フェアストン錠60
添付文書情報2021年09月改定(第1版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 禁忌
- 2.1. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性及び授乳婦〔8.1、9.5妊婦、9.6授乳婦の項参照〕。
2.2. QT延長又はその既往歴のある患者(先天性QT延長症候群等)[心室性頻拍(Torsade de pointesを含む)、QT延長増悪もしくはQT延長再発するおそれがある]〔17.3.1参照〕。
2.3. 低カリウム血症のある患者[心室性頻拍(Torsade de pointesを含む)、QT延長を起こすおそれがある]〔17.3.1参照〕。
2.4. クラス1A抗不整脈薬投与中(キニジン、プロカインアミド等)又はクラス3抗不整脈薬投与中(アミオダロン、ソタロール等)の患者〔10.1参照〕。
- 効能・効果
- 閉経後乳癌。
- 用法・用量
- 通常、成人にはトレミフェンとして40mgを1日1回経口投与する。また、既治療例(薬物療法及び放射線療法などに無効例)に対しては、通常成人にトレミフェンとして120mgを1日1回経口投与する。なお、症状により適宜増減する。
- 合併症・既往歴等のある患者
- 8.1. 本剤には抗エストロゲン及びエストロゲン作用がある。本剤は、閉経初期の患者へ投与されることがあるので、次の点に注意すること〔2.1、9.5妊婦、9.6授乳婦の項参照〕。
・ 本剤の投与開始時にあたっては、妊娠していないことを確認し、本剤の妊娠への影響について説明すること。
・ 治療期間中はホルモン剤以外の方法で避妊するよう指導すること。
・ 本剤投与中に妊娠が確認された場合又は疑われた場合には直ちに投与を中止すること。
8.2. 本剤投与によりQT延長がみられていることから、心血管系障害を有する患者に対しては、本剤の投与を開始する前に心血管系の状態に注意をはらうこと〔9.1.2、17.3.1参照〕。
9.1.1. 骨髄抑制のある患者:軽度の白血球減少及びヘモグロビン減少が認められている。
9.1.2. 重度徐脈等の不整脈、心筋虚血等の不整脈を起こしやすい心疾患のある患者:心室性頻拍(Torsade de pointesを含む)、QT延長を起こすおそれがある〔8.2、17.3.1参照〕。
- 相互作用
- 10.1. 併用禁忌:クラス1A抗不整脈薬(キニジン、プロカインアミド<アミサリン>等)、クラス3抗不整脈薬(アミオダロン<アンカロン>、ソタロール<ソタコール>等)〔2.4参照〕[QT延長を増強し、心室性頻拍<Torsade de pointesを含む>等を起こすおそれがある(これらの薬剤はいずれもQT間隔を延長させるおそれがあるため)]。
10.2. 併用注意:1). 腎臓を介してカルシウムの排泄を減少させる薬物(チアジド系利尿剤)[高カルシウム血症の危険性を増大させるおそれがある(機序不明)]。
2). クマリン系抗凝血剤(ワルファリン)[抗凝血作用を増強するとの報告があるので、抗凝血剤を減量するなど慎重に投与すること(クマリン系薬剤の代謝が阻害される)]。
3). フェノバルビタール、フェニトイン、カルバマゼピン[本剤の血中濃度が低下するおそれがある(本剤の代謝が促進される)]。
4). リファンピシン[本剤の血中濃度が低下するおそれがある(本剤の主要代謝酵素CYP3A4が誘導され、本剤の代謝が促進される)]。
5). リトナビル[本剤のAUCが上昇することが予想される(本剤の主要代謝酵素CYP3A4を阻害する)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 血栓塞栓症、静脈炎(頻度不明):脳梗塞、肺塞栓、血栓塞栓症、静脈炎、血栓性静脈炎があらわれることがある。
11.1.2. 肝機能障害、黄疸(頻度不明)。
11.1.3. 子宮筋腫(頻度不明)。
- 11.2. その他の副作用
1). 消化器:(1~5%未満)悪心・嘔吐、食欲不振、(1%未満)胃部不快感、下痢。
2). 肝臓:(1~5%未満)ALT上昇、AST上昇、LDH上昇、γ-GTP上昇、Al-P上昇、(頻度不明)ビリルビン上昇。
3). 過敏症:(頻度不明)発疹、かゆみ。
4). 血液:(1%未満)白血球減少、貧血、(頻度不明)血小板減少。
5). 眼:(頻度不明)視覚障害(角膜変化等)。
6). 精神神経系:(1~5%未満)めまい、(頻度不明)頭痛、うつ症状。
7). 生殖器:(1%未満)性器出血、(頻度不明)膣分泌物、子宮内膜増殖。
8). 皮膚:(頻度不明)脱毛。
9). その他:(1~5%未満)顔面潮紅、倦怠感、発汗、(1%未満)コレステロール上昇、ほてり、高カルシウム血症、(頻度不明)トリグリセライド上昇、BUN上昇、浮腫。
- 高齢者
- 本剤の臨床試験成績から、高齢者と非高齢者において副作用の発現率及びその程度に差がみられていないが、用量に留意して患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(本剤は主として肝臓で代謝されており、高齢者では肝機能が低下していることが多く高い血中濃度が持続するおそれがある)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと(動物実験(ラット、ウサギ)で胎仔毒性(胎仔死亡、胎仔発育遅延、胎仔内臓異常・胎仔骨格異常、出生仔生殖障害)、妊娠維持障害及び分娩障害等の生殖障害が認められている)〔2.1、8.1参照〕。
授乳中の女性には投与しないこと(動物実験(ラット)で乳汁に移行することが認められている)〔2.1、8.1参照〕。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. 本剤による子宮内膜ポリープ、子宮内膜増殖及び子宮体癌が報告されている。
15.1.2. 類薬タモキシフェンクエン酸塩ではその使用と子宮内膜ポリープ、子宮内膜増殖、子宮体癌発生との因果関係を示唆する疫学的調査の結果が報告されている。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
女性乳癌患者に本剤40mgを単回経口投与したとき、3時間後に最高血清中濃度(392.5ng/mL)に達し、その後、半減期はα相3.0時間、β相68.7時間で2相性を示して消失した。
16.1.2 反復投与
本剤を反復経口投与(1日1回、40mg及び120mg)したとき、AUC及びCmaxの値は用量依存的に増加した。反復投与時の血清中濃度は初回投与時に比べて増加し、投与開始後2週間以内にほぼ一定となった。
16.3 分布
本剤120mgを1日1回、5日間反復経口投与したときの最終投与後2及び4時間の血清を混合して蛋白結合率を測定した。トレミフェン及びN‐デスメチルトレミフェンの蛋白結合率はそれぞれ98.7±0.3及び97.9±1.0%であった。
16.4 代謝
女性乳癌患者における血中主代謝物はN‐デスメチルトレミフェンであった。本剤を反復経口投与したとき、この代謝物の血清中濃度は未変化体と同様に2週間以内にほぼ一定となった。このときの血清中濃度は未変化体の約2倍以上であった。
16.5 排泄
女性乳癌患者に本剤を経口投与したときの尿中排泄率は未変化体、N‐デスメチルトレミフェンいずれも0.1%以下であり、ヒトにおける主排泄経路は糞中であると推察された。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第II相臨床試験(用量設定試験)
原発進行・再発乳癌患者(薬物療法、放射線療法を受けていない症例及び術後補助療法に再発した症例)に対する本剤40mg/日投与における奏効率は24.1%(7/29例)であった。
副作用発現頻度は19.0%(8/42例)であった。主な副作用は顔面潮紅9.5%(4/42例)、悪心・嘔吐7.1%(3/42例)、食欲不振4.8%(2/42例)等であった。
原発進行・再発乳癌患者(補助療法中再発例及び既治療例)に対する本剤120mg/日投与における奏効率は13.5%(5/37例)であった。
副作用発現頻度は30.4%(14/46例)であった。主な副作用は悪心・嘔吐、食欲不振各15.2%(7/46例)、顔面潮紅10.9%(5/46例)等であった。
17.1.2 国内後期第II相比較臨床試験(二重盲検比較試験)
進行・再発乳癌患者に対して本剤40mg/日及びタモキシフェン20mg/日の有効性及び安全性を検討した。その結果、奏効率は本剤投与群26.3%(15/57例)、タモキシフェン投与群28.1%(16/57例)であり両薬剤群間で有意差は認められなかった。
副作用発現頻度は12.3%(7/57例)であった。副作用は顔面潮紅3.5%(2/57例)、倦怠感1.8%(1/57例)であった。
17.1.3 国内後期第II相臨床試験(タモキシフェン耐性乳癌に対する試験)
タモキシフェン療法に耐性の乳癌患者を対象として本剤120mg/日投与の有効性及び安全性を検討した。その結果、奏効率は11.8%(6/51例)であった。
副作用発現頻度は5.1%(3/59例)であった。副作用は悪心、ふらふら感各1.7%(1/59例)であった。
17.2 製造販売後調査等
17.2.1 国内市販後第III相臨床試験
閉経後乳癌に対する術後補助療法における無作為化比較試験を実施した。その結果、本剤40mg/日投与、タモキシフェン20mg/日投与において、5年生存率は本剤投与群で97.2%、タモキシフェン投与群で97.1%であった。両群間の差0.1%の90%信頼区間は-3.7%~3.8%であり、信頼区間の下限が-10%を超えていないことから、本剤の有効性のタモキシフェンに対する非劣性が検証された。
→図表を見る(PDF)
17.3 その他
17.3.1 QT間隔に対する影響
QT間隔に及ぼす影響について検討することを目的として健常成人男子250例を対象に本剤、モキシフロキサシン錠及びプラセボを用いた二重盲検比較試験を実施した。血漿中濃度が投与開始5日以内に定常状態に到達するよう本剤を投与し、5日目投与後に心電図を測定したところ、本剤20mg投与群注1)、80mg投与群注1)、300mg投与群注1)におけるQTcI注2)の平均(95%片側信頼区間の上限)は、それぞれ6.2msec(9.4msec)、23.9msec(27.0msec)、56.9msec(60.0msec)であった。また、モキシフロキサシン400mg投与群は7.3msec(10.4msec)であった(外国人データ)。[2.2、2.3、8.2、9.1.2参照]
注1)本剤の承認最大用量は120mg/日である
注2)QTcI:個人ごとに補正し、プラセボ値を引いたQT間隔
18.1 作用機序
18.1.1 抗エストロゲン作用
トレミフェン及び主代謝物であるN‐デスメチルトレミフェンは、in vitroにおいてエストラジオールにより増殖促進されたヒト乳癌細胞(T‐47D)の増殖を阻害した。さらにトレミフェンは、in vivoにおいて未成熟ラットのエストラジオールによる子宮重量の増加を抑制した。
18.1.2 抗IGF‐1作用
トレミフェン及び主代謝物であるN‐デスメチルトレミフェンは、インシュリン様成長因子‐1(IGF‐1)により増殖促進されたエストロゲンレセプター(+)及び(-)乳癌細胞の増殖を阻害した。従って、この抗IGF‐1作用は、エストロゲンレセプターを介さない作用と考えられる。
18.2 抗腫瘍効果
ヌードマウス可移植性ヒト乳癌を用いin vivoで検討した結果、トレミフェンは、エストロゲンレセプター(ER)(+)ヒト乳癌BR‐10及びZR‐75‐1に対して増殖抑制作用を示した。
- 一包可:不可
抗悪性腫瘍剤
- 分割:不可
- 粉砕:不明
抗悪性腫瘍剤
- 製造販売会社
- 日本化薬
- 販売会社
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