タスフィゴ錠35mg

添付文書情報2024年11月改定(第2版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 警告
- 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
- 禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- がん化学療法後に増悪したFGFR2融合遺伝子陽性の治癒切除不能な胆道癌。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 本剤の一次治療における有効性及び安全性は確立していない。
5.2. 本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。
5.3. 臨床試験に組み入れられた患者の原発部位等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと〔17.1.1参照〕。
5.4. 十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、FGFR2融合遺伝子が確認された患者に投与すること(検査にあたっては、承認された体外診断用医薬品又は医療機器を用いること)。なお、承認された体外診断用医薬品又は医療機器に関する情報については、次のウェブサイトから入手可能である:
https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/cd/0001.html。
- 用法・用量
- 通常、成人には、タスルグラチニブとして1日1回140mgを空腹時に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
7.2. 食後に本剤を投与した場合、本剤のCmax低下及びAUC低下するとの報告がある。食事の影響を避けるため、食事の1時間前から食後2時間までの間の服用は避けること〔16.2.1参照〕。
7.3. 本剤投与により副作用が発現した場合には、次の基準を考慮して休薬・減量・中止すること〔8.1、8.2、11.1.1、11.1.2参照〕。
[減量の目安]
1). 通常投与量:140mg。
2). 1段階減量:105mg。
3). 2段階減量:70mg。
4). 3段階減量:35mg。
5). 4段階減量:投与中止。
[副作用に対する休薬、減量及び中止基準]
1). 高リン血症:
①. 血清リン濃度が5.5mg/dL以上7.0mg/dL以下:食事療法や高リン血症治療剤の投与を行う。
②. 血清リン濃度が7.1mg/dL以上9.0mg/dL以下:食事療法や高リン血症治療剤の投与を行う(血清リン濃度が7.1mg/dL以上が2週間継続する場合、7.0mg/dL以下に回復するまで休薬し、その後、本剤の投与を再開する場合、1段階減量する)。
③. 血清リン濃度が9.1mg/dL以上:食事療法や高リン血症治療剤の投与を行う(血清リン濃度が7.0mg/dL以下に回復するまで休薬し、本剤の投与を再開する場合、1段階減量する)。
2). 角膜障害及び網膜障害:
①. 忍容性がないGrade2の角膜障害又はGrade3の角膜障害及び忍容性がないGrade2の網膜障害又はGrade3の網膜障害:本剤の投与開始前の状態又はGrade1以下に回復するまで休薬し、本剤の投与を再開する場合、1段階減量する。
②. Grade4の角膜障害及びGrade4の網膜障害:投与を中止する。
3). 血液障害:
①. Grade3の血液障害:Grade2以下に回復するまで休薬し、本剤の投与を再開する場合、同一用量とする。
②. Grade4の血液障害:Grade2以下に回復するまで休薬し、本剤の投与を再開する場合、1段階減量する。
4). 前記以外の副作用:
①. 忍容性がないGrade2の副作用:本剤の投与開始前の状態又はGrade1以下に回復するまで休薬し、本剤の投与を再開する場合、1段階減量する(ただし、初回減量時(140mgから105mg)には、休薬せずに減量可能である)。
②. Grade3の副作用:本剤の投与開始前の状態又はGrade1以下に回復するまで休薬し、本剤の投与を再開する場合、1段階減量する。
③. Grade4の副作用:投与を中止する(生命を脅かさない臨床検査値異常の場合は、Grade3と同じ処置(本剤の投与開始前の状態又はGrade1以下に回復するまで休薬し、本剤の投与を再開する場合、1段階減量する)とする)。
GradeはNCI-CTCAE ver.4.03に準じる。
- 生殖能を有する者
- 8.1. 高リン血症があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に血清リン濃度を測定し、血清リン濃度の変動に注意すること〔7.3、11.1.1参照〕。
8.2. 網膜剥離があらわれることがあるので、本剤投与中は定期的に眼科検査を行うなど観察を十分に行うこと。また、眼の異常が認められた場合には、速やかに医療機関を受診するよう患者を指導すること〔7.3、11.1.2参照〕。
本剤は主に肝臓で代謝されるため、血中濃度が上昇する可能性がある(なお、肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない)。
9.4.1. 妊娠する可能性のある女性:妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後6日間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること〔9.5妊婦の項参照〕。
9.4.2. 男性:男性には、本剤投与中及び最終投与後6日間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること〔9.5妊婦の項参照〕。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 高リン血症(82.6%)〔7.3、8.1参照〕。
11.1.2. 網膜剥離:網膜剥離(8.7%)、漿液性網膜剥離(8.7%)等があらわれることがあるので、霧視、飛蚊症、視野欠損、光視症、視力低下等が認められた場合には、眼科検査を実施し、投与を中止するなど適切な処置を行うこと〔7.3、8.2参照〕。
- 11.2. その他の副作用
1). 血液及びリンパ系障害:(5~20%未満)血小板減少、白血球減少、好中球減少、(5%未満)リンパ球減少、ヘモグロビン減少。
2). 眼障害:(5~20%未満)ドライアイ、角膜炎、角膜上皮欠損、眼球乾燥症、黄斑浮腫、霧視、網膜下液、(5%未満)白内障、角膜混濁、角膜障害、黄斑変性、点状角膜炎。
3). 胃腸障害:(20%以上)下痢(33.3%)、口内炎(24.6%)、(5~20%未満)口内乾燥、便秘、悪心、嘔吐、(5%未満)腹痛、口腔内潰瘍形成、腹部膨満、食道炎。
4). 一般・全身障害:(5~20%未満)倦怠感、(5%未満)疲労、口渇。
5). 肝胆道系障害:(5~20%未満)AST増加、ALT増加、ALP増加、血中ビリルビン増加、(5%未満)肝損傷、抱合ビリルビン増加、γ-GTP増加。
6). 感染症:(20%以上)爪囲炎(26.1%)、(5%未満)咽頭炎、鼻炎。
7). 代謝及び栄養障害:(5~20%未満)リパーゼ増加、食欲減退、高カルシウム血症、高尿酸血症、(5%未満)低マグネシウム血症、低ナトリウム血症、低リン血症、低アルブミン血症、低クロール血症、低カリウム血症。
8). 筋骨格系及び結合組織障害:(5~20%未満)関節痛、(5%未満)CK増加。
9). 神経系障害:(20%以上)味覚障害(24.6%)。
10). 精神障害:(5%未満)不眠症。
11). 腎及び尿路障害:(5~20%未満)血中クレアチニン増加、(5%未満)尿中蛋白陽性、尿中白血球陽性。
12). 呼吸器、胸郭及び縦隔障害:(5~20%未満)鼻出血、鼻乾燥。
13). 皮膚及び皮下組織障害:(20%以上)爪障害(72.5%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群(49.3%)、(5~20%未満)脱毛症、皮膚乾燥、発疹、(5%未満)皮膚過角化、皮膚そう痒症、皮膚亀裂。
14). その他:(5%未満)高血圧。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(ラットを用いた生殖発生毒性試験において、臨床曝露量未満に相当する用量で催奇形性(骨格異常、内臓異常及び外表異常等)が報告されている)〔9.4.1、9.4.2参照〕。
授乳しないことが望ましい(本剤が乳汁に移行する可能性があり、乳児が乳汁を介して本剤を摂取した場合、乳児に重篤な副作用が発現するおそれがある)〔15.2参照〕。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
- その他の注意
- 15.2. 非臨床試験に基づく情報本剤のラット及びイヌを用いた反復投与毒性試験において、種々の組織における異所性石灰化、上皮萎縮、骨形成異常・軟骨形成異常等の変化が臨床曝露量未満に相当する用量で認められた〔9.6授乳婦の項参照〕。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回及び反復投与
日本人進行固形癌患者3例に本剤140mgを1日1回反復経口投与したときの、投与8日目の血漿中タスルグラチニブ及びM2(タスルグラチニブの主要な活性代謝物)の濃度推移を添付文書の図に、初回投与後及び反復投与8日目の薬物動態パラメータを表に示した。反復投与8日目の薬物動態は、初回投与の結果から推測可能であり、タスルグラチニブ及びM2のAUC(0-24h)の累積係数の平均値は1.97及び2.35であった。
進行固形癌患者に本剤140mgを1日1回反復経口投与したときの投与8日目の血漿中タスルグラチニブ及びM2濃度(平均値+標準偏差)
進行固形癌患者に本剤140mgを単回及び1日1回反復経口投与したときの血漿中タスルグラチニブ及びM2の薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人14例に本剤35mgを単回経口投与したとき、空腹時投与に対する高脂肪食(約800-1000kcal、脂質含量約50%)後投与におけるタスルグラチニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ0.672及び0.771であり、tmaxは1時間遅延した。また、M2のCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ0.532及び0.702であり、tmaxは空腹時投与と高脂肪食後投与で同程度であった。[7.2参照]
16.3 分布
タスルグラチニブ及びM2のヒト血漿蛋白結合率(in vitro)は、それぞれ約93.7%(検討濃度:100~3000ng/mL)及び約90.0%(検討濃度:30~1000ng/mL)であった。タスルグラチニブ及びM2は、アルブミン、α1‐酸性糖蛋白質及びγ‐グロブリンのうち、アルブミンに対して最も強い結合を示した。
16.4 代謝
タスルグラチニブは、主としてCYP4F12を介してM2に代謝され、CYP2J2及びCYP3A4によっても代謝された。M2はCYP2J2、CYP3A4及びCYP4F12によって代謝された(in vitro)。健康成人8例に14C標識体を含む本剤35mgを単回経口投与したとき、投与後48時間までの血漿中において主に未変化体、M2及びM9(M2の酸化誘導体)が検出された(血漿中総放射能に対する割合は、それぞれ30.9、20.6及び12.3%)(外国人データ)。
16.5 排泄
健康成人8例に14C標識体を含む本剤35mgを単回投与したとき、投与後672時間までに投与した放射能の79.7%が糞中、5.84%が尿中に排泄された。投与後672時間までの糞及び尿中における未変化体の割合(投与放射能に対する割合)は、それぞれ32.08及び2.05%であった。また、糞及び尿中における主な代謝物としてM2が検出された(投与放射能に対する割合は、それぞれ30.53及び2.55%)(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 ラベプラゾール
健康成人14例にラベプラゾール20mgを1日1回反復経口投与し、本剤35mgを単回経口投与したとき、本剤単独投与時に対するラベプラゾール併用時のタスルグラチニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ1.07及び1.08であり、M2のCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ1.09及び1.18であった。
16.7.2 リファンピシン
健康成人14例にリファンピシン600mgを1日1回反復経口投与し、本剤35mgを単回経口投与したとき、本剤単独投与時に対するリファンピシン併用時のタスルグラチニブのCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ1.02及び0.841であり、M2のCmax及びAUCinfの幾何平均値の比は、それぞれ1.25及び0.878であった。
16.7.3 その他
タスルグラチニブ及びM2はP‐gpの基質である。また、タスルグラチニブはCYP3A、CYP4F12及びMATE1を阻害し、CYP1A2、CYP2B6及びCYP3Aを誘導した。さらに、タスルグラチニブがP‐gp及びBCRPを阻害する可能性が示唆された。M2はMATE1を阻害した(in vitro)。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国際共同第II相試験(E7090‐J000‐201試験)
化学療法歴のあるFGFR2融合遺伝子陽性注)の治癒切除不能な胆管癌(肝内胆管癌又は肝門部胆管癌)患者63例(うち日本人患者28例)に、本剤140mgを1日1回空腹時に経口投与した。主要評価項目であるRECIST ver.1.1に基づく独立評価判定による奏効率(%)は、30.2(90%信頼区間:20.7-41.0)であった。
注)FGFR2融合遺伝子は、FISH法(Break‐apart法)を用いて検査された。
本剤が投与された63例中61例(96.8%)に副作用が認められた。主な副作用は、高リン血症51例(81.0%)、手掌・足底発赤知覚不全症候群28例(44.4%)、下痢20例(31.7%)、爪囲炎、口内炎14例(各22.2%)等であった。[5.3参照]
18.1 作用機序
タスルグラチニブは、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)のチロシンキナーゼ活性を阻害する低分子化合物である。タスルグラチニブは、FGFR融合タンパク等のリン酸化を阻害し、下流のシグナル伝達分子のリン酸化を阻害することにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。
18.2 抗腫瘍効果
タスルグラチニブは、FGFR融合タンパクを発現する胆管癌患者由来CC6204腫瘍組織片を皮下移植したヌードマウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した。
- 一包可:不可
抗悪性腫瘍剤
- 分割:不可
- 粉砕:不明
抗悪性腫瘍剤
- 製造販売会社
- エーザイ
- 販売会社
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