トルツ皮下注80mgオートインジェクター
添付文書情報2024年07月改定(第6版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 警告
- 1.1. 本剤は結核等の感染症を含む緊急時に十分に対応できる医療施設において、本剤についての十分な知識と適応疾患の治療に十分な知識・経験をもつ医師のもとで、本剤による治療の有益性が危険性を上回ると判断される症例のみに使用すること。
本剤は感染症のリスクを増大させる可能性があり、また結核の既往歴を有する患者では結核活動化させる可能性がある。また、本剤との関連性は明らかではないが、悪性腫瘍の発現が報告されている。治療開始に先立ち、本剤が疾病を完治させる薬剤でないことを含め、本剤の有効性及び危険性を患者に十分説明し、患者が理解したことを確認した上で治療を開始すること〔2.2、8.1、8.2、8.5、9.1.2、15.1.2参照〕。
1.2. 重篤な感染症ウイルス、細菌及び真菌等による重篤な感染症が報告されているため、十分な観察を行うなど感染症の発症に注意し、本剤投与後に感染症の徴候又は症状があらわれた場合には、速やかに担当医に連絡するよう患者を指導すること〔2.1、9.1.1、11.1.1参照〕。
1.3. 本剤の治療を開始する前に、適応疾患の既存治療の適用を十分に勘案すること〔5.1-5.3参照〕。
- 禁忌
- 2.1. 重篤な感染症の患者[症状を悪化させるおそれがある]〔1.2、9.1.1、11.1.1参照〕。
2.2. 活動性結核の患者[症状を悪化させるおそれがある]〔1.1、8.2、9.1.2参照〕。
2.3. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴を有する患者。
- 効能・効果
- 既存治療で効果不十分な次記疾患:1)尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症、2)強直性脊椎炎、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 〈尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症〉次のいずれかを満たす患者に投与すること[1)光線療法を含む既存の全身療法(生物製剤を除く)で十分な効果が得られず、皮疹が体表面積の10%以上に及ぶ患者、2)難治性の皮疹、関節症状又は膿疱を有する患者]〔1.3参照〕。
5.2. 〈強直性脊椎炎〉過去の治療において、既存治療薬(非ステロイド性抗炎症剤等)による適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな臨床症状が残る場合に投与すること〔1.3参照〕。
5.3. 〈X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎〉過去の治療において、既存治療薬(非ステロイド性抗炎症剤等)による適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな臨床症状及び炎症の客観的徴候が認められる場合に投与すること〔1.3参照〕。
- 用法・用量
- 〈尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症〉
通常、成人にはイキセキズマブ(遺伝子組換え)として初回に160mgを皮下投与し、2週後から12週後までは1回80mgを2週間隔で皮下投与し、以降は1回80mgを4週間隔で皮下投与する。
なお、12週時点で効果不十分な場合には、1回80mgを2週間隔で皮下投与できる。
〈強直性脊椎炎、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎〉
通常、成人にはイキセキズマブ(遺伝子組換え)として1回80mgを4週間隔で皮下投与する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 〈効能共通〉本剤による治療反応は、通常投与開始から20週以内に得られるため、20週以内に治療反応が得られない場合は、本剤の治療計画の継続を慎重に再考すること。
7.2. 〈効能共通〉本剤と他の生物製剤の併用について安全性及び有効性は確立していないので併用を避けること。
7.3. 〈尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症〉投与開始から12週以降に2週間隔投与で治療反応が得られた場合は、4週間隔投与への変更を検討すること。なお、尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症の場合、4週間隔投与へ変更後に効果不十分となった患者に対する投与間隔短縮の有効性は確立していない。
- 合併症・既往歴等のある患者
- 8.1. 本剤は、感染のリスクを増大させる可能性がある。そのため本剤の投与に際しては、十分な観察を行い、感染症の発症や感染症増悪に注意すること。感染症の徴候又は症状があらわれた場合には、速やかに担当医に連絡するよう患者を指導すること〔1.1、9.1.1参照〕。
8.2. 本剤投与に先立って結核に関する十分な問診及び胸部X線検査に加えインターフェロンγ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認すること。また、本剤投与中も、胸部X線検査等の適切な検査を定期的に行うなど結核の発現には十分に注意し、結核を疑う症状(持続する咳、体重減少、発熱等)が発現した場合には速やかに担当医に連絡するよう患者を指導すること。
なお、結核の活動性が確認された場合は結核の治療を優先し、本剤を投与しないこと〔1.1、2.2、9.1.2参照〕。
8.3. 本剤投与中は、生ワクチン接種による感染症発現のリスクを否定できないため、生ワクチン接種は行わないこと。
8.4. 他の生物製剤から変更する場合は感染症の徴候について患者の状態を十分に観察すること。
8.5. 臨床試験において皮膚悪性腫瘍及び皮膚以外の悪性腫瘍の発現が報告されている。本剤との因果関係は明確ではないが、悪性腫瘍の発現には注意すること〔1.1、15.1.2参照〕。
8.6. 本剤の投与開始にあたっては、医療施設において、必ず医師によるか、医師の直接の監督のもとで投与を行うこと。
自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施したのち、本剤投与による危険性と対処法について患者が理解し、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。また、自己投与の適用後、感染症等本剤による副作用が疑われる場合や、自己投与の継続が困難な状況となる可能性がある場合には、直ちに自己投与を中止させ、医師の管理下で慎重に観察するなど適切な処置を行うこと。更に、オートインジェクターの安全な廃棄方法に関する指導を行い、使用済みのオートインジェクターを廃棄する容器等を提供すること。
9.1.1. 感染症<重篤な感染症を除く>の患者又は感染症が疑われる患者:症状を悪化させるおそれがある〔1.2、2.1、8.1、11.1.1参照〕。
9.1.2. 結核の既往歴を有する又は結核感染が疑われる患者。
(1). 結核の既往歴を有する患者では、結核を活動化させるおそれがある〔8.2参照〕。
(2). 結核の既往歴を有する場合及び結核感染が疑われる場合には、結核の診療経験がある医師に相談すること。次のいずれかの患者には、原則として抗結核薬を投与した上で、本剤を投与すること〔1.1、2.2、8.2参照〕[1)胸部画像検査で陳旧性結核に合致するか推定される陰影を有する患者、2)結核の治療歴(肺外結核を含む)を有する患者、3)インターフェロンγ遊離試験やツベルクリン反応検査等の検査により、結核既感染が強く疑われる患者、4)結核患者との濃厚接触歴を有する患者]。
9.1.3. 炎症性腸疾患の患者:炎症性腸疾患(クローン病や潰瘍性大腸炎)の患者に投与する場合は観察を十分に行うこと(症状を悪化させるおそれがある)〔11.1.4参照〕。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 重篤な感染症(0.4%):ウイルス、細菌、真菌等による重篤な感染症があらわれることがある(重篤な感染症が発症した場合には、感染症が消失するまで本剤を投与しないこと)〔1.2、2.1、9.1.1参照〕。
11.1.2. 重篤な過敏症反応(0.1%):アナフィラキシー(血管浮腫、蕁麻疹等)等の重篤な過敏症反応があらわれることがある。
11.1.3. 好中球数減少(0.6%)。
11.1.4. 炎症性腸疾患(0.4%)〔9.1.3参照〕。
11.1.5. 間質性肺炎(頻度不明):間質性肺炎が報告されているので、咳嗽、呼吸困難、発熱等が認められた場合には、速やかに胸部X線、速やかに胸部CT、速やかに血清マーカー等の検査を実施すること(間質性肺炎が疑われた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと)。
- 11.2. その他の副作用
1). 感染症:(1~10%未満)上気道感染(鼻咽頭炎、上気道感染)、白癬感染、(1%未満)口腔カンジダ症、鼻炎、結膜炎、インフルエンザ、食道カンジダ症。
2). 呼吸器:(1%未満)口腔咽頭痛。
3). 消化器:(1%未満)悪心。
4). 皮膚:(1%未満)蕁麻疹。
5). 注射部位:(10%以上)注射部位反応(注射部位紅斑、注射部位疼痛等)。
- 高齢者
- 感染症等の副作用の発現に留意し、十分な観察を行うこと(一般に生理機能が低下している)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(また、本剤はカニクイザルにおいて胎仔への移行が報告されているが、胎仔・出生仔に毒性及び催奇形性は認められなかった)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(本剤のヒトの乳汁への移行や授乳された乳児の血液中への移行の有無は不明であるが、カニクイザルでは乳汁への移行が認められた)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤投与前の注意投与30分前に冷蔵庫から取り出し、直射日光を避け、室温に戻しておくことが望ましい。
14.2. 薬剤投与時の注意投与時は次の点を注意すること。
・ 注射部位は、大腿部、腹部又は上腕部が望ましい。同じ部位の中で繰り返し注射する場合、毎回注射する箇所を変更すること。また、皮膚が敏感な部位、傷・発赤・硬結がある部位、乾癬の部位には注射しないこと。
・ 本剤は1回使用の製剤であり、再利用しないこと。
・ 160mgを投与する場合は80mgオートインジェクターを2本皮下投与すること。
20.1. 凍結を避けること。凍結した場合は使用しないこと。
20.2. 光の影響を防ぐために、本剤は外箱に入れた状態で遮光保存すること。
20.3. 激しく振とうしないこと。
20.4. 室温で保存する場合は30℃を超えない場所で保存し、5日以内に使用すること。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. 免疫原性(1). 乾癬患者を対象とした第3相臨床試験において、80mgを2週間隔で投与した12週までに患者の9.0%(103/1150例)に抗イキセキズマブ抗体が認められ、また、12週までイキセキズマブを投与され、レスポンダー(12週時にsPGAスコアが0又は1の患者)と判断された患者のうち、再割り付け後、12週以降に80mgを4週間隔で投与した患者の17.3%(57/330例)に抗イキセキズマブ抗体が認められた(イキセキズマブを投与された患者の約1%(25/2293例)に中和抗体が確認され、イキセキズマブ血中濃度低下及び効果の減弱との関連が認められた)。
(2). 日本人の乾癬患者を対象とした長期投与試験において、抗イキセキズマブ抗体は12週までには認められず、12週以降に患者の11.0%(10/91例)に認められたが、中和抗体は確認されなかった。
(3). 乾癬患者を対象とした第3相臨床試験において、80mgを2週間隔で投与した52週までに患者の13.9%(84/606例)に抗イキセキズマブ抗体が認められた。イキセキズマブを投与された患者の約1%(6/606例)に中和抗体が確認され、イキセキズマブ血中濃度の低下傾向が認められた。
(4). 強直性脊椎炎患者を対象とした第3相臨床試験において、80mgを4週間隔で投与した16週までに患者の5.2%(10/194例)に抗イキセキズマブ抗体が認められ、1.5%(3/194例)に中和抗体が確認され、イキセキズマブ血中濃度低下傾向が認められた。
(5). X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎患者を対象とした第3相臨床試験において、80mgを4週間隔で投与した52週までに患者の8.9%(5/56例)に抗イキセキズマブ抗体が認められ、中和抗体は確認されなかったが、母集団薬物動態解析より、抗イキセキズマブ抗体陽性例においてイキセキズマブ血中濃度低下傾向が認められた。
15.1.2. 悪性腫瘍発現頻度(1). 乾癬患者を対象とした国際共同試験の併合解析の結果(延べ投与例数:4204例、総曝露期間:4729.7人年)、本剤投与群において、悪性腫瘍<非黒色腫皮膚癌を除く>の発現率は、0.5/100人年(発現割合:0.5%、23/4204例)であった(悪性腫瘍の発現率は、一般の乾癬患者で報告されている発現率(1.14/100人年[95%信頼区間:1.07,1.20])と同程度であった)、非黒色腫皮膚癌の発現率は、0.5/100人年(発現割合:0.5%、23/4204例)であった。
(2). 強直性脊椎炎患者を対象とした国際共同試験の併合解析の結果(延べ投与例数:641例、総曝露期間:749.6人年)、本剤投与群において、悪性腫瘍<非黒色腫皮膚癌を除く>の発現率は、0.4/100人年(発現割合:0.5%、3/641例)であった。悪性腫瘍の発現率は、一般の脊椎関節炎患者で報告されている発現率(1.05/100人年[95%信頼区間:0.94,1.17])と同程度であった。非黒色腫皮膚癌の発現は認められなかった。
(3). X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎患者を対象とした国際共同試験の本剤投与群(198例、総曝露期間:143.5人年)において、悪性腫瘍の発現は認められなかった。
〔1.1、8.5参照〕。
15.1.3. 尋常性乾癬、膿疱性乾癬及び乾癬性紅皮症において、免疫抑制剤又は光線療法と併用した場合の安全性及び有効性は確立していない。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
外国人乾癬患者に本剤160mgをオートインジェクター又はシリンジで単回皮下投与したときの血清中濃度推移及び薬物動態パラメータを添付文書の図1及び表1に示す。外国人乾癬患者に本剤160mgを皮下投与したとき、血清中イキセキズマブ濃度は約4日で最高値に達した。
図1)外国人乾癬患者に本剤160mgをオートインジェクター又はシリンジで単回皮下投与したときの血清中濃度推移(平均値±標準偏差)
表1)外国人乾癬患者にイキセキズマブ160mgをオートインジェクター又はシリンジで単回皮下投与したときの薬物動態パラメータ
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16.1.2 反復投与
日本人乾癬患者に本剤の160mgを開始用量とし、2週目より80mgを2週間隔、12週以降、80mgを4週間隔で皮下投与したときのトラフ濃度は表2のとおりであった。
表2)日本人乾癬患者におけるイキセキズマブ濃度
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日本人乾癬患者(9例)に本剤の160mgを開始用量とし、2週目より80mgを2週間隔で皮下投与したときの定常状態(投与24週時)のトラフ濃度の幾何平均値(変動係数%)は11.4μg/mL(61%)であった。
強直性脊椎炎患者(42例)に本剤80mgを4週間隔で皮下投与したときの定常状態(投与16週時)のトラフ濃度の幾何平均値(変動係数%)は3.48μg/mL(57%)であった。
日本人のX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎患者3例に本剤80mgを4週間隔で皮下投与したときの定常状態(投与16週時)のトラフ濃度の幾何平均値(変動係数%)は2.50μg/mL(42%)であった。
16.1.3 母集団薬物動態解析
母集団薬物動態解析より局面型皮疹を有する乾癬患者のクリアランスは0.0161L/hr、分布容積は7.11L、半減期は約13日と推定された。局面型皮疹を有する乾癬患者に本剤の160mgを開始用量とし、2週目より80mgを2週間隔で皮下投与したときの、母集団薬物動態解析に基づく投与10~12週時の薬物動態パラメータの推定値は、表3のとおりであった。
表3)母集団薬物動態解析から得られた推定値
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17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症〉
17.1.1 国際共同第III相二重盲検比較試験(UNCOVER‐1)
中等症又は重症の局面型皮疹を有する乾癬患者1296例(局面型皮疹の病変が体表面積(BSA)の10%以上、かつPASIスコアが12以上。日本人33例、うち尋常性乾癬30例、乾癬性関節炎患者3例を含む)を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験を実施した。プラセボ又はイキセキズマブ(遺伝子組換え)160mgを初回に投与し、その後は80mgを2週間隔又は4週間隔注4)で皮下投与した(導入投与期間:0~12週時)。導入投与期間(0~12週時)でイキセキズマブを投与され、レスポンダー(12週時にsPGAスコアが0又は1の被験者)と判断された患者を、12週時にイキセキズマブ80mg4週間隔投与群、80mg12週間隔投与群注4)、プラセボ投与群のいずれかに1:1:1の比率で再無作為化し投与した(維持投与期間:12~60週時)。
12週後のPASIスコアがベースラインから75%以上、90%以上又は100%改善した患者の割合(以下、それぞれPASI75、PASI90、PASI100)を表1に示す。本剤投与群における12週後のPASI75、PASI90及びPASI100は、プラセボ投与群に比べて統計学的に有意に高かった。再割り付け群の60週後のPASI75、PASI90及びPASI100についても、同様の結果が認められた(表2参照)。
表1)12週後のPASI75、90、100達成率注1)
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注4)本剤の尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症における承認用法及び用量は、「通常、成人にはイキセキズマブ(遺伝子組換え)として初回に160mgを皮下投与し、2週後から12週後までは1回80mgを2週間隔で皮下投与し、以降は1回80mgを4週間隔で皮下投与する。なお、12週時点で効果不十分な場合には、1回80mgを2週間隔で皮下投与できる。」である。
表2)60週後のPASI75、90、100達成率注5)
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導入投与期間における有害事象の発現頻度は、本剤2週間隔投与及びプラセボでそれぞれ59.4%及び48.7%、重篤な有害事象の発現頻度はそれぞれ1.4%及び1.2%、治験薬投与中止に至った有害事象の発現頻度はそれぞれ2.3%及び1.4%であった。本剤2週間隔投与における主な副作用は、注射部位反応40例(9.2%)、注射部位紅斑27例(6.2%)であった。
表3)導入投与期間における有害事象の発現頻度
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維持投与期間における本剤2週間隔投与/本剤4週間隔投与の有害事象の発現頻度は79.8%、重篤な有害事象の発現頻度は5.9%、治験薬投与中止に至った有害事象の発現頻度は3.4%であった。主な副作用は、鼻咽頭炎7例(5.9%)、注射部位反応4例(3.4%)であった。
表4)維持投与期間における有害事象の発現頻度
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17.1.2 国際共同第III相二重盲検比較試験(IXORA‐P)
中等症又は重症の局面型皮疹を有する乾癬患者1227例(局面型皮疹の病変が体表面積(BSA)の10%以上、かつPASIスコアが12以上。うち、乾癬性関節炎患者210例、日本人乾癬患者16例を含む)を対象とした二重盲検比較試験を実施した。イキセキズマブ(遺伝子組換え)160mgを初回に投与し、その後は80mgを2週間隔、4週間隔、又は2週間隔への投与間隔短縮が可能な4週間隔で皮下投与した(治験薬投与期間:0~52週時)。
本剤2週間隔投与群における52週後のsPGAスコアが0又は1である患者の割合(以下、sPGA(0又は1))、PASI75、PASI90及びPASI100を表5に示す。
表5)52週後の各評価指標の達成率注6)
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12週時でノンレスポンダー(sPGAスコアが2以上の被験者)と判断された患者の本剤2週間隔投与群におけるsPGA(0又は1)、PASI75、PASI90及びPASI100達成率を表6に示す。
表6)12週時でノンレスポンダーと判断された患者の各評価指標の達成率(本剤2週間隔投与)注7)
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本剤2週間隔投与群における52週までの有害事象の発現頻度は74.2%、重篤な有害事象の発現頻度は5.3%、治験薬投与中止に至った有害事象の発現頻度は3.1%であった。主な副作用は、注射部位反応46例(7.6%)、注射部位紅斑18例(3.0%)であった。
表7)52週までの有害事象の発現頻度
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17.1.3 国内第III相非盲検長期投与試験(UNCOVER‐J)
中等症又は重症の局面型皮疹を有する乾癬患者(尋常性乾癬、乾癬性関節炎を含む)、乾癬性紅皮症患者及び膿疱性乾癬(汎発性)患者計91例を対象とした52週間非盲検長期投与試験を実施した。イキセキズマブ(遺伝子組換え)160mg初回投与後、80mgを12週まで2週間隔で投与し、12週以降52週まで4週間隔で投与した。乾癬性紅皮症及び膿疱性乾癬患者における12週後の全般改善度が「消失」又は「改善」の割合はそれぞれ100%(8/8例)、100%(5/5例)であった。その効果は52週後まで持続し、それぞれ100%(8/8例)、100%(5/5例)であった。乾癬性関節炎患者における12週後及び52週後のACR20改善率注8)は、それぞれ80.0%(4/5例)、100.0%(5/5例)であった。
注8)ACR20における欠測値は、ノンレスポンダーとして取り扱った(Non‐responder imputation、NRI)。
52週までの有害事象の発現頻度は86.8%、重篤な有害事象の発現頻度は3.3%、治験薬投与中止に至った有害事象の発現頻度は3.3%であった。主な副作用は、鼻咽頭炎8例(8.8%)、注射部位反応7例(7.7%)であった。
表8)52週までの有害事象の発現頻度
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17.1.4 国際共同第III相二重盲検比較試験(SPIRIT‐P1)
生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬による治療歴のない活動性乾癬性関節炎患者417例(腫脹関節及び圧痛関節数がそれぞれ3関節以上。日本人12例を含む)を対象とした実薬及びプラセボ対照二重盲検比較試験を実施した。プラセボ又はイキセキズマブ(遺伝子組換え)160mgを初回に投与し、その後は80mgを2週間隔又は4週間隔注12)で24週まで皮下投与した。本剤投与群における12週後及び24週後のACR20改善率はプラセボ投与群に比べて統計学的に有意に高かった。
表9)12週後及び24週後のACR20改善率注9)
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また、24週後の関節破壊進展を手及び足のX線スコア(modified Total Sharp Score、mTSS)で評価した結果、イキセキズマブ投与群(2週間隔投与群及び4週間隔投与群)のベースラインからの変化量はプラセボ投与群に比べて統計学的に有意に小さかった。
表10)24週後のmTSSにおけるベースラインからの変化量
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24週までの有害事象の発現頻度は、本剤2週間隔投与、本剤4週間隔投与及びプラセボでそれぞれ65.7%、66.4%及び47.2%、重篤な有害事象の発現頻度はそれぞれ2.9%、5.6%及び1.9%、治験薬投与中止に至った有害事象の発現頻度はそれぞれ3.9%、1.9%及び1.9%であった。主な副作用は、本剤2週間隔投与では注射部位反応15例(14.7%)、注射部位紅斑13例(12.7%)、本剤4週間隔投与では注射部位反応12例(11.2%)、注射部位紅斑7例(6.5%)であった。
表11)24週までの有害事象の発現頻度
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注12)本剤の尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症における承認用法及び用量は、「通常、成人にはイキセキズマブ(遺伝子組換え)として初回に160mgを皮下投与し、2週後から12週後までは1回80mgを2週間隔で皮下投与し、以降は1回80mgを4週間隔で皮下投与する。なお、12週時点で効果不十分な場合には、1回80mgを2週間隔で皮下投与できる。」である。
〈強直性脊椎炎〉
17.1.5 国際共同第III相二重盲検比較試験(COAST‐V)
非ステロイド性抗炎症薬(nonsteroidal anti‐inflammatory drugs:NSAIDs)治療で効果不十分又は不忍容であった生物製剤による治療歴のない強直性脊椎炎患者341例(日本人7例を含む)を対象とした実薬及びプラセボ対照二重盲検比較試験を実施した。プラセボ又はイキセキズマブ(遺伝子組換え)80mg又は160mg注13)を初回に投与し、その後は80mgを2週間隔注13)又は4週間隔で16週まで皮下投与した。本剤4週間隔投与群(初回投与80mgと160mgの併合)における16週後のASAS40反応率及びASAS20反応率はプラセボ投与群に比べて統計学的に有意に高かった。
注13)本剤の強直性脊椎炎における承認用法及び用量は、「通常、成人にはイキセキズマブ(遺伝子組換え)として1回80mgを4週間隔で皮下投与する。」である。
表12)16週後のASAS40反応率及びASAS20反応率(ITT集団、NRI)
→図表を見る(PDF)
本剤4週間隔投与を16週以降継続したときの52週時ASAS40反応率及びASAS20反応率は、それぞれ55.1%(43/78例)及び67.9%(53/78例)であり、長期投与による有効性の維持が示された。
16週までの有害事象の発現頻度は、本剤4週間隔投与及びプラセボでそれぞれ42.0%及び39.5%、重篤な有害事象の発現頻度はそれぞれ1.2%及び0%、治験薬投与中止に至った有害事象の発現頻度はともに0%であった。主な副作用は、注射部位紅斑2例(2.5%)、上気道感染1例(1.2%)であった。
表13)16週までの有害事象の発現頻度
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52週までの本剤4週間隔投与による有害事象の発現頻度は71.6%、重篤な有害事象の発現頻度は6.2%、治験薬投与中止に至った有害事象の発現頻度は1.2%であった。主な副作用は、注射部位紅斑3例(3.7%)、注射部位反応3例(3.7%)、上咽頭炎3例(3.7%)であった。
17.1.6 外国第III相二重盲検比較試験(COAST‐W)
NSAIDs及びTNF阻害薬治療で効果不十分又は不忍容であった外国人強直性脊椎炎患者316例を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験を実施した。プラセボ又はイキセキズマブ(遺伝子組換え)80mg又は160mg注16)を初回に投与し、その後は80mgを2週間隔注16)又は4週間隔で16週まで皮下投与した。本剤4週間隔投与群における16週後のASAS40反応率及びASAS20反応率はプラセボ投与群に比べて統計学的に有意に高かった。
注16)本剤の強直性脊椎炎における承認用法及び用量は、「通常、成人にはイキセキズマブ(遺伝子組換え)として1回80mgを4週間隔で皮下投与する。」である。
表14)16週後のASAS40反応率及びASAS20反応率(ITT集団、NRI)
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本剤4週間隔投与を16週以降継続したときの52週時ASAS40反応率及びASAS20反応率は、それぞれ39.8%(39/98例)及び61.2%(60/98例)であり、長期投与による有効性の維持が示された。
16週までの有害事象の発現頻度は、本剤4週間隔投与及びプラセボでそれぞれ64.0%及び49.0%、重篤な有害事象の発現頻度はそれぞれ3.5%及び4.8%、治験薬投与中止に至った有害事象の発現頻度はそれぞれ8.8%及び1.9%であった。主な副作用は、上気道感染6例(5.3%)、注射部位疼痛4例(3.5%)であった。
表15)16週までの有害事象の発現頻度
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52週までの本剤4週間隔投与による有害事象の発現頻度は86.0%、重篤な有害事象の発現頻度は5.3%、治験薬投与中止に至った有害事象の発現頻度は12.3%であった。主な副作用は、上気道感染10例(8.8%)、注射部位疼痛4例(3.5%)、上咽頭炎4例(3.5%)であった。
〈X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎〉
17.1.7 国際共同第III相二重盲検比較試験(COAST‐X)
生物製剤による治療歴がなく、NSAIDs治療で効果不十分又は不忍容であったX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎患者303例(日本人16例を含む)(BASDAI総スコアが4以上、全般背部痛のNRSスコアが4以上、かつCRP5mg/L超又はMRI画像所見上の仙腸関節炎が認められる)を対象としたプラセボ対照二重盲検比較試験を実施した。プラセボ又はイキセキズマブ(遺伝子組換え)80mg又は160mg注19)を初回に投与し、その後は80mgを2週間隔注19)又は4週間隔で52週まで皮下投与した。本剤4週間隔投与群(初回投与80mgと160mgの併合)における16週後のASAS40反応率はプラセボ投与群に比べて統計学的に有意に高かった。
注19)本剤のX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎における承認用法及び用量は、「通常、成人にはイキセキズマブ(遺伝子組換え)として1回80mgを4週間隔で皮下投与する。」である。
表16)16週後のASAS40反応率(ITT集団、NRI)
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本剤4週間隔投与を16週以降継続したときの52週時ASAS40反応率は30.2%(29/96例)であり、長期投与による有効性の維持が示された。
52週までの有害事象の発現頻度は、本剤4週間隔投与及びプラセボでそれぞれ65.6%及び57.7%、重篤な有害事象の発現頻度はそれぞれ2.1%及び1.0%、治験薬投与中止に至った有害事象の発現頻度はそれぞれ1.0%及び1.9%であった。主な副作用は、注射部位反応10例(10.4%)、注射部位紅斑3例(3.1%)であった。
表17)52週までの有害事象の発現頻度
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18.1 作用機序
本剤は、炎症性サイトカインであるインターロイキン(IL)‐17Aに対するヒト化IgG4モノクローナル抗体であり、自己免疫疾患の発症に関与していると考えられるIL‐17Aに結合してIL‐17Aの作用を中和すると考えられる。
18.2 IL‐17Aに対する結合親和性及び特異性
本剤はヒトIL‐17Aに高い親和性で結合したが(解離定数:3pM未満)、IL‐17B、IL‐17C、IL‐17D、IL‐17E及びIL‐17Fには結合しなかった(in vitro)。
18.3 IL‐17A誘導ケモカイン産生に対する阻害作用
In vitro試験及びIL‐17Aを投与したマウスにおいて、本剤はIL‐17Aにより誘導されるケモカイン産生を阻害した。
18.4 薬力学
第I相臨床試験で実施した乾癬患者の皮膚生検において、1日目から43日目にかけて表皮厚並びに増殖性ケラチノサイト、T細胞及び樹状細胞数の用量依存的な減少傾向が認められた。
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