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注射用メソトレキセート50mg

販売名
注射用メソトレキセート50mg
薬価
50mg1瓶 3394.00円
製造メーカー
ファイザー

添付文書情報2023年06月改定(第3版)

商品情報

薬効分類名
メトトレキサート製剤
一般名
メトトレキサート注射用
規制区分
  • 特生
  • 特承
  • 覚原
警告
1.1. 〈メトトレキサート・ホリナート救援療法、メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法〉メトトレキサート・ホリナート救援療法及びメトトレキサート・フルオロウラシル交代療法は高度の危険性を伴うので、投与中及び投与後の一定期間は患者を医師の監督下に置くこと、また、緊急時に十分に措置できる医療施設及び癌化学療法に十分な経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ行うこと(なお、本療法の開始にあたっては、電子添文を熟読のこと)。
1.2. 〈M-VAC療法〉M-VAC療法は毒性を有する薬剤の併用療法であるので、緊急時に十分対応できる医療施設において、癌化学療法に十分な経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ本療法を実施すること(また、各併用薬剤の電子添文を参照して適応患者の選択に十分注意すること)。
禁忌
2.1. 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 肝障害のある患者〔9.3肝機能障害患者の項参照〕。
2.3. 腎障害のある患者〔9.2腎機能障害患者の項参照〕。
2.4. 胸水、腹水等のある患者[胸水、腹水等に長時間貯留して毒性が増強されることがある]。
効能・効果
〈メトトレキサート通常療法〉
次記疾患の自覚的並びに他覚的症状の緩解:1)急性白血病、2)慢性リンパ性白血病、3)慢性骨髄性白血病、4)絨毛性疾患(絨毛癌、破壊胞状奇胎、胞状奇胎)。
〈CMF療法〉
乳癌。
〈メトトレキサート・ホリナート救援療法〉
1). 肉腫(骨肉腫、軟部肉腫等)。
2). 急性白血病の中枢神経系及び睾丸への浸潤に対する寛解。
3). 悪性リンパ腫の中枢神経系への浸潤に対する寛解。
〈メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法〉
胃癌に対するフルオロウラシルの抗腫瘍効果の増強。
〈M-VAC療法〉
尿路上皮癌。
用法・用量
〈メトトレキサート通常療法〉
本剤は静脈内、髄腔内又は筋肉内に注射する。
また、必要に応じて動脈内又は腫瘍内に注射する。
・ 急性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病
メトトレキサートとして、通常、次の量を1日量として、1週間に3~6回注射する。
幼児1.25~2.5mg。
小児2.5~5mg。
成人5~10mg。
白血病の髄膜浸潤による髄膜症状(髄膜白血病)には、1回の注射量を体重1kg当たり0.2~0.4mgとして、髄腔内に2~7日ごとに1回注射する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
・ 絨毛性疾患
1クールを5日間とし、メトトレキサートとして、通常、成人1日10~30mgを注射する。休薬期間は通常、7~12日間であるが、前回の投与によって副作用があらわれた場合は、副作用が消失するまで休薬する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
〈CMF療法〉
シクロホスファミド及びフルオロウラシルとの併用において、メトトレキサートとして、通常、成人1回40mg/㎡を静脈内注射する。前回の投与によって副作用があらわれた場合は、減量するか又は副作用が消失するまで休薬する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
標準的な投与量及び投与方法は、シクロホスファミドを1日量として65mg/㎡を14日間連日経口投与、メトトレキサートを1日量として40mg/㎡を第1日目と第8日目に静脈内投与、及びフルオロウラシルを1日量として500mg/㎡を第1日目と第8日目に静脈内投与する。これを1クールとして4週ごとに繰り返す。
〈メトトレキサート・ホリナート救援療法〉
・ 肉腫
メトトレキサートとして、通常、1週間に1回100~300mg/kgを約6時間で点滴静脈内注射する。その後、ホリナートの投与を行う*。メトトレキサートの投与間隔は、1~4週間とする。なお、年齢、症状により適宜増減する。
・ 急性白血病、悪性リンパ腫
メトトレキサートとして、通常、1週間に1回30~100mg/kg(有効なメトトレキサート脳脊髄液濃度を得るには、1回メトトレキサートとして30mg/kg以上の静脈内注射が必要)を約6時間で点滴静脈内注射する。その後、ホリナートの投与を行う*。メトトレキサートの投与間隔は、1~4週間とする。なお、年齢、症状により適宜増減する。
*:ホリナートの投与は、通常、メトトレキサート投与終了3時間目よりホリナートとして1回15mgを3時間間隔で9回静脈内注射、以後6時間間隔で8回静脈内又は筋肉内注射する。メトトレキサートによると思われる重篤な副作用があらわれた場合には、用量を増加し、投与期間を延長する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
〈メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法〉
通常、成人にはメトトレキサートとして1回100mg/㎡(3mg/kg)を静脈内注射した後、1~3時間後にフルオロウラシルとして1回600mg/㎡(18mg/kg)を静脈内注射又は点滴静脈内注射する。その後、ホリナートの投与を行う※。本療法の間隔は、1週間とする。なお、年齢、症状により適宜増減する。
※:ホリナートの投与は、通常、メトトレキサート投与後24時間目よりホリナートとして1回15mgを6時間間隔で2~6回(メトトレキサート投与後24、30、36、42、48、54時間目)静脈内又は筋肉内注射あるいは経口投与する。メトトレキサートによると思われる重篤な副作用があらわれた場合には、用量を増加し、投与期間を延長する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
〈M-VAC療法〉
ビンブラスチン硫酸塩、ドキソルビシン塩酸塩及びシスプラチンとの併用において、メトトレキサートとして、通常、成人1回30mg/㎡を静脈内注射する。前回の投与によって副作用があらわれた場合は、減量するか又は副作用が消失するまで休薬する。なお、年齢、症状により適宜減量する。
標準的な投与量及び投与方法は、治療1、15及び22日目にメトトレキサート30mg/㎡、治療2、15及び22日目にビンブラスチン硫酸塩3mg/㎡、治療2日目にドキソルビシン塩酸塩30mg(力価)/㎡及びシスプラチン70mg/㎡を静脈内投与する。これを1クールとして4週ごとに繰り返す。
生殖能を有する者
8.1. 〈効能共通〉骨髄機能抑制、肝機能障害・腎機能障害等の重篤な副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査、尿検査等)を行うなど、患者の状態を十分観察すること。また、使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、遷延性に推移することがあるので、投与は慎重に行うこと〔11.1.2、11.1.4、11.1.5、14.4.6参照〕。
8.2. 〈効能共通〉出血性腸炎、消化管潰瘍・消化管出血等の消化管障害があらわれることがあるので、口内炎、激しい腹痛、嘔吐、下痢等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、患者に対し、口内炎があらわれた場合には、直ちに連絡するよう注意を与えること〔11.1.8参照〕。
8.3. 〈効能共通〉感染症の発現又は感染症増悪、出血傾向の発現又は出血傾向増悪に十分注意すること。また、患者に対し発熱、倦怠感があらわれた場合には、直ちに連絡するよう注意を与えること〔11.1.3参照〕。
8.4. 〈効能共通〉免疫機能が抑制された患者への生ワクチン接種により、ワクチン由来の感染を増強又は持続させるおそれがあるので、本剤投与中に生ワクチンを接種しないこと。
8.5. 〈効能共通〉本剤投与に先立って、肝炎ウイルス感染の有無を確認すること〔9.1.4、11.1.4参照〕。
8.6. 〈メトトレキサート・ホリナート救援療法〉投与後一定期間は頻回にメトトレキサートの血中濃度を測定し、メトトレキサート投与開始後24時間のメトトレキサートの濃度が1×10の-5乗モル濃度、48時間の濃度が1×10の-6乗モル濃度、72時間の濃度が1×10の-7乗モル濃度以上の時、重篤な副作用が発現する危険性が高いので、ホリナートの増量投与・ホリナート救援投与の延長等の処置を行うこと〔14.4.2、14.4.3、14.4.5参照〕。
8.7. 〈メトトレキサート・ホリナート救援療法〉尿が酸性側に傾くと、メトトレキサートの結晶が尿細管に沈着するおそれがあるので、尿のアルカリ化と同時に、十分な水分の補給を行い、メトトレキサートの尿への排泄を促すよう考慮すること。
なお、メトトレキサート・ホリナート救援療法の場合、利尿剤の選択にあたっては、尿を酸性化する利尿剤(例えば、フロセミド、エタクリン酸、チアジド系利尿剤等)の使用を避けること〔14.3.2、14.3.3参照〕。
8.8. 〈メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法〉メトトレキサートはフルオロウラシルによる消化器症状<消化管潰瘍・出血・食欲不振等>を増強及び血液障害<白血球減少・血小板減少等>を増強させることがあるので、これらの副作用の発現に特に注意すること。
8.9. 〈メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法〉メトトレキサートによる腎障害予防のため、尿のアルカリ化と同時に、十分な水分の補給を行い、メトトレキサートの排泄を促すよう考慮すること。
なお、メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法の場合、利尿剤の選択にあたっては、尿を酸性化する利尿剤(例えば、フロセミド、エタクリン酸、チアジド系利尿剤等)の使用を避けること〔14.3.5参照〕。
9.1.1. 骨髄機能抑制のある患者:骨髄機能抑制を増悪させるおそれがある〔11.1.2参照〕。
9.1.2. 感染症を合併している患者:骨髄機能抑制により感染を増悪させるおそれがある〔11.1.3参照〕。
9.1.3. 水痘患者:致命的全身障害があらわれることがある。
9.1.4. B型又はC型肝炎ウイルスキャリアの患者:B型肝炎ウイルスキャリアの患者及びB型肝炎既往感染者(HBs抗原陰性かつHBc抗体陽性又はHBs抗原陰性かつHBs抗体陽性)又はC型肝炎ウイルスキャリアの患者に対し本剤を投与する場合、投与期間中及び投与終了後は継続して肝機能検査や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型又はC型肝炎ウイルス増殖の徴候や症状の発現に注意すること(重篤な肝炎や肝障害の発現が報告されており、死亡例が認められている。またB型肝炎ウイルスキャリアの患者の場合、本剤投与終了後にB型肝炎ウイルスが活性化することによる肝炎等の発現も報告されている)〔8.5、11.1.4参照〕。
腎機能障害患者:投与しないこと(本剤の排泄遅延により副作用が強くあらわれるおそれがある)〔2.3参照〕。
肝機能障害患者:投与しないこと(肝障害を増悪させるおそれがある)〔2.2参照〕。
小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること〔9.7小児等の項参照〕。
相互作用
10.2. 併用注意:1). サリチル酸等の非ステロイド性抗炎症剤[メトトレキサートの副作用<骨髄抑制・肝・腎・消化管障害等>が増強されることがあるので、頻回に臨床検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、メトトレキサートの減量、休薬等適切な処置を行い、また、メトトレキサートの拮抗剤であるホリナートカルシウム(ロイコボリンカルシウム)を投与すること(主として、非ステロイド性抗炎症剤の腎におけるプロスタグランジン合成阻害作用による腎血流量の低下及びナトリウム、水分貯留傾向のためメトトレキサートの排泄が遅延するためと考えられている)]。
2). スルホンアミド系薬剤、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、フェニトイン、バルビツール酸誘導体[メトトレキサートの副作用<骨髄抑制・肝・腎・消化管障害・血液障害等>増強されることがあるので、頻回に臨床検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、メトトレキサートの減量、休薬等適切な処置を行い、また、メトトレキサートの拮抗剤であるホリナートカルシウム(ロイコボリンカルシウム)を投与すること(併用薬剤が血漿蛋白と結合しているメトトレキサートを競合的に置換遊離し、メトトレキサートの濃度を上昇させ、その毒性を増強させる)]。
3). スルファメトキサゾール・トリメトプリム[メトトレキサートの副作用<骨髄抑制・肝・腎・消化管障害・血液障害等>増強されることがあるので、頻回に臨床検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、メトトレキサートの減量、休薬等適切な処置を行い、また、メトトレキサートの拮抗剤であるホリナートカルシウム(ロイコボリンカルシウム)を投与すること(両薬剤の葉酸代謝阻害作用が協力的に作用するためと考えられている)]。
4). ペニシリン(ピペラシリン等)、プロベネシド[メトトレキサートの副作用<骨髄抑制・肝・腎・消化管障害・血液障害等>増強されることがあるので、頻回に臨床検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、メトトレキサートの減量、休薬等適切な処置を行い、また、メトトレキサートの拮抗剤であるホリナートカルシウム(ロイコボリンカルシウム)を投与すること(併用薬剤がメトトレキサートの腎排泄を競合的に阻害するためと考えられている)]。
5). シプロフロキサシン[メトトレキサートの副作用<骨髄抑制・肝・腎・消化管障害・血液障害等>増強されることがあるので、頻回に臨床検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、メトトレキサートの減量、休薬等適切な処置を行い、また、メトトレキサートの拮抗剤であるホリナートカルシウム(ロイコボリンカルシウム)を投与すること(発現機序の詳細は不明であるが、メトトレキサートの腎尿細管からの排泄が阻害されるためと考えられている)]。
6). レフルノミド[メトトレキサートの副作用<骨髄抑制・肝・腎・消化管障害・血液障害等>増強されることがあるので、頻回に臨床検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、メトトレキサートの減量、休薬等適切な処置を行い、また、メトトレキサートの拮抗剤であるホリナートカルシウム(ロイコボリンカルシウム)を投与すること(併用により骨髄抑制等の副作用を増強するためと考えられている)]。
7). プロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール、ラベプラゾール、ランソプラゾール等)[メトトレキサートの副作用<骨髄抑制・肝・腎・消化管障害・血液障害等>増強されることがあるので、頻回に臨床検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、メトトレキサートの減量、休薬等適切な処置を行い、また、メトトレキサートの拮抗剤であるホリナートカルシウム(ロイコボリンカルシウム)を投与すること(なお、高用量のメトトレキサートを投与する場合には、一時的にプロトンポンプ阻害剤の投与を中止することを考慮すること)(機序は不明であるが、メトトレキサートの血中濃度が上昇することがある)]。
8). ポルフィマーナトリウム[光線過敏症を起こすことがある(ポルフィマーナトリウムは光感受性を高める作用があるため、光線過敏症を起こしやすい薬剤の作用を増強する)]。
9). 放射線療法[軟部組織壊死及び骨壊死の発現頻度が高まるという報告がある(機序不明)]。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。メトトレキサート通常療法、CMF療法、M-VAC療法で本剤によると思われる骨髄抑制、肝機能障害、粘膜障害・消化管障害等の細胞毒性に起因する副作用が発現した場合には、本剤の拮抗剤であるホリナートカルシウム(ロイコボリンカルシウム)を投与すること。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック、アナフィラキシー(いずれの療法においても頻度不明):冷感、呼吸困難、血圧低下等があらわれることがある。
11.1.2. 骨髄抑制:1). 骨髄抑制(メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法で0.1~5%未満):汎血球減少、無顆粒球症(前駆症状として発熱、咽頭痛、インフルエンザ様症状等があらわれる場合がある)、白血球減少、血小板減少、貧血等の骨髄抑制、再生不良性貧血があらわれることがある〔8.1、9.1.1参照〕。
2). 骨髄抑制(メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法以外の療法では頻度不明):汎血球減少、無顆粒球症(前駆症状として発熱、咽頭痛、インフルエンザ様症状等があらわれる場合がある)、白血球減少、血小板減少、貧血等の骨髄抑制、再生不良性貧血があらわれることがある〔8.1、9.1.1参照〕。
11.1.3. 感染症(いずれの療法においても頻度不明):呼吸不全にいたるような肺炎(ニューモシスティス肺炎等を含む)、敗血症、サイトメガロウイルス感染症、帯状疱疹等の重篤な感染症(日和見感染症を含む)があらわれることがあるので、患者の状態を十分観察し、異常が認められた場合には投与を中止し、抗生剤、抗菌剤の投与等の適切な処置を行うこと〔8.3、9.1.2参照〕。
11.1.4. 劇症肝炎、肝不全(いずれの療法においても頻度不明):劇症肝炎、肝不全、肝組織の壊死・肝組織の線維化、肝硬変等の重篤な肝障害(B型肝炎ウイルスによる肝障害又はC型肝炎ウイルスによる肝障害を含む)があらわれることがある〔8.1、8.5、9.1.4参照〕。
11.1.5. 急性腎障害、尿細管壊死、重症ネフロパチー:1). 急性腎障害(メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法で0.1%未満)、尿細管壊死、重症ネフロパチー(頻度不明):急性腎障害、尿細管壊死、重症ネフロパチー等の重篤な腎障害があらわれることがある〔8.1参照〕。
2). 急性腎障害(メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法以外の療法では頻度不明)、尿細管壊死、重症ネフロパチー(頻度不明):急性腎障害、尿細管壊死、重症ネフロパチー等の重篤な腎障害があらわれることがある〔8.1参照〕。
11.1.6. 間質性肺炎、肺線維症、胸水:1). 間質性肺炎(メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法で0.1%未満)、肺線維症、胸水(頻度不明):間質性肺炎、肺線維症、胸水等があらわれ、呼吸不全にいたることがあるので、観察を十分に行い、発熱、咳嗽、呼吸困難等の呼吸器症状があらわれた場合には、速やかに胸部X線等の検査を行い、本剤の投与を中止するとともに副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
2). 間質性肺炎(メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法以外の療法では頻度不明)、肺線維症、胸水(頻度不明):間質性肺炎、肺線維症、胸水等があらわれ、呼吸不全にいたることがあるので、観察を十分に行い、発熱、咳嗽、呼吸困難等の呼吸器症状があらわれた場合には、速やかに胸部X線等の検査を行い、本剤の投与を中止するとともに副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.7. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(いずれの療法においても頻度不明):発熱、紅斑、そう痒感、眼充血、口内炎等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.8. 出血性腸炎、壊死性腸炎:1). 出血性腸炎(メトトレキサート・ホリナート救援療法で5%未満)、壊死性腸炎(頻度不明):出血性腸炎、壊死性腸炎等の重篤な腸炎があらわれることがあるので、激しい腹痛、下痢等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと〔8.2参照〕。
2). 出血性腸炎(メトトレキサート・ホリナート救援療法以外の療法では頻度不明)、壊死性腸炎(頻度不明):出血性腸炎、壊死性腸炎等の重篤な腸炎があらわれることがあるので、激しい腹痛、下痢等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと〔8.2参照〕。
11.1.9. 膵炎(いずれの療法においても頻度不明)。
11.1.10. 骨粗鬆症(いずれの療法においても頻度不明):骨塩量減少等の異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.11. 脳症(白質脳症を含む)、その他の中枢神経障害、ギランバレー症候群(いずれの療法においても頻度不明):脳症(白質脳症を含む)、その他の中枢神経障害(痙攣、麻痺、失語、認知症、昏睡)、ギランバレー症候群があらわれることがある。
11.1.12. 進行性多巣性白質脳症(PML)(頻度不明):本剤投与中及び投与終了後は患者の状態を十分に観察し、意識障害、認知機能障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、構音障害、失語等の症状があらわれた場合は、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.2. その他の副作用
1). 〈メトトレキサート通常療法、M-VAC療法〉①. 〈メトトレキサート通常療法、M-VAC療法〉過敏症:(頻度不明)発疹、蕁麻疹、そう痒、発熱。
②. 〈メトトレキサート通常療法、M-VAC療法〉血液:(頻度不明)出血、低ガンマグロブリン血症、好酸球増多、リンパ節腫脹。
③. 〈メトトレキサート通常療法、M-VAC療法〉肝臓:(頻度不明)黄疸、脂肪肝、AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇、LDH上昇。
④. 〈メトトレキサート通常療法、M-VAC療法〉腎臓:(頻度不明)血尿、BUN上昇、クレアチニン上昇、蛋白尿。
⑤. 〈メトトレキサート通常療法、M-VAC療法〉消化器:(頻度不明)消化管潰瘍・消化管出血、口内炎、腹痛、下痢、食欲不振、嘔気・嘔吐、メレナ、イレウス、舌炎、口唇腫脹。
⑥. 〈メトトレキサート通常療法、M-VAC療法〉皮膚:(頻度不明)光線過敏症、紅斑、皮膚色素沈着、皮膚色素脱出、皮下斑状出血、ざ瘡、脱毛、結節、皮膚潰瘍。
⑦. 〈メトトレキサート通常療法、M-VAC療法〉精神神経系:(頻度不明)頭痛、眠気、目のかすみ、項部緊張、背部痛、しびれ感、味覚異常、意識障害、めまい、錯感覚。
⑧. 〈メトトレキサート通常療法、M-VAC療法〉呼吸器:(頻度不明)咳嗽、呼吸困難。
⑨. 〈メトトレキサート通常療法、M-VAC療法〉生殖器:(頻度不明)無精子症、卵巣機能不全、月経不全、流産。
⑩. 〈メトトレキサート通常療法、M-VAC療法〉その他:(頻度不明)膀胱炎、倦怠感、耳下腺炎、結膜炎、低蛋白血症、血清アルブミン減少、関節痛、動悸、胸部圧迫感、浮腫、悪寒。
メトトレキサート通常療法、M-VAC療法においては、使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。
2). 〈CMF療法〉①. 〈CMF療法〉過敏症:(5%未満)発熱、(頻度不明)発疹、蕁麻疹、そう痒。
②. 〈CMF療法〉血液:(頻度不明)出血、低ガンマグロブリン血症、好酸球増多、リンパ節腫脹。
③. 〈CMF療法〉肝臓:(5~50%未満)ALT上昇、AST上昇、LDH上昇、(5%未満)Al-P上昇、(頻度不明)黄疸、脂肪肝。
④. 〈CMF療法〉腎臓:(頻度不明)血尿、BUN上昇、クレアチニン上昇、蛋白尿。
⑤. 〈CMF療法〉消化器:(50%以上)嘔気・嘔吐、食欲不振、(5~50%未満)口内炎、下痢、(頻度不明)消化管潰瘍・消化管出血、腹痛、メレナ、イレウス、舌炎、口唇腫脹。
⑥. 〈CMF療法〉皮膚:(5~50%未満)脱毛、(頻度不明)光線過敏症、紅斑、皮膚色素沈着、皮膚色素脱出、皮下斑状出血、ざ瘡、結節、皮膚潰瘍。
⑦. 〈CMF療法〉精神神経系:(頻度不明)頭痛、眠気、目のかすみ、項部緊張、背部痛、しびれ感、味覚異常、意識障害、めまい、錯感覚。
⑧. 〈CMF療法〉呼吸器:(頻度不明)咳嗽、呼吸困難。
⑨. 〈CMF療法〉生殖器:(頻度不明)無精子症、卵巣機能不全、月経不全、流産。
⑩. 〈CMF療法〉その他:(5~50%未満)低蛋白血症、(5%未満)膀胱炎、倦怠感、(頻度不明)耳下腺炎、結膜炎、血清アルブミン減少、関節痛、動悸、胸部圧迫感、浮腫、悪寒。
3). 〈メトトレキサート・ホリナート救援療法〉①. 〈メトトレキサート・ホリナート救援療法〉過敏症:(5~50%未満)発熱、発疹、(頻度不明)蕁麻疹、そう痒。
②. 〈メトトレキサート・ホリナート救援療法〉血液:(5~50%未満)出血、(頻度不明)低ガンマグロブリン血症、好酸球増多、リンパ節腫脹。
③. 〈メトトレキサート・ホリナート救援療法〉肝臓:(5~50%未満)ALT上昇、AST上昇、(頻度不明)黄疸、脂肪肝、Al-P上昇、LDH上昇。
④. 〈メトトレキサート・ホリナート救援療法〉腎臓:(5%未満)BUN上昇、クレアチニン上昇、(頻度不明)血尿、蛋白尿。
⑤. 〈メトトレキサート・ホリナート救援療法〉消化器:(50%以上)食欲不振、嘔気・嘔吐、(5~50%未満)口内炎、下痢、腹痛、(頻度不明)消化管潰瘍・消化管出血、メレナ、イレウス、舌炎、口唇腫脹。
⑥. 〈メトトレキサート・ホリナート救援療法〉皮膚:(5~50%未満)脱毛、(頻度不明)光線過敏症、紅斑、皮膚色素沈着、皮膚色素脱出、皮下斑状出血、ざ瘡、結節、皮膚潰瘍。
⑦. 〈メトトレキサート・ホリナート救援療法〉精神神経系:(5~50%未満)頭痛、(5%未満)意識障害、しびれ感、(頻度不明)眠気、目のかすみ、項部緊張、背部痛、味覚異常、めまい、錯感覚。
⑧. 〈メトトレキサート・ホリナート救援療法〉呼吸器:(5%未満)呼吸困難、(頻度不明)咳嗽。
⑨. 〈メトトレキサート・ホリナート救援療法〉生殖器:(頻度不明)無精子症、卵巣機能不全、月経不全、流産。
⑩. 〈メトトレキサート・ホリナート救援療法〉その他:(5%未満)倦怠感、(頻度不明)膀胱炎、耳下腺炎、血清アルブミン減少、関節痛、結膜炎、低蛋白血症、動悸、胸部圧迫感、浮腫、悪寒。
使用成績調査を含む。
4). 〈メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法〉①. 〈メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法〉過敏症:(0.1~5%未満)発熱、発疹、(0.1%未満)そう痒、(頻度不明)蕁麻疹。
②. 〈メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法〉血液:(0.1~5%未満)出血、(頻度不明)低ガンマグロブリン血症、好酸球増多、リンパ節腫脹。
③. 〈メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法〉肝臓:(0.1~5%未満)AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇、(0.1%未満)LDH上昇、(頻度不明)黄疸、脂肪肝。
④. 〈メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法〉腎臓:(0.1~5%未満)BUN上昇、クレアチニン上昇、血尿、(頻度不明)蛋白尿。
⑤. 〈メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法〉消化器:(5%以上)嘔気・嘔吐、食欲不振、下痢、口内炎、(0.1~5%未満)腹痛、イレウス、消化管潰瘍・消化管出血、(0.1%未満)メレナ、(頻度不明)舌炎、口唇腫脹。
⑥. 〈メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法〉皮膚:(0.1~5%未満)脱毛、皮膚色素沈着、(頻度不明)光線過敏症、紅斑、皮膚色素脱出、皮下斑状出血、ざ瘡、結節、皮膚潰瘍。
⑦. 〈メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法〉精神神経系:(0.1~5%未満)しびれ感、頭痛、味覚異常、眠気、意識障害、(0.1%未満)背部痛、(頻度不明)目のかすみ、項部緊張、めまい、錯感覚。
⑧. 〈メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法〉呼吸器:(0.1~5%未満)呼吸困難、(頻度不明)咳嗽。
⑨. 〈メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法〉生殖器:(頻度不明)無精子症、卵巣機能不全、月経不全、流産。
⑩. 〈メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法〉その他:(0.1~5%未満)倦怠感、低蛋白血症、(0.1%未満)結膜炎、胸部圧迫感、(頻度不明)膀胱炎、耳下腺炎、血清アルブミン減少、関節痛、動悸、浮腫、悪寒。
使用成績調査を含む。
高齢者
腎機能検査値に十分注意し、患者の状態を観察しながら副作用の発現に特に注意し、慎重に投与すること(腎機能等生理機能が低下していることが多く、メトトレキサートの排泄遅延により副作用があらわれやすい)。
授乳婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい(催奇形性を疑う症例報告があり、また、動物実験(マウス、ラット及びウサギ)で催奇形作用が報告されている)。
授乳しないことが望ましい(母乳中への移行が報告されている)。
小児等
副作用の発現に特に注意し、慎重に投与すること。低出生体重児、新生児、乳児<1歳未満>に対する臨床試験は実施していない〔9.4生殖能を有する者の項参照〕。
取扱い上の注意
14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 〈メトトレキサート通常療法〉メトトレキサート通常療法の場合、通常、本剤に生理食塩液20mLを加えて溶解し、1mL中メトトレキサートとして2.5mgになるように調製する。メトトレキサート通常療法の場合、高濃度溶液が必要な場合には、注射用蒸留水2mLを加えて溶解し、1mL中メトトレキサートとして25mgになるように調製する。
14.1.2. 〈CMF療法、メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法、M-VAC療法〉CMF療法、メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法、M-VAC療法の場合、通常、メトトレキサートを生理食塩液又は5%ブドウ糖液20mLに溶解して用
いる。
14.1.3. 〈メトトレキサート・ホリナート救援療法〉メトトレキサート・ホリナート救援療法の場合、通常、メトトレキサートを生理食塩液又は5%ブドウ糖液250~500mLに溶解して用いる。
14.1.4. 〈効能共通〉調製した注射液は速やかに使用し、残液は廃棄すること。
なお、本剤は防腐剤を含有しないので、調製にあたっては細菌汚染に注意すること。
14.2. 薬剤投与時の注意筋肉内注射にあたっては、組織・神経などへの影響を避けるため次記の点に注意すること。
・ 筋肉内投与はやむを得ない場合にのみ、必要最小限に行うこと。なお、特に筋肉内投与時同一部位への反復注射は行わないこと。また、新生児、低出生体重児、乳児、小児には特に注意すること。
・ 筋肉内投与時神経走行部位を避けるよう注意すること。
・ 注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合は、直ちに針を抜き、部位を変えて注射すること。
14.3. 療法開始前、療法中の注意14.3.1. 〈メトトレキサート・ホリナート救援療法〉本療法前に必ず臨床検査(血液検査、肝・腎機能検査、尿検査等)は実施すること(肝、腎、骨髄機能等がすべて正常又はこれに準ずることを確認し、本療法を開始すること)。
14.3.2. 〈メトトレキサート・ホリナート救援療法〉尿を経時的にチェックしpH7.0以上に維持すること(500mLの補液あたり17~34mEqの炭酸水素ナトリウム(7%メイロン20mL1~2管/補液500mL)をメトトレキサート投与前日からホリナート救援投与終了まで継続投与し、500mLの補液あたり17~34mEqの炭酸水素ナトリウムと同時に十分な水分の補給(100~150mL/㎡/時間)を行い、メトトレキサートの尿への排泄を促すよう考慮し、全尿量のチェックを経時的(6時間ごと)に行うこと)〔8.7参照〕。
14.3.3. 〈メトトレキサート・ホリナート救援療法〉アセタゾラミドの投与を行うこと。メトトレキサート・ホリナート救援療法開始前・療法中の場合、アセタゾラミドは利尿及び尿のアルカリ化作用を有するので、アセタゾラミド250~500mg/日をメトトレキサート投与前日からホリナートの救援投与終了まで経口又は静脈内投与すること〔8.7参照〕。
14.3.4. 〈メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法〉本療法前に必ず臨床検査(血液検査、肝・腎機能検査、尿検査等)は実施すること(肝、腎、骨髄機能等がすべて正常又はこれに準ずることを確認し、本療法を開始すること)。
14.3.5. 〈メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法〉メトトレキサートによる腎障害の予防のため、500mLの補液あたり34mEq炭酸水素ナトリウム(7%メイロン20mL2管/補液500mL)をメトトレキサート投与開始時から2時間かけて投与するとともに利尿及び尿のアルカリ化作用を有するアセタゾラミド250mgをメトトレキサート投与前約30分、投与後約5時間に経口又は静脈内投与すること〔8.9参照〕。
14.4. 療法中、療法後の注意14.4.1. 〈メトトレキサート・ホリナート救援療法〉白血球数著減・血小板数著減した場合、白血球・血小板輸血等の適切な処置を行い、必要に応じて抗生物質の投与を考慮すること。
14.4.2. 〈メトトレキサート・ホリナート救援療法〉メトトレキサート投与48時間後の血中濃度値は副作用モニターの観点から重要な指標となるので、必ず48時間後の血中濃度の測定は実施すること〔8.6参照〕。
14.4.3. 〈メトトレキサート・ホリナート救援療法〉ホリナート救援投与開始72時間後もメトトレキサートの血中濃度が1×10の-7乗モル濃度以上の場合には、血中濃度が1×10の-7乗モル濃度未満になるまで十分な水分の補給、尿のアルカリ化及びホリナートの増量投与・ホリナート救援投与の延長等の処置を行うこと〔8.6参照〕。
14.4.4. 〈メトトレキサート・ホリナート救援療法〉激しい口内潰瘍、下痢、下血等の症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと(例えば、1日数回100mLの水にホリナート15mgを加えた液を含嗽させた後、そのまま内服させる試みが報告されている)。
14.4.5. 〈メトトレキサート・ホリナート救援療法〉メトトレキサートの高い血中濃度持続による重篤な骨髄抑制、著しい肝機能低下・著しい腎機能低下、持続する口内潰瘍、下痢、下血等の副作用があらわれた場合には大量のホリナート救援投与を実施すること〔8.6参照〕。
14.4.6. 〈メトトレキサート・ホリナート救援療法〉メトトレキサート投与後4日目に臨床検査(血液検査、肝・腎機能検査、尿検査等)を実施すること〔8.1参照〕。
14.4.7. 〈メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法〉ホリナートの投与回数の目安は次のとおりである。
腎機能の低下傾向などによるメトトレキサートの排泄遅延のおそれのある患者、又は一般状態の悪い患者(特に低栄養状態)では、投与回数を多くすることが望ましい(6回)。
一般状態が良好で、かつ腎機能が正常な患者では、投与回数を少なくすることができる。
14.4.8. 〈メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法〉本療法により重篤な骨髄抑制、著しい肝機能低下・著しい腎機能低下、強い食欲不振、悪心、嘔吐、口内潰瘍、下痢、下血等の副作用があらわれた場合には、ホリナートの増量投与・ホリナートの投与期間の延長などの処置を行うこと。
14.4.9. 〈メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法〉嘔吐、激しい下痢のある患者には、ホリナート注射剤の投与を考慮すること。
外箱開封後は遮光して保存すること。
その他の注意
15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. 本剤を長期使用した患者あるいは本剤と他の抗悪性腫瘍剤を併用した患者に、悪性リンパ腫、急性白血病、骨髄異形成症候群(MDS)等の二次発癌が発生したとの報告がある。
15.1.2. 免疫機能が抑制された患者にワクチンを接種した場合、抗体反応の欠如が報告されている。

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
〈メトトレキサート通常療法〉
腎機能が正常な悪性腫瘍患者延べ98例にメトトレキサートの5、10、25、50mgを単回静脈内投与した。投与後のメトトレキサートの血中濃度は、投与1~2時間後をピークに徐々に減少し、投与24時間後で、いずれの投与量でも5.5×10の-8乗mol/L以下になった(外国人データ)。
16.1.2 反復投与
〈メトトレキサート・ホリナート救援療法〉
(1)肝・腎機能、骨髄機能の正常な骨肉腫患者27例にアドリアマイシン、ビンクリスチン及びメトトレキサート・ホリナート救援療法を施行した。メトトレキサートの投与量は100、150、200、250、300mg/kgあるいは350mg/kgで、いずれも6時間以内の点滴静注を行った。この時のメトトレキサート全投与量(180回)における平均血中濃度は、6時間後は1×10の-5乗mol/L以上を示し、72時間後に1×10の-7乗mol/L以下を示した。また、メトトレキサート投与量と血中濃度の関係については、投与後6、24、48時間後の血中濃度は投与量に依存して増加するが、72時間後の血中濃度は投与量に関係なく、1×10の-7乗mol/L以下を示した。
(2)小児の急性白血病及び悪性リンパ腫等の患者に対してメトトレキサート・ホリナート救援療法を施行し、延べ284例の血清中メトトレキサート濃度と延べ43例の髄液中濃度を測定した。メトトレキサートの投与量は25~100mg/kgで、これを6時間かけて点滴静注したとき、投与開始6時間後の血清中濃度は1.47~2.54×10の-4乗mol/Lであり、以後24時間後で1.24~8.60×10の-6乗mol/L、48時間以後は1×10の-7乗mol/Lのレベルまで低下した。また、髄液中濃度は、投与開始6時間後において25~50mg/kg投与群では8.15×10の-7乗mol/L、75~100mg/kg群で2.73×10の-6乗mol/Lを示し、24時間後はそれぞれ、4.59×10の-7乗mol/L、5.47×10の-7乗mol/Lであった。以後漸減し、72時間後にはいずれも1×10の-7乗mol/L以下に低下した。
(3)小児悪性腫瘍患者24例にメトトレキサート・ホリナート救援療法としてメトトレキサートの750~9000mg/m2を6時間点滴静注したときの血清中濃度を測定した。投与量750~1500mg/m2群(延べ98回)の投与開始24、48、72時間後のメトトレキサート血清中濃度は、それぞれ1.47×10の-6乗mol/L、1.92×10の-7乗mol/L、1.26×10の-7乗mol/L、投与量2250~3000mg/m2群(延べ68回)ではそれぞれ1.37×10の-6乗mol/L、1.95×10の-7乗mol/L、1.08×10の-7乗mol/L、投与量9000mg/m2群(延べ13回)ではそれぞれ1.52×10の-6乗mol/L、1.54×10の-6乗mol/L、0.97×10の-7乗mol/Lであった。
〈メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法〉
(4)胃癌患者2例にメトトレキサート・フルオロウラシル交代療法を施行し、血清中メトトレキサート濃度を測定した。投与量はメトトレキサート100mg/m2、フルオロウラシル800mg/m2として、メトトレキサート静注1時間後にフルオロウラシルを1時間かけ点滴静注したとき、メトトレキサートは投与15分後に平均最高血清中濃度3.3×10の-5乗mol/Lとなり、以後漸減し、投与24時間後には血中から消失した。
16.5 排泄
〈メトトレキサート通常療法〉
腎機能が正常な悪性腫瘍患者延べ98例にメトトレキサートの5、10、25、50mgを単回静脈内投与した。尿中排泄率は、投与後4時間で平均65%、24時間で平均90%あるいはそれ以上であった(外国人データ)。

17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈メトトレキサート通常療法〉
17.1.1 白血病
急性白血病、特に小児の急性白血病の寛解維持療法において、他の抗悪性腫瘍剤との併用により有用性が認められている。また、本剤に感受性の髄膜白血病に髄腔内単独投与又は放射線頭蓋照射との組合せにより、有用性が認められている。
17.1.2 絨毛性疾患
非転移性のみならず、転移性の絨毛性疾患に有用性が認められている。
〈CMF療法〉
17.1.3 国内延べ26施設で完全例61例について行われた臨床試験成績の概要は、次のとおりである。
進行・再発乳癌の患者に対し、通常、シクロホスファミドを連日14日間65mg/m2経口投与し、メトトレキサート及びフルオロウラシルはいずれも第1日目及び第8日目にそれぞれ40mg/m2、500mg/m2静脈内投与する。
これを1クールとして4週ごとに繰り返し行ったときの奏効率は36.1%(有効以上22例)である。
(進行・再発乳癌患者における臨床効果の判定基準による)
〈メトトレキサート・ホリナート救援療法〉
多施設共同研究による臨床試験成績の概要は次のとおりである。
17.1.4 肉腫
肺転移巣を有する肉腫35例(骨肉腫23例、その他の骨・軟部肉腫12例)において、肺転移巣の50%以上の縮小を指標として算出した有効率は20%(7例)である。特に、骨肉腫、肺転移の3例には、本療法により、転移巣の完全消失が認められている。
17.1.5 急性白血病
他剤に無効でかつ中枢神経系浸潤の急性白血病10例に対する有効率は70%(10例中、完全寛解2例、不完全寛解5例)である。
また、睾丸浸潤を来した急性白血病3例に対する有効率は67%(3例中、完全寛解1例、不完全寛解1例)である。
17.1.6 悪性リンパ腫
他剤に無効でかつ中枢神経系浸潤の悪性リンパ腫6例に対する有効率は17%(6例中、完全寛解1例)である。
〈メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法〉
17.1.7 国内延べ24施設で完全例37例について行われた臨床試験成績の概要は次のとおりである。
胃癌の患者に対し、メトトレキサート100mg/m2(静注)投与後1~3時間後にフルオロウラシル600mg/m2(静注又は1時間以内点滴静注)投与するスケジュールを毎週繰り返し行ったときの奏効率は、40.5%(有効以上15例)である。
(固形がん化学療法直接効果判定基準による)
また、フルオロウラシル単独投与との比較試験の結果、有用性が認められている。

18.1 作用機序
18.1.1 メトトレキサートは、葉酸を核酸合成に必要な活性型葉酸に還元させる酵素dihydrofolate reductase(DHFR)の働きを阻止し、チミジル酸合成及びプリン合成系を阻害して、細胞増殖を抑制する。
〈メトトレキサート通常療法〉
18.1.2 正常細胞や感受性の高い癌細胞には、能動的に取り込まれ、殺細胞作用を示す。
〈メトトレキサート・ホリナート救援療法〉
18.1.3 ある種の癌細胞(骨肉腫細胞等)では能動的に取り込む機構が欠落しているため、大量のメトトレキサート投与により受動的に取り込ませ、一定時間後にメトトレキサートの解毒剤であるホリナートを投与し、能動的にホリナートを取り込むことのできる正常細胞を救援する。
〈メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法〉
18.1.4 フルオロウラシルは、生体内で活性代謝物となり、DNAの合成阻害又はRNAの機能障害を起こし、抗腫瘍活性を発揮する。メトトレキサート・フルオロウラシル交代療法においては、前投与されたメトトレキサートのプリン合成阻害作用により増加した細胞内のPRPP(phosphoribosyl pyrophosphate)がフルオロウラシルの代謝を促進し、抗腫瘍効果を増強させると考えられている。
18.2 抗腫瘍効果
〈CMF療法〉
各種抗癌剤の抗腫瘍効果をSRC法(Subrenal capsule assay)で検討した結果、シクロホスファミド、メトトレキサート、フルオロウラシルの3剤併用の腫瘍増殖抑制率は、各単剤の腫瘍増殖抑制率を上回り68%まで上昇すると予測される。

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