アイクルシグ錠15mg
添付文書情報2024年05月改定(第3版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 警告
- 1.1. 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、本剤による治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
1.2. 心筋梗塞、脳梗塞、網膜動脈閉塞症、末梢動脈閉塞性疾患、静脈血栓塞栓症等の重篤な血管閉塞性事象があらわれることがあり、死亡に至った例も報告されている。本剤の投与開始前に、虚血性疾患(心筋梗塞、末梢動脈閉塞性疾患等)、静脈血栓塞栓症等の既往歴の有無、心血管系疾患の危険因子(高血圧、糖尿病、脂質異常症等)の有無等を確認した上で、投与の可否を慎重に判断すること。また、本剤投与中は患者の状態を十分に観察し、胸痛、腹痛、四肢痛、片麻痺、視力低下、息切れ、しびれ等の血管閉塞性事象が疑われる徴候や症状の発現に注意すること〔8.2、11.1.1-11.1.4参照〕。
1.3. 重篤な肝機能障害があらわれることがあり、肝不全により死亡に至った例も報告されているので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること〔8.3、9.3肝機能障害患者の項、11.1.7参照〕。
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。
- 効能・効果
- 1). 前治療薬に抵抗性又は不耐容の慢性骨髄性白血病。
2). 再発又は難治性のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 染色体検査又は遺伝子検査により慢性骨髄性白血病又はフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病と診断された患者に使用すること。
5.2. 臨床試験に組み入れられた患者の前治療歴等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、本剤以外の治療の実施についても慎重に検討し、適応患者の選択を行うこと。
- 用法・用量
- 通常、成人にはポナチニブとして45mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 他の抗悪性腫瘍薬との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
7.2. 血管閉塞性事象又はGrade3以上の心不全が発現した場合は、直ちに本剤を投与中止すること(なお、副作用が消失し、治療継続が患者にとって望ましいと判断された場合は、本剤投与を再開できるが、再開する際には、本剤の減量を考慮すること)〔8.2、8.4、9.1.2-9.1.5、11.1.1-11.1.4、11.1.13参照〕。
7.3. 血管閉塞性事象及びGrade3以上の心不全以外の副作用が発現した場合には、次の基準を参考に、本剤を休薬、減量又は投与中止すること。
7.3.1. [血液系の副作用と投与量調節基準]
骨髄抑制(好中球減少症、血小板減少症):
1). 好中球絶対数[ANC]<1.0×10の9乗/L又は血小板数<50×10の9乗/L;45mg投与時の最初の発現:ANC≧1.5×10の9乗/L及び血小板数≧75×10の9乗/Lに回復するまで本剤を休薬し、回復後は45mgで再開する。
2). 好中球絶対数[ANC]<1.0×10の9乗/L又は血小板数<50×10の9乗/L;45mg投与時の再発:ANC≧1.5×10の9乗/L及び血小板数≧75×10の9乗/Lに回復するまで本剤を休薬し、回復後は30mgで再開する。
3). 好中球絶対数[ANC]<1.0×10の9乗/L又は血小板数<50×10の9乗/L;発現時の用量が30mg:ANC≧1.5×10の9乗/L及び血小板数≧75×10の9乗/Lに回復するまで本剤を休薬し、回復後は15mgで再開する。
4). 好中球絶対数[ANC]<1.0×10の9乗/L又は血小板数<50×10の9乗/L;発現時の用量が15mg:本剤を投与中止する。
7.3.2. [非血液系の副作用と投与量調節基準]
1). 肝機能障害:
①. 肝トランスアミナーゼ値>3×基準値上限[ULN]<Grade2以上>;発現時の用量が45mg:Grade1以下(<3×ULN)に回復するまで本剤を休薬し、回復後は30mgで再開する。
②. 肝トランスアミナーゼ値>3×基準値上限[ULN]<Grade2以上>;発現時の用量が30mg:Grade1以下(<3×ULN)に回復するまで本剤を休薬し、回復後は15mgで再開する。
③. 肝トランスアミナーゼ値>3×基準値上限[ULN]<Grade2以上>;発現時の用量が15mg:本剤を投与中止する。
④. 次の3つを満たす場合:①肝TA値≧3×ULN②Bil値>2×ULN③Al-P値<2×ULN;本剤を投与中止する(TA:トランスアミナーゼ、Bil:ビリルビン、Al-P:アルカリホスファターゼ)。
2). 膵炎/リパーゼ及びアミラーゼの増加:
①. 無症候性のGrade3又は4のリパーゼ増加[>2×ULN]又は無症候性のGrade3又は4のアミラーゼ増加[>2×ULN]のみ;発現時の用量が45mg:Grade1以下(≦1.5×ULN)に回復するまで本剤を休薬し、回復後は30mgで再開する。
②. 無症候性のGrade3又は4のリパーゼ増加[>2×ULN]又は無症候性のGrade3又は4のアミラーゼ増加[>2×ULN]のみ;発現時の用量が30mg:Grade1以下(≦1.5×ULN)に回復するまで本剤を休薬し、回復後は15mgで再開する。
③. 無症候性のGrade3又は4のリパーゼ増加[>2×ULN]又は無症候性のGrade3又は4のアミラーゼ増加[>2×ULN]のみ;発現時の用量が15mg:本剤を投与中止する。
④. Grade3の膵炎;発現時の用量が45mg:Grade1以下に回復するまで本剤を休薬し、回復後は30mgで再開する。
⑤. Grade3の膵炎;発現時の用量が30mg:Grade1以下に回復するまで本剤を休薬し、回復後は15mgで再開する。
⑥. Grade3の膵炎;発現時の用量が15mg:本剤を投与中止する。
⑦. Grade4の膵炎;本剤を投与中止する。
3). 心不全:
①. 心不全<Grade2>;45mg投与時の最初の発現:Grade1以下に回復するまで本剤を休薬し、回復後は45mgで再開する。
②. 心不全<Grade2>;45mg投与時の再発:Grade1以下に回復するまで本剤を休薬し、回復後は30mgで再開する。
③. 心不全<Grade2>;発現時の用量が30mg:Grade1以下に回復するまで本剤を休薬し、回復後は15mgで再開する。
④. 心不全<Grade2>;発現時の用量が15mg:本剤を投与中止する。
4). その他非血液系の副作用:
①. 非血液系副作用<7日間を超えて持続するGrade2>;45mg投与時の最初の発現:Grade1以下に回復するまで本剤を休薬し、回復後は45mgで再開する。
②. 非血液系副作用<7日間を超えて持続するGrade2>;45mg投与時の再発:Grade1以下に回復するまで本剤を休薬し、回復後は30mgで再開する。
③. 非血液系副作用<7日間を超えて持続するGrade2>;発現時の用量が30mg:Grade1以下に回復するまで本剤を休薬し、回復後は15mgで再開する。
④. 非血液系副作用<7日間を超えて持続するGrade2>;発現時の用量が15mg:本剤を投与中止する。
⑤. 非血液系副作用<Grade3>又は非血液系副作用<Grade4>;発現時の用量が45mg:Grade1以下に回復するまで本剤を休薬し、回復後は30mgで再開する。
⑥. 非血液系副作用<Grade3>又は非血液系副作用<Grade4>;発現時の用量が30mg:Grade1以下に回復するまで本剤を休薬し、回復後は15mgで再開する。
⑦. 非血液系副作用<Grade3>又は非血液系副作用<Grade4>;発現時の用量が15mg:本剤を投与中止する。
GradeはNCI-CTCAE ver4.0による。
- 生殖能を有する者
- 8.1. 本剤を漫然と投与しないよう、定期的に血液検査、骨髄検査、染色体検査等を行い、本剤の投与継続の要否を検討すること。
8.2. 重篤な血管閉塞性事象があらわれることがあるので、本剤投与中は心血管系疾患の危険因子(高血圧、糖尿病、脂質異常症等)を管理するとともに、患者の状態を十分に観察し、胸痛、腹痛、四肢痛、片麻痺、視力低下、息切れ、しびれ等の血管閉塞性事象が疑われる徴候や症状の発現に注意すること。また、血管閉塞性事象が疑われる症状があらわれた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること〔1.2、7.2、9.1.3-9.1.5、11.1.1-11.1.4参照〕。
8.3. 肝機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に(投与開始後3箇月間は2週間ごと、その後は1箇月ごと)、また、患者の状態に応じて肝機能検査を行い、患者の状態を十分に観察すること〔1.3、9.3肝機能障害患者の項、11.1.7参照〕。
8.4. 心不全があらわれることがあるので、本剤投与開始前には、患者の心機能を確認し、本剤投与中は適宜心機能検査(心エコー等)を行い、患者の状態(左室駆出率(LVEF)の変動を含む)を十分に観察すること〔7.2、9.1.2、11.1.13参照〕。
8.5. 血圧上昇があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与中は定期的に血圧測定を行うこと〔11.1.6参照〕。
8.6. 膵炎があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与中は定期的に(投与開始後3箇月間は2週間ごと、その後は1箇月ごと)、また、患者の状態に応じて膵酵素に関する血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること〔9.1.1、11.1.8参照〕。
8.7. 骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与中は定期的に(投与開始後3箇月間は2週間ごと、その後は1箇月ごと)、また、患者の状態に応じて血液検査(血球数算定等)を行い、患者の状態を十分に観察すること〔11.1.5参照〕。
8.8. 体液貯留があらわれることがあるので、本剤投与中は体重を定期的に測定する等、患者の状態を十分に観察すること〔11.1.9参照〕。
8.9. 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行う等、患者の状態を十分に観察すること〔11.1.15参照〕。
8.10. 眼乾燥、霧視、眼痛、結膜出血等の眼障害があらわれることがあり、網膜動脈閉塞により失明に至った例も報告されているので、本剤投与中は定期的に眼科検査を行い、患者の状態を十分に観察すること。
8.11. Bcr-Ablチロシンキナーゼ阻害剤の投与によりB型肝炎ウイルス再活性化があらわれることがあるので、本剤投与に先立って肝炎ウイルス感染の有無を確認し、本剤投与前に適切な処置を行うこと〔9.1.6参照〕。
9.1.1. 膵炎又はその既往歴のある患者:膵炎が悪化又は再発するおそれがある〔8.6、11.1.8参照〕。
9.1.2. 心疾患又はその既往歴のある患者:心疾患が悪化又は再発するおそれがある〔7.2、8.4、11.1.13参照〕。
9.1.3. 虚血性疾患(心筋梗塞、末梢動脈閉塞性疾患等)の既往歴のある患者:血管閉塞性事象の発現リスクが高くなるおそれがある〔7.2、8.2、11.1.1、11.1.3参照〕。
9.1.4. 静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症等)の既往歴のある患者:血管閉塞性事象の発現リスクが高くなるおそれがある〔7.2、8.2、11.1.4参照〕。
9.1.5. 心血管系疾患の危険因子(高血圧、糖尿病、脂質異常症等)のある患者:血管閉塞性事象の発現リスクが高くなるおそれがある〔7.2、8.2参照〕。
9.1.6. B型肝炎ウイルスキャリアの患者又はB型肝炎既往感染者(HBs抗原陰性かつHBc抗体陽性又はHBs抗原陰性かつHBs抗体陽性):本剤の投与開始後は継続して肝機能検査や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルス再活性化の徴候や症状の発現に注意すること〔8.11参照〕。
9.1.7. 他のチロシンキナーゼ阻害剤に不耐容の患者:前治療薬の副作用の内容を確認してから投与すること(チロシンキナーゼ阻害剤に不耐容の患者に本剤を投与する際には、慎重に経過観察を行い、副作用発現に注意すること)、前治療薬の投与中止の原因となった副作用と同様の副作用が起こるおそれがある。
肝機能障害患者:肝機能障害が悪化するおそれがある〔1.3、8.3、11.1.7参照〕。
9.4.1. 妊娠可能な女性:妊娠可能な女性に対して、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること(動物実験(サル)において、子宮内膜萎縮を伴う卵胞への影響等が認められた)〔9.5妊婦の項参照〕。
9.4.2. パートナーが妊娠する可能性のある男性:パートナーが妊娠する可能性のある男性に対して、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること(動物実験(サル)において、精巣への影響(生殖細胞変性)等が認められた)。
- 相互作用
- 本剤は、主としてCYP3Aで代謝される〔16.4参照〕。
10.2. 併用注意:1). CYP3A阻害剤(ケトコナゾール(経口剤:国内未発売)、イトラコナゾール、ボリコナゾール、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、リトナビル、ジルチアゼム、ベラパミル等)、グレープフルーツジュース〔16.7.1参照〕[本剤の血中濃度が上昇するおそれがあるので、本剤の減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、副作用の発現に十分注意すること(これらの薬剤等がCYP3Aの代謝活性を阻害するため、本剤の血中濃度を上昇させる可能性がある)]。
2). CYP3A誘導剤(リファンピシン、リファブチン、カルバマゼピン、フェノバルビタール、フェニトイン等)、セイヨウオトギリソウ含有食品〔16.7.2参照〕[本剤の血中濃度が低下し効果が減弱するおそれがあるので、CYP3A誘導作用のない又は弱い薬剤への代替を考慮すること(これらの薬剤等がCYP3Aの代謝活性を誘導するため、本剤の血中濃度を低下させる可能性がある)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 冠動脈疾患(3.8%):心筋梗塞(2.1%)、狭心症(0.8%)、急性冠症候群(0.4%)、心筋虚血(0.4%)、不安定狭心症(0.2%)等の冠動脈疾患があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、徴候や症状が認められた場合には速やかに検査を行い、本剤を投与中止する等の適切な処置を行うこと〔1.2、7.2、8.2、9.1.3参照〕。
11.1.2. 脳血管障害(2.9%):脳梗塞(1.1%)、脳血管発作(0.8%)、脳動脈狭窄(0.4%)、一過性脳虚血発作(0.2%)、大脳動脈狭窄(0.2%)、脳虚血(0.2%)、脳幹梗塞(0.2%)等の脳血管障害があらわれることがある〔1.2、7.2、8.2参照〕。
11.1.3. 末梢動脈閉塞性疾患(2.7%):間欠性跛行(1.3%)、末梢動脈狭窄(0.4%)、四肢壊死(0.2%)、網膜動脈閉塞症(0.2%)、腎動脈狭窄(頻度不明)等の末梢動脈閉塞性疾患があらわれることがあるので、患者の状態を十分に観察し、疼痛、冷感、しびれ等が認められた場合には、本剤を投与中止する等の適切な処置を行うこと〔1.2、7.2、8.2、9.1.3参照〕。
11.1.4. 静脈血栓塞栓症(1.7%):網膜静脈血栓症(0.6%)、深部静脈血栓症(0.4%)、肺塞栓症(0.4%)、静脈塞栓症(0.2%)等の静脈血栓塞栓症があらわれることがある〔1.2、7.2、8.2、9.1.4参照〕。
11.1.5. 骨髄抑制(48.8%):血小板数減少(38.3%)、好中球数減少(20.6%)、貧血(13.9%)、白血球数減少(5.1%)、発熱性好中球減少症(2.1%)、汎血球減少症(1.9%)、リンパ球数減少(1.9%)、骨髄機能不全(0.2%)等の骨髄抑制があらわれることがある〔8.7参照〕。
11.1.6. 高血圧(14.1%):高血圧クリーゼ(頻度不明)を含む高血圧があらわれることがあるので、必要に応じて降圧剤の投与を行う等の適切な処置を行い、重症、持続性あるいは通常の降圧治療でコントロールできない高血圧があらわれた場合には本剤を休薬、減量又は投与中止すること。また、高血圧クリーゼがあらわれた場合には本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと〔8.5参照〕。
11.1.7. 肝機能障害(17.5%):ALT上昇、AST上昇、ビリルビン上昇、γ-GTP上昇等を伴う肝機能障害(17.5%)、黄疸(0.4%)、肝不全(頻度不明)があらわれることがある〔1.3、8.3、9.3肝機能障害患者の項参照〕。
11.1.8. 膵炎(6.1%)〔8.6、9.1.1参照〕。
11.1.9. 体液貯留(11.6%):末梢性浮腫(6.3%)、胸水(4.0%)、心嚢液貯留(2.3%)、肺うっ血(0.2%)、肺水腫(0.2%)等の体液貯留があらわれることがあるので、急激な体重増加、呼吸困難等の異常が認められた場合には投与を中止し、利尿剤を投与する等、適切な処置を行うこと〔8.8参照〕。
11.1.10. 感染症(12.4%):肺炎(1.7%)、敗血症(1.1%)等の感染症があらわれることがある。
11.1.11. 重度の皮膚障害(1.7%):剥脱性皮膚炎(1.1%)、多形紅斑(0.8%)等の重度皮膚障害があらわれることがある。
11.1.12. 出血(2.3%):鼻出血(2.1%)、胃腸出血(0.2%)、咽頭出血(0.2%)、出血性胃炎(0.2%)、性器出血(0.2%)、硬膜下血腫(頻度不明)等の出血があらわれることがある。
11.1.13. 心不全(1.9%)、うっ血性心不全(0.8%)〔7.2、8.4、9.1.2参照〕。
11.1.14. 不整脈(4.6%):心房細動(2.3%)、徐脈(1.1%)、QT間隔延長(0.8%)、頻脈(0.4%)、心室性不整脈(0.2%)、心停止(0.2%)、房室ブロック(0.2%)等の不整脈があらわれることがある。
11.1.15. 腫瘍崩壊症候群(0.2%):異常が認められた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること〔8.9参照〕。
11.1.16. ニューロパチー(3.2%):末梢性ニューロパチー(1.9%)、末梢性感覚ニューロパチー(0.8%)、多発ニューロパチー(0.2%)、末梢性運動ニューロパチー(0.2%)、末梢性感覚運動ニューロパチー(0.2%)等のニューロパチーがあらわれることがある。
11.1.17. 肺高血圧症(1.3%):患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、本剤を投与中止するとともに、他の病因(胸水、肺水腫等)との鑑別診断を実施した上で、適切な処置を行うこと。
11.1.18. 動脈解離(頻度不明):大動脈解離を含む動脈解離があらわれることがある。
- 11.2. その他の副作用
1). 血液:(10%未満)赤血球増加症、白血球増加症、好塩基球増加症、好酸球増加症、リンパ節症、慢性骨髄単球性白血病、活性化部分トロンボプラスチン時間延長。
2). 精神神経系:(10%以上)頭痛、(10%未満)うつ病、抑うつ気分、運動失調、感覚鈍麻、顔面不全麻痺、筋緊張低下、傾眠、激越、健忘、坐骨神経痛、錯感覚、錯乱状態、失見当識、失神、灼熱感、振戦、神経根痛、神経痛、睡眠障害、知覚過敏、注意力障害、脳神経麻痺、脳震盪、反射消失、不安、不器用、不眠症、浮動性めまい、平衡障害、片頭痛、味覚異常、嗜眠、異常な夢。
3). 眼:(10%未満)黄斑浮腫、黄斑変性、角膜びらん、眼そう痒症、眼異常感、眼異物感、眼圧上昇、眼乾燥、眼刺激、眼脂、眼充血、眼痛、眼部腫脹、眼瞼炎、眼瞼浮腫、眼瞼痙攣、眼窩周囲浮腫、結膜炎、結膜充血、結膜出血、視力障害、視力低下、硝子体浮遊物、潰瘍性角膜炎、角膜障害、虹彩毛様体炎、白内障、複視、霧視、網膜出血、流涙増加、緑内障。
4). 感覚器:(10%未満)回転性めまい、耳鳴、耳痛。
5). 心臓:(10%未満)左室肥大、駆出率減少、上室性期外収縮、心不快感、僧帽弁閉鎖不全症、動悸。
6). 血管:(10%未満)ほてり、レイノー現象、起立性低血圧、低血圧、血管炎、血管障害、大動脈狭窄、動脈炎、血腫、脾臓梗塞、内出血、末梢血管障害、末梢循環不良、末梢性虚血、末梢冷感、冷感、耳出血。
7). 呼吸器:(10%未満)呼吸困難、肺浸潤、無気肺、咽喉乾燥、咽喉絞扼感、咽頭潰瘍、口腔咽頭痛、咳嗽、発声障害、鼻部不快感、鼻閉、鼻漏、副鼻腔うっ血、副鼻腔分泌過多、しゃっくり。
8). 消化器:(10%以上)腹痛(22.3%)、便秘、悪心、(10%未満)胃炎、胃食道逆流性疾患、胃腸炎、食道痙攣、げっぷ、大腸炎、腹部膨満、腹水、嘔吐、下痢、血便、口の感覚鈍麻、口腔内出血、口腔内痛、口腔内潰瘍、口腔粘膜水疱、口唇痛、口内炎、口内乾燥、舌血腫、歯痛、歯肉出血、痔出血、消化管運動障害、消化器痛、消化不良、心窩部不快感、腹部不快感、麻痺性イレウス、嚥下障害、嚥下痛、肛門周囲痛。
9). 肝臓:(10%未満)ALP上昇、肝臓痛、胆道仙痛。
10). 腎臓:(10%未満)腎不全、多尿、尿失禁、頻尿、夜間頻尿、排尿困難、尿閉、尿検査異常、クレアチニン上昇、腎機能障害、(頻度不明)尿細管間質性腎炎、蛋白尿。
11). 皮膚:(10%以上)発疹(39.8%)、皮膚乾燥(31.8%)、(10%未満)ざ瘡、ざ瘡様皮膚炎、皮膚そう痒症、アレルギー性皮膚炎、紅斑、紫斑、斑状出血、点状出血、皮膚出血、メラノサイト性母斑、皮膚過角化、乾癬、乾癬様皮膚炎、汗腺障害、間擦疹、間質性肉芽腫性皮膚炎、顔面腫脹、基底細胞癌、魚鱗癬、光線過敏性反応、脂漏性角化症、脂漏性皮膚炎、皮膚色素沈着障害、寝汗、多汗症、苔癬様角化症、脱毛症、爪ジストロフィー、爪障害、爪変色、日光性角化症、剥脱性皮疹、皮膚炎、皮膚局面、皮膚刺激、皮膚腫脹、皮膚腫瘤、皮膚障害、皮膚色素過剰、皮膚色素脱失、皮膚潰瘍、皮膚乳頭腫、皮膚剥脱、皮膚肥厚、皮膚病変、皮膚変色、皮膚疼痛、毛孔性角化症、毛質異常、粃糠疹、丘疹、(頻度不明)皮脂欠乏症。
12). 筋・骨格系:(10%以上)筋肉痛、関節痛、(10%未満)横紋筋融解症、関節炎、関節可動域低下、関節硬直、関節腫脹、筋骨格系胸痛、筋骨格硬直、筋骨格痛、筋力低下、握力低下、筋痙縮、頸部痛、背部痛、骨痛、骨溶解、四肢痛、脂肪腫、上肢腫瘤、線維筋痛、側腹部痛、軟骨石灰化症、腱炎、腱障害、鼡径部痛、重感。
13). 生殖器:(10%未満)月経過多、月経困難症、頻発月経、無月経、骨盤痛、女性化乳房、精巣腫脹、精巣痛、乳頭痛、乳房炎症、乳房痛、不正子宮出血、膣出血、勃起不全。
14). 内分泌:(10%未満)甲状腺機能亢進症、甲状腺機能低下症、甲状腺炎、甲状腺腫、血中甲状腺刺激ホルモン増加。
15). 代謝:(10%以上)リパーゼ増加(20.2%)、(10%未満)1型糖尿病、糖尿病、高血糖、アミラーゼ上昇、インスリン必要量増加、LDH上昇、コレステロール上昇、高脂血症、尿酸上昇、高尿酸血症、痛風、高カリウム血症、低カリウム血症、高カルシウム血症、低カルシウム血症、高トリグリセリド血症、高ナトリウム血症、低ナトリウム血症、高マグネシウム血症、低マグネシウム血症、低血糖症、食欲減退、過小食、多飲症、脱水、低アルブミン血症、低リン酸血症、リン上昇、BNP増加、(頻度不明)尿素上昇。
16). その他:(10%以上)疲労、発熱、(10%未満)CRP上昇、インフルエンザ様疾患、ヘルニア、悪寒、異常感、医療機器関連血栓症、炎症、温度変化不耐症、過敏症、顔面浮腫、胸痛、胸部不快感、CK上昇、CK低下、倦怠感、挫傷、腫瘤、小結節、全身健康状態低下、全身性炎症反応症候群、体重増加、体重減少、転倒、捻挫、粘膜乾燥、浮腫、無力症、疼痛、膵周囲液貯留。
- 高齢者
- 患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること(高齢者では血管閉塞性事象の発現リスクが高くなるおそれがあり、また、一般に生理機能が低下していることが多い)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと(動物実験(ラット)において、催奇形性等が認められた)〔2.2、9.4.1参照〕。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒト乳汁中への移行については不明である)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
アルミピロー開封後は湿気を避けて遮光保存すること。
- その他の注意
- 15.2. 非臨床試験に基づく情報15.2.1. ラットを用いた2年間がん原性試験において、臨床曝露量と同等以下の用量で、卵巣性索間質性過形成及び混合型性索間質性良性腫瘍並びに陰核腺扁平上皮癌が認められた。
15.2.2. ラットを用いた光毒性試験において、眼に対する光毒性が認められた。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回及び反復投与
慢性骨髄性白血病患者及びフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病患者に本剤15mg注)、30mg注)又は45mgを単回及び反復経口投与した時の薬物動態パラメータ及び血漿中濃度を表16‐1及び添付文書の図16‐1に示す。
表16‐1 単回及び反復投与後の薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
図16‐1 慢性骨髄性白血病患者及びフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病患者に本剤を1日1回15mg、30mg、45mgで投与した時の1日目における血漿中濃度(平均値+標準偏差)
1日目
図16‐1 慢性骨髄性白血病患者及びフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病患者に本剤を1日1回15mg、30mg、45mgで投与した時の定常状態時(15mg:8日目、30mg及び45mg:29日目)における血漿中濃度(平均値+標準偏差)
定常状態
a)30mg群の患者1例は定常時状態の血液試料なし。
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人22例に本剤45mgをクロスオーバー法により、空腹時又は低脂肪食及び高脂肪食の食後に単回経口投与した。低脂肪食の食後のCmax及びAUCは空腹時に比較してそれぞれ0.94倍及び0.98倍であった。高脂肪食の食後のCmax及びAUCは空腹時に比べ、それぞれ0.94倍及び1.1倍であった。本剤は食事に関わらず投与できる(外国人データ)。
16.3 分布
16.3.1 分布容積
造血器悪性腫瘍患者20例に本剤45mgを食後反復経口投与した時の定常状態での分布容積は1,101Lであった(幾何平均値、投与29日目)(外国人データ)。
16.3.2 血漿蛋白結合率
ヒト血漿蛋白結合率は99.9%で、濃度に依存しなかった(in vitro、平衡透析法)。
16.4 代謝
ポナチニブは、主にCYP3A4により代謝される(in vitro)。
健康成人男性6例に14Cで標識した本剤を単回経口投与した時、投与24時間後までの血漿中において主な代謝物としてポナチニブの加水分解物であるAP24600が検出された(血漿中の総放射能に対する割合は14.9%)(外国人データ)。[10.参照]
16.5 排泄
健康成人男性6例に14Cで標識した本剤を単回経口投与した時、投与後14日までに、投与放射能の92%が回収され、投与放射能の86.6%が糞中に、5.4%が尿中に排泄された。健康成人に本剤を単回投与した時、投与後72時間までに尿中に排泄された未変化体は投与量の1%未満であった(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 肝機能障害患者
肝機能障害被験者(軽度:Child‐Pugh分類A、中等度:Child‐Pugh分類B、重度:Child‐Pugh分類C)16例及び健康成人8例に本剤30mg注)を単回経口投与した時の薬物動態パラメータを表16‐2に示す(外国人データ)。
表16‐2 肝機能障害被験者の薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
16.7 薬物相互作用
16.7.1 ケトコナゾール
健康成人22例に本剤15mg注)をクロスオーバー法により、単独又はケトコナゾール(強力なCYP3A4阻害剤)400mgを5日間反復投与との併用で単回空腹時投与した。本剤とケトコナゾールを併用投与した時、単独投与時と比べ、本剤のCmax及びAUC0-infはそれぞれ47%、78%増加した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.2 リファンピシン
健康成人19例に本剤45mgをクロスオーバー法により、単独又はリファンピシン(強力なCYP3A4誘導剤)600mgを9日間反復投与との併用で単回食後投与した。本剤とリファンピシンを併用投与した時、単独投与時と比べ、本剤のCmax及びAUC0-infはそれぞれ42%、63%減少した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.3 その他
・健康成人18例に本剤45mgをクロスオーバー法により、単独又はランソプラゾール60mgを2日間反復投与との併用で単回空腹時投与した。本剤とランソプラゾールを併用投与して胃内pHを上昇させた時、単独投与時と比べ、本剤のCmax及びAUC0-infはそれぞれ25%、6%減少した(外国人データ)。
・ポナチニブは、P‐糖蛋白(P‐gp)及び乳癌耐性蛋白(BCRP)に阻害作用を示した(in vitro)。
注)本剤の承認された用量は1日1回45mgである。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第I/II相試験
ダサチニブ若しくはニロチニブによる治療に抵抗性若しくは不耐容の慢性骨髄性白血病患者(CML)、又はチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)による前治療に抵抗性又は不耐容のフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病患者(Ph+ALL)35例を対象に実施した非盲検試験において、本剤45mgを1日1回経口投与した。慢性期慢性骨髄性白血病(CP‐CML)患者における主要評価項目である12箇月までの細胞遺伝学的大奏効(MCyR)率は64.7%(11/17例)であり、移行期慢性骨髄性白血病(AP‐CML)、急性転化期慢性骨髄性白血病(BP‐CML)及びPh+ALLにおける主要評価項目である6箇月までの血液学的大奏効(MaHR)率は61.1%(11/18例)であった。
副作用発現頻度は、35例中34例(97.1%)であった。主な副作用は、発熱17例(48.6%)、血小板数減少16例(45.7%)、高血圧13例(37.1%)、リパーゼ増加11例(31.4%)及び好中球数減少10例(28.6%)であった。
注)MCyR:CCyR(細胞遺伝学的完全奏効)とPCyR(細胞遺伝学的部分奏効)両方を含む。
CCyR(Ph+分裂中期細胞0%)、PCyR(Ph+分裂中期細胞1%~35%)
MaHR:CHR(血液学的完全奏効)とNEL(白血病の所見なし)両方を含む。
17.1.2 海外第II相試験
ダサチニブ若しくはニロチニブに抵抗性又は不耐容又は、breakpoint cluster region‐abelson(BCR‐ABL)複合体T315I変異を有するCML及びPh+ALL患者449例を対象に実施した非盲検試験において、本剤45mgを1日1回経口投与した。CP‐CMLにおける主要評価項目である12箇月までのMCyR率、並びにAP‐CML、BP‐CML及びPh+ALL患者における主要評価項目である6箇月までのMaHR率は、次のとおりであった。
→図表を見る(PDF)
副作用発現頻度は、449例中419例(93.3%)であった。主な副作用は、血小板減少169例(37.6%)、発疹159例(35.4%)、皮膚乾燥145例(32.3%)、腹痛105例(23.4%)及び好中球数減少89例(19.8%)であった。
18.1 作用機序
ポナチニブは、T315I等の変異型を含めABLのチロシンキナーゼ活性を阻害する。
18.2 抗腫瘍効果
18.2.1 ポナチニブは、BCR‐ABLを発現するヒト慢性骨髄性白血病由来K562、KY01及びLAMA細胞株並びにT315I等の変異を有するBCR‐ABLを発現させたマウスpro‐B細胞由来Ba/F3細胞株の増殖を抑制した(in vitro)。
18.2.2 ポナチニブは、K562細胞株及びT315I変異を有するBCR‐ABLを発現させたBa/F3細胞株を皮下移植したマウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した。
- 一包可:不可
抗悪性腫瘍剤
- 分割:不可
- 粉砕:不明
抗悪性腫瘍剤
- 製造販売会社
- 大塚製薬
- 販売会社
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