ボシュリフ錠100mg

添付文書情報2024年12月改定(第2版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 警告
- 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、本剤による治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。
- 効能・効果
- 慢性骨髄性白血病。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 染色体検査又は遺伝子検査により慢性骨髄性白血病と診断された患者に使用すること。
5.2. 「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
- 用法・用量
- 通常、成人にはボスチニブとして1日1回500mgを食後経口投与する。ただし、初発の慢性期の慢性骨髄性白血病の場合には、1回投与量は400mgとする。なお、患者の状態により適宜増減するが、1日1回600mgまで増量できる。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 本剤の用法及び用量は、「17.臨床成績」の項の内容を熟知した上で、患者の状態や前治療歴に応じて選択すること。
7.2. 他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
7.3. 重篤な(グレード3以上)副作用がなく、十分な血液学的効果がみられない場合、十分な細胞遺伝学的効果がみられない場合又は十分な分子遺伝学的効果がみられない場合は、100mgずつ1日1回600mgまで本剤を増量することができる。
7.4. 本剤投与により副作用が発現した場合には、次の基準を参考に、本剤を休薬、減量又は中止すること。
[血液系の副作用に対する本剤の減量・休薬・中止基準]
好中球数1000/mm3未満又は血小板数50000/mm3未満:好中球数が1000/mm3以上及び血小板数が50000/mm3以上に回復するまで休薬し、休薬後2週間以内に回復した場合は、回復後は休薬前と同一投与量で投与を再開し、2週間以降に回復した場合は、1回量を100mg減量した上で再開する(これらの血球減少症が再発した場合、回復後1回量を100mg減量した上で再開する)。
[非血液系の副作用に対する本剤の減量・休薬・中止基準]
1). 肝トランスアミナーゼが施設正常値上限5倍超:施設正常値上限の2.5倍以下に回復するまで休薬し、回復後は1日1回400mgで投与を再開し、休薬後4週間以内に回復しない場合は投与を中止する。
2). 肝TAがULN3倍以上・BilがULN2倍超・ALPがULN2倍未満:投与を中止する(TA:トランスアミナーゼ、ULN:施設正常値上限、Bil:ビリルビン値)。
3). *グレード3の下痢又は*グレード4の下痢:*グレード1以下に回復するまで休薬し、回復後は、1日1回400mgで投与を再開する。
4). 前記以外の非血液系中等度の副作用又は非血液系重度の副作用:回復するまで休薬し、回復後は、1回量を100mg減量した上で投与を再開し、必要に応じて開始用量へ増量する。
*)グレードはNCI-CTCAE ver4.0による。
- 生殖能を有する者
- 8.1. 肝機能障害があらわれることがあるので、投与開始後、最初の2ヵ月間は2週間毎、3ヵ月目は1回、また、患者の状態に応じて肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること〔11.1.1参照〕。
8.2. 骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に(投与開始後最初の1ヵ月間は1週間毎、その後は1ヵ月毎)、また、患者の状態に応じて血液検査(血球数算定等)を行い、患者の状態を十分に観察すること〔11.1.3参照〕。
8.3. 体液貯留があらわれることがあるので、本剤投与中は体重を定期的に測定する等、患者の状態を十分に観察すること〔11.1.4参照〕。
8.4. 経時的に腎機能低下することがあるので、本剤投与開始前及び本剤投与中は腎機能検査を行うなど患者の状態を十分に観察すること〔11.1.11参照〕。
8.5. 心障害があらわれることがあるので、心電図検査や心機能検査を行う等、観察を十分に行うこと〔11.1.6参照〕。
8.6. 感染症、出血があらわれることがあるので、定期的に血液検査を実施する等、観察を十分に行うこと〔11.1.7、11.1.8参照〕。
8.7. Bcr-Ablチロシンキナーゼ阻害剤の投与によりB型肝炎ウイルス再活性化があらわれることがあるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス感染の有無を確認し、本剤投与前に適切な処置を行うこと〔9.1.4参照〕。
8.8. 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行う等、観察を十分に行うこと〔11.1.13参照〕。
8.9. 浮動性めまい、疲労、視力障害等があらわれることがあるので、このような場合には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう注意させること。
9.1.1. 心疾患又はその既往歴のある患者:心疾患が悪化することがある。
9.1.2. QT間隔延長のおそれ又はその既往歴のある患者:QT間隔延長が起こるおそれがある。
9.1.3. 他のチロシンキナーゼ阻害剤に不耐容の慢性骨髄性白血病患者:前治療薬の副作用の内容を確認してから投与し、チロシンキナーゼ阻害剤に不耐容の慢性骨髄性白血病患者に本剤を投与する際には、慎重に経過観察を行い、副作用発現に注意すること(前治療薬の投与中止の原因となった副作用と同様の副作用が起こるおそれがある)。
9.1.4. B型肝炎ウイルスキャリアの患者又はB型肝炎既往感染者(HBs抗原陰性かつHBc抗体陽性又はHBs抗原陰性かつHBs抗体陽性):本剤の投与開始後は継続して肝機能検査や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルス再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。Bcr-Ablチロシンキナーゼ阻害剤の投与によりB型肝炎ウイルスの再活性化があらわれることがある〔8.7参照〕。
9.2.1. 中等度腎機能障害又は重度腎機能障害のある患者:減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること(本剤の血中濃度が上昇することがある)〔16.6.1参照〕。
肝機能障害患者:減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること(本剤の血中濃度が上昇することがある)〔16.6.2参照〕。
妊娠可能な女性:妊娠可能な女性に対しては、本剤投与中及び最終投与後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること〔9.5妊婦の項参照〕。
- 相互作用
- 本剤は主にCYP3A4で代謝される〔16.4参照〕。
10.2. 併用注意:1). CYP3A阻害剤(アゾール系抗真菌剤(イトラコナゾール、ケトコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール等)、マクロライド系抗生物質(クラリスロマイシン、エリスロマイシン等)、HIVプロテアーゼ阻害剤(リトナビル等)、カルシウム拮抗薬(ジルチアゼム塩酸塩、ベラパミル塩酸塩等)、抗がん剤(イマチニブメシル酸塩等)、アプレピタント、トフィソパム、シプロフロキサシン等)、グレープフルーツ含有食品〔16.7.1、16.7.2参照〕[本剤の血中濃度が上昇し副作用の発現頻度及び重症度が増加するおそれがあるので、CYP3A阻害作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮し、やむを得ず併用する際には本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること(これらの薬剤等がCYP3Aの代謝活性を阻害するため、本剤の血中濃度が上昇する可能性がある)]。
2). CYP3A誘導剤(フェニトイン、カルバマゼピン、リファンピシン、リファブチン、フェノバルビタール、ボセンタン、エファビレンツ、モダフィニル、エトラビリン等)、セイヨウオトギリソウ含有食品〔16.7.3参照〕[本剤の血中濃度が低下し本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、CYP3A誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること(これらの薬剤等がCYP3Aの代謝活性を誘導するため、本剤の血中濃度が低下する可能性がある)]。
3). 胃内pHに影響を及ぼす薬剤:①. 胃内pHに影響を及ぼす薬剤〔16.7.4参照〕[本剤の血中濃度が低下し本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、プロトンポンプ阻害剤との併用は可能な限り避けること(これらの薬剤等が胃内pHをあげるため、本剤の吸収が低下し、血中濃度が低下する可能性がある)]。
②. 胃内pHに影響を及ぼす薬剤(プロトンポンプ阻害剤(ランソプラゾール等))〔16.7.4参照〕[本剤の血中濃度が低下し本剤の有効性が減弱するおそれがあるので、プロトンポンプ阻害剤との併用は可能な限り避けること(これらの薬剤等が胃内pHをあげるため、本剤の吸収が低下し、血中濃度が低下する可能性がある)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 肝炎(0.5%)、肝機能障害(32.2%):肝炎、AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇、ビリルビン上昇等を伴う肝機能障害等があらわれることがある〔8.1参照〕。
11.1.2. 重度下痢<グレード3以上>(8.4%)。
11.1.3. 骨髄抑制(43.2%):血小板減少(33.9%)、貧血(17.1%)、白血球減少(8.8%)、好中球減少(15.2%)、顆粒球減少(0.2%)等があらわれることがある〔8.2参照〕。
11.1.4. 体液貯留(5.0%):心嚢液貯留(1.6%)、胸水(4.1%)、肺水腫(0.1%)、末梢性浮腫(頻度不明)等があらわれることがあるので、急激な体重増加、呼吸困難等の異常が認められた場合には投与を中止し、利尿剤を投与する等、適切な処置を行うこと〔8.3参照〕。
11.1.5. ショック、アナフィラキシー(頻度不明):アナフィラキシーを含む過敏症があらわれることがある。
11.1.6. 心障害(2.3%):QT間隔延長(0.5%)、心房細動(0.3%)、不整脈(0.1%)、心不全(0.3%)、狭心症(0.3%)、心筋梗塞(0.1%)等があらわれることがある〔8.5参照〕。
11.1.7. 感染症(9.7%):鼻咽頭炎(2.1%)、胃腸炎(1.4%)、肺炎(1.0%)、尿路感染(0.5%)、敗血症(0.2%)等の感染症があらわれることがある〔8.6参照〕。
11.1.8. 出血(2.7%):脳出血(頻度不明)、胃腸出血(0.1%)、膣出血(頻度不明)、眼出血(0.1%)、口腔内出血(0.5%)等があらわれることがある〔8.6参照〕。
11.1.9. 膵炎(0.4%)。
11.1.10. 間質性肺疾患(0.1%)。
11.1.11. 腎不全(0.3%)〔8.4参照〕。
11.1.12. 肺高血圧症(0.2%):異常が認められた場合には投与を中止するとともに、他の病因(胸水、肺水腫等)との鑑別診断を実施した上で、適切な処置を行うこと。
11.1.13. 腫瘍崩壊症候群(0.3%):異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること〔8.8参照〕。
11.1.14. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)、多形紅斑(0.4%)。
- 11.2. その他の副作用
1). 皮膚:(5%以上)発疹(25.5%)、皮膚そう痒症(7.0%)、(1~5%未満)丘疹、皮膚乾燥、ざ瘡、紅斑、脱毛症、蕁麻疹、皮膚病変、(1%未満)湿疹、光線過敏性反応、皮膚色素過剰、脂漏性皮膚炎、皮膚炎、皮膚剥脱、薬疹、剥脱性発疹、皮脂欠乏性湿疹、皮膚色素減少、皮膚色素沈着障害、白斑、皮膚過角化、手足症候群、全身紅斑、爪破損。
2). 精神神経系:(5%以上)頭痛(8.7%)、(1~5%未満)浮動性めまい、味覚異常、不眠症、(1%未満)錯感覚、傾眠、嗜眠、記憶障害、末梢性ニューロパチー、不安、末梢性感覚ニューロパチー、可逆性後白質脳症症候群、肋間神経痛。
3). 循環器:(1~5%未満)浮腫、高血圧、(1%未満)末梢冷感。
4). 感染症:(1~5%未満)呼吸器感染、毛包炎、(1%未満)気管支炎、感染、帯状疱疹、膀胱炎、百日咳、癜風。
5). 感覚器:(1~5%未満)眼部腫脹、(1%未満)眼乾燥、回転性めまい、結膜炎、結膜充血、メニエール病、視神経乳頭浮腫、耳鳴、難聴、網膜色素沈着。
6). 呼吸器:(1~5%未満)呼吸困難、咳嗽、(1%未満)口腔咽頭痛、発声障害、呼吸不全、鼻閉、鼻漏。
7). 心血管系:(1%未満)心膜炎、心拡大、心室性期外収縮、僧帽弁閉鎖不全症。
8). 血液:(1~5%未満)リンパ球減少、(1%未満)好酸球増加症、フィブリノゲン増加、発熱性好中球減少症、プロトロンビン時間延長、白血球増加、INR減少、INR増加、プロトロンビン時間短縮。
9). 消化器:(5%以上)下痢(77.1%)、悪心(37.3%)、嘔吐(28.0%)、腹痛(22.8%)、(1~5%未満)便秘、消化不良、腹部膨満、腹部不快感、鼓腸、胃炎、口内炎、(1%未満)消化器痛、食道炎、口内乾燥、肛門周囲痛、歯痛、歯肉炎、口唇炎、歯周炎、裂肛、口腔内白斑症、消化管びらん、舌炎、便潜血。
10). 代謝:(5%以上)食欲減退(9.6%)、(1~5%未満)低リン酸血症、カリウム減少、カルシウム減少、(1%未満)脱水、アルブミン減少、高カリウム血症、ナトリウム減少、マグネシウム減少、ナトリウム増加、高血糖、高脂血症、カルシウム増加、クロール減少、総蛋白減少、アルブミン増加、コリンエステラーゼ減少、抗利尿ホルモン不適合分泌。
11). 膵臓:(5%以上)リパーゼ増加(8.5%)、(1~5%未満)アミラーゼ増加、(1%未満)アミラーゼ減少。
12). 腎臓:(1~5%未満)クレアチニン増加、尿酸増加、(1%未満)腎機能障害、BUN増加、尿中蛋白陽性、尿中糖陽性、尿比重異常。
13). 筋骨格系:(1~5%未満)関節痛、筋肉痛、クレアチンホスホキナーゼ増加、四肢痛、骨痛、筋痙縮、背部痛、筋骨格痛、(1%未満)筋力低下、クレアチンホスホキナーゼ減少、骨壊死、変形性関節症。
14). その他:(5%以上)疲労(13.4%)、発熱(6.2%)、無力症(5.3%)、(1~5%未満)体重減少、胸痛、疼痛、インフルエンザ、悪寒、LDH増加、挫傷、顔面浮腫、(1%未満)血尿、薬物過敏症、粘膜炎症、感覚消失、体重増加、多汗症、鼻出血、結膜出血、寝汗、喀血、関節リウマチ、胸膜炎、耳新生物、皮下出血、膀胱癌。
- 高齢者
- 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下していることが多い)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと(動物試験(ラット、ウサギ)において臨床曝露量と同等以下の曝露量で生存胎仔数減少、催奇形性等が認められた)〔2.2、9.4生殖能を有する者の項参照〕。
授乳しないことが望ましい(動物実験(ラット)において、ボスチニブ又はその代謝物が乳汁中に移行することが報告されている。また、動物実験(ラット)において、臨床曝露量の2.5倍以上の曝露量で出生仔への影響(授乳早期での全出生仔死亡、出産から生後4日までの生存率低下、出生仔体重減少及び出生仔体重増加量減少、離乳直後の出生仔死亡等)が認められた)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回及び反復投与
日本人慢性期慢性骨髄性白血病患者17例に本剤400mg、500mg、又は600mgを食後単回及び反復経口投与したとき注)、本剤は緩やかに吸収されTmax4時間でCmaxに達した。Cmax及びAUC0-24は500mgまでは概ね用量増加に伴い増加した。定常状態(15日目)における累積係数(R)は1.7~2.5であった。
単回及び反復投与後のPKパラメータ
→図表を見る(PDF)
日本人慢性期慢性骨髄性白血病患者に本剤を1日1回400mgから600mgで投与したとき注)の投与後15日目における血漿中濃度推移(算術平均値±標準偏差)
注)本剤の承認された用法及び用量は1日1回500mg又は1日1回400mg(初発の慢性期慢性骨髄性白血病の場合)の食後経口投与である。
16.2 吸収
16.2.1 絶対的バイオアベイラビリティ
本剤の絶対的バイオアベイラビリティは34%であった(外国人データ)。
16.2.2 食事の影響
健康成人24例に本剤400mgをクロスオーバー法により、空腹時又は食後単回経口投与した注)。食後のCmax及びAUCは空腹時に比較してそれぞれ、1.5倍及び1.4倍であった(外国人データ)。
16.3 分布
日本人慢性期慢性骨髄性白血病患者7例に本剤500mgを食後単回経口投与したときの見かけの分布容積は平均約4570Lであった。
本剤のヒト血漿中タンパク結合率はin vitroで94%、及び健康成人のex vivoで96%であり、濃度に依存しなかった。
16.4 代謝
In vitro及びin vivo試験より、本剤は主に肝で代謝を受ける。本剤400mg又は500mgを単回又は反復投与後注)のヒト血漿中の主要代謝物は酸化的脱クロル体(M2)及びN‐脱メチル体(M5)であり、N‐オキサイド体(M6)はわずかであった。M5の血漿中曝露量は本剤の25%でM2は19%であった。これらの3つの代謝物の活性は本剤の5%以下であった。糞中には主にM5及び未変化体が存在した。ヒト肝ミクロソームによるin vitro試験より、本剤の代謝に関与する主な薬物代謝酵素はCYP3A4であった(外国人データ)。[10.参照]
16.5 排泄
健康成人男性6例に14Cで標識した本剤を単回経口投与したとき、投与後9日までに、投与放射能の94.6%が回収され、投与放射能の91.3%が糞中に、3.29%が尿中に排泄された。健康成人に本剤を単回経口投与したとき、尿中に排泄された未変化体は投与量の約1%であった(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
腎機能障害(軽度:クレアチニンクリアランス(CrCL)51~80mL/min以下、中等度:CrCL30~50mL/min以下、重度:CrCL30mL/min未満)を有する被験者26例及び健康被験者8例に本剤200mgを食後単回経口投与した注)。中等度及び重度の腎機能障害を有する被験者のAUCはそれぞれ、健康被験者に比較し35%及び60%上昇した。軽度の腎機能障害を有する被験者のAUCは変化しなかった。また、腎機能障害を有する被験者のt1/2は健康被験者と類似していた(外国人データ)。[9.2.1参照]
16.6.2 肝機能障害患者
肝機能障害(軽度:Child‐Pugh分類A、中等度:Child‐Pugh分類B、重度:Child‐Pugh分類C)を有する被験者18例及び健康被験者9例に本剤200mgを食後単回経口投与した注)。本剤のCmaxはChild‐Pugh分類A、B、及びCの被験者でそれぞれ、142%、99%、及び52%上昇し、AUCは125%、100%及び91%上昇した。また、肝機能障害を有する被験者ではt1/2が健康被験者よりも延長した(外国人データ)。[9.3参照]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 ケトコナゾール
健康成人24例に本剤100mgをクロスオーバー法により、単独又はケトコナゾール400mg5日間反復投与との併用で単回空腹時投与した注)。本剤とケトコナゾールを併用投与したとき、単独投与時と比べ、本剤のCmax及びAUCがそれぞれ5.2倍及び8.6倍増加した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.2 アプレピタント
健康成人20例に本剤500mgをクロスオーバー法により、単独又はアプレピタント125mgとの併用で単回食後投与した。本剤とアプレピタントを併用投与したとき、単独投与時と比べ、本剤のCmax及びAUCがそれぞれ1.5倍及び2倍増加した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.3 リファンピシン
健康成人24例に本剤500mgをクロスオーバー法により、単独又はリファンピシン600mg6日間反復投与との併用で単回食後投与した。本剤とリファンピシンを併用投与したとき、単独投与時と比べ、本剤のCmax及びAUCがそれぞれ86%及び94%減少した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.4 ランソプラゾール
健康成人24例に本剤400mgをクロスオーバー法により、単独又はランソプラゾール60mg2日間反復投与との併用で単回空腹時投与した注)。本剤とランソプラゾールを併用投与したとき、単独投与時と比べ、本剤のCmax及びAUCがそれぞれ46%及び26%減少した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.5 その他
本剤はP‐糖タンパク(P‐gp)、乳癌耐性タンパク(BCRP)の基質であり、P‐gp、有機カチオントランスポーター(OCT)1及び消化管のBCRPを阻害した(in vitro試験)。
注)本剤の承認された用法及び用量は1日1回500mg又は1日1回400mg(初発の慢性期慢性骨髄性白血病の場合)の食後経口投与である。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 海外第III相試験
初発の慢性期の慢性骨髄性白血病患者注)(536例)に、本剤400mg又はイマチニブ400mgを1日1回経口投与した。主要評価項目である12ヵ月時点の分子遺伝学的大寛解(MMR)率は次のとおりであり、イマチニブ群に対する本剤群の優越性が検証された(2016年8月11日データカットオフ)。
→図表を見る(PDF)
また、本剤群の安全性評価対象例268例中、250例(93.3%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。その主な副作用は下痢176例(65.7%)、悪心82例(30.6%)、ALT上昇76例(28.4%)等であった。
17.1.2 国内第II相試験
初発の慢性期の慢性骨髄性白血病患者注)(60例)に、本剤400mgを1日1回経口投与した。主要評価項目a)である12ヵ月時点のMMRb)率[90%信頼区間]は55.0%[44.4、65.6]であった。
また、安全性評価対象例60例中、59例(98.3%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。その主な副作用は下痢52例(86.7%)、ALT上昇33例(55.0%)、AST上昇28例(46.7%)等であった。
a)評価対象は、b2a2又はb3a2の転写産物を有するPh+慢性骨髄性白血病患者
b)ABLのコピー数が3000以上検出され、かつ末梢血中のBCR‐ABL転写量比が標準化されたベースライン値の0.1%以下に低下
17.1.3 国内第I/II相試験
他のチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性又は不耐容の慢性期/移行期/急性転化期慢性骨髄性白血病患者注)に、本剤500mgを1日1回経口投与した。主要評価項目であるイマチニブ抵抗性又は不耐容の慢性期慢性骨髄性白血病患者を対象とした本剤の投与開始から24週までの累積細胞遺伝学的大寛解(MCyR)及び各副次評価項目の成績は次のとおりであった。
→図表を見る(PDF)
また、安全性評価対象例63例中、63例(100%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。その主な副作用は下痢59例(93.7%)、発疹30例(47.6%)、ALT上昇24例(38.1%)等であった。
17.1.4 海外第I/II相試験
他のチロシンキナーゼ阻害薬に抵抗性又は不耐容の慢性期/移行期/急性転化期慢性骨髄性白血病患者注)に、本剤500mgを1日1回経口投与した。主要評価項目であるイマチニブ抵抗性の慢性期慢性骨髄性白血病患者を対象とした本剤の投与開始24週時点の細胞遺伝学的大寛解(MCyR)及び各副次評価項目の成績は次のとおりであった。
→図表を見る(PDF)
また、安全性評価対象例570例中、560例(98.2%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。その主な副作用は下痢453例(79.5%)、悪心237例(41.6%)、嘔吐196例(34.4%)等であった。
注)臨床試験では、病勢進行中のB型及びC型肝炎の患者は除外された。
18.1 作用機序
ボスチニブは、Abl及びSrcチロシンキナーゼ活性を阻害することにより、BCR‐ABL融合遺伝子陽性の腫瘍の増殖を抑制すると考えられる。
18.2 抗腫瘍効果
ボスチニブは、in vitroにおいて、BCR‐ABL融合遺伝子陽性のヒト慢性骨髄性白血病由来細胞株(KU812、K562、Meg‐01、Lama84及びKCL22)の増殖を阻害した。また、K562細胞株を皮下移植したヌードマウスにおいて、ボスチニブ投与により腫瘍増殖抑制作用及び生存期間の延長が認められた。
- 一包可:不可
抗悪性腫瘍剤
- 分割:不可
- 粉砕:不明
抗悪性腫瘍剤
- 製造販売会社
- ファイザー
- 販売会社
おくすりのQ&A
当該製品の添付文書では、効能又は効果として、『次の疾患で、他の緑内障治療薬が効果不十分又は使用できない場合:緑内障、高眼圧症』と記載されています。...
添付文書内の「有効性安全性」の正確な意味を教えてください。どのような条件ならば有効性があるとするのか、安全性があるというのかをその基準を教えて欲しいのです
入院でブルキンザカプセルを内服予定ですが、高額薬剤としてDPCは出来高になりますでしょうか。2025年4月15日の高額薬剤一覧には載っていなく、診断群分類...
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