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ラパリムス錠1mg

販売名
ラパリムス錠1mg
薬価
1mg1錠 1308.80円
製造メーカー
ノーベルファーマ

添付文書情報2024年07月改定(第5版)

商品情報

薬効分類名
その他の抗悪性腫瘍用剤
一般名
シロリムス錠
規制区分
  • 特生
  • 特承
  • 覚原
警告
1.1. 〈効能共通〉本剤は、本剤及び適応疾患に十分な知識を持つ医師のもとで使用
すること。
1.2. 〈効能共通〉本剤の投与により、間質性肺疾患が認められており、海外においては死亡に至った例が報告されているので、投与に際しては咳嗽、呼吸困難、発熱等の臨床症状に注意するとともに、投与前及び投与中は定期的に胸部CT検査を実施し、また、異常が認められた場合には適切な処置を行うとともに、投与継続の可否について慎重に検討すること。なお、小児に対する胸部CT検査の実施に際しては、診断上の有益性と被曝による不利益を考慮すること〔7.2、8.1、9.1.1、11.1.1参照〕。
1.3. 〈効能共通〉肝炎ウイルスキャリアの患者では、本剤の投与期間中に肝炎ウイルス再活性化を生じ、肝不全から死亡に至る可能性があるので、本剤の投与期間中又は投与終了後は、定期的に肝機能検査を行うなど、肝炎ウイルスの再活性化の徴候や症状の発現に注意すること〔8.2、9.1.3、11.1.2参照〕。
1.4. 〈難治性脈管腫瘍及び難治性脈管奇形〉難治性脈管腫瘍及び難治性脈管奇形の場合、錠剤と顆粒剤は生物学的に同等ではないため、剤形の切替えに際しては、血中濃度を確認すること〔7.6、16.1.3、16.1.4参照〕。
禁忌
2.1. 本剤の成分又はシロリムス誘導体に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.4生殖能を有する者、9.5妊婦の項参照〕。
2.3. 生ワクチンを接種しないこと〔10.1参照〕。
効能・効果
1). リンパ脈管筋腫症。
2). 次記の難治性脈管腫瘍及び難治性脈管奇形:
リンパ管腫(リンパ管奇形)、リンパ管腫症、ゴーハム病、リンパ管拡張症。
血管内皮腫、房状血管腫。
静脈奇形、青色ゴムまり様母斑症候群。
混合型脈管奇形、クリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 〈リンパ脈管筋腫症〉本剤の錠剤を使用し、本剤の使用にあたっては、厚生労働省難治性疾患克服研究事業呼吸不全に関する調査研究班のリンパ脈管筋腫症lymphangioleiomyomatosis(LAM)診断基準等を参考に確定診断された患者を対象とすること。
5.2. 〈難治性脈管腫瘍及び難治性脈管奇形〉本剤の使用にあたっては、ガイドラインを参考に確定診断された患者を対象とすること。
5.3. 〈難治性脈管腫瘍及び難治性脈管奇形〉静脈奇形は、ISSVA分類のcommon venous malformationを対象とすること。
5.4. 〈難治性脈管腫瘍及び難治性脈管奇形〉難治性脈管腫瘍の悪性疾患及び難治性脈管奇形の悪性疾患、高流速型脈管奇形(動静脈奇形等)に対する本剤の有効性は確認されていない。
5.5. 〈難治性脈管腫瘍及び難治性脈管奇形〉静脈奇形又はリンパ管奇形を含まない混合型脈管奇形への投与は推奨されない。
用法・用量
〈リンパ脈管筋腫症〉
通常、成人にはシロリムスとして2mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜増減するが、1日1回4mgを超えないこと。
〈難治性脈管腫瘍及び難治性脈管奇形〉
通常、シロリムスとして、体表面積が1.0㎡以上の場合は2mg、1.0㎡未満の場合は1mgを開始用量とし、1日1回経口投与する。以後は、血中トラフ濃度や患者の状態により投与量を調節するが、1日1回4mgを超えないこと。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 〈効能共通〉高脂肪食の摂取後に錠剤又は液剤(国内未承認)を投与した場合、血中濃度に影響を及ぼすとの報告がある。安定した血中濃度を維持できるよう、本剤の投与時期は、食後又は空腹時のいずれか一定とすること〔16.2.1、16.2.2参照〕。
7.2. 〈効能共通〉本剤の血中トラフ濃度や投与量の増加に伴い、間質性肺疾患の発現リスクが増加する可能性があるので、間質性肺疾患が発現した場合は、症状、重症度に応じて、次の目安を考慮し、休薬又は中止すること〔1.2、8.1、9.1.1、11.1.1参照〕。
[間質性肺疾患に対する休薬・中止の目安]
1). 無症候性で画像所見異常のみの間質性肺疾患:投与継続。
2). 咳嗽・呼吸困難・発熱等の軽度症状の間質性肺疾患<日常生活に支障なし>:症状が改善するまで休薬し、症状の改善を認めた場合には投与再開可能とする。
3). 咳嗽・呼吸困難・発熱等の重度症状の間質性肺疾患<生活に支障・要酸素療法>:本剤の投与を中止し、原則として再開しないこと(ただし、症状が改善し、かつ治療上の有益性が危険性をうわまわると判断された場合のみ、投与中止前の半量からの投与再開可能とする)。
4). 生命を脅かす:緊急処置を要する間質性肺疾患<挿管・人工呼吸管理を要する>:投与中止。
7.3. 〈効能共通〉中等度から重度肝機能障害がある患者では、投与量を半量から開始すること〔7.4、9.3.1、16.6.1参照〕。
7.4. 〈効能共通〉増量時、副作用の発現が疑われる場合、本剤の血中トラフ濃度を測定し、血中トラフ濃度15ng/mL以内を目安として投与量を調節し、肝機能障害がある患者に投与する場合あるいはCYP3A4に影響を及ぼす薬剤と併用又はP-糖蛋白に影響を及ぼす薬剤と併用する場合等、本剤の血中濃度に影響を及ぼすことが予想される場合には、本剤の血中トラフ濃度を測定し、血中トラフ濃度15ng/mL以内を目安として投与量を調節すること〔7.3、9.3.1、9.3.2、10.相互作用の項、10.2、16.4、16.6.1、16.7.1-16.7.6参照〕。
7.5. 〈難治性脈管腫瘍及び難治性脈管奇形〉本剤の投与開始から1~2週間後に血中トラフ濃度を測定し、血中トラフ濃度15ng/mL以内を目安として投与量を調節すること。
7.6. 〈難治性脈管腫瘍及び難治性脈管奇形〉錠剤と顆粒剤は生物学的に同等ではなく、顆粒剤では、錠剤と比較して定常状態の血中トラフ濃度が1.23倍高かったため、剤形の切替えに際しては、血中濃度の変動に注意し、剤形の切替えから1~2週間後の血中トラフ濃度を確認すること〔1.4、16.1.3、16.1.4参照〕。
生殖能を有する者
8.1. 間質性肺疾患(致命的な転帰をたどることがある)があらわれることがあるので、投与開始前及び投与開始後は次の点に注意すること。また、患者に対し、咳嗽、呼吸困難等の呼吸器症状があらわれた場合には、直ちに連絡するように指導すること。なお、小児に対する胸部CT検査の実施に際しては、診断上の有益性と被曝による不利益を考慮すること〔1.2、7.2、9.1.1、11.1.1参照〕。
8.1.1. 投与開始前:間質性肺疾患(致命的転帰をたどることがある)があらわれることがあるので、投与開始前に胸部CT検査を実施し、咳嗽、呼吸困難、発熱等の臨床症状の有無と併せて、投与開始の可否を慎重に判断すること。
8.1.2. 投与開始後:間質性肺疾患(致命的転帰をたどることがある)があらわれることがあるので、定期的に胸部CT検査を実施し、肺の異常所見の有無を慎重に観察し、咳嗽、呼吸困難、発熱等の臨床症状がみられた患者で、感染、腫瘍及びその他の医学的な原因が適切な検査で除外された場合には、間質性肺疾患の診断を考慮し、必要に応じて肺機能検査(肺拡散能力[DLCO]、酸素飽和度等)及び追加の画像検査を実施すること。
8.2. 本剤の免疫抑制作用により、細菌、真菌、ウイルスあるいは原虫による感染症が発現又は感染症悪化や日和見感染が発現又は日和見感染悪化する可能性があり、B型肝炎ウイルスキャリアの患者又はHBs抗原陰性の患者においてB型肝炎ウイルス再活性化による肝炎があらわれることがある。本剤投与により、肝炎ウイルス再活性化、結核再活性化等する可能性があるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス、結核等の感染の有無を確認し、本剤投与前に適切な処置をしておくこと。本剤投与中は感染症の発現又は増悪に十分注意すること〔1.3、9.1.2、9.1.3、11.1.2、11.1.5、11.1.6参照〕。
8.3. 本剤投与により、悪性リンパ腫、悪性腫瘍(特に皮膚悪性腫瘍)を発現する可能性があるので、悪性腫瘍等の発現には注意すること〔15.2.2参照〕。
8.4. 本剤投与により脂質異常があらわれることがあるので、本剤投与開始後は定期的に脂質検査を実施し、脂質異常がみられた場合は、適切な食事指導、運動指導を実施し、必要により高脂血症用剤を投与するなど適切な処置を行うこと〔11.1.8参照〕。
8.5. 本剤投与により、創傷治癒不良のおそれがあり、海外で肺移植患者において気管支吻合部離開例(致死的)が報告されているので、肺移植登録患者では本剤の投与を中止し、移植までに十分な休薬期間を確保すること。また、その他の手術時においても、創傷治癒不良の影響を考慮し、手術前の休薬期間を設けることが望ましい。創傷時には観察を十分に行い、異常が認められた場合には休薬し、適切な処置を行うこと〔11.1.9、15.2.1参照〕。
8.6. 蛋白尿があらわれることがあるので、本剤投与開始後は定期的に尿蛋白を測定し、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと〔11.1.10参照〕。
9.1.1. 肺に間質性陰影を認める患者:間質性肺疾患が発症、重症化するおそれがある〔1.2、7.2、8.1、11.1.1参照〕。
9.1.2. 感染症を合併している患者:免疫抑制により感染症が悪化するおそれがある〔8.2、11.1.2、11.1.5、11.1.6参照〕。
9.1.3. 肝炎ウイルス感染、結核等の感染又は既往歴を有する患者:本剤の投与期間中又は投与終了後は、定期的に肝機能検査を行うなど、肝炎ウイルス再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。再活性化するおそれがある。また、肝炎ウイルスキャリアの患者では、本剤の投与期間中に肝炎ウイルス再活性化を生じ、肝不全から死亡に至る可能性がある〔1.3、8.2、11.1.2参照〕。
9.3.1. 中等度<Child-Pugh分類GradeB>以上の肝機能障害患者:投与量を半量から開始すること(血中濃度が上昇するおそれがある)〔7.3、7.4、16.6.1参照〕。
9.3.2. 軽度<Child-Pugh分類GradeA>肝機能障害患者:血中濃度が上昇するおそれがある〔7.4、16.6.1参照〕。
妊娠可能な女性:妊娠可能な女性には、投与期間中及び投与終了後少なくとも12週間は、適切な避妊を行うよう指導すること〔2.2、9.5妊婦の項参照〕。
相互作用
本剤は、肝薬物代謝酵素CYP3A4により代謝され、また、本剤はP-糖蛋白の基質であり、本剤自体もCYP3A4を阻害し、CYP3A4又はP-糖蛋白阻害あるいは誘導作用を有する薬剤との併用により、本剤の薬物動態に影響を及ぼすので、CYP3A4阻害作用を有する薬剤又はP-糖蛋白阻害作用を有する薬剤あるいはCYP3A4誘導作用
を有する薬剤又はP-糖蛋白誘導作用を有する薬剤については、他の類薬に変更する又は当該薬剤を休薬するなどを考慮し、CYP3A4に影響を及ぼす薬剤又はP-糖蛋白に影響を及ぼす薬剤との併用は可能な限り避けること〔7.4、16.4参照〕。
10.1. 併用禁忌:生ワクチン(乾燥弱毒生麻しんワクチン、乾燥弱毒生風しんワクチン、経口生ポリオワクチン、乾燥BCG等)〔2.3参照〕[免疫抑制下で生ワクチンを接種すると発症するおそれがあるので併用しないこと(免疫抑制下で生ワクチンを接種すると増殖し、病原性をあらわす可能性がある)]。
10.2. 併用注意:1). シクロスポリン、カルシウム拮抗剤(ジルチアゼム、ニカルジピン、ベラパミル)、抗真菌剤(フルコナゾール、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ボリコナゾール等)、マクロライド系抗生物質(エリスロマイシン、クラリスロマイシン等)、メトクロプラミド、ブロモクリプチン、シメチジン、ダナゾール、レテルモビル、プロテアーゼ阻害剤(リトナビル等)〔7.4、16.7.1-16.7.4、16.7.6参照〕[本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、併用する場合には、本剤を減量することを考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること(本剤の代謝酵素(CYP3A4等)が阻害されると考えられる)]。
2). ミカファンギンナトリウム〔7.4参照〕[本剤のAUCが21%上昇したとの報告があるので、併用する場合は患者の状態を慎重に観察し、本剤の副作用発現に注意し必要に応じて本剤の投与量を調節すること(機序不明)]。
3). グレープフルーツジュース〔7.4参照〕[本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、本剤服用時は飲食を避けること(グレープフルーツジュースが腸管の代謝酵素を阻害することによると考えられる)]。
4). アンジオテンシン変換酵素阻害剤等[血管浮腫との関連性が示されている薬剤を服用している患者では、血管浮腫<顔面・口唇・舌・咽頭の腫脹等>を発症するリスクが高まるおそれがある(機序不明)]。
5). リファンピシン、リファブチン、抗てんかん剤(カルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン)〔7.4、16.7.5参照〕[本剤の血中濃度が低下することがあるので、併用する場合には治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ使用し、やむを得ず併用する場合には、本剤の有効性が減弱する可能性があることを考慮すること(これらの薬剤の代謝酵素(CYP3A4等)誘導作用により本剤の代謝が促進されると考えられる)]。
6). ロルラチニブ[本剤の血中濃度が低下し有効性が減弱する可能性がある(ロルラチニブがP-糖蛋白を誘導することによる)]。
7). セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品(St.John’s Wort)〔7.4参照〕[本剤の血中濃度が低下するおそれがあるので、本剤投与時はセイヨウオトギリソウ含有食品を摂取しないよう注意すること(セイヨウオトギリソウの代謝酵素誘導作用により本剤の代謝が促進されると考えられる)]。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 間質性肺疾患(3.0%):間質性肺疾患(肺臓炎、薬剤性肺障害、器質性肺炎を伴う閉塞性細気管支炎、肺線維症等)の症例が生じており、海外で死亡に至った例が報告されている〔1.2、7.2、8.1、9.1.1参照〕。
11.1.2. 感染症(62.4%):細菌、真菌あるいはウイルスによる重篤な感染症が発現又は重篤な感染症悪化[肺炎が発現又は肺炎悪化(4.5%)、敗血症が発現又は敗血症悪化(頻度不明)、蜂巣炎が発現又は蜂巣炎悪化(1.5%)、尿路感染が発現又は尿路感染悪化(0.8%)、腎盂腎炎が発現又は腎盂腎炎悪化、結核を含むマイコバクテリア感染が発現又は結核悪化を含むマイコバクテリア感染悪化、EBウイルス感染(エプスタイン・バールウイルス感染)が発現又はEBウイルス感染悪化(エプスタイン・バールウイルス感染悪化)、CMV感染(サイトメガロウイルス感染)が発現又はCMV感染悪化(サイトメガロウイルス感染悪化)、単純ヘルペスが発現又は単純ヘルペス悪化(いずれも頻度不明)、帯状疱疹が発現又は帯状疱疹悪化(2.3%)等]することがある〔1.3、8.2、9.1.2、9.1.3、11.1.5、11.1.6参照〕。
11.1.3. 消化管障害:口内炎(78.2%)、下痢(44.4%)、悪心(17.3%)、嘔吐(5.3%)等が高頻度で認められている。
11.1.4. アナフィラキシー(頻度不明):アナフィラキシー、血管浮腫、過敏性血管炎等の過敏症反応があらわれることがある。
11.1.5. 進行性多巣性白質脳症(PML)(頻度不明):進行性多巣性白質脳症(PML)があらわれることがあるので、本剤の治療期間中及び治療終了後は患者の状態を十分に観察し、意識障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状があらわれた場合は、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと〔8.2、9.1.2、11.1.2、11.1.6参照〕。
11.1.6. BKウイルス腎症(頻度不明)〔8.2、9.1.2、11.1.2、11.1.5参照〕。
11.1.7. 体液貯留:末梢性浮腫(9.8%)、胸水(3.0%)、心嚢液貯留(2.3%)、腹水(0.8%)等があらわれることがあるので、頻脈等の異常が認められた場合には、心電図、心エコー、胸部CT検査を行うとともに、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
11.1.8. 脂質異常症:高コレステロール血症(8.3%)、高トリグリセリド血症(4.5%)、脂質異常症(3.8%)、血中コレステロール増加(3.0%)、高脂血症(2.3%)、脂質異常(0.8%)等を生じる可能性がある〔8.4参照〕。
11.1.9. 創傷治癒不良:創傷治癒に影響を及ぼす可能性が考えられ、治癒不良(3.0%)及び移植手術後にリンパ嚢腫及び創し開を含む創傷治癒不良、筋膜離開、瘢痕ヘルニア、吻合部離開(いずれも頻度不明)等があらわれることがある〔8.5、15.2.1参照〕。
11.1.10. 腎障害:蛋白尿(8.3%)、ネフローゼ症候群、巣状分節性糸球体硬化症、血中クレアチニン増加(いずれも頻度不明)等があらわれることがある〔8.6参照〕。
11.1.11. 皮膚障害:ざ瘡(26.3%)、ざ瘡様皮膚炎(20.3%)、発疹(19.5%)、剥脱性発疹(3.8%)、皮膚そう痒症(3.0%)等があらわれることがある。
11.2. その他の副作用
1). 感染症:(5%以上)鼻咽頭炎(24.1%)、気管支炎(14.3%)、胃腸炎、咽頭炎、(1~5%未満)上気道感染、皮膚感染、歯周炎、膀胱炎、副鼻腔炎、歯肉炎、口腔ヘルペス、麦粒腫、外耳炎、唾液腺炎、扁桃炎、外陰部腟カンジダ症、細菌尿、感染性腸炎、RSウイルス感染、(1%未満)憩室炎、毛包炎、インフルエンザ、喉頭炎、下気道感染、爪囲炎、腟感染、歯肉膿瘍、白癬感染、細菌感染、気道感染、歯槽骨炎。
2). 血液・リンパ:(1~5%未満)白血球減少症、リンパ球減少症、貧血、(1%未満)好中球減少症、(頻度不明)低γグロブリン血症。
3). 代謝・栄養:(5%以上)食欲減退、(1~5%未満)低カリウム血症、(1%未満)高尿酸血症、(頻度不明)高血糖。
4). 精神・神経:(5%以上)頭痛(21.1%)、浮動性めまい、(1~5%未満)不眠症、気分変化、味覚異常、(1%未満)頭部不快感、感覚鈍麻、記憶障害、末梢性感覚ニューロパチー、感覚障害、傾眠。
5). 眼:(1~5%未満)結膜炎、眼乾燥、眼痛、眼瞼浮腫、(1%未満)霰粒腫。
6). 耳:(1~5%未満)中耳炎症、(1%未満)耳出血、耳痛、耳不快感。
7). 心・血管:(5%以上)高血圧、(1~5%未満)不整脈、動悸、出血。
8). 呼吸器:(5%以上)上気道炎症(23.3%)、呼吸障害(12.8%)、咳嗽(10.5%)、呼吸困難、口腔咽頭痛、(1~5%未満)鼻出血、発声障害、気胸、鼻漏、肺出血、(1%未満)急性呼吸不全、気管支痙攣、低酸素症、鼻閉、鼻粘膜障害。
9). 消化器:(5%以上)腹痛(12.0%)、便秘、口唇炎、胃腸障害、上腹部痛、(1~5%未満)下腹部痛、胃炎、消化不良、腹部不快感、歯痛、歯周病、腹部膨満、口内乾燥、腸炎、鼓腸、小腸閉塞、(1%未満)胃食道逆流性疾患、歯肉痛、口腔内痛、顎下腺腫大、口の錯感覚。
10). 肝:(1~5%未満)肝機能異常、(1%未満)胆嚢炎。
11). 皮膚・皮下組織:(1~5%未満)湿疹、爪破損、皮膚色素沈着障害、皮膚炎、蕁麻疹、紅斑、皮下出血、皮膚びらん、毛細血管拡張症、爪線状隆起、(1%未満)脱毛症、貨幣状湿疹、多汗症、手掌・足底発赤知覚不全症候群、点状出血、そう痒性皮疹、皮膚潰瘍、爪甲脱落症、手皮膚炎、皮膚腫瘤、皮下血腫。
12). 筋骨格:(5%以上)筋骨格障害、背部痛、(1~5%未満)関節痛、筋痙縮、鼡径部痛、(1%未満)関節腫脹、筋力低下、筋肉痛、四肢痛、顎痛、筋骨格硬直。
13). 腎・尿路:(1~5%未満)尿生殖器出血、(1%未満)血尿。
14). 生殖器:(5%以上)不規則月経(14.3%)、(1~5%未満)月経障害、無月経、月経過多、月経困難症、卵巣嚢胞、腟分泌物、性器出血、(1%未満)閉経期症状、不正子宮出血、外陰腟乾燥、(頻度不明)無精子症。
15). 一般・全身:(5%以上)疼痛(17.3%)、発熱(17.3%)、倦怠感、疲労、(1~5%未満)胸痛、粘膜炎症、(1%未満)胸部不快感、異常感、浮腫、圧痛、口渇、限局性浮腫。
16). 傷害・処置:(1~5%未満)挫傷。
17). 臨床検査:(5%以上)白血球数減少、好中球数減少、ALT増加、AST増加、(1~5%未満)体重減少、尿蛋白、血中ビリルビン増加、γ-GTP増加、Al-P増加、(1%未満)CRP増加、白血球百分率数異常、ヘモグロビン減少、LDL増加、体重増加、血小板数増加。
高齢者
一般に生理機能が低下している。
授乳婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないこと(ラットにおける胚・胎仔発生に関する試験において臨床推奨用量の曝露量以下で、初期吸収胚数増加、吸収胚数増加及び死亡胎仔数増加、生存胎仔数減少、胎仔体重低値、並びに主として椎骨骨化遅延及び椎骨変異増加が報告されている)〔2.2、9.4生殖能を有する者の項参照〕。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(動物試験(ラット)で母乳中へ移行することが報告されている)。
小児等
9.7.1. 〈リンパ脈管筋腫症〉18歳未満の患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.7.2. 〈難治性脈管腫瘍及び難治性脈管奇形〉錠剤を用いて、低出生体重児、新生児、乳児、体表面積が0.6㎡未満の幼児又は小児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
適用上の注意
14.1. 薬剤交付時の注意14.1.1. PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
その他の注意
15.2. 非臨床試験に基づく情報15.2.1. 本剤は、血管新生、線維芽細胞増殖及び血管透過性に影響する可能性のある一部の増殖因子の産生を阻害する(in vitro)ので、創傷治癒不良の可能性がある〔8.5、11.1.9参照〕。
15.2.2. マウスを用いたがん原性試験において肝細胞癌増加及び顆粒球性白血病増加がみられた〔8.3参照〕。
15.2.3. 雄ラットにおいて、テストステロン減少に起因すると考えられる精巣細管萎縮・精子数減少等の生殖器への影響が臨床用量での曝露量で認められており、臨床用
量の曝露量以上で生殖能力低下も認められている。
15.2.4. 幼若ラットを用いた4週間反復経口投与毒性試験において、臨床用量での曝露量未満で大腿骨成長板肥厚及び大腿骨関節軟骨肥厚が認められている。

16.1 血中濃度
16.1.1 定常状態時の薬物動態
錠剤2mg/日で定常状態にある日本人リンパ脈管筋腫症患者10例に錠剤2mgを食後単回投与したときの血中濃度は、投与後平均2.75時間に最高濃度平均22.4ng/mLを示し、消失半減期は平均47.7時間であった。
図1 定常状態にある患者に、錠剤2mgを食後投与したときの血中濃度の推移及び薬物動態パラメータ

16.1.2 血中トラフ濃度の推移
体表面積0.6m2以上の小児を含む難治性リンパ管疾患患者11例に錠剤を52週間投与し、血中トラフ濃度を測定した。開始用量として、錠剤1mg/日(体表面積1.0m2未満)又は2mg/日(体表面積1.0m2以上)を経口投与し、その後、目標血中トラフ濃度を5~15ng/mLとして、投与量を適宜調節した(最大投与量は1日4mg)。平均血中トラフ濃度は、投与2週後で5ng/mLを超え、52週後まで目標血中トラフ濃度を維持した。
表1 血中トラフ濃度
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乳幼児を含む難治性脈管腫瘍・脈管奇形患者13例に本剤を52週間投与し、血中トラフ濃度を測定した。開始用量を1日1回体重30kg以上の場合、錠剤2mg又は顆粒剤1.4mg、30kg未満の場合、顆粒剤を月齢に応じて次のとおりとし、血中トラフ濃度を5~15ng/mLとなるよう投与量を適宜調節した。
3ヵ月未満:0.02mg/kg/日
3ヵ月以上6ヵ月未満:0.04mg/kg/日
6ヵ月以上12ヵ月未満:0.06mg/kg/日
1歳以上:0.08mg/kg/日、ただし1.4mg/日を超えない。
表2 血中トラフ濃度
→図表を見る(PDF)

16.1.3 錠剤と顆粒剤の比較
日本人健康成人に錠剤1mgを2錠又は顆粒剤2mgを、クロスオーバー法により空腹時単回経口投与した結果、AUCt、Cmaxともに生物学的同等性の判定基準であるlog(0.80)~log(1.25)を満たさず、生物学的に同等と判定できなかった。顆粒剤は錠剤に対して、AUCtで1.48倍(幾何平均の比)、Cmaxで2.30倍(幾何平均の比)であった。[1.4、7.6参照]
表3 錠剤及び顆粒剤の薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)

表4 薬物動態パラメータの幾何平均の比#
→図表を見る(PDF)

16.1.4 母集団薬物動態解析(錠剤と顆粒剤の比較)
日本人データ(1282検体)を用いた母集団薬物動態解析の結果、錠剤に比し、顆粒剤の定常状態における血中トラフ濃度が1.23倍(90%信頼区間:1.09~1.37)高かった。[1.4、7.6参照]
16.2 吸収
16.2.1 シロリムス楕円錠
健康成人24例にシロリムス楕円錠10mg注)を空腹時及び高脂肪食摂取直後に単回投与したところ、高脂肪食摂取後ではtmax、Cmax及びAUCがそれぞれ32%(19分)、65%及び23%増加した(外国人データ)。[7.1参照]
16.2.2 シロリムス液剤
健康成人22例にシロリムス液剤15mg注)を空腹時及び高脂肪食摂取直後に単回投与したところ、高脂肪食摂取後ではtmax、Cmax及びAUCがそれぞれ254%増加、34%減少及び35%増加した(外国人データ)。[7.1参照]
16.3 分布
ヒト全血中の3H標識シロリムスの分布(放射活性比:平均値)は、赤血球中で94.5%、血漿で3.1%、リンパ球で1.0%、顆粒球で1.0%であった。全血/血漿比は11.1であった(in vitroデータ)。
健康成人27例に本剤15mg注)を単回経口投与したときの全血/血漿比は106であった(外国人データ)。
16.4 代謝
本剤はCYP3A4により広範に代謝され、またP‐糖蛋白の基質である。本剤の主要な代謝物は、CYP3A4によるO‐脱メチル化した代謝物と、水酸化による代謝物であった。[7.4、10.参照]
16.5 排泄
健康成人男性に14C標識シロリムス42mg注)を単回投与したときの尿中及び糞中への排泄量は、それぞれ2.2%、91.0%であった(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 肝機能障害患者
軽度肝機能障害被験者(Child‐Pugh分類Grade A)13例、中等度肝機能障害被験者(Child‐Pugh分類Grade B)5例、重度肝機能障害被験者(Child‐Pugh分類Grade C)9例、肝機能正常被験者27例を対象に、シロリムス液剤15mg注)を単回投与したとき、軽度、中等度、重度肝機能障害被験者では、肝機能正常被験者と比較してAUC∞はそれぞれ48%、96%、210%増大し、見かけのクリアランス(CL/F)はそれぞれ32%、36%、67%減少し、t1/2はそれぞれ25%、89%、168%延長した(外国人データ)。[7.3、7.4、9.3.1、9.3.2参照]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 ジルチアゼム
健康成人18例にシロリムス液剤10mg注)とジルチアゼム120mgを単回併用投与したとき、単独投与時に比べシロリムスのCmax、tmax及びAUCがそれぞれ43%、29%及び60%増加したが、シロリムスはジルチアゼムの薬物動態に影響を及ぼさなかった(外国人データ)。[7.4、10.2参照]
16.7.2 ベラパミル
健康成人25例にシロリムス液剤2mg、1日1回とベラパミル180mg、1日2回を反復併用投与したとき、単独投与と比べシロリムスのCmax、tmax及びAUC24hがそれぞれ134%、8%及び116%増加し、S(-)ベラパミルのCmax及びAUC12hがそれぞれ46%及び48%増加、tmaxが24%低下した(外国人データ)。[7.4、10.2参照]
16.7.3 エリスロマイシン
健康成人24例にシロリムス液剤2mg、1日1回とエリスロマイシン800mg、1日3回を反復併用投与したとき、単独投与と比べシロリムスのCmax及びAUCが約4倍に、tmaxは40%増加し、エリスロマイシンのCmax、tmax及びAUCがそれぞれ63%、29%及び69%増加した(外国人データ)。[7.4、10.2参照]
16.7.4 ケトコナゾール
健康成人23例にケトコナゾール200mg/日、10日間反復投与中にシロリムス液剤5mg注)を単回併用投与したとき、単独投与と比べシロリムスのCmax、tmax及びAUCがそれぞれ342%、38%及び990%増加したが、シロリムスはケトコナゾールの薬物動態に影響を及ぼさなかった(外国人データ)。[7.4、10.2参照]
16.7.5 リファンピシン
健康成人14~16例にリファンピシン600mg、1日1回反復投与中にシロリムス液剤20mg注)を単回併用投与したとき、単独投与と比べシロリムスのCmax及びAUCがそれぞれ71%及び82%低下したが、tmaxに対する影響は認められなかった(外国人データ)。[7.4、10.2参照]
16.7.6 シクロスポリン
健康成人24例にシロリムス錠剤10mg注)とシクロスポリン300mg(100mgカプセル)を単回併用投与したとき、単独投与に比べシロリムスのCmax及びAUCがそれぞれ512%及び148%増加したが、シロリムスはシクロスポリンの薬物動態に影響を及ぼさなかった。また、健康成人22例にシクロスポリン300mg単回投与4時間後にシロリムス錠剤10mg注)を投与したとき、単独投与と比べシロリムスのCmax及びAUCは共に33%増加した(外国人データ)。[7.4、10.2参照]
注)承認最大用量は、錠剤は4mg、顆粒剤は体表面積0.6m2以上は4mg、体表面積0.6m2未満は月齢ごとの開始用量(0.02~0.08mg/kg)の4倍又は4mgを超えない量である。

17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈リンパ脈管筋腫症〉
17.1.1 国際共同第III相臨床試験(比較試験)
リンパ脈管筋腫症患者89例(全例女性、日本人患者24例を含む)を対象に、プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験(MILES試験)を実施した。錠剤又はプラセボを空腹時又は食後いずれかの条件で経口投与することとし(本剤開始用量は2mg/日)、本剤投与量は、血中トラフ濃度が5~15ng/mLの範囲を維持するよう用量調節した。投与1年間の1秒量(FEV1)の傾きは表のとおりであり、本剤群とプラセボ群との対比較において、統計学的に有意な差が認められた(p<0.0001)。
副作用は97.8%(45/46例)に発現した。主な副作用は、口内炎63.0%(29/46例)、下痢56.5%(26/46例)、疼痛及びざ瘡43.5%(20/46例)、感染41.3%(19/46例)であった。
表1 投与1年間におけるFEV1値の変化(mL/月)(ITT集団、OC)
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17.1.2 国内臨床試験(非盲検試験)
日本人リンパ脈管筋腫症患者63例(全例女性)を対象に、多施設共同非対照非盲検試験(MLSTS試験)を実施した。錠剤を空腹時又は食後いずれかの条件で経口投与することとし(本剤開始用量は2mg/日)、本剤投与量は、血中トラフ濃度が5~15ng/mLの範囲を維持するよう用量調節した。投与2年間のFEV1の傾きは表のとおりであり、傾きの95%信頼区間の下限値は、事前に設定した許容限界を上回り、24ヵ月間安定していた。
副作用は、100%(63/63例)に発現した。主な副作用は、口内炎88.9%(56/63例)、鼻咽頭炎49.2%(31/63例)、上気道の炎症46.0%(29/63例)、発疹41.3%(26/63例)、頭痛39.7%(25/63例)、下痢34.9%(22/63例)、ざ瘡様皮膚炎30.2%(19/63例)であった。(試験終了時)
表2 投与2年間におけるFEV1値の変化(mL/月)(FAS集団a))
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〈難治性脈管腫瘍及び難治性脈管奇形〉
17.1.3 難治性リンパ管疾患を対象とした第III相非盲検試験
リンパ管腫、リンパ管腫症又はゴーハム病の患者11例を対象に錠剤1日1回1mg(体表面積1.0m2未満)又は2mg(体表面積1.0m2以上)を開始用量とし、目標血中トラフ濃度を5~15ng/mLとして52週間投与した。投与52週後の標的病変の奏効率は54.5%で、その95%信頼区間の下限値は事前に設定した閾値(5%)を上回った。
副作用は、100%(11/11例)に発現した。主な副作用は、口内炎81.8%(9/11例)、ざ瘡様皮膚炎72.7%(8/11例)、下痢45.5%(5/11例)、上気道感染36.4%(4/11例)、腹痛、咽頭炎及び発熱各27.3%(3/11例)、気管支炎、皮膚感染、疼痛、咳嗽及び月経過多各18.2%(2/11例)であった。
表3 中央判定委員会のMRI画像判定による投与開始52週後の標的病変の奏効率#
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17.1.4 難治性脈管腫瘍・脈管奇形を対象とした第III相非盲検試験
リンパ管腫、リンパ管腫症、カポジ型血管内皮腫、静脈奇形、青色ゴムまり様母斑症候群、混合型脈管奇形又はクリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群の患者13例注1)を対象に、本剤開始用量を1日1回体重30kg以上の場合は錠剤2mg又は顆粒剤1.4mg、30kg未満の場合は顆粒剤を月齢に応じて次のとおりとし、血中トラフ濃度を5~15ng/mLとなるよう投与量を適宜調節し52週間経口投与した。
3ヵ月未満:0.02mg/kg/日注2)
3ヵ月以上6ヵ月未満:0.04mg/kg/日注2)
6ヵ月以上12ヵ月未満:0.06mg/kg/日
1歳以上:0.08mg/kg/日、ただし1.4mg/日を超えない。
投与24週後の標的病変の奏効率は53.8%で、その95%信頼区間の下限値は事前に設定した閾値(5%)を上回った。
副作用は、100%(13/13例)に発現した。主な副作用は、口内炎76.9%(10/13例)、発熱61.5%(8/13例)、下痢、ざ瘡、好中球数減少各23.1%(3/13例)であった。
表4 中央判定委員会のMRI画像判定による投与開始24週後の標的病変の奏効率#
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注1)ゴーハム病及び房状血管腫も試験の対象とされたが、登録なし
注2)登録なし

18.1 作用機序
18.1.1 本剤は、LAMでみられるmTORの恒常的な活性化を阻害することによって、LAM平滑筋様細胞増殖シグナル伝達を阻害し、細胞周期のG0/G1からS期への進行を抑制することで細胞増殖を抑制すると考えられている。
18.1.2 本剤は、脈管異常でみられるPI3K/AKT/mTOR経路の異常活性を抑制することによって、リンパ管内皮細胞の増殖・遊走抑制作用、血管内皮細胞増殖因子の発現抑制及びp70S6 kinaseのリン酸化抑制作用を示すと考えられた。
18.2 脈管形成・細胞増殖・遊走の抑制作用
18.2.1 本剤は、in vitro試験において、LAM患者から採取したLAM平滑筋様細胞の増殖を抑制した。
18.2.2 本剤は、マウスLAMモデルにおいて、肺組織の破壊及び肺胞空胞面積の拡大を抑制した。
18.2.3 LAM細胞又はTSC遺伝子欠損細胞では、VEGFや肺組織破壊、嚢胞形成を促すマトリックスメタロプロテアーゼが増加するが、本剤はLAM細胞又はTSC遺伝子欠損細胞におけるVEGF及びマトリックスメタロプロテアーゼの増加を抑制した。
18.2.4 本剤は、in vitro試験において、ヒト皮膚微小血管内皮細胞の構成細胞であるリンパ管内皮細胞、ヒトリンパ管奇形患者由来のリンパ管内皮細胞及びマウスの血管内皮腫細胞の増殖を濃度依存性に抑制した。また、本剤はヒトリンパ管内皮細胞の遊走を抑制した。
18.2.5 本剤は、in vivo試験において、エマルジョン化した不完全フロイントアジュバント誘発性リンパ管内皮腫瘍、マウス血管内皮腫細胞移植、マウス静脈奇形及びマウス転移性膵臓腫瘍細胞移植の各腫瘍モデルで、本剤を経口もしくは腹腔内投与したとき、これらの動物モデルでみられた腫瘍細胞の増殖を抑制した。また、本剤はこれらの腫瘍細胞のリンパ管新生や血管新生を抑制した。

一包可:不可

抗悪性腫瘍剤

分割:不可
粉砕:不明

抗悪性腫瘍剤

製造販売会社
ノーベルファーマ
販売会社
 

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