アレセンサカプセル150mg

添付文書情報2024年08月改定(第2版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 警告
- 1.1. 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
1.2. 本剤の投与により間質性肺疾患があらわれることがあるので、初期症状(息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等)の確認及び胸部CT検査等の実施など、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。また、治療初期は入院又はそれに準ずる管理の下で、間質性肺疾患等の重篤な副作用発現に関する観察を十分に行うこと〔8.1、9.1.1、11.1.1参照〕。
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。
- 効能・効果
- 1). ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌。
2). ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法。
3). 再発又は難治性のALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 〈ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌、ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法〉*十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、ALK融合遺伝子陽性が確認された患者に投与すること(検査にあたっては、承認された体外診断用医薬品又は医療機器を用いること)。
5.2. 〈ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌、ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法〉本剤の術前補助療法における安全性及び有効性は確立していない。
5.3. 〈ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌、ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法〉術後補助療法として本剤を投与する場合には、臨床試験に組み入れられた患者の病期等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
5.4. 〈再発又は難治性のALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫〉十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、ALK融合遺伝子陽性が確認された患者に投与すること。
*)承認された体外診断用医薬品又は医療機器に関する情報については、次のウェブサイトから入手可能である:
https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/cd/0001.html。
- 用法・用量
- 〈ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉
通常、成人にはアレクチニブとして1回300mgを1日2回経口投与する。
〈ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法〉
通常、成人にはアレクチニブとして1回600mgを1日2回、食後に経口投与する。ただし、ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法の場合、投与期間は24カ月間までとする。なお、患者の状態により適宜減量する。
〈再発又は難治性のALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫〉
通常、アレクチニブとして1回300mgを1日2回経口投与する。ただし、体重35kg未満の場合の1回投与量は150mgとする。
(用法及び用量に関連する注意)
〈ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌、再発又は難治性のALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫〉副作用により休薬する場合、回復後は休薬前と同一用量で投与を再開できる(忍容性が得られない場合は、投与を中止すること)。
〈ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法〉
副作用が発現した場合には、次の基準を考慮して、休薬、減量又は中止すること。
[減量の目安]
1). 〈ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法〉通常投与量:1回投与量600mg。
2). 〈ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法〉1段階減量:1回投与量450mg。
3). 〈ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法〉2段階減量:1回投与量300mg。
4). 〈ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法〉3段階減量:投与中止。
[副作用発現時の用量調節基準]
1). 〈ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法〉間質性肺疾患:全Grade:投与を中止する。
2). 〈ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法〉肝機能障害:
①. 〈ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法〉総ビリルビンが基準値上限の2倍以下でALTが基準値上限の5倍を超える上昇又は総ビリルビンが基準値上限の2倍以下でASTが基準値上限の5倍を超える上昇:ALT又はASTがベースライン又は基準値上限の3倍以下に回復するまで休薬し、回復後は1用量レベル減量して投与再開できる。
②. 〈ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法〉総ビリルビンが基準値上限の2倍を超えALTが基準値上限の3倍を超える上昇又は総ビリルビンが基準値上限の2倍を超えASTが基準値上限の3倍を超える上昇:投与を中止する。
3). 〈ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法〉徐脈:
①. 〈ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法〉Grade2の徐脈又はGrade3の徐脈:Grade1以下又は心拍数が60回/分以上に回復するまで休薬し、回復後は1用量レベル減量して投与再開できる。
②. 〈ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法〉Grade4の徐脈:投与を中止する。
4). 〈ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法〉血中CK増加:
①. 〈ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法〉CKが基準値上限の5倍を超えた場合:ベースライン又は基準値上限の2.5倍以下に回復するまで休薬し、回復後は1用量レベル減量又は同一用量で投与再開できる。
②. 〈ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法〉CKが基準値上限の10倍を超えた場合:ベースライン又は基準値上限の2.5倍以下に回復するまで休薬し、回復後は1用量レベル減量して投与再開できる。
5). 〈ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法〉溶血性貧血:ヘモグロビン10g/dL未満の溶血性貧血:ヘモグロビン10g/dL以上に回復するまで休薬し、回復後は1用量レベル減量して投与再開できる。
GradeはNCI-CTCAEv5.0に準じる。
- 生殖能を有する者
- 8.1. 間質性肺疾患があらわれることがあるので、息切れ、呼吸困難、咳嗽、発熱等の初期症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。また、胸部CT検査等の実施など、患者の状態を十分観察すること。必要に応じて動脈血酸素分圧(PaO2)、動脈血酸素飽和度(SpO2)、肺胞気動脈血酸素分圧較差(A-aDO2)、肺拡散能力(DLCO)等の検査を行うこと〔1.2、9.1.1、11.1.1参照〕。
8.2. 肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること〔9.3.1、11.1.2参照〕。
8.3. 好中球減少、白血球減少等があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に血液検査(血球数算定、白血球分画等)を行い、患者の状態を十分に観察すること〔11.1.3参照〕。
8.4. 腎機能障害があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に腎機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること〔11.1.6参照〕。
9.1.1. 間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者:間質性肺疾患が発現又は増悪するおそれがある〔1.2、8.1、11.1.1参照〕。
9.3.1. 〈効能共通〉肝機能障害患者:肝機能障害が増悪するおそれがあり〔8.2、11.1.2参照〕、アレクチニブの血漿中濃度が上昇するとの報告がある〔16.6.1参照〕。
9.3.2. 〈ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法〉重度肝機能障害<Child-Pugh分類C>のある患者:減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること(アレクチニブの血漿中濃度が上昇し、副作用が増強されるおそれがある)〔16.6.1参照〕。
妊娠する可能性のある女性:妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後1カ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること〔9.5妊婦の項、15.2参照〕。
- 相互作用
- アレクチニブは、チトクロームP450(主にCYP3A4)によって代謝される。
10.2. 併用注意:1). CYP3A阻害剤(イトラコナゾール等)〔16.7.2参照〕[アレクチニブの血漿中濃度が上昇し副作用の発現頻度が高まるおそれがあることから、CYP3A阻害作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮し、やむを得ず併用する際には、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること(アレクチニブの代謝には主にCYP3A4が関与しているため、CYP3A阻害剤との併用により、アレクチニブの代謝が阻害され血漿中濃度が増加する可能性がある)]。
2). CYP3A誘導剤(リファンピシン等)〔16.7.1参照〕[アレクチニブの血漿中濃度が低下し本剤の有効性が減弱するおそれがあることから、CYP3A誘導作用
のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること(アレクチニブの代謝には主にCYP3A4が関与しているため、CYP3A誘導剤との併用により、アレクチニブの代謝が亢進し血漿中濃度が低下する可能性がある)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 間質性肺疾患(4.0%)〔1.2、8.1、9.1.1参照〕。
11.1.2. 肝機能障害(頻度不明):AST増加、ALT増加、ビリルビン増加等を伴う肝機能障害があらわれることがある〔8.2、9.3.1参照〕。
11.1.3. 好中球減少(8.0%)、白血球減少(5.4%)〔8.3参照〕。
11.1.4. 消化管穿孔(頻度不明):異常が認められた場合には、内視鏡、腹部X線、CT等の必要な検査を行い、本剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.5. 血栓塞栓症(頻度不明):肺塞栓症等があらわれることがある。
11.1.6. 腎機能障害(1.0%)〔8.4参照〕。
- 11.2. その他の副作用
1). 精神神経系:(15%以上)味覚障害、(5%以上~15%未満)頭痛、(5%未満)末梢性ニューロパチー、不眠症、傾眠、浮動性めまい。
2). 消化器:(15%以上)便秘(30.8%)、(5%以上~15%未満)悪心、下痢、口内炎、(5%未満)嘔吐、腹痛、胃腸炎、歯周病、消化不良、腹部不快感、胃食道逆流性疾患、口内乾燥。
3). 循環器:(5%以上~15%未満)徐脈、(5%未満)心電図T波逆転。
4). 呼吸器:(5%以上~15%未満)上気道感染、(5%未満)咳嗽、呼吸困難、気管支炎、肺炎、気胸。
5). 血液:(5%以上~15%未満)貧血、(5%未満)溶血性貧血、活性化部分トロンボプラスチン時間延長、リンパ球数減少、(頻度不明)血小板数減少。
6). 皮膚:(15%以上)発疹(20.4%)、(5%未満)皮膚乾燥、ざ瘡様皮膚炎、皮膚そう痒症、光線過敏性反応、湿疹、爪障害、爪囲炎、乾癬、皮膚色素沈着障害、手掌・足底発赤知覚不全症候群、脱毛症。
7). 筋骨格系:(15%以上)血中CK増加(27.4%)、筋肉痛、(5%未満)関節痛、筋痙縮、筋力低下、四肢痛、背部痛。
8). 肝臓:(15%以上)AST増加(27.1%)、高ビリルビン血症(26.8%)、ALT増加(21.7%)、(5%以上~15%未満)血中Al-P増加、(5%未満)LDH増加、γ-GTP増加、硬化性胆管炎。
9). 腎臓:(15%以上)高クレアチニン血症、(5%未満)血尿、蛋白尿、尿路感染。
10). 眼:(5%未満)結膜炎、ドライアイ、霧視、麦粒腫、黄斑症。
11). 代謝:(5%未満)高尿酸血症、高トリグリセリド血症、食欲減退、血中甲状腺刺激ホルモン増加、高カリウム血症、低マグネシウム血症、高血糖、高リン酸塩血症。
12). その他:(5%以上~15%未満)浮腫、倦怠感、(5%未満)疲労、無力症、体重増加、発熱、インフルエンザ様疾患、中耳炎、回転性めまい、腫脹、体重減少、膀胱炎、細菌性前立腺炎、腫瘍出血。
- 高齢者
- 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下していることが多い)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと(動物実験(ラット、ウサギ)において、胚死亡・胎仔死亡、流産、内臓異常、骨格変異等が報告されている)〔2.2、9.4生殖能を有する者の項参照〕。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒト母乳中への移行については不明である)。
- 小児等
- 〈ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌、ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法〉非小細胞肺癌の小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
〈再発又は難治性のALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫〉低出生体重児、新生児、乳児又は6歳未満の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
- その他の注意
- 15.2. 非臨床試験に基づく情報遺伝毒性試験において、異数性誘発作用が認められたが、遺伝子突然変異誘発性又は染色体構造異常誘発性は認められなかった〔9.4生殖能を有する者の項参照〕。
16.1 血中濃度
16.1.1 反復投与(300mg1日2回反復経口投与時)
150mgカプセル又は20/40mgカプセル注1)を用いてALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌患者34例に1回300mgを空腹時(投与前2時間、投与後1時間絶食)に1日2回10日間反復経口投与したときの血漿中アレクチニブ濃度の推移と薬物動態パラメータ、20/40mgカプセル注1)に対する150mgカプセルのCmax、AUClastの幾何平均値の比及びその90%信頼区間を次に示した。
150mgカプセル又は20/40mgカプセルを300mg1日2回反復経口投与時(空腹時)の血漿中アレクチニブ濃度推移(平均値±標準偏差)
300mg1日2回反復経口投与時(空腹時)の血漿中アレクチニブの薬物動態パラメータ(平均値±標準偏差)
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20/40mgカプセルに対する150mgカプセルのAUClast及びCmaxの幾何平均値の比及びその90%信頼区間
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16.1.2 反復投与(600mg1日2回反復経口投与時)
150mgカプセルを用いて、ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌患者6例に術後補助療法として1回600mgを食後に1日2回3週間反復経口投与したときの血漿中アレクチニブ濃度の推移と薬物動態パラメータを次に示した。
150mgカプセルを600mg1日2回反復経口投与時(食後)の血漿中アレクチニブ濃度推移(平均値±標準偏差)
600mg1日2回反復経口投与時(食後)の血漿中アレクチニブの薬物動態パラメータ(平均値±標準偏差)
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16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
(1)150mgカプセルを用いてALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌患者31例に1回300mgを空腹時(投与前2時間、投与後1時間絶食)又は食後に1日2回10日間反復経口投与したとき、Tmaxは食事の影響を受けなかったが、AUC、Cmaxは空腹時投与に比べて食後投与でおよそ1.2倍に増加した。
(2)150mgカプセルを用いて、健康成人18例に1回600mgを空腹時(投与前10時間、投与後4時間以上絶食)又は食後に単回経口投与したとき、Tmaxの中央値は空腹時投与で4時間、食後投与で8時間であった。また、AUC及びCmaxは空腹時投与に比べて食後投与でそれぞれおよそ2.9倍及び2.7倍に増加した(外国人データ)。
(3)20/40mgカプセル注1)を用いて、ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌患者6例に300mgを絶食下(投与前10時間、投与後2時間絶食)又は食後に単回経口投与したときの血漿中アレクチニブ濃度の推移を添付文書の図に示した。また、20/40mgカプセル注1)を用いて20~300mgを単回、1日2回21日間反復投与時の食事条件別の薬物動態パラメータを次に示した。単回投与時は、食後投与でAUCとCmaxはともに、絶食下投与のおよそ1.8倍に増加し、Tmaxの平均値も食後投与で5.89時間に延長した。なお、反復投与開始から8日目までに血漿中アレクチニブ濃度は定常状態に達することが示され、反復投与時のアレクチニブの体内動態では1回20mg1日2回投与から1回300mg1日2回投与の範囲で線形性が認められた。
300mg単回経口投与時の血漿中アレクチニブ濃度推移(平均値±標準偏差)
単回経口投与時の血漿中アレクチニブの薬物動態パラメータ(平均値±標準偏差)
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1日2回反復経口投与時の血漿中アレクチニブの薬物動態パラメータ(平均値±標準偏差)
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16.2.2 バイオアベイラビリティ
健康成人6例を対象にアレクチニブとして600mgを単回経口投与したときの絶対的バイオアベイラビリティは約37%であった(外国人データ)。
16.3 分布
In vitro試験の結果、アレクチニブのヒト血漿蛋白結合率は99%以上であり、主にアルブミンに結合し、α1-酸性糖蛋白への結合はほとんど認められなかった。また、ヒトにおける血球移行率は約80%であった。
白色ラットに14C標識アレクチニブを1mg/kgの用量で単回経口投与したとき、放射能は各組織に速やかに分布し、ハーダー腺、副腎、肺、褐色脂肪組織及び肝臓に高い分布を示し、大脳、小脳、脊髄への分布も確認された。有色ラットに14C標識アレクチニブを10mg/kgの用量で単回経口投与したときメラニン含有組織であるブドウ膜及び有色皮膚に高い放射能が検出された。
16.4 代謝
In vitro代謝試験の結果、アレクチニブはヒト肝臓において、主にCYP3A4により代謝されて主要代謝物(M-4、モルフォリン部の開環後、脱アルキル化した化合物)を生成することが示された。また、M-4は、アレクチニブと同程度のALKチロシンキナーゼ阻害活性が示された。20/40mgカプセル注1)を用いてALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌患者6例に1回300mgを空腹時又は食直後に1日2回21日間反復経口投与したときのM-4のAUC0-10(平均値±標準偏差)は、それぞれ1980±596ng・h/mL及び2030±563ng・h/mLであった。未変化体に対するM-4のAUC0-10の比率(平均値±標準偏差)は空腹時及び食直後投与時でそれぞれ47.2±15.8%及び49.8±13.1%であった。
16.5 排泄
健康成人6例を対象に14C-標識アレクチニブ600mgを単回経口投与したとき、投与から168時間までに投与放射能の98.3%が回収され、糞中に97.8%、尿中に0.467%の放射能が排泄された。また、糞中及び尿中に排泄された未変化体は、それぞれ投与量の84.0%及び0.1%未満であった(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 肝機能障害患者
中等度(Child-Pugh分類B)及び重度(Child-Pugh分類C)の肝機能障害患者各8例を対象に、アレクチニブとして300mgを単回経口投与したときの薬物動態を健康成人各8例と比較し、肝機能障害がアレクチニブの薬物動態に与える影響を検討した結果を表に示す(外国人データ)。[9.3.1、9.3.2参照]
健康成人に対する中等度の肝機能障害患者におけるアレクチニブ薬物動態パラメータの幾何平均値の比及びその信頼区間
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健康成人に対する重度の肝機能障害患者におけるアレクチニブ薬物動態パラメータの幾何平均値の比及びその信頼区間
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16.6.2 小児等
再発又は難治性のALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫小児患者(6歳以上15歳未満)4例を対象に、アレクチニブとして1回300mg(体重35kg以上)あるいは150mg(体重35kg未満)を1日2回21日間反復経口投与したときの血漿中アレクチニブの薬物動態パラメータを次に示した。
1日2回反復経口投与時の血漿中アレクチニブの薬物動態パラメータ(平均値±標準偏差)
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16.7 薬物相互作用
16.7.1 CYP3A誘導剤
健康成人24例を対象にCYP3A誘導剤であるリファンピシンの併用がアレクチニブとして600mg単回投与時の薬物動態に与える影響を検討した結果を表に示す(外国人データ)。[10.2参照]
CYP3A誘導剤の非併用時に対する併用時のアレクチニブ薬物動態パラメータの幾何平均値の比及びその信頼区間
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16.7.2 その他の薬剤
(1)健康成人16例を対象にCYP3A阻害剤であるポサコナゾール(国内未承認)の併用がアレクチニブとして300mg単回経口投与時の薬物動態に与える影響を検討した結果を表に示す(外国人データ)。[10.2参照]
CYP3A阻害剤の非併用時に対する併用時のアレクチニブ薬物動態パラメータの幾何平均値の比及びその信頼区間
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ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌患者10例を対象に、アレクチニブとして600mgを1日2回反復投与時にCYP3Aの基質であるミダゾラム2mgを単回併用投与したときのミダゾラムの薬物動態に与える影響を検討した。その結果、ミダゾラム単独投与時に対する本剤併用投与時におけるミダゾラム(未変化体)のCmax及びAUC0-∞の幾何平均値の比(併用投与時/単独投与時)[90%CI]は、それぞれ0.919[0.648、1.31]及び0.971[0.717、1.32]であった(外国人データ)。
健康成人24例を対象にプロトンポンプ阻害剤であるエソメプラゾールの併用がアレクチニブとして600mg単回経口投与時の薬物動態に与える影響を検討した。その結果、本剤単独投与時に対するエソメプラゾール併用投与時におけるアレクチニブ(未変化体)のCmax及びAUC0-∞の幾何平均値の比(併用投与時/単独投与時)[90%CI]は、それぞれ1.16[1.03、1.32]及び1.22[1.09、1.36]であった(外国人データ)。
注1)アレセンサカプセル20/40mgは販売中止。
注2)モル濃度換算した薬物動態パラメータを用いて算出した。
(2)本剤はCYP2C8、P-gp及びBCRPを阻害した(in vitro)。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉
17.1.1 国内第I/II相試験(AF-001JP試験)
1レジメン以上の化学療法歴を有するALK融合遺伝子陽性の進行・再発非小細胞肺癌患者を対象にした第I/II相試験の第II相部分(46例)で本剤を1回300mg1日2回空腹時(投与前2時間、投与後1時間絶食)に連日経口投与された患者における奏効率は93.5%(95%信頼区間:82.1~98.6%)であった。
副作用発現頻度は、96.6%(56/58例)であった。主な副作用は、血中ビリルビン増加36.2%(21/58例)、味覚異常34.5%(20/58例)、AST増加32.8%(19/58例)、血中クレアチニン増加31.0%(18/58例)、便秘、発疹各29.3%(17/58例)であった。
17.1.2 国内第III相試験(JO28928試験)
化学療法未治療又は1レジメンの化学療法歴を有するALK融合遺伝子陽性進行・再発非小細胞肺癌患者207例を対象に、クリゾチニブ1回250mgを1日2回連日経口投与する群と、本剤1回300mgを1日2回連日経口投与する群を比較した第III相非盲検ランダム化試験を実施した。主要評価項目である独立判定機関評価による無増悪生存期間は次のとおりであった。
独立判定機関評価による無増悪生存期間のKaplan-Meier曲線
無増悪生存期間
→図表を見る(PDF)
副作用発現頻度は、88.3%(91/103例)であった。主な副作用は、便秘31.1%(32/103例)、味覚異常18.4%(19/103例)、血中CK増加16.5%(17/103例)、血中ビリルビン増加、発疹各10.7%(11/103例)、AST増加、筋肉痛各9.7%(10/103例)であった。
〈ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌における術後補助療法〉
17.1.3 国際共同第III相試験(BO40336試験)
病理病期IB(腫瘍径≧4cm)~IIIA注3)のALK融合遺伝子陽性非小細胞肺癌患者の術後患者257例(日本人35例を含む)を対象に、術後補助療法における本剤と化学療法(シスプラチン又はカルボプラチン+ゲムシタビン又はビノレルビン又はペメトレキセド)の有効性及び安全性を比較することを目的とした第III相試験を実施した注4)注5)。主要評価項目である治験責任医師判定による無病生存期間は、II/IIIA期集団及びITT集団において、それぞれ次のとおりであり、化学療法群に対する本剤群の優越性が検証された。本剤が投与された128例(日本人15例を含む)における副作用発現頻度は、93.8%(120/128例)であった。主な副作用は、血中CK増加40.6%(52/128例)、AST増加39.1%(50/128例)、ALT増加32.8%(42/128例)、便秘31.3%(40/128例)、血中ビリルビン増加31.3%(40/128例)、筋肉痛24.2%(31/128例)、血中ALP増加19.5%(25/128例)、貧血19.5%(25/128例)、血中クレアチニン増加14.1%(18/128例)、発疹13.3%(17/128例)、味覚不全10.2%(13/128例)であった。
治験責任医師判定による無病生存期間のKaplan-Meier曲線(II/IIIA期集団)
治験責任医師判定による無病生存期間のKaplan-Meier曲線(ITT集団)
無病生存期間(II/IIIA期集団及びITT集団)
→図表を見る(PDF)
注3)切除検体の病理診断においてAJCC/UICC病期分類(第7版)に基づく病理病期IB(腫瘍径4cm以上)、II、又はIIIAに該当する患者を対象とした。
注4)本剤は1回600mgを1日2回、最大24カ月間連日経口投与した。
注5)過去5年以内の抗悪性腫瘍剤による治療歴のない患者が組み入れられた。
〈再発又は難治性のALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫〉
17.1.4 国内第II相試験(ALC-ALCL試験)
6歳以上の再発又は難治性のALK融合遺伝子陽性の未分化大細胞リンパ腫患者10例を対象に、本剤を体重35kg以上の患者には1回300mg、体重35kg未満の患者には1回150mgをそれぞれ1日2回連日経口投与した。主要評価項目である中央判定委員会による奏効率は80.0%(両側90%信頼区間:56.2~95.9%)注9)であった。なお、事前に設定された閾値は50%であった。
副作用発現頻度は、100.0%(10/10例)であった。主な副作用は、斑状丘疹状皮疹40.0%(4/10例)、上気道感染、気管支炎、血中Al-P増加各30.0%(3/10例)であった。
注9)逆正弦変換に基づく方法で算出した信頼区間。一方、二項分布に基づく正確な方法(Clopper-Pearson法)で算出した90%信頼区間は49.3%~96.3%であった。
18.1 作用機序
ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌及び未分化大細胞リンパ腫では、ALKチロシンキナーゼ活性が異常に亢進しており、癌化及び腫瘍増殖に関与している。アレクチニブは、ALKチロシンキナーゼ活性を阻害することにより、ALK融合遺伝子陽性の腫瘍細胞の増殖を抑制する。
18.2 抗腫瘍効果
アレクチニブ及び主要代謝物(M-4)は、ALK融合遺伝子陽性のヒト非小細胞肺癌由来NCI-H2228細胞株の細胞増殖を抑制した。また、アレクチニブは、NCI-H2228細胞株を皮下移植した重症複合型免疫不全マウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した。
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抗悪性腫瘍剤
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抗悪性腫瘍剤
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