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カドサイラ点滴静注用160mg

販売名
カドサイラ点滴静注用160mg
薬価
160mg1瓶 375077.00円
製造メーカー
中外製薬

添付文書情報2024年11月改定(第7版)

商品情報

薬効分類名
その他の抗悪性腫瘍用剤
一般名
トラスツズマブ エムタンシン(遺伝子組換え)注射用
規制区分
  • 特生
  • 特承
  • 覚原
警告
1.1. 本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
1.2. 肺臓炎、間質性肺炎等の間質性肺疾患があらわれ、死亡に至る例も報告されているので、初期症状(呼吸困難、咳嗽、疲労、肺浸潤等)の確認及び胸部X線検査の実施等、観察を十分に行い、また、異常が認められた場合には、投与中止等の適切な処置を行うこと〔9.1.1、11.1.1参照〕。
禁忌
2.1. 本剤の成分又はトラスツズマブ(遺伝子組換え)に対し過敏症(過敏症と鑑別困難で死亡につながるおそれのある重篤なInfusion reactionを含む)の既往歴のある患者。
2.2. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。
効能・効果
1). HER2陽性の手術不能又は再発乳癌。
2). HER2陽性の乳癌における術後薬物療法。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 〈効能共通〉HER2陽性の検査は、十分な経験を有する病理医又は検査施設において実施すること。
5.2. 〈効能共通〉本剤は、トラスツズマブ(遺伝子組換え)及びタキサン系抗悪性腫瘍剤による化学療法の治療歴のある患者に投与すること。
5.3. 〈効能共通〉本剤の術前薬物療法における有効性及び安全性は確立していない。
5.4. 〈HER2陽性の乳癌における術後薬物療法〉術前薬物療法により病理学的完全奏効(pCR)が認められなかった患者に投与すること。
5.5. 〈HER2陽性の乳癌における術後薬物療法〉臨床試験に組み入れられた患者のpCRの定義等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
用法・用量
通常、成人にはトラスツズマブ エムタンシン(遺伝子組換え)として1回3.6mg/kg(体重)を3週間間隔で点滴静注する。ただし、術後薬物療法の場合には、投与回数は14回までとする。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 〈効能共通〉他の抗悪性腫瘍剤との併用療法について、有効性及び安全性は確立していない。
7.2. 〈効能共通〉初回投与時は90分かけて投与すること(初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる)。
7.3. 〈効能共通〉副作用により、本剤を休薬、減量又は中止する場合には、副作用の症状、重症度等に応じて次の基準を考慮すること。減量後に再度増量はしないこと。
[減量の目安]
1). 〈効能共通〉通常投与量:3.6mg/kg。
2). 〈効能共通〉1段階減量:3.0mg/kg。
3). 〈効能共通〉2段階減量:2.4mg/kg。
4). 〈効能共通〉3段階減量:投与中止。
7.3.1. 〈HER2陽性の手術不能又は再発乳癌〉左室駆出率(LVEF)低下による休薬及び中止基準
1). 〈HER2陽性の手術不能又は再発乳癌〉40%≦LVEF≦45%・ベースラインからの絶対値の変化<10%:継続:3週間以内に再測定を行い、LVEFを確認すること。
2). 〈HER2陽性の手術不能又は再発乳癌〉40%≦LVEF≦45%・ベースラインからの絶対値の変化≧10%:休薬:3週間以内に再測定を行い、LVEFのベースラインからの絶対値の変化<10%に回復しない場合は中止すること。
3). 〈HER2陽性の手術不能又は再発乳癌〉LVEF<40%:休薬:3週間以内に再測定を行い、再度LVEF<40%が認められた場合は中止すること。
4). 〈HER2陽性の手術不能又は再発乳癌〉症候性うっ血性心不全:中止。
7.3.2. 〈HER2陽性の手術不能又は再発乳癌〉AST、ALT増加による休薬、減量及び中止基準
1). 〈HER2陽性の手術不能又は再発乳癌〉AST Grade2(>3~5×ULN)、ALT Grade2(>3~5×ULN):減量せず継続。HER2陽性の手術不能又は再発乳癌でAST>3×ULNかつ総ビリルビン>2×ULN又はALT>3×ULNかつ総ビリルビン>2×ULNの場合は中止すること。
2). 〈HER2陽性の手術不能又は再発乳癌〉AST Grade3(>5~20×ULN)、ALT Grade3(>5~20×ULN):休薬:Grade2以下に回復後、1段階減量して再開可能。HER2陽性の手術不能又は再発乳癌でAST>3×ULNかつ総ビリルビン>2×ULN又はALT>3×ULNかつ総ビリルビン>2×ULNの場合は中止すること。
3). 〈HER2陽性の手術不能又は再発乳癌〉AST Grade4(>20×ULN)、ALT Grade4(>20×ULN):中止。
7.3.3. 〈HER2陽性の手術不能又は再発乳癌〉高ビリルビン血症による休薬、減量及び中止基準
1). 〈HER2陽性の手術不能又は再発乳癌〉高ビリルビン血症 Grade2(>1.5~3×ULN):休薬:Grade1以下に回復後、減量せず再開可能。HER2陽性の手術不能又は再発乳癌でAST>3×ULNかつ総ビリルビン>2×ULN又はALT>3×ULNかつ総ビリルビン>2×ULNの場合は中止すること。
2). 〈HER2陽性の手術不能又は再発乳癌〉高ビリルビン血症 Grade3(>3~10×ULN):休薬:Grade1以下に回復後、1段階減量して再開可能。HER2陽性の手術不能又は再発乳癌でAST>3×ULNかつ総ビリルビン>2×ULN又はALT>3×ULNかつ総ビリルビン>2×ULNの場合は中止すること。
3). 〈HER2陽性の手術不能又は再発乳癌〉高ビリルビン血症 Grade4(>10×ULN):中止。
7.3.4. 〈HER2陽性の手術不能又は再発乳癌〉血小板減少症による休薬及び減量基準
1). 〈HER2陽性の手術不能又は再発乳癌〉血小板減少症 Grade3(<50000~25000/mm3):休薬:Grade1以下(75000/mm3以上)に回復後、減量せず再開可能。
2). 〈HER2陽性の手術不能又は再発乳癌〉血小板減少症 Grade4(<25000/mm3):休薬:Grade1以下(75000/mm3以上)に回復後、1段階減量して再開可能。
7.3.5. 〈HER2陽性の手術不能又は再発乳癌〉末梢神経障害による休薬基準:末梢神経障害 Grade3又は末梢神経障害 Grade4:休薬:Grade2以下に回復後、減量せず再開可能。
7.3.6. 〈HER2陽性の乳癌における術後薬物療法〉左室駆出率(LVEF)低下による休薬及び中止基準
1). 〈HER2陽性の乳癌における術後薬物療法〉LVEF≧50%:継続。
2). 〈HER2陽性の乳癌における術後薬物療法〉45%≦LVEF<50%・ベースラインからの絶対値の変化<10%:継続:3週間以内に再測定を行い、LVEFを確認すること。
3). 〈HER2陽性の乳癌における術後薬物療法〉45%≦LVEF<50%・ベースラインからの絶対値の変化≧10%:休薬:3週間以内に再測定を行い、LVEF<50%が認められ、かつLVEFのベースラインからの絶対値の変化<10%に回復しない場合は中止すること。
4). 〈HER2陽性の乳癌における術後薬物療法〉LVEF<45%:休薬:3週間以内に再測定を行い、再度LVEF<45%が認められた場合は中止すること。
5). 〈HER2陽性の乳癌における術後薬物療法〉①症候性うっ血性心不全、②Grade3の左室収縮機能不全(Grade3のLVSD)又はGrade4の左室収縮機能不全(Grade4のLVSD)、③Grade3の心不全もしくはGrade4の心不全、又はLVEF<45%を伴うGrade2の心不全:中止。
7.3.7. 〈HER2陽性の乳癌における術後薬物療法〉ALT増加による休薬、減量及び中止基準
1). 〈HER2陽性の乳癌における術後薬物療法〉ALT Grade2又はALT Grade3(>3~20×ULN):休薬:Grade1以下に回復後、1段階減量して再開可能。
2). 〈HER2陽性の乳癌における術後薬物療法〉ALT Grade4(>20×ULN):中止。
7.3.8. 〈HER2陽性の乳癌における術後薬物療法〉AST増加による休薬、減量及び中止基準
1). 〈HER2陽性の乳癌における術後薬物療法〉AST Grade2(>3~5×ULN):休薬:Grade1以下に回復後、減量せず再開可能。
2). 〈HER2陽性の乳癌における術後薬物療法〉AST Grade3(>5~20×ULN):休薬:Grade1以下に回復後、1段階減量して再開可能。
3). 〈HER2陽性の乳癌における術後薬物療法〉AST Grade4(>20×ULN):中止。
7.3.9. 〈HER2陽性の乳癌における術後薬物療法〉高ビリルビン血症による休薬、減量及び中止基準
1). 〈HER2陽性の乳癌における術後薬物療法〉総ビリルビン>1.0~2.0×ULN:休薬:総ビリルビン≦1.0×ULNに回復後、1段階減量して再開可能。
2). 〈HER2陽性の乳癌における術後薬物療法〉総ビリルビン>2.0×ULN:中止。
7.3.10. 〈HER2陽性の乳癌における術後薬物療法〉結節性再生性過形成(NRH)による中止基準:全てのGrade:中止。
7.3.11. 〈HER2陽性の乳癌における術後薬物療法〉血小板減少症による休薬及び減量基準
1). 〈HER2陽性の乳癌における術後薬物療法〉血小板減少症 Grade2又は血小板減少症 Grade3(<75000~25000/mm3):休薬:Grade1以下(75000/mm3以上)に回復後、減量せず再開可能(血小板減少症による2回目休薬後の再開においては1段階減量しての再開を考慮すること)。
2). 〈HER2陽性の乳癌における術後薬物療法〉血小板減少症 Grade4(<25000/mm3):休薬:Grade1以下(75000/mm3以上)に回復後、1段階減量して再開可能。
7.3.12. 〈HER2陽性の乳癌における術後薬物療法〉末梢神経障害による休薬基準:末梢神経障害 Grade3又は末梢神経障害 Grade4:休薬:Grade2以下に回復後、減量せず再開可能。
7.3.13. 〈HER2陽性の乳癌における術後薬物療法〉間質性肺疾患による中止基準:間質性肺疾患又は肺臓炎と診断された場合:中止。
7.3.14. 〈HER2陽性の乳癌における術後薬物療法〉放射線療法に関連する肺臓炎による中止基準
1). 〈HER2陽性の乳癌における術後薬物療法〉放射線療法関連肺臓炎 Grade2:標準治療にて回復しない場合は中止すること。
2). 〈HER2陽性の乳癌における術後薬物療法〉放射線療法関連肺臓炎 Grade3又は放射線療法関連肺臓炎 Grade4:中止。
GradeはNCI CTCAE(ver.4.0)に準じる。
ULN:正常値上限。
生殖能を有する者
8.1. 心障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前には患者の心機能を確認し、また、本剤投与中は心症状の発現状況・重篤度等に応じて適宜心機能検査(心エコー等)を行い、患者の状態(LVEFの変動を含む)を十分に観察し、休薬、投与再開又は中止を判断すること〔9.1.2、9.1.3、11.1.2参照〕。
8.2. 肝機能障害、肝不全があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に肝機能検査(AST、ALT、総ビリルビン等)を行うこと。また、結節性再生性過形成があらわれることがあるので、門脈圧亢進症の症状等について観察を十分に行い、発現が疑われる場合には肝生検等の実施を考慮すること〔11.1.5参照〕。
8.3. 血小板減少症があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血小板数を測定し、出血に関する症状の有無を確認する等、患者の状態を十分に観察すること〔9.1.4、11.1.6参照〕。
8.4. 本剤の使用にあたっては、本剤と一般名が類似しているトラスツズマブ及びトラスツズマブ デルクステカンとの取り違えに注意すること〔13.過量投与の項参照〕。
9.1.1. 安静時呼吸困難等の症候性肺疾患のある患者:肺臓炎があらわれることがある〔1.2、11.1.1参照〕。
9.1.2. 左室駆出率<LVEF>が低下している患者:LVEF低下を悪化させるおそれがある〔8.1、11.1.2参照〕。
9.1.3. 次のような心機能低下するおそれのある患者:心不全等の心障害があらわれるおそれがある〔8.1、11.1.2参照〕[1)アントラサイクリン系薬剤投与歴のある患者、2)胸部への放射線治療中の患者又は胸部への放射線治療歴のある患者、3)うっ血性心不全若しくは治療を要する重篤な不整脈のある患者又はその既往歴のある患者、4)冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症等)の患者又はその既往歴のある患者、5)高血圧症の患者又はその既往歴のある患者]。
9.1.4. 血小板数減少のある患者:出血のおそれがある〔8.3、11.1.6参照〕。
肝機能障害患者を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.4.1. 妊娠する可能性のある女性:妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後7カ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること〔9.5妊婦の項、15.2参照〕。
9.4.2. 男性:男性には、本剤投与中及び最終投与後4カ月間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること〔15.2参照〕。
相互作用
ヒト肝ミクロソーム等を用いたin vitro試験において、本剤を構成するメイタンシン誘導体であるDM1は、主としてCYP3A4及び一部CYP3A5で代謝されることが示唆されているため、CYP3Aを強く阻害する薬剤と併用する際には注意すること〔16.4参照〕。
10.2. 併用注意:1). 抗凝固剤[出血があらわれるおそれがある(出血リスクを増強させるおそれがある)]。
2). 放射線療法〔11.1.1参照〕[放射線肺臓炎があらわれるおそれがあるので、放射線肺臓炎が認められた場合には、適切な処置、または中止を検討すること(放射線肺臓炎等の間質性肺疾患のリスクを増強させるおそれがある)]。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 間質性肺疾患(1.3%):呼吸困難、咳嗽、疲労、肺浸潤、急性呼吸窮迫症候群等の症状を伴う肺臓炎、間質性肺炎又は放射線肺臓炎があらわれることがあり、死亡に至った例も報告されている〔1.2、9.1.1、10.2参照〕。
11.1.2. 心障害(2.4%):左室駆出率低下(LVEF低下)、うっ血性心不全等の心障害があらわれることがあり、重度心障害に至った例も報告されている〔8.1、9.1.2、9.1.3参照〕。
11.1.3. 過敏症(1.7%):アナフィラキシー等の重度過敏症があらわれることがある。
11.1.4. Infusion reaction(5.4%):呼吸困難、低血圧、喘鳴、気管支痙攣、頻脈、紅潮、悪寒、発熱等を含むInfusion reactionがあらわれることがあり、本剤投与中又は投与開始後24時間以内に多く報告されており、これらの症状は、主に本剤の初期の投与時にあらわれやすいので、異常が認められた場合には投与中止等の適切な処置を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。また、重度Infusion reactionがあらわれた場合には直ちに投与を中止すること。
11.1.5. 肝機能障害(28.2%)、肝不全(頻度不明):AST増加(23.2%)、ALT増加(18.5%)、血中ビリルビン増加(5.1%)等の肝機能障害があらわれることがある。肝機能検査値異常を伴う重度肝機能障害、肝不全が認められ、死亡に至った例も報告されている。また、結節性再生性過形成があらわれることがあるので、結節性再生性過形成が診断された場合には、投与を中止すること〔8.2参照〕。
11.1.6. 血小板減少症(28.0%):血小板減少症があらわれることがあり、頭蓋内出血等の重度出血(0.2%)により死亡に至った例も報告されている〔8.3、9.1.4参照〕。
11.1.7. 末梢神経障害(13.8%):しびれ等の末梢神経障害があらわれることがある。
11.2. その他の副作用
1). 精神神経系:(5%以上)頭痛(15.4%)、味覚異常、(1%~5%未満)錯感覚、めまい、不眠症、嗜眠、(1%未満)うつ病、感覚鈍麻、傾眠、神経毒性、嗅覚錯誤、平衡障害、片頭痛。
2). 消化器:(5%以上)悪心(34.6%)、嘔吐(11.7%)、便秘(11.1%)、口内乾燥(10.7%)、下痢、口内炎、腹痛、(1%~5%未満)消化不良、歯肉出血、腹部膨満、(1%未満)腹部不快感、歯周病、胃食道逆流性疾患、消化管出血、胃炎、口腔内出血、鼓腸、痔核、消化器痛、口腔内痛、口唇乾燥。
3). 循環器:(1%~5%未満)高血圧、動悸、ほてり、(1%未満)低血圧、頻脈。
4). 呼吸器:(5%以上)鼻出血(16.5%)、(1%~5%未満)呼吸困難、咳嗽、鼻漏、口腔咽頭痛、(1%未満)鼻閉、鼻乾燥。
5). 皮膚:(5%以上)発疹、爪異常、(1%~5%未満)皮膚そう痒症、皮膚乾燥、皮膚炎、脱毛症、皮下出血、紅斑、(1%未満)紫斑、湿疹、手掌・足底発赤知覚不全症候群、多汗症、蕁麻疹。
6). 筋・骨格:(5%以上)関節痛(10.4%)、筋骨格痛、(1%~5%未満)筋痙縮、(1%未満)筋力低下、筋骨格硬直。
7). 耳:(1%~5%未満)回転性めまい、(1%未満)耳鳴。
8). 眼:(1%~5%未満)流涙増加、視力障害(霧視、視力低下等)、眼乾燥、結膜炎、(1%未満)眼充血、眼そう痒症、眼痛、結膜出血、眼刺激。
9). 代謝:(5%以上)食欲減退(10.5%)、血中ALP増加、(1%~5%未満)血中カリウム減少、(1%未満)脱水、血中アルブミン減少、高血糖、血中クレアチニン増加、血中尿酸増加。
10). 生殖器:(1%未満)腟出血。
11). 血液:(5%以上)貧血、好中球数減少、白血球数減少、(1%~5%未満)リンパ球数減少。
12). その他:(5%以上)倦怠感(34.4%)、疼痛(背部痛、四肢痛等)、発熱、無力症、(1%~5%未満)悪寒、インフルエンザ様疾患、浮腫(全身性浮腫、末梢性浮腫等)、体重減少、鼻咽頭炎、粘膜炎症、尿路感染、上気道感染、胸痛、鼻炎、挫傷、(1%未満)肺炎、注射部位反応、血腫、カンジダ症、熱感、粘膜乾燥、胸部不快感、口渇、インフルエンザ、胃腸炎、体重増加。
高齢者
心機能、肝機能・腎機能検査、血液検査を行うなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に高齢者では生理機能が低下している)。
授乳婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと(本剤を構成するトラスツズマブを投与した妊婦に羊水過少が起きたとの報告があり、また、羊水過少を発現した症例で、胎児腎不全・新生児腎不全、胎児発育遅延、新生児呼吸窮迫症候群、胎児肺形成不全等が認められ死亡に至った例も報告されており、本剤を構成するDM1の類薬であるメイタンシンを用いた動物実験において、催奇形性及び胎仔毒性が報告されている)〔2.2、9.4.1参照〕。
授乳しないことが望ましい(ヒトでの乳汁移行に関するデータはないが、本剤を構成するトラスツズマブを用いた動物実験において、乳汁への移行が報告されている)。
小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
適用上の注意
14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 調製時には、日局注射用水、日局生理食塩液以外は使用しないこと。
14.1.2. 日局注射用水(8mL)により溶解してトラスツズマブ エムタンシン(遺伝子組換え)20mg/mLの濃度にした後、必要量を注射筒で抜き取り、直ちに日局生理食塩液250mLに希釈すること。
14.1.3. 溶解時は静かにバイアルを回転させ、完全に溶解すること。
14.1.4. 用時調製し、調製後は速やかに使用すること(また、残液は廃棄すること)。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 0.2又は0.22μmインラインフィルター(ポリエーテルスルホン製又はポリスルホン製)を通して投与すること。
14.2.2. 他剤<日局注射用水・日局生理食塩液以外>との混注をしないこと。
14.2.3. ブドウ糖溶液との混合を避け、本剤とブドウ糖溶液の同じ点滴ラインを用いた同時投与は行わないこと。
14.2.4. 点滴静注に際し、薬液が血管外に漏れると、投与部位における紅斑、圧痛、皮膚刺激、疼痛、腫れ、壊死等の事象をおこすことがあるので薬液が血管外に漏れないように投与すること。
その他の注意
15.2. 非臨床試験に基づく情報本剤を構成するメイタンシン誘導体であるDM1のラット骨髄を用いた小核試験で小核誘発性が認められた〔9.4.1、9.4.2参照〕。

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与時
日本人のHER2陽性進行・再発乳癌患者10例に本剤1.8、2.4又は3.6mg/kg注1)を90分(±10分)間点滴静注したときのトラスツズマブ エムタンシンの血清中濃度推移は次のとおりであった。Cmax及びAUCinfはいずれも投与量の増加に応じて増加した。CL及びVd,ssは投与群間で同様の値の範囲内にあった。t1/2は投与群間で大きく異ならなかった。以上のことから、血清中トラスツズマブ エムタンシンの薬物動態は検討した範囲内で線形性を示した。日本人のHER2陽性進行・再発乳癌患者30例に本剤3.6mg/kgを点滴静注したときのVd,ssの平均値は54.9mL/kgであり、ほぼ血漿容量に相当した。
注1)承認された用法・用量は3.6mg/kg(体重)を3週間間隔投与である。
単回投与時の血清中トラスツズマブ エムタンシン濃度推移
平均値±標準偏差

単回投与時のトラスツズマブ エムタンシンの薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)

16.1.2 反復投与時
日本人のHER2陽性進行・再発乳癌患者32例に本剤3.6mg/kgを3週間間隔で90分間(±10分、忍容性が確認された場合、2回目以降30分間(±10分)に短縮可能)点滴静注したときのトラスツズマブ エムタンシンの血清中濃度推移は次のとおりであった。血清中トラスツズマブ エムタンシンの蓄積はほとんど認められなかった。
反復投与時の血清中トラスツズマブ エムタンシンのトラフ濃度及びピーク濃度
平均値±標準偏差(n=2~28)

16.3 分布
16.3.1 血漿蛋白結合
本剤を構成するDM1をヒト血漿に20ng/mLの濃度で添加した際の血漿蛋白結合率は93.2%であった。
16.4 代謝
トラスツズマブ エムタンシンは主として細胞内のリソゾームにより異化を受けると推測される。血漿中代謝物として、DM1及びMCC‐DM1注2)がトラスツズマブ エムタンシンと比較して低い濃度で検出された。日本人のHER2陽性進行・再発乳癌患者に本剤3.6mg/kgを点滴静注したときのサイクル1における血漿中DM1及び血漿中MCC‐DM1はともに投与後30分にピーク値を示し、その値は各々3.79±0.950ng/mL(28例)、8.65±3.03ng/mL(28例)であった。Lys‐MCC‐DM1注3)はほとんど検出されなかった。ヒト肝ミクロソーム等を用いたin vitro試験で、DM1は主としてCYP3A4及び一部CYP3A5で代謝されることが示唆された。[10.参照]
注2)MCC‐DM1:DM1とMCCリンカーが結合した状態で遊離した代謝物
注3)Lys‐MCC‐DM1:リシン残基とともにMCC‐DM1が遊離した代謝物
16.5 排泄
In vitro試験から、DM1はP‐糖蛋白質(P‐gp)の基質であることが示唆された。またDM1を3H標識したトラスツズマブ エムタンシンをラットに単回静脈内投与したとき、DM1、Lys‐MCC‐DM1及びMCC‐DM1を含む異化代謝物は主に糞中に排泄され(50%)、尿中への排泄は少なかった(8.2%)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 肝機能障害患者での薬物動態
HER2陽性進行・再発乳癌のうち、肝機能障害患者18例[軽度(Child‐Pugh分類A):10例、中等度(Child‐Pugh分類B):8例]及び正常肝機能患者10例に本剤3.6mg/kgを3週間間隔で点滴静注したとき、トラスツズマブ エムタンシンのAUCの平均値は、軽度及び中等度肝機能障害患者で、サイクル1では正常肝機能患者と比べそれぞれ38%及び67%低く、サイクル3では正常肝機能患者と同程度であった。また、DM1、MCC‐DM1、Lys‐MCC‐DM1は、肝機能障害患者と正常肝機能患者とで同程度であり、いずれもトラスツズマブ エムタンシンと比べ低い濃度で検出された(外国人データ)。

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 HER2陽性進行・再発乳癌患者を対象とした国内第II相臨床試験(JO22997試験)
トラスツズマブ及び化学療法既治療のHER2陽性の進行・再発乳癌を対象として、本剤3.6mg/kgを3週間間隔で73例に投与した。奏効率は38.4%であった。
本剤が投与された73例において、副作用が67例(91.8%)に認められた。主な副作用は、倦怠感32例(43.8%)、鼻出血30例(41.1%)、悪心29例(39.7%)、発熱23例(31.5%)、食欲減退21例(28.8%)、血小板数減少20例(27.4%)、AST増加15例(20.5%)等であった。
17.1.2 HER2陽性進行・再発乳癌患者を対象とした海外第III相ランダム化比較試験(TDM4370g試験[EMILIA試験])
タキサン系薬剤及びトラスツズマブ既治療のHER2陽性進行・再発乳癌を対象に、カペシタビン+ラパチニブ(Cap+Lap)の併用療法を対照群として、本剤3.6mg/kgを3週間間隔で490例に投与した(有効性評価例は495例)。主要評価項目である独立判定委員会評価による無増悪生存期間の最終解析及び全生存期間の中間解析(目標イベント数である632イベントのうち、331イベントが発生した時点)について、Cap+Lap群に対する本剤群の有意な延長が認められた。
本剤が投与された490例において、副作用が427例(87.1%)に認められた。主な副作用は、倦怠感201例(41.0%)、悪心165例(33.7%)、血小板数減少145例(29.6%)、AST増加100例(20.4%)、ALT増加79例(16.1%)等であった。
TDM4370g試験の無増悪生存期間のKaplan‐Meier曲線

TDM4370g試験の全生存期間のKaplan‐Meier曲線

17.1.3 HER2陽性乳癌の術後患者を対象とした海外第III相ランダム化比較試験(BO27938試験[KATHERINE試験])
トラスツズマブ及びタキサン系抗悪性腫瘍剤を含む術前薬物療法の施行後に病理学的完全奏効(pCR)注1)が認められなかったHER2陽性の乳癌の術後患者を対象に、トラスツズマブを対照群として、本剤3.6mg/kgを3週間間隔で740例に投与した注2)(有効性評価例は743例)。投与回数は最大14回とされ、本剤群において、有害事象により本剤の投与を中止した場合は、トラスツズマブに切り替えて合計14回まで継続することが可能とされていた。主要評価項目である浸潤性疾患のない生存期間(IDFS)注3)の1回目の中間解析(256IDFSイベントが発生した時点)において、トラスツズマブ群に対する本剤群の優越性が検証された(ハザード比[95%信頼区間]:0.50[0.39、0.64]、P<0.0001(非層別log‐rank検定)、有意水準(両側)0.0120)。
本剤が投与された740例において、副作用が641例(86.6%)に認められた。主な副作用は、疲労268例(36.2%)、悪心255例(34.5%)、血小板数減少199例(26.9%)、AST増加186例(25.1%)、ALT増加154例(20.8%)等であった。
注1)術後の病理組織学的検査で、乳房内及び腋窩リンパ節に浸潤癌が認められないことと定義された。
注2)患者の状態に応じて、放射線療法又は内分泌療法を併用することが可能とされた。本剤群の623/740例(84.2%)で放射線療法、525/740例(70.9%)で内分泌療法がそれぞれ併用されていた。
注3)ランダム化された日から、①同側の浸潤性乳癌の再発、②同側の局所領域(腋窩、所属リンパ節、胸壁又は皮膚)における浸潤性乳癌の再発、③遠隔再発、④対側乳房の浸潤性乳癌又は⑤あらゆる理由による死亡のいずれかが最初に認められた日までの期間と定義された。
BO27938試験のIDFSのKaplan‐Meier曲線

18.1 作用機序
本剤は、抗HER2ヒト化モノクローナル抗体であるトラスツズマブとチューブリン重合阻害作用を有するDM1を、リンカーを介して結合させた抗体薬物複合体である。
本剤は、トラスツズマブと同様に、HER2及びFcγ受容体との結合活性を示し、HER2細胞外ドメインの遊離(シェディング)抑制、PI3K/AKT経路のシグナル伝達阻害及び抗体依存性細胞傷害活性を示す。また、本剤は、HER2に結合して細胞内に取り込まれた後、DM1含有代謝物を遊離し、G2/M期での細胞周期停止及びアポトーシスを誘導する。
18.2 抗腫瘍効果
本剤は、in vitroにおいて、トラスツズマブに感受性のHER2陽性のヒト乳癌由来細胞株(SK‐BR‐3、BT‐474)に対し、トラスツズマブよりも強い増殖抑制作用を示した。また、トラスツズマブに非感受性のHER2陽性のヒト乳癌由来細胞株(KPL‐4、HCC1954、BT‐474EEI)に対して増殖抑制作用を示した。さらに、HER2陽性のヒト乳癌由来細胞株(BT‐474EEI、KPL‐4)を同所移植したマウスにおいて、増殖抑制作用を示した。

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