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リツキサン点滴静注100mg

販売名
リツキサン点滴静注100mg
薬価
100mg10mL1瓶 19109.00円
製造メーカー
全薬

添付文書情報2023年12月改定(第10版)

商品情報

薬効分類名
その他の抗悪性腫瘍用剤
一般名
リツキシマブ(遺伝子組換え)注射液
警告
1.1. 本剤の投与は、緊急時に十分に対応できる医療施設において、適応疾患の治療又は臓器移植に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例のみに行うこと。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
1.2. 本剤の投与開始後30分~2時間よりあらわれるinfusion reactionのうちアナフィラキシー、肺障害、心障害等の重篤な副作用(低酸素血症、肺浸潤、急性呼吸促迫症候群、心筋梗塞、心室細動、心原性ショック等)により、死亡に至った例が報告されている。これらの死亡例の多くは初回投与後24時間以内にみられている。また、本剤を再投与した時の初回投与後にも、これらの副作用があらわれるおそれがある。本剤投与中はバイタルサイン(血圧、脈拍、呼吸数等)のモニタリングや自他覚症状の観察を行うとともに、投与後も患者の状態を十分観察すること。特に次の患者についてはinfusion reactionの発現頻度が高く、かつ重篤化しやすいので注意すること〔7.1、7.2、7.8、8.1、9.1.2、11.1.1参照〕[1)血液中に大量の腫瘍細胞<25000/μL以上>があるなど腫瘍量の多い患者、2)脾腫を伴う患者、3)心機能障害、肺機能障害を有する患者]。
1.3. 腫瘍量の急激な減少に伴い、腎不全、高カリウム血症、低カルシウム血症、高尿酸血症、高リン血症等の腫瘍崩壊症候群(tumor lysis syndrome)があらわれ、本症候群に起因した急性腎障害による死亡例及び透析が必要となった患者が報告されている(血液中に大量の腫瘍細胞がある患者において、初回投与後12~24時間以内に高頻度に認められることから、急激に腫瘍量が減少した患者では、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分観察すること)。また、本剤を再投与した時の初回投与後にも、これらの副作用があらわれるおそれがある〔8.2、11.1.2参照〕。
1.4. B型肝炎ウイルスキャリアの患者で、本剤の治療期間中又は治療終了後に、劇症肝炎又は肝炎増悪、肝不全による死亡例が報告されている〔8.3、9.1.3、11.1.3参照〕。
1.5. 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)等の皮膚粘膜症状があらわれ、死亡に至った例が報告されている〔11.1.5参照〕。
1.6. 間質性肺炎を合併する全身性強皮症患者で、本剤の投与後に間質性肺炎の増悪により死亡に至った例が報告されている〔2.2、9.1.9、11.1.9参照〕。
禁忌
2.1. 〈効能共通〉本剤の成分に対する重篤な過敏症又はマウスタンパク質由来製品に対する重篤な過敏症又は本剤の成分に対するアナフィラキシー又はマウスタンパク質由来製品に対するアナフィラキシーの既往歴のある患者。
2.2. 〈全身性強皮症〉重度間質性肺炎を有する全身性強皮症患者[症状が悪化するおそれがある]〔1.6参照〕。
効能・効果
1). CD20陽性B細胞性非ホジキンリンパ腫。
2). CD20陽性慢性リンパ性白血病。
3). 免疫抑制状態下のCD20陽性B細胞性リンパ増殖性疾患。
4). 多発血管炎性肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎。
5). 既存治療で効果不十分なループス腎炎。
6). 難治性ネフローゼ症候群<頻回再発型>あるいは難治性ネフローゼ症候群<ステロイド依存性を示す場合>。
7). 慢性特発性血小板減少性紫斑病。
8). 後天性血栓性血小板減少性紫斑病。
9). 全身性強皮症。
10). 難治性尋常性天疱瘡及び難治性落葉状天疱瘡。
11). 視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)の再発予防。
12). 次記の臓器移植における抗体関連型拒絶反応の抑制:腎移植、肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植。
13). 次記の臓器移植における抗体関連型拒絶反応の治療:腎移植、肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植。
14). インジウム<111In>イブリツモマブ チウキセタン<遺伝子組換え>注射液及びイットリウム<90Y>イブリツモマブ チウキセタン<遺伝子組換え>注射液投与の前投与。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 〈B細胞性非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、免疫抑制状態下のB細胞性リンパ増殖性疾患〉本剤投与の適応となる造血器腫瘍の診断は、病理診断に十分な経験を持つ医師又は施設により行うこと。
5.2. 〈B細胞性非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、免疫抑制状態下のB細胞性リンパ増殖性疾患〉免疫組織染色法又はフローサイトメトリー法等によりCD20抗原の検査を行い、陽性であることが確認されている患者のみに投与すること。
5.3. 〈多発血管炎性肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎〉初発例を含む疾患活動性が高い患者、既存治療で十分な効果が得られない患者等に対して本剤の投与を考慮すること。
5.4. 〈既存治療で効果不十分なループス腎炎〉既存治療(ステロイド、免疫抑制剤等)で十分な効果が得られない患者に対して本剤の投与を考慮し、また、診療ガイドライン等の最新の情報を参考に、本剤の投与が適切と判断される患者に使用すること。
5.5. 〈難治性ネフローゼ症候群〉小児期に特発性ネフローゼ症候群を発症しステロイド感受性を示す患者で、既存治療(ステロイド、免疫抑制剤等)では寛解が維持できない患者に限り、また、診療ガイドライン等の最新の情報を参考に、本剤の投与が適切と判断される患者に使用すること。なお、成人期に発症したネフローゼ症候群の患者に対する有効性及び安全性は確立していない。
5.6. 〈慢性特発性血小板減少性紫斑病〉他の治療にて十分な効果が得られない場合、又は忍容性に問題があると考えられる場合にのみ使用を考慮し、血小板数、臨床症状からみて出血リスクが高いと考えられる患者に使用し、また、診療ガイドライン等の最新の情報を参考に、本剤の投与が適切と判断される患者に使用すること。
5.7. 〈後天性血栓性血小板減少性紫斑病〉再発又は難治の場合にのみ使用を考慮し、また、診療ガイドライン等の最新の情報を参考に、本剤の投与が適切と判断される患者に使用すること。
5.8. 〈全身性強皮症〉「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、診療ガイドライン等の最新の情報を参考に、本剤の投与が適切と判断される患者に使用すること。
5.9. 〈全身性強皮症〉皮膚硬化以外の全身性強皮症に伴う病変に対する有効性及び安全性は十分に検討されていないため、これらの患者に投与する場合には、リスクとベネフィットを十分考慮すること。
5.10. 〈難治性尋常性天疱瘡及び落葉状天疱瘡〉経口ステロイド剤等の既存治療で十分な効果が得られない又は再燃のため経口ステロイド剤の減量が困難な患者に対して本剤の投与を考慮し、また、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、本剤の投与が適切と判断される患者に使用すること。
5.11. 〈視神経脊髄炎スペクトラム障害の再発予防〉本剤は、視神経脊髄炎スペクトラム障害(視神経脊髄炎を含む)(「多発性硬化症・視神経脊髄炎診療ガイドライン2023」(日本神経学会)を参考にすること)の患者に使用すること。
5.12. 〈視神経脊髄炎スペクトラム障害の再発予防〉本剤は、抗アクアポリン4抗体陽性の患者に投与すること。
5.13. 〈臓器移植時の抗体関連型拒絶反応の抑制及び治療〉「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、診療ガイドライン等の最新の情報を参考に、本剤の投与が適切と判断される患者に使用すること。
用法・用量
〈B細胞性非ホジキンリンパ腫〉
通常、成人には、リツキシマブ(遺伝子組換え)として1回量375mg/㎡を1週間間隔で点滴静注する。最大投与回数は8回とする。他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合は、併用する抗悪性腫瘍剤の投与間隔に合わせて、1サイクルあたり1回投与する。維持療法に用いる場合は、通常、成人には、リツキシマブ(遺伝子組換え)として1回量375mg/㎡を点滴静注する。投与間隔は8週間を目安とし、最大投与回数は12回とする。
〈慢性リンパ性白血病〉
他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人には、リツキシマブ(遺伝子組換え)として初回に1回量375mg/㎡、2回目以降は1回量500mg/㎡を、併用する抗悪性腫瘍剤の投与サイクルに合わせて、1サイクルあたり1回点滴静注する。最大投与回数は6回とする。
〈免疫抑制状態下のB細胞性リンパ増殖性疾患〉
通常、リツキシマブ(遺伝子組換え)として1回量375mg/㎡を1週間間隔で点滴静注する。最大投与回数は8回とする。
〈多発血管炎性肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎、慢性特発性血小板減少性紫斑病、後天性血栓性血小板減少性紫斑病、全身性強皮症〉
通常、成人には、リツキシマブ(遺伝子組換え)として1回量375mg/㎡を1週間間隔で4回点滴静注する。
〈既存治療で効果不十分なループス腎炎〉
通常、リツキシマブ(遺伝子組換え)として1回量375mg/㎡を1週間間隔で4回点滴静注する。
〈難治性のネフローゼ症候群〉
通常、リツキシマブ(遺伝子組換え)として1回量375mg/㎡を1週間間隔で4回点滴静注する。ただし、1回あたりの最大投与量は500mgまでとする。
〈難治性の尋常性天疱瘡及び落葉状天疱瘡〉
通常、成人には、リツキシマブ(遺伝子組換え)として1回量1000mg/bodyを2週間間隔で2回点滴静注する。
〈視神経脊髄炎スペクトラム障害の再発予防〉
通常、成人には、リツキシマブ(遺伝子組換え)として1回量375mg/㎡を1週間間隔で4回点滴静注する。その後、初回投与から6ヵ月毎に1回量1000mg/body(固定用量)を2週間間隔で2回点滴静注する。
〈臓器移植時の抗体関連型拒絶反応の抑制及び治療〉
通常、リツキシマブ(遺伝子組換え)として1回量375mg/㎡を点滴静注する。ただし、患者の状態により適宜減量する。
〈イブリツモマブ チウキセタンの前投与〉
通常、成人には、リツキシマブ(遺伝子組換え)として250mg/㎡を1回、点滴静注する。
〈効能共通〉
本剤は用時生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液にて1~4mg/mLに希釈調製し使用する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 〈効能共通〉本剤投与時に頻発してあらわれるinfusion reactionを軽減させるために、本剤投与の30分前に抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤等の前投与を行い、また、副腎皮質ホルモン剤と併用しない場合は、本剤の投与に際して、副腎皮質ホルモン剤の前投与を考慮すること〔1.2、7.8、11.1.1参照〕。
7.2. 〈効能共通〉注入速度に関連して血圧下降、気管支痙攣、血管浮腫等の症状が発現するので本剤の注入速度を守り、注入速度を上げる際は特に注意し、症状が発現した場合は注入速度を緩めるかもしくは中止し、重篤な症状の場合は直ちに投与を中止し、適切な処置を行う(また、投与を再開する場合は症状が完全に消失した後、中止時点の半分以下の注入速度で投与を開始する)〔1.2、11.1.1参照〕。
7.3. 〈効能共通〉注入速度は次のとおりとする。ただし、患者の状態により注入開始速度は適宜減速すること。
1). B細胞性非ホジキンリンパ腫:初回投与;最初の30分は50mg/時で開始し、患者の状態を十分観察しながら、その後30分毎に50mg/時ずつ上げて、最大400mg/時まで上げることができる(患者の状態により注入開始速度は適宜減速すること)。
2). B細胞性非ホジキンリンパ腫:2回目以降;次記のいずれかに該当する場合は、当該注入速度を選択することができる[①2回目以降;初回投与時に発現した副作用が軽微であった場合、100mg/時まで上げて投与を開始し、その後30分毎に100mg/時ずつ上げて、最大400mg/時まで上げることができる(患者の状態により注入開始速度は適宜減速すること)、②2回目以降;臨床的に重篤な心疾患がなく初回時に発現した副作用が軽微かつ投与前の末梢血リンパ球数5000/μL未満の場合、90分間で投与(最初の30分で投与量の20%を投与後、60分で投与量の80%を投与)できる(患者状態により注入開始速度は適宜減速)]。
3). 慢性リンパ性白血病、免疫抑制状態下のB細胞性リンパ増殖性疾患、多発血管炎性肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎、既存治療で効果不十分なループス腎炎、難治性ネフローゼ症候群<小児以外に用いる場合>、慢性特発性血小板減少性紫斑病、後天性血栓性血小板減少性紫斑病、全身性強皮症、難治性尋常性天疱瘡及び落葉状天疱瘡、イブリツモマブ チウキセタンの前投与:初回投与;最初の30分は50mg/時で開始し、患者の状態を十分観察しながら、その後30分毎に50mg/時ずつ上げて、最大400mg/時まで上げることができる(患者の状態により注入開始速度は適宜減速すること)。
4). 慢性リンパ性白血病、免疫抑制状態下のB細胞性リンパ増殖性疾患、多発血管炎性肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎、既存治療で効果不十分なループス腎炎、難治性ネフローゼ症候群<小児以外に用いる場合>、慢性特発性血小板減少性紫斑病、後天性血栓性血小板減少性紫斑病、全身性強皮症、難治性尋常性天疱瘡及び落葉状天疱瘡、イブリツモマブ チウキセタンの前投与:2回目以降;初回投与時に発現した副作用が軽微であった場合、100mg/時まで上げて投与を開始し、その後30分毎に100mg/時ずつ上げて、最大400mg/時まで上げることができる(患者の状態により注入開始速度は適宜減速すること)。
5). 視神経脊髄炎スペクトラム障害の再発予防:初回投与;最初の30分は50mg/時で開始し、患者の状態を十分観察しながら、その後30分毎に50mg/時ずつ上げて、最大400mg/時まで上げることができる(患者の状態により注入開始速度は適宜減速すること)。
6). 視神経脊髄炎スペクトラム障害の再発予防:2回目以降;初回投与時に発現した副作用が軽微であった場合、100mg/時まで上げて投与を開始し、その後30分毎に100mg/時ずつ上げて、最大400mg/時まで上げることができる(患者の状態により注入開始速度は適宜減速すること)、なお、初回投与から6ヵ月目以降の投与の場合、6ヵ月毎に1回目の投与は「初回投与」の注入速度に従って投与すること。
7). 難治性ネフローゼ症候群<小児に用いる場合>〔17.1.5参照〕、臓器移植時の抗体関連型拒絶反応の抑制及び治療:初回投与;最初の1時間は25mg/時とし、患者の状態を十分に観察しながら、次の1時間は100mg/時、その後は最大200mg/時までを目安とすること(患者の状態により注入開始速度は適宜減速すること)。
8). 難治性ネフローゼ症候群<小児に用いる場合>〔17.1.5参照〕、臓器移植時の抗体関連型拒絶反応の抑制及び治療:2回目以降;初回投与時に発現した副作用が軽微であった場合、100mg/時まで上げて投与を開始できる(患者の状態により注入開始速度は適宜減速すること)。
7.4. 〈免疫抑制状態下のB細胞性リンパ増殖性疾患、多発血管炎性肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎、既存治療で効果不十分なループス腎炎、難治性ネフローゼ症候群、慢性特発性血小板減少性紫斑病、後天性血栓性血小板減少性紫斑病、全身性強皮症、難治性尋常性天疱瘡及び落葉状天疱瘡〉再投与時の有効性及び安全性に関する情報は限られているため、本剤の再投与に関しては、実施の可否を慎重に検討すること。
7.5. 〈B細胞性非ホジキンリンパ腫〉維持療法に用いる場合は、臨床試験に組み入れられた患者の組織型等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、国内外の最新のガイドライン等を参考に本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと〔17.1.2参照〕。
7.6. 〈B細胞性非ホジキンリンパ腫〉中悪性度リンパ腫・高悪性度リンパ腫に対する本剤の維持療法の有効性及び安全性は確立していない。
7.7. 〈B細胞性非ホジキンリンパ腫〉他の抗悪性腫瘍剤と併用する場合は、臨床試験において検討された本剤の投与間隔、投与時期等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、国内外の最新のガイドライン等を参考にすること〔17.1.2参照〕。
7.8. 〈B細胞性非ホジキンリンパ腫〉本剤投与時に頻発してあらわれるinfusion reactionを軽減させるために、本剤を90分間で投与するに際し、併用する化学療法に副腎皮質ホルモン剤が含まれる場合には、当該副腎皮質ホルモン剤の前投与を行うこと〔1.2、7.1、11.1.1参照〕。
7.9. 〈既存治療で効果不十分なループス腎炎〉原則として副腎皮質ステロイド剤を併用すること。
7.10. 〈視神経脊髄炎スペクトラム障害の再発予防〉本剤の血中濃度低下により再発のおそれがあるため、投与間隔を遵守すること。
7.11. 〈視神経脊髄炎スペクトラム障害の再発予防〉本剤による一定期間の治療の後、再発の頻度について検討し、再発の頻度の減少が認められない等、本剤のベネフィットが期待されないと考えられる患者では、本剤による治療の中止を検討すること。
7.12. 〈臓器移植時の抗体関連型拒絶反応の抑制〉本剤の投与量及び投与回数は、患者の状態に応じ、適宜調節すること。投与時期については、次記を目安とする。
・ 腎移植時の抗体関連型拒絶反応の抑制の場合は、移植術2週間以上前及び1日前に2回点滴静注する。
・ 肝移植・心移植・肺移植・膵移植及び小腸移植時の抗体関連型拒絶反応の抑制の場合は、移植術2週間以上前に1回点滴静注し、1回投与で抗体価の減少が不十分又はB細胞数の減少が不十分な場合には、さらに1回追加投与する。
7.13. 〈臓器移植時の抗体関連型拒絶反応の治療〉本剤の投与量及び投与回数は、患者の状態に応じ、適宜調節すること。投与回数については、次記を目安とする。
・ 〈臓器移植時の抗体関連型拒絶反応の治療〉1回点滴静注し、1回投与で抗体価の減少が不十分又はB細胞数の減少が不十分な場合には、さらに1回追加投与する。
合併症・既往歴等のある患者
8.1. 〈効能共通〉Infusion reactionがあらわれることがあるので、バイタルサイン(血圧、脈拍、呼吸数等)のモニタリングや自他覚症状の観察など、患者の状態を十分に観察すること〔1.2、11.1.1参照〕。
8.2. 〈効能共通〉腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること〔1.3、11.1.2参照〕。
8.3. 〈効能共通〉本剤の投与により、B型肝炎ウイルス再活性化による劇症肝炎又はB型肝炎ウイルス再活性化による肝炎があらわれることがあるので、本剤投与に先立ってB型肝炎ウイルス感染の有無を確認し、本剤投与前に適切な処置を行うこと〔1.4、9.1.3、11.1.3参照〕。
8.4. 〈効能共通〉肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、肝機能検査を行うなど患者の状態を十分に観察すること〔11.1.4参照〕。
8.5. 〈効能共通〉血球減少があらわれることがあるので、本剤の治療期間中及び治療終了後は定期的に血液検査を行うなど患者の状態を十分に観察すること〔9.1.5、11.1.6参照〕。
8.6. 〈効能共通〉本剤の治療中より末梢血リンパ球減少があらわれ、治療終了後も持続すること、また免疫グロブリンが減少した例が報告されていることなど、免疫抑制作用により細菌やウイルスによる感染症が生じる又は感染症悪化する可能性がある。本剤によりニューモシスチス肺炎発現のおそれがあるので、適切な予防措置を考慮すること〔9.1.4、11.1.7参照〕。
8.7. 〈効能共通〉消化管穿孔・消化管閉塞があらわれることがあるので、初期症状としての腹痛、腹部膨満感、下血、吐血、貧血等の観察を十分に行うこと〔11.1.12参照〕。
8.8. 〈効能共通〉現在までに、本剤の投与により伝達性海綿状脳症(TSE)がヒトに伝播したとの報告はない。本剤は、マスターセルバンク構築時にカナダ、米国又はニュージーランド産ウシの血清由来成分を使用しているが、理論的なリスク評価を行い一定の安全性を確保する目安に達していることを確認している。しかしながら、TSEの潜在的伝播の危険性を完全に排除することはできないことから、疾病の治療上の必要性を十分検討の上、本剤を投与すること。なお、投与に先立ち、患者への有用性と安全性の説明も考慮すること。
8.9. 〈慢性特発性血小板減少性紫斑病〉本剤により血小板数過剰増加があらわれたとの報告があるため、血小板数を定期的に測定し、異常が認められた場合は本剤の投与を中止するなど適切な処置を行うこと〔15.1.2参照〕。
8.10. 〈免疫抑制状態下のB細胞性リンパ増殖性疾患〉本剤を使用する際には、関連文献(「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議 公知申請への該当性に係る報告書:リツキシマブ(遺伝子組換え)(免疫抑制状態下のCD20陽性のB細胞性リンパ増殖性疾患(成人))」等)を熟読すること。
9.1.1. 〈効能共通〉心機能障害のある患者又はその既往歴のある患者:投与中又は投与直後に心電図、心エコー等によるモニタリングを行うなど、患者の状態を十分に観察すること(投与中又は投与後に不整脈悪化又は不整脈再発、狭心症悪化又は狭心症再発等させるおそれがある)〔11.1.10参照〕。
9.1.2. 〈効能共通〉肺浸潤、肺機能障害のある患者又はその既往歴のある患者:投与中又は投与直後に気管支痙攣や低酸素血症を伴う急性呼吸器障害があらわれ、肺機能悪化させるおそれがある〔1.2、11.1.1参照〕。
9.1.3. 〈効能共通〉肝炎ウイルス感染又は既往を有する患者:本剤の治療期間中及び治療終了後は継続して肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルス再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。B型肝炎ウイルスキャリアの患者又はB型肝炎既往感染者(HBs抗原陰性かつHBc抗体陽性又はHBs抗原陰性かつHBs抗体陽性)で、本剤の投与により、B型肝炎ウイルス再活性化による劇症肝炎又はB型肝炎ウイルス再活性化による肝炎があらわれることがある。なお、HBs抗体陽性患者に本剤を投与した後、HBs抗体陰性の急性B型肝炎を発症した例が報告されている〔1.4、8.3、11.1.3参照〕。
9.1.4. 〈効能共通〉感染症(敗血症、肺炎、ウイルス感染等)を合併している患者:免疫抑制作用により病態を悪化させるおそれがある〔8.6、11.1.7参照〕。
9.1.5. 〈効能共通〉重篤な骨髄機能低下のある患者あるいは腫瘍細胞の骨髄浸潤がある患者:好中球減少増悪及び血小板減少増悪させ重篤化させるおそれがある〔8.5、11.1.6参照〕。
9.1.6. 〈効能共通〉薬物過敏症の既往歴のある患者。
9.1.7. 〈効能共通〉アレルギー素因のある患者。
9.1.8. 〈B細胞性非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、免疫抑制状態下のB細胞性リンパ増殖性疾患、イブリツモマブ チウキセタンの前投与〉咽頭扁桃部位に病巣、口蓋扁桃部位に病巣のある患者:病巣腫脹による呼吸困難が発現した場合は、副腎皮質ホルモン剤を投与するなど、適切な処置を行うこと。本剤投与後、炎症反応に起因する病巣の一過性の腫脹がみられ、病巣腫脹により呼吸困難をきたしたという報告がある。
9.1.9. 〈全身性強皮症〉軽度及び中等度の間質性肺炎を合併する全身性強皮症患者:間質性肺炎の増悪があらわれることがあるので、定期的に胸部CT検査や肺機能検査を行うなど患者の状態を十分に観察すること〔1.6参照〕。
9.1.10. 〈全身性強皮症〉全身性強皮症に伴う肺高血圧症、全身性強皮症に伴う腎クリーゼ等の全身性強皮症に伴う重篤な合併症を有する患者:臨床試験では除外されている〔5.8、17.1.6参照〕。
相互作用
10.2. 併用注意:1). 生ワクチン又は弱毒生ワクチン[接種した生ワクチンの原病に基づく症状が発現した場合には適切な処置を行う(Bリンパ球傷害作用により発病するおそれがある)]。
2). 不活化ワクチン[ワクチンの効果を減弱させるおそれがある(Bリンパ球傷害作用によりワクチンに対する免疫が得られないおそれがある)]。
3). 免疫抑制作用を有する薬剤(免疫抑制剤、副腎皮質ホルモン剤等)[発熱などの感染症<細菌及びウイルス等>に基づく症状が発現した場合は、適切な処置を行う(過度の免疫抑制作用による感染症誘発の危険性がある)]。
4). 降圧剤〔11.1.13参照〕[一過性の血圧下降があらわれることがある(血圧下降を増強させるおそれがある)]。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. Infusion reaction(頻度不明):本剤の投与中又は投与開始後24時間以内に多くあらわれるinfusion reaction(症状:発熱、悪寒、悪心、頭痛、疼痛、そう痒、発疹、咳、虚脱感、血管浮腫等)が、投与患者の約90%に報告されており、これらの症状は、通常軽微~中等度で、主に本剤の初回投与時にあらわれており、また、アナフィラキシー、肺障害、心障害等の重篤な副作用(低血圧、血管浮腫、低酸素血症、気管支痙攣、肺炎(間質性肺炎、アレルギー性肺炎等を含む)、閉塞性細気管支炎、肺浸潤、急性呼吸促迫症候群、心筋梗塞、心室細動、心原性ショック等)があらわれることがあり、抗ヒスタミン剤、解熱鎮痛剤、副腎皮質ホルモン剤等の前投与を行った患者においても、重篤なinfusion reactionが発現したとの報告があるので、異常が認められた場合は、直ちに投与を中止し、適切な処置(酸素吸入、昇圧剤、気管支拡張剤、副腎皮質ホルモン剤、解熱鎮痛剤、抗ヒスタミン剤の投与等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること〔1.2、7.1、7.2、7.8、8.1、9.1.2参照〕。
11.1.2. 腫瘍崩壊症候群(頻度不明):異常が認められた場合は、直ちに投与を中止し、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること〔1.3、8.2参照〕。
11.1.3. B型肝炎ウイルスの再活性化による劇症肝炎、肝炎の増悪(頻度不明):B型肝炎ウイルス再活性化による劇症肝炎又はB型肝炎ウイルス再活性化による肝炎増悪による肝不全があらわれることがあり、死亡に至った症例が報告されているので、異常が認められた場合には、直ちに抗ウイルス剤を投与するなど適切な処置を行うこと〔1.4、8.3、9.1.3参照〕。
11.1.4. 肝機能障害、黄疸(頻度不明):AST上昇(8.7%)、ALT上昇(8.9%)、Al-P上昇(3.6%)、総ビリルビン上昇(3.4%)等の肝機能検査値異常を伴う肝機能障害や黄疸があらわれることがある〔8.4参照〕。
11.1.5. 皮膚粘膜症状(頻度不明):皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、天疱瘡様症状、苔癬状皮膚炎、小水疱性皮膚炎等があらわれ、死亡に至った例が報告されている〔1.5参照〕。
11.1.6. 血球減少:汎血球減少(頻度不明)、白血球減少(41.6%)、好中球減少(39.7%)、無顆粒球症(頻度不明)、血小板減少(12.3%)があらわれることがあり、重篤な血球減少も報告されている。好中球減少については、本剤の最終投与から4週間以上経過して発現する例が報告されている〔8.5、9.1.5参照〕。
11.1.7. 感染症(43.1%):細菌、真菌、あるいはウイルスによる重篤な感染症(敗血症、肺炎等)があらわれることがあるので、本剤の治療期間中及び治療終了後は患者の状態を十分に観察すること〔8.6、9.1.4参照〕。
11.1.8. 進行性多巣性白質脳症(PML)(頻度不明):本剤の治療期間中及び治療終了後は患者の状態を十分に観察し、意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状があらわれた場合は、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.9. 間質性肺炎(頻度不明)。
11.1.10. 心障害(10.2%):心室性不整脈あるいは心房性不整脈、狭心症、心筋梗塞が報告されている〔9.1.1参照〕。
11.1.11. 腎障害(頻度不明):血清クレアチニン上昇(0.8%)、BUN上昇(2.3%)等の腎障害があらわれることがあり、透析を必要とする腎障害が報告されているので、尿量減少、血清クレアチニンやBUNの上昇が認められた場合は投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.12. 消化管穿孔・消化管閉塞(頻度不明):異常が認められた場合は、直ちにX線、CT検査等を実施して出血部位、穿孔・閉塞所見の有無を確認し、適切な処置を行うこと〔8.7参照〕。
11.1.13. 血圧下降(6.2%):一過性血圧下降が発現することがある〔10.2参照〕。
11.1.14. 可逆性後白質脳症症候群等の脳神経症状(頻度不明):可逆性後白質脳症症候群(症状:痙攣発作、頭痛、精神症状、視覚障害、高血圧等)があらわれることがある。また、本剤の治療終了後6ヵ月までの間に、失明、難聴等の視聴覚障害、感覚障害、顔面神経麻痺等の脳神経障害が報告されている。
11.2. その他の副作用
1). 呼吸器:(5%以上)咽喉頭炎(26.5%)、鼻炎(16.6%)、口腔咽頭不快感(12.1%)、咳、(5%未満)呼吸障害、喘鳴、鼻出血。
2). 循環器:(5%以上)血圧上昇(12.5%)、頻脈、潮紅、(5%未満)動悸、血管拡張、徐脈、末梢性虚血。
3). 消化器:(5%以上)悪心・嘔吐(16.3%)、口内炎、腹痛、食欲不振、下痢、(5%未満)口内乾燥、便秘、しぶり腹。
4). 過敏症:(5%以上)発熱(31.8%)、そう痒(14.6%)、発疹(14.2%)、悪寒(13.8%)、ほてり(10.0%)、(5%未満)関節痛、蕁麻疹、筋肉痛、インフルエンザ様症候群、(頻度不明)血清病。
5). 全身状態:(5%以上)疼痛(26.8%)、倦怠感(16.6%)、虚脱感(15.9%)、頭痛(14.4%)、多汗、浮腫、(5%未満)胸痛、体重増加、無力症。
6). 精神神経系:(5%未満)異常感覚、しびれ感、眩暈、不眠症。
7). 血液・凝固:(5%以上)貧血(18.7%)、(5%未満)好酸球増多、(頻度不明)フィブリン分解産物増加[FDP増加、Dダイマー増加]、血小板増加。
8). 腎臓:(5%以上)電解質異常、(5%未満)BUN上昇、クレアチニン上昇。
9). 肝臓:(5%以上)ALT上昇、AST上昇、(5%未満)Al-P上昇、総ビリルビン上昇。
10). その他:(5%以上)CRP上昇(14.4%)、LDH上昇、(5%未満)帯状疱疹、結膜炎、総蛋白減少、尿酸値上昇、皮脂欠乏性湿疹、投与部位反応(投与部位疼痛、投与部位腫脹等)、アルブミン減少、しゃっくり、筋攣縮。
副作用の頻度は、B細胞性非ホジキンリンパ腫に対する国内臨床第2相試験、慢性リンパ性白血病に対する国内臨床第2相試験、難治性のネフローゼ症候群に対する国内臨床第3相試験、全身性強皮症に対する国内臨床第2相試験、難治性の尋常性天疱瘡及び落葉状天疱瘡に対する国内臨床第2相試験、視神経脊髄炎スペクトラム障害の再発予防に対する国内臨床第2/3相試験、ABO血液型不適合腎移植に対する一般臨床試験、腎移植時の抗体関連型拒絶反応の抑制に対する国内臨床第3相試験、腎移植時の抗体関連型拒絶反応の治療に対する国内臨床第3相試験を基に集計した。
高齢者
患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること(一般に高齢者では生理機能が低下している)。
授乳婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(ヒトIgGは胎盤関門を通過することが知られており、妊娠中に本剤を投与した患者の出生児において、末梢血リンパ球減少が報告されている)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(本剤は母乳中に移行することが報告されている)。
小児等
9.7.1. 〈B細胞性非ホジキンリンパ腫、慢性リンパ性白血病、多発血管炎性肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎、慢性特発性血小板減少性紫斑病、後天性血栓性血小板減少性紫斑病、全身性強皮症、難治性尋常性天疱瘡及び落葉状天疱瘡、視神経脊髄炎スペクトラム障害の再発予防、イブリツモマブ チウキセタンの前投与〉小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
9.7.2. 〈免疫抑制状態下のB細胞性リンパ増殖性疾患、既存治療で効果不十分なループス腎炎、臓器移植時の抗体関連型拒絶反応の抑制及び治療〉低出生体重児、新生児、乳児を対象とした臨床試験は実施していない。
9.7.3. 〈難治性ネフローゼ症候群〉低出生体重児、新生児、乳児及び3歳未満の幼児を対象とした臨床試験は実施していない。
取扱い上の注意
14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. タンパク質溶液であるために、わずかに半透明の微粒子がみられることがあるが、これにより本剤の薬効は影響を受けない(なお、これ以外の外観上の異常を認めた場合には使用しないこと)。
14.1.2. 希釈液として生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液以外は使用しないこと。
14.1.3. 抗体が凝集するおそれがあるので、希釈時及び希釈後に泡立つような激しい振動を加えないこと。
14.1.4. 希釈後の液は速やかに使用し、また、使用後の残液は、細菌汚染のおそれがあるので使用しないこと。
14.2. 薬剤投与時の注意他剤<生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液を除く>との混注はしないこと。
外箱開封後は遮光して保存すること。
その他の注意
15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. 〈効能共通〉本剤が投与された患者ではヒト抗キメラ抗体を生じることがあり、ヒト抗キメラ抗体を生じた患者に再投与された場合は、アレルギー、過敏反応等が発現するおそれがある。
臨床試験での本剤に対するヒト抗キメラ抗体の検出例数は次のとおりであった。
(1). CD20陽性B細胞性非ホジキンリンパ腫患者における成績:国内臨床第1相試験及び第2相試験において測定された140例中、本剤に対するヒト抗キメラ抗体は4例に検出された。
(2). CD20陽性B細胞性非ホジキンリンパ腫患者における成績(参考):海外臨床試験において測定された356例中、本剤に対するヒト抗キメラ抗体は4例に検出された(外国人データ)。
(3). CD20陽性の慢性リンパ性白血病患者における成績:国内臨床第2相試験において測定された7例中、本剤に対するヒト抗キメラ抗体は検出されなかった。
(4). 難治性ネフローゼ症候群患者における成績:国内臨床試験において測定された54例中、本剤に対するヒト抗キメラ抗体は7例に検出された。
(5). 全身性強皮症患者における成績:国内臨床試験において測定された48例中、本剤に対するヒト抗キメラ抗体は9例に検出された。
(6). 難治性尋常性天疱瘡及び落葉状天疱瘡患者における成績:国内臨床試験において測定された20例中、本剤に対するヒト抗キメラ抗体は5例に検出された。
(7). 視神経脊髄炎スペクトラム障害患者における成績:国内臨床試験において測定された19例中、本剤に対するヒト抗キメラ抗体は1例に検出された。
(8). ABO血液型不適合腎移植患者における成績:国内臨床試験において測定された20例中、本剤に対するヒト抗キメラ抗体は検出されなかった。
(9). 腎移植患者に対する抗体関連型拒絶反応の抑制における成績:国内臨床試験において測定された24例中、本剤に対するヒト抗キメラ抗体は検出されなかった。
15.1.2. 〈慢性特発性血小板減少性紫斑病〉海外において、血小板数増加し、血栓塞栓症が認められたとの報告がある〔8.9参照〕。

16.1 血中濃度
〈B細胞性非ホジキンリンパ腫〉
16.1.1 国内のCD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫患者に、本剤375mg/m2を週1回4週又は8週投与、CHOPレジメン(シクロホスファミド水和物、ドキソルビシン塩酸塩、ビンクリスチン硫酸塩及びプレドニゾロン)との併用による寛解導入療法後に本剤維持療法、及び寛解導入療法の第2サイクル以降に90分間投与を実施した時の薬物動態パラメーターは次のとおりであった。
表16‐1
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表16‐2
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表16‐3
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表16‐4
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図16‐1 週1回8回反復投与時の血清中濃度(n=15)

図16‐2 CHOPレジメン併用後維持療法の血清中濃度(n=12)

図16‐3 第2サイクル以降に90分間投与を実施したCHOPレジメン併用寛解導入療法の血清中濃度(6サイクル:n=13、8サイクル:n=8)

〈慢性リンパ性白血病〉
16.1.2 国内の臨床試験において、未治療のCD20陽性の慢性リンパ性白血病患者に、FCレジメン(フルダラビンリン酸エステル、シクロホスファミド水和物)との併用により、第1サイクルでは本剤375mg/m2、第2サイクル以降は本剤500mg/m2を、28日毎に6サイクル投与した時の薬物動態パラメーターは次のとおりであった。
表16‐5
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図16‐4 FCレジメンと併用投与時の血清中濃度(n=5)

〈難治性のネフローゼ症候群〉
16.1.3 国内の臨床試験において、18歳未満で特発性ネフローゼ症候群を発症した3歳以上の難治性のネフローゼ症候群(頻回再発型あるいはステロイド依存性を示す場合)の患者に、本剤375mg/m2(最大量500mg/回)を投与した時の薬物動態パラメーターは次のとおりであった。
表16‐6
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図16‐5 週1回4回反復投与時の血清中濃度(n=23)

〈全身性強皮症〉
16.1.4 国内の全身性強皮症患者に、本剤375mg/m2を週1回投与した時の薬物動態パラメーターは次のとおりであった。
表16‐7
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図16‐6 週1回4回反復投与時の血清中濃度(n=28)

〈難治性の尋常性天疱瘡及び落葉状天疱瘡〉
16.1.5 国内の臨床試験において、難治性の尋常性天疱瘡及び落葉状天疱瘡の患者に、本剤1,000mg/bodyを2週間間隔で2回投与した時の薬物動態パラメーターは次のとおりであった。
表16‐8
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図16‐7 2週間間隔2回反復投与時の血清中濃度(n=19)

〈腎移植における抗体関連型拒絶反応の抑制〉
16.1.6 国内のABO血液型不適合腎移植患者に、本剤375mg/m2を移植術の14日前及び1日前に投与した時の薬物動態パラメーターは次のとおりであった。
表16‐9
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図16‐8 移植術14日前及び1日前に投与した場合の血清中濃度(n=16)

16.1.7 国内の臨床試験において、DSA陽性・抗HLA抗体陽性腎移植患者に抗体関連型拒絶反応の抑制として本剤375mg/m2を移植術の14日前及び1日前に2回投与した時及び本剤375mg/m2を移植術の14日前に1回投与した時の薬物動態パラメーターは次のとおりであった。
表16‐10
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図16‐9 移植術14日前及び1日前に投与した場合の血清中濃度(n=14)

図16‐10 移植術14日前に投与した場合の血清中濃度(n=9)

16.3 分布
〈B細胞性非ホジキンリンパ腫〉
16.3.1 腫瘍への移行
海外のCD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫患者に、本剤100、250、500mg/m2注4)を単回点滴静注後、2週目に腫瘍組織を採取し、本剤と結合した腫瘍細胞数を測定して全腫瘍細胞数に対する割合を算出した。その結果、腫瘍組織への移行は採取した7例中6例に認め、結合した割合は30~100%であった。なお、半減期の極めて短かった1例(T1/2:21.2hrs)については、腫瘍組織中への移行を認めなかった(外国人データ)。
注4)承認用量は375mg/m2である。

17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈B細胞性非ホジキンリンパ腫〉
17.1.1 単剤治療
(1)国内臨床第II相試験(IDEC‐C2B8‐2試験)
低悪性度又はろ胞性非ホジキンリンパ腫、マントル細胞リンパ腫に、本剤1回量375mg/m2を1週間間隔で4回投与した臨床第II相試験の有効性及び安全性は次のとおりであった。
表17‐1
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安全性評価症例90例中、副作用は97.8%に認められ、主な副作用は、発熱(66.7%)、悪寒(37.8%)、血圧上昇(28.9%)、そう痒(27.8%)、頻脈(25.6%)、頭痛(23.3%)、発疹(21.1%)、ほてり(17.8%)で、血液障害は次のとおりであった。
表17‐2 主な血液障害
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また、本剤が再投与された症例の有効性及び安全性は次のとおりであった。
表17‐3
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再投与が行われた16例で発現した主な副作用は、発熱(50.0%)、そう痒(43.8%)、血圧上昇(37.5%)、発疹(25.0%)、悪寒(12.5%)、頻脈(12.5%)であった。主な臨床検査値異常は白血球減少(68.8%、2,000/μL未満の白血球減少6.3%)、好中球減少(68.8%、1,000/μL未満の好中球減少6.3%)であった。
(2)国内臨床第II相試験(IDEC‐C2B8‐3試験)
中・高悪性度非ホジキンリンパ腫患者に本剤1回量375mg/m2を1週間間隔で8回投与した臨床第II相試験の有効性及び安全性は次のとおりであった。
表17‐4
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安全性評価症例67例中、副作用は88.1%に認められ、主な副作用は、発熱(61.2%)、悪寒(29.9%)、ほてり(23.9%)、倦怠感(20.9%)、頭痛(17.9%)、疼痛(16.4%)、発汗(14.9%)、そう痒(13.4%)で、血液障害は次のとおりであった。
表17‐5 主な血液障害
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また、再投与症例(適格症例)2例中、1例で部分寛解を認めた。この2例のPFSは、68日及び109日であった。
再投与が行われた3例で発現した副作用は、発熱1例、倦怠感1例、頭痛1例、疼痛1例、発赤1例であった。臨床検査値異常は白血球減少(2例、2,000/μL未満の白血球減少2例)、好中球減少(2例、1,000/μL未満の好中球減少2例)であった。
17.1.2 他の抗悪性腫瘍剤との併用による寛解導入療法・維持療法
(1)国内臨床第II相試験(IDEC‐C2B8‐6試験)
未治療の低悪性度又はろ胞性非ホジキンリンパ腫患者に、R‐CHOPレジメン(本剤、シクロホスファミド水和物、ドキソルビシン塩酸塩、ビンクリスチン硫酸塩及びプレドニゾロンの併用)による寛解導入療法後、効果が認められた患者に本剤維持療法(375mg/m2を8週間隔で最大12回投与)を実施した。全解析対象集団は本試験に登録された62例であった。[7.5、7.7参照]
寛解導入療法終了時の全解析対象集団における奏効率(95%信頼区間)は95.2%(86.5%、99.0%)であった。本試験登録日からのPFSについて、全解析対象集団における4年PFS率(95%信頼区間)は69.8%(55.9%、80.0%)であった。
R‐CHOPレジメンによる寛解導入療法の安全性評価症例62例中、副作用は98.4%に認められ、主な副作用は鼻咽頭炎等の感染症(48.4%)、悪心(46.8%)、倦怠感(43.5%)、食欲減退(40.3%)、口内炎(37.1%)、味覚異常(35.5%)、発熱(32.3%)、口腔咽頭不快感(27.4%)、嘔吐(25.8%)であった。主な臨床検査値異常は、白血球数減少(100%、2,000/μL未満の白血球減少82.3%)、好中球数減少(95.2%、1,000/μL未満の好中球減少90.3%)であった。
維持療法が実施された58例中、副作用は86.2%に認められ、主な副作用は、鼻咽頭炎等の感染症(69.0%)であった。主な臨床検査値異常は、白血球減少(63.8%、2,000/μL未満の白血球減少5.2%)、好中球減少(58.6%、1,000/μL未満の好中球減少17.2%)であった。
(2)国内臨床第II相試験(IDEC‐C2B8‐L7試験)
未治療の非ホジキンリンパ腫患者(ろ胞性リンパ腫又はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫)に、R‐CHOPレジメン(本剤、シクロホスファミド水和物、ドキソルビシン塩酸塩、ビンクリスチン硫酸塩及びプレドニゾロンの併用)による寛解導入療法を実施した。第1サイクルは本剤の希釈濃度を4mg/mLとして投与し、Grade3以上のinfusion reaction(NCI‐CTCAEによる)及び臨床的に重篤な心疾患(Grade3又は4の高血圧、心筋梗塞、急性冠動脈症候群又は心室性不整脈、及びNYHA分類グレードII以上)が認められず、かつ投与前の末梢血リンパ球数が5,000/μLを超えない場合は、第2サイクル以降に本剤375mg/m2を全量として250mLに調製(希釈濃度は1~4mg/mL)して90分間で投与した。なお、本剤投与時は、R‐CHOPレジメンに含まれる副腎皮質ホルモン剤の前投与を行った。主要評価項目である第2サイクルに本剤を90分間で投与した時のGrade3以上のinfusion reactionの発現率は、0%(0/30例)であった。副次評価項目であるろ胞性リンパ腫患者及びびまん性大細胞型B細胞リンパ腫患者の奏効率(95%信頼区間)は、それぞれ100%(63.1%、100%)(8/8例)、91.7%(73.0%、99.0%)(22/24例)であった。
安全性評価症例32例中、副作用は90.6%に認められ、主な副作用は、高血圧(15.6%)、そう痒症(15.6%)であった。主な臨床検査値異常は、好中球数減少(78.1%、1,000/μL未満の好中球減少78.1%)、白血球数減少(68.8%、2,000/μL未満の白血球減少68.8%)、発熱性好中球減少症(15.6%)であった。
(3)海外臨床第III相試験(PRIMA試験)
未治療のろ胞性非ホジキンリンパ腫患者に、R‐CHOPレジメン(本剤、シクロホスファミド水和物、ドキソルビシン塩酸塩、ビンクリスチン硫酸塩及びプレドニゾン(国内未承認)の併用)、R‐CVPレジメン(本剤、シクロホスファミド水和物、ビンクリスチン硫酸塩及びプレドニゾン(国内未承認)の併用)又はR‐FCMレジメン(本剤、フルダラビンリン酸エステル、シクロホスファミド水和物及びミトキサントロン塩酸塩の併用)による寛解導入療法後、効果が認められた患者に本剤維持療法(375mg/m2を8週間隔で最大12回投与)又は無治療観察を実施した。全解析対象集団は1,193例であった。[7.5、7.7参照]
881例にR‐CHOPレジメン、268例にR‐CVPレジメン、44例にR‐FCMレジメンが実施され、寛解導入療法終了時の奏効率(95%信頼区間)は、それぞれ92.8%(90.9%、94.5%)、84.7%(79.8%、88.8%)、75.0%(59.7%、86.8%)であった。維持療法について、治験責任医師判定によるPFSの結果は次のとおりであった。
表17‐6 治験責任医師判定によるPFS(2009年1月14日データカットオフ)
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図17‐1 PFSのKaplan‐Meier曲線(2009年1月14日データカットオフ)

R‐CHOPレジメン、R‐CVPレジメン又はR‐FCMレジメンによる寛解導入療法時の安全性評価症例1,193例において、重篤な副作用は、R‐CHOPレジメン(881例)で16.7%、R‐CVPレジメン(268例)で14.9%、R‐FCMレジメン(44例)で29.5%に認められ、主に発熱性好中球減少症(2.1%)、薬物過敏症(1.2%)、肺炎(1.2%)、発熱(0.9%)、好中球減少症(0.8%)、注入に伴う反応(0.6%)及び便秘(0.6%)であった。
維持療法群の安全性評価症例501例において、重篤な副作用、Grade3以上の副作用又は本剤との因果関係が否定できないGrade2以上の感染症のいずれかが29.3%に認められ、主に気管支炎(5.2%)、好中球減少症(3.4%)、上気道感染(3.4%)、副鼻腔炎(2.2%)、白血球減少症(1.6%)、口腔ヘルペス(1.4%)、尿路感染(1.4%)、感染(1.2%)及び肺炎(1.2%)であった。
(4)海外臨床第III相試験(EORTC20981試験)
再発又は難治性のろ胞性非ホジキンリンパ腫患者に、CHOPレジメン(シクロホスファミド水和物、ドキソルビシン塩酸塩、ビンクリスチン硫酸塩及びプレドニゾン(国内未承認)の併用)又はR‐CHOPレジメンによる寛解導入療法を実施した。全解析対象集団は465例であった。[7.5、7.7参照]
231例にCHOPレジメン、234例にR‐CHOPレジメンが実施され、寛解導入療法終了時の奏効率は、それぞれ74.0%(95%信頼区間67.9%、79.6%)、87.2%(95%信頼区間82.2%、91.2%)であった。R‐CHOPレジメンで奏効率が有意に高かった(p=0.0003、カイ二乗検定)。
R‐CHOPレジメンによる寛解導入療法時の安全性評価症例234例において、副作用は97.9%に認められた。CHOPレジメンと比較してR‐CHOPレジメンで発現頻度が5%以上高かった副作用は、脱毛症(45.3%)、便秘(26.9%)、過敏症(17.5%)及び悪寒(7.7%)であった。
維持療法又は無治療観察時の安全性評価症例332例において、副作用は維持療法群(166例)の73.5%で認められた。無治療観察群と比較し維持療法群で発現頻度が5%以上高かった副作用は、無力症(25.3%)、関節痛(9.0%)、咳嗽(7.8%)、口内炎(7.8%)及び上気道感染(6.0%)であった。
(5)海外臨床第III相試験(RATE試験)
未治療の非ホジキンリンパ腫患者(ろ胞性リンパ腫又はびまん性大細胞型B細胞リンパ腫)に、R‐CHOPレジメン(本剤、シクロホスファミド水和物、ドキソルビシン塩酸塩、ビンクリスチン硫酸塩及びプレドニゾン(国内未承認)の併用)又はR‐CVPレジメン(本剤、シクロホスファミド水和物、ビンクリスチン硫酸塩及びプレドニゾン(国内未承認)の併用)による寛解導入療法を実施した。第1サイクルは本剤の希釈濃度を1~4mg/mLとして投与し、第1サイクルにおいて、Grade3以上のinfusion reaction(NCI‐CTCAEによる)が認められず、初回投与時に、併用化学療法に含まれる以外の副腎皮質ホルモン剤を前投薬として用いていない場合で、かつ投与前の末梢血リンパ球数が5,000/μLを超えない場合は、第2サイクル以降に本剤(希釈濃度は1~4mg/mL)を90分間で投与した。なお、90分間投与時は、R‐CHOPレジメン又はR‐CVPレジメンに含まれる副腎皮質ホルモン剤の前投与を行った。主要評価項目である第2サイクルに本剤を90分間で投与した時のGrade3又は4のinfusion reactionの発現率(95%信頼区間)は、1.1%(0.3%、2.8%)(4/363例)であった。
安全性評価症例425例中、副作用は51.8%に認められ、主な副作用は、疲労(12.0%)、悪心(9.9%)、悪寒(6.6%)、そう痒症(5.4%)であった。
〈慢性リンパ性白血病〉
17.1.3 他の抗悪性腫瘍剤との併用療法
(1)国内臨床第II相試験(IDEC‐C2B8‐CL1試験)
未治療のCD20陽性慢性リンパ性白血病患者に、FCRレジメン(本剤、フルダラビンリン酸エステル、シクロホスファミド水和物)を実施した。全解析対象集団は本試験に登録された7例であった。治験期間中の全奏効率(95%信頼区間)は71.4%(29.0%、96.3%)であった。
安全性評価症例7例において、副作用は全例に認められ、主な副作用は悪心(28.6%)、発熱(28.6%)、鼻咽頭炎(28.6%)、低血圧(28.6%)、低酸素症(28.6%)、斑状丘疹状皮疹(28.6%)であった。臨床検査値異常は白血球数減少(85.7%、2,000/μL未満の白血球減少85.7%)、好中球数減少(85.7%、1,000/μL未満の好中球減少85.7%)、血小板数減少(85.7%)、ヘモグロビン減少(71.4%)、赤血球数減少(42.9%)等であった。
(2)海外臨床第III相試験(CLL8試験)
未治療のCD20陽性慢性リンパ性白血病患者に、FCレジメン(フルダラビンリン酸エステル、シクロホスファミド水和物)又はFCRレジメン(本剤、フルダラビンリン酸エステル、シクロホスファミド水和物)を実施した。全解析対象集団は810例であった。主要評価項目である治験責任医師判定によるPFSの結果は次のとおりであった。
表17‐7 治験責任医師判定によるPFS(2007年7月4日データカットオフ)
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図17‐2 PFSのKaplan‐Meier曲線(2007年7月4日データカットオフ)

安全性評価症例800例において、Grade3又は4の副作用はFCRレジメン群(402例)の70.9%に認められた。FCレジメン群(398例)と比較してFCRレジメン群で発現頻度が2%以上高かったGrade3又は4の副作用は、好中球減少症(30.3%)、白血球減少症(23.1%)、発熱性好中球減少症(9.0%)であった。
(3)海外臨床第III相試験(REACH試験)
再発又は難治性のCD20陽性慢性リンパ性白血病患者に、FCレジメン(フルダラビンリン酸エステル、シクロホスファミド水和物)又はFCRレジメン(本剤、フルダラビンリン酸エステル、シクロホスファミド水和物)を実施した。全解析対象集団は552例であった。主要評価項目である治験責任医師判定によるPFSの結果は次のとおりであった。
表17‐8 治験責任医師判定によるPFS(2008年7月23日データカットオフ)
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図17‐3 PFSのKaplan‐Meier曲線(2008年7月23日データカットオフ)

安全性評価症例546例において、副作用はFCRレジメン群(274例)の95.6%に認められた。FCレジメン群(272例)と比較してFCRレジメン群で発現頻度が3%以上高かった副作用は、悪心(38.7%)、発熱(20.1%)、悪寒(15.0%)、下痢(9.9%)、便秘(9.9%)、低血圧(7.3%)、食欲減退(7.3%)、そう痒症(5.8%)、蕁麻疹(4.4%)であった。
〈多発血管炎性肉芽腫症、顕微鏡的多発血管炎〉
17.1.4 海外臨床第III相試験
多発血管炎性肉芽腫症又は顕微鏡的多発血管炎の初発例又は再発例を対象として、「大量副腎皮質ホルモン剤注4)と本剤375mg/m2を1週間間隔で4回投与する併用療法」(リツキシマブ群)と「大量副腎皮質ホルモン剤注4)とシクロホスファミド水和物の併用療法」(シクロホスファミド群)との非劣性第III相試験における有効性は次のとおりであった。
注4)静注メチルプレドニゾロン(1,000mg/body/日)を1~3回投与。また、両群ともに経口プレドニゾン(1mg/kg/日、国内未承認)を連日投与し、寛解例においては適宜減量することと設定された。
表17‐9
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〈難治性のネフローゼ症候群〉
17.1.5 国内臨床第III相試験
18歳未満で特発性ネフローゼ症候群を発症した3歳以上の難治性のネフローゼ症候群(頻回再発型あるいはステロイド依存性を示す場合)の患者に、本剤1回量375mg/m2(最大量500mg/回)(リツキシマブ群)又はプラセボ(プラセボ群)を1週間間隔で4回投与注7)した二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験での有効性(中間解析時)は次のとおりであった。
注7)本剤又はプラセボの初回投与時の注入速度は、最初の1時間は25mg/時とし、次の1時間は100mg/時、その後は最大200mg/時として投与した。また、2回目以降の注入開始速度は、初回投与時に発現した副作用が軽微であった場合、100mg/時まで上げて開始した。[7.3参照]
表17‐10
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図17‐4 無再発期間(リツキシマブ群21例、プラセボ群21例)

安全性評価症例54例中、副作用は全例に認められ、主な副作用は上気道感染等の感染症(90.7%)、結膜炎(22.2%)、血圧上昇(22.2%)であり、主な臨床検査値異常は、CRP上昇(40.7%)、ALT上昇(25.9%)、好酸球増多(20.4%)であった。またinfusion reactionは63.0%に認められた。
〈全身性強皮症〉
17.1.6 国内臨床第II相試験
mRSSによる皮膚硬化の重症度が2(moderate)以上の全身性強皮症患者(%VC60%未満又は%DLco40%未満の十分な呼吸機能上の予備能のない患者、肺高血圧症を合併する患者、腎クリーゼ等の全身性強皮症に伴う重篤な合併症を有する患者、著しい心疾患等を有する患者は除外)を対象に、本剤1回量375mg/m2(リツキシマブ群)又はプラセボ(プラセボ群)を1週間間隔で4回投与(第1クール)し注9)、24週間後に両群共に本剤1回量375mg/m2を1週間間隔で4回投与(第2クール)した二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験注10)、注11)において、有効性の主要評価項目である投与24週時のmRSSのベースラインからの変化量は次のとおりであった。
注9)アザチオプリン等の免疫抑制剤の併用、10mg/日以上の経口副腎皮質ステロイド剤の併用は禁止
注10)第1クールはプラセボ対照、無作為化、二重盲検、第2クールは単群、非盲検。
注11)罹病期間の中央値:52ヵ月(範囲:0~268ヵ月)。
表17‐11 mRSSによる皮膚硬化のベースラインからの変化量
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第1クールの安全性評価症例28例中、副作用は21例に認められ、主な副作用は上咽頭炎(39.3%)、CRP上昇(10.7%)、好中球数減少(10.7%)、白血球数減少(10.7%)であった。第2クールのリツキシマブ群の安全性評価症例26例中、副作用は14例に認められ、主な副作用は上咽頭炎(42.3%)であった。第1クールのプラセボ群で第2クールに本剤を投与した安全性評価症例20例中、副作用は12例に認められ、主な副作用は上咽頭炎(40.0%)であった。またinfusion reactionは1例に認められた。
〈難治性の尋常性天疱瘡及び落葉状天疱瘡〉
17.1.7 国内臨床第II相試験
経口プレドニゾロン治療中に、再燃注14)のため経口プレドニゾロン10mg/日への減量が困難な難治性の尋常性天疱瘡及び落葉状天疱瘡の患者注15)に、プレドニゾロン併用下注16)で本剤1回1,000mgを2週間間隔で2回投与した非盲検非対照試験において、有効性の主要評価項目である、本剤投与開始24週時に完全寛解又は部分寛解注17)を達成した被験者の割合(寛解率)は次のとおりであった。
注14)病勢が一旦コントロールされた患者で、次のいずれかの条件を満たす場合:a)月に3つ以上の新生病変を認め、かつ1週間以内に自然消退しない、b)既存病変の拡大を認める。
注15)組み入れられた患者のPDAI(Pemphigus Disease Area Index)スコア(平均値±標準偏差)は、11.7±7.7であった。
注16)併用するプレドニゾロンについては、本剤の最終投与2週後から初期投与量に応じた規定の減量スケジュールに従い漸減し、本剤投与開始16週後の時点で10mg/日を目指した。
注17)完全寛解:プレドニゾロン≦10mg/日及び最低限の併用療法による治療下で、天疱瘡による水疱注18)又は新たな紅斑注19)を認めない状態(PDAIスコアが0点)を8週間持続した場合。
注18)水疱の新生数、米粒大以上の水疱を数えるものとする。
注19)紅斑は、上皮化した部分や炎症後の色素沈着は含まず、米粒大以上のものを数えるものとする。
部分寛解:プレドニゾロン≦10mg/日及び最低限の併用療法による治療を8週間継続中に、プレドニゾロンを増量することなく、無治療又はステロイド外用剤等で1週間以内に治癒する一過性の病変のみの発現を認めた場合。
表17‐12
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安全性評価症例20例中、副作用は25.0%に認められ、発現した副作用は動悸(5.0%)、発熱(5.0%)、低γグロブリン血症(5.0%)、肺炎(5.0%)であった。臨床検査値異常は、γ‐グルタミルトランスフェラーゼ増加(5.0%)、免疫グロブリン減少(5.0%)であった。また、infusion reactionは5.0%に認められた。
17.1.8 海外臨床第III相試験(PEMPHIX試験)
プレドニゾン(国内未承認)60~120mg/日又は1.0~1.5mg/kg/日相当量の経口ステロイド投与を必要とする、中等症から重症の尋常性天疱瘡患者注21)を対象として、経口ステロイド併用下注22)で、「本剤注23)+ミコフェノール酸 モフェチルプラセボの併用療法」(リツキシマブ群)と「本剤プラセボ注23)+ミコフェノール酸 モフェチル(国内未承認)の併用療法」(ミコフェノール酸 モフェチル群)を比較した二重盲検実薬対照比較試験において、有効性の主要評価項目である、本剤投与開始52週までに治療失敗に該当せず完全寛解持続注24)を達成した被験者の割合(完全寛解持続達成率)は次のとおりであった。
注21)組み入れられた患者のPDAIスコア(平均値±標準偏差)は、24.36±16.67であった。
注22)両群ともに治療開始時より60mg又は80mgの経口プレドニゾン(国内未承認)相当量の経口ステロイドを併用し、投与開始24週までに計画的に漸減させ投与終了すると設定された。
注23)本剤(1回1,000mg)又はプラセボを2週間間隔で2回投与(1クール)し、24週後に2週間間隔で2回投与(2クール)した。
注24)PDAIスコア0点かつプレドニゾン(国内未承認)0mg/日が16週間以上継続した場合と定義した。
表17‐13
→図表を見る(PDF)

安全性評価症例135例中、リツキシマブ群67例では、副作用は47.8%に認められ、主な副作用は頭痛(6.0%)、上気道感染(4.5%)、疲労(4.5%)であった。また、infusion reactionは20.9%に認められた。
〈視神経脊髄炎スペクトラム障害の再発予防〉
17.1.9 国内臨床第II/III相試験
抗アクアポリン4抗体陽性(過去に陽性だった患者を含む)の視神経脊髄炎又は視神経脊髄炎スペクトラム障害の患者を対象に、経口プレドニゾロン併用下注29)で、本剤1回量375mg/m2(リツキシマブ群)又はプラセボ(プラセボ群)を1週間間隔で4回投与し、24週後及び48週後に維持治療として本剤1回量1,000mg/body(リツキシマブ群)又はプラセボ(プラセボ群)を2週間間隔で2回投与した二重盲検プラセボ対照無作為化比較試験での有効性は次のとおりであった。
注29)両群ともにスクリーニング時に服用している経口ステロイド量に相当する経口プレドニゾロンを併用し、投与8週後から1ヵ月毎に10%ずつ減量し、最小2mg/日まで漸減すると設定した。
表17‐14
→図表を見る(PDF)

図17‐5 無再発期間(リツキシマブ群19例、プラセボ群19例)

安全性評価症例19例中、副作用は89.5%に認められ、主な副作用は上咽頭炎(26.3%)であった。また、infusion reactionは36.8%に認められた。
〈臓器移植時の抗体関連型拒絶反応の抑制〉
17.1.10 国内一般臨床試験
ABO血液型不適合腎移植前の脱感作療法注30)で、本剤1回量375mg/m2を移植術14日前及び1日前に投与した後に移植が行われた適格症例17例の有効性は次のとおりであった。
注30)移植28日前からミコフェノール酸 モフェチル及び副腎皮質ホルモン剤を投与した。移植1日前からシクロスポリンまたは移植2日前からタクロリムスを投与した。血漿交換は移植前に最大4回実施した。
表17‐15
→図表を見る(PDF)

安全性評価症例20例中、副作用は90.0%に認められた。主な副作用は、発熱(40.0%)、サイトメガロウイルス感染(25.0%)であった。主な臨床検査値異常は、免疫グロブリンM減少(85.0%)、免疫グロブリンG減少(85.0%)、白血球減少(60.0%、2,000/μL未満の白血球減少15.0%)、免疫グロブリンA減少(55.0%)、好中球減少(40.0%、1,000/μL未満の好中球減少25.0%)であった。また、infusion reactionは65.0%に認められた。
17.1.11 国内臨床第III相試験
抗体関連型拒絶反応の抑制として、抗ドナー抗体陽性、抗HLA抗体陽性の生体腎移植前の脱感作療法注32)で、本剤1回量375mg/m2を移植術14日前及び1日前に2回投与、又は本剤1回量375mg/m2を移植術14日前に1回投与した後に移植が行われた非盲検非対照試験での有効性は次のとおりであった。
注32)移植14日前からミコフェノール酸 モフェチル及び副腎皮質ホルモン剤を投与した。移植28日前から移植7日前までにタクロリムスの投与を開始した。血漿交換は移植前に最大4回実施可能とした。
表17‐16
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安全性評価症例24例中、副作用は75.0%に認められた。主な副作用は、尿路感染(25.0%)、下痢(16.7%)、嘔吐(12.5%)、貧血(12.5%)であり、主な臨床検査値異常は、白血球数減少(16.7%)、サイトメガロウイルス検査陽性(12.5%)、好中球数減少(8.3%)であった。また、infusion reactionは20.8%に認められた。
17.1.12 国内特定臨床研究
肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植における抗ドナー抗体陽性、抗HLA抗体陽性患者を対象とした臨床研究において、肝移植、心移植、膵腎同時移植の患者9例が登録され、本剤375mg/m2注38)、500mg/回を1回注38)、又は本剤500mg/回と150mg/回注38)を2回、免疫抑制剤等と併用して投与する脱感作療法を実施した場合、移植を実施せず評価不能の1例と移植待機中のため移植を実施しなかった1例を除く7例(77.8%)で、移植後の6ヵ月間に抗体関連型拒絶反応を認めなかった。なお、移植待機中のため移植を実施しなかった1例では、抗HLA抗体の低下を認めた。
9例中、副作用は66.7%に認められた。主な副作用は、サイトメガロウイルス血症(44.4%)、白血球数減少(22.2%)、尿路感染症(22.2%)であった。
注38)承認用量は375mg/m2である。
17.1.13 国内使用実態調査
ABO血液型不適合肝移植成人患者33例において、移植前に本剤375mg/m2注39)、500mg/回注39)、300mg/回注39)又は100mg/回注39)を、1回又は2回投与した1年時点の抗体関連型拒絶反応無発現率は91%、1年時点の生存率は82%であった。また、国内のABO血液型不適合肝移植小児患者4例では、移植前に本剤375mg/m2を1回又は100mg/m2注39)を2回投与し、観察期間注40)における抗体関連型拒絶反応無発現率及び生存率はそれぞれ100%であった。
安全性評価症例37例中、副作用は51.4%に認められた。主な副作用は、CMVアンチゲネミア陽性(29.7%)、発熱(16.2%)、細菌感染症(16.2%)、ほてり(8.1%)、全身倦怠感(虚脱感、無力感)(8.1%)、血小板減少(8.1%)、ウイルス感染症(8.1%)であった。
注39)承認用量は375mg/m2である。
注40)観察期間の中央値477.5日(範囲:283~617日)
17.1.14 国内使用実態調査
移植前に抗ドナー抗体を認めた肝移植成人患者45例及び小児患者2例において、移植前に本剤287±159mg(375mg/m2注41)、100mg/m2注41)、50mg/m2注41)、500mg/回注41)、300mg/回注41))を免疫抑制剤等と併用して投与した脱感作療法を実施し、抗体関連型拒絶反応が13%で認められ、1ヵ月後、3ヵ月後、12ヵ月後の累積抗体関連型拒絶反応発現率は、11%、13%、13%であった。成人45例における1年後、3年後、5年後の生着率が85%、83%、83%であり、1年後、3年後、5年後の生存率が81%、77%、74%であった。小児2例で廃絶、死亡は認めなかった。
成人45例において、移植前に10例、移植後に24例に有害事象を認め、移植前の主な副作用は、infusion reactionであり、移植後の主な副作用は、サイトメガロウイルス血症、尿路感染症、サイトメガロウイルス感染症、白血球数減少(好中球数減少)であった。また、infusion reactionは成人患者の4.4%に認められた。
注41)承認用量は375mg/m2である。
〈臓器移植時の抗体関連型拒絶反応の治療〉
17.1.15 国内臨床第III相試験
腎移植後の抗体関連型拒絶反応に対して本剤1回量375mg/m2を1回又は2回投与を含む治療注42)を実施した非盲検非対照試験での有効性は次のとおりであった。
注42)ステロイドパルス療法後に本剤を投与。血漿交換は本剤投与前に最大2回実施可能とした。
表17‐17
→図表を見る(PDF)

安全性評価症例28例中、副作用は57.1%に認められた。主な副作用は、口腔咽頭不快感(25.0%)、上咽頭炎(10.7%)であり、臨床検査値異常は、血圧低下(3.6%)、血中アルカリホスファターゼ増加(3.6%)、白血球数減少(3.6%)、好中球数減少(3.6%)であった。また、infusion reactionは32.1%に認められた。
17.1.16 国内特定臨床研究
肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植後に抗体関連型拒絶反応と診断された患者を対象とした臨床研究において、肝移植、心移植、肺移植の患者5例が登録され、本剤375mg/m2注44)、600mg/回注44)、660mg/回注44)を1回、免疫抑制剤等と併用して投与した場合、移植後の6ヵ月間において、抗体の陰性化と臨床所見の改善を認めた患者が1例(20%)、抗体の増加と臨床症状の悪化を認めなかった患者が3例(60%)、短期的に臨床所見の改善を認めたが、抗体関連型拒絶反応が再発した患者が1例(20%)であった。
5例中、副作用は60.0%に認められた。主な副作用は、サイトメガロウイルス血症(40.0%)であった。
注44)承認用量は375mg/m2である。
17.1.17 国内使用実態調査
肝移植において、成人8例に本剤50mg/m2から323mg/m2注45)を1回又は132mg/m2注45)を2回、小児5例に本剤50mg/m2又は200mg/m2注45)を1回又は2回投与し成人4例と小児2例で抗体関連型拒絶反応の改善を認め、成人4例と小児4例で生存(期間12日から7343日)を認めた。心移植において、成人3例に本剤372mg/m2注45)を1回、368mg/m2又は383mg/m2注45)を2回投与し、小児1例に375mg/m2注45)を1回投与し、4例で5件の抗体関連型拒絶反応の改善を認め、4例で生着(期間121日から4599日)、3例で生存(期間121日から4599日)を認めた。肺移植において、成人13例に本剤348mg/m2から377mg/m2注45)を1回又は2回、小児1例に375mg/m2注45)を1回投与し、治療3ヵ月以内の改善を8例で認め、3例で生着(期間27日から1727日)、4例で生存(期間27日から1727日)を認めた。膵移植において、成人4例に本剤50mg/m2又は200mg/回注45)を1回投与し、1例で生着(期間45日から1284日)、4例で生存(期間1114日から2966日)を認めた。副作用は、肝移植の46.2%、心移植の75.0%、肺移植の57.1%、膵移植の50.0%で認め、infusion reaction、感染症、サイトメガロウイルス検査陽性、血小板数減少、血中ビリルビン増加、白血球数減少、好中球数減少、肺炎、貧血等であった。
注45)承認用量は375mg/m2である。

18.1 作用機序
本剤は、pre‐B細胞と成熟B細胞の細胞表面に存在するCD20抗原に特異的に結合することで、補体依存性細胞傷害作用(CDC)及び抗体依存性細胞介在性細胞傷害作用(ADCC)により、B細胞を傷害する。
18.2 補体依存性細胞傷害作用(complement‐dependent cytotoxicity、CDC)
本剤はヒト補体の存在下、2.2μg/mLの濃度でSB細胞(ヒト由来CD20陽性細胞)の50%を溶解したが、HSB細胞(ヒト由来CD20陰性細胞)は溶解せず、CD20抗原を有する細胞に対して補体依存性細胞傷害作用を有することが確認された。また、ヒト補体存在下、造血幹細胞(CD34陽性細胞)のコロニー形成能に影響しなかった。
18.3 抗体依存性細胞介在性細胞傷害作用(antibody‐dependent cell‐mediated cytotoxicity、ADCC)
本剤はヒトエフェクター細胞の存在下、3.9μg/mLの濃度でSB細胞の50%を溶解したが、HSB細胞は溶解せず、CD20抗原を有する細胞に対して抗体依存性細胞介在性細胞傷害作用を有することが確認された。
18.4 In vitro CD20抗原特異的結合作用
IDEC‐2B8(リツキシマブと同一のCD20抗原認識部位(可変部領域)を有するマウス型CD20モノクローナル抗体)は、既存の抗CD20抗体であるB1のヒトCD20抗原に対する結合を濃度依存的に阻害し、そのIC50(50%阻害濃度)値はB1、Leu16(抗ヒトCD20抗体)の1/2~1/3と、ヒトCD20抗原に対して強い抗原特異的結合能を示した。この強い抗原特異的結合能は、本剤(マウス‐ヒトキメラ型抗体)でも維持されていた。
18.5 In vitro Bリンパ球特異的結合作用
本剤は、ヒト末梢血Bリンパ球やヒト低悪性度Bリンパ腫細胞と特異的に結合し、他の免疫系細胞とは反応しなかった。
18.6 In vivo Bリンパ球傷害作用
カニクイザルに週1回4週間及び4日間連日静注投与した結果、末梢血液、骨髄及びリンパ節中のBリンパ球は著明に減少した。なお、Tリンパ球には変化を認めなかった。
18.7 ヒト正常組織との交叉反応性
成人ヒト正常組織の凍結切片との交叉反応性を調べた結果、本剤が反応性を示したのは、リンパ節、骨髄、末梢血細胞、扁桃、脾臓のみで、これ以外の非リンパ系組織とは反応しなかった。

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