ジオトリフ錠40mg
添付文書情報2024年04月改定(第2版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 警告
- 1.1. 本剤は、緊急時に十分に対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、電子添文を参照して、適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に本剤の有効性及び危険性(特に、間質性肺疾患の初期症状、服用中の注意事項、死亡に至った症例があること等に関する情報)を十分に説明し、同意を得てから投与すること。
1.2. 本剤の投与により間質性肺疾患があらわれ、死亡に至った症例が報告されているので、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び定期的な胸部画像検査の実施等、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
また、治療初期は入院又はそれに準ずる管理の下で、間質性肺疾患等の重篤な副作用発現に関する観察を十分に行うこと〔8.1、9.1.1、11.1.1参照〕。
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- EGFR遺伝子変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. EGFR遺伝子変異検査を実施すること。EGFR遺伝子変異不明例の扱い等を含めて、本剤を投与する際は、日本肺癌学会の「肺癌診療ガイドライン」等の最新の情報を参考に行うこと。
5.2. 本剤の術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
5.3. がん化学療法歴等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で適応患者の選択を行うこと。
- 用法・用量
- 通常、成人にはアファチニブとして1日1回40mgを空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜増減するが、1日1回50mgまで増量できる。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 副作用が発現した場合は、症状、重症度等に応じて、次の基準を考慮し、休薬、減量又は中止すること。
1). グレード1の副作用又はグレード2の副作用:同一投与量を継続。
2). グレード2の副作用<症状が持続的>(48時間を超える下痢又は7日間を超える皮膚障害)又はグレード2の副作用<忍容できない場合>若しくはグレード3以上の副作用:症状がグレード1以下に回復するまで休薬し、回復後は休薬前の投与量から10mg減量して再開する[1日1回20mg投与で忍容性が認められない場合は、投与中止を考慮し、一旦減量した後は、増量を行わないこと]。
グレードはNCI-CTCAE3.0版による。
7.2. 1日1回40mgで3週間以上投与し、下痢、皮膚障害、口内炎及びその他のグレード2以上の副作用が認められない場合は1日1回50mgに増量してもよい。
7.3. 食後に本剤を投与した場合、Cmax低下及びAUC低下するとの報告がある。食事の影響を避けるため食事の1時間前から食後3時間までの間の服用は避けること〔16.2.1参照〕。
7.4. 他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
- 生殖能を有する者
- 8.1. 間質性肺疾患があらわれることがあるので、初期症状(呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び定期的な胸部画像検査の実施等、観察を十分に行い、また、必要に応じて動脈血酸素分圧(PaO2)、動脈血酸素飽和度(SpO2)、肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)、肺拡散能力(DLCO)等の検査を行うこと〔1.2、9.1.1、11.1.1参照〕。
8.2. 肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること〔9.3.1、11.1.4参照〕。
8.3. 重篤な心障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前には患者の心機能を確認し、また、本剤投与中は心症状の発現状況・重篤度等に応じて適宜心機能検査(心エコー等)を行い、患者の状態(左室駆出率の変動を含む)を十分に観察すること〔9.1.2、9.1.3、11.1.5参照〕。
9.1.1. 間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者:間質性肺疾患が増悪し、死亡に至る可能性がある〔1.2、8.1、11.1.1参照〕。
9.1.2. 心不全症状のある患者又はその既往歴のある患者:症状が悪化するおそれがある〔8.3、11.1.5参照〕。
9.1.3. 左室駆出率低下している患者:症状が悪化するおそれがある〔8.3、11.1.5参照〕。
9.2.1. 重度腎機能障害のある患者:本剤の血中濃度が上昇するおそれがある〔16.6.1参照〕。
9.3.1. 重度肝機能障害<Child-Pugh分類C>のある患者:これらの患者を対象とした臨床試験は実施していない〔8.2、11.1.4、16.6.2参照〕。
妊娠可能な女性:妊娠可能な女性に対しては、投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること〔9.5妊婦の項参照〕。
- 相互作用
- 本剤はP-糖蛋白(P-gp)の基質である。また、in vitro試験において、本剤は乳癌耐性蛋白(BCRP)の基質であること、及び本剤の代謝への肝薬物代謝酵素P-450の関与は低いことが示唆された〔16.4、16.5.2参照〕。
10.2. 併用注意:1). P-gp阻害剤(リトナビル、イトラコナゾール、ベラパミル等)〔16.7.1参照〕[本剤の血中濃度が上昇し副作用の発現頻度及び重症度が高まるおそれがあることから、P-gp阻害剤と併用する場合は、本剤投与と同時又は本剤投与後に投与すること(本剤はP-gpの基質であり、本剤服用前にP-gp阻害剤を投与すると、併用により本剤の血中濃度が上昇することがある)]。
2). P-gp誘導剤(リファンピシン、カルバマゼピン、セイヨウオトギリソウ(St.John’s Wort)等)〔16.7.2参照〕[本剤の血中濃度が低下し本剤の有効性が減弱するおそれがある(本剤はP-gpの基質であり、併用により本剤の血中濃度が低下することがある)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 間質性肺疾患(1.3%):間質性肺疾患(間質性肺炎、肺浸潤、肺臓炎、急性呼吸窮迫症候群、アレルギー性胞隔炎等)があらわれることがあり、死亡に至った症例も報告されているので、異常が認められた場合には投与を中止し、ステロイド治療等の適切な処置を行うこと〔1.2、7.1、8.1、9.1.1参照〕。
11.1.2. 重度の下痢(14.4%):重度下痢に伴って脱水症状をきたし、急性腎不全に至った症例も報告されているので、止瀉薬(ロペラミド等)の投与、補液等の適切な処置を行うこと〔7.1参照〕。
11.1.3. 重度皮膚障害(16.6%):重度発疹、ざ瘡等があらわれることがあるので、必要に応じて皮膚科を受診するよう患者に指導すること〔7.1参照〕。
11.1.4. 肝不全(頻度不明)、肝機能障害(2.2%):ALT上昇、AST上昇、ビリルビン上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがあり、肝不全により死亡に至った症例も報告されている〔7.1、8.2、9.3.1参照〕。
11.1.5. 心障害(0.4%):左室駆出率低下があらわれ、心不全等の重篤な心障害があらわれることがある〔7.1、8.3、9.1.2、9.1.3参照〕。
11.1.6. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)、多形紅斑(頻度不明):中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、多形紅斑等の重篤な水疱性皮膚障害・重篤な剥脱性皮膚障害があらわれることがある〔7.1参照〕。
11.1.7. 消化管潰瘍(0.4%)、消化管出血(頻度不明):異常が認められた場合には、内視鏡、腹部X線、CT等の必要な検査を行うこと〔7.1参照〕。
11.1.8. 急性膵炎(頻度不明):腹痛、血清アミラーゼ値上昇等の異常が認められた場合には投与を中止すること〔7.1参照〕。
- 11.2. その他の副作用
1). 皮膚及び皮下組織障害:(10%以上)全身性発疹・斑状丘疹性皮疹及び紅斑性皮疹(55.5%)、爪囲炎(56.8%)、皮膚乾燥(29.3%)、ざ瘡(20.5%)、皮膚そう痒症(19.2%)、ざ瘡様皮膚炎(13.1%)、脱毛症(10.0%)、(1%以上10%未満)爪障害、手掌・足底発赤知覚不全症候群、皮膚剥脱、皮膚亀裂、皮膚色素過剰、皮膚潰瘍、多毛症、紅斑、(1%未満)皮膚過角化、ひび・あかぎれ、膿痂疹、嵌入爪、皮膚色素沈着障害、(頻度不明)脂漏性皮膚炎、後天性魚鱗癬[必要に応じて皮膚科を受診するよう患者に指導すること]。
2). 筋骨格系及び結合組織障害:(1%以上10%未満)筋痙縮、背部痛、筋肉痛、(1%未満)筋力低下、シェーグレン症候群、開口障害、(頻度不明)肋骨痛、肩痛。
3). 神経系障害:(1%以上10%未満)味覚異常、頭痛、感覚鈍麻、(1%未満)末梢性感覚ニューロパチー、振戦。
4). 眼障害:(1%以上10%未満)結膜炎、眼乾燥、角膜炎、眼瞼炎、霧視、眼脂、白内障、(1%未満)眼瞼障害、睫毛乱生、硝子体剥離、結膜出血、角膜びらん、後天性涙腺炎、虹彩毛様体炎、網膜変性、(頻度不明)眼痛[直ちに眼科的検査を行うなど適切な処置を行うこと]。
5). 耳及び迷路障害:(1%未満)耳鳴。
6). 精神障害:(1%以上10%未満)不眠症、(1%未満)激越、(頻度不明)不安。
7). 胃腸障害:(10%以上)下痢(80.8%)、口内炎(38.4%)、悪心(17.9%)、嘔吐(17.0%)、口唇炎(12.2%)、(1%以上10%未満)口内乾燥、消化不良、腹痛、便秘、胃炎、腹部膨満、上腹部痛、肛門周囲痛、腹部不快感、(1%未満)歯肉炎、口唇乾燥、肛門炎症、痔核、心窩部不快感、舌炎、口唇症、(頻度不明)口唇腫脹、食道炎、腸炎、小腸炎、大腸炎、肛門周囲炎。
8). 生殖系及び乳房障害:(頻度不明)萎縮性外陰腟炎。
9). 代謝及び栄養障害:(10%以上)食欲減退(20.5%)、(1%以上10%未満)低カリウム血症、脱水、(1%未満)低ナトリウム血症、高尿酸血症。
10). 心臓障害:(頻度不明)上室性期外収縮。
11). 血管障害:(1%以上10%未満)高血圧、(1%未満)ほてり、(頻度不明)低血圧、血栓症。
12). 呼吸器、胸郭及び縦隔障害:(10%以上)鼻出血(13.1%)、(1%以上10%未満)鼻炎症、鼻漏、鼻乾燥、口腔咽頭痛、(1%未満)発声障害、鼻閉、湿性咳嗽、しゃっくり、(頻度不明)口腔咽頭不快感。
13). 腎及び尿路障害:(1%以上10%未満)蛋白尿、(1%未満)血尿、尿中血陽性、(頻度不明)腎機能障害、排尿困難。
14). 感染症及び寄生虫症:(1%以上10%未満)感染症(皮膚感染症、尿路感染症、鼻感染症、咽頭感染症、気管支感染症、耳感染症、爪感染症)、毛包炎、膀胱炎、蜂巣炎、真菌感染症(皮膚真菌感染症、足部真菌感染症)、帯状疱疹、(1%未満)ウイルス感染、鼓膜炎、敗血症。
15). 血液及びリンパ系障害:(1%以上10%未満)貧血、白血球減少症、好中球減少症、(1%未満)リンパ球減少症、鉄欠乏性貧血、(頻度不明)好酸球増加症。
16). 一般・全身障害及び投与部位の状態:(10%以上)粘膜炎症(28.8%)、疲労(13.5%)、(1%以上10%未満)発熱、末梢性浮腫、浮腫、(1%未満)炎症、顔面浮腫、胸部不快感、倦怠感、粘膜乾燥、粘膜障害、(頻度不明)悪寒。
17). 臨床検査:(10%以上)肝機能検査値異常(AST上昇、ALT上昇等)(14.0%)、体重減少(10.5%)、(1%以上10%未満)血中アルカリホスファターゼ増加、(1%未満)血中クレアチニン増加、アミラーゼ増加、CK上昇、血中ビリルビン増加、トロポニンT増加、総蛋白減少、血中アルブミン減少、心電図T波逆転、(頻度不明)尿中白血球陽性、血中尿素増加、血中乳酸脱水素酵素増加、CK-MB上昇。
18). 傷害、中毒及び処置合併:(1%未満)挫傷、(頻度不明)創し開。
- 高齢者
- 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下していることが多い)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物実験で黄体数減少、着床数減少及び生存胎仔数減少並びに着床後胚損失増加(ラット)、胎仔体重減少、矮小仔、四肢弯曲、大動脈弓における過剰血管及び右頚動脈における過剰血管又は左頚動脈における過剰血管並びに矮小精巣等の変異(ウサギ)が認められている)〔9.4生殖能を有する者の項参照〕。
授乳しないことが望ましい(動物実験で乳汁中へ移行することが認められている(ラット))。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意14.1.1. PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔を起こして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
14.1.2. 服用直前にPTPシートから取り出すよう指導すること〔20.取扱い上の注意の項参照〕。
本剤は湿気と光に不安定なため、未使用の場合はアルミピロー包装のまま保存し、開封後は湿気と光を避けて保存すること〔14.1.2参照〕。
- その他の注意
- 15.2. 非臨床試験に基づく情報細菌を用いた復帰突然変異試験陽性が認められているが、ヒトリンパ球を用いた染色体異常試験、Mutaマウスを用いた遺伝子突然変異試験並びにラットを用いた小核試験及びコメットアッセイでは陰性であった。
16.1 血中濃度
日本人非小細胞肺癌患者12例に本剤20、40、50mgを空腹時(服薬前2時間及び服薬後1時間は絶食)単回経口投与若しくは1日1回28日間反復経口投与したときの血漿中未変化体の薬物動態パラメータ及び血漿中未変化体濃度推移を次に示す。AUC0-∞及びCmaxは、本剤20~50mgの範囲で用量比をわずかに上回って増加する。投与開始後8日目には定常状態に到達していると考えられ、本剤の累積係数はAUC0-∞では2.8、Cmaxでは2.1であった。
表 本剤経口投与後のアファチニブの薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
図 本剤経口投与後の血漿中アファチニブ濃度推移(算術平均±SD)
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
固形癌患者に本剤40mgを高脂肪食摂取後に単回経口投与したとき、空腹時投与に比べてAUC0-∞及びCmaxはそれぞれ39及び50%低下した(外国人データ)。[7.3参照]
16.3 分布
ヒトにおけるin vitro血漿蛋白結合率は95%であった。本剤はヒト血清アルブミン及びα1‐酸性糖蛋白(AAG)と結合し、AAGとの結合は蛋白質濃度に依存していた。また、ヒトin vitroにおける14C標識アファチニブの血球移行(Cc/Cp)は、1.02~2.21であった。
16.4 代謝
アファチニブはin vivoにおいて酵素を介する酸化的代謝はほとんど受けず、血漿中の主要な代謝物は蛋白質との共有結合付加体であった。[10.参照]
16.5 排泄
16.5.1 14C標識アファチニブ15mg注)溶液を健康成人に経口投与したとき、投与放射能の85.4%が糞便中に、4.3%が尿中に排泄された。回収された放射能の約88%(糞便中:85.6%、尿中:2.5%)が未変化体であった。(外国人データ)
16.5.2 In vitroにおいて本剤はP‐糖蛋白(P‐gp)及び乳癌耐性蛋白(BCRP)の基質であることが示唆されている。[10.参照]
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害者
中等度並びに重度腎機能障害被験者(各8例)に本剤40mgを単回投与した場合、腎機能正常被験者(各比較対象群に対してそれぞれ8例)に比べて中等度腎機能障害(eGFR:30~59mL/min/1.73m2)を有する群ではAUC0-lastは22.2%(90% CI:95.7、156.0)、Cmaxは1.2%(90% CI:72.9、140.3)の上昇が認められ、重度腎機能障害(eGFR:15~29mL/min/1.73m2)を有する群では、AUC0-lastは50.0%(90% CI:105.3、213.7)、Cmaxは21.7%(90% CI:90.8、163.2)の上昇が認められた(外国人データ)。[9.2.1参照]
また、本剤単独投与を受けた癌患者927例(血漿中アファチニブ濃度4460時点)を対象に母集団薬物動態解析を実施し、内因性要因及び外因性要因が本剤の薬物動態に及ぼす影響を評価した。癌患者927例のうち、軽度の腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス50mL/min以上80mL/min以下)は528例(2051時点)、中等度の腎機能障害患者(30mL/min以上50mL/min未満)は161例(554時点)、重度の腎障害患者(30mL/min未満)は10例(21時点)であった。クレアチニンクリアランスが79mL/min(中央値)の患者と比較して、60mL/min及び30mL/minの患者ではAUCτ,ssはそれぞれ13%及び42%の上昇、90mL/min及び120mL/minの患者ではそれぞれ6%及び20%の低下が示された。
16.6.2 肝機能障害者
軽度(Child‐Pugh分類A)又は中等度(Child‐Pugh分類B)の肝機能障害者に本剤50mgを単回経口投与したとき、健康被験者と比較して曝露量に有意な変化はみられなかった。重度(Child‐Pugh分類C)の肝機能障害のある患者における薬物動態は検討されていない。(外国人データ)[9.3.1参照]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 リトナビル
本剤20mgの投与1時間前にP‐糖蛋白(P‐gp)の阻害剤であるリトナビルを投与したときの本剤のAUC0-∞及びCmaxは48%及び39%上昇した。一方、本剤40mgとリトナビルを同時併用したとき、AUC0-∞及びCmaxの上昇はそれぞれ19%及び4%、本剤投与6時間後にリトナビルを併用投与したときにはそれぞれ11%及び5%であった。[10.2参照]
16.7.2 リファンピシン
本剤40mg服用前にP‐gpの誘導剤であるリファンピシンを投与したとき、本剤のAUC0-∞及びCmaxは、それぞれ34%及び22%低下した。[10.2参照]
注)承認された用法・用量は、「通常、成人にはアファチニブとして1日1回40mgを空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜増減するが、1日1回50mgまで増量できる。」である。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国際共同第III相臨床試験成績(LUX‐Lung3)
化学療法未治療のEGFR遺伝子変異(Exon19の欠失変異(Del19)、Exon21のL858R変異等)陽性の非小細胞肺癌(腺癌)患者を対象に、本剤40mgを1日1回空腹時(食事の1時間以上前又は食後3時間以降)投与した際の有効性及び安全性について、ペメトレキセド+シスプラチン(PEM+CDDP)の併用療法を対照として評価した。有効性評価対象例は345例(本剤群230例、PEM+CDDP群115例)であり、このうち83例(本剤群54例、PEM+CDDP群29例)が日本人であった。
主要評価項目である独立判定委員会判定による無増悪生存期間(PFS)の中央値は、本剤群で11.1カ月、PEM+CDDP群で6.9カ月であり、本剤群のPFSはPEM+CDDP群と比較して有意に延長した(ハザード比0.58、95%信頼区間:0.43-0.78、p値=0.0004、両側層別ログランク検定)。また、EGFR遺伝子変異の種類(Del19、L858R、その他)別による部分集団解析の結果は、次表のとおりであった。
図 無増悪生存期間のKaplan‐Meier曲線
表 EGFR遺伝子変異の種類別によるPFS(中央値)の結果
→図表を見る(PDF)
副次評価項目である全生存期間(OS)(2013年11月14日データカットオフ)の中央値は、本剤群で28.2カ月、PEM+CDDP群で28.2カ月であった(ハザード比0.88、95%信頼区間:0.66-1.17)。
安全性評価対象229例(日本人54例を含む)中228例(99.6%)に副作用が認められ、主な副作用は、下痢218例(95.2%)、発疹141例(61.6%)、爪囲炎130例(56.8%)等であった。
18.1 作用機序
本剤は、野生型及び遺伝子変異を有するEGFR(ErbB1)だけではなく、HER2(ErbB2)及びHER4(ErbB4)のチロシンキナーゼ活性を不可逆的に阻害し、ErbB受容体ファミリー(EGFR、HER2、HER3(ErbB3)並びにHER4が形成するホモ及びヘテロダイマーの活性を阻害することにより、受容体からの異常シグナル伝達を遮断し、腫瘍細胞の増殖を抑制する。
18.2 抗腫瘍効果
本剤は、in vitro試験において、非小細胞肺癌由来のEGFR遺伝子野生型を有するH1666細胞株、EGFR遺伝子のL858R変異を有するNCI‐H3255細胞株及びL858R変異とT790M変異を有するNCI‐H1975細胞株の増殖を抑制した。
- 一包可:不可
抗悪性腫瘍剤@服用直前にPTPシートから取り出すよう指導する。
- 分割:不可
- 粉砕:不可
抗悪性腫瘍剤@服用直前にPTPシートから取り出すよう指導する。
- 製造販売会社
- 日本ベーリンガーインゲルハイム
- 販売会社
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