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ステボロニン点滴静注バッグ9000mg/300mL

販売名
ステボロニン点滴静注バッグ9000mg/300mL
薬価
9,000mg300mL1袋 444215.00円
製造メーカー
ステラファーマ

添付文書情報2023年11月改定(第4版)

商品情報

薬効分類名
その他の抗悪性腫瘍用剤
一般名
ボロファラン(10B)注射液
警告
本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法及び放射線治療に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
禁忌
2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 腫瘍が頸動脈を全周性に取り囲んでいる患者[頸動脈出血を起こすおそれがある]〔11.1.6参照〕。
効能・効果
切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部癌。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 化学放射線療法等の標準的な治療が可能な場合にはこれらの治療を優先すること。
5.2. 本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。
5.3. 「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
用法・用量
通常、成人にはボロファラン(10B)として、1時間あたり200mg/kgの速度で2時間点滴静注する。その後、病巣部位への中性子線の照射を開始し、照射中は1時間あたり100mg/kgの速度でボロファラン(10B)を点滴静注する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
7.2. 本剤とともに癌を標的として使用することを目的として承認されたホウ素中性子捕捉療法用中性子照射装置を使用し、中性子を照射すること。
生殖能を有する者
結晶尿があらわれることがあるため、投与終了後は必要に応じて輸液を行う等、排尿を促すこと〔11.1.5参照〕。
9.1.1. 頸動脈への腫瘍浸潤が認められる患者:頸動脈出血を起こすおそれがある〔11.1.6参照〕。
9.1.2. フェニルケトン尿症の患者:製剤中にフェニルアラニンを含むため、症状が悪化するおそれがある。
9.1.3. 心不全のある患者:血液量の増加により心臓に負荷がかかり、心不全が悪化するおそれがある。
9.1.4. 遺伝性果糖不耐症の患者:本剤の添加剤D-ソルビトールが体内で代謝されて生成した果糖が正常に代謝されないため、低血糖、肝不全、腎不全等が誘発されるおそれがある。
本剤は主に腎臓から排泄される(腎機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない)〔16.5参照〕。
9.4.1. 妊娠可能な女性:妊娠可能な女性に対しては、治療終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること〔9.5妊婦の項参照〕。
9.4.2. パートナーが妊娠する可能性のある男性:パートナーが妊娠する可能性のある男性に対しては、治療終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること〔15.2.2参照〕。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 嚥下障害(頻度不明):粘膜炎症等を伴う嚥下障害があらわれることがある。
11.1.2. 脳膿瘍(4.8%)。
11.1.3. 重度の皮膚障害(4.8%):放射線皮膚損傷(4.8%)等の重度皮膚障害があらわれることがある。
11.1.4. 白内障(9.5%)。
11.1.5. 結晶尿(頻度不明):結晶尿があらわれ、血尿(9.5%)等を来すことがある〔8.重要な基本的注意の項参照〕。
11.1.6. 頸動脈出血(頻度不明)〔2.2、9.1.1参照〕。
11.1.7. 咽頭・喉頭浮腫(頻度不明):咽頭浮腫・喉頭浮腫があらわれ、気道狭窄や気道閉塞を来すことがある。
11.2. その他の副作用
1). 血液およびリンパ系障害:(5~20%未満)リンパ球数減少、フィブリンDダイマー増加、白血球数増加、(5%未満)鉄欠乏性貧血、リンパ球減少症、血中フィブリノゲン増加。
2). 耳および迷路障害:(5~20%未満)耳痛、(5%未満)回転性めまい、聴力低下。
3). 眼障害:(5%未満)眼乾燥、眼痛、眼瞼浮腫、涙器障害。
4). 胃腸障害:(20%以上)アミラーゼ増加(85.7%)、悪心(81.0%)、口内炎(61.9%)、嘔吐(47.6%)、(5~20%未満)腹部不快感、便秘、唾液腺痛、(5%未満)下痢、嚥下痛、顎下腺腫大。
5). 一般・全身障害および投与部位の状態:(20%以上)倦怠感(42.9%)、口渇(42.9%)、(5~20%未満)発熱、(5%未満)顔面浮腫、顔面痛、腫脹、潰瘍。
6). 感染症および寄生虫症:(20%以上)耳下腺炎(66.7%)、結膜炎(33.3%)、唾液腺炎(33.3%)、(5~20%未満)蜂巣炎、外耳蜂巣炎、外耳炎、中耳炎、(5%未満)膀胱炎、口腔カンジダ症。
7). 傷害、中毒および処置合併症:(5%未満)放射線脱毛症。
8). 代謝および栄養障害:(20%以上)食欲減退(66.7%)。
9). 筋骨格系および結合組織障害:(5~20%未満)頚部痛、顎痛、開口障害。
10). 神経系障害:(20%以上)味覚異常(71.4%)、(5~20%未満)顔面不全麻痺、(5%未満)頭痛、嗅覚錯誤。
11). 精神障害:(5%未満)不眠症。
12). 腎および尿路障害:(5%未満)排尿困難。
13). 呼吸器、胸郭および縦隔障害:(5~20%未満)咽頭炎症、鼻出血、口腔咽頭痛、(5%未満)しゃっくり、鼻閉、鼻炎症。
14). 皮膚および皮下組織障害:(20%以上)脱毛症(90.5%)、(5~20%未満)顔面腫脹、(5%未満)皮膚炎、薬疹、紅斑。
15). 内分泌障害:(20%以上)血中プロラクチン異常(28.6%)、血中プロラクチン増加(28.6%)。
16). その他:(頻度不明)照射部位の壊死。
授乳婦
妊娠又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合のみ投与すること(本剤の動物試験(ラット)において、発育遅延が認められており、本剤を用いたホウ素中性子捕捉療法により胚・胎児発生に悪影響を及ぼすおそれがある)〔9.4.1参照〕。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒトの乳汁中への移行は不明である)。
小児等
小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
取扱い上の注意
14.1. 投与時の注意他剤との混注はしないこと。
製品の品質を保持するために脱酸素剤を封入しており、また、遮光保存する必要があるため、使用直前までピロー包装を開封しないこと。
その他の注意
15.2. 非臨床試験に基づく情報15.2.1. 本剤の動物試験(ラット又はイヌ)で雌雄生殖器変化(黄体肥大、卵胞数減少、腟粘膜上皮粘液変性、子宮内膜増生、精母細胞変性、精巣上体管腔内精子数減少・精巣上体管腔内精子細胞残屑、精嚢萎縮・前立腺萎縮等)及び神経症状(対光反射消失、縮瞳、傾眠、振戦、瞬膜弛緩等)が認められている。
15.2.2. 本剤を用いたホウ素中性子捕捉療法の動物試験(マウス)で染色体異常(小核誘発)が認められている。また、10B存在下で細胞に中性子線を照射した際に遺伝子変異が認められたとの報告がある〔9.4.2参照〕。

16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
切除不能な局所再発頭頸部扁平上皮癌患者及び切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部非扁平上皮癌患者9例に本剤500mg/kgを投与開始後2時間は200mg/kg/時間、その後は100mg/kg/時間で点滴静注したときの本剤の薬物動態パラメータを表16‐1、血漿中濃度推移を添付文書の図16‐1に示す。また、全血中ホウ素濃度推移を表16‐2に示す。
表16‐1 薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)

図16‐1 血漿中ボロファラン(10B)濃度の推移

表16‐2 全血中ホウ素濃度の推移
→図表を見る(PDF)

16.3 分布
ヒト血漿タンパク結合率は、10~1,000μg/mLの濃度において、0~21.8%であった(in vitro)。
16.4 代謝
本剤は、主としてフェニルアラニントランスアミナーゼによりフェニルピルビン酸体やフェニル乳酸体に代謝され、一部がフェニルアラニンヒドロキシラーゼによりチロシンに代謝されることが推定される。
16.5 排泄
切除不能な局所再発頭頸部扁平上皮癌患者及び切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部非扁平上皮癌患者9例に本剤500mg/kgを投与したとき、投与72時間後までの尿中において、主に未変化体、フェニルピルビン酸体及びフェニル乳酸体が認められた(投与量に対する割合は、それぞれ50.4、6.49及び4.66%)。

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第II相臨床試験(JHN002試験)
(1)化学放射線療法又は放射線療法後の切除不能な局所再発頭頸部扁平上皮癌患者又は(2)切除不能な頭頸部非扁平上皮癌患者注1)21例を対象に、本剤500mg/kgを投与開始後2時間は200mg/kg/時間、その後は100mg/kg/時間で点滴静注した。また、本剤の投与開始2時間後から、口腔、咽頭又は喉頭粘膜線量として12Gy‐Eqの中性子線を最大60分間単回照射した。主要評価項目である中央判定(RESIST v.1.1)による奏効率(完全奏効と部分奏効を合計した割合)は、71.4%(90%信頼区間:51.3~86.8%)であった。
注1:次の患者は除外された。
・病変部位に対する放射線療法の最終照射日から90日未満の患者。
・病変部位に総線量75Gy以上の放射線照射を受けた患者。
・照射軸上の皮膚表面から1.0~5.0cmの範囲に粘膜が含まれない患者。
表17‐1 JHN002試験の有効性に関する成績
→図表を見る(PDF)

本剤が投与されホウ素中性子捕捉療法が行われた21例において、21例(100%)に副作用が認められた。主な副作用は、脱毛症90.5%(19/21例)、アミラーゼ増加85.7%(18/21例)、悪心81.0%(17/21例)、味覚異常71.4%(15/21例)、耳下腺炎及び食欲減退66.7%(14/21例)、口内炎61.9%(13/21例)であった。

18.1 作用機序
ボロファラン(10B)は、フェニルアラニン誘導体である4‐ボロノ‐L‐フェニルアラニンに含まれるホウ素中の10Bの存在比を高めた薬剤である。体外より中性子線を照射することで腫瘍細胞に取り込まれた10Bが中性子を捕捉し、核反応により生成されたアルファ線及びリチウム原子核を放出することにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。

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