8 ショック時の循環動態に対する作用
出血性ショックのイヌ及びエンドトキシンショックのイヌにウリナスタチンを静脈内投与したところ、低下した平均動脈血圧、心係数、大動脈血流量、腎血流量等は増加した。
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