サンラビン点滴静注用200mg
添付文書情報2023年11月改定(第1版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 禁忌
- 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- 急性白血病(慢性白血病の急性転化を含む)。
- 用法・用量
- 通常、1日量、体重1kg当り3.5~6.0mgを5%ブドウ糖注射液、5%果糖注射液、5%キシリット注射液、生理食塩液、リンゲル液又は糖電解質注射液に混合し、静脈内に2~4時間で1日1回又は2回に分割し点滴注射する。通常10~14日間連日投与を行うか、又は、6~10日間連日投与後、休薬期間をおいて同様の投与を繰り返す。
用量及び投与期間については患者の末梢血及び骨髄の状態により適宜増減する。
- 生殖能を有する者
- 8.1. 骨髄機能抑制等の重篤な副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること(またこれらの副作用は、遷延性に推移することがあるので、投与は慎重に行うこと)〔9.1.1、11.1.3参照〕。
8.2. 感染症の発現又は感染症増悪・出血傾向の発現又は出血傾向増悪に十分注意すること〔9.1.1、9.1.2参照〕。
8.3. 本剤の投与により、ときにショック等の重篤な過敏反応の発現がみられるので、使用に際しては少量注入後患者の状態をよく観察すること〔9.1.3、9.1.4、11.1.1、11.1.2参照〕。
8.4. ショック等を予測するため、投与に際してはアレルギー既往歴、薬物過敏症等について十分な問診を行うこと〔9.1.3、9.1.4、11.1.1、11.1.2参照〕。
8.5. 本剤の添加物であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含有する医薬品でショックの発現が報告されているので、前記注意事項に留意すること。また、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含有する他の製剤で高脂血症がみられたとの報告がある〔9.1.3、9.1.4、11.1.1、11.1.2参照〕。
9.1.1. 骨髄機能抑制のある患者:症状を増悪させるおそれがある〔8.1、8.2、11.1.3参照〕。
9.1.2. 感染症を合併している患者:骨髄機能抑制により、症状を増悪させるおそれがある〔8.2参照〕。
9.1.3. 本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギーを起こしやすい体質を持つ患者〔8.3-8.5、11.1.1、11.1.2参照〕。
9.1.4. 薬物過敏症の既往歴のある患者〔8.3-8.5、11.1.1、11.1.2参照〕。
肝機能障害患者:症状を悪化させるおそれがある。
小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。
- 相互作用
- 10.2. 併用注意:他の抗悪性腫瘍剤[骨髄機能抑制等の副作用が増強することがある(副作用が相互に増強される)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック(0.4%)〔8.3-8.5、9.1.3、9.1.4参照〕。
11.1.2. 重篤な過敏症(0.1%):胸部圧迫感、発疹、皮膚潮紅等の重篤な過敏症状があらわれることがある〔8.3-8.5、9.1.3、9.1.4参照〕。
11.1.3. 血液障害(頻度不明):汎血球減少、白血球減少、血小板減少、貧血、また、骨髄に巨赤芽球様細胞を認めることがある〔8.1、9.1.1参照〕。
- 11.2. その他の副作用
1). 消化器:(10%以上)食欲不振、悪心・嘔吐、(1~10%未満)下痢、腹痛、腹部膨満感、口内炎。
2). 精神神経系:(1~10%未満)倦怠感、頭痛、(1%未満)腰痛、眩暈、しびれ感。
3). 肝臓:(10%以上)ビリルビン上昇、AST上昇、ALT上昇、ALP上昇。
4). 泌尿器:(1~10%未満)BUN上昇、クレアチニン上昇、(1%未満)蛋白尿、頻尿。
5). 皮膚:(1~10%未満)脱毛、(1%未満)紅斑、皮膚そう痒。
6). その他:(10%以上)発熱、(1%未満)浮腫、心悸亢進。
発現頻度は使用成績調査を含む。
- 高齢者
- 用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能(造血機能、肝機能、腎機能等)が低下していることが多い)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物実験(ラット、ウサギ)で催奇形作用(胎仔骨格異常・胎仔外形異常)が報告されている)。
授乳しないことが望ましい(動物実験(ウサギ)で母乳中へ移行することが報告されている)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施されていない。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 本剤は、可溶化剤としてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60を使用しており、「14.1.2調製方法」及び「14.1.3保存方法」を必ず守ること。
14.1.2. 調製方法(1). エノシタビン10mgに対し、日局注射用水を1mLの割合で加える。
(2). バイアルを溶解ラックに入れ、あらかじめ沸騰させた水浴中で約10分間加熱する。その間、3回沸騰水浴中から取り出し、強く振り混ぜる(各回10秒間に10~15回程度)。
注意:本剤溶解操作時に溶解鍋の空焚きをしないこと[空焚きによりバイアルが破裂し、内容液とガラス片が飛散するおそれがある]。
(3). 沸騰水浴中から取り出し、小さな塊あるいは透明なゲル状物のない均一な乳白色の液が得られたことを確認する。
注意:乳白色の液が得られない場合は、再度前記(2)の操作を行う。
(4). バイアルを熱い溶解ラックごと、好ましくは氷水中(流水中でも可)で約3分間振り混ぜながら急冷すると無色澄明な液が得られる。この溶液1.1mLには約10mgのエノシタビンが含まれる。
注意:無色澄明な液を得るためには、急冷することが最も重要なポイントであるため、放置しないこと(急冷操作前にバイアルを放置する等により冷ましたような場合には、再度沸騰水浴中で加熱後、ただちに急冷操作を行う)。
(5). 本剤の水溶液を輸液で希釈する際には、泡立ちを極力抑え、注入後の撹拌は穏やかに行う(輸液容器の液中に本剤の水溶液を注入する針を浸けて注入するか、又は壁を伝わせてゆっくり注入する)。
14.1.3. 保存方法:本剤の水溶液(輸液希釈前)をやむを得ず保存する場合は、5℃以下で保存し、48時間以内に使用すること。
注意:輸液希釈前に、無色澄明であることを確認する。無色澄明でない場合は「14.1.2調製方法(2)~(4)」に準じて再度調製すること。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 静脈内投与により、ときに静脈炎等を起こすことがあるので注射部位、注射方法等に十分注意すること。
14.2.2. 静脈内投与に際し、薬液が血管外に漏れると、注射部位に疼痛、発赤、腫脹等の炎症を起こすことがあるので、慎重に投与すること。
14.2.3. ポリ塩化ビニール製の点滴セット、カテーテル等から、可塑剤であるDEHP[di-(2-ethylhexyl)phthalate:フタル酸ジ-(2-エチルヘキシル)]が溶出するので、ポリ塩化ビニール製の点滴セット、カテーテル等の使用を避けること。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報本剤と他の抗悪性腫瘍剤を併用した患者に、急性白血病(前白血病相を伴う場合もある)、骨髄異形成症候群(MDS)が発生したとの報告がある。
15.2. 非臨床試験に基づく情報マウスに静脈内投与した小核試験において、変異原性が認められている。
16.1 血中濃度
急性白血病患者に注射用サンラビン200mgを1.5時間かけて単回点滴静注を行い、血漿、血球中エノシタビン濃度を測定した。
血漿中エノシタビンの濃度変化は二相性を示し、その半減期は第一相で0.37±0.25時間、第二相で5.3±4.8時間であった。
一方、血球中のエノシタビン濃度は投与終了時までは血漿中と同じであったが、投与開始24時間後には血漿中の約10倍を示した。また、骨髄液中エノシタビン濃度は投与開始4時間後では血漿中とほぼ同じであったが、12時間後には血漿中より有意に高値を示した。
16.4 代謝
急性白血病患者に注射用サンラビン200mgを1.5時間かけて単回点滴静注したところ、血液中にはエノシタビンの他に代謝産物としてシタラビン及びウラシルアラビノシドが検出された。
16.5 排泄
急性白血病患者に注射用サンラビン200mgを1.5時間かけて単回点滴静注したところ、尿中にはエノシタビンとしては排泄されず、投与開始24時間後までにシタラビンとして0.5%、ウラシルアラビノシドとして72%が排泄された。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
全国19施設において急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性単球性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病の急性転化等を対象に注射用サンラビンの臨床試験を実施した。
注射用サンラビン2.0~8.0mg/kgを6~35日間単独投与した場合の治療成績は未治療症例50例中、完全寛解17例(34.0%)、部分寛解13例(26.0%)であり、また既治療症例27例中、完全寛解4例(14.8%)、部分寛解7例(25.9%)であった。
多剤併用療法としては、BH‐AC・DMP療法、BH‐AC・AMP療法、BH‐AC・DVP療法等が試みられたが、このうちBH‐AC・DMP療法の治療成績は未治療症例141例中、完全寛解103例(73.0%)、部分寛解8例(5.7%)であった。
18.1 作用機序
ヒトの肝、脾、腎及び白血病細胞で活性物質(シタラビン等)に徐々に変換・代謝されDNA合成阻害により抗腫瘍作用を示す。
18.2 抗腫瘍作用
L1210及びヒトリンパ性白血病細胞(市川株)等の担癌マウスに対して延命効果を示した。
- 製造販売会社
- 旭化成ファーマ
- 販売会社
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