コパキソン皮下注20mgシリンジ

添付文書情報2025年07月改定(第3版)
商品情報
- 禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- 多発性硬化症の再発予防。
(効能又は効果に関連する注意)
進行型多発性硬化症に対する本剤の有効性及び安全性は確立していない。
- 用法・用量
- 通常、成人にはグラチラマー酢酸塩として20mgを1日1回皮下に投与する。
- 合併症・既往歴等のある患者
- 8.1. 本剤投与に関連した過敏性反応があらわれることがある。また、本剤投与後の数分以内に注射直後反応があらわれることがあるが、注射直後反応はほとんどが一過性で自然に消失するとされている。過敏性反応が疑われる症状が認められた場合には、注射直後反応との鑑別を慎重に行うこと。また、重篤な過敏性反応が発現した場合は、直ちに医師に連絡するように患者及びその家族又は介護者に指導するとともに、重篤な過敏性反応が発現した場合は、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと〔11.1.1、11.1.3参照〕。
8.2. 本剤投与により血管拡張、胸痛、動悸又は頻脈があらわれることがあるので、心機能障害を有する患者に対して本剤を投与する際には十分に注意し、患者の状態を定期的に観察すること〔9.1.1、11.1.1参照〕。
8.3. 肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前に肝機能検査を行うとともに、本剤投与中は定期的に肝機能検査を行うこと〔11.1.4参照〕。
8.4. 本剤の自己投与の開始にあたっては、患者に適切な投与方法について指導を行うこと〔14.1参照〕。
8.4.1. 自己投与の適用については医師がその妥当性を慎重に検討し投与方法及び注入補助器の使用方法について説明及び十分な教育訓練を実施した後、本剤の副作用とその対処法について患者が十分に理解し患者自らが確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導の下で実施すること。
8.4.2. 本剤の投与開始にあたっては、医師の管理指導の下で本剤を投与することとし、投与後少なくとも30分間は患者の状態について十分に観察すること。また、自己投与の適用後、本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な状況となる可能性がある場合には、直ちに投与を中止させ、医師の管理下で慎重に観察するなど適切な処置を行うこと。
8.4.3. 使用済みのプレフィルドシリンジを再使用しないように患者に注意を促し、安全な廃棄方法について指導を徹底すること。
8.5. 本剤投与期間中に多発性硬化症の症状の増悪が認められた場合には、本剤のリスクとベネフィットを考慮して、投与継続の必要性について慎重に判断すること(国内臨床試験において、投与期間中に多発性硬化症の症状が悪化し投与中止に至った症例が認められている)。
9.1.1. 心機能障害のある患者:本剤投与による注射直後反応として、胸痛等の胸部症状があらわれることがある〔8.2、11.1.1参照〕。
- 相互作用
- 10.2. 併用注意:副腎皮質ホルモン[本剤投与による注射部位反応の発現が増加したとの報告がある(機序は不明である)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 注射直後反応(41.3%):本剤投与後の数分以内に注射直後反応(血管拡張、胸痛、呼吸困難、動悸又は頻脈)があらわれることがあり、これらの症状のほとんどは一過性であるが、投与のたびに発現し、重症化することもある〔8.1、8.2、9.1.1参照〕。
11.1.2. 注射部位壊死(頻度不明):重度の場合、壊死組織の切除及び重度の場合、皮膚移植などが必要になる場合があるので、患者に複数の病変があらわれたときには、治癒がみられるまで投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
11.1.3. 過敏性反応(頻度不明):アナフィラキシー等の重篤な事象を含め、呼吸困難、気管支痙攣、発疹、じん麻疹又は失神等の過敏性反応があらわれることがある〔8.1参照〕。
11.1.4. 肝機能障害(頻度不明):AST上昇、ALT上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがある〔8.3参照〕。
- 11.2. その他の副作用
1). 精神神経系:(5%以上)不安、振戦、(5%未満)失神、神経過敏、(頻度不明)痙攣。
2). 消化器:(5%以上)悪心、嘔吐。
3). 循環器:(5%以上)血管拡張、動悸、頻脈。
4). 呼吸器:(5%以上)呼吸困難。
5). 感染症:(5%以上)腟カンジダ症、(5%未満)単純ヘルペス。
6). 皮膚:(5%以上)発疹、多汗症、(5%未満)皮膚良性新生物。
7). 眼:(5%未満)眼障害。
8). 投与部位:(5%以上)注射部位反応(紅斑(59.9%)、疼痛(53.2%)、腫瘤(35.7%)、そう痒感(35.3%)、浮腫、炎症、過敏症)、局所反応、(5%未満)萎縮。
9). その他:(5%以上)リンパ節症、疼痛、胸痛、顔面浮腫、発熱、(5%未満)悪寒、体重増加、浮腫、(頻度不明)白血球数異常、肝酵素上昇。
- 高齢者
- 副作用の発現に留意し、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に高齢者では腎機能、肝機能等の生理機能が低下している)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒト母乳中への移行については不明である)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤投与時の注意〔8.4参照〕14.1.1. 投与部位は腹部、上腕部、大腿部又は腰部のそれぞれ左右を選び、同一部位への反復投与は避け、原則として同一部位への投与は7日間あけること。また、皮膚が敏感な部位、皮膚に異常のある部位<傷・発疹・発赤・硬結等>には投与しないこと。
14.1.2. 投与の際には専用のプレフィルドシリンジ用注入補助器を使用すること。また、使用にあたっては添付の使用説明書を必ず読むこと。また、本剤(プレフィルドシリンジ)は1回使用の製剤であり、再使用はしないこと。
20.1. 開封後も光を遮り保存すること。
20.2. 使用時にはブリスターに入れたまま室温に戻して使用すること。
20.3. 溶液中に不溶性微粒子がある場合は使用しないこと。
20.4. 本剤は単回使用のため、再滅菌・再使用せず、使用済みのプレフィルドシリンジは適切に廃棄すること。
- その他の注意
- 15.2. 非臨床試験に基づく情報ラット26週間反復投与毒性試験及びサル52週間反復投与毒性試験において、腎糸球体に補体第3成分を伴うグラチラマー酢酸塩沈着が認められている。しかしながら、ラットを用いたがん原性試験(2年間投与)では腎糸球体での免疫複合体の沈着は認められていない。
16.3 分布
[125I]グラチラマー酢酸塩を10μg/mLの濃度で添加したときの蛋白結合率はヒト血清アルブミンで89%超、ヒト血清で約97%である(in vitro)。
16.4 代謝
In vitro試験データから、グラチラマー酢酸塩は皮下組織及び筋肉組織において速やかに加水分解されることが示されている。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第II相試験(非盲検試験)
再発寛解型多発性硬化症患者(17例)を対象にグラチラマー酢酸塩として1日1回20mgを36週間皮下投与したとき、主要評価項目であるT1ガドリニウム(Gd)増強病巣の総数の投与前後での変化率は65.66%(両側95%信頼区間:33.19、82.35)であり、変化率の95%信頼区間の下限値(33.19%)が事前に設定した有効性評価基準値(25%)を上回った。
T1Gd増強病巣総数の変化率(FAS注1))
→図表を見る(PDF)
なお、投与前と投与後の評価例数を揃えて実施した追加解析では、変化率の95%信頼区間の下限値はいずれも事前に設定した有効性評価基準値(25%)を下回った。
T1Gd増強病巣総数の変化率に係る追加解析結果
→図表を見る(PDF)
また、グラチラマー酢酸塩として1日1回20mgを52週間皮下投与したときの副作用発現頻度は、100%(17/17)であり、主な副作用は注射部位紅斑88.2%(15/17)、注射部位疼痛88.2%(15/17)、注射部位硬結76.5%(13/17)及び注射部位そう痒感70.6%(12/17)であった。
17.1.2 海外第III相試験(二重盲検比較試験)
再発寛解型多発性硬化症患者(239例)を対象にグラチラマー酢酸塩として1日1回20mg又はプラセボを36週間皮下投与した結果、主要評価項目であるT1Gd増強病巣数(総数)の差の点推定値は-10.84個(両側95%信頼区間:-17.97、-3.71)であり有意な減少を認めた(p=0.0032、ANCOVA)。
T1Gd増強病巣総数注1)(ITT、LOCF)
→図表を見る(PDF)
副作用発現頻度は、本剤群で84.9%(101/119)であり、主な副作用は注射部位紅斑57.1%(68/119)、注射部位疼痛34.5%(41/119)及び注射部位腫瘤28.6%(34/119)であった。
17.1.3 海外第III相試験(二重盲検比較試験)
再発寛解型多発性硬化症患者(251例)を対象にグラチラマー酢酸塩として1日1回20mg又はプラセボを最長35ヵ月間皮下投与した結果、主要評価項目である再発回数の差の点推定値は-0.63回(両側95%信頼区間:-1.03、-0.24)であり有意な差を認めた(p=0.0019、ANCOVA)。
投与期間中の再発回数注1)(ITT)
→図表を見る(PDF)
副作用発現頻度は、本剤群で90.4%(113/125)であり、主な副作用は注射部位紅斑59.2%(74/125)、注射部位疼痛56.0%(70/125)及び注射部位腫瘤46.4%(58/125)であった。
18.1 作用機序
グラチラマー酢酸塩(GA)は皮下投与後、末梢のリンパ節内の抗原提示細胞(APC)表面に存在する主要組織適合遺伝子複合体(MHC)分子に結合する。その結果、GAはT細胞受容体における抗原-MHCとの競合によって多発性硬化症に関する抗原特異的なT細胞の活性化を阻害する。
また、APC表面のMHC分子にGAが結合すると、GA反応性Th2細胞が誘導される。GA反応性Th2細胞は血液脳関門を通過して中枢神経系に集積し、ミエリン塩基性蛋白自己抗原により刺激され抗炎症サイトカインや神経栄養因子を分泌する。
さらに、GA投与は、抗原非特異的な機序によってもAPC機能を修飾するとともに、IL-10及びTGF-βの増加、並びにIL-12及びTNFの産生減少を特徴とする抗炎症性のII型単球の形成を促進する。
- 製造販売会社
- T’sファーマ
- 販売会社
- 武田薬品
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