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タシグナカプセル150mg

販売名
タシグナカプセル150mg
識別コード
NVR BCR
薬価
150mg1カプセル 2257.00円
製造メーカー
ノバルティス ファーマ

添付文書情報2023年07月改定(第3版)

商品情報

薬効分類名
その他の抗悪性腫瘍用剤
一般名
ニロチニブ塩酸塩水和物カプセル
規制区分
  • 特生
  • 特承
  • 覚原
警告
1.1. 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、本剤による治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
1.2. 本剤投与後にQT間隔延長が認められており、心タンポナーデによる死亡も報告されているので、患者の状態を十分に観察すること〔7.4.2、8.2、9.1.2、9.1.3、10.2、11.1.2参照〕。
禁忌
2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。
効能・効果
慢性期慢性骨髄性白血病又は移行期慢性骨髄性白血病。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 染色体検査又は遺伝子検査により慢性骨髄性白血病と診断された患者に使用すること。
5.2. 「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
5.3. イマチニブ抵抗性慢性骨髄性白血病患者に対する本剤の投与は、イマチニブで効果不十分又はイマチニブに忍容性のない患者を対象とすること。
用法・用量
通常、成人にはニロチニブとして1回400mgを食事の1時間以上前又は食後2時間以降に1日2回、12時間毎を目安に経口投与する。ただし、初発の慢性期の慢性骨髄性白血病の場合には、1回投与量は300mgとする。なお、患者の状態により適宜減量する。
通常、小児には体表面積に合わせて次の投与量(ニロチニブとして1回約230mg/㎡)を食事の1時間以上前又は食後2時間以降に1日2回、12時間毎を目安に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
1). 体表面積0.32㎡以下:1回投与量50mg。
2). 体表面積0.33~0.54㎡:1回投与量100mg。
3). 体表面積0.55~0.76㎡:1回投与量150mg。
4). 体表面積0.77~0.97㎡:1回投与量200mg。
5). 体表面積0.98~1.19㎡:1回投与量250mg。
6). 体表面積1.20~1.41㎡:1回投与量300mg。
7). 体表面積1.42~1.63㎡:1回投与量350mg。
8). 体表面積1.64㎡以上:1回投与量400mg。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 成人における本剤の用法・用量は、「17.臨床成績」の項の内容を熟知した上で、患者の状態や化学療法歴に応じて選択すること。
7.2. 他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
7.3. 食後に本剤を投与した場合、本剤の血中濃度増加するとの報告がある。食事の影響を避けるため食事の1時間前から食後2時間までの間の服用は避けること〔16.2.1参照〕。
7.4. 副作用により、本剤を休薬、減量又は中止する場合には、副作用の症状、重症度等に応じて次の基準を考慮すること。
7.4.1. 血液系の副作用と投与量調節の基準:白血病に関連しない好中球減少、血小板減少、貧血(ヘモグロビン低下)が認められた場合は、次を参考に投与量を調節すること〔11.1.1参照〕。
1). 300mg1日2回投与中の初発慢性期慢性骨髄性白血病<CML>:好中球数1000/mm3未満又は血小板数50000/mm3未満又はヘモグロビン8.0g/dL未満;①好中球数1500/mm3以上又は血小板数75000/mm3以上又はヘモグロビン10.0g/dL以上に回復するまで休薬する、②2週間以内に回復した場合は、300mg1日2回の用量で再開する、③2週間以内に回復しなかった場合は、患者の状態により、400mg1日1回に減量する。
2). 400mg1日2回投与中のイマチニブ抵抗性慢性期CML:好中球数1000/mm3未満又は血小板数50000/mm3未満;①好中球数1000/mm3以上又は血小板数50000/mm3以上に回復するまで休薬する、②2週間以内に回復した場合は、400mg1日2回の用量で再開する、③2週間以内に回復しなかった場合は、患者の状態により、400mg1日1回に減量する。
3). 400mg1日2回投与中のイマチニブ抵抗性移行期CML:好中球数500/mm3未満又は血小板数10000/mm3未満;①好中球数1000/mm3以上又は血小板数20000/mm3以上に回復するまで休薬する、②2週間以内に回復した場合は、400mg1日2回の用量で再開する、③2週間以内に回復しなかった場合は、患者の状態により、400mg1日1回に減量する。
4). 小児のCML:好中球数1000/mm3未満又は血小板数50000/mm3未満;①好中球数1500/mm3以上又は血小板数75000/mm3以上に回復するまで休薬する、②2週間以内に回復した場合は、230mg/㎡1日2回の用量で再開する、③2週間以内に回復しなかった場合は、患者の状態により、230mg/㎡1日1回に減量する、④減量後に再発した場合は、本剤の投与を中止する。
7.4.2. 非血液系の副作用と投与量調節の基準:肝機能検査値上昇(ビリルビン上昇、AST上昇、ALT上昇)、膵機能検査値上昇(リパーゼ上昇)、QT間隔延長及びその他の非血液系副作用が認められた場合は、次を参考に投与量を調節すること〔1.2、8.2、8.5、11.1.2、11.1.10、11.1.11参照〕。
(1). 初発の慢性期の慢性骨髄性白血病
1). 〈初発慢性期慢性骨髄性白血病〉肝機能検査値(ビリルビン、AST、ALT):ビリルビン値が施設正常値上限の1.5倍超かつ3倍以下又はAST値が施設正常値上限の2.5倍超かつ5倍以下、ALT値が施設正常値上限の2.5倍超かつ5倍以下;①ビリルビン値が施設正常値上限の1.5倍未満に、AST、ALT値が2.5倍未満に低下するまで本剤を休薬する、②300mg1日2回の用量で再開する。
2). 〈初発慢性期慢性骨髄性白血病〉肝機能検査値(ビリルビン、AST、ALT):ビリルビン値が施設正常値上限の3倍超又はAST値が施設正常値上限の5倍超、ALT値が施設正常値上限の5倍超の場合;①ビリルビン値が施設正常値上限の1.5倍未満に、AST、ALT値が2.5倍未満に低下するまで本剤を休薬する、②400mg1日1回に減量して再開する。
3). 〈初発慢性期慢性骨髄性白血病〉膵機能検査値(リパーゼ):リパーゼ値が施設正常値上限の2倍超;①リパーゼ値が施設正常値上限の1.5倍未満に低下するまで本剤を休薬する、②400mg1日1回に減量して再開する。
4). 〈初発慢性期慢性骨髄性白血病〉QT間隔延長:QT間隔480msec以上の延長;①本剤を休薬する、②2週間以内に、450msec未満かつベースライン値からの延長が20msec以内に回復した場合は、300mg1日2回の用量で再開する、2週間の休薬以降も、450msec以上の場合は、本剤の投与を中止する、③投与を再開した後に、再度、450msec以上の延長が認められた場合は、本剤の投与を中止する。
〈初発慢性期慢性骨髄性白血病〉その他のグレード2の非血液系副作用が発現した場合は、グレード1以下に回復するまで、本剤を休薬し、投与を再開する場合には、300mg1日2回の用量で再開する。
〈初発慢性期慢性骨髄性白血病〉その他のグレード3以上の非血液系副作用が発現した場合は、グレード1以下に回復するまで、本剤を休薬し、投与を再開する場合には、400mg1日1回に減量するなど注意すること(グレードはNCI-CTCに準じる)。
(2). イマチニブ抵抗性の慢性期又は移行期の慢性骨髄性白血病
1). 〈イマチニブ抵抗性慢性期又は移行期慢性骨髄性白血病〉肝機能検査値(ビリルビン、AST、ALT):ビリルビン値が施設正常値上限の3倍超又はAST値が施設正常値上限の5倍超、ALT値が施設正常値上限の5倍超;①ビリルビン値が施設正常値上限の1.5倍未満に、AST、ALT値が2.5倍未満に低下するまで本剤を休薬する、②400mg1日1回に減量して再開する。
2). 〈イマチニブ抵抗性慢性期又は移行期慢性骨髄性白血病〉膵機能検査値(リパーゼ):リパーゼ値が施設正常値上限の2倍超;①リパーゼ値が施設正常値上限の1.5倍未満に低下するまで本剤を休薬する、②400mg1日1回に減量して再開する。
3). 〈イマチニブ抵抗性慢性期又は移行期慢性骨髄性白血病〉QT間隔延長:QT間隔480msec以上の延長の場合;①本剤を休薬する、②2週間以内に、450msec未満かつベースライン値からの延長が20msec以内に回復した場合は、400mg1日2回の用量で再開する、2週間の休薬以降も、450msec以上480msec未満の場合は、400mg1日1回に減量して再開する、③400mg1日1回に減量して再開した後に、再度、480msec以上の延長が認められた場合は、本剤の投与を中止する。
〈イマチニブ抵抗性慢性期又は移行期慢性骨髄性白血病〉その他のグレード3以上の非血液系副作用が発現した場合は、グレード1以下に回復するまで、本剤を休薬し、投与を再開する場合には、400mg1日1回に減量するなど注意すること(グレードはNCI-CTCに準じる)。
(3). 小児の慢性骨髄性白血病
1). 〈小児の慢性骨髄性白血病〉肝機能検査値(ビリルビン、AST、ALT):ビリルビン値が施設正常値上限の1.5倍超又はAST値が施設正常値上限の5倍超、ALT値が施設正常値上限の5倍超;①ビリルビン値については施設正常値上限の1.5倍未満、AST、ALT値については3倍未満に低下するまで本剤を休薬する、②休薬前に230mg/㎡1日2回を投与していた場合は、230mg/㎡1日1回に減量して再開する、休薬前に230mg/㎡1日1回を投与していた場合は、4週間以内に①の値まで回復しなければ本剤の投与を中止する。
2). 〈小児の慢性骨髄性白血病〉膵機能検査値(リパーゼ):リパーゼ値が施設正常値上限の2倍超;①リパーゼ値が施設正常値上限の1.5倍未満に低下するまで本剤を休薬する、②休薬前に230mg/㎡1日2回を投与していた場合は、230mg/㎡1日1回に減量して再開する、休薬前に230mg/㎡1日1回を投与していた場合は、本剤の投与を中止する。
3). 〈小児の慢性骨髄性白血病〉QT間隔延長:QT間隔480msec以上の延長;①本剤を休薬する、②2週間以内に450msec未満かつベースライン値からの延長が20msec以内に回復した場合、休薬前に230mg/㎡1日2回を投与していた場合230mg/㎡1日1回に減量して再開する、休薬前に230mg/㎡1日1回を投与していた場合本剤の投与を中止する、2週間の休薬以降も、450msec以上の場合は、本剤の投与を中止する、③投与を再開した後に、再度、450msec以上の延長が認められた場合は、本剤の投与を中止する。
〈小児の慢性骨髄性白血病〉その他のグレード2以上の非血液系副作用が発現した場合(グレード2の皮疹<初回発現時は適切な治療を行っても回復しない場合>、グレード3以上の下痢、グレード3以上の嘔吐が発現した場合)は、グレード1以下に回復するまで、本剤を休薬し、投与を再開する場合には、休薬前に230mg/㎡1日2回を投与していた場合は、230mg/㎡1日1回に減量して再開し、休薬前に230mg/㎡1日1回を投与していた場合は、本剤の投与を中止すること(グレードはNCI-CTCに準じる)。
生殖能を有する者
8.1. 血小板減少、好中球減少、貧血があらわれることがあるので、定期的に血液検査(血球数算定、白血球分画等)を行うこと(血液検査を投与開始前と投与後の2ヵ月間は2週毎、その後は1ヵ月毎に行い、また必要に応じて追加すること)、これらの血球減少はイマチニブ抵抗性の慢性骨髄性白血病患者において頻度が高く、また慢性期に比べ移行期の慢性骨髄性白血病患者での頻度が高い〔11.1.1参照〕。
8.2. QT間隔延長があらわれることがあるので、本剤投与開始前には、心電図検査を行い、また、本剤投与中は適宜心電図検査等を行うこと〔1.2、7.4.2、9.1.2、9.1.3、10.2、11.1.2参照〕。
8.3. 外国において、本剤投与後の突然死が、心疾患又はその既往歴、心リスク因子のある患者で報告されている(QT間隔延長が寄与因子の可能性がある)〔11.1.2、11.1.3参照〕。
8.4. 体液貯留があらわれることがあるので、体重を定期的に測定するなど観察を十分に行うこと〔11.1.12参照〕。
8.5. 血中ビリルビン増加、肝トランスアミナーゼ増加、リパーゼ増加があらわれることがあるので、肝機能や膵酵素に関する血液検査を定期的に行うこと〔7.4.2、9.1.4、9.3肝機能障害患者の項、11.1.10、11.1.11参照〕。
8.6. Bcr-Ablチロシンキナーゼ阻害剤の投与によりB型肝炎ウイルス再活性化があらわれることがあるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス感染の有無を確認し、本剤投与前に適切な処置を行うこと〔9.1.6、11.1.9参照〕。
8.7. 感染症があらわれることがあるので、定期的に血液検査を実施するなど観察を十分に行うこと〔11.1.9参照〕。
8.8. 高血糖があらわれることがあるため、本剤投与中は、定期的に血糖値の測定を行うこと〔11.1.6参照〕。
8.9. めまい、霧視・視力低下等の視力障害等があらわれることがあるので、このような場合には、高所作業、自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意すること。
8.10. 頭蓋内出血、消化管出血、後腹膜出血があらわれることがあるので、定期的に血液検査を実施するなど観察を十分に行うこと〔11.1.8参照〕。
8.11. 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること〔11.1.16参照〕。
9.1.1. 心疾患又はその既往歴のある患者:心疾患が悪化するおそれがある〔11.1.3参照〕。
9.1.2. QT間隔延長のおそれ又はその既往歴のある患者:QT間隔延長が起こるおそれがある〔1.2、8.2、11.1.2参照〕。
9.1.3. 電解質異常のある患者(低カリウム血症又は低マグネシウム血症等):投与開始前に必ず電解質の補正を行い、定期的に血液検査を実施すること(QT間隔延長を起こすおそれがある)〔1.2、8.2、11.1.2参照〕。
9.1.4. 膵炎又はその既往歴のある患者:膵炎が悪化又は再発するおそれがある〔8.5、11.1.11参照〕。
9.1.5. イマチニブに忍容性のない患者:前治療の副作用の内容を確認し、イマチニブに忍容性のない患者に本剤を投与する際には、慎重に経過観察を行い、副作用の発現に注意すること(イマチニブの投与中止の原因となった副作用と同様の副作用が発現するおそれがある)。
9.1.6. B型肝炎ウイルスキャリアの患者又はB型肝炎既往感染者(HBs抗原陰性かつHBc抗体陽性又はHBs抗原陰性かつHBs抗体陽性):本剤の投与開始後は継続して肝機能検査や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルス再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。Bcr-Ablチロシンキナーゼ阻害剤の投与によりB型肝炎ウイルスの再活性化があらわれることがある〔8.6、11.1.9参照〕。
肝機能障害が悪化するおそれがある(また、肝機能障害により本剤の血中濃度が上昇するとの報告がある)〔8.5、16.6.1参照〕。
妊娠可能な女性:妊娠可能な女性に対しては、投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること〔9.5妊婦の項参照〕。
相互作用
本剤は主に代謝酵素CYP3A4及び一部CYP2C8で代謝され、またP糖蛋白(Pgp)の基質であることから、本剤の吸収と消失はCYP3A4又はPgpに影響を及ぼす薬剤により影響を受けると考えられる。
10.2. 併用注意:1). CYP3A4を阻害する薬剤等(アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール、ボリコナゾール等)、リトナビル、クラリスロマイシン、グレープフルーツジュース等)[本剤の血中濃度が上昇することがあるため、CYP3A4阻害作用がない又は弱い薬剤への代替を考慮し、併用する場合は、観察を十分に行いQT間隔延長等に注意すること(これらの薬剤等はCYP3A4活性を阻害することにより、本剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性がある)。また、本剤とアゾール系抗真菌剤(ケトコナゾール:国内未発売の経口剤)との併用により、本剤のCmax及びAUCはそれぞれ1.8倍及び3倍に上昇したとの報告がある(これらの薬剤等はCYP3A4活性を阻害することにより、本剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性がある)]。
2). CYP3A4を誘導する薬剤等(フェニトイン、リファンピシン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、デキサメタゾン、セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品(St.John’s Wort)等)[本剤の血中濃度が低下することがあるため、CYP3A4誘導作用が弱い薬剤への代替を考慮すること(これらの薬剤等はCYP3A4を誘導することにより、本剤の代謝を促進し、血中濃度を低下させる可能性がある)。本剤とリファンピシンの併用により、本剤のCmax及びAUCがそれぞれ1/3及び1/5に低下したとの報告がある(これらの薬剤等はCYP3A4を誘導することにより、本剤の代謝を促進し、血中濃度を低下させる可能性がある)]。
3). CYP3A4により代謝される薬剤(ミダゾラム等)[これらの薬剤の血中濃度が上昇することがある(本剤がこれらの薬剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性がある)。本剤とミダゾラムの併用により、ミダゾラムのCmax及びAUCはそれぞれ2.0倍及び2.6倍に上昇したとの報告がある(本剤がこれらの薬剤の代謝を阻害し、血中濃度を上昇させる可能性がある)]。
4). CYP3A4・P糖蛋白の基質及びCYP3A4・P糖蛋白を阻害する薬剤(イマチニブ等)[本剤及びこれらの薬剤の血中濃度が上昇することがある(これらの薬剤がCYP3A4及びP糖蛋白の活性を阻害して本剤の血中濃度を上昇させる可能性、及び本剤がCYP3A4及びP糖蛋白の活性を阻害してこれらの薬剤の血中濃度を上昇させる可能性がある)。本剤とイマチニブの併用により、イマチニブのAUCは18~39%上昇、本剤のAUCは18~40%上昇したとの報告がある(これらの薬剤がCYP3A4及びP糖蛋白の活性を阻害して本剤の血中濃度を上昇させる可能性、及び本剤がCYP3A4及びP糖蛋白の活性を阻害してこれらの薬剤の血中濃度を上昇させる可能性がある)]。
5). 抗不整脈剤(アミオダロン、ジソピラミド、プロカインアミド、キニジン、ソタロール等)、QT間隔延長を起こすおそれのある他の薬剤(クラリスロマイシン、ハロペリドール、モキシフロキサシン、ベプリジル、ピモジド等)〔1.2、8.2、11.1.2参照〕[QT間隔延長を起こす又は悪化させるおそれがあるため、観察を十分に行うこと(共にQT間隔延長の副作用を有するため)]。
6). 胃内のpHを上昇させる薬剤(プロトンポンプ阻害剤等)[本剤の吸収が低下することがある(本剤とエソメプラゾールの併用で本剤のCmax及びAUCは27%及び34%減少したとの報告があり、なお、ファモチジン、制酸剤については、本剤と服用時間をずらすことで、本剤のCmax及びAUCに影響はなかったとの報告がある(ファモチジン:本剤投与10時間前及び2時間後に投与、制酸剤:本剤投与2時間前又は2時間後に投与))(本剤の溶解度はpHの上昇により低下するため)]。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 骨髄抑制:汎血球減少(0.3%)、好中球減少(14.5%)、白血球減少(8.6%)、血小板減少(20.4%)、貧血(11.1%)があらわれることがある。血小板減少、好中球減少、貧血があらわれた場合には休薬、減量又は中止し、必要に応じてG-CSF製剤の投与、輸血を考慮すること〔7.4.1、8.1参照〕。
11.1.2. QT間隔延長(3.1%)〔1.2、7.4.2、8.2、8.3、9.1.2、9.1.3、10.2参照〕。
11.1.3. 心筋梗塞(1.1%)、狭心症(1.4%)、心不全(0.3%):症状や徴候がみられた場合には速やかに検査を行うこと〔8.3、9.1.1参照〕。
11.1.4. 末梢動脈閉塞性疾患(0.9%):閉塞性動脈硬化症、末梢性虚血、四肢動脈血栓症等の末梢動脈閉塞性疾患があらわれることがあり、壊死に至った例が報告されているので、観察を十分に行い、間欠性跛行、疼痛、冷感、しびれ等が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
11.1.5. 脳梗塞(頻度不明)、一過性脳虚血発作(0.3%)。
11.1.6. 高血糖(6.8%)〔8.8参照〕。
11.1.7. 心膜炎(0.2%)。
11.1.8. 出血(頭蓋内出血(頻度不明)、消化管出血(0.2%)、後腹膜出血(頻度不明)):出血性ショックに至ることがある〔8.10参照〕。
11.1.9. 感染症:肺炎(0.5%)、敗血症(0.2%)等の感染症があらわれることがある。また、B型肝炎ウイルス再活性化があらわれることがある〔8.6、8.7、9.1.6参照〕。
11.1.10. 肝炎(0.2%)、肝機能障害(4.8%)、黄疸(0.6%)〔7.4.2、8.5参照〕。
11.1.11. 膵炎(2.0%)〔7.4.2、8.5、9.1.4参照〕。
11.1.12. 体液貯留(胸水(0.5%)、肺水腫(頻度不明)、心嚢液貯留(0.3%)、うっ血性心不全(頻度不明)、心タンポナーデ(0.2%)):急激な体重増加、呼吸困難等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと〔8.4参照〕。
11.1.13. 間質性肺疾患(0.2%)。
11.1.14. 脳浮腫(頻度不明)。
11.1.15. 消化管穿孔(頻度不明)。
11.1.16. 腫瘍崩壊症候群(頻度不明):異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること〔8.11参照〕。
11.2. その他の副作用
1). 皮膚:(1%以上)発疹(41.4%)、皮膚そう痒症(15.6%)、脱毛症(11.4%)、皮膚乾燥(9.7%)、紅斑、皮膚炎、湿疹、皮膚色素過剰、多汗症、寝汗、皮膚剥脱、皮膚過角化、(0.5%~1%未満)蕁麻疹、挫傷、皮膚乳頭腫、皮膚疼痛、ざ瘡、(0.5%未満)斑状出血、光線過敏、皮膚水疱、結節性紅斑、皮膚嚢腫、皮膚萎縮、脂腺過形成、皮膚肥厚、皮膚変色、顔面腫脹、剥脱性発疹、多形紅斑、(頻度不明)手足症候群、点状出血、皮膚潰瘍。
2). 精神障害:(1%以上)不眠症、(0.5%~1%未満)不安、うつ病、(0.5%未満)不快気分、錯乱状態、失見当識。
3). 神経系障害:(1%以上)頭痛(20.8%)、浮動性めまい、感覚鈍麻、味覚異常、末梢性ニューロパチー、(0.5%~1%未満)片頭痛、嗜眠、錯感覚、意識消失、失神、振戦、(0.5%未満)健忘、知覚過敏、異常感覚、下肢静止不能症候群、(頻度不明)注意力障害、視神経炎、顔面神経麻痺。
4). 眼:(1%以上)眼乾燥、結膜炎、眼瞼浮腫、眼そう痒症、眼充血、(0.5%~1%未満)光視症、結膜出血、眼痛、視力低下、眼窩周囲浮腫、(0.5%未満)眼瞼炎、眼刺激、網脈絡膜症、強膜充血、結膜充血、オキュラーサーフェス疾患、霧視、視力障害、眼出血、(頻度不明)複視、眼部腫脹、視神経乳頭浮腫、羞明。
5). 耳・迷路障害:(1%以上)回転性めまい、(0.5%未満)聴覚障害、耳痛、(頻度不明)耳鳴。
6). 筋・骨格系:(1%以上)筋骨格痛(17.1%)、関節痛(8.6%)、筋痙縮(8.3%)、背部痛、(0.5%~1%未満)筋骨格硬直、筋力低下、(0.5%未満)関節炎、側腹部痛、(頻度不明)関節腫脹、投与中止に伴う筋骨格系疼痛。
7). 消化器:(1%以上)悪心(18.1%)、上腹部痛(8.8%)、嘔吐(9.0%)、便秘(7.9%)、下痢(7.6%)、腹痛(5.6%)、消化不良、腹部膨満、鼓腸、腹部不快感、胃腸炎、(0.5%~1%未満)口内炎、口内乾燥、痔核、胃食道逆流、(0.5%未満)食道痛、胃潰瘍、裂孔ヘルニア、メレナ、歯肉炎、歯知覚過敏、口腔内潰瘍形成、潰瘍性食道炎、(頻度不明)吐血、亜イレウス。
8). 肝臓:(1%以上)ビリルビン増加(29.9%)、ALT増加(26.4%)、AST増加(14.5%)、ALP増加、γ-GTP増加、(0.5%未満)肝腫大、(頻度不明)胆汁うっ滞。
9). 呼吸器:(1%以上)呼吸困難、咳嗽、(0.5%~1%未満)鼻出血、(0.5%未満)発声障害、胸膜炎、肺高血圧症、口腔咽頭痛、(頻度不明)胸膜痛、咽喉刺激感、喘鳴。
10). 心臓障害:(1%以上)動悸、(0.5%~1%未満)心房細動、頻脈、冠動脈疾患、徐脈、期外収縮、(0.5%未満)駆出率減少、心拡大、チアノーゼ、房室ブロック、不整脈、(頻度不明)心雑音。
11). 血液:(1%以上)リンパ球減少症、(0.5%~1%未満)発熱性好中球減少症、好酸球増加症、(0.5%未満)血小板血症、白血球増加症。
12). 血管障害:(1%以上)高血圧、潮紅、(0.5%~1%未満)低血圧、(0.5%未満)血腫、血栓症、(頻度不明)高血圧クリーゼ。
13). 腎臓:(1%以上)血中クレアチニン増加、(0.5%~1%未満)BUN増加、(0.5%未満)頻尿、排尿困難、着色尿、血尿、(頻度不明)尿意切迫、尿失禁、腎不全。
14). 生殖器:(0.5%~1%未満)女性化乳房、勃起不全、(0.5%未満)月経過多、乳頭腫脹、乳房硬結、乳房痛。
15). 感染症:(1%以上)毛包炎、鼻咽頭炎、ヘルペスウイルス感染、(0.5%~1%未満)気道感染、気管支炎、カンジダ症、(0.5%未満)せつ、皮下組織膿瘍、肛門膿瘍、足部白癬、(頻度不明)尿路感染。
16). 内分泌障害:(0.5%未満)甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、続発性副甲状腺機能亢進症、(頻度不明)甲状腺炎。
17). 代謝障害:(1%以上)高コレステロール血症(5.4%)、糖尿病、食欲不振、高尿酸血症、脂質異常症、高トリグリセリド血症、(0.5%未満)痛風、低血糖、(頻度不明)脱水、食欲亢進。
18). 全身障害:(1%以上)疲労(10.8%)、無力症(6.6%)、末梢性浮腫(5.6%)、発熱、顔面浮腫、けん怠感、悪寒、胸部不快感、胸痛、疼痛、(0.5%未満)過敏症、熱感、重力性浮腫、限局性浮腫、口腔乳頭腫、冷感、(頻度不明)インフルエンザ様疾患。
19). 臨床検査:(1%以上)低リン酸血症(14.8%)、リパーゼ増加(10.5%)、血中アミラーゼ増加(6.2%)、低カリウム血症、低カルシウム血症、体重増加、体重減少、(0.5%~1%未満)低マグネシウム血症、低ナトリウム血症、血中インスリン増加、血中非抱合ビリルビン増加、CK増加、超低比重リポ蛋白増加(VLDL増加)、高カリウム血症、高カルシウム血症、(0.5%未満)血中副甲状腺ホルモン増加、トロポニン増加、LDH増加、(頻度不明)高リン酸血症。
高齢者
患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下している)。
授乳婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと(動物実験(ラット、ウサギ)において、母動物に毒性を示す用量で胚毒性・胎仔毒性(吸収胚数増加、胎仔体重減少、外表変異及び骨格変異)が認められたとの報告がある)〔2.2、9.4生殖能を有する者の項参照〕。
授乳しないことが望ましい(動物実験(ラット)で乳汁中へ移行したとの報告がある)。
小児等
9.7.1. 低出生体重児、新生児、乳児又は2歳未満の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。
9.7.2. 臨床試験において、本剤が投与された2~18歳未満の患者に、成長遅延の傾向が認められた。
適用上の注意
14.1. 薬剤交付時の注意PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
その他の注意
15.2. 非臨床試験に基づく情報RasH2トランスジェニックマウスを用いた26週間がん原性試験において、AUC比較で臨床曝露量の約30倍に相当する300mg/kg/日の用量で経口投与したところ、皮膚乳頭腫、皮膚癌が認められたとの報告がある。

16.1 血中濃度
16.1.1 反復投与
(1)初発の慢性期の慢性骨髄性白血病
初発の慢性期の慢性骨髄性白血病日本人患者(8例)にニロチニブ300mgを1日2回(1日用量として600mg)反復経口投与したときの定常状態(投与開始8日目以降)でのCmax及びAUC0-12はそれぞれ1,292ng/mL及び11,032ng・h/mLであった。
初発の慢性期の慢性骨髄性白血病日本人患者にニロチニブを1日2回反復経口投与したときの血清中薬物動態パラメータ
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初発の慢性期の慢性骨髄性白血病日本人患者にニロチニブ300mgを1日2回反復経口投与したときの血清中ニロチニブ濃度推移(平均値+標準偏差)

(2)イマチニブ抵抗性の慢性期又は移行期の慢性骨髄性白血病
イマチニブで効果不十分又はイマチニブに忍容性のない慢性期、移行期、急性期注1)の慢性骨髄性白血病及びフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病注1)の日本人患者(42例)にニロチニブ200mgを1日1回注2)、400mgを1日1回注2)又は400mgを1日2回(1日用量として800mg)反復経口投与したとき、投与開始6日目には定常状態に到達し、AUCは投与初日のそれぞれ2.1倍、2.0倍及び2.6倍となった。400mgを1日1回投与したときのCmax及びAUCは、200mgを1日1回投与したときの2倍であった。また、400mgを1日2回投与したときの定常状態における1日あたりのAUC(AUC0-12を2倍したもの)は、400mgを1日1回投与したときの1.8倍であり、概ね1日用量に比例して増加した。
イマチニブ抵抗性の慢性期、移行期、急性期の慢性骨髄性白血病及びフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病の日本人患者にニロチニブを1日1回又は1日2回反復経口投与したときの血清中薬物動態パラメータ
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イマチニブ抵抗性の慢性期、移行期、急性期の慢性骨髄性白血病及びフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病の日本人患者にニロチニブ400mgを1日2回反復経口投与したときの血清中ニロチニブ濃度推移(平均値+標準偏差)

16.2 吸収
ニロチニブの絶対バイオアベイラビリティに関するデータは得られていないが、健康成人に14C‐標識ニロチニブを経口投与したとき、放射能の68.5%が未変化体として糞中に回収されたことから、ニロチニブが消化管では代謝されず、また吸収されたニロチニブは未変化体として消化管に排泄されないと仮定したとき、ヒトにニロチニブを経口投与したときの吸収率は約30%と推定された(外国人のデータ)。
16.2.1 食事の影響
ニロチニブを通常食摂取30分後及び2時間後に投与したとき、Cmaxは空腹時に比べてそれぞれ1.55倍及び1.33倍に増加し、AUCは1.32倍及び1.19倍に増加した。また、高脂肪食摂取30分後に投与したとき、Cmax及びAUCは空腹時に比べてそれぞれ2.12倍及び1.82倍に増加した(外国人のデータ)。
母集団薬物動態解析の結果、胃全摘出及び部分切除を受けた患者では、ニロチニブの吸収(相対バイオアベイラビリティ)がそれぞれ約48%及び22%低下すると推定された。胃を切除していない患者に対する相対バイオアベイラビリティのベイズ推定値(中央値[最小値~最大値])は、胃全摘出を受けた患者(n=14)では53%[27~124%]、部分切除を受けた患者(n=18)では80%[45~193%]であった(外国人のデータ)。[7.3参照]
16.3 分布
ニロチニブの血漿中蛋白結合率は約98%と高く、また濃度に依存しなかった(in vitro)。ニロチニブは血清アルブミン及びα1‐酸性糖蛋白質に結合し、主結合蛋白はα1‐酸性糖蛋白質であると考えられた(in vitro)。ヒト血液中でのニロチニブの血液-血漿中濃度比は0.68であった(in vitro)。
16.4 代謝
健康成人に14C‐標識ニロチニブ400mgを単回注3)経口投与したとき、血清中のニロチニブ由来放射能の87.5%は未変化体であった。主な代謝経路はメチルイミダゾール環のメチル基の水酸化及び水酸基のカルボン酸への更なる酸化であった(外国人のデータ)。
In vitro試験の結果から、ニロチニブの主代謝酵素はCYP3A4であり、CYP2C8も一部寄与すると考えられた。
16.5 排泄
健康成人に14C‐標識ニロチニブを経口投与したとき、投与168時間後までに投与放射能の90%以上が糞中に排泄され、尿中にはニロチニブ及びその代謝物由来の放射能は検出されなかった。したがって、ニロチニブの主排泄経路は糞中であると考えられた。糞中放射能は主に未変化体に由来するものであった(投与量の68.5%)(外国人のデータ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 肝機能障害患者における薬物動態
ニロチニブの血清中濃度は肝機能障害によりわずかに上昇し、軽度(Child‐Pugh分類A)、中等度(Child‐Pugh分類B)及び重度(Child‐Pugh分類C)の肝機能障害を有する被験者にニロチニブを単回経口投与したときのAUCはそれぞれ健康被験者の1.35倍、1.35倍、1.19倍であった。また、単回投与時の血清中濃度推移データを用いて反復投与時の定常状態におけるニロチニブの濃度推移をシミュレーションした結果、軽度、中等度及び重度の肝機能障害を有する被験者における定常状態でのニロチニブのCmaxは、健康被験者に比べてそれぞれ1.29倍、1.18倍、1.22倍になると推定された。肝機能障害によるニロチニブの薬物動態への影響は小さいことから、肝機能障害を有する患者における用量調節の必要はないと考えられる(外国人のデータ)。[9.3参照]
16.6.2 小児患者における薬物動態
小児白血病患者にニロチニブを1回230mg/m2を50mg単位の用量(最大単回投与量400mg)で投与したとき、定常状態における曝露量は、成人患者に400mgを1日2回投与したときと同程度であった。また、母集団薬物動態解析の結果、単回投与時、反復投与時のニロチニブの曝露量は、2歳以上12歳未満の小児患者と12歳以上18歳未満の小児患者とで違いはなかった。
注1)本剤の承認された効能又は効果は、慢性期又は移行期の慢性骨髄性白血病である。
注2)本剤の承認された用法及び用量は、イマチニブ抵抗性の慢性期又は移行期の慢性骨髄性白血病の場合、成人では1回400mgを1日2回である。
注3)本剤の承認された用法及び用量は、成人では1回400mgを1日2回であり、初発の慢性期の慢性骨髄性白血病の場合、1回投与量は300mgである。

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国際共同第III相試験:初発の慢性期の慢性骨髄性白血病(成人)
初発の慢性期の慢性骨髄性白血病患者846例(日本人79例を含む)を対象として、非盲検、ランダム化、実薬対照並行群間比較試験を実施し、ニロチニブ(300mg1日2回又は400mg1日2回注1))の有効性及び安全性について、イマチニブ400mg1日1回を対照として比較検討を行った。
(1)分子遺伝学的効果
投与開始12ヵ月時点で分子遺伝学的効果(MMR)が得られた患者の割合は、ニロチニブ300mg1日2回投与群では44.3%(282例中125例)、イマチニブ400mg1日1回投与群では22.3%(283例中63例)で、主要評価項目である12ヵ月時点でのMMR率はニロチニブ300mg1日2回投与群が有意に高かった(p<0.0001)。
初発の慢性期の慢性骨髄性白血病患者に対する分子遺伝学的効果
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(2)細胞遺伝学的効果
投与開始12ヵ月時点までに細胞遺伝学的完全寛解(Complete CyR)が得られた患者の割合は、ニロチニブ300mg1日2回投与群では80.1%(282例中226例)、イマチニブ400mg1日1回投与群では65.0%(283例中184例)であった。
初発の慢性期の慢性骨髄性白血病患者に対する細胞遺伝学的効果
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副作用発現頻度は、本剤300mg1日2回投与群で92.1%(257/279例)であった。主な副作用は300mg1日2回投与群では発疹33.3%(93例)、血小板減少症、そう痒症各17.6%(49例)、頭痛、高ビリルビン血症各16.5%(46例)、好中球減少症15.1%(42例)、悪心14.0%(39例)、低リン酸血症12.5%(35例)、疲労12.2%(34例)、脱毛症、筋肉痛各10.4%(29例)、上腹部痛10.0%(28例)等であった。検査値異常の主な副作用は、ALT増加24.0%(67例)、AST増加12.2%(34例)、リパーゼ増加10.8%(30例)、血中ビリルビン増加10.4%(29例)等であった。(60ヵ月時点(2013年9月)の集計)
17.1.2 国内第II相試験及び海外第II相試験:イマチニブ抵抗性の慢性期の慢性骨髄性白血病(成人)
イマチニブで効果不十分又はイマチニブに忍容性のない慢性期の慢性骨髄性白血病患者に、ニロチニブ400mgを1日2回経口投与した。
(1)細胞遺伝学的効果
国内第II相試験の非対照、非盲検試験では、慢性期の慢性骨髄性白血病患者16例中15例(93.8%)で細胞遺伝学的効果(Major CyR)が得られ、うち11例で完全寛解(Complete CyR)が得られた。
海外第II相試験の非対照、非盲検試験では、慢性期の慢性骨髄性白血病患者321例中165例(51.4%)で細胞遺伝学的効果(Major CyR)が得られ、うち118例(36.8%)で完全寛解(Complete CyR)が得られた。
イマチニブ抵抗性の慢性期の慢性骨髄性白血病患者に対する細胞遺伝学的効果
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(2)血液学的効果
国内第II相試験の非対照、非盲検試験では、慢性期の慢性骨髄性白血病患者16例中、評価対象の6例全員に血液学的完全寛解(CHR)が得られた。
海外第II相試験の非対照、非盲検試験では、慢性期の慢性骨髄性白血病患者321例中、評価対象は207例であった。207例中145例(70.0%)で血液学的完全寛解(CHR)が得られた。
イマチニブ抵抗性の慢性期の慢性骨髄性白血病患者に対する血液学的効果
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国内第II相試験(イマチニブ抵抗性の慢性期の慢性骨髄性白血病)の副作用発現頻度は、100.0%(16/16例)であった。主な副作用は、高血糖、発疹各43.8%(7例)、好中球減少症、血小板減少症、血中ビリルビン増加各37.5%(6例)、白血球減少症、悪心、嘔吐、高ビリルビン血症、リパーゼ増加、頭痛、湿疹各31.3%(5例)、貧血、便秘、けん怠感、心電図QT補正間隔延長、肝機能異常各25.0%(4例)等であった。(効能又は効果の一変承認時までの集計)
海外第II相試験(イマチニブ抵抗性の慢性期の慢性骨髄性白血病)の副作用発現頻度は94.7%(304/321例)であった。主な副作用は、発疹30.8%(99例)、そう痒症26.2%(84例)、血小板減少症28.0%(90例)、悪心24.6%(79例)、疲労20.2%(65例)等であった。(効能又は効果の一変承認時までの集計)
17.1.3 国内第II相試験及び海外第II相試験:イマチニブ抵抗性の移行期の慢性骨髄性白血病(成人)
イマチニブで効果不十分又はイマチニブに忍容性のない移行期の慢性骨髄性白血病患者に、ニロチニブ400mgを1日2回経口投与した。
(1)細胞遺伝学的効果
国内第II相試験の非対照、非盲検試験では、移行期の慢性骨髄性白血病患者7例中1例(14.3%)で細胞遺伝学的効果(Major CyR)が得られた。この1例は完全寛解(Complete CyR)であった。
海外第II相試験の非対照、非盲検試験では、移行期の慢性骨髄性白血病患者137例中41例(29.9%)で細胞遺伝学的効果(Major CyR)が得られた。うち、27例(19.7%)で完全寛解(Complete CyR)が得られた。
イマチニブ抵抗性の移行期の慢性骨髄性白血病患者に対する細胞遺伝学的効果
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(2)血液学的効果
国内第II相試験の非対照、非盲検試験では、移行期の慢性骨髄性白血病患者7例中5例(71.4%)に血液学的効果が得られ、その内訳は、血液学的完全寛解(CHR)が1例、Marrow response/白血病の証拠なし(Marrow response/NEL)が3例、慢性期への回復(RTC)が1例であった。
海外第II相試験の非対照、非盲検試験では、移行期の慢性骨髄性白血病患者137例中69例(50.4%)に血液学的効果が得られ、その内訳は、血液学的完全寛解(CHR)が41例(29.9%)、Marrow response/白血病の証拠なし(Marrow response/NEL)が13例(9.5%)、慢性期への回復(RTC)が15例(10.9%)であった。
イマチニブ抵抗性の移行期の慢性骨髄性白血病患者に対する血液学的効果
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国内第II相試験(イマチニブ抵抗性の移行期の慢性骨髄性白血病)の副作用発現頻度は、100.0%(7/7例)であった。主な副作用は、好中球減少症、悪心、嘔吐、高ビリルビン血症、発疹42.9%(3例)、血小板減少症、白血球減少症、頭痛28.6%(2例)等であった。(効能又は効果の一変承認時までの集計)
海外第II相試験(イマチニブ抵抗性の移行期の慢性骨髄性白血病)の副作用発現頻度は、87.6%(120/137例)であった。主な副作用は、血小板減少症38.0%(52例)、好中球減少症22.6%(31例)、発疹21.2%(29例)等であった。(効能又は効果の一変承認時までの集計)
17.1.4 国際共同第II相試験:慢性期の慢性骨髄性白血病(小児)
初発もしくはイマチニブ又はダサチニブに抵抗性又は不耐容の患者58例(日本人9例を含む)を対象に非盲検、非対照試験を実施し、ニロチニブ230mg/m2を1日2回投与した。
(1)初発の慢性期の慢性骨髄性白血病(小児)の分子遺伝学的効果
主要評価項目であるサイクル12時点までに少なくとも1回MMRが得られた患者の割合は、64.0%(25例中16例)であった。
初発の慢性期の慢性骨髄性白血病患者(小児)に対する分子遺伝学的効果
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(2)初発の慢性期の慢性骨髄性白血病(小児)の細胞遺伝学的効果
主要評価項目であるサイクル12時点で細胞遺伝学的完全寛解(Complete CyR)が得られた患者の割合は、64.0%(25例中16例)であった。
初発の慢性期の慢性骨髄性白血病患者(小児)に対する細胞遺伝学的効果
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(3)イマチニブ又はダサチニブ抵抗性又は不耐容の慢性期の慢性骨髄性白血病(小児)の分子遺伝学的効果
MMRが得られた患者の割合は、主要評価項目であるサイクル6時点で39.4%(33例中13例)であった。
イマチニブ又はダサチニブ抵抗性又は不耐容の慢性期の慢性骨髄性白血病患者(小児)に対する分子遺伝学的効果
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副作用発現頻度は、86.2%(初発及びイマチニブ又はダサチニブに抵抗性又は不耐容の患者50/58例、日本人9例を含む)であった。主な副作用は頭痛27.6%(16例)、高ビリルビン血症、発疹各20.7%(12例)、悪心15.5%(9例)、斑状丘疹状皮疹13.8%(8例)、嘔吐12.1%(7例)、脱毛症10.3%(6例)等であった。検査値異常の主な副作用は、血中ビリルビン増加31.0%(18例)、ALT増加29.3%(17例)、AST増加24.1%(14例)等であった。(用法及び用量の一変承認時までの集計)
注1)本剤の承認された用法及び用量は、初発の慢性期の慢性骨髄性白血病の場合、成人では1回300mgを1日2回である。

18.1 作用機序
ニロチニブは、アデノシン三リン酸(ATP)と競合的に拮抗し、Bcr‐Ablチロシンキナーゼを阻害することによって、Bcr‐Abl発現細胞に細胞死を誘導する。ニロチニブは、Bcr‐Ablだけでなく、幹細胞因子(SCF)受容体のc‐kit及び血小板由来成長因子(PDGF)受容体チロシンキナーゼを阻害するが、イマチニブよりもBcr‐Ablに対し選択的に作用する。また、ニロチニブは疎水性相互作用によってイマチニブ抵抗性Bcr‐Abl変異体にも結合することが可能であり、多くのイマチニブ抵抗性Bcr‐Abl変異体も阻害する。
18.2 抗腫瘍作用
18.2.1 Bcr‐Ablを発現した白血病細胞株に対する細胞増殖抑制作用
In vitro細胞培養系において、ニロチニブはヒト白血病細胞株及びBCR‐ABL遺伝子を導入し、発現させたマウス骨髄系細胞株の細胞増殖を抑制した。また、イマチニブ抵抗性Bcr‐Abl変異体を発現させたマウスBa/F3細胞株33種のうち、32種の細胞増殖を抑制した。
18.2.2 Bcr‐Abl依存的な白血病動物モデルに対する作用
ニロチニブは、BCR‐ABL遺伝子導入細胞を静脈内移植した免疫不全マウスにおいて、腫瘍増殖を抑制した。

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