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レトロゾール錠2.5mg「明治」

後発医薬品
販売名
レトロゾール錠2.5mg「明治」
識別コード
MS 074 レトロ ゾール
薬価
2.5mg1錠 83.40円
製造メーカー
MeijiSeikaファルマ

添付文書情報2022年12月改定(第2版)

商品情報

薬効分類名
その他の抗悪性腫瘍用剤
一般名
レトロゾール錠
規制区分
  • 特生
  • 特承
  • 覚原
禁忌
2.1. 〈効能共通〉妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.4生殖能を有する者、9.5妊婦の項参照〕。
2.2. 〈効能共通〉授乳婦〔9.6授乳婦の項参照〕。
2.3. 〈効能共通〉本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.4. 〈生殖補助医療における調節卵巣刺激、多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、原因不明不妊における排卵誘発〉生殖補助医療における調節卵巣刺激で活動性血栓塞栓性疾患、多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発で活動性血栓塞栓性疾患、原因不明不妊における排卵誘発で活動性血栓塞栓性疾患の患者[症状が悪化するおそれがある]〔9.1.1、11.1.5参照〕。
効能・効果
1). 閉経後乳癌。
2). 生殖補助医療における調節卵巣刺激。
3). 多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発。
4). 原因不明不妊における排卵誘発。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 〈生殖補助医療における調節卵巣刺激、多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、原因不明不妊における排卵誘発〉本剤の投与の適否は、患者及びパートナーの検査を十分に行った上で判断すること。生殖補助医療における調節卵巣刺激、多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、原因不明不妊における排卵誘発で原発性卵巣不全が認められる場合や妊娠不能な性器奇形又は妊娠に不適切な子宮筋腫の合併等の妊娠に不適当な場合には本剤を投与しないこと。また、生殖補助医療における調節卵巣刺激、多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、原因不明不妊における排卵誘発で甲状腺機能低下、副腎機能低下、高プロラクチン血症及び下垂体腫瘍又は視床下部腫瘍等が認められた場合、当該疾患の治療を優先すること。
用法・用量
〈閉経後乳癌〉
通常、成人にはレトロゾールとして1日1回2.5mgを経口投与する。
〈生殖補助医療における調節卵巣刺激、多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、原因不明不妊における排卵誘発〉
通常、レトロゾールとして1日1回2.5mgを月経周期3日目から5日間経口投与する。十分な効果が得られない場合は、次周期以降の1回投与量を5mgに増量できる。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 〈多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、原因不明不妊における排卵誘発〉本剤を用いた周期を繰り返し行っても十分な効果が得られない場合には、患者の年齢等も考慮し、漫然と本剤を用いた周期を繰り返すのではなく、生殖補助医療を含め他の適切な治療を考慮すること。
生殖能を有する者
8.1. 〈効能共通〉疲労、めまい、まれに傾眠が起こることがあるので、本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること。
8.2. 〈閉経後乳癌〉本剤の投与によって、骨粗鬆症、骨折が起こりやすくなるので、骨密度等の骨状態を定期的に観察することが望ましい。
8.3. 〈閉経後乳癌〉本剤は内分泌療法剤であり、がんに対する薬物療法について十分な知識と経験を持つ医師のもとで、本剤による治療が適切と判断される患者についてのみ使用すること。
8.4. 〈閉経後乳癌〉本剤はアロマターゼを阻害することにより治療効果を発揮するものであり、活発な卵巣機能を有する閉経前乳癌の患者ではアロマターゼを阻害する効果は不十分であると予想されること、並びに閉経前乳癌の患者では使用経験がないことを考慮して、閉経前乳癌の患者に対し使用しないこと。
8.5. 〈生殖補助医療における調節卵巣刺激、多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、原因不明不妊における排卵誘発〉本剤は、不妊治療に十分な知識と経験のある医師のもとで使用すること。生殖補助医療における調節卵巣刺激、多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、原因不明不妊における排卵誘発の場合、本剤投与により予想されるリスク及び注意すべき症状について、あらかじめ患者に説明を行うこと。
8.6. 〈生殖補助医療における調節卵巣刺激、多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、原因不明不妊における排卵誘発〉本剤を用いた不妊治療により、卵巣過剰刺激症候群があらわれることがあるので、本剤の5日間の投与終了後も含め少なくとも当該不妊治療期間中は、次のモニタリングを実施し、卵巣過剰刺激症候群の兆候が認められた場合には適切な処置を行うこと〔8.7、9.1.1、11.1.5参照〕:1)患者の自覚症状(下腹部痛、下腹部緊迫感、悪心、腰痛等)、2)急激な体重増加、3)超音波検査等による卵巣腫大。
8.7. 〈生殖補助医療における調節卵巣刺激、多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、原因不明不妊における排卵誘発〉患者に対しては、あらかじめ次の点を説明すること〔8.6、9.1.1、11.1.5参照〕。
・ 〈生殖補助医療における調節卵巣刺激、多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、原因不明不妊における排卵誘発〉生殖補助医療における調節卵巣刺激、排卵誘発で卵巣過剰刺激症候群があらわれることがあるので、自覚症状(下腹部痛、下腹部緊迫感、悪心、腰痛等)や急激な体重増加が認められた場合には直ちに医師等に相談すること。
・ 〈生殖補助医療における調節卵巣刺激、多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、原因不明不妊における排卵誘発〉多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発及び原因不明不妊における排卵誘発に本剤を用いた場合、卵巣過剰刺激の結果として多胎妊娠の可能性があること。
9.1.1. 本人及び家族の既往歴等の一般に血栓塞栓症発現リスクが高いと認められる患者:本剤を用いた不妊治療を行う場合、本剤の投与の可否については、本剤が血栓塞栓症の発現リスクを増加させることを考慮して判断すること(なお、妊娠自体によっても血栓塞栓症のリスクは高くなることに留意すること)〔2.4、8.6、8.7、11.1.5参照〕。
9.2.1. 重度の腎障害患者:重度腎障害患者を対象とした臨床試験は実施していない。
9.3.1. 重度の肝機能障害患者:重度肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない〔16.6.1参照〕。
〈生殖補助医療における調節卵巣刺激、多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、原因不明不妊における排卵誘発〉生殖能を有する者:妊娠初期の投与を避けるため、次の対応を行うこと〔2.1、9.5妊婦の項参照〕。
・ 〈生殖補助医療における調節卵巣刺激、多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、原因不明不妊における排卵誘発〉生殖能を有する者:生殖補助医療における調節卵巣刺激、多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、原因不明不妊における排卵誘発の場合、本剤投与開始前及び次周期の投与前に妊娠していないことを確認すること。
・ 〈生殖補助医療における調節卵巣刺激、多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発、原因不明不妊における排卵誘発〉生殖能を有する者:多嚢胞性卵巣症候群における排卵誘発及び原因不明不妊における排卵誘発においては、患者に、本剤投与前少なくとも1ヵ月間及び治療期間中は基礎体温を必ず記録させ、排卵の有無を観察すること。
相互作用
本剤は、肝代謝酵素CYP3A4及びCYP2A6で代謝されるので、CYP3A4酵素の活性に影響を及ぼす薬剤及びCYP2A6酵素の活性に影響を及ぼす薬剤と併用する場合には注意して投与すること。CYP3A4及びCYP2A6活性を阻害する薬剤、又はCYP3A4によって代謝される薬剤及びCYP2A6によって代謝される薬剤との併用
により、本剤の代謝が阻害され血中濃度が上昇する可能性がある。また、CYP3A4を誘導する薬剤との併用により、本剤の代謝が促進され血中濃度が低下する可能性がある。
一方、本剤は、CYP2A6の阻害作用を有することから、CYP2A6酵素で代謝される他の薬剤の血中濃度を上昇させる可能性がある。
10.2. 併用注意:1). CYP2A6を阻害する薬剤(メトキサレン等)[本剤の血中濃度が上昇する可能性がある(メトキサレン等の薬剤はCYP2A6活性を阻害することより、本剤の代謝を阻害する)]。
2). CYP3A4を阻害する薬剤(アゾール系抗真菌剤(ケトコナゾール、イトラコナゾール、ボリコナゾール等)等)[本剤の血中濃度が上昇する可能性がある(アゾール系抗真菌剤等の薬剤はCYP3A4活性を阻害することより、本剤の代謝を阻害する)]。
3). CYP3A4を誘導する薬剤:①. CYP3A4を誘導する薬剤(タモキシフェン)[本剤の血中濃度が低下する可能性があり、本剤とタモキシフェンの反復併用投与により本剤のAUCが約40%低下したとの報告があるが、相互作用に起因する効果の減弱及び副作用の報告はない(これらの薬剤はCYP3A4を誘導することにより、本剤の代謝を促進する)]。
②. CYP3A4を誘導する薬剤(リファンピシン等)[本剤の血中濃度が低下する可能性があるが、相互作用に起因する効果の減弱及び副作用の報告はない(これらの薬剤はCYP3A4を誘導することにより、本剤の代謝を促進する)]。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 血栓症、塞栓症(いずれも頻度不明):肺塞栓症、脳梗塞、動脈血栓症、血栓性静脈炎、心筋梗塞があらわれることがある。
11.1.2. 心不全、狭心症(いずれも頻度不明)。
11.1.3. 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明):著しいAST上昇、著しいALT上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
11.1.4. 中毒性表皮壊死症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、多形紅斑(いずれも頻度不明)。
11.1.5. 卵巣過剰刺激症候群(頻度不明):本剤を用いた不妊治療により、卵巣腫大、下腹部痛、下腹部緊迫感、腹水、胸水、呼吸困難を伴う卵巣過剰刺激症候群があらわれることがあり、卵巣破裂、卵巣茎捻転、脳梗塞、肺塞栓を含む血栓塞栓症、肺水腫、腎不全等が認められることもある。本剤投与後に卵巣過剰刺激症候群が認められた場合には、重症度に応じて適切な処置を行うこと。本剤を用いた不妊治療により、重度卵巣過剰刺激症候群が認められた場合には、入院させて適切な処置を行うこと〔2.4、8.6、8.7、9.1.1参照〕。
11.2. その他の副作用
1). 血液系障害:(5%未満)白血球数減少、リンパ球数減少、好塩基球数増加、単球数減少、(頻度不明)血小板増加、白血球分画異常。
2). 代謝及び栄養障害:(5%以上)血中コレステロール増加、(5%未満)食欲不振、体重増加、(頻度不明)高カルシウム血症、アルブミン・グロブリン比減少、血中コレステロール減少、血中カリウム減少、低蛋白血症、血中クロール増加、食欲亢進、体重減少。
3). 精神障害:(頻度不明)易興奮性、うつ病、不安、不眠症。
4). 神経系障害:(5%以上)頭痛、(5%未満)浮動性めまい、味覚障害、(頻度不明)注意力障害、傾眠、しびれ感、回転性めまい、記憶障害、異常感覚。
5). 眼障害:(頻度不明)白内障、眼刺激、霧視。
6). 耳及び迷路障害:(5%未満)耳鳴。
7). 心臓障害:(5%未満)動悸、(頻度不明)頻脈。
8). 血管障害:(5%以上)ほてり、(5%未満)高血圧、(頻度不明)低血圧、潮紅。
9). 呼吸器系障害:(頻度不明)喉頭痛、呼吸困難。
10). 胃腸障害:(5%未満)悪心、嘔吐、消化不良、歯痛、口内炎、(頻度不明)上腹部痛、軟便、便秘、腹痛、腹部膨満、下痢。
11). 肝・胆道系障害:(5%以上)AST増加、ALT増加、ALP増加、(5%未満)γ-GTP増加、LDH増加、(頻度不明)血中ビリルビン増加。
12). 皮膚障害:(5%未満)皮膚そう痒症、発疹、多汗、湿疹、脱毛症、(頻度不明)冷汗、局所性表皮剥脱、皮膚乾燥、蕁麻疹。
13). 筋骨格系障害:(5%以上)関節痛、(5%未満)筋痛、関節硬直、背部痛、関節炎、(頻度不明)骨痛、骨折、骨粗鬆症。
14). 腎及び尿路障害:(5%未満)尿蛋白陽性、(頻度不明)頻尿、尿路感染、BUN増加。
15). 生殖系及び乳房障害:(5%未満)乳房痛、腟出血、腟分泌物、(頻度不明)腟乾燥。
16). 全身障害:(5%未満)疲労、けん怠感、口渇、胸痛、上肢浮腫、全身浮腫、(頻度不明)熱感、脱力、発熱、粘膜乾燥、腫瘍疼痛。
高齢者
一般に高齢者では生理機能が低下しており、副作用があらわれやすい。
授乳婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。海外において、適応外として妊娠前及び妊娠中に本剤を投与された患者で奇形を有する児を出産したとの報告がある。動物実験(ラット)においては、胎仔死亡及び催奇形性(ドーム状頭部癒合及び椎体癒合)並びに分娩障害が観察されており、また、動物実験(ラット)で胎仔への移行が認められている〔2.1、9.4生殖能を有する者の項参照〕。
授乳中の女性へは投与しないこと。やむを得ず投与する場合は授乳を避けさせること(動物実験(ラット)で乳汁移行が認められており、また、動物実験(ラット)で授乳期に本剤を母動物に投与した場合、雄出生仔の生殖能低下が観察されている)〔2.2参照〕。
適用上の注意
14.1. 薬剤交付時の注意PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
閉経後健康女性(12例)にレトロゾール2.5mgを空腹時に単回経口投与したとき、血漿中濃度は次のように推移した。
→図表を見る(PDF)


16.1.2 反復投与
閉経後健康女性(10例)に、レトロゾール2.5mgを1日1回、反復投与したときの血漿中薬物濃度は、投与回数が増えるにしたがって徐々に上昇し、投与4週間でほぼ一定値に近づいた。初回投与に対する4週後投与のAUC0-24比(累積係数)は7.2であった。
また、閉経後乳癌女性患者(31例)にレトロゾール2.5mgを1日1回反復経口投与したときの血漿中トラフ濃度は、投与4週目以降ほぼ一定値で推移し、定常状態であると考えられた。
図1 閉経後健康女性(10例)にレトロゾール2.5mgを4週間反復経口投与したときの血漿中薬物濃度の推移(平均値+標準偏差)

図2 閉経後乳癌患者(31例)にレトロゾール2.5mgを反復投与したときの血漿中トラフ濃度の推移(平均値+標準偏差、例数は図中に表示)

16.1.3 生物学的同等性試験
レトロゾール錠2.5mg「明治」とフェマーラ錠2.5mgを、クロスオーバー法によりそれぞれ1錠(レトロゾールとして2.5mg)閉経後健康成人女性に絶食単回経口投与して血漿中未変化体濃度を測定し、得られた薬物動態パラメータ(AUC、Cmax)について90%信頼区間法にて統計解析を行った結果、log(0.80)~log(1.25)の範囲内であり、両剤の生物学的同等性が確認された。
図3 2.5mg錠投与時の血漿中レトロゾール濃度推移

表 薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)

血漿中濃度並びにAUC、Cmax等のパラメータは、被験者の選択、体液の採取回数・時間等の試験条件によって異なる可能性がある。
16.2 吸収
閉経後健康女性(12例)にレトロゾール2.5mgを単回経口投与したときの絶対バイオアベイラビリティーは約100%であった(外国人のデータ)。
16.3 分布
ヒトにおけるレトロゾールの血清蛋白結合率は約60%であり(in vitro)、主な結合蛋白はアルブミンである。
16.4 代謝
レトロゾールは薬理学的に不活性のカルビノール体に代謝された後に、グルクロン酸抱合体として主に腎臓から排泄される。
ヒト肝ミクロソームを用いたin vitro試験において、レトロゾールは薬物代謝酵素CYP3A4、CYP2A6によって代謝されることが示唆されている。また、各CYP分子種に対するレトロゾールの阻害効果を検討した結果、CYP2A6及びCYP2C19に対するKi値はそれぞれ0.12μmol/L及び8.5μmol/Lであった。
16.5 排泄
閉経後健康女性(6例)に[14C]レトロゾール2.5mgを単回経口投与したとき、投与後336時間までに投与量の88.2%が尿中に、3.8%が糞中に排泄された。また、尿中から回収された放射能のうち、約5%が未変化体、約63%がカルビノール体のβ‐0‐グルクロン酸抱合体であった(外国人のデータ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 肝機能障害
軽度及び中等度の肝機能障害者(閉経後女性(7例)、Child‐Pugh分類でグレードA及びB)にレトロゾール2.5mgを単回経口投与したときのAUCは、健康者(4例)と比較していずれも有意な増加はみられなかった。一方、重度の肝機能障害者(同(8例)グレードC)でのAUCは、健康者(8例)に比較して約2倍であった(外国人のデータ)。[9.3.1参照]
16.6.2 CYP2A6遺伝多型
閉経後乳癌患者にレトロゾール2.5mgを1日1回反復経口投与したとき、薬物代謝酵素CYP2A6の欠損あるいは活性低下を引き起こす遺伝子型(CYP2A6*4、CYP2A6*7、CYP2A6*9、CYP2A6*10)同士の組み合わせを有する群(SM群)、野生型遺伝子であるCYP2A6*1AあるいはCYP2A6*1Bを有する群(EM群)ともに、血漿中トラフ濃度は投与開始4~8週で定常状態に達したものの、平均血漿中トラフ濃度はEM群に比較してSM群で約2倍高かった。

17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈閉経後乳癌〉
17.1.1 国内第II相試験
抗エストロゲン剤による治療歴のある閉経後乳癌(進行・再発)患者31例を対象に、本剤2.5mgを1日1回経口投与した。「進行・再発乳癌患者における治療効果の判定基準」に基づき効果判定をした結果、奏効率は29.0%(9/31例)で、奏効例に24週間以上不変が継続した例を加えた割合は54.8%(17/31例)であった。(2004年7月までの集計;投与期間の中央値:240日、最長:1120日)
副作用発現頻度は、67.7%(21/31例)であった。主な副作用は、ほてり25.8%(8/31例)、血中コレステロール増加22.6%(7/31例)、ALT増加16.1%(5/31例)、関節痛、頭痛、AST増加各12.9%(4/31例)であった。
17.1.2 国内後期第II相試験(第2次治療)
抗エストロゲン剤に対して無効となった閉経後乳癌(進行・再発)患者57例を対象に、本剤2.5mgを1日1回経口投与した。「進行・再発乳癌患者における治療効果の判定基準」に基づき効果判定をした結果、奏効率は21.1%(12/57例)であった。(2005年4月までの集計;観察期間の中央値:168日、最長:364日)
副作用発現頻度は、57.9%(33/57例)であった。主な副作用は、ほてり15.8%(9/57例)、血中コレステロール増加10.5%(6/57例)であった。
17.1.3 海外第III相試験(タモキシフェンとの比較試験:第1次治療)
閉経後の進行性乳癌患者907例を対象に、本剤群(1日1回2.5mg投与)又はタモキシフェン群(1日1回20mg投与)に無作為に割り付け、二重盲検群間比較試験を実施した。主要評価項目である病状が悪化するまでの期間(Time to progression:TTP)の中央値は本剤群で9.4ヵ月、タモキシフェン群で6.0ヵ月であった。TTPのハザード比は0.72(95%信頼区間:0.62~0.83、p<0.0001)であり、本剤群はタモキシフェン群と比較して病状が悪化するリスクを約30%低下させた。また、副次的評価項目である奏効率は本剤群で32%(145/453例)、タモキシフェン群で21%(95/454例)であった。奏効率のオッズ比は、タモキシフェン群に対して1.78倍(95%信頼区間:1.32~2.40、p=0.0002)でありレトロゾール群が有意に優れていた。なお、第1次治療が適さなくなった時点でクロスオーバーを可とし6ヵ月毎に生存率を検討したところ、24ヵ月までの生存率では本剤群はタモキシフェン群に比べ有意に高かった(p=0.0010~0.0246)。
本剤投与群の副作用発現頻度は、40.9%(186/455例)であった。主な副作用は、ほてり16.7%(76/455例)、嘔気6.6%(30/455例)、脱毛症5.5%(25/455例)、疲労2.6%(12/455例)、便秘2.4%(11/455例)、嘔吐2.2%(10/455例)、頭痛2.2%(10/455例)、多汗2.0%(9/455例)であった。
17.1.4 海外第III相試験(タモキシフェンとの比較試験:術後補助療法(初期治療))
ホルモン受容体陽性の閉経後早期乳癌女性における術後補助療法の初期治療として、本剤群(1日1回2.5mg投与)又はタモキシフェン群(1日1回20mg投与)に無作為に割り付け、二重盲検群間比較試験を実施した(観察期間の中央値;25.8ヵ月)。主要評価項目である無病生存率(Disease Free Survival:DFS)に関して本剤群は4,003例中351例が再発したのに対して、タモキシフェン群では4,007例中428例が再発し、本剤群はタモキシフェン群と比較して再発のリスクを相対的に19%低下させ(ハザード比0.81、95%信頼区間:0.70~0.93、p=0.003)、5年時点でのDFSは本剤群で84.0%、タモキシフェン群で81.4%であった(絶対差2.6%)。また、乳癌の重要な予後因子である腋窩リンパ節転移陽性例において、本剤群はタモキシフェン群と比較して再発のリスクを相対的に29%低下させ(ハザード比0.71、95%信頼区間:0.59~0.85、p<0.001)、5年時点でのリンパ節転移陽性例におけるDFSは本剤群で77.9%、タモキシフェン群で71.4%であった(絶対差6.5%)。副次的評価項目である全生存率において両群間に統計学的有意差は認められなかったものの(ハザード比0.86、95%信頼区間:0.70~1.06、p=0.15)、遠隔転移の発生のリスクを相対的に27%低下させた(ハザード比0.73、95%信頼区間:0.60~0.88、p=0.001)。
17.1.5 海外第III相試験(プラセボとの比較試験:術後補助療法(逐次治療))
乳房切除術後にタモキシフェンによる術後補助療法を受けた原発性乳癌患者5,170例を対象に、本剤群(1日1回2.5mg投与)又はプラセボ群に無作為に割り付け、二重盲検群間比較試験を実施した(観察期間の中央値;30ヵ月、範囲;1.5~61.4ヵ月)。主要評価項目であるDFSに関して、本剤群は2,583例中92例が再発したのに対して、プラセボ群では2,587例中155例が再発し、本剤群はプラセボ群と比較して再発のリスクを相対的に42%低下させ(ハザード比0.58、95%信頼区間:0.45~0.76、p<0.001)、4年時点でのDFSは本剤群で94.4%、プラセボ群で89.8%であった(絶対差4.6%)。また、副次的評価項目である全生存率については、本剤群は2,583例中51例が死亡したのに対して、プラセボ群では2,587例中62例が死亡し、両群間に統計学的有意差は認められず(ハザード比0.82、95%信頼区間:0.57~1.19、p=0.3)、4年時点での全生存率は本剤群で95.4%、プラセボ群で95.0%であった(絶対差0.4%)。しかしながら、腋窩リンパ節転移陽性例において本剤群はプラセボ群と比較して死亡のリスクを相対的に39%低下させた(ハザード比0.61、95%信頼区間:0.38~0.98、p=0.04)。更に、遠隔転移発生のリスクを相対的に40%低下させ(ハザード比0.60、95%信頼区間:0.43~0.84、p=0.002)、4年時点での無遠隔転移生存率は、本剤群で96.6%、プラセボ群で93.7%であった(絶対差2.9%)。

18.1 作用機序
レトロゾールはアロマターゼの活性を競合的に阻害することにより、アンドロゲンからのエストロゲン生成を阻害し、乳癌の増殖を抑制する。閉経前の女性では、エストロゲン生成阻害の結果、FSH(卵胞刺激ホルモン)分泌が誘導され、卵巣内においてアンドロゲンが蓄積する。FSH及びアンドロゲンの作用により卵巣が刺激され卵胞発育が促進される。
18.2 アロマターゼ阻害作用
18.2.1 レトロゾールは、ヒト胎盤ミクロソーム画分から調製したアロマターゼの活性を、競合的に阻害した(Ki値=2.1nM)(in vitro)。また、幼若ラットにおけるアンドロステンジオン誘発の子宮肥大は、卵巣アロマターゼを介して産生されるエストロゲンに依存するが、レトロゾールは0.3μg/kg/日以上の用量でこの子宮肥大を抑制した。
18.2.2 閉経後進行・再発乳癌患者にレトロゾール1日1回2.5mgを反復投与したとき、アロマターゼ活性は定量下限値(99.1%)まで阻害された。
18.3 血漿中エストロゲン濃度抑制作用
閉経後進行・再発乳癌患者にレトロゾール1日1回2.5mgを連日経口投与することにより、血漿中エストラジオール濃度は投与前値(幾何平均3.55pg/mL)に対し、投与4週時点で定量下限値(1.21pg/mL)付近まで、血漿中エストロン濃度も投与前値(幾何平均13.16pg/mL)に対し、投与4週時点で定量下限値(9.90pg/mL)まで低下し、投与期間中いずれもその効果は持続した。
18.4 抗腫瘍効果
ラットのNMU(N‐ニトロソ‐N‐メチルウレア)誘発乳腺腫瘍及びDMBA(7、12‐ジメチルベンツアントラセン)誘発乳腺腫瘍に対し、レトロゾールは0.01mg/kg/日以上の連続経口投与(42日間)により、有意に腫瘍増殖を抑制した。また、0.003mg/kg/日以上の経口投与で、新たな腫瘍形成を抑制した(投与終了時)。
18.5 その他
18.5.1 ハムスター卵巣切片(in vitro)を用いた試験において、レトロゾールはLH刺激によるエストラジオール産生を抑制したが、プロゲステロン産生については顕著な作用を示さなかった。また、ラット副腎切片(in vitro)においてレトロゾールは、ACTH刺激によるアルドステロン及びコルチコステロン産生に対して顕著な作用を示さなかった。
18.5.2 レトロゾール1.0mg/kgの14日間経口投与により、成熟ラットの子宮重量は卵巣摘出ラットの水準まで減少した。また、レトロゾールは、ACTH刺激した雄性ラットの血漿コルチコステロン濃度及びアルドステロン濃度に対し影響を及ぼさなかった。

一包可:不可

抗悪性腫瘍剤

分割:不可
粉砕:不明

抗悪性腫瘍剤

製造販売会社
MeijiSeikaファルマ
販売会社
 

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