注射用エンドキサン500mg
添付文書情報2024年02月改定(第3版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 警告
- 1.1. 〈効能共通〉本剤とペントスタチンを併用しないこと(外国においてシクロホスファミドとペントスタチンとの併用により、心毒性が発現し死亡した症例が報告されている)〔2.1、10.1参照〕。
1.2. 〈効能共通〉本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。適応患者の選択にあたっては、各併用薬剤の電子添文を参照して十分注意すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
1.3. 〈造血幹細胞移植の前治療、造血幹細胞移植における移植片対宿主病の抑制〉造血幹細胞移植に十分な知識と経験を有する医師のもとで行うこと。
1.4. 〈造血幹細胞移植の前治療、造血幹細胞移植における移植片対宿主病の抑制〉強い骨髄抑制により致命的感染症等が発現するおそれがあるので、次記につき十分注意すること。
1.4.1. 〈造血幹細胞移植の前治療、造血幹細胞移植における移植片対宿主病の抑制〉重症感染症を合併している患者には投与しないこと〔2.3参照〕。
1.4.2. 〈造血幹細胞移植の前治療、造血幹細胞移植における移植片対宿主病の抑制〉造血幹細胞移植の前治療、造血幹細胞移植における移植片対宿主病の抑制の場合、本剤投与後、患者の観察を十分に行い、感染症予防のための処置(抗感染症薬の投与等)を行うこと。
1.5. 〈全身性ALアミロイドーシス〉緊急時に十分対応できる医療施設において、本剤についての十分な知識と全身性ALアミロイドーシス治療の経験を持つ医師のもとで使用すること。
1.6. 〈治療抵抗性のリウマチ性疾患〉緊急時に十分対応できる医療施設において、本剤についての十分な知識と治療抵抗性のリウマチ性疾患治療の経験を持つ医師のもとで行うこと。
- 禁忌
- 2.1. ペントスタチン投与中の患者〔1.1、10.1参照〕。
2.2. 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者。
2.3. 重症感染症を合併している患者[特に造血幹細胞移植の前治療又は造血幹細胞移植における移植片対宿主病の抑制に本剤を投与する場合は、感染症が増悪し致命的となることがある]〔1.4.1参照〕。
- 効能・効果
- 1). 次記疾患の自覚的並びに他覚的症状の緩解:多発性骨髄腫、悪性リンパ腫、肺癌、乳癌、急性白血病、真性多血症、子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌、神経腫瘍(神経芽腫、網膜芽腫)、骨腫瘍。
ただし、次記の疾患については、他の抗悪性腫瘍剤と併用することが必要である[慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、咽頭癌、胃癌、膵癌、肝癌、結腸癌、睾丸腫瘍、絨毛性疾患(絨毛癌、破壊胞状奇胎、胞状奇胎)、横紋筋肉腫、悪性黒色腫の自覚的並びに他覚的症状の緩解]。
2). 次の悪性腫瘍に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法:乳癌<手術可能例における術前あるいは術後化学療法>。
3). 褐色細胞腫。
4). 次記疾患における造血幹細胞移植の前治療:急性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、重症再生不良性貧血、悪性リンパ腫、遺伝性疾患(免疫不全、先天性代謝障害及び先天性血液疾患:Fanconi貧血、Wiskott-Aldrich症候群、Hunter病等)。
5). 造血幹細胞移植における移植片対宿主病の抑制。
6). 腫瘍特異的T細胞輸注療法の前処置。
7). 全身性ALアミロイドーシス。
8). 治療抵抗性の次記リウマチ性疾患:治療抵抗性全身性エリテマトーデス、治療抵抗性全身性血管炎(治療抵抗性顕微鏡的多発血管炎、治療抵抗性多発血管炎性肉芽腫症、治療抵抗性結節性多発動脈炎、治療抵抗性好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、治療抵抗性高安動脈炎等)、治療抵抗性多発性筋炎/治療抵抗性皮膚筋炎、治療抵抗性強皮症、治療抵抗性混合性結合組織病、及び血管炎を伴う治療抵抗性難治性リウマチ性疾患。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 〈遺伝性疾患に対する造血幹細胞移植の前治療〉それぞれの疾患に対する治療の現状と造血幹細胞移植を実施するリスク・ベネフィットを考慮した上で本剤を適応すること。
5.2. 〈造血幹細胞移植における移植片対宿主病の抑制〉HLA半合致移植を実施する場合に本剤の適応を考慮すること。
- 用法・用量
- 〈自覚的並びに他覚的症状の緩解〉
(1). 単独で使用する場合
通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日1回100mgを連日静脈内に注射し、患者が耐えられる場合は1日量を200mgに増量する。
総量3000~8000mgを投与するが、効果が認められたときは、できる限り長期間持続する。白血球数が減少してきた場合は、2~3日おきに投与し、正常の1/2以下に減少したときは、一時休薬し、回復を待って再び継続投与する。
間欠的には、通常成人300~500mgを週1~2回静脈内に注射する。
必要に応じて筋肉内、胸腔内、腹腔内又は腫瘍内に注射又は注入する。
また、病巣部を灌流する主幹動脈内に1日量200~1000mgを急速に、あるいは、持続的に点滴注入するか、体外循環を利用して1回1000~2000mgを局所灌流により投与してもよい。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
(2). 他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合
単独で使用する場合に準じ、適宜減量する。
悪性リンパ腫に用いる場合、通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日1回750mg/㎡(体表面積)を間欠的に静脈内投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
〈乳癌(手術可能例における術前、あるいは術後化学療法)に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法〉
(1). ドキソルビシン塩酸塩との併用において、標準的なシクロホスファミドの投与量及び投与方法は、シクロホスファミド(無水物換算)として1日1回600mg/㎡(体表面積)を静脈内投与後、13日間又は20日間休薬する。これを1クールとし、4クール繰り返す。
なお、年齢、症状により適宜減量する。
(2). エピルビシン塩酸塩との併用において、標準的なシクロホスファミドの投与量及び投与方法は、シクロホスファミド(無水物換算)として1日1回600mg/㎡(体表面積)を静脈内投与後、20日間休薬する。これを1クールとし、4~6クール繰り返す。
なお、年齢、症状により適宜減量する。
(3). エピルビシン塩酸塩、フルオロウラシルとの併用において、標準的なシクロホスファミドの投与量及び投与方法は、シクロホスファミド(無水物換算)として1日1回500mg/㎡(体表面積)を静脈内投与後、20日間休薬する。これを1クールとし、4~6クール繰り返す。
なお、年齢、症状により適宜減量する。
〈褐色細胞腫〉
ビンクリスチン硫酸塩、ダカルバジンとの併用において、通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日1回750mg/㎡(体表面積)を静脈内投与後、少なくとも20日間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。
なお、患者の状態により適宜減量する。
〈造血幹細胞移植の前治療〉
(1). 急性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群の場合
通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として、1日1回60mg/kgを2~3時間かけて点滴静注し、連日2日間投与する。
(2). 重症再生不良性貧血の場合
通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として、1日1回50mg/kgを2~3時間かけて点滴静注し、連日4日間投与する。
(3). 悪性リンパ腫の場合
通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として、1日1回50mg/kgを2~3時間かけて点滴静注し、連日4日間投与する。
患者の状態、併用する薬剤により適宜減量すること。
(4). 遺伝性疾患(免疫不全、先天性代謝障害及び先天性血液疾患:Wiskott-Aldrich症候群、Hunter病等)の場合
通常、シクロホスファミド(無水物換算)として、1日1回50mg/kgを2~3時間かけて点滴静注し、連日4日間又は1日1回60mg/kgを2~3時間かけて点滴静注し、連日2日間投与するが、疾患及び患者の状態により適宜減量する。
Fanconi貧血に投与する場合には、細胞の脆弱性により、移植関連毒性の程度が高くなるとの報告があるので、総投与量40mg/kg(5~10mg/kgを4日間)を超えないこと。
〈造血幹細胞移植における移植片対宿主病の抑制〉
通常、シクロホスファミド(無水物換算)として、1日1回50mg/kgを2~3時間かけて点滴静注し、移植後3日目及び4日目、又は移植後3日目及び5日目の2日間投与する。
なお、患者の状態により適宜減量する。
〈腫瘍特異的T細胞輸注療法の前処置〉
再生医療等製品の用法及び用量又は使用方法に基づき使用する。
〈全身性ALアミロイドーシス〉
他の薬剤との併用において、通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として週1回300mg/㎡(体表面積)を静脈内注射する。投与量の上限は、1回量として500mgとする。
〈治療抵抗性のリウマチ性疾患〉
(1). 通常、成人にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日1回500~1000mg/㎡(体表面積)を静脈内に注射する。原則として投与間隔を4週間とする。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
(2). 通常、小児にはシクロホスファミド(無水物換算)として1日1回500mg/㎡(体表面積)を静脈内に注射する。原則として投与間隔を4週間とする。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 〈造血幹細胞移植の前治療、造血幹細胞移植における移植片対宿主病の抑制〉肥満患者には、投与量が過多にならないように、標準体重から換算した投与量を考慮すること。
7.2. 〈造血幹細胞移植の前治療〉泌尿器系障害の発現抑制のため、投与終了後24時間は150mL/時間以上の尿量を保つように、1日3L以上の輸液を投与するとともにメスナを併用すること(患者の年齢及び状態を考慮し、輸液の量を調節すること)〔8.4、11.1.3参照〕。
7.3. 〈造血幹細胞移植における移植片対宿主病の抑制〉泌尿器系障害の発現抑制のため、輸液等の適切な対応を行うこと〔8.4、11.1.3参照〕。
7.4. 〈褐色細胞腫〉本剤を含む化学療法施行後に高血圧クリーゼを含む血圧変動が報告されていることから、本剤を含む化学療法開始前にα遮断薬等を投与すること。
7.5. 〈悪性リンパ腫、造血幹細胞移植における移植片対宿主病の抑制〉本剤の投与量、投与スケジュール等については、関連学会のガイドライン等、最新の情報を参考に投与すること。
7.6. 〈乳癌<手術可能例における術前あるいは術後化学療法>に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法〉本剤の投与スケジュールの選択、G-CSF製剤の使用等について、国内外の最新のガイドライン等を参考にすること。
- 生殖能を有する者
- 8.1. 〈効能共通〉骨髄抑制、出血性膀胱炎等の重篤な副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、尿検査、肝機能・腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること(出血性膀胱炎の防止のため尿量の増加を図ること)。また、使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、遷延性に推移することがあるので、投与は慎重に行うこと〔9.1.1、11.1.2、11.1.3、11.1.9、11.1.10参照〕。
8.2. 〈効能共通〉感染症の発現又は感染症増悪、出血傾向の発現又は出血傾向増悪に十分注意すること〔9.1.2参照〕。
8.3. 〈効能共通〉二次性悪性腫瘍(急性白血病、骨髄異形成症候群、悪性リンパ腫、膀胱腫瘍、腎盂腫瘍・尿管腫瘍等)が発生したとの報告があるため、本剤の投与終了後も長期間経過を観察するなど十分注意すること(なお、シクロホスファミドの総投与量の増加により、発癌のリスクが増加するとの報告がある)。
8.4. 〈造血幹細胞移植の前治療、造血幹細胞移植における移植片対宿主病の抑制〉出血性膀胱炎等の泌尿器系障害の発現頻度が高くなるおそれがあるため、頻回に臨床検査(尿検査等)を行うこと〔7.2、7.3、11.1.3参照〕。
8.5. 〈造血幹細胞移植の前治療、造血幹細胞移植における移植片対宿主病の抑制〉肝中心静脈閉塞症(hepatic veno-occlusive disease:VOD)の発現に注意すること(初期の症状として体重増加、肝腫及び肝圧痛を有するとの報告があるので、体重、肝腫等に注意すること(VODの適切な治療法は確立されていない))。
8.6. 〈褐色細胞腫〉関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:シクロホスファミド水和物(褐色細胞腫(傍神経節細胞腫を含む))」等)を熟読すること。
9.1.1. 〈効能共通〉骨髄抑制のある患者:骨髄抑制が増強するおそれがある〔8.1、11.1.2参照〕。
9.1.2. 〈効能共通〉感染症を合併している患者:骨髄抑制作用により、感染症が増悪するおそれがある〔8.2参照〕。
9.1.3. 〈効能共通〉水痘患者:致命的全身障害があらわれることがある。
9.1.4. 〈造血幹細胞移植の前治療、造血幹細胞移植における移植片対宿主病の抑制〉膀胱障害のある患者:膀胱の障害が悪化するおそれがある。
9.1.5. 〈造血幹細胞移植の前治療、造血幹細胞移植における移植片対宿主病の抑制〉Fanconi貧血の患者:細胞の脆弱性が報告されており、副作用が強く発現するおそれがある。
腎機能障害患者:腎障害が増悪するおそれがある。
肝機能障害患者:肝障害が増悪するおそれがある。
9.4.1. 小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること(なお、シクロホスファミドの総投与量の増加により、男女とも性腺障害のリスクが増加するとの報告がある)。
9.4.2. 妊娠する可能性のある女性:妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び本剤投与終了後一定期間は適切な避妊をするよう指導すること〔9.5妊婦の項参照〕。
9.4.3. パートナーが妊娠する可能性のある男性:パートナーが妊娠する可能性のある男性には、本剤投与中及び本剤投与終了後一定期間は適切な避妊をするよう指導すること(本剤5.1mg/kgを投与した雄ラットを、本剤を投与しない雌ラットと交配させたところ、胎仔死亡増加及び胎仔奇形を認めたとの報告がある)。
- 相互作用
- 本剤は、主に肝代謝酵素CYP2B6で代謝され、活性化される。また、CYP2C8、2C9、3A4、2A6も本剤の代謝に関与していることが報告されている〔16.4.1参照〕。
10.1. 併用禁忌:ペントスタチン<コホリン>〔1.1、2.1参照〕[造血幹細胞移植の患者で、本剤投与中にペントスタチンを単回投与したところ、錯乱、呼吸困難、低血圧、肺水腫等が認められ、心毒性により死亡したとの報告があり、また、動物試験(マウス)においてペントスタチン(臨床用量の10倍相当量)とシクロホスファミド(LD50前後)又はその類縁薬であるイホスファミド(LD50前後)を同時期に単回投与したとき、それぞれを単独投与したときに比べて死亡率の増加が認められた(明らかな機序は不明であるが、本剤は用量依存性の心毒性があり、ペントスタチンは心筋細胞に影響を及ぼすATPの代謝を阻害するので、両剤の併用により心毒性が増強すると考えられている)]。
10.2. 併用注意:1). 他の抗悪性腫瘍剤、アロプリノール、放射線照射[骨髄抑制等の副作用が増強することがあるので、異常が認められた場合には、減量、休薬等の適切な処置を行うこと(共に骨髄抑制作用を有する)]。
2). フェノバルビタール[本剤の作用が増強することがある(フェノバルビタールの酵素誘導により本剤の活性型への変換が促進される)]。
3). 副腎皮質ホルモン、クロラムフェニコール[本剤の作用が減弱することがある(副腎皮質ホルモン、クロラムフェニコールは肝における本剤の代謝を競合的に阻害し、活性化を抑制する)]。
4). インスリン[血糖降下作用が増強されることがある(本剤がインスリン抗体の生成を阻害するため、遊離のインスリン量が多くなり、血糖降下作用が増強される)]。
5). オキシトシン[オキシトシンの作用が増強されることがある(機序は不明である)]。
6). バソプレシン[バソプレシンの作用が減弱されることがある(本剤がバソプレシンの排泄を増加させる)]。
7). チオテパ[本剤の作用が減弱されるおそれがある(本剤の活性化を抑制するとの報告がある)]。
8). アントラサイクリン系薬剤(ドキソルビシン塩酸塩、エピルビシン塩酸塩等)[心筋障害が増強されるおそれがあり、また、これらの薬剤との併用療法終了後に遅発性心毒性が発現したとの報告があるため、治療終了後も長期間経過を観察するなど十分注意すること(明らかな機序は不明であるが、共に心筋障害を有する)]。
9). 脱分極性筋弛緩剤(スキサメトニウム等)[脱分極性筋弛緩剤の作用が増強され遷延性無呼吸を起こすおそれがある(本剤がコリンエステラーゼによる脱分極性筋弛緩剤の分解を阻害すると考えられている)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
造血幹細胞移植の前治療又は造血幹細胞移植における移植片対宿主病の抑制に本剤を投与する場合には、副作用の発現頻度が高くなり、重篤性が強くなるおそれがあるので注意すること。
11.1.1. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明):血圧低下、呼吸困難、喘鳴、蕁麻疹、不快感等があらわれることがある。
11.1.2. 骨髄抑制(頻度不明):汎血球減少、貧血、白血球減少、血小板減少、出血があらわれることがあるので、本剤投与期間中には末梢血液の観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与間隔の延長、減量、休薬等の適切な処置を行うこと〔8.1、9.1.1参照〕。
11.1.3. 出血性膀胱炎、排尿障害(いずれも頻度不明*)[*:造血幹細胞移植の前治療に、メスナ未使用で本剤を投与した場合、出血性膀胱炎の発現頻度が35%(肉眼的血尿)であったとの報告がある]〔7.2、7.3、8.1、8.4参照〕。
11.1.4. イレウス、胃腸出血(5%未満※)。
11.1.5. 間質性肺炎、肺線維症(いずれも頻度不明)。
11.1.6. 心筋障害、心不全(5%未満※)、心タンポナーデ、心膜炎(いずれも頻度不明):心筋障害、心不全、心タンポナーデ、心膜炎、心嚢液貯留があらわれることがある(特に本剤を高用量で投与する場合(造血幹細胞移植の前治療等)は、十分に注意すること)。
11.1.7. 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明):低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム排泄量増加、高張尿、痙攣、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。
11.1.8. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれも頻度不明)。
11.1.9. 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)〔8.1参照〕。
11.1.10. 急性腎障害(頻度不明):急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがある〔8.1参照〕。
11.1.11. 横紋筋融解症(頻度不明):筋肉痛、脱力感、CK上昇、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがある。
- 11.2. その他の副作用
11.2.1. 再評価結果及び自発報告によるその他の副作用
1). 肝臓:(5%未満)肝機能異常、黄疸、(頻度不明)コリンエステラーゼ低下。
2). 腎臓:(5%未満)蛋白尿、浮腫。
3). 消化器:(5%以上)悪心・嘔吐(20.7%)、(5%未満)口渇、潰瘍性口内炎、腹痛、便秘、下痢、(頻度不明)食欲不振、味覚異常、胸やけ、おくび、腹部膨満感。
4). 過敏症:(5%未満)発疹。
5). 皮膚:(5%以上)脱毛(24.3%)、(5%未満)皮膚炎、皮膚色素沈着、爪変形・爪変色。
6). 精神神経系:(5%未満)頭痛、眩暈、不眠、運動失調、(頻度不明)倦怠感。
7). 呼吸器:(頻度不明)肺水腫、鼻道刺激感。
8). 循環器:(5%未満)心電図異常、心悸亢進、低血圧、(頻度不明)血圧上昇。
9). 内分泌系:(5%未満)副腎皮質機能不全、(頻度不明)甲状腺機能亢進。
10). 性腺:(5%未満)無月経、(頻度不明)無精子症、卵巣機能不全。
11). その他:(5%未満)発熱、注射時熱感、局所痛、CK上昇、(頻度不明)創傷治癒遅延、高血糖、低ナトリウム血症。
11.2.2. 造血幹細胞移植の前治療に対する第2相臨床試験における安全性評価対象例の集計1). 血液[造血幹細胞移植の前治療]:(5%未満)血清FDP増加、AT-3減少、播種性血管内凝固症候群。
2). 肝臓[造血幹細胞移植の前治療]:(5%以上)AST上昇(23.9%)、ALT上昇(38.8%)、ビリルビン値上昇、Al-P上昇、LDH上昇。
3). 腎臓[造血幹細胞移植の前治療]:(5%未満)クレアチニン上昇、BUN上昇。
4). 消化器[造血幹細胞移植の前治療]:(5%以上)悪心・嘔吐(91.0%)、下痢(62.7%)、口内炎(62.7%)、便秘、(5%未満)胃痛。
5). 皮膚[造血幹細胞移植の前治療]:(5%以上)脱毛(56.7%)、(5%未満)皮膚そう痒、皮膚色素沈着。
6). 精神神経系[造血幹細胞移植の前治療]:(5%未満)頭痛。
7). 循環器[造血幹細胞移植の前治療]:(5%未満)心電図異常、不整脈。
8). その他[造血幹細胞移植の前治療]:(5%以上)発熱(34.3%)、感染(37.3%)、血清ナトリウム低下、(5%未満)咽頭炎、咽頭痛、疼痛、ウイルス性脳炎、血清カリウム上昇、血清クロール低下、血清総蛋白減少、血清マグネシウム低下。
※)再評価結果に基づく。
- 高齢者
- 用量並びに投与間隔に留意すること(生理機能が低下していることが多く、副作用があらわれやすい)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい(妊娠中に本剤を使用するか、本剤を使用中に妊娠した場合は、胎児に異常が生じる可能性があることを患者に説明すること(催奇形性を疑う症例報告があり、動物試験では、本剤2.5mg/kgを投与した雌ラットで胚死亡・胎仔死亡及び催奇形作用が報告されている))〔9.4.2参照〕。
9.6.1. 授乳を避けさせること(乳汁中に分泌されることが報告されている)。
9.6.2. 授乳中の女性にシクロホスファミドを静脈内投与したときに、新生児、乳児に好中球減少症、血小板減少症、ヘモグロビン減少があらわれたとの報告がある。
- 小児等
- 9.7.1. 副作用の発現に特に注意し、慎重に投与すること。
9.7.2. 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. シクロホスファミド(無水物換算)100mgあたり5mLの生理食塩液、注射用水等を加えて溶解する。
14.1.2. 静脈内等へのワンショット投与の場合には、溶液が低張となるため注射用水を使用しないこと。
14.1.3. 本剤は溶解後速やかに使用すること。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 筋肉内注射にあたっては、次記の点に注意すること。
(1). 筋肉内投与はやむを得ない場合にのみ必要最小限に行うこと。筋肉内投与時同一部位への反復注射は行わないこと。特に小児等には注意すること。
(2). 筋肉内投与時神経走行部位を避けること。
(3). 注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり血液の逆流をみた場合は直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。
(4). 筋肉内投与時、注射部位に疼痛、硬結をみることがある。
16.1 血中濃度
各種の悪性腫瘍患者8例に注射用シクロホスファミドを静脈内投与したときの血漿中の活性代謝物(4‐ヒドロキシシクロホスファミド+アルドホスファミド)の薬物動態パラメータを表16‐1に示す(外国人データ)。
表16‐1 活性代謝物の薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
本剤を造血幹細胞移植の前治療に使用した際のシクロホスファミドの薬物動態パラメータを表16‐2に示す(外国人データ)。
表16‐2 造血幹細胞移植の前治療時におけるシクロホスファミドの薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
16.3 分布
16.3.1 シクロホスファミドの分布容積は0.763±0.161L/kg(平均値±標準偏差)であった(外国人データ)。
16.3.2 シクロホスファミドの血漿蛋白結合率は12~24%であった(外国人データ)。
16.3.3 マウスに14C‐標識シクロホスファミド500mg/kgを腹腔内投与又は皮下投与した際の組織内濃度は、血液、肝では投与後1時間で最高濃度を示し、腸を除く他の組織では、2時間まで増加し、その後減少した。腸では4時間で最高濃度を示した。
16.4 代謝
16.4.1 シクロホスファミドは、主に肝代謝酵素CYP2B6で代謝され、活性化される。また、CYP2C8、2C9、3A4、2A6もシクロホスファミドの代謝に関与していることが報告されている(in vitro)。[10.参照]
16.4.2 シクロホスファミドの代謝物は4‐ヒドロキシシクロホスファミド注1、アルドホスファミド注1、ホスファミドマスタード注1、アクロレイン、4‐ケトシクロホスファミド、カルボキシホスファミドである。
注1)活性代謝物
16.5 排泄
16.5.1 各種の悪性腫瘍患者26例に、14C‐標識シクロホスファミド6.8~80mg/kg注2を静脈内投与した場合、尿中には投与量の約62%が2日以内に、約68%が4日以内に排泄された。また、糞便中には投与量の約1.8%が4日以内に排泄され、呼気中には投与量の約0.9~1.4%が4日以内に排泄された(外国人データ)。
注2)本剤の承認された用量とは異なる。
16.5.2 大部分は不活性代謝物として尿中に排泄され、活性代謝物の尿中排泄率は12時間で投与量の約1%、未変化体の尿中排泄率は24時間で投与量の約10%であった(外国人データ)。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈自覚的並びに他覚的症状の緩解〉
17.1.1 治療成績
再評価結果における自覚的並びに他覚的症状の緩解による有効性評価対象例(本剤の単独投与例)4976例の疾患別有効率は、表17‐1のとおりであった。
表17‐1 臨床成績
→図表を見る(PDF)
〈造血幹細胞移植の前治療〉
17.1.2 国内第II相試験
急性白血病、慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、再生不良性貧血の有効性評価対象66例の患者に対して、他の前治療の併用下で、本剤1日50~60mg/kgを2~4日点滴静注し、その後造血幹細胞移植を実施し、前治療薬剤の評価を実施した。本剤の骨髄抑制効果ありは98.5%(65例/66例)、移植骨髄生着あり97.0%(64例/66例)、前治療の総合効果は95.5%(63例/66例)で、すぐれた有効性を示した。本剤は白血球数を速やかに減少(300/mm3未満、平均7.5日)させ、その後白血球数1000/mm3以上に比較的早く回復(移植後平均16.5日)させることから、造血幹細胞移植時の前治療の条件に合致するものと考えられた。
副作用発現頻度は97.0%(65例/67例)であった。主な副作用は悪心・嘔吐91.0%(61例/67例)、下痢及び口内炎各62.7%(42例/67例)、脱毛56.7%(38例/67例)であった。
〈全身性ALアミロイドーシス〉
17.1.3 国際共同第III相試験
未治療の全身性ALアミロイドーシスを有する18歳以上の患者388例(日本人28例を含む)を対象にシクロホスファミド、ボルテゾミブ及びデキサメタゾンの併用療法(CyBorD療法)とダラツムマブを上乗せしたDCyBorD療法を比較するランダム化非盲検群間比較試験を実施した。いずれの療法も28日間を1サイクルとし、CyBorD群ではシクロホスファミド300mg/m2(無水物換算、経口又は静脈内)注、ボルテゾミブ1.3mg/m2(皮下)及びデキサメタゾン40mg(経口)を1週間間隔で投与し、最大6サイクルまで施行した。DCyBorD群ではCyBorDに上乗せしダラツムマブ1800mg(皮下)をサイクル1~2は1週間隔、サイクル3~6は2週間隔、サイクル7以降は4週間隔で投与し、最大24サイクルまで施行した。各薬剤は症状に応じ適宜減量した。
有効性主要評価項目である血液学的完全奏功(CR)率はDCyBorD群(195例)53.3%(95%信頼区間:46.1-60.5)、CyBorD群(193例)18.1%(95%信頼区間:13.0-24.3)であり、両群間のオッズ比は5.13(95%信頼区間:3.22-8.16)、p<0.0001でありDCyBorD群が統計的に有意に高かった(層別Cochran‐Mantel‐Haenszel検定、有意水準0.04999)。日本人サブグループ解析においても全体と同様の傾向であった。
安全性評価対象例(DCyBorD群193例)の副作用発現率は90.2%であった。主な副作用は末梢性感覚ニューロパチー27.5%、便秘20.7%、疲労20.2%、下痢19.7%、不眠症18.1%、貧血16.6%、リンパ球減少症16.1%、血小板減少症15.5%、悪心15.0%及び末梢性浮腫14.5%であった。DCyBorD群の72.5%がベースライン時に全身性ALアミロイドーシスに関連する心臓障害を有していた。心臓障害関連の有害事象は、心不全8.3%、動悸5.7%、心房細動5.7%であり、重篤又は致死的な心臓障害関連の有害事象は心不全6.2%、心停止3.6%、心房細動2.1%であった。重篤又は致死的な心臓障害を発現した患者はベースライン時に全身性ALアミロイドーシスに関連する心臓障害を有していた。なお、臨床試験ではMayo Clinic Cardiac Staging Systemに基づく心臓病期stage IIIb(NT‐proBNP>8500pg/mL)、NYHA分類クラスIIIB又はIVの患者は除外された。
注)シクロホスファミドの最大絶対週間投与量は被験者の体表面積にかかわらず500mg(無水物換算)とした。また、経口投与(錠剤)時には1回用量を50mg単位で切り捨てた。静脈内投与時にはマンニトールを併用した。
18.1 作用機序
シクロホスファミドは生体内で活性化された後、腫瘍細胞のDNA合成を阻害し、抗腫瘍作用をあらわすことが認められている。
18.1.1 マウスEhrlich癌(腹水型)に75mg/kgを腹腔内投与し、腫瘍細胞の核酸合成に及ぼす影響をみたところ、DNA及びRNAの合成を共に抑制したが、DNAの合成をより著明に抑制した。
18.1.2 マウスEhrlich癌(腹水型)に30、60、120mg/kgを腹腔内に投与した場合、いずれの投与量においても、腫瘍細胞分裂周期のG2期(分裂前期)に作用し、M期(分裂期)への移行を遅らせ、その結果として細胞の増殖を抑制した。
なお、120mg/kg投与群においてはS期(DNA合成期)にも作用した。
18.2 抗腫瘍効果
18.2.1 動物移植性腫瘍に対する効果
マウスのEhrlich癌、Bashford癌、ラットの吉田肉腫、Walker癌、Jensen肉腫等に対して明らかな腫瘍増殖抑制効果を示し、マウスL1210白血病、ラット腹水肝癌AH13等のほか多くの動物移植性腫瘍に対して延命効果を認めている(in vivo)。
18.2.2 細胞学的効果
ラット吉田肉腫の試験において、短時間内に分裂像の減少、異常分裂像がみられ、細胞の膨化、核の崩壊、細胞質の融解を認めた(in vitro)。
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