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サイラムザ点滴静注液500mg

販売名
サイラムザ点滴静注液500mg
薬価
500mg50mL1瓶 362032.00円
製造メーカー
日本イーライリリー

添付文書情報2024年06月改定(第4版)

商品情報

薬効分類名
その他の抗悪性腫瘍用剤
一般名
ラムシルマブ(遺伝子組換え)注射液
規制区分
  • 特生
  • 特承
  • 覚原
警告
1.1. 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
1.2. 心筋梗塞、脳血管障害等の重篤な動脈血栓塞栓症があらわれ、死亡に至る例が報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと(重度動脈血栓塞栓症があらわれた患者には、本剤を再投与しないこと)〔9.1.1、11.1.1参照〕。
1.3. 重度消化管出血があらわれ、死亡に至る例が報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと(重度出血があらわれた患者には、本剤を再投与しないこと)〔9.1.5、11.1.4参照〕。
1.4. 消化管穿孔があらわれ、死亡に至る例が報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと(消化管穿孔があらわれた患者には、本剤を再投与しないこと)〔9.1.3、11.1.3参照〕。
禁忌
2.1. 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。
効能・効果
1). 治癒切除不能な進行・再発の胃癌。
2). 治癒切除不能な進行・再発の結腸癌、治癒切除不能な進行・再発の直腸癌。
3). 切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌。
4). がん化学療法後増悪した血清AFP値400ng/mL以上の切除不能肝細胞癌。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 〈治癒切除不能な進行・再発の胃癌〉本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。
5.2. 〈治癒切除不能な進行・再発の胃癌〉本剤の一次化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
5.3. 〈治癒切除不能な進行・再発の胃癌〉原発部位等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと〔17.1.1参照〕。
5.4. 〈治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。
5.5. 〈治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉本剤の一次化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
5.6. 〈治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと〔17.1.3参照〕。
5.7. 〈切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。
5.8. 〈切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉EGFR遺伝子変異陰性の非小細胞肺癌患者に対する本剤の一次化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
5.9. 〈切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと〔17.1.4-17.1.6参照〕。
5.10. 〈がん化学療法後に増悪した血清AFP値が400ng/mL以上の切除不能な肝細胞癌〉本剤の一次化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
5.11. 〈がん化学療法後に増悪した血清AFP値が400ng/mL以上の切除不能な肝細胞癌〉局所療法の適応となる肝細胞癌(経皮的エタノール注入療法の適応となる肝細胞癌、ラジオ波焼灼療法の適応となる肝細胞癌、マイクロ波凝固療法の適応となる肝細胞癌、肝動脈塞栓療法の適応となる肝細胞癌/肝動脈化学塞栓療法の適応となる肝細胞癌、放射線療法の適応となる肝細胞癌等)患者に対する本剤の有効性及び安全性は確立していない。
5.12. 〈がん化学療法後に増悪した血清AFP値が400ng/mL以上の切除不能な肝細胞癌〉本剤の使用にあたっては、初回投与時の血清AFP値に基づき、適応患者の選択を行うこと。
5.13. 〈がん化学療法後に増悪した血清AFP値が400ng/mL以上の切除不能な肝細胞癌〉臨床試験に組み入れられた患者の前治療歴、肝機能障害の程度等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと〔17.1.7参照〕。
AFP:α-フェトプロテイン。
用法・用量
〈治癒切除不能な進行・再発の胃癌、がん化学療法後に増悪した血清AFP値が400ng/mL以上の切除不能な肝細胞癌〉
通常、成人には2週間に1回、ラムシルマブ(遺伝子組換え)として1回8mg/kg(体重)をおよそ60分かけて点滴静注する。初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。なお、患者の状態により適宜減量する。
〈治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉
イリノテカン塩酸塩水和物、レボホリナート及びフルオロウラシルとの併用において、通常、成人には2週間に1回、ラムシルマブ(遺伝子組換え)として1回8mg/kg(体重)をおよそ60分かけて点滴静注する。初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。なお、患者の状態により適宜減量する。
〈切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉
化学療法既治療の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者の場合、ドセタキセルとの併用において、通常、成人には3週間に1回、ラムシルマブ(遺伝子組換え)として1回10mg/kg(体重)をおよそ60分かけて点滴静注する。初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。なお、患者の状態により適宜減量する。
EGFR遺伝子変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌患者の場合、エルロチニブ塩酸塩又はゲフィチニブとの併用において、通常、成人には2週間に1回、ラムシルマブ(遺伝子組換え)として1回10mg/kg(体重)をおよそ60分かけて点滴静注する。初回投与の忍容性が良好であれば、2回目以降の投与時間は30分間まで短縮できる。なお、患者の状態により適宜減量する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 〈効能共通〉本剤投与時にあらわれるinfusion reactionを軽減させるため、本剤の投与前に抗ヒスタミン剤(ジフェンヒドラミン等)の前投与を考慮すること。グレード1のinfusion reaction又はグレード2のinfusion reactionがあらわれた場合には、次回投与から必ず抗ヒスタミン剤を前投与し、その後もグレード1又は2のinfusion reactionがあらわれる場合には、抗ヒスタミン剤に加え、解熱鎮痛剤(アセトアミノフェン等)及び副腎皮質ホルモン剤(デキサメタゾン等)を前投与すること〔8.1、11.1.2参照〕。
7.2. 〈効能共通〉グレード3のinfusion reaction又はグレード4のinfusion reactionがあらわれた場合には、本剤の投与を直ちに中止し、再投与しないこと。グレード1のinfusion reaction又はグレード2のinfusion reactionがあらわれた場合には、投与速度を50%減速し、その後の全ての投与においても減速した投与速度で投与すること〔8.1、11.1.2参照〕。
7.3. 〈効能共通〉高血圧又は蛋白尿があらわれた場合には、次の基準を参考に本剤を休薬、減量又は投与を中止すること〔8.2、8.3、9.1.2、11.1.10参照〕。
1). 高血圧<症候性のグレード2>、又は高血圧<グレード3以上>:降圧剤による治療を行い、血圧がコントロールできるようになるまで休薬し、降圧剤による治療を行ってもコントロールできない場合には、投与を中止する。
2). 蛋白尿:
①. 1日尿蛋白量2g以上:初回発現時は、1日尿蛋白量2g未満に低下するまで休薬し、再開する場合には、本剤初回投与量が8mg/kgの場合は、6mg/kgに減量し、本剤初回投与量が10mg/kgの場合は、8mg/kgに減量する;2回目以降の発現時は、1日尿蛋白量2g未満に低下するまで休薬し、再開する場合には、本剤初回投与量が8mg/kgの場合は、5mg/kgに減量し、本剤初回投与量が10mg/kgの場合は、6mg/kgに減量する[1日尿蛋白量:24時間蓄尿を用いた全尿検査が望ましいが、実施困難な場合には尿中の蛋白/クレアチニン比を測定する]。
②. 1日尿蛋白量3g以上、又はネフローゼ症候群を発現:投与を中止する[1日尿蛋白量:24時間蓄尿を用いた全尿検査が望ましいが、実施困難な場合には尿中の蛋白/クレアチニン比を測定する]。
7.4. 〈治癒切除不能な進行・再発の胃癌〉本剤とパクリタキセル以外の抗悪性腫瘍剤との併用における有効性及び安全性は確立していない。
7.5. 〈治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉本剤と併用する抗悪性腫瘍剤は、「17.臨床成績」の項の内容を熟知した上で、選択すること〔17.1.3参照〕。
7.6. 〈切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉本剤と併用する抗悪性腫瘍剤は、「17.臨床成績」の項の内容を熟知した上で、選択すること。なお、切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌でゲフィチニブと併用する場合は、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、併用の必要性について慎重に判断すること)〔17.1.4-17.1.6参照〕。
7.7. 〈がん化学療法後に増悪した血清AFP値が400ng/mL以上の切除不能な肝細胞癌〉他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
グレード:有害事象共通用語規準(ver.4.0)。
生殖能を有する者
8.1. 〈効能共通〉本剤の投与は、重度infusion reactionに備えて緊急時に十分な対応のできる準備を行った上で開始すること〔7.1、7.2、11.1.2参照〕。
8.2. 〈効能共通〉高血圧があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与期間中は定期的に血圧を測定すること〔7.3、9.1.2参照〕。
8.3. 〈効能共通〉ネフローゼ症候群、蛋白尿があらわれることがあるので、本剤投与期間中は尿蛋白を定期的に検査すること〔7.3、11.1.10参照〕。
8.4. 〈効能共通〉好中球減少症、白血球減少症、発熱性好中球減少症があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行うなど観察を十分に行うこと〔8.6、11.1.5参照〕。
8.5. 〈効能共通〉本剤は、創傷治癒に影響を及ぼす可能性がある〔9.1.7、11.1.7参照〕。
8.5.1. 〈効能共通〉本剤は、創傷治癒に影響を及ぼす可能性があるので、手術を予定している場合には、手術の前に本剤の投与を中断すること。
8.5.2. 〈効能共通〉本剤は、創傷治癒に影響を及ぼす可能性があるので、手術後に本剤を投与する際には、創傷が治癒していることを十分に確認し、投与を開始することが望ましい。
8.6. 〈切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉本剤とドセタキセルを併用投与した非小細胞肺癌患者において、発熱性好中球減少症の発現頻度が高かったので、非小細胞肺癌患者に本剤を投与する際には、予防投与(一次予防)を含めたG-CSF製剤の適切な使用を、最新のガイドライン等を参考に考慮すること〔8.4、11.1.5参照〕。
9.1.1. 血栓塞栓症又はその既往歴のある患者:心筋梗塞、脳血管障害、肺塞栓症等があらわれるおそれがある〔1.2、11.1.1参照〕。
9.1.2. 高血圧症の患者:高血圧が悪化するおそれがある〔7.3、8.2参照〕。
9.1.3. 消化管炎症等の腹腔内炎症を合併している患者:消化管穿孔があらわれるおそれがある〔1.4、11.1.3参照〕。
9.1.4. 出血素因や凝固系異常のある患者:出血があらわれるおそれがある〔10.2、11.1.4参照〕。
9.1.5. 消化管出血等の出血が認められている患者:出血が増強されるおそれがある〔1.3、11.1.4参照〕。
9.1.6. 胸部における腫瘍の主要血管への浸潤や胸部における腫瘍内空洞化を認める患者、喀血の既往歴のある患者:肺出血があらわれるおそれがある〔11.1.4参照〕。
9.1.7. 大きな手術の術創が治癒していない患者:創傷治癒障害による合併症があらわれるおそれがある〔8.5、11.1.7参照〕。
9.3.1. 重度肝障害[重度肝硬変<Child-Pugh分類B又はC>、肝性脳症を伴う肝硬変、肝硬変による著明な腹水、肝腎症候群]を有する患者:投与の可否は慎重に判断し、投与する場合には、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、本剤の投与を中止するなど、適切な処置を行うこと(本剤投与により肝機能が悪化したとの報告がある)。
妊娠可能な女性:妊娠可能な女性には、本剤投与中及び本剤投与終了後、一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること(本剤の胚・胎仔発生毒性試験は実施されていない、また、VEGF及びVEGFR阻害により、動物において胚死亡、流産、催奇形性等が起こることが報告されており、本剤の作用機序から、本剤が胚・胎児発生及び出生後の発生に影響を及ぼす可能性がある)〔9.5妊婦の項参照〕。
相互作用
10.2. 併用注意:抗凝固剤(ヘパリン、ワルファリン等)〔9.1.4参照〕[出血があらわれるおそれがある(出血リスクを増大させるおそれがある)]。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 〈胃癌への単独投与、肝細胞癌への単独投与、胃癌へのパクリタキセル併用投与、結腸・直腸癌へのFOLFIRI併用投与、非小細胞肺癌へのドセタキセル併用投与、非小細胞肺癌へのエルロチニブ併用投与、非小細胞肺癌へのゲフィチニブ併用投与〉動脈血栓塞栓症(1.4%*、0.8%※)、静脈血栓塞栓症(0.9%*、3.0%※):心筋梗塞(0.2%*、0.1%※)、脳血管障害(0.7%*、0.3%※)等の動脈血栓塞栓症、肺塞栓症(0.2%*、1.2%※)等の静脈血栓塞栓症があらわれることがあり、死亡に至る例が報告されている。重度動脈血栓塞栓症があらわれた患者には、本剤を再投与しないこと〔1.2、9.1.1参照〕。
11.1.2. 〈胃癌への単独投与、肝細胞癌への単独投与、胃癌へのパクリタキセル併用投与、結腸・直腸癌へのFOLFIRI併用投与、非小細胞肺癌へのドセタキセル併用投与、非小細胞肺癌へのエルロチニブ併用投与、非小細胞肺癌へのゲフィチニブ併用投与〉Infusion reaction(3.0%*、3.5%※):アナフィラキシー、悪寒、潮紅、低血圧、呼吸困難、気管支痙攣等のinfusion reactionがあらわれることがあり、2回目以降の本剤投与時にもあらわれることがある〔7.1、7.2、8.1参照〕。
11.1.3. 〈胃癌への単独投与、肝細胞癌への単独投与、胃癌へのパクリタキセル併用投与、結腸・直腸癌へのFOLFIRI併用投与、非小細胞肺癌へのドセタキセル併用投与、非小細胞肺癌へのエルロチニブ併用投与、非小細胞肺癌へのゲフィチニブ併用投与〉消化管穿孔(0.7%*、0.7%※):死亡に至る例が報告されている(消化管穿孔があらわれた患者には、本剤を再投与しないこと)〔1.4、9.1.3参照〕。
11.1.4. 〈胃癌への単独投与、肝細胞癌への単独投与、胃癌へのパクリタキセル併用投与、結腸・直腸癌へのFOLFIRI併用投与、非小細胞肺癌へのドセタキセル併用投与、非小細胞肺癌へのエルロチニブ併用投与、非小細胞肺癌へのゲフィチニブ併用投与〉出血(9.5%*、31.1%※):消化管出血(1.8%*、4.8%※)、肺出血(0.5%*、2.1%※)等の出血があらわれることがあり、死亡に至る例が報告されている。重度出血が認められた場合には、本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと(また、本剤を再投与しないこと)〔1.3、9.1.4-9.1.6参照〕。
11.1.5. 好中球減少症、白血球減少症、発熱性好中球減少症1). 〈胃癌への単独投与、肝細胞癌への単独投与〉好中球減少症(3.9%*)、白血球減少症(1.4%*)、発熱性好中球減少症(0.2%*)〔8.4、8.6参照〕。
2). 〈胃癌へのパクリタキセル併用投与、結腸・直腸癌へのFOLFIRI併用投与、非小細胞肺癌へのドセタキセル併用投与、非小細胞肺癌へのエルロチニブ併用投与、非小細胞肺癌へのゲフィチニブ併用投与〉好中球減少症(49.7%※)、白血球減少症(21.6%※)、発熱性好中球減少症(8.4%※)〔8.4、8.6参照〕。
11.1.6. 〈胃癌への単独投与、肝細胞癌への単独投与、胃癌へのパクリタキセル併用投与、結腸・直腸癌へのFOLFIRI併用投与、非小細胞肺癌へのドセタキセル併用投与、非小細胞肺癌へのエルロチニブ併用投与、非小細胞肺癌へのゲフィチニブ併用投与〉うっ血性心不全(0.2%*、1.0%※)。
11.1.7. 創傷治癒障害1). 〈胃癌への単独投与、肝細胞癌への単独投与〉創傷治癒障害(頻度不明*):創傷治癒に影響を及ぼす可能性があり、創傷治癒障害による合併症があらわれることがある(創傷治癒障害による合併症があらわれた場合には、創傷が治癒するまで本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと)〔8.5、9.1.7参照〕。
2). 〈胃癌へのパクリタキセル併用投与、結腸・直腸癌へのFOLFIRI併用投与、非小細胞肺癌へのドセタキセル併用投与、非小細胞肺癌へのエルロチニブ併用投与、非小細胞肺癌へのゲフィチニブ併用投与〉創傷治癒障害(0.3%※):創傷治癒に影響を及ぼす可能性があり、創傷治癒障害による合併症があらわれることがある(創傷治癒障害による合併症があらわれた場合には、創傷が治癒するまで本剤の投与を中止し、適切な処置を行うこと)〔8.5、9.1.7参照〕。
11.1.8. 〈胃癌への単独投与、肝細胞癌への単独投与、胃癌へのパクリタキセル併用投与、結腸・直腸癌へのFOLFIRI併用投与、非小細胞肺癌へのドセタキセル併用投与、非小細胞肺癌へのエルロチニブ併用投与、非小細胞肺癌へのゲフィチニブ併用投与〉瘻孔(0.2%*、0.3%※)。
11.1.9. 可逆性後白質脳症症候群1). 〈胃癌への単独投与、肝細胞癌への単独投与〉可逆性後白質脳症症候群(頻度不明*):痙攣、頭痛、錯乱、視覚障害等が認められた場合には、本剤の投与を中止し、血圧のコントロール、抗痙攣薬の投与等の適切な処置を行うこと。
2). 〈胃癌へのパクリタキセル併用投与、結腸・直腸癌へのFOLFIRI併用投与、非小細胞肺癌へのドセタキセル併用投与、非小細胞肺癌へのエルロチニブ併用投与、非小細胞肺癌へのゲフィチニブ併用投与〉可逆性後白質脳症症候群(0.1%※):痙攣、頭痛、錯乱、視覚障害等が認められた場合には、本剤の投与を中止し、血圧のコントロール、抗痙攣薬の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.10. 〈胃癌への単独投与、肝細胞癌への単独投与、胃癌へのパクリタキセル併用投与、結腸・直腸癌へのFOLFIRI併用投与、非小細胞肺癌へのドセタキセル併用投与、非小細胞肺癌へのエルロチニブ併用投与、非小細胞肺癌へのゲフィチニブ併用
投与〉ネフローゼ症候群(0.2%*、0.2%※)、蛋白尿(6.9%*、14.8%※)〔7.3、8.3参照〕。
11.1.11. 間質性肺疾患1). 〈胃癌への単独投与、肝細胞癌への単独投与〉間質性肺疾患(頻度不明*)。
2). 〈胃癌へのパクリタキセル併用投与、結腸・直腸癌へのFOLFIRI併用投与、非小細胞肺癌へのドセタキセル併用投与、非小細胞肺癌へのエルロチニブ併用投与、非小細胞肺癌へのゲフィチニブ併用投与〉間質性肺疾患(1.2%※)。
11.1.12. 肝不全、肝障害1). 〈胃癌への単独投与、肝細胞癌への単独投与〉肝不全(0.2%*)、肝障害(4.4%*):肝不全、AST上昇、ALT上昇等を伴う肝障害、肝性脳症(0.9%*)があらわれることがある。
2). 〈胃癌へのパクリタキセル併用投与、結腸・直腸癌へのFOLFIRI併用投与、非小細胞肺癌へのドセタキセル併用投与、非小細胞肺癌へのエルロチニブ併用投与、非小細胞肺癌へのゲフィチニブ併用投与〉肝不全(0.1%※)、肝障害(15.1%※):肝不全、AST上昇、ALT上昇等を伴う肝障害、肝性脳症(頻度不明※)があらわれることがある。
11.1.13. 感染症1). 〈胃癌への単独投与、肝細胞癌への単独投与〉感染症(2.5%*):肺炎(0.5%*)、尿路感染(0.2%*)、敗血症(頻度不明*)等の感染症があらわれることがある。
2). 〈胃癌へのパクリタキセル併用投与、結腸・直腸癌へのFOLFIRI併用投与、非小細胞肺癌へのドセタキセル併用投与、非小細胞肺癌へのエルロチニブ併用投与、非小細胞肺癌へのゲフィチニブ併用投与〉感染症(24.1%※):肺炎(1.4%※)、尿路感染(1.2%※)、敗血症(0.3%※)等の感染症があらわれることがある。
11.1.14. 血栓性微小血管症1). 〈胃癌への単独投与、肝細胞癌への単独投与〉血栓性微小血管症(頻度不明*):破砕赤血球を伴う貧血、血小板減少、腎機能障害等が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
2). 〈胃癌へのパクリタキセル併用投与、結腸・直腸癌へのFOLFIRI併用投与、非小細胞肺癌へのドセタキセル併用投与、非小細胞肺癌へのエルロチニブ併用投与、非小細胞肺癌へのゲフィチニブ併用投与〉血栓性微小血管症(0.1%※):破砕赤血球を伴う貧血、血小板減少、腎機能障害等が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
11.1.15. 〈胃癌への単独投与、肝細胞癌への単独投与、胃癌へのパクリタキセル併用投与、結腸・直腸癌へのFOLFIRI併用投与、非小細胞肺癌へのドセタキセル併用投与、非小細胞肺癌へのエルロチニブ併用投与、非小細胞肺癌へのゲフィチニブ併用
投与〉動脈解離(頻度不明*、頻度不明※):大動脈解離を含む動脈解離があらわれることがある。
11.2. その他の副作用
11.2.1. 単独投与時*1). 〈胃癌への単独投与、肝細胞癌への単独投与〉血液:(5%未満)血小板減少症。
2). 〈胃癌への単独投与、肝細胞癌への単独投与〉消化器:(5~15%未満)下痢、(5%未満)腹痛、(頻度不明)腸閉塞。
3). 〈胃癌への単独投与、肝細胞癌への単独投与〉循環器:(5~15%未満)高血圧。
4). 〈胃癌への単独投与、肝細胞癌への単独投与〉呼吸器:(5%未満)発声障害。
5). 〈胃癌への単独投与、肝細胞癌への単独投与〉内分泌:(5%未満)甲状腺機能低下症。
6). 〈胃癌への単独投与、肝細胞癌への単独投与〉代謝:(5%未満)低ナトリウム血症、低アルブミン血症、低カリウム血症。
7). 〈胃癌への単独投与、肝細胞癌への単独投与〉皮膚:(5%未満)発疹、皮膚乾燥。
8). 〈胃癌への単独投与、肝細胞癌への単独投与〉その他:(5~15%未満)頭痛、(5%未満)末梢性浮腫、粘膜炎症、血管腫。
11.2.2. 併用投与時※1). 〈胃癌へのパクリタキセル併用投与、結腸・直腸癌へのFOLFIRI併用投与、非小細胞肺癌へのドセタキセル併用投与、非小細胞肺癌へのエルロチニブ併用投与、非小細胞肺癌へのゲフィチニブ併用投与〉血液:(5~20%未満)貧血、血小板減少症。
2). 〈胃癌へのパクリタキセル併用投与、結腸・直腸癌へのFOLFIRI併用投与、非小細胞肺癌へのドセタキセル併用投与、非小細胞肺癌へのエルロチニブ併用投与、非小細胞肺癌へのゲフィチニブ併用投与〉消化器:(20%以上)下痢、口内炎、食欲減退、(5~20%未満)腹痛。
3). 〈胃癌へのパクリタキセル併用投与、結腸・直腸癌へのFOLFIRI併用投与、非小細胞肺癌へのドセタキセル併用投与、非小細胞肺癌へのエルロチニブ併用投与、非小細胞肺癌へのゲフィチニブ併用投与〉循環器:(5~20%未満)高血圧、(5%未満)心電図QT延長。
4). 〈胃癌へのパクリタキセル併用投与、結腸・直腸癌へのFOLFIRI併用投与、非小細胞肺癌へのドセタキセル併用投与、非小細胞肺癌へのエルロチニブ併用投与、非小細胞肺癌へのゲフィチニブ併用投与〉呼吸器:(5%未満)呼吸困難、咳嗽、上気道感染、咽頭炎、発声障害。
5). 〈胃癌へのパクリタキセル併用投与、結腸・直腸癌へのFOLFIRI併用投与、非小細胞肺癌へのドセタキセル併用投与、非小細胞肺癌へのエルロチニブ併用投与、非小細胞肺癌へのゲフィチニブ併用投与〉内分泌:(5%未満)甲状腺機能低下症。
6). 〈胃癌へのパクリタキセル併用投与、結腸・直腸癌へのFOLFIRI併用投与、非小細胞肺癌へのドセタキセル併用投与、非小細胞肺癌へのエルロチニブ併用投与、非小細胞肺癌へのゲフィチニブ併用投与〉代謝:(5%未満)低アルブミン血症、低ナトリウム血症、低リン酸血症。
7). 〈胃癌へのパクリタキセル併用投与、結腸・直腸癌へのFOLFIRI併用投与、非小細胞肺癌へのドセタキセル併用投与、非小細胞肺癌へのエルロチニブ併用投与、非小細胞肺癌へのゲフィチニブ併用投与〉腎臓:(5%未満)血中クレアチニン増加。
8). 〈胃癌へのパクリタキセル併用投与、結腸・直腸癌へのFOLFIRI併用投与、非小細胞肺癌へのドセタキセル併用投与、非小細胞肺癌へのエルロチニブ併用投与、非小細胞肺癌へのゲフィチニブ併用投与〉皮膚:(20%以上)脱毛症、(5~20%未満)発疹、皮膚乾燥、手掌・足底発赤知覚不全症候群、ざ瘡様皮膚炎、(5%未満)潮紅。
9). 〈胃癌へのパクリタキセル併用投与、結腸・直腸癌へのFOLFIRI併用投与、非小細胞肺癌へのドセタキセル併用投与、非小細胞肺癌へのエルロチニブ併用投与、非小細胞肺癌へのゲフィチニブ併用投与〉その他:(20%以上)疲労/無力症、(5~20%未満)末梢性浮腫、頭痛、発熱、体重減少、粘膜炎症、流涙増加、(5%未満)関節痛、眼瞼浮腫、顔面浮腫、血管腫。
*)胃癌患者を対象とした本剤の単独投与による外国第3相無作為化比較試験(REGARD試験)及び肝細胞癌患者を対象とした本剤の単独投与による国際共同第3相無作為化比較試験(REACH-2試験)における発現頻度の集計に基づき記載した。
※)胃癌患者を対象とした本剤とパクリタキセル併用投与による国際共同第3相無作為化比較試験(RAINBOW試験)、結腸・直腸癌患者を対象とした本剤とFOLFIRI併用投与による国際共同第3相無作為化比較試験(RAISE試験)、非小細胞肺癌患者を対象とした本剤とドセタキセル併用投与による国内第2相無作為化比較試験(JVCG試験)及び外国第3相無作為化比較試験(REVEL試験)、本剤とエルロチニブ併用投与又は本剤とゲフィチニブ併用投与による国際共同第1b/3相試験(RELAY試験)における発現頻度の集計に基づき記載した。
高齢者
患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること(一般に高齢者では生理機能が低下していることが多い)。
授乳婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、本剤を投与しないこと〔2.2、9.4生殖能を有する者の項参照〕。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒトIgGはヒト乳汁中に移行する)。
小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
取扱い上の注意
14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 本剤は、無菌的に希釈調製を行うこと。
14.1.2. 本剤のバイアルは1回使い切りである。バイアル中の未使用残液は適切に廃棄すること。
14.1.3. 調製前に不溶性異物や変色がないことを目視により確認すること(不溶性異物又は変色が認められる場合は使用しないこと)。
14.1.4. 本剤の調製には日局生理食塩液のみを使用すること。ブドウ糖溶液との配合を避けること。
14.1.5. 本剤の必要量を計算し、必要量を注射筒で抜き取り、点滴静注用容器にて日局生理食塩液と混和して全量250mLとして用いる。輸液は十分に混和すること。
14.1.6. 本剤及び調製した注射液を凍結又は振とうさせないこと。
14.1.7. 調製後は、速やかに使用すること(なお、やむを得ず保存を必要とする場合、冷蔵保存(2~8℃)では24時間以内、室温保存(30℃以下)では12時間以内に投与を開始すること)。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 投与前、調製した注射液に不溶性異物がないことを目視により確認すること(不溶性異物が認められる場合は使用しないこと)。
14.2.2. 本剤の投与にあたっては、蛋白質透過型のフィルター(0.2又は0.22ミクロン)を使用し、他の薬剤と同じラインを使用しないこと。なお、本剤投与終了後は、使用したラインを日局生理食塩液にてフラッシュすること。
外箱開封後は遮光して保存すること。
その他の注意
15.1. 臨床使用に基づく情報国内外の臨床試験において、本剤投与による中和抗体発現頻度は0.5%(14/2890例)であった。有害事象発現との関係は不明である。
15.2. 非臨床試験に基づく情報若齢カニクイザルでは、本剤の反復投与(5~50mg/kg、週1回投与)により、骨端成長板において肥厚及び骨端軟骨異形成、並びに糸球体腎炎が認められた。当該試験において、骨及び腎毒性所見の回復性は検討されておらず、当該所見の回復性は不明である。

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
日本人胃癌患者6例にラムシルマブ8mg/kgをおよそ60分かけて点滴静注したときの血清中濃度推移及び薬物動態パラメータは次のとおりであった。平均半減期は、約8日(範囲:6~10日)であった。
図1)ラムシルマブ8mg/kg単回投与後の血清中濃度(N=6、平均及び標準偏差)

表1)ラムシルマブ8mg/kg単回投与後の薬物動態パラメータ(N=6、幾何平均値及び変動係数%)
→図表を見る(PDF)

16.1.2 反復投与
〈治癒切除不能な進行・再発の胃癌〉
(1)日本人胃癌患者6例にパクリタキセル併用下でラムシルマブ8mg/kgを2週間に1回およそ60分かけて点滴静注で反復投与したとき、1回目及び3回目投与後の血清中濃度推移及び薬物動態パラメータは次のとおりであった。3回目投与後のAUCは単回投与後の1.52~1.53倍であった。
図2)ラムシルマブ8mg/kg単回及び反復投与後(パクリタキセル併用)の血清中濃度(単回投与:N=6、反復投与:N=4(264及び336時間後のみN=2)、平均及び標準偏差)

表2)ラムシルマブ8mg/kg単回及び反復投与後(パクリタキセル併用)の薬物動態パラメータ(幾何平均値及び変動係数%)
→図表を見る(PDF)

(2)プラチナ製剤又はフッ化ピリミジン系薬剤を含む化学療法が無効の進行胃腺癌又は胃食道接合部腺癌患者に、パクリタキセル併用下でラムシルマブ8mg/kgを2週間に1回反復投与したとき、3回目及び6回目投与後の血清中トラフ濃度の幾何平均値は、それぞれ、45.0μg/mL(範囲:12.4~177.0μg/mL)及び62.8μg/mL(範囲:14.5~164.5μg/mL)、1回目、4回目、7回目投与後1時間の血清中濃度の幾何平均値は、それぞれ、146μg/mL(範囲:66.0~274.0μg/mL)、193μg/mL(範囲:58.0~492.0μg/mL)及び216μg/mL(範囲:84.0~382.0μg/mL)であった(日本人及び外国人データ)。
〈治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉
(3)ベバシズマブ、オキサリプラチン及びフッ化ピリミジン系薬剤の併用投与による一次治療中又はその後に増悪した転移性結腸・直腸癌患者に、フルオロウラシル、ホリナート及びイリノテカン塩酸塩水和物を含む化学療法(FOLFIRI)併用下でラムシルマブ8mg/kgを2週間に1回反復投与したとき、2回目及び4回目投与後の血清中トラフ濃度の幾何平均値は、それぞれ、46.3μg/mL(範囲:7.65~118.75μg/mL)及び65.1μg/mL(範囲:14.50~204.50μg/mL)であった(日本人及び外国人データ)。
〈切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉
(4)プラチナ製剤を含む一次治療の施行中又は施行後に増悪が認められた進行・再発の非小細胞肺癌の日本人患者を対象とした国内第II相無作為化比較試験において、ドセタキセル併用下でラムシルマブ10mg/kgを3週間に1回反復投与したとき、2回目及び4回目投与後の血清中トラフ濃度の幾何平均値は、それぞれ、30.1μg/mL(範囲:7.35~60.0μg/mL)及び39.9μg/mL(範囲:16.0~121μg/mL)であった。
(5)化学療法歴のない進行・再発の非小細胞肺癌患者に、エルロチニブ併用下でラムシルマブ10mg/kgを2週間に1回反復投与したとき、1回目及び3回目投与後の血清中トラフ濃度の幾何平均値は、それぞれ、39.6μg/mL(範囲:10.3~82.5μg/mL)及び68.5μg/mL(範囲:20.3~142μg/mL)であった。また、ゲフィチニブ併用下でラムシルマブ10mg/kgを2週間に1回反復投与したときの血清中トラフ濃度も同様であった(日本人及び外国人データ)。
〈がん化学療法後に増悪した血清AFP値が400ng/mL以上の切除不能な肝細胞癌〉
(6)ソラフェニブに不耐容、又はソラフェニブによる治療中もしくは治療後に増悪した切除不能な肝細胞癌患者に、ラムシルマブ8mg/kgを2週間に1回反復投与したときの血清中トラフ濃度は、プラチナ製剤又はフッ化ピリミジン系薬剤を含む化学療法が無効の進行胃腺癌又は胃食道接合部腺癌患者と同様であった(日本人及び外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 パクリタキセル
ラムシルマブとパクリタキセルとの相互作用試験の結果、両者の間に薬物動態学的相互作用は認められなかった(外国人データ)。
16.7.2 イリノテカン
ラムシルマブとイリノテカンとの相互作用試験の結果、ラムシルマブ併用によるイリノテカン及び活性代謝物SN‐38の薬物動態への影響は認められなかった(外国人データ)。
16.7.3 ドセタキセル
ラムシルマブとドセタキセルとの相互作用試験の結果、ラムシルマブ併用によるドセタキセルの薬物動態への影響は認められなかった(外国人データ)。
16.7.4 エルロチニブ
ラムシルマブとエルロチニブとの相互作用試験の結果、ラムシルマブ併用によるエルロチニブの薬物動態への影響は認められなかった(外国人データ)。

17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈治癒切除不能な進行・再発の胃癌〉
17.1.1 外国第III相無作為化比較試験(REGARD試験)
プラチナ製剤又はフッ化ピリミジン系薬剤を含む化学療法が無効の進行胃腺癌又は胃食道接合部腺癌患者355例を対象に、best supportive care(BSC)との併用において本剤とプラセボとを比較する無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験を実施した。本剤8mg/kg又はプラセボを2週間に1回投与し、病態の悪化等が認められるまで継続した。主要評価項目である全生存期間において有意な延長を認めた。
表1)外国第III相無作為化比較試験(REGARD試験)における成績
→図表を見る(PDF)

図1)全生存期間のKaplan‐Meier曲線(REGARD試験)

本剤が投与された236例において発現した主な有害事象は、腹痛(28.8%)、高血圧(16.1%)、下痢(14.4%)等であった。[5.3参照]
17.1.2 国際共同第III相無作為化比較試験(RAINBOW試験)
プラチナ製剤とフッ化ピリミジン系薬剤の併用療法が無効の進行胃腺癌又は胃食道接合部腺癌患者665例(日本人症例140例を含む)を対象に、本剤+パクリタキセルとプラセボ+パクリタキセルとを比較する無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験を実施した。本剤8mg/kg又はプラセボ(2週間に1回)とパクリタキセル80mg/m2(週1回投与を3週連続し、4週目を休薬)とを4週間を1サイクルとして、病態の悪化等が認められるまで投与を継続した(投与の際は、本剤の投与後にパクリタキセルを投与)。主要評価項目である全生存期間において有意な延長を認めた。
表2)国際共同第III相無作為化比較試験(RAINBOW試験)における成績
→図表を見る(PDF)

図2)全生存期間のKaplan‐Meier曲線(RAINBOW試験)

本剤が投与された327例(日本人症例68例を含む)において発現した主な有害事象は、疲労/無力症(56.9%)、好中球減少症(54.4%)、白血球減少症(33.9%)、下痢(32.4%)、鼻出血(30.6%)等であった。
〈治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉
17.1.3 国際共同第III相無作為化比較試験(RAISE試験)
ベバシズマブ、オキサリプラチン及びフッ化ピリミジン系薬剤の併用投与による一次治療中又はその後に増悪した転移性結腸・直腸癌患者1072例(日本人症例136例を含む)を対象に、本剤+フルオロウラシル、ホリナート及びイリノテカン塩酸塩水和物(180mg/m2を2週間間隔で投与注1))を含む化学療法(FOLFIRI)とプラセボ+FOLFIRIとを比較する無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験を実施した。本剤8mg/kg又はプラセボとFOLFIRIを2週間に1回投与し、病態の悪化等が認められるまで投与を継続した(投与の際は、本剤の投与後にFOLFIRIを投与)。主要評価項目である全生存期間において有意な延長を認めた。
注1)イリノテカン塩酸塩水和物の結腸・直腸癌(手術不能又は再発)における国内承認用法・用量B法:イリノテカン塩酸塩水和物として、通常、成人に1日1回、150mg/m2を2週間間隔で2~3回点滴静注し、少なくとも3週間休薬する。これを1クールとして、投与を繰り返す。なお、年齢、症状により適宜増減する。
表3)国際共同第III相無作為化比較試験(RAISE試験)における成績
→図表を見る(PDF)

図3)全生存期間のKaplan‐Meier曲線(RAISE試験、全体集団)

図4)全生存期間のKaplan‐Meier曲線(RAISE試験、日本人部分集団)

本剤が投与された529例(日本人症例74例を含む)において発現した主な有害事象は、好中球減少症(58.8%)、鼻出血(33.5%)、口内炎(30.8%)、血小板減少症(28.4%)、高血圧(26.1%)等であった。[5.6、7.5参照]
〈切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌〉
17.1.4 国内第II相無作為化比較試験(JVCG試験)
プラチナ製剤を含む一次治療の施行中又は施行後に増悪が認められた進行・再発の非小細胞肺癌患者注2)を対象に、本剤+ドセタキセルとプラセボ+ドセタキセルとを比較する無作為化二重盲検プラセボ対照第II相試験を実施した。本剤10mg/kg又はプラセボとドセタキセル60mg/m2(3週間に1回)を病態の悪化等が認められるまで投与を継続した(投与の際は、本剤の投与後にドセタキセルを投与)。有効性の解析対象とされた157例(本剤+ドセタキセル投与群76例、プラセボ+ドセタキセル投与群81例)における、主要評価項目である無増悪生存期間は、本剤+ドセタキセル投与群で5.22ヵ月(95%信頼区間3.52~6.97)、プラセボ+ドセタキセル投与群で4.21ヵ月(95%信頼区間2.83~5.62)、ハザード比0.83(95%信頼区間0.59~1.16)であった。
本剤が投与された94例中において発現した主な有害事象は、好中球減少症(95.7%)、口内炎(54.3%)、鼻出血(47.9%)、末梢性浮腫(36.2%)、発熱性好中球減少症(34.0%)等であった。[5.9、7.6参照]
注2)JVCG試験において、肺出血のリスク因子を有する患者(胸部における腫瘍の主要血管への浸潤や腫瘍内空洞化を認める患者、喀血の既往歴のある患者等)は組入れ対象から除外した。
17.1.5 外国第III相無作為化比較試験(REVEL試験)
プラチナ製剤を含む一次治療の施行中又は施行後に増悪が認められた進行・再発の非小細胞肺癌患者注3)1253例を対象に、本剤+ドセタキセルとプラセボ+ドセタキセルとを比較する無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験を実施した。本剤10mg/kg又はプラセボとドセタキセル75mg/m2(3週間に1回)注4)を病態の悪化等が認められるまで投与を継続した(投与の際は、本剤の投与後にドセタキセルを投与)。主要評価項目である全生存期間において有意な延長を認めた。
注3)REVEL試験において、肺出血のリスク因子を有する患者(胸部における腫瘍の主要血管への浸潤や腫瘍内空洞化を認める患者、喀血の既往歴のある患者等)は組入れ対象から除外した。
注4)ドセタキセルの非小細胞肺癌における国内承認用法・用量:通常、成人に1日1回、ドセタキセルとして60mg/m2(体表面積)を1時間以上かけて3~4週間間隔で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜増減すること。ただし、1回最高用量は75mg/m2とする。
表4)外国III相無作為化比較試験(REVEL試験)における成績
→図表を見る(PDF)

図5)全生存期間のKaplan‐Meier曲線(REVEL試験)

本剤が投与された627例において発現した主な有害事象は、好中球減少症(55.0%)、疲労/無力症(54.7%)、口内炎(23.3%)、鼻出血(18.5%)、末梢性浮腫(16.3%)、粘膜の炎症(16.1%)等であった。[5.9、7.6参照]
17.1.6 国際共同第Ib/III相試験(RELAY試験)
化学療法歴のないEGFR遺伝子変異注5)陽性の進行・再発の非小細胞肺癌患者449例(日本人症例211例を含む)を対象に、本剤+エルロチニブとプラセボ+エルロチニブとを比較する無作為化二重盲検プラセボ対照試験(第III相パート)を実施した。本剤10mg/kg又はプラセボ(2週間に1回)とエルロチニブ150mg(1日1回)を病態の悪化等が認められるまで投与を継続した。主要評価項目である無増悪生存期間において有意な延長を認めた。1年無増悪生存率は本剤+エルロチニブ投与群で71.9%(95%信頼区間65.1~77.6)、プラセボ+エルロチニブ投与群で50.7%(95%信頼区間43.7~57.3)であった。
表5)国際共同第Ib/III相試験(RELAY試験)における成績
→図表を見る(PDF)

図6)無増悪生存期間のKaplan‐Meier曲線(RELAY試験)

また、RELAY試験において、化学療法歴のないEGFR遺伝子変異注5)陽性の進行・再発の非小細胞肺癌患者82例(日本人症例68例を含む)を対象に、本剤とゲフィチニブを併用投与する非盲検非対照試験(パートC)を実施した。本剤10mg/kg(2週間に1回)とゲフィチニブ250mg(1日1回)を病態の悪化等が認められるまで投与を継続した。1年無増悪生存率は65.0%(95%信頼区間52.4~75.1)であった。
注5)EGFR遺伝子の活性型変異であるエクソン19の欠失(Ex19del)又はエクソン21の変異(L858R)が腫瘍組織検体で確認された患者が組み入れられた。
本剤とエルロチニブが併用投与された221例(日本人症例105例を含む)において発現した主な有害事象は、感染症(80.5%)、下痢(70.1%)、高血圧(45.2%)、口内炎(41.6%)、蛋白尿(34.4%)等であった。また、本剤とゲフィチニブが併用投与された82例(日本人症例68例を含む)において発現した主な有害事象は、感染症(67.1%)、下痢(62.2%)、高血圧(45.1%)、口内炎(42.7%)、蛋白尿(40.2%)等であった。[5.9、7.6参照]
〈がん化学療法後に増悪した血清AFP値が400ng/mL以上の切除不能な肝細胞癌〉
17.1.7 国際共同第III相無作為化比較試験(REACH‐2試験)
ソラフェニブに不耐容、又はソラフェニブによる治療中もしくは治療後に増悪した切除不能な肝細胞癌患者のうち、ベースライン時の血清AFP値が400ng/mL以上の患者注6)292例(日本人症例59例を含む)を対象に、best supportive care(BSC)との併用において本剤とプラセボとを比較する無作為化二重盲検プラセボ対照第III相試験を実施した。本剤8mg/kg又はプラセボを2週間に1回投与し、病態の悪化等が認められるまで継続した。主要評価項目である全生存期間において有意な延長を認めた。
注6)局所療法の適応とならない、肝機能の状態がChild‐Pugh分類Aの患者が組み入れられた。
表6)国際共同第III相無作為化比較試験(REACH‐2試験)における成績
→図表を見る(PDF)

図7)全生存期間のKaplan‐Meier曲線(REACH‐2試験)

本剤が投与された197例(日本人症例41例を含む)において発現した主な有害事象は、末梢性浮腫(25.4%)、高血圧(24.9%)、蛋白尿(20.3%)、血小板減少症(14.7%)、頭痛(14.2%)等であった。[5.13参照]

18.1 作用機序
ラムシルマブはヒトVEGFR‐2に対する抗体であり、VEGF‐A、VEGF‐C及びVEGF‐DのVEGFR‐2への結合を阻害することにより、VEGFR‐2の活性化を阻害する。ラムシルマブは、VEGFR‐2の活性化阻害により、内皮細胞の増殖、遊走及び生存を阻害し、腫瘍血管新生を阻害すると考えられる。
18.2 抗腫瘍効果
胃癌患者由来の癌組織片、ヒト胃癌由来MKN‐45細胞株、結腸・直腸癌由来HT‐29、HCT‐8、HCT‐116及びColo205細胞株、非小細胞肺癌由来HCC827、NCI‐H441、NCI‐H460、NCI‐H292、NCI‐H2122及びNCI‐H1975細胞株並びに肝細胞癌由来HuH‐7細胞株を皮下移植したヌードマウスにおいて、DC101(マウスVEGFR‐2に対する抗体)は腫瘍増殖抑制作用を示した。

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