メソトレキセート点滴静注液1000mg

添付文書情報2022年10月改定(第1版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 警告
- メトトレキサート・ロイコボリン救援療法は高度の危険性を伴うので、投与中及び投与後の一定期間は患者を医師の監督下に置くこと。
また、緊急時に十分に措置できる医療施設及び癌化学療法に十分な経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ行うこと。
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 肝障害のある患者〔9.3肝機能障害患者の項参照〕。
2.3. 腎障害のある患者〔9.2腎機能障害患者の項参照〕。
2.4. 胸水、腹水等のある患者[胸水、腹水等に長時間貯留して毒性が増強されることがある]。
- 効能・効果
- メトトレキサート・ロイコボリン救援療法:
1). 肉腫(骨肉腫、軟部肉腫等)。
2). 急性白血病の中枢神経系及び睾丸への浸潤に対する寛解。
3). 悪性リンパ腫の中枢神経系への浸潤に対する寛解。
- 用法・用量
- メトトレキサート・ロイコボリン救援療法
・ 肉腫
メトトレキサートとして、通常、1週間に1回100~300mg/kgを約6時間で点滴静脈内注射する。その後、ロイコボリンの投与を行う*。メトトレキサートの投与間隔は、1~4週間とする。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
・ 急性白血病、悪性リンパ腫
メトトレキサートとして、通常、1週間に1回30~100mg/kg(有効なメトトレキサート脳脊髄液濃度を得るには、1回メトトレキサートとして30mg/kg以上の静脈内注射が必要)を約6時間で点滴静脈内注射する。その後、ロイコボリンの投与を行う*。メトトレキサートの投与間隔は、1~4週間とする。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
*)ロイコボリンの投与は、メトトレキサート投与終了後、通常、3時間後よりロイコボリンとして15mgを3時間毎に9回静脈内注射、以後6時間毎に8回静脈内又は筋肉内注射する。メトトレキサートによると思われる重篤な副作用があらわれた場合にはロイコボリンの用量を増加し、投与期間を延長する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
(注射液の調製法)
希釈して用いる場合には、本剤を生理食塩液又は5%ブドウ糖液等に加えて250~500mLとなるように調製する。
- 生殖能を有する者
- 8.1. 骨髄機能抑制、肝機能障害・腎機能障害等の重篤な副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査、尿検査等)を行うなど、患者の状態を十分観察すること。また、使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、遷延性に推移することがあるので、投与は慎重に行うこと。
投与後一定期間は頻回にメトトレキサートの血中濃度を測定し、メトトレキサート投与開始後24時間のメトトレキサートの濃度が1×10の-5乗モル濃度、48時間の濃度が1×10の-6乗モル濃度、72時間の濃度が1×10の-7乗モル濃度以上の時、重篤な副作用が発現する危険性が高いので、ロイコボリンの増量投与・ロイコボリン救援投与の延長等の処置を行うこと〔11.1.2、11.1.4、11.1.5、14.3.2、14.3.3参照〕。
8.2. 出血性腸炎、消化管潰瘍・消化管出血等の消化管障害があらわれることがあるので、口内炎、激しい腹痛、嘔吐、下痢等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、患者に対し、口内炎があらわれた場合には、直ちに連絡するよう注意を与えること〔11.1.8参照〕。
8.3. 感染症の発現又は感染症増悪、出血傾向の発現又は出血傾向増悪に十分注意すること。また、患者に対し発熱、倦怠感があらわれた場合には、直ちに連絡するよう注意を与えること〔11.1.3参照〕。
8.4. 尿が酸性側に傾くと、メトトレキサートの結晶が尿細管に沈着するおそれがあるので、尿のアルカリ化と同時に、十分な水分の補給を行い、メトトレキサートの尿への排泄を促すよう考慮すること。
なお、利尿剤の選択にあたっては、尿を酸性化する利尿剤(例えば、フロセミド、エタクリン酸、チアジド系利尿剤等)の使用を避けること〔14.2.2、14.2.3参照〕。
8.5. 免疫機能が抑制された患者への生ワクチン接種により、ワクチン由来の感染を増強又は持続させるおそれがあるので、本剤投与中に生ワクチンを接種しないこと。
8.6. 本剤投与に先立って、肝炎ウイルス感染の有無を確認すること〔9.1.4、11.1.4参照〕。
9.1.1. 骨髄機能抑制のある患者:骨髄機能抑制を増悪させるおそれがある〔11.1.2参照〕。
9.1.2. 感染症を合併している患者:骨髄機能抑制により感染を増悪させるおそれがある〔11.1.3参照〕。
9.1.3. 水痘患者:致命的全身障害があらわれることがある。
9.1.4. B型又はC型肝炎ウイルスキャリアの患者:B型肝炎ウイルスキャリアの患者及びB型肝炎既往感染者(HBs抗原陰性かつHBc抗体陽性又はHBs抗原陰性かつHBs抗体陽性)又はC型肝炎ウイルスキャリアの患者に対し本剤を投与する場合、投与期間中及び投与終了後は継続して肝機能検査や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型又はC型肝炎ウイルス増殖の徴候や症状の発現に注意すること(重篤な肝炎や肝障害の発現が報告されており、死亡例が認められている。またB型肝炎ウイルスキャリアの患者の場合、本剤投与終了後にB型肝炎ウイルスが活性化することによる肝炎等の発現も報告されている)〔8.6、11.1.4参照〕。
腎機能障害患者:投与しないこと(本剤の排泄遅延により副作用が強くあらわれるおそれがある)〔2.3参照〕。
肝機能障害患者:投与しないこと(肝障害を増悪させるおそれがある)〔2.2参照〕。
小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること〔9.7小児等の項参照〕。
- 相互作用
- 10.2. 併用注意:1). サリチル酸等の非ステロイド性抗炎症剤[メトトレキサートの副作用<骨髄抑制・肝・腎・消化管障害等>が増強されることがあるので、頻回に臨床検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、メトトレキサートの減量、休薬等適切な処置を行い、また、メトトレキサートの拮抗剤であるホリナートカルシウム(ロイコボリンカルシウム)を投与すること(主として、非ステロイド性抗炎症剤の腎におけるプロスタグランジン合成阻害作用による腎血流量の低下及びナトリウム、水分貯留傾向のためメトトレキサートの排泄が遅延するためと考えられている)]。
2). スルホンアミド系薬剤、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、フェニトイン、バルビツール酸誘導体[メトトレキサートの副作用<骨髄抑制・肝・腎・消化管障害・血液障害等>増強されることがあるので、頻回に臨床検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、メトトレキサートの減量、休薬等適切な処置を行い、また、メトトレキサートの拮抗剤であるホリナートカルシウム(ロイコボリンカルシウム)を投与すること(併用薬剤が血漿蛋白と結合しているメトトレキサートを競合的に置換遊離し、メトトレキサートの濃度を上昇させ、その毒性を増強させる)]。
3). スルファメトキサゾール・トリメトプリム[メトトレキサートの副作用<骨髄抑制・肝・腎・消化管障害・血液障害等>増強されることがあるので、頻回に臨床検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、メトトレキサートの減量、休薬等適切な処置を行い、また、メトトレキサートの拮抗剤であるホリナートカルシウム(ロイコボリンカルシウム)を投与すること(両薬剤の葉酸代謝阻害作用が協力的に作用するためと考えられている)]。
4). ペニシリン(ピペラシリン等)、プロベネシド[メトトレキサートの副作用<骨髄抑制・肝・腎・消化管障害・血液障害等>増強されることがあるので、頻回に臨床検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、メトトレキサートの減量、休薬等適切な処置を行い、また、メトトレキサートの拮抗剤であるホリナートカルシウム(ロイコボリンカルシウム)を投与すること(併用薬剤がメトトレキサートの腎排泄を競合的に阻害するためと考えられている)]。
5). シプロフロキサシン[メトトレキサートの副作用<骨髄抑制・肝・腎・消化管障害・血液障害等>増強されることがあるので、頻回に臨床検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、メトトレキサートの減量、休薬等適切な処置を行い、また、メトトレキサートの拮抗剤であるホリナートカルシウム(ロイコボリンカルシウム)を投与すること(発現機序の詳細は不明であるが、メトトレキサートの腎尿細管からの排泄が阻害されるためと考えられている)]。
6). レフルノミド[メトトレキサートの副作用<骨髄抑制・肝・腎・消化管障害・血液障害等>増強されることがあるので、頻回に臨床検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、メトトレキサートの減量、休薬等適切な処置を行い、また、メトトレキサートの拮抗剤であるホリナートカルシウム(ロイコボリンカルシウム)を投与すること(併用により骨髄抑制等の副作用を増強するためと考えられている)]。
7). プロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール、ラベプラゾール、ランソプラゾール等)[メトトレキサートの副作用<骨髄抑制・肝・腎・消化管障害・血液障害等>増強されることがあるので、頻回に臨床検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、メトトレキサートの減量、休薬等適切な処置を行い、また、メトトレキサートの拮抗剤であるホリナートカルシウム(ロイコボリンカルシウム)を投与すること(なお、高用量のメトトレキサートを投与する場合には、一時的にプロトンポンプ阻害剤の投与を中止することを考慮すること)(機序は不明であるが、メトトレキサートの血中濃度が上昇することがある)]。
8). ポルフィマーナトリウム[光線過敏症を起こすことがある(ポルフィマーナトリウムは光感受性を高める作用があるため、光線過敏症を起こしやすい薬剤の作用を増強する)]。
9). 放射線療法[軟部組織壊死及び骨壊死の発現頻度が高まるという報告がある(機序不明)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明):冷感、呼吸困難、血圧低下等があらわれることがある。
11.1.2. 骨髄抑制(頻度不明):汎血球減少、無顆粒球症(前駆症状として発熱、咽頭痛、インフルエンザ様症状等があらわれる場合がある)、白血球減少、血小板減少、貧血等の骨髄抑制、再生不良性貧血があらわれることがある〔8.1、9.1.1参照〕。
11.1.3. 感染症(頻度不明):呼吸不全にいたるような肺炎(ニューモシスティス肺炎等を含む)、敗血症、サイトメガロウイルス感染症、帯状疱疹等の重篤な感染症(日和見感染症を含む)があらわれることがあるので、患者の状態を十分観察し、異常が認められた場合には投与を中止し、抗生剤、抗菌剤の投与等の適切な処置を行うこと〔8.3、9.1.2参照〕。
11.1.4. 劇症肝炎、肝不全(いずれも頻度不明):劇症肝炎、肝不全、肝組織の壊死・肝組織の線維化、肝硬変等の重篤な肝障害(B型肝炎ウイルスによる肝障害又はC型肝炎ウイルスによる肝障害を含む)があらわれることがある〔8.1、8.6、9.1.4参照〕。
11.1.5. 急性腎障害、尿細管壊死、重症ネフロパチー(いずれも頻度不明):急性腎障害、尿細管壊死、重症ネフロパチー等の重篤な腎障害があらわれることがある〔8.1参照〕。
11.1.6. 間質性肺炎、肺線維症、胸水(いずれも頻度不明):間質性肺炎、肺線維症、胸水等があらわれ、呼吸不全にいたることがあるので、観察を十分に行い、発熱、咳嗽、呼吸困難等の呼吸器症状があらわれた場合には、速やかに胸部X線等の検査を行い、本剤の投与を中止するとともに副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.7. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれも頻度不明):発熱、紅斑、そう痒感、眼充血、口内炎等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.8. 出血性腸炎(5%未満)、壊死性腸炎(頻度不明):出血性腸炎、壊死性腸炎等の重篤な腸炎があらわれることがあるので、激しい腹痛、下痢等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと〔8.2参照〕。
11.1.9. 膵炎(頻度不明)。
11.1.10. 骨粗鬆症(頻度不明):骨塩量減少等の異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.11. 脳症(白質脳症を含む)、その他の中枢神経障害、ギランバレー症候群(いずれも頻度不明):脳症(白質脳症を含む)、その他の中枢神経障害(痙攣、麻痺、失語、認知症、昏睡)、ギランバレー症候群があらわれることがある。
11.1.12. 進行性多巣性白質脳症(PML)(頻度不明):本剤投与中及び投与終了後は患者の状態を十分に観察し、意識障害、認知機能障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、構音障害、失語等の症状があらわれた場合は、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- 11.2. その他の副作用
1). 過敏症:(5~50%未満)発熱、発疹、(頻度不明)蕁麻疹、そう痒。
2). 血液:(5~50%未満)出血、(頻度不明)低ガンマグロブリン血症、好酸球増多、リンパ節腫脹。
3). 肝臓:(5~50%未満)ALT上昇、AST上昇、(頻度不明)黄疸、脂肪肝、Al-P上昇、LDH上昇。
4). 腎臓:(5%未満)BUN上昇、クレアチニン上昇、(頻度不明)血尿、蛋白尿。
5). 消化器:(50%以上)食欲不振、嘔気・嘔吐、(5~50%未満)口内炎、下痢、腹痛、(頻度不明)消化管潰瘍・消化管出血、メレナ、イレウス、舌炎、口唇腫脹。
6). 皮膚:(5~50%未満)脱毛、(頻度不明)光線過敏症、紅斑、皮膚色素沈着、皮膚色素脱出、皮下斑状出血、ざ瘡、結節、皮膚潰瘍。
7). 精神神経系:(5~50%未満)頭痛、(5%未満)意識障害、しびれ感、(頻度不明)眠気、目のかすみ、項部緊張、背部痛、味覚異常、めまい、錯感覚。
8). 呼吸器:(5%未満)呼吸困難、(頻度不明)咳嗽。
9). 生殖器:(頻度不明)無精子症、卵巣機能不全、月経不全、流産。
10). その他:(5%未満)倦怠感、(頻度不明)膀胱炎、耳下腺炎、結膜炎、低蛋白血症、血清アルブミン減少、関節痛、動悸、胸部圧迫感、浮腫、悪寒。
使用成績調査を含む。
- 高齢者
- 腎機能検査値に十分注意し、患者の状態を観察しながら副作用の発現に特に注意し、慎重に投与すること(腎機能等生理機能が低下していることが多く、メトトレキサートの排泄遅延により副作用があらわれやすい)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい(催奇形性を疑う症例報告があり、また、動物実験(マウス、ラット及びウサギ)で催奇形作用が報告されている)。
授乳しないことが望ましい(母乳中への移行が報告されている)。
- 小児等
- 副作用の発現に特に注意し、慎重に投与すること。低出生体重児、新生児、乳児<1歳未満>に対する臨床試験は実施していない〔9.4生殖能を有する者の項参照〕。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤調製時の注意調製した注射液は速やかに使用し、残液は廃棄すること。なお、本剤は防腐剤を含有しないので、調製にあたっては細菌汚染に注意すること。
14.2. 療法開始前、療法中の注意14.2.1. 本療法前に必ず臨床検査(血液検査、肝・腎機能検査、尿検査等)は実施すること(肝、腎、骨髄機能等がすべて正常又はこれに準ずることを確認し、本療法を開始すること)。
14.2.2. 尿を経時的にチェックしpH7.0以上に維持すること。
500mLの補液あたり17~34mEqの炭酸水素ナトリウム(7%メイロン20mL1~2管/補液500mL)をメトトレキサート投与前日からロイコボリン救援投与終了まで継続投与すること。500mLの補液あたり17~34mEqの炭酸水素ナトリウムと同時に十分な水分の補給(100~150mL/㎡/時間)を行い、メトトレキサートの尿への排泄を促すよう考慮し、全尿量のチェックを経時的(6時間ごと)に行うこと〔8.4参照〕。
14.2.3. アセタゾラミドの投与を行うこと。
アセタゾラミドは利尿及び尿のアルカリ化作用を有するので、アセタゾラミド250~500mg/日をメトトレキサート投与前日からロイコボリンの救援投与終了まで経口又は静脈内投与すること〔8.4参照〕。
14.3. 療法中、療法後の注意14.3.1. 白血球数著減・血小板数著減した場合、白血球・血小板輸血等の適切な処置を行い、必要に応じて抗生物質の投与を考慮すること。
14.3.2. メトトレキサート投与48時間後の血中濃度値は副作用モニターの観点から重要な指標となるので、必ず48時間後の血中濃度の測定は実施すること〔8.1参照〕。
14.3.3. ロイコボリン救援投与開始72時間後もメトトレキサートの血中濃度が1×10の-7乗モル濃度以上の場合には、血中濃度が1×10の-7乗モル濃度未満になるまで十分な水分の補給、尿のアルカリ化及びロイコボリンの増量投与・ロイコボリン救援投与の延長等の処置を行うこと〔8.1参照〕。
14.3.4. 激しい口内潰瘍、下痢、下血等の症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと(例えば、1日数回100mLの水にロイコボリン15mgを加えた液を含嗽させた後、そのまま内服させる試みが報告されている)。
14.3.5. メトトレキサートの高い血中濃度持続による重篤な骨髄抑制、著しい肝機能低下・著しい腎機能低下、持続する口内潰瘍、下痢、下血等の副作用があらわれた場合には大量のロイコボリン救援投与を実施すること。
14.3.6. メトトレキサート投与後4日目に臨床検査(血液検査、肝・腎機能検査、尿検査等)を実施すること。
外箱開封後は遮光して保存すること。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. 本剤を長期使用した患者あるいは本剤と他の抗悪性腫瘍剤を併用した患者に、悪性リンパ腫、急性白血病、骨髄異形成症候群(MDS)等の二次発癌が発生したとの報告がある。
15.1.2. 免疫機能が抑制された患者にワクチンを接種した場合、抗体反応の欠如が報告されている。
16.1 血中濃度
16.1.1 反復投与
(1)肝・腎機能、骨髄機能の正常な骨肉腫患者27例にアドリアマイシン、ビンクリスチン及びメトトレキサート・ロイコボリン救援療法を施行した。メトトレキサートの投与量は100、150、200、250、300mg/kgあるいは350mg/kgで、いずれも6時間以内の点滴静注を行った。この時のメトトレキサート全投与量(180回)における平均血中濃度は、6時間後は1×10の-5乗mol/L以上を示し、72時間後に1×10の-7乗mol/L以下を示した。また、メトトレキサート投与量と血中濃度の関係については、投与後6、24、48時間後の血中濃度は投与量に依存して増加するが、72時間後の血中濃度は投与量に関係なく、1×10の-7乗mol/L以下を示した。
(2)小児の急性白血病及び悪性リンパ腫等の患者に対してメトトレキサート・ロイコボリン救援療法を施行し、延べ284例の血清中メトトレキサート濃度と延べ43例の髄液中濃度を測定した。メトトレキサートの投与量は25~100mg/kgで、これを6時間かけて点滴静注したとき、投与開始6時間後の血清中濃度は1.47~2.54×10の-4乗mol/Lであり、以後24時間後で1.24~8.60×10の-6乗mol/L、48時間以後は1×10の-7乗mol/Lのレベルまで低下した。また、髄液中濃度は、投与開始6時間後において25~50mg/kg投与群では8.15×10の-7乗mol/L、75~100mg/kg群では2.73×10の-6乗mol/Lを示し、24時間後はそれぞれ、4.59×10の-7乗mol/L、5.47×10の-7乗mol/Lであった。以後漸減し、72時間後にはいずれも1×10の-7乗mol/L以下に低下した。
(3)小児悪性腫瘍患者24例にメトトレキサート・ロイコボリン救援療法としてメトトレキサートの750~9000mg/m2を6時間点滴静注したときの血清中濃度を測定した。投与量750~1500mg/m2群(延べ98回)の投与開始24、48、72時間後のメトトレキサート血清中濃度は、それぞれ1.47×10の-6乗mol/L、1.92×10の-7乗mol/L、1.26×10の-7乗mol/L、投与量2250~3000mg/m2群(延べ68回)ではそれぞれ1.37×10の-6乗mol/L、1.95×10の-7乗mol/L、1.08×10の-7乗mol/L、投与量9000mg/m2群(延べ13回)ではそれぞれ1.52×10の-6乗mol/L、1.54×10の-6乗mol/L、0.97×10の-7乗mol/Lであった。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
注射用メソトレキセート50mgの承認申請に添付した多施設共同研究による臨床試験成績の概要は次のとおりである。
17.1.1 肉腫
肺転移巣を有する肉腫35例(骨肉腫23例、その他の骨・軟部肉腫12例)において、肺転移巣の50%以上の縮小を指標として算出した有効率は20%(7例)である。特に、骨肉腫、肺転移の3例には、本療法により、転移巣の完全消失が認められている。
17.1.2 急性白血病
他剤に無効でかつ中枢神経系浸潤の急性白血病10例に対する有効率は70%(10例中、完全寛解2例、不完全寛解5例)である。
また、睾丸浸潤を来した急性白血病3例に対する有効率は67%(3例中、完全寛解1例、不完全寛解1例)である。
17.1.3 悪性リンパ腫
他剤に無効でかつ中枢神経系浸潤の悪性リンパ腫6例に対する有効率は17%(6例中、完全寛解1例)である。
18.1 作用機序
18.1.1 メトトレキサートは、葉酸を核酸合成に必要な活性型葉酸に還元させる酵素dihydrofolate reductase(DHFR)の働きを阻止し、チミジル酸合成及びプリン合成系を阻害して、細胞増殖を抑制する。
18.1.2 ある種の癌細胞(骨肉腫細胞等)では能動的に取り込む機構が欠落しているため、大量のメトトレキサート投与により受動的に取り込ませ、一定時間後にメトトレキサートの解毒剤であるロイコボリンを投与し、能動的にロイコボリンを取り込むことのできる正常細胞を救援する。
- 製造販売会社
- ファイザー
- 販売会社
おくすりのQ&A
当該製品の添付文書では、効能又は効果として、『次の疾患で、他の緑内障治療薬が効果不十分又は使用できない場合:緑内障、高眼圧症』と記載されています。...
添付文書内の「有効性安全性」の正確な意味を教えてください。どのような条件ならば有効性があるとするのか、安全性があるというのかをその基準を教えて欲しいのです
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