ステラーラ皮下注45mgシリンジ

添付文書情報2024年08月改定(第4版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 警告
- 1.1. 本剤はIL-12/23の作用を選択的に抑制する薬剤であるため、感染のリスクを増大させる可能性がある。また、結核の既往歴を有する患者では結核活動化させる可能性がある。また、本剤との関連性は明らかではないが、悪性腫瘍の発現が報告されている。本剤が疾病を完治させる薬剤でない事も含め、感染リスク増大・結核の既往患者で結核活動化の可能性があり、本剤との関連性は明らかでないが、悪性腫瘍発現が報告されている事を患者に十分説明し、患者が理解したことを確認した上で、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。また、本剤投与後に副作用が発現した場合には、主治医に連絡するよう患者に注意を与えること〔2.1、8.1-8.3、9.1.1-9.1.3、11.1.2、11.1.3、15.1.6参照〕。
1.2. 重篤な感染症ウイルス、細菌及び真菌による重篤な感染症が報告されているため、十分な観察を行うなど感染症の発症に注意すること〔2.1、8.1、9.1.1、11.1.2参照〕。
1.3. 結核等の感染症について診療経験を有する内科等の医師と十分な連携をとり使用すること〔2.2、8.2、9.1.2、11.1.3参照〕。
1.4. 本剤の治療を開始する前に、適応疾患の既存治療の適応を十分勘案すること〔5.1、5.2、5.3参照〕。
1.5. 本剤についての十分な知識と適応疾患の治療の知識・経験をもつ医師が使用すること。
- 禁忌
- 2.1. 重篤な感染症の患者[症状を悪化させるおそれがある]〔1.1、1.2、8.1、11.1.2参照〕。
2.2. 活動性結核の患者[症状を悪化させるおそれがある]〔1.3、8.2、11.1.3参照〕。
2.3. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- 1). 既存治療で効果不十分な次記疾患:尋常性乾癬、乾癬性関節炎。
2). 中等症から重症の活動期クローン病の維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)。
3). 中等症から重症の潰瘍性大腸炎の維持療法(既存治療で効果不十分な場合に限る)。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 〈尋常性乾癬及び乾癬性関節炎〉次のいずれかを満たす尋常性乾癬又は乾癬性関節炎患者に投与すること[1)紫外線療法を含む既存の全身療法(生物製剤を除く)で十分な効果が得られず、皮疹が体表面積の10%以上に及ぶ患者、2)難治性の皮疹又は関節症状を有する患者]〔1.4参照〕。
5.2. 〈クローン病〉過去の治療において、栄養療法、他の薬物療法(5-アミノサリチル酸製剤、ステロイド、アザチオプリン等)等による適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな臨床症状が残る場合に投与すること〔1.4参照〕。
5.3. 〈潰瘍性大腸炎〉過去の治療において、他の薬物療法(ステロイド、アザチオプリン等)等による適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな臨床症状が残る場合に投与すること〔1.4参照〕。
- 用法・用量
- 〈尋常性乾癬及び乾癬性関節炎〉
通常、成人にはウステキヌマブ(遺伝子組換え)として1回45mgを皮下投与する。初回投与及びその4週後に投与し、以降12週間隔で投与する。
ただし、効果不十分な場合には1回90mgを投与することができる。
〈クローン病/潰瘍性大腸炎〉
ウステキヌマブ(遺伝子組換え)の点滴静注製剤を投与8週後に、通常、成人にはウステキヌマブ(遺伝子組換え)として90mgを皮下投与し、以降は12週間隔で90mgを皮下投与する。なお、効果が減弱した場合には、投与間隔を8週間に短縮できる。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 〈効能共通〉本剤と他の生物製剤の併用について安全性及び有効性は確立していないので併用を避けること。
7.2. 〈尋常性乾癬及び乾癬性関節炎〉本剤による治療反応が得られない場合、投与開始から28週以内には増量を含めて治療計画を再考すること。また、尋常性乾癬及び乾癬性関節炎の場合、増量を行っても十分な治療反応が得られない場合、本剤の投与継続を慎重に再考すること。
7.3. 〈クローン病/潰瘍性大腸炎〉ウステキヌマブ(遺伝子組換え)点滴静注製剤による導入療法の初回投与8週後に、本剤の皮下投与を開始すること(導入療法における用法・用量は、ウステキヌマブ(遺伝子組換え)の点滴静注製剤の電子添文を参照すること)。
7.4. 〈クローン病/潰瘍性大腸炎〉本剤の8週間隔への投与間隔短縮は、本剤の皮下投与中に効果が減弱した患者に対し、本剤の皮下投与開始から8週以降に行うことができる。クローン病/潰瘍性大腸炎の場合、本剤の投与間隔を短縮しても16週以内に治療効果が得られない場合、投与を継続しても効果が得られない可能性があることから、本剤の投与継続の必要性を検討すること。
7.5. 〈クローン病/潰瘍性大腸炎〉本剤の皮下投与開始後、本剤の2回目の皮下投与までに治療反応がない場合、投与を継続しても効果が得られない可能性があることから、本剤の投与継続の必要性を検討すること。
- 合併症・既往歴等のある患者
- 8.1. 本剤はIL-12/23の作用を選択的に抑制する薬剤であり、感染のリスクを増大させる可能性があるため、本剤の投与に際しては、十分な観察を行い、感染症の発症や感染症増悪に注意すること。感染の徴候又は症状があらわれた場合には、直ちに主治医に連絡するよう患者を指導すること〔1.1、1.2、2.1、9.1.1、11.1.2参照〕。
8.2. 本剤投与に先立って結核に関する十分な問診及び胸部X線検査に加え、インターフェロン-γ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認すること。
また、本剤投与中も、胸部X線検査等の適切な検査を定期的に行うなど結核症の発現には十分に注意し、結核を疑う症状(持続する咳、体重減少、発熱等)が発現した場合には速やかに担当医に連絡するよう患者に指導すること〔1.1、1.3、2.2、9.1.2、11.1.3参照〕。
8.3. 本剤はIL-12/23の作用を選択的に抑制する薬剤であり、悪性腫瘍発現の可能性があり、臨床試験において皮膚悪性腫瘍及び皮膚以外の悪性腫瘍の発現が報告されている。本剤との因果関係は明確ではないが、悪性腫瘍の発現には注意すること〔1.1、9.1.3、15.1.6参照〕。
8.4. 生ワクチン接種に起因する感染症発現の可能性を否定できないので、本剤による治療中は、生ワクチンを接種しないこと〔9.5.2参照〕。
8.5. 他の生物製剤から変更する場合は感染症の徴候について患者の状態を十分に観察すること。
9.1.1. 感染症<重篤な感染症を除く>の患者、感染症が疑われる又は再発性感染症の既往歴のある患者:感染症を悪化又は顕在化させるおそれがある〔1.1、1.2、8.1、11.1.2参照〕。
9.1.2. 結核の既往歴を有する患者又は結核感染が疑われる患者。
(1). 結核の既往歴を有する患者では、結核を活動化させるおそれがある〔1.1、1.3、8.2、11.1.3参照〕。
(2). 結核の既往歴を有する場合又は結核感染が疑われる場合には、結核の診療経験がある医師に相談すること。次記のいずれかの患者には、結核等の感染症について診療経験を有する医師と連携の下、原則として本剤の投与開始前に適切な抗結核薬を投与すること〔1.1、1.3、8.2、11.1.3参照〕[1)胸部画像検査で陳旧性結核に合致するか推定される陰影を有する患者、2)結核の治療歴(肺外結核を含む)を有する患者、3)インターフェロン-γ遊離試験やツベルクリン反応検査等の検査により、結核既感染が強く疑われる患者、4)結核患者との濃厚接触歴を有する患者]。
9.1.3. 悪性腫瘍の既往歴のある患者、悪性腫瘍を発現し本剤投与継続を考慮している患者:悪性腫瘍の既往歴のある患者を対象とする試験は実施されていない〔1.1、8.3参照〕。
9.1.4. アレルゲン免疫療法を受けた患者:アレルゲン免疫療法を受けた患者における本剤の使用については評価されていないが、本剤はアレルゲン免疫療法に影響を与える可能性があるため、特にアナフィラキシーに対するアレルゲン免疫療法を受けている又はアナフィラキシーに対するアレルゲン免疫療法を過去に受けたことのある患者については注意すること。
9.1.5. ラテックス過敏症の既往歴又は可能性のある患者:アレルギー反応を起こすことがあるので注意すること(注射針部分のカバーは、乾燥天然ゴム(ラテックス類縁物質)を含む)。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. アナフィラキシー(頻度不明):発疹、蕁麻疹、血管浮腫等があらわれることがある。
11.1.2. 重篤な感染症(1~5%未満):ウイルス、細菌あるいは真菌による重篤な感染症(蜂巣炎、憩室炎、骨髄炎、胃腸炎、肺炎及び尿路感染等)があらわれることがあるので、重篤な感染症が発現した場合には、感染が回復するまで本剤の投与をしないこと〔1.1、1.2、2.1、8.1、9.1.1参照〕。
11.1.3. 結核(頻度不明):結核が発現又は結核再活性化する可能性がある〔1.1、1.3、2.2、8.2、9.1.2参照〕。
11.1.4. 間質性肺炎(頻度不明):咳嗽、呼吸困難、発熱、肺音異常(捻髪音)等が認められた場合には、速やかに胸部X線、速やかに胸部CT、速やかに血清マーカー等の検査を実施すること(間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと)。
- 11.2. その他の副作用
1). 感染症及び寄生虫症:(5%以上)鼻咽頭炎、(1~5%未満)上気道感染、(1%未満)外陰腟真菌感染、副鼻腔炎、帯状疱疹、歯肉炎。
2). 精神障害:(1%未満)うつ病。
3). 神経系障害:(1~5%未満)頭痛、浮動性めまい。
4). 呼吸器、胸郭及び縦隔障害:(1~5%未満)咽喉頭疼痛、(1%未満)鼻閉、(頻度不明)好酸球性肺炎。
5). 胃腸障害:(1~5%未満)悪心、嘔吐、(1%未満)下痢。
6). 皮膚及び皮下組織障害:(1~5%未満)発疹、皮膚そう痒症、(1%未満)ざ瘡、蕁麻疹、過敏性血管炎、(頻度不明)膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症。
7). 筋骨格系及び結合組織障害:(1~5%未満)関節痛、(1%未満)筋痛、背部痛。
8). 全身障害及び投与局所様態:(1~5%未満)注射部位反応、疲労、(1%未満)無力症。
- 高齢者
- 感染症等の副作用の発現に留意し、十分な観察を行うこと(一般に生理機能が低下している)。
- 授乳婦
- 9.5.1. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(本剤はカニクイザルにおいて胎仔への移行が報告されているが、胚・胎仔毒性及び催奇形性は認められていない)。
9.5.2. 本剤の投与を受けた患者からの出生児に対して生ワクチンを投与する際には注意すること(本剤は胎盤通過性があるとの報告があるため、感染のリスクが高まるおそれがある)〔8.4参照〕。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒトにおいてごく少量乳汁中へ移行することが報告されている)。
- 小児等
- 小児等の患者を対象とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤投与前の注意14.1.1. 投与前に冷蔵庫から取り出し室温に戻しておくことが望ましい。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 皮膚が敏感な部位、皮膚に異常がある部位、乾癬の部位には注射しないこと。
14.2.2. 投与部位は、上腕部、腹部、大腿部又は臀部が望ましい。同一箇所へ繰り返し注射することは避けること。
20.1. 激しく振盪しないこと。
20.2. 本剤は遮光保存する必要があるため、使用直前に外箱から取り出すこと。
20.3. 凍結しないこと。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. 尋常性乾癬(乾癬性関節炎を合併した患者を含む)を対象としたウステキヌマブ皮下投与用製剤の国内臨床試験は、72週間までの期間で実施されている。また、尋常性乾癬を対象としたウステキヌマブ皮下投与用製剤の海外臨床試験は、5年間までの期間で実施されており、乾癬性関節炎を対象とした海外臨床試験は24ヵ月までの期間で実施されている。また、クローン病及び潰瘍性大腸炎では、それぞれを対象とした本剤の国際共同臨床試験(ウステキヌマブ静注用製剤を単回投与後に本剤を反復投与)は、52週間までの期間で実施されている。これらの期間を超えたウステキヌマブ製剤の長期投与時の安全性は確立していない。
15.1.2. 尋常性乾癬<乾癬性関節炎合併を含む>を対象とした国内臨床試験において、本剤投与により153例中10例(6.5%)が72週目までに抗ウステキヌマブ抗体陽性となり、尋常性乾癬及び乾癬性関節炎を対象とした海外臨床試験においても、本剤投与により5.2~12.4%の患者が抗ウステキヌマブ抗体陽性となった。抗ウステキヌマブ抗体陽性となった患者では効果が減弱化する傾向がみられた。また、約1年間の本剤及びウステキヌマブ点滴静注製剤の投与により、クローン病を対象とした国際共同試験において2.9%、潰瘍性大腸炎を対象とした国際共同試験において4.6%の患者がそれぞれ抗ウステキヌマブ抗体陽性となった。抗ウステキヌマブ抗体が陽性となった患者では効果が減弱化する可能性がある。
15.1.3. 尋常性乾癬を対象とした海外臨床試験において、尋常性乾癬で糖尿病を合併する患者では皮下投与後の血清中ウステキヌマブのトラフ濃度が低いので、効果が低い傾向がみられた。
15.1.4. 尋常性乾癬に対し免疫抑制剤又は光線療法と併用した場合の安全性及び有効性は確立していない。
15.1.5. 本剤との関連性は明らかではないが、海外において可逆性後白質脳症症候群(RPLS)の症例が報告されている。
15.1.6. 海外の尋常性乾癬、乾癬性関節炎、クローン病、潰瘍性大腸炎を対象とした臨床試験(第2相及び第3相試験)において、プラセボ対照期間の非黒色腫皮膚癌を除く悪性腫瘍の発現頻度は、本剤投与群が0.11/100人年(1例/929人年)、プラセボ投与群が0.23/100人年(1例/434人年)であった。非黒色腫皮膚癌の発現頻度は、本剤投与群が0.43/100人年(4例/929人年)、プラセボ投与群が0.46/100人年(2例/433人年)であった。また、対照及び非対照期間において、6709名(11561人年)に本剤が投与された。その追跡調査中央値は1.0年で、尋常性乾癬を対象とした臨床試験では3.3年、乾癬性関節炎を対象とした臨床試験では1.0年、クローン病を対象とした臨床試験では0.6年、潰瘍性大腸炎を対象とした臨床試験では1.0年であった。非黒色腫皮膚癌を除く悪性腫瘍の発現頻度は、0.54/100人年(62例/11561人年)で、主なものは前立腺癌、結腸直腸癌、黒色腫、乳癌であった。本剤投与群で報告された悪性腫瘍の発現頻度は、一般人口で予測される発現頻度と同様であった(標準化発生比:0.93[95%信頼区間:0.71、1.20]年齢、性別、人種により補正)。非黒色腫皮膚癌の発現頻度は0.49/100人年(56例/11545人年)であった。皮膚基底細胞癌と皮膚有棘細胞癌の発現比率は3:1であり一般人口で予測される発現頻度と同様であった〔1.1、8.3参照〕。
15.2. 非臨床試験に基づく情報15.2.1. げっ歯類のIL-12及びIL-23に対して中和活性を示さないため、がん原性試験は実施されていない。げっ歯類のモデルにおいて、IL-12/IL-23p40の阻害により、悪性腫瘍増大が報告されている。また、IL-12及びIL-23の両方の遺伝子を欠損させたマウスでは、紫外線による皮膚癌の発生時期が早まり、発生頻度も増加することが報告されている。
16.1 血中濃度
〈尋常性乾癬及び乾癬性関節炎〉
16.1.1 単回投与
乾癬患者に本剤22.5mg※、45mg及び90mgを単回皮下投与したとき、血清中ウステキヌマブ濃度は投与6.99~10.49日後に最高濃度に達した後、約3週の消失半減期で低下した。血清中ウステキヌマブのCmax及びAUC∞は、22.5~90mgの用量範囲において用量にほぼ比例して増加した。
乾癬患者に本剤を単回皮下投与したときの血清中ウステキヌマブ濃度推移(中央値、各6例)
薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
※本剤の承認用量は1回45/90mgである。
16.1.2 反復投与
乾癬患者に0、4週及びその後12週毎に52週目まで本剤45mg又は90mgを反復皮下投与したとき、血清中ウステキヌマブ濃度は投与開始28週目までに定常状態に達した。本剤45mg又は90mgを反復皮下投与したとき、定常状態における血清中ウステキヌマブのトラフ濃度の中央値はそれぞれ0.25~0.31及び0.55~0.76μg/mLであり、用量にほぼ比例して上昇した。
16.1.3 体重の影響
乾癬患者において、体重100kg超の患者に本剤90mgを投与したときの血清中ウステキヌマブのトラフ濃度は体重100kg以下の患者に本剤45mgを投与したときと同程度であった。(外国人データ)
〈クローン病〉
16.1.4 反復投与(国際共同臨床試験)
日本人及び外国人のクローン病患者に、本剤の点滴静注8週後、及びその後8週毎又は12週毎に本剤90mgを皮下投与したとき、血清中ウステキヌマブ濃度は2回目の皮下投与前までに定常状態に達した。日本人及び外国人のクローン病患者に本剤90mgを8週間隔で反復皮下投与したとき、定常状態における血清中ウステキヌマブのトラフ濃度の中央値はそれぞれ1.02~2.14μg/mL(n=7~9)及び1.98~2.26μg/mL(n=74~115)であった。日本人及び外国人のクローン病患者に本剤90mgを12週間隔で反復皮下投与したとき、定常状態における血清中ウステキヌマブのトラフ濃度の中央値はそれぞれ0.37~0.70μg/mL(n=6~7)及び0.62~0.76μg/mL(n=75~103)であった。
〈潰瘍性大腸炎〉
16.1.5 反復投与(国際共同臨床試験)
日本人及び外国人の潰瘍性大腸炎患者に、本剤の点滴静注8週後、及びその後8週毎又は12週毎に本剤90mgを皮下投与したとき、血清中ウステキヌマブ濃度は2回目の皮下投与前までに定常状態に達した。日本人及び外国人の潰瘍性大腸炎患者に本剤90mgを8週間隔で反復皮下投与したとき、定常状態における血清中ウステキヌマブのトラフ濃度の中央値はそれぞれ2.46~2.96μg/mL(n=17~18)及び2.69~3.12μg/mL(n=131~148)であった。日本人及び外国人の潰瘍性大腸炎患者に本剤90mgを12週間隔で反復皮下投与したとき、定常状態における血清中ウステキヌマブのトラフ濃度の中央値はそれぞれ0.86~1.03μg/mL(n=17~19)及び0.93~1.23μg/mL(n=122~141)であった。
16.2 吸収
乾癬患者に本剤を単回静脈内投与(0.09、0.27、0.9、4.5mg/kg)又は単回皮下投与(0.27、0.675、1.35、2.7mg/kg)したときの血清中ウステキヌマブ濃度を用いて算出した、ウステキヌマブを皮下投与したときの絶対的バイオアベイラビリティは約57.2%と推定された。(外国人データ)
16.4 代謝
ウステキヌマブは、ヒトIgG1由来の抗体であることから、他の免疫グロブリンと同様に代謝されると推察される。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈尋常性乾癬及び乾癬性関節炎〉
17.1.1 国内臨床試験(第II/III相試験)
中等症から重症の局面型皮疹を有する尋常性乾癬及び乾癬性関節炎(局面型皮疹の病変が体表面積(BSA)の10%以上、かつPASIスコアが12以上)患者を対象とし、プラセボ、ウステキヌマブ45mg及び90mgを0、4週に投与し、以降12週毎にウステキヌマブを52週まで投与したプラセボ対照二重盲検比較試験を実施した。12週後のPASI注1)スコアがベースラインから75%以上改善した患者の割合(以下、PASI75)を次表に示す。12週後の本剤投与群におけるPASI75は、プラセボ群に比べて有意に高かった。その後、緩やかに上昇した後64週目までほぼ一定の値で推移した。
注1)Psoriasis Area and Severity Index
→図表を見る(PDF)
本剤45mg群の副作用発現頻度は、87.5%(56例/64例)であった。主要な副作用は、鼻咽頭炎27例(42.2%)、関節痛6例(9.4%)、頭痛5例(7.8%)、下痢4例(6.3%)、そう痒症2例(3.1%)であった。
本剤90mg群の副作用発現頻度は、87.1%(54例/62例)であった。主要な副作用は、鼻咽頭炎26例(41.9%)、ざ瘡3例(4.8%)、上気道感染2例(3.2%)、蕁麻疹2例(3.2%)、背部痛2例(3.2%)であった。
〈クローン病〉
17.1.2 国際共同臨床試験(第III相試験)
中等症から重症の活動期のクローン病患者(日本人症例20例を含む)を対象とした本剤の導入試験から移行した被験者を対象に、プラセボ又は本剤90mg(8週間隔又は12週間隔)を皮下投与した維持試験を実施した。本剤の導入試験で8週目にclinical response注1)が得られた被験者における本試験44週目のclinical remission rate注2)を次表に示す。44週目にclinical remissionが得られた被験者の割合は、プラセボ群の35.9%に対して、本剤90mgの8週間隔投与群で53.5%、本剤90mgの12週間隔投与群で48.8%であった。
注1)Crohn’s Disease Activity Index(CDAI)スコアのベースラインからの100ポイント以上の減少(ベースラインのCDAIスコアが220ポイント以上248ポイント以下の被験者については、CDAIスコアが150ポイント未満を達成していた場合、clinical responseが得られたとみなした)
注2)CDAIスコア<150ポイント
→図表を見る(PDF)
本剤90mg8週間隔投与群の副作用発現頻度は、29.8%(39例/131例)であった。主要な副作用は、上気道感染6例(4.6%)、頭痛5例(3.8%)、鼻咽頭炎4例(3.1%)、外陰腟真菌感染3例(2.3%)、悪心3例(2.3%)であった。
本剤90mg12週間隔投与群の副作用発現頻度は、25.8%(34例/132例)であった。主な副作用は、頭痛4例(3.0%)、疲労3例(2.3%)、悪心3例(2.3%)、上気道感染2例(1.5%)、鼻咽頭炎2例(1.5%)、発疹2例(1.5%)であった。
〈潰瘍性大腸炎〉
17.1.3 国際共同臨床試験(第III相試験)
中等症から重症の活動期の潰瘍性大腸炎患者(日本人症例92例を含む)を対象とした本剤の導入試験から移行した被験者を対象に、プラセボ又は本剤90mg(8週間隔又は12週間隔)を皮下投与した維持試験を実施した。44週目にclinical remission注1)が得られた被験者の割合は、プラセボ群の24.0%に対して、本剤90mgの8週間隔投与群で43.8%、本剤90mgの12週間隔投与群で38.4%であった。
注1)Mayoスコアが2以下、かついずれのサブスコアも1を超えていない場合
→図表を見る(PDF)
本剤90mg8週間隔投与群の副作用発現頻度は、26.1%(46例/176例)であった。主要な副作用は、上気道感染5例(2.8%)、発疹5例(2.8%)、ざ瘡3例(1.7%)、頭痛3例(1.7%)、注射部位反応3例(1.7%)であった。
本剤90mg12週間隔投与群の副作用発現頻度は、17.4%(30例/172例)であった。主な副作用は、疲労3例(1.7%)、関節痛3例(1.7%)、頭痛3例(1.7%)、上気道感染2例(1.2%)、発疹2例(1.2%)であった。
18.1 作用機序
In vitro試験において、本剤はヒトインターロイキン(IL)‐12及びIL‐23を構成するp40たん白サブユニットに特異的かつ高い親和性で結合し、IL‐12及びIL‐23受容体複合体への結合を阻害した。
18.2 薬理作用
In vitro試験において、IL‐12及びIL‐23によって活性化されるヘルパーT細胞及びナチュラルキラー細胞などの免疫担当細胞の細胞内シグナル伝達並びにIFN‐γ、IL‐17A、IL‐17F及びIL‐22の分泌を抑制した。
- 製造販売会社
- ヤンセンファーマ
- 販売会社
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