メキニスト錠2mg
添付文書情報2024年04月改定(第4版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 警告
- 1.1. 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- 1). BRAF遺伝子変異を有する悪性黒色腫。
2). BRAF遺伝子変異を有する切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌。
3). 標準的な治療が困難なBRAF遺伝子変異を有する進行・再発の固形腫瘍<結腸・直腸癌を除く>。
4). BRAF遺伝子変異を有する再発又は難治性の有毛細胞白血病。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 〈効能共通〉十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、BRAF遺伝子変異が確認された患者に投与すること(検査にあたっては、承認された体外診断用医薬品又は医療機器を用いること)。なお、承認された体外診断用医薬品又は医療機器に関する情報については、次のウェブサイトから入手可能である:
https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/cd/0001.html。
5.2. 〈悪性黒色腫〉「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で適応患者の選択を行うこと〔17.1.1-17.1.4参照〕。
5.3. 〈非小細胞肺癌〉「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で適応患者の選択を行うこと〔17.1.5参照〕。
5.4. 〈非小細胞肺癌〉本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。
5.5. 〈固形腫瘍〉組織球症患者は本剤の投与対象となり得る。
5.6. 〈固形腫瘍〉臨床試験に組み入れられた患者のがん種等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、本剤以外の治療の実施についても慎重に検討し、適応患者の選択を行うこと〔17.1.6、17.1.7参照〕。
5.7. 〈固形腫瘍〉本剤の手術の補助療法における有効性及び安全性は確立していない。
5.8. 〈有毛細胞白血病〉臨床試験に組み入れられた患者の前治療歴等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと〔17.1.6参照〕。
- 用法・用量
- 〈悪性黒色腫〉
ダブラフェニブとの併用において、通常、成人にはトラメチニブとして2mgを1日1回、空腹時に経口投与する。ただし、悪性黒色腫で術後補助療法の場合には、投与期間は12ヵ月間までとする。なお、患者の状態により適宜減量する。
〈非小細胞肺癌、有毛細胞白血病〉
ダブラフェニブとの併用において、通常、成人にはトラメチニブとして2mgを1日1回、空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
〈固形腫瘍〉
ダブラフェニブとの併用において、通常、トラメチニブとして次の用量を1日1回、空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
・ 成人には、2mg。
・ 小児には、体重に合わせて次の用量。
1). 体重26kg以上38kg未満:1mg。
2). 体重38kg以上51kg未満:1.5mg。
3). 体重51kg以上:2mg。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 〈効能共通〉食後に本剤を投与した場合、Cmax低下及びAUC低下するとの報告がある。食事の影響を避けるため、食事の1時間前から食後2時間までの間の服用は避けること〔16.2.1参照〕。
7.2. 〈効能共通〉本剤投与により副作用(発熱を除く)が発現した場合には、次記の基準を参考に、本剤を休薬、減量又は中止すること。ただし、有棘細胞癌(皮膚扁平上皮癌)又は新たな原発性悪性黒色腫が発現した場合には、外科的切除等の適切な処置を行った上で、休薬、減量することなく治療を継続することができる〔7.3参照〕。
[休薬、減量及び中止基準]
1). NCI-CTCAE*によるGrade判定が、忍容不能なGrade2又はGrade3:休薬、Grade1以下まで軽快後、1段階減量して投与を再開。
2). NCI-CTCAE*によるGrade判定が、Grade4:原則投与中止、治療継続が患者にとって望ましいと判断された場合には、Grade1以下まで軽快後、1段階減量して投与を再開。
*)NCI-CTCAE v4.0によりGradeを判定。
[用量調節の目安(成人)]
1). 通常投与量:2mg(1日1回)。
2). 1段階減量:1.5mg(1日1回)。
3). 2段階減量:1mg(1日1回)。
4). 3段階減量:投与中止。
[用量調節の目安(小児)]
1). 通常投与量:1mg(1日1回):
①. 1段階減量:0.5mg(1日1回)。
②. 2段階減量:投与中止。
2). 通常投与量:1.5mg(1日1回):
①. 1段階減量:1mg(1日1回)。
②. 2段階減量:0.5mg(1日1回)。
③. 3段階減量:投与中止。
3). 通常投与量:2mg(1日1回):
①. 1段階減量:1.5mg(1日1回)。
②. 2段階減量:1mg(1日1回)。
③. 3段階減量:投与中止。
適切な処置により副作用が管理できた場合には、減量時と逆の段階を経て増量可。
7.3. 〈効能共通〉38.0℃以上の発熱が認められた場合には、本剤を休薬すること(発熱の回復後、24時間以上発熱がない場合には、休薬前と同一の用量で投与を再開すること)、38.0℃未満の発熱又は悪寒、戦慄、寝汗、インフルエンザ様症状等の発熱の初期症状の再発が認められた時点で本剤の休薬を検討すること(必要に応じて、7.2項の用量調節の目安を参考に、本剤を減量すること(本剤を休薬しても4週間以内に発熱がGrade1以下又はベースラインに軽快しない場合は、本剤の投与を中止すること))〔7.2、8.4参照〕。
7.4. 〈効能共通〉0.5mg錠と2mg錠の生物学的同等性は示されていないため、2mgを投与する際には0.5mg錠を使用しないこと。
7.5. 〈固形腫瘍〉26kg未満の小児患者における有効性及び安全性は確立していない。
- 生殖能を有する者
- 8.1. 心障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前には、患者の心機能を確認し、本剤投与中は適宜心機能検査(心エコー等)を行い、患者の状態(左室駆出率(LVEF)の変動を含む)を十分に観察すること〔9.1.1、11.1.1参照〕。
8.2. 網膜静脈閉塞、網膜色素上皮剥離、網膜剥離等の重篤な眼障害が報告されているので、定期的に眼の異常の有無を確認すること。また、眼の異常が認められた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること。
8.3. 肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に肝機能検査を行うこと〔9.3.1、11.1.2参照〕。
8.4. 発熱が高頻度に認められ、重度脱水、低血圧を伴う例も報告されているので、患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には減量、休薬や解熱剤の投与など適切な処置を行い、感染症等の有無を評価すること(解熱剤で効果が不十分な場合には、経口ステロイド剤の投与を検討すること)〔7.3参照〕。
8.5. 横紋筋融解症があらわれることがあるので、筋肉痛、脱力感、CK上昇(CPK上昇)、血中ミオグロビン上昇及び尿中ミオグロビン上昇等に十分注意すること〔11.1.4参照〕。
9.1.1. 心疾患又はその既往歴のある患者:症状が悪化するおそれがある〔8.1、11.1.1参照〕。
9.3.1. 中等度以上の肝機能障害患者:本剤の曝露量が増加する可能性がある〔8.3、11.1.2、16.6.1参照〕。
妊娠可能な女性:妊娠可能な女性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること〔9.5妊婦の項参照〕。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 心障害1). 〈ダブラフェニブとの併用時〉心障害:心不全(0.1%)、左室機能不全(0.2%)、駆出率減少(5.9%)等の重篤な心障害があらわれることがある〔8.1、9.1.1参照〕。
2). 〈本剤単独投与時〉心障害:心不全(0.5%)、左室機能不全(1.4%)、駆出率減少(4.7%)等の重篤な心障害があらわれることがある〔8.1、9.1.1参照〕。
11.1.2. 肝機能障害1). 〈ダブラフェニブとの併用時〉肝機能障害:ALT上昇(11.3%)、AST上昇(11.5%)等を伴う肝機能障害があらわれることがある〔8.3、9.3.1参照〕。
2). 〈本剤単独投与時〉肝機能障害:ALT上昇(4.3%)、AST上昇(5.2%)等を伴う肝機能障害があらわれることがある〔8.3、9.3.1参照〕。
11.1.3. 間質性肺疾患1). 〈ダブラフェニブとの併用時〉間質性肺疾患(0.1%)。
2). 〈本剤単独投与時〉間質性肺疾患(0.5%)。
11.1.4. 横紋筋融解症1). 〈ダブラフェニブとの併用時〉横紋筋融解症(0.4%)〔8.5参照〕。
2). 〈本剤単独投与時〉横紋筋融解症(頻度不明)〔8.5参照〕。
11.1.5. 静脈血栓塞栓症1). 〈ダブラフェニブとの併用時〉静脈血栓塞栓症(0.3%)。
2). 〈本剤単独投与時〉静脈血栓塞栓症(頻度不明)。
11.1.6. 脳血管障害1). 〈ダブラフェニブとの併用時〉脳血管障害:脳出血(0.1%)、脳血管発作(頻度不明)等の脳血管障害があらわれることがある。
2). 〈本剤単独投与時〉脳血管障害:脳出血(頻度不明)、脳血管発作(頻度不明)等の脳血管障害があらわれることがある。
- 11.2. その他の副作用
1). 〈ダブラフェニブとの併用時〉①. 〈ダブラフェニブとの併用時〉感染症:(1%~10%未満)毛包炎、膿疱性皮疹、(1%未満)蜂巣炎、尿路感染、上咽頭炎、爪囲炎。
②. 〈ダブラフェニブとの併用時〉血液:(1%~10%未満)好中球減少症、貧血、血小板減少症、白血球減少症。
③. 〈ダブラフェニブとの併用時〉代謝:(1%~10%未満)食欲減退、脱水、低ナトリウム血症、低リン血症、高血糖。
④. 〈ダブラフェニブとの併用時〉神経系:(10%以上)頭痛、(1%~10%未満)浮動性めまい。
⑤. 〈ダブラフェニブとの併用時〉眼:(1%~10%未満)霧視、ぶどう膜炎、視力障害、(1%未満)網膜色素上皮剥離、眼窩周囲浮腫、網脈絡膜症、網膜剥離、視力低下、(頻度不明)網膜静脈閉塞。
⑥. 〈ダブラフェニブとの併用時〉心・血管:(1%~10%未満)高血圧、低血圧、出血(鼻出血、歯肉出血等)、(1%未満)リンパ浮腫、徐脈、QT間隔延長/QTc間隔延長、(頻度不明)心拍数減少。
⑦. 〈ダブラフェニブとの併用時〉呼吸器:(1%~10%未満)咳嗽、呼吸困難。
⑧. 〈ダブラフェニブとの併用時〉消化器:(10%以上)悪心、下痢、嘔吐、(1%~10%未満)便秘、腹痛、口内乾燥、口内炎、(1%未満)膵炎。
⑨. 〈ダブラフェニブとの併用時〉肝胆道系:(1%~10%未満)ALP増加、γ-GTP増加。
⑩. 〈ダブラフェニブとの併用時〉皮膚:(10%以上)発疹、皮膚乾燥、(1%~10%未満)皮膚そう痒症、ざ瘡様皮膚炎、紅斑、日光角化症、寝汗、皮膚過角化、脱毛症、手掌・足底発赤知覚不全症候群、皮膚病変、多汗症、脂肪織炎、皮膚亀裂、光線過敏症。
⑪. 〈ダブラフェニブとの併用時〉筋骨格系:(10%以上)関節痛、筋肉痛、(1%~10%未満)四肢痛、筋痙縮、血中CK増加。
⑫. 〈ダブラフェニブとの併用時〉腎:(1%未満)腎炎、腎不全、尿細管間質性腎炎、急性腎障害。
⑬. 〈ダブラフェニブとの併用時〉全身:(10%以上)発熱(50.1%)、疲労、悪寒、無力症、(1%~10%未満)末梢性浮腫、インフルエンザ様疾患、粘膜炎症、(1%未満)顔面浮腫。
⑭. 〈ダブラフェニブとの併用時〉その他:(1%~10%未満)脂漏性角化症、(1%未満)乳頭腫、皮膚有棘細胞癌、アクロコルドン、新規の原発性悪性黒色腫、ケラトアカントーマ、ボーエン病、過敏症。
2). 〈本剤単独投与時〉①. 〈本剤単独投与時〉感染症:(1%~10%未満)毛包炎、爪囲炎、膿疱性皮疹、(頻度不明)蜂巣炎。
②. 〈本剤単独投与時〉血液:(1%~10%未満)貧血。
③. 〈本剤単独投与時〉代謝:(1%未満)脱水。
④. 〈本剤単独投与時〉眼:(1%~10%未満)眼窩周囲浮腫、霧視、(1%未満)視力障害、視神経乳頭浮腫、網脈絡膜症、網膜剥離、視力低下、(頻度不明)網膜静脈閉塞、網膜色素上皮剥離。
⑤. 〈本剤単独投与時〉心・血管:(1%~10%未満)高血圧、リンパ浮腫、出血(鼻出血、歯肉出血等)、(1%未満)徐脈、(頻度不明)心拍数減少、QT間隔延長/QTc間隔延長。
⑥. 〈本剤単独投与時〉呼吸器:(1%~10%未満)咳嗽、呼吸困難。
⑦. 〈本剤単独投与時〉消化器:(10%以上)下痢(33%)、悪心、(1%~10%未満)嘔吐、便秘、腹痛、口内乾燥、口内炎、(頻度不明)膵炎。
⑧. 〈本剤単独投与時〉肝胆道系:(1%~10%未満)ALP増加。
⑨. 〈本剤単独投与時〉皮膚:(10%以上)発疹(56%)、ざ瘡様皮膚炎、皮膚乾燥、脱毛症、(1%~10%未満)皮膚そう痒症、紅斑、手掌・足底発赤知覚不全症候群、皮膚亀裂、ひび・あかぎれ。
⑩. 〈本剤単独投与時〉筋骨格系:(1%~10%未満)血中CK増加。
⑪. 〈本剤単独投与時〉全身:(10%以上)疲労、末梢性浮腫、(1%~10%未満)発熱、顔面浮腫、粘膜炎症、無力症。
⑫. 〈本剤単独投与時〉その他:(1%未満)過敏症。
ダブラフェニブとの併用時の副作用頻度は、臨床試験(MEK115306試験、MEK116513試験、F2301試験、E2201試験及びX2201試験)に基づき記載した。
本剤単独投与時の副作用頻度は、海外臨床試験(MEK114267試験)に基づき記載した。
- 高齢者
- 患者の状態を観察しながら注意して投与すること(一般に生理機能が低下している)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい(本剤を妊娠中に投与する場合、及び投与中に妊娠した場合には、胎児に対する危険性を患者に説明すること)、動物実験では、ラットにおいて母動物体重増加量低値、着床後死亡率高値傾向又は胎仔体重低値が0.094/0.031mg/kg/日(初回/2回目以降の投与量;臨床曝露量(AUC)の約0.3倍)以上の群でみられ、ウサギにおいて母動物の体重増加量の低値、流産、胎仔体重の低値及び骨格異常の発現頻度の増加が0.077/0.0385mg/kg/日(臨床曝露量(AUC)の約0.1倍)以上の群で認められている〔9.4生殖能を有する者の項参照〕。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒトの乳汁中への移行は不明である)。
- 小児等
- 〈悪性黒色腫、非小細胞肺癌、有毛細胞白血病〉小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
〈固形腫瘍〉低出生体重児、新生児を対象とした臨床試験は実施していない。また、固形腫瘍の場合、6歳未満の患者に対する本剤の用法及び用量について、十分な検討は行われていない。
- 取扱い上の注意
- 20.1. 光及び湿気を避けるため、乾燥剤を同封した元の容器で保管すること。
20.2. 使用の都度密栓すること。
- その他の注意
- 15.2. 非臨床試験に基づく情報15.2.1. ラットの0.016mg/kg/日(臨床曝露量(AUC)の約0.2倍)以上の群で卵胞嚢胞増加及び黄体数減少がみられたことから、受胎能に悪影響を及ぼす可能性が示唆された。
15.2.2. マウスの0.25mg/kg/日(臨床曝露量(AUC)の約3倍)以上の群で心臓の病理組織学的変化を伴わない左室機能低下並びに心拍数低値及び心重量低値、ラットの1mg/kg/日(臨床曝露量(AUC)の約0.5~0.8倍)群で血清リン高値を伴う心筋鉱質沈着及び心筋壊死がみられた。
15.2.3. In vitro3T3 NRU光毒性試験において、本剤は光毒性を有する可能性が示唆された。
15.2.4. 幼若ラットの0.0125mg/kg/日/0.08mg/kg/日(生後7~21日の投与量/生後22~45日の投与量)(成人の臨床曝露量(AUC)の約0.3倍)以上の群で成長への影響・発達への影響(体重減少、骨長短縮、腟開口遅延)、骨への影響(大腿骨一次海綿骨壊死等)等がみられた。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回及び反復投与
日本人固形癌患者6例に、ダブラフェニブ150mgの1日2回併用下でトラメチニブ2mgを1日1回空腹時に反復経口投与した時、トラメチニブの血漿中濃度は投与後1時間で最高濃度に達した。
外国人固形癌患者4例にトラメチニブ2mgを単回経口投与及び[14C]トラメチニブ5μgを単回静脈内投与したときの絶対的バイオアベイラビリティは、約72.3%であった。
日本人固形癌患者にダブラフェニブ併用下でトラメチニブ2mgを単回及び反復経口投与したときの血漿中トラメチニブ濃度推移(平均値+標準偏差)
日本人固形癌患者にダブラフェニブ併用下でトラメチニブ2mgを単回及び反復経口投与したときの血漿中トラメチニブの薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
外国人固形癌患者24例にトラメチニブ2mg注1)を高脂肪・高カロリー食摂食後に単回経口投与した時の血漿中トラメチニブのAUC及びCmaxは絶食下に比べて、それぞれ約10及び70%低下した。[7.1参照]
注1)本剤の承認用法・用量は、ダブラフェニブとの併用において、通常、成人にはトラメチニブとして2mgを1日1回、空腹時に経口投与である。
16.3 分布
トラメチニブのヒト血漿蛋白結合率は96.3~98.6%であり、血液/血漿中濃度比は約3であった(in vitro)。
16.4 代謝
16.4.1 In vitro
トラメチニブは主にカルボキシエステラーゼにより脱アセチル化され、わずかにCYP3A4でも代謝された。
16.4.2 In vivo
外国人固形癌患者2例に[14C]トラメチニブ(溶液)2mg注1)を単回経口投与した時の血漿中には、未変化体が検出され(血漿中放射能の約50%以下)、代謝物として脱アセチル体、脱アセチル体の酸化体及び脱アセチル体のグルクロン酸抱合体が検出された。
16.5 排泄
外国人固形癌患者2例に[14C]トラメチニブ(溶液)2mg注1)を単回経口投与後の主排泄経路は糞中であり、放射能の糞中回収率は投与放射能の35%以上(総回収量の81%以上)、尿中回収率は投与放射能の9.0%以下(総回収量の19%以下)であった。放射能回収率は投与10日間後までで50%未満であった。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 肝機能障害患者
外国人の肝機能注2)の異なる患者に本剤を1日1回反復経口投与した時の血漿中薬物動態パラメータは次のとおりであった。[9.3.1参照]
外国人の肝機能の異なる患者に本剤を反復経口投与したときの血漿中トラメチニブの薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
16.6.2 小児
海外第I相試験(A2102試験及びX2101試験)及び国際共同第II相試験(G2201試験)に組み入れられた95例(6歳以上18歳未満)のデータを用いた母集団薬物動態解析の結果、①26kg以上38kg未満の患者に1mg、②38kg以上51kg未満の患者に1.5mg、③51kg以上の患者に2mgをそれぞれ1日1回反復経口投与した際の、トラメチニブのCmax(ng/mL)及びAUC0-24h(ng・hr/mL)の中央値は、①15.3及び256.4、②19.8及び345.1並びに③21.1及び381.5と推定された。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 In vitro
トラメチニブはCYP2C8、2C9及び2C19を阻害し(IC50:それぞれ0.34、4.1及び5.0μM)、CYP3A4及び2B6を誘導すると考えられた。また、Pgp及びBSEPの基質であり、Pgp、BCRP、OATP1B1、OATP1B3、OAT1、OAT3及びMATE1を阻害した(IC50:それぞれ5.5、1.1、1.3、0.94、1.34、2.58及び0.0609μM)。
16.7.2 In vivo
ダブラフェニブ
外国人固形癌患者17例にトラメチニブ2mgの1日1回反復経口投与とダブラフェニブ150mgの1日2回反復経口投与を併用した時、血漿中ダブラフェニブのCmax及びAUCは、ダブラフェニブ単独投与時に比べて、それぞれ約16及び23%増加した。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈根治切除不能な悪性黒色腫〉
17.1.1 国内第I/II相臨床試験(MEK116885試験)
BRAF V600E/K変異を有する①進行固形癌患者(第I相パート)及び②根治切除不能な悪性黒色腫患者(第II相パート)(症例数:①6例及び②6例)を対象にトラメチニブ(2mgを1日1回連日投与)とダブラフェニブ(1回150mgを1日2回連日投与)を併用する第I/II相非盲検非対照試験を実施した。第II相パートにおける奏効率注1)は83%(5/6例)であった。
副作用発現頻度は、100%(12/12例)であった。主な副作用は、発熱66.7%(8/12例)、AST増加及び末梢性浮腫各50.0%(6/12例)であった。[5.2参照]
注1)RECIST(ver 1.1)ガイドラインによる治験責任医師に基づく判定(CR+PR)
17.1.2 海外第III相臨床試験(MEK116513試験、COMBI‐v)
BRAF V600E/K変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫患者704例を対象に、トラメチニブ(2mgを1日1回連日投与)とダブラフェニブ(1回150mgを1日2回連日投与)を併用する群(併用療法群352例)とベムラフェニブ(1回960mgを1日2回連日投与)を投与する群(ベムラフェニブ群352例)と比較した第III相非盲検無作為化比較試験を実施した。全生存期間(OS)の中間解析において、ベムラフェニブ群と比較して併用療法群において統計学的に有意な延長が認められた[Kaplan‐Meier法で推定した中央値:併用療法群未到達、ベムラフェニブ群17.2ヵ月、ハザード比0.69(95%信頼区間:0.53-0.89)、層別log‐rank検定 p=0.005]。
全生存期間(OS)のKaplan‐Meier曲線(MEK116513試験ITT集団、2014年4月17日カットオフ)
トラメチニブとダブラフェニブ併用療法群における副作用発現頻度は、91%(320/350例)であった。主な副作用は、発熱47%(163/350例)、悪寒28%(98/350例)及び悪心23%(81/350例)であった。[5.2参照]
17.1.3 海外第III相臨床試験(MEK115306試験、COMBI‐d)
BRAF V600E/K変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫患者423例を対象に、トラメチニブ(2mgを1日1回連日投与)とダブラフェニブ(1回150mgを1日2回連日投与)を併用する群(併用療法群211例)とダブラフェニブ(1回150mgを1日2回連日投与)を投与する群(単剤療法群212例)を比較した第III相二重盲検無作為化比較試験を実施した。無増悪生存期間(PFS)の解析において、単剤療法群と比較して併用療法群において統計学的に有意な延長が認められた[Kaplan‐Meier法で推定した中央値:併用療法群9.3ヵ月、単剤療法群8.8ヵ月、ハザード比0.75(95%信頼区間:0.57-0.99)、層別log‐rank検定 p=0.035]。なお、OSの最終解析において、Kaplan‐Meier法で推定した中央値は併用療法群で25.1ヵ月、単剤療法群で18.7ヵ月であった[ハザード比0.71(95%信頼区間:0.55-0.92)]。
トラメチニブとダブラフェニブ併用療法群における副作用発現頻度は、86%(179/209例)であった。主な副作用は、発熱47%(98/209例)、悪寒27%(57/209例)及び疲労25%(52/209例)であった。[5.2参照]
〈悪性黒色腫の術後補助療法〉
17.1.4 国際共同第III相臨床試験(F2301試験、COMBI‐AD)
BRAF V600E/K変異を有する再発ハイリスク(American Joint Committee on Cancer(AJCC)Melanoma of the Skin Staging version 7に基づく病期IIIa:リンパ節転移1mm超、IIIb、IIIc)の悪性黒色腫の術後患者870例(日本人患者5例を含む)を対象に、トラメチニブ(2mgを1日1回連日投与)とダブラフェニブ(1回150mgを1日2回連日投与)を併用する群(併用療法群438例)とプラセボ群(432例)を比較した第III相二重盲検無作為化比較試験を実施した。併用療法もしくはプラセボの投与期間は12ヵ月間とした。無再発生存期間(RFS)の解析において、プラセボ群と比較して併用療法群において統計学的に有意な延長が認められた[Kaplan‐Meier法で推定したRFSの中央値:併用療法群未到達、プラセボ群16.6ヵ月、ハザード比0.47(95%信頼区間:0.39-0.58)、層別log‐rank検定 p=1.53×10の-14乗]。
無再発生存期間(RFS)のKaplan‐Meier曲線(2017年6月30日カットオフ)
トラメチニブとダブラフェニブ併用療法群における副作用発現頻度は、91.5%(398/435例(日本人患者3例を含む))であった。主な副作用は、発熱56.1%(244/435例)、疲労39.1%(170/435例)、悪寒35.6%(155/435例)であった。[5.2参照]
〈非小細胞肺癌〉
17.1.5 国際共同第II相臨床試験(E2201試験)
BRAF V600E変異を有する切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者を対象に、トラメチニブ(2mgを1日1回連日投与)とダブラフェニブ(1回150mgを1日2回連日投与)の併用投与(①白金系抗悪性腫瘍剤を含む化学療法歴のある患者57例(日本人患者1例を含む)、②化学療法歴のない患者36例)を検討する第II相非盲検非対照試験を実施した。奏効率注1)(%)はそれぞれ①63.2(95%信頼区間:49.3-75.6)及び②61.1(95%信頼区間:43.5-76.9)であった。
トラメチニブとダブラフェニブ併用療法群における副作用発現頻度は、89.2%(83/93例(日本人患者1例を含む))であった。主な副作用は、発熱49.5%(46/93例)、悪心38.7%(36/93例)、嘔吐及び皮膚乾燥26.9%(25/93例)であった。[5.3参照]
〈固形腫瘍、有毛細胞白血病〉
17.1.6 国際共同第II相臨床試験(X2201試験、ROAR)
標準的な治療選択肢のないBRAF V600E変異を有する固形腫瘍患者、BRAF V600E変異を有する再発又は難治性の有毛細胞白血病患者注2)等(18歳以上)を対象に、トラメチニブ(2mgを1日1回連日投与)とダブラフェニブ(1回150mgを1日2回連日投与)の併用投与を検討する第II相非盲検非対照試験を実施した。奏効率は、表のとおりであった。
→図表を見る(PDF)
トラメチニブとダブラフェニブ併用療法群における副作用発現頻度は、88.8%(174/196例(日本人患者7例を含む))であった。主な副作用は、発熱41.8%(82/196例)、疲労27.0%(53/196例)、悪寒26.0%(51/196例)であった。[5.6、5.8参照]
注2)プリンアナログによる一次治療に不応若しくは当該治療の1年以内に再発した、又は2つ以上の治療後に増悪した有毛細胞白血病患者が対象とされた。
17.1.7 海外第I/II相試験(小児X2101試験、パートD)
BRAF V600変異を有するLGG及びランゲルハンス細胞組織球症(LCH)患者(1歳以上18歳未満)を対象に、トラメチニブ(6歳未満:0.032mg/kg、6歳以上:0.025mg/kgを1日1回連日投与)注6)とダブラフェニブ(12歳未満:2.625mg/kg、12歳以上:2.25mg/kgを1日2回連日投与)の併用投与(①LGG:20例、②LCH:10例)を検討する第I/II相非盲検非対照試験を実施した。奏効率注7)(%)はそれぞれ①25.0(95%信頼区間:8.7-49.1)及び②60.0(95%信頼区間:26.2-87.8)であった。
トラメチニブとダブラフェニブ併用療法群における副作用発現頻度は、100%であった。主な副作用は発熱53.3%(16/30例)、疲労36.7%(11/30例)、皮膚乾燥36.7%(11/30例)であった。[5.6参照]
注6)小児に対する本剤の承認用法・用量は、体重26kg以上38kg未満の患者は1mg、38kg以上51kg未満の患者は1.5mg、51kg以上の患者は2mgを1日1回経口投与である。
注7)①はRANO LGG(2011)基準による独立画像判定に基づく判定(CR+PR)、②はHistiocyte Society Evaluations and Treatment Guidelines(Apr. 2009)(Minkov et al. 2009)による治験責任医師に基づく判定(CR+Regressive disease)。
18.1 作用機序
トラメチニブは、MEK1及びMEK2の活性化並びにキナーゼ活性を阻害した。また、トラメチニブは、A375P F11細胞株を皮下移植したマウスの腫瘍組織において、MEKの基質であるERKのリン酸化を阻害した。
18.2 抗腫瘍効果
18.2.1 In vitro
(1)トラメチニブは、BRAF V600E変異型を発現するヒト悪性黒色腫由来細胞株(UACC‐257、SK‐MEL‐1、COLO‐829等)及びヒト非小細胞肺癌由来MV522細胞株及びヒト甲状腺未分化癌由来細胞株(8505C及び8305C)、BRAF V600K変異型を発現するヒト悪性黒色腫由来細胞株(WW165、YUMAC、YULAC及びYUSIT1)並びにBRAF V600D変異型を発現するヒト悪性黒色腫由来WM‐115細胞株の増殖を抑制した。
(2)トラメチニブを、BRAF阻害薬であるダブラフェニブと併用することにより、UACC‐257、SK‐MEL‐1、COLO‐829、MV522、8505C、8305C細胞株等に対する増殖抑制作用は各薬剤単独処理と比較して増強した。
18.2.2 In vivo
トラメチニブは、BRAF V600E変異型を発現するヒト悪性黒色腫由来A375P F11細胞株を皮下移植したマウスにおいて、腫瘍増殖を抑制した。また、トラメチニブとダブラフェニブを併用投与することにより、各薬剤単独投与と比較して腫瘍増殖抑制作用が増強した。
- 一包可:条件付可
抗悪性腫瘍剤@光及び湿気を避けるため、乾燥剤を同封した元の容器で保管する。
- 分割:条件付可
- 粉砕:条件付可
抗悪性腫瘍剤
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- ノバルティス ファーマ
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