カルボプラチン点滴静注液50mg「NK」
添付文書情報2024年07月改定(第4版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 警告
- 1.1. 本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本療法が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
1.2. 本剤を含む小児悪性固形腫瘍に対するがん化学療法は、小児のがん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで実施すること。
- 禁忌
- 2.1. 重篤な骨髄抑制のある患者[骨髄抑制は用量規制因子であり、感染症又は出血を伴い、重篤化する可能性がある]。
2.2. 本剤又は他の白金を含む薬剤に対し、重篤な過敏症の既往歴のある患者。
2.3. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。
- 効能・効果
- 1). 頭頸部癌、肺小細胞癌、睾丸腫瘍、卵巣癌、子宮頸癌、悪性リンパ腫、非小細胞肺癌、乳癌。
2). 次の悪性腫瘍に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法:小児悪性固形腫瘍(小児神経芽腫・小児網膜芽腫・小児肝芽腫・小児中枢神経系胚細胞腫瘍、再発又は難治性の小児ユーイング肉腫ファミリー腫瘍・再発又は難治性の小児腎芽腫)。
- 用法・用量
- 〈頭頸部癌、肺小細胞癌、睾丸腫瘍、卵巣癌、子宮頸癌、悪性リンパ腫、非小細胞肺癌〉
通常、成人にはカルボプラチンとして、1日1回300~400mg/㎡(体表面積)を投与し、少なくとも4週間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。なお、投与量は、年齢、疾患、症状により適宜増減する。
〈乳癌〉
(1). トラスツズマブ(遺伝子組換え)及びタキサン系抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはカルボプラチンとして、1日1回300~400mg/㎡(体表面積)を投与し、少なくとも3週間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。なお、投与量は、患者の状態により適宜減ずる。
(2). PD-L1陽性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の手術不能又は再発乳癌に対するペムブロリズマブ(遺伝子組換え)及びゲムシタビン塩酸塩との併用において、通常、成人にはカルボプラチンとして、1日1回AUC2mg・min/mL相当量を投与する。週1回投与を2週連続し、3週目は休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。なお、投与量は、患者の状態により適宜減ずる。
(3). ホルモン受容体陰性かつHER2陰性で再発高リスクの乳癌に対する術前薬物療法として、ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)及びパクリタキセルとの併用において、通常、成人にはカルボプラチンとして、次のいずれかの用法・用量で投与する。なお、投与量は、患者の状態により適宜減ずる。
・ 1日1回AUC5mg・min/mL相当量を投与し、少なくとも3週間休薬する。これを1クールとし、4クールまで投与する。
・ 1日1回AUC1.5mg・min/mL相当量を投与し、少なくとも6日間休薬する。週1回投与を3週連続し、これを1クールとし、4クールまで投与する。
〈小児悪性固形腫瘍(神経芽腫・網膜芽腫・肝芽腫・中枢神経系胚細胞腫瘍、再発又は難治性のユーイング肉腫ファミリー腫瘍・腎芽腫)に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法〉
(1). 神経芽腫・肝芽腫・中枢神経系胚細胞腫瘍、再発又は難治性のユーイング肉腫ファミリー腫瘍・腎芽腫に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法
イホスファミドとエトポシドとの併用療法において、カルボプラチンの投与量及び投与方法は、カルボプラチンとして635mg/㎡(体表面積)を1日間点滴静注又は400mg/㎡(体表面積)を2日間点滴静注し、少なくとも3~4週間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。
なお、投与量及び投与日数は疾患、症状、併用する他の抗悪性腫瘍剤により適宜減ずる。
また、1歳未満もしくは体重10kg未満の小児に対して、投与量には十分配慮すること。
(2). 網膜芽腫に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法
ビンクリスチン硫酸塩とエトポシドとの併用療法において、カルボプラチンの投与量及び投与方法は、カルボプラチンとして560mg/㎡(体表面積)を1日間点滴静注し、少なくとも3~4週間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。
ただし、36ヵ月齢以下の患児にはカルボプラチンを18.6mg/kgとする。
なお、投与量及び投与日数は疾患、症状、併用する他の抗悪性腫瘍剤により適宜減ずる。
〈効能共通〉
本剤投与時、投与量に応じて250mL以上のブドウ糖注射液又は生理食塩液に混和し、30分以上かけて点滴静注する。
(用法及び用量に関連する注意)
〈乳癌〉AUC目標値及び腎機能に基づく本剤の投与量については、関連する学会の最新のガイドライン等を参考に設定すること〔17.1.3、17.1.4参照〕。
- 生殖能を有する者
- 8.1. 〈効能共通〉骨髄抑制等の重篤な副作用が起こることがあるので、適宜臨床検査(血液検査、肝機能検査、腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。また、使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、遷延性に推移することがあるので、投与は慎重に行うこと〔9.1.1、9.1.2、11.1.1、11.1.4、11.1.5、11.1.12参照〕。
8.2. 〈効能共通〉腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること〔11.1.18参照〕。
8.3. 〈効能共通〉本剤の投与にあたってはG-CSF製剤等の適切な使用に関しても考慮すること。
8.4. 〈効能共通〉悪心・嘔吐、食欲不振等の消化器症状が起こることがあるので、患者の状態を十分に観察し、適切な処置を行うこと。
8.5. 〈効能共通〉感染症の発現又は感染症増悪、出血傾向の発現又は出血傾向増悪に十分注意すること。
8.6. 〈小児悪性固形腫瘍(神経芽腫・網膜芽腫・肝芽腫・中枢神経系胚細胞腫瘍、再発又は難治性のユーイング肉腫ファミリー腫瘍・腎芽腫)に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法〉関連文献(「抗がん剤報告書:カルボプラチン(小児)」等)を熟読すること。
8.7. 〈乳癌〉関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:カルボプラチン(乳癌)」等)を熟読すること。
9.1.1. 骨髄抑制のある患者:骨髄抑制を増悪させることがある〔8.1、11.1.1参照〕。
9.1.2. 感染症を合併している患者:骨髄抑制により、感染症を増悪させることがある〔8.1、11.1.1参照〕。
9.1.3. 水痘患者:致命的全身障害があらわれるおそれがある。
腎機能障害患者:腎機能が低下しているので、副作用が強くあらわれることがある。
9.2.1. 前治療を受け腎機能低下、特にシスプラチンの投与を受け腎機能低下している患者:初回投与量を適宜減量し、血液検査値に十分注意すること(骨髄抑制が強くあらわれることがある)。
9.2.2. 小児悪性固形腫瘍(神経芽腫・網膜芽腫・肝芽腫・中枢神経系胚細胞腫瘍、再発又は難治性のユーイング肉腫ファミリー腫瘍・腎芽腫)に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法において、腎機能低下している小児悪性固形腫瘍患者:骨髄抑制、聴器障害、腎障害の発現に特に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(なお、腎機能の指標としてGFR(Glomerular filtration rate:糸球体ろ過値)等を考慮して、投与量を選択することが望ましい)。
肝機能障害患者:代謝機能等が低下しているので、副作用が強くあらわれることがある。
9.4.1. 小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。
9.4.2. 妊娠する可能性のある女性:妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊をするよう指導すること〔9.5妊婦の項参照〕。
9.4.3. パートナーが妊娠する可能性のある男性:パートナーが妊娠する可能性のある男性には、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊をするよう指導すること(細菌を用いた復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞を用いた染色体異常試験及びマウスを用いた小核試験において、遺伝毒性が報告されている)。
- 相互作用
- 10.2. 併用注意:1). 放射線照射:①. 放射線照射[骨髄抑制等の副作用が増強することがあるので、併用療法を行う場合には、患者の状態を観察しながら、減量するなど用量に注意すること(ともに骨髄抑制等の副作用を有する)]。
②. 放射線照射[胸部への放射線照射を併用した場合に、重篤な食道炎又は肺臓炎が発現したとの報告があるので、併用する場合には、患者の状態に注意し、食道炎や肺陰影等が出現した場合には、本剤の投与及び放射線照射を直ちに中止し、適切な処置を行うこと(機序は不明であるが、動物試験(マウス)で本剤による放射線感受性増加が認められている)]。
③. 放射線照射[本剤と放射線照射の併用により、肝中心静脈閉塞症(VOD)が発症したとの報告があるので、十分注意すること(機序不明)]。
2). 抗悪性腫瘍剤:①. 抗悪性腫瘍剤[骨髄抑制等の副作用が増強することがあるので、併用療法を行う場合には、患者の状態を観察しながら、減量するなど用量に注意すること(ともに骨髄抑制等の副作用を有する)]。
②. 抗悪性腫瘍剤[本剤と他の抗悪性腫瘍剤の併用により、肝中心静脈閉塞症(VOD)が発症したとの報告があるので、十分注意すること(機序不明)]。
3). 腎毒性及び聴器毒性を有する薬剤(アミノグリコシド系抗生物質等)[腎障害及び聴器障害が増強することがあるので、併用療法を行う場合には、慎重に投与すること(ともに腎障害及び聴器障害を有する)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 骨髄抑制:汎血球減少(0.1%未満)、貧血(ヘモグロビン減少(40.1%)、赤血球減少(36.1%)、ヘマトクリット値減少(31.7%))、白血球減少(56.4%)、好中球減少(7.4%)、血小板減少(42.7%)、出血(0.1%未満)等があらわれることがある〔8.1、9.1.1、9.1.2参照〕。
11.1.2. ショック、アナフィラキシー(0.1%未満):チアノーゼ、呼吸困難、胸内苦悶、血圧低下、気管支痙攣等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、本剤の投与回数を重ねると、ショック、アナフィラキシーの発現頻度が高くなる傾向もみられる〔15.1.3参照〕。
11.1.3. 間質性肺炎(0.1%):発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等を伴う間質性肺炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.4. 急性腎障害(0.1%未満)、ファンコニー症候群(頻度不明):急性腎障害、ファンコニー症候群等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、BUN値異常、血清クレアチニン値異常、クレアチニン・クリアランス値異常等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと〔8.1参照〕。
11.1.5. 肝不全、肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明)〔8.1参照〕。
11.1.6. 消化管壊死、消化管穿孔、消化管出血、消化管潰瘍(いずれも頻度不明)。
11.1.7. 出血性腸炎、偽膜性大腸炎(頻度不明):出血性腸炎、偽膜性大腸炎等があらわれることがあるので、観察を十分に行い、激しい腹痛・激しい下痢等があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.8. 麻痺性イレウス(0.1%未満):腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹痛、腹部膨満あるいは腹部弛緩及び腸内容物うっ滞等)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には投与を中止し、腸管減圧法等の適切な処置を行うこと。
11.1.9. 脳梗塞(0.1%未満)、肺梗塞(頻度不明)。
11.1.10. 血栓・塞栓症(頻度不明):血栓・塞栓症(肺塞栓、脳血栓、その他の動脈血栓症又は静脈血栓症等)があらわれることがある。
11.1.11. 心筋梗塞、うっ血性心不全(頻度不明)。
11.1.12. 溶血性尿毒症症候群(頻度不明):血小板減少、溶血性貧血、腎不全を主徴とする溶血性尿毒症症候群があらわれることがある〔8.1参照〕。
11.1.13. 急性呼吸窮迫症候群(頻度不明):急速に進行する呼吸困難、低酸素症、両側性びまん性肺浸潤影等の胸部X線異常等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.14. 播種性血管内凝固症候群(DIC)(頻度不明):血小板数異常、血清FDP値異常、血漿フィブリノゲン濃度異常等の血液検査異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.15. 急性膵炎(頻度不明):血清アミラーゼ値異常、血清リパーゼ値異常等が認められた場合には投与を中止すること。
11.1.16. 難聴(0.1%未満):難聴、耳鳴等があらわれることがある。
11.1.17. 白質脳症(可逆性後白質脳症症候群を含む)(頻度不明):歩行時のふらつき、舌のもつれ、痙攣、頭痛、錯乱、視覚障害等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.18. 腫瘍崩壊症候群(頻度不明):異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること〔8.2参照〕。
11.1.19. うっ血乳頭、球後視神経炎、皮質盲(頻度不明):うっ血乳頭、球後視神経炎、皮質盲等の視覚障害があらわれることがある。
11.1.20. 溶血性貧血(頻度不明):クームス陽性の溶血性貧血があらわれることがある。
- 11.2. その他の副作用
1). 消化器:(10%以上)悪心・嘔吐(50.5%)[処置として制吐剤等の投与を行う]、食欲不振(45.4%)、(1%~10%未満)下痢、口内炎、腹痛、便秘、(1%未満)口渇。
2). 腎臓:(1%~10%未満)血尿、蛋白尿、(1%未満)乏尿。
3). 過敏症:(1%~10%未満)発疹、(1%未満)そう痒感、(頻度不明)蕁麻疹[このような症状があらわれた場合には投与を中止すること]。
4). 精神神経系:(1%~10%未満)末梢神経障害(しびれ等)、頭痛、(1%未満)耳鳴、聴力低下、視力障害、眩暈、痙攣、異常感覚、味覚異常、神経過敏、不安、不眠。
5). 肝臓:(10%以上)ALT上昇(10.2%)、(1%~10%未満)AST上昇、Al-P上昇、ビリルビン上昇、LDH上昇、γ-GTP上昇。
6). 循環器:(1%未満)心電図異常(期外収縮)、心悸亢進、血圧上昇、血圧低下、不整脈(頻脈、徐脈、心房細動、心房粗動、房室ブロック)。
7). 電解質:(1%~10%未満)血清ナトリウム異常、血清カリウム異常、血清クロール異常、血清カルシウム異常、血清リン異常、血清マグネシウム異常等、(1%未満)抗利尿ホルモン分泌異常症候群。
8). 皮膚:(10%以上)脱毛(18.3%)、(1%未満)皮膚色素沈着、爪変色、皮膚疾患。
9). その他:(10%以上)全身倦怠感(18.6%)、(1%~10%未満)発熱、浮腫、(1%未満)疼痛、潮紅、ほてり、胸部不快感、吃逆、注射部位反応(注射部位発赤、注射部位腫脹、注射部位疼痛、注射部位壊死、注射部位硬結等)、低蛋白血症、(頻度不明)無力症、尿酸上昇、悪寒、脱水、体重減少、アルブミン低下、呼吸困難。
「重大な副作用」及び「その他の副作用」の発現頻度は、承認時までの国内臨床試験620例に製造販売後の使用成績調査5598例を含めた総症例6218例による。
- 高齢者
- 用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能(骨髄機能、肝機能、腎機能等)が低下している)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと(動物実験(ラット)において催奇形性作用、胎仔致死作用が報告されている)〔2.3、9.4.2参照〕。
授乳しないことが望ましい(動物実験(ラット)で乳汁中への移行が報告されている)。
- 小児等
- 9.7.1. 小児悪性固形腫瘍(神経芽腫・網膜芽腫・肝芽腫・中枢神経系胚細胞腫瘍、再発又は難治性のユーイング肉腫ファミリー腫瘍・腎芽腫)に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法においては、骨髄抑制、聴器障害、ファンコニー症候群等の腎障害の発現に特に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
9.7.2. 外国で、本剤を高用量で他の聴器毒性を有する薬剤と併用した場合、臨床上有意な聴力低下が小児患者に発現するとの報告がある。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 本剤は、イオウを含むアミノ酸<メチオニン及びシスチン>輸液中で分解が起こるため、これらのアミノ酸輸液との配合を避けること。
14.1.2. 本剤は、アルミニウムと反応して沈殿物を形成し活性が低下するので、使用にあたってはアルミニウムを含む医療器具を用いないこと〔14.2.1参照〕。
14.1.3. 本剤は、錯化合物であるので、他の抗悪性腫瘍剤とは混注しないこと。
14.1.4. 本剤は細胞毒性を有するため、調製時には手袋を着用することが望ましい。皮膚に薬液が付着した場合は、直ちに多量の流水でよく洗い流すこと。
14.1.5. 本剤は輸液と混和した後、できるだけ速やかに使用すること。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 使用にあたってはアルミニウムを含む医療器具を用いないこと〔14.1.2参照〕。
14.2.2. 本剤は、生理食塩液等の無機塩類<NaCl・KCl・CaCl2等>を含有する輸液に混和するときは、8時間以内に投与を終了すること。
14.2.3. 静脈内投与に際し、薬液が血管外に漏れると、注射部位に硬結・壊死等を起こすことがあるので、薬液が血管外に漏れないように慎重に投与すること。
20.1. 本剤は、光及び熱により分解するので、直射日光や高温を避け、外箱開封後は遮光して保存すること。
20.2. 冷蔵庫保存では、結晶が析出することがある。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. 本剤は、シスプラチン投与で効果が認められなかった症例に対しては、有効性が認められていない。
15.1.2. 本剤と他の抗悪性腫瘍剤の併用により、急性白血病(前白血病相を伴う場合もある)、骨髄異形成症候群(MDS)が発生したとの報告がある。
15.1.3. 本剤の投与回数を重ねると、ショック、アナフィラキシーの発現頻度が高くなる傾向がみられ、特に白金製剤の投与回数が8回を超えるとその傾向は顕著となるとの報告がある〔11.1.2参照〕。
15.2. 非臨床試験に基づく情報15.2.1. 本剤は、細菌及びヒトリンパ芽球細胞に対し変異原性が認められており、また、ハムスターに対する染色体異常誘起性が認められている。
15.2.2. ラットの慢性毒性試験(静脈内投与)により耳下腺腺癌及び乳腺腺癌、前立腺前癌病変が発生したとの報告がある。
16.1 血中濃度
がん患者を対象にカルボプラチン75~450mg/m2注)を1回点滴静注したときの血中濃度の推移は3相性の減衰曲線を示し、消失半減期はα相は0.16~0.32時間、β相は1.29~1.69時間、γ相は22~32時間であった。血漿中白金濃度は投与後速やかに、その後、時間経過とともにゆるやかに低下した。
注)本剤の承認用量は300~400mg/m2である。
16.5 排泄
がん患者において投与後24時間に57~82%が尿中に排泄された。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈頭頸部癌、肺小細胞癌、睾丸腫瘍、卵巣癌、子宮頸癌、悪性リンパ腫〉
17.1.1 国内臨床試験
第II相試験(カルボプラチン単剤療法)における疾患別奏効率は次のとおりであった。
表1 疾患別奏効率
→図表を見る(PDF)
第II相試験で認められた主な副作用及び臨床検査値異常は悪心・嘔吐、食欲不振、全身倦怠感、下痢、発熱、血小板減少、白血球減少、ヘモグロビン減少、AST上昇、ALT上昇等であった。
また、頭頸部癌及び卵巣癌を対象としたカルボプラチンを含む併用化学療法とシスプラチンを含む併用化学療法との第III相比較試験でもカルボプラチンの有用性が認められている。
第III相比較試験(カルボプラチン投与群)で認められた主な副作用及び臨床検査値異常は悪心・嘔吐、食欲不振、全身倦怠感、発熱、血小板減少、白血球減少、ヘモグロビン減少、赤血球減少、AST上昇、ALT上昇等であった。
〈非小細胞肺癌〉
17.1.2 海外臨床試験
非小細胞肺癌を対象としたカルボプラチン単剤療法による奏効率及び生存期間は次のとおりである。
表2 奏効率及び生存期間
→図表を見る(PDF)
また、非小細胞肺癌を対象としたカルボプラチンを含む併用化学療法における奏効率及び生存期間は次のとおりである。
表3 奏効率及び生存期間
→図表を見る(PDF)
〈乳癌〉
17.1.3 国際共同第III相試験(KEYNOTE‐522試験)
ホルモン受容体陰性かつHER2陰性で再発高リスク注1)の周術期の乳癌患者1,174例(日本人76例を含む)を対象に、術前薬物療法としてのペムブロリズマブ(遺伝子組換え)と化学療法との併用療法、及び術後薬物療法としてのペムブロリズマブ(遺伝子組換え)単独療法注2)の有効性及び安全性が、術前薬物療法としてのプラセボと化学療法との併用療法、及び術後薬物療法としてのプラセボ投与注3)を対照とした二重盲検試験で検討された。主要評価項目の一つは無イベント生存期間(EFS)とされ、術前のペムブロリズマブ(遺伝子組換え)と化学療法との併用療法及び術後のペムブロリズマブ(遺伝子組換え)単独投与は、術前のプラセボと化学療法との併用療法及び術後のプラセボ投与と比較してEFSを有意に延長した(表及び添付文書の図)。
安全性解析対象例783例中769例(98.2%)(日本人45例中45例を含む)に副作用が認められた。主な副作用(20%以上)は、脱毛症451例(57.6%)、悪心391例(49.9%)、貧血339例(43.3%)、好中球減少症324例(41.4%)、疲労272例(34.7%)、下痢193例(24.6%)、ALT増加182例(23.2%)、発疹164例(20.9%)、無力症162例(20.7%)、便秘160例(20.4%)であった。
表4 有効性成績(KEYNOTE‐522試験)
→図表を見る(PDF)
注1)術前薬物療法を開始する前に、画像診断又は臨床診断によりTNM分類でT1cかつN1~2、又はT2~4かつN0~2に該当する遠隔転移を有しない患者が対象とされた。なお、TNM分類について、治験実施計画書第1版ではAmerican Joint Committee on Cancer(AJCC)第7版が、治験実施計画書改訂第2版以降はAJCC第8版が用いられた。
注2)術前薬物療法としてペムブロリズマブ(遺伝子組換え)200mg3週間間隔投与(Q3W)(各コースの1日目に投与)と次の化学療法を併用し、術後薬物療法としてペムブロリズマブ(遺伝子組換え)200mg Q3W(各コースの1日目に投与)を9コース投与した[パクリタキセル80mg/m2 1週間間隔投与(QW)(1コース21日間、各コースの1、8、15日目に投与)及びカルボプラチンAUC5mg・min/mL相当量Q3W(1コース21日間、各コースの1日目に投与)又はAUC1.5mg・min/mL相当量QW(1コース21日間、各コースの1、8、15日目に投与)を4コース、その後ドキソルビシン塩酸塩60mg/m2 Q3W又はエピルビシン塩酸塩90mg/m2 Q3W(1コース21日間、各コースの1日目に投与)及びシクロホスファミド(無水物換算)600mg/m2 Q3W(1コース21日間、各コースの1日目に投与)を4コース投与。ドキソルビシン又はエピルビシンは、治験担当医師が患者ごとに選択した]。
注3)術前薬物療法としてプラセボQ3W(各コースの1日目に投与)と注2)と同一の化学療法を併用し、術後薬物療法としてプラセボQ3W(各コースの1日目に投与)を9コース投与した。
なお、AUC目標値及び腎機能に基づくカルボプラチンの投与量の算出にあたっては、Calvertの式などが用いられた。
Calvertの式:カルボプラチンの投与量[mg]=AUC目標値[mg・min/mL]×(糸球体濾過量(GFR)[mL/min]+25)[7.参照]
図1 EFSのKaplan‐Meier曲線(KEYNOTE‐522試験)
17.1.4 国際共同第III相試験(KEYNOTE‐355試験)
転移・再発乳癌に対する全身性の前治療歴のない転移・再発又は局所進行性のホルモン受容体陰性かつHER2陰性の乳癌患者847例(日本人87例を含む)を対象に、ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)200mg3週間間隔投与+化学療法(ゲムシタビン及びカルボプラチン、パクリタキセル又はnab‐パクリタキセル)の併用療法の有効性及び安全性が、プラセボ+化学療法(ゲムシタビン及びカルボプラチン、パクリタキセル又はnab‐パクリタキセル)の併用療法を対照とした二重盲検試験で検討された。両群とも、ゲムシタビン及びカルボプラチン、パクリタキセル又はnab‐パクリタキセルは、担当医師が患者ごとに選択した。なお、画像評価で疾患進行が認められた場合に、疾患進行を示す症状が認められない等の臨床的に安定している患者では、次回以降の画像評価で疾患進行が認められるまでペムブロリズマブ(遺伝子組換え)の投与を継続することが可能とされた。主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)及び全生存期間(OS)とされ、ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)+化学療法の併用療法はプラセボ+化学療法の併用療法と比較して、PD‐L1陽性(CPS注4)≧10)の患者323例(日本人28例を含む)においてPFSを有意に延長した(表及び添付文書の図)。
PD‐L1陽性(CPS≧10)のペムブロリズマブ(遺伝子組換え)+ゲムシタビン及びカルボプラチンが併用投与された患者における安全性解析対象例125例中122例(97.6%)(日本人14例中14例を含む)に副作用が認められた。主な副作用(20%以上)は、貧血75例(60.0%)、悪心64例(51.2%)、好中球減少症63例(50.4%)、好中球数減少44例(35.2%)、疲労42例(33.6%)、血小板数減少41例(32.8%)、血小板減少症40例(32.0%)、白血球減少症35例(28.0%)、ALT増加35例(28.0%)、嘔吐30例(24.0%)、白血球数減少30例(24.0%)及びAST増加27例(21.6%)であった。
注4)PD‐L1を発現した細胞数(腫瘍細胞、マクロファージ及びリンパ球)を総腫瘍細胞数で除し、100を乗じた値
表5 有効性成績(KEYNOTE‐355試験)[PD‐L1陽性(CPS≧10)の患者]
→図表を見る(PDF)
なお、AUC目標値及び腎機能に基づくカルボプラチンの投与量の算出にあたっては、Calvertの式などが用いられた。
Calvertの式:カルボプラチンの投与量[mg]=AUC目標値[mg・min/mL]×(糸球体濾過量(GFR)[mL/min]+25)[7.参照]
図2 PFSのKaplan‐Meier曲線(KEYNOTE‐355試験)[PD‐L1陽性(CPS≧10)の患者]
18.1 作用機序
プラチナ系抗がん薬。DNAと共有結合することによりDNA合成を阻害し、これに続いてアポトーシスが引き起こされることにより抗腫瘍効果を示すと考えられている。
18.2 抗腫瘍作用
マウスのL1210白血病、P388白血病、B16メラノーマ、colon26結腸癌、M5076卵巣癌、Lewis肺癌に対して抗腫瘍作用が認められた。シスプラチン耐性卵巣癌細胞株(KFr細胞及びTYK‐nu(R)細胞)に対しカルボプラチンは交叉耐性を示したが、シスプラチンと比較しその程度はKFr細胞で約1/2、TYK‐nu(R)細胞で約1/4であった。
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