パリンジック皮下注2.5mg
添付文書情報2023年05月改定(第1版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 警告
- 1.1. アナフィラキシーが発現することがあるので、緊急時に十分な対応をとれる体制を整えた上で、本剤の投与を開始すること〔7.3、7.4、8.1、11.1.1参照〕。
1.2. 本剤投与開始前にアナフィラキシーの徴候・症状、それらの症状が発現した場合の対処方法等を患者に指導し、患者が理解したことを確認した上で本剤の投与を開始すること。また、本剤による治療中は自己注射可能なアドレナリン注射剤を常時携帯するよう、患者に指導すること〔8.1、11.1.1参照〕。
- 禁忌
- 本剤の成分に対し重度過敏症反応の既往のある患者〔8.1参照〕。
- 効能・効果
- フェニルケトン尿症。
(効能又は効果に関連する注意)
本剤の適用は、既存治療を行っても血中フェニルアラニン濃度のコントロールが不十分な場合に限り考慮すること。
- 用法・用量
- 通常、成人にはペグバリアーゼ(遺伝子組換え)として1日1回20mgを維持用量とし、皮下投与する。ただし、週1回2.5mgを開始用量として、次の漸増法に従い、段階的に増量する。1日1回20mgを一定期間投与しても効果が不十分な場合は、40mg又は60mgに段階的に増量できるが、最大用量は60mgである。なお、患者の状態に応じて適宜増減する。
[1日1回20mgまでの漸増法]
1). 2.5mgを週1回投与:投与期間4週間以上。
2). 2.5mgを週2回投与:投与期間1週間以上。
3). 10mgを週1回投与:投与期間1週間以上。
4). 10mgを週2回投与:投与期間1週間以上。
5). 10mgを週4回投与:投与期間1週間以上。
6). 10mgを1日1回投与:投与期間1週間以上。
7). 20mgを1日1回投与。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 維持用量に達するまでの間は、食事からのフェニルアラニン摂取量を一定に保つよう管理し、維持用量に達するまでの間は、月1回以上の頻度で血中フェニルアラニン濃度を測定し、過敏症反応の発現等の患者の状態に留意して慎重に漸増すること(その後も患者の状態を観察し、定期的に血中フェニルアラニン濃度を測定して血中フェニルアラニン濃度を適切に管理すること)〔8.1、8.2参照〕。
7.2. 40mgへの増量は、1日1回20mgを原則24週間以上投与しても効果が不十分な場合に考慮することができる。患者の状態に応じて1日1回20mgを12週間以上投与しても効果が不十分な場合にも40mgへの増量を考慮することは可能であるが、その必要性については個々の患者の状態を踏まえて慎重に判断すること。
60mgへの増量は、1日1回40mgを16週間以上投与しても効果が不十分な場合に考慮することができる。
一定期間投与しても十分な効果が得られない場合は、有益性と危険性を考慮して投与継続の必要性を判断すること。
7.3. 本剤の投与によりアナフィラキシーを含む過敏症反応が発現することがあるので、症状を軽減させるため、抗ヒスタミン剤及び必要に応じて解熱鎮痛剤を本剤投与開始2~3時間前を目安に前投与すること(前投与は、少なくとも維持用量に達するまでの間は行い、維持用量での投与においても患者の状態に応じて行うこと)〔1.1、8.1参照〕。
7.4. 投与開始に際しては緊急時に十分な対応をとれる医師の監督のもとで本剤を投与すること(投与後少なくとも1時間は患者を十分に観察すること)〔1.1、8.1参照〕。
- 生殖能を有する者
- 8.1. アナフィラキシーを含む過敏症反応が発現することがあるため、次の点に注意すること〔1.1、1.2、2.禁忌の項、7.1、7.3、7.4、11.1.1、15.1参照〕。
・ 緊急時に十分な対応をとれる体制を整えた上で、本剤の投与を開始すること。
・ 本剤投与開始前にアナフィラキシーの徴候・症状、それらの症状が発現した場合の対処方法等を患者に指導し、患者が理解したことを確認した上で本剤の投与を開始すること。
・ 本剤による治療中は自己注射可能なアドレナリン注射剤を常時携帯するよう、患者に指導すること。
・ 投与後少なくとも1時間はアナフィラキシー等の発現に特に注意すること。
・ 過敏症反応の発現は維持用量に達するまでの間で特に多い傾向がみられるが、その後もアナフィラキシーを含む過敏症反応が発現することがあるので、注意すること。
・ 過敏症反応が発現した場合は、本剤の減量又は中止を含め、重症度に応じた適切な処置を行うこと。アナフィラキシーが発現した場合は、適切な薬物治療や緊急処置を行うこと。
・ 重度過敏症反応(重度アナフィラキシー等)が発現した場合は、本剤を再投与しないこと。過敏症反応(重度の事象を除く)により本剤の投与を中止した場合の本剤の再投与については、有益性と危険性を考慮し決定すること。
・ 過敏症反応の回復後、本剤を再投与する場合は、緊急時に十分な対応をとれる医師の監督のもとで抗ヒスタミン剤及び必要に応じて解熱鎮痛剤の前投与を行った上で本剤を投与すること。また、投与後少なくとも1時間は患者を十分に観察すること。
8.2. 本剤投与により低フェニルアラニン血症に至るおそれがあるので、血中フェニルアラニン濃度を定期的に測定し、管理目標の範囲を下回る血中フェニルアラニン濃度の場合は、食事からのタンパク摂取量の増加及び必要に応じて本剤を減量又は中止すること〔7.1参照〕。
8.3. 重度関節痛、持続性関節痛があらわれることがあるので、発現した場合は、解熱鎮痛剤(NSAIDs等)、副腎皮質ホルモン製剤等による治療及び必要に応じて本剤を減量又は中止すること。
8.4. 本剤に関する十分な知識と、フェニルケトン尿症の治療に関する十分な知識・経験を持ち、本剤のリスク等について十分に管理・説明できる医師のもとで処方・使用すること。
8.5. 本剤の自己注射にあたっては、次の点に留意すること。
・ 本剤の自己注射にあたっては、投与法について十分な教育訓練を実施したのち、患者自ら確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。
・ 本剤の自己注射にあたっては、すべての器具の安全な廃棄方法について指導を徹底すること。
・ 本剤の自己注射にあたっては、注射方法に関する説明書を必ず読むよう指導すること。
・ 本剤の自己注射にあたっては、アナフィラキシーの徴候・症状、それらの症状が発現した場合の対処方法等を理解した家族等が、投与後少なくとも1時間は患者の傍らで観察するよう指導すること。少なくとも維持用量に達するまでの間は当該観察を行い、維持用
量での投与においても当該観察を行うことが望ましい。再投与後の一定期間等の特に慎重な観察が必要と考えられる期間においては、当該観察を行うこと。
妊娠可能な女性:妊娠可能な女性に対しては、原則として本剤投与中及び投与中止後1カ月間は適切な避妊を行うよう指導すること。妊娠を希望する女性に本剤を投与する場合は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみとすること〔9.5妊婦の項参照〕。
- 相互作用
- 10.2. 併用注意:ポリエチレングリコールを含有する注射剤〔11.1.1、15.1参照〕[併用した注射剤に対する過敏症の発現が増加するおそれがある(本剤投与による抗PEG抗体の産生による)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. アナフィラキシー(5.4%)、血清病(2.4%):アナフィラキシー、血清病等の全身性過敏症反応があらわれることがある。発現した場合は重症度に応じた適切な処置を行い、アナフィラキシーが発現した場合は、本剤の投与を中止し、適切な薬物治療や緊急処置を行うこと。臨床試験において、アナフィラキシー発現後に抗ペグバリアーゼIgE抗体が認められた被験者はいなかった〔1.1、1.2、8.1、10.2、15.1参照〕。
- 11.2. その他の副作用
1). 〈維持用量に達するまでの期間*〉①. 〈維持用量に達するまでの期間*〉血液およびリンパ系障害:(1%以上~15%未満)リンパ節症。
②. 〈維持用量に達するまでの期間*〉一般・全身障害および投与部位の状態:(15%以上)注射部位反応[注射部位反応:注射部位紅斑、注射部位発疹、注射部位そう痒症、注射部位硬結、注射部位変色等を含む](90%)、疲労。
③. 〈維持用量に達するまでの期間*〉免疫系障害:(15%以上)過敏症反応[過敏症反応:アナフィラキシー、蕁麻疹、発疹、呼吸困難、血清病、血管浮腫等を含む](65%)、(1%以上~15%未満)血管浮腫。
④. 〈維持用量に達するまでの期間*〉神経系障害:(15%以上)頭痛(42%)、浮動性めまい。
⑤. 〈維持用量に達するまでの期間*〉呼吸器、胸郭および縦隔障害:(15%以上)咳嗽、(1%以上~15%未満)呼吸困難。
⑥. 〈維持用量に達するまでの期間*〉胃腸障害:(15%以上)腹痛、悪心、嘔吐、(1%以上~15%未満)下痢。
⑦. 〈維持用量に達するまでの期間*〉皮膚および皮下組織障害:(15%以上)発疹(35%)、蕁麻疹、皮膚そう痒症、(1%以上~15%未満)脱毛、紅斑、斑状丘疹性皮疹、(1%未満)皮膚剥脱。
⑧. 〈維持用量に達するまでの期間*〉筋骨格系および結合組織障害:(15%以上)関節痛(79%)、(1%以上~15%未満)筋肉痛、関節腫脹、筋骨格硬直、関節硬直。
⑨. 〈維持用量に達するまでの期間*〉臨床検査:(15%以上)補体因子C3低下(75%)、補体因子C4低下(66%)、CRP上昇[CRP高値が6カ月超継続]、(1%以上~15%未満)低フェニルアラニン血症[血中フェニルアラニン濃度が2回以上連続して30μmol/L未満]。
2). 〈維持用量に達した後の期間*〉①. 〈維持用量に達した後の期間*〉血液およびリンパ系障害:(15%以上)リンパ節症。
②. 〈維持用量に達した後の期間*〉一般・全身障害および投与部位の状態:(15%以上)注射部位反応[注射部位反応:注射部位紅斑、注射部位発疹、注射部位そう痒症、注射部位硬結、注射部位変色等を含む](65%)、疲労。
③. 〈維持用量に達した後の期間*〉免疫系障害:(15%以上)過敏症反応[過敏症反応:アナフィラキシー、蕁麻疹、発疹、呼吸困難、血清病、血管浮腫等を含む](61%)、(1%以上~15%未満)血管浮腫。
④. 〈維持用量に達した後の期間*〉神経系障害:(15%以上)頭痛(47%)、浮動性めまい。
⑤. 〈維持用量に達した後の期間*〉呼吸器、胸郭および縦隔障害:(15%以上)咳嗽、(1%以上~15%未満)呼吸困難。
⑥. 〈維持用量に達した後の期間*〉胃腸障害:(15%以上)腹痛、悪心、嘔吐、下痢。
⑦. 〈維持用量に達した後の期間*〉皮膚および皮下組織障害:(15%以上)脱毛、蕁麻疹、発疹、皮膚そう痒症、(1%以上~15%未満)紅斑、斑状丘疹性皮疹、皮膚剥脱。
⑧. 〈維持用量に達した後の期間*〉筋骨格系および結合組織障害:(15%以上)関節痛(67%)、(1%以上~15%未満)筋肉痛、関節腫脹、筋骨格硬直、関節硬直。
⑨. 〈維持用量に達した後の期間*〉臨床検査:(15%以上)低フェニルアラニン血症[血中フェニルアラニン濃度が2回以上連続して30μmol/L未満](63%)、補体因子C3低下(81%)、補体因子C4低下(41%)、(1%以上~15%未満)CRP上昇[CRP高値が6カ月超継続]。
注射部位反応、過敏症反応、関節痛等は、維持用量に達した後の期間と比べて、維持用量に達するまでの期間で発現頻度が高い。
*)血中フェニルアラニン濃度が600μmol/L以下に低下し、一定期間同用量で維持できた場合に維持用量とみなされた。
- 高齢者
- 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下していることが多い)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(ただし、食事療法を含む他の治療法では血中フェニルアラニン濃度のコントロールが困難な患者であって、本剤投与により安定した血中フェニルアラニン濃度のコントロールが期待できる場合にのみ考慮し、妊娠期に応じた栄養素摂取量や食事の変動にも留意して血中フェニルアラニン濃度が管理目標の範囲内に厳密にコントロールされるよう、慎重に管理すること)。
動物試験(ラット及びウサギ)において、本剤(臨床用量での血漿中トラフ濃度比較においてラットで約13.7~20.7倍、ウサギで27.7~41.0倍)を投与した際、胎仔毒性(ラット:骨格変異、ウサギ:外表奇形、内臓奇形、骨格奇形、骨格変異)が認められた。これらの所見は母動物低フェニルアラニン血症を伴うものであった〔9.4生殖能を有する者の項参照〕。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ラットで乳汁中への移行が報告されているが、ヒトでの乳汁移行に関するデータ及びヒトの哺乳中の児への影響に関するデータはない)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤投与前の注意注入器の破損又は異常がないこと、薬液の変色や浮遊物がないことを確認すること。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 皮下注射は大腿部・腹部・上腕部又は臀部に行うこと。注射箇所は毎回変更し、挫傷・発赤又は硬結している部位等への注射は避けること。
14.2.2. 1回の投与量が20mgを超える場合、1日の中で分割投与はせず、同じ時間に注射箇所を変えて複数回注射する(各注射箇所は5cm以上離す)。
14.2.3. 本剤は単回使用の製剤である。
凍結を避けること(冷蔵庫(2~8℃)で保管できない場合、室温で保管することもできるが、1カ月以内に使用する(また、室温で保管した後は冷蔵庫に戻さない))。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報国内外の臨床試験(297例)で抗薬物抗体の結果が得られた被験者のうち、総抗ペグバリアーゼ抗体は99.6%(275/276例)に認められ、ほとんどが投与後1カ月までに発現し、その後も継続して認められた。抗フェニルアラニンアンモニアリアーゼIgM抗体(抗PAL IgM抗体)及び抗PAL IgG抗体はそれぞれ99.3%(294/296例)及び97.6%(289/296例)に認められた。抗PAL IgM抗体はほとんどが投与後2カ月までに発現し、その後は徐々に低下したものの継続して認められ、抗PAL IgG抗体はほとんどが投与後4カ月までに発現し、その後も継続して認められた。抗ポリエチレングリコールIgM抗体(抗PEG IgM抗体)及び抗PEG IgG抗体はそれぞれ97.6%(289/296例)及び98.0%(290/296例)に認められ、投与後1~3カ月の間で最も発現し、徐々に低下した。中和抗体は89.5%(265/296例)に認められ、ほとんどが投与後6カ月までに発現し、その後も継続して認められた。各抗薬物抗体の抗体価は、長期投与に伴い抗体価が増加する傾向は認められず、一定で推移した。なお、補体成分C3及びC4の低下とともに循環免疫複合体は投与後3~9カ月の間に最大となり、その後は徐々にベースライン付近まで回復した〔8.1、10.2、11.1.1参照〕。
15.2. 非臨床試験に基づく情報15.2.1. ラットの反復投与毒性試験において、本剤(臨床用量(40mg)でのCmax比較において9.3倍、AUC比較において1.4倍)を投与した際に、腎尿細管細胞空胞化、並びに肝臓組織球空胞化、脾臓組織球空胞化、精巣組織球空胞化、副腎皮質組織球空胞化、腸間膜リンパ節組織球空胞化及び下顎リンパ節組織球空胞化が認められた(これらの空胞化形成は、PEGの蓄積に関連した変化と考えられ、腎尿細管細胞の空胞化以外は回復性が認められた)。なお、腎尿細管細胞の空胞化による腎機能障害の徴候は認められなかった。
15.2.2. サルの反復投与毒性試験において、本剤(臨床用量(40mg)でのCmax比較において2.9倍、AUC比較において3.2倍)を投与した際に、複数の器官で小動脈炎症及び細動脈炎症が認められた(いずれの所見も本薬の投与による免疫介在性の炎症反応に起因した可能性が考えられ、回復性が認められた)。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
外国人フェニルケトン尿症患者(15例)に本剤0.01、0.03又は0.1mg/kgを単回皮下投与したときの血漿中濃度推移及び本薬の薬物動態パラメータは次のとおりであった。
表1 本剤を単回皮下投与したときの本薬の薬物動態パラメータ
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16.1.2 反復投与
外国人フェニルケトン尿症患者(32例)に本剤20mg又は40mgを1日1回反復皮下投与したときの定常状態における本薬の薬物動態パラメータは次のとおりであった。
表2 本剤を反復皮下投与したときの本薬の薬物動態パラメータ
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16.4 代謝
本剤は、免疫介在性の機序による薬物除去を受けると考えられ、タンパク質部分はペプチド及びアミノ酸に分解されると推定される。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 海外第III相試験
成人フェニルケトン尿症患者を対象に301及び302試験が実施された。301試験は、血中フェニルアラニン濃度が600μmol/L超のフェニルケトン尿症患者261例を対象に実施されたランダム化非盲検試験であり、維持用量として本剤20mg又は40mgを1日1回投与された。302試験は、301試験又は第II相試験を完了した患者を対象にランダム化治療中止期及び継続投与期を設けて実施された。
301試験において、本剤は、2.5mg週1回を開始用量とし、4週間投与後、忍容性に応じて1週間以上の間隔で1段階ずつ漸増し(2.5mg週2回、10mg週1回、10mg週2回、10mg週4回、10mg1日1回、20mg1日1回)、維持用量として20mg又は40mgを1日1回皮下投与とされた。また、維持用量に至るまで、本剤投与の約2~3時間前にヒスタミンH1及びH2受容体拮抗薬並びに解熱鎮痛剤の前投与が必須とされ、維持用量投与時も医師が必要と判断した場合は前投与が行われた。
血中フェニルアラニン濃度のベースラインからの変化量は、表3のとおりであった。
表3 血中フェニルアラニン濃度のベースラインからの変化量
→図表を見る(PDF)
続く302試験では、先行して実施された臨床試験を完了した215例(301試験から203例、第II相試験から12例)を対象に実施された。ランダム化治療中止期の後に、継続投与期が設けられた。パート1(血中フェニルアラニン濃度評価期)では、本剤20又は40mgを1日1回3~13週間皮下投与とされ、パート2(ランダム化治療中止期)では、二重盲検下でプラセボ又は本剤(20又は40mg)を1日1回8週間皮下投与とされた。パート1に組み入れられた164例のうち、パート2への移行基準(13週間以内にランダム化された用量で、血中フェニルアラニン濃度の平均値が先行試験のベースラインから20%以上低下)を満たした86例がパート2へ移行し、パート1で本剤20mgを投与された被験者は本剤20mg群と本剤20mgのプラセボ群に、パート1で本剤40mgを投与された被験者は本剤40mg群と本剤40mgのプラセボ群に、それぞれ2:1で無作為割付けされた。
主要評価項目である、パート2におけるベースラインから8週時までの血中フェニルアラニン濃度の変化量は、表4のとおりであった。全本剤群(本剤20mg群及び本剤40mg群の併合群)のベースラインからの血中フェニルアラニン濃度の変化量について、各プラセボ群と比較され、いずれも統計学的に有意な差が認められた(本剤20mgのプラセボ群との群間差[95%信頼区間]は-923.3[-1135.0、-711.5]μmol/L、本剤40mgのプラセボ群との群間差[95%信頼区間]は-638.3[-859.0、-417.6]μmol/L、いずれもp<0.0001、MMRM、Hochberg手順により多重性を調整)。
表4 パート2におけるベースラインから投与8週時までの血中フェニルアラニン濃度の変化量
→図表を見る(PDF)
継続投与期では、医師の判断に基づき用量が調整された(10、20、40又は60mgを1日1回皮下投与)。なお、本剤の総投与期間が52週間以上で、本剤40mgを8週間以上投与された場合、医師の判断により60mgに増量可能とされた。継続投与期における実際の1日あたりの用量(平均値±標準偏差)は、33.2±13.0mgであった。前投与は、プラセボ投与後又は休薬後からの本剤投与再開時、有害事象等による投与中断後の投与再開時及び本剤40又は60mg増量時の1週間は必須とされ、その他の期間においても必要に応じて行われた。
301試験から移行した被験者集団について、投与24カ月以降も血中フェニルアラニン濃度低下が維持された。血中フェニルアラニン濃度が600μmol/L以下又は360μmol/L以下に低下した被験者の割合は、それぞれ投与18カ月時で71.2%(89/125例)及び59.2%(74/125例)、投与24カ月時でそれぞれ77.5%(69/89例)及び67.4%(60/89例)、投与36カ月時でそれぞれ71.4%(60/84例)及び64.3%(54/84例)であった。
17.1.2 国内第III相試験
血中フェニルアラニン濃度が600μmol/L超の成人フェニルケトン尿症患者12例を対象に、52週間の非盲検非対照試験が実施された。
本剤は、2.5mg週1回を開始用量とし、4週間以上投与後、忍容性に応じて1週間以上の間隔で1段階ずつ漸増し(2.5mg週2回、10mg週1回、10mg週2回、10mg週4回、10mg1日1回、20mg1日1回)、維持用量として20mgを1日1回皮下投与された。本剤20mgの1日1回投与を24週間以上行っても血中フェニルアラニン濃度が360μmol/Lを超えている場合は、40mgに増量可能とされた。また、本剤投与の約2~3時間前にヒスタミンH1及びH2受容体拮抗薬並びに必要に応じて解熱鎮痛剤の前投与が行われた。
52週間の投与を完了した11例において、血中フェニルアラニン濃度(平均値±標準偏差)は、ベースライン1025.8±172.7μmol/L、投与52週時448.3±458.8μmol/Lであり、ベースラインから投与52週時までの変化量は-577.6±431.8μmol/Lであった。投与52週時の血中フェニルアラニン濃度が600μmol/L又は360μmol/L以下に低下した被験者の割合は、それぞれ63.6%(7/11例)及び54.5%(6/11例)であった。
18.1 作用機序
本剤は、遺伝子組換えフェニルアラニンアンモニアリアーゼ類縁体であり、テトラヒドロビオプテリン非依存的にフェニルアラニンをアンモニア及びケイ皮酸に代謝する。
18.2 効力を裏付ける試験
本剤をフェニルケトン尿症モデルマウスに皮下投与したところ、血漿中フェニルアラニン濃度が低下した。
- 製造販売会社
- BioMarin
- 販売会社
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