ダルビアス点滴静注用135mg
添付文書情報2022年08月改定(第2版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 警告
- 本剤の投与は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される患者のみに行うこと。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。
- 効能・効果
- 再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 本剤投与の適応となる疾患の診断は、病理診断に十分な経験を持つ医師又は施設により行うこと。
5.2. 臨床試験に組み入れられた患者の病理組織型等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと〔17.1.1参照〕。
- 用法・用量
- 通常、成人にはダリナパルシンとして1日1回300mg/㎡(体表面積)を1時間かけて5日間点滴静注した後、16日間休薬する。この21日間を1サイクルとして投与を繰り返す。なお、患者の状態により適宜減量する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
7.2. 本剤の投与により、副作用が発現した場合には、次の基準を参考に、本剤を休薬、減量又は中止すること。
[副作用発現時の休薬、減量又は中止の目安]
1). *Grade1のせん妄、*Grade1の錯乱等の*Grade1の精神障害、*Grade1の中枢神経障害又は*Grade2のせん妄、*Grade2の錯乱等の*Grade2の精神障害、*Grade2の中枢神経障害:症状が回復するまで休薬し、回復後は同量で投与を再開することができる。
2). *Grade3副作用<悪心・嘔吐・下痢・臨床意義なし無症候検査値異常除く>:Grade1又は開始前のGradeに回復するまで休薬し、回復後は200mg/㎡に減量して投与を再開することができる(200mg/㎡に減量後に再発した場合には、投与を中止する)。
3). *Grade3の悪心・*Grade3の嘔吐、*Grade3の下痢:対症療法で症状が改善しない場合には、回復するまで休薬し、回復後は200mg/㎡に減量して投与を再開することができる(200mg/㎡に減量後に再発した場合には、投与を中止する)。
4). *Grade4の副作用<臨床的意義のない無症候性の検査値異常を除く>:投与を中止する。
*:GradeはNCI-CTCAE v4.0による。
- 生殖能を有する者
- 8.1. 骨髄抑制があらわれることがあるので、本剤投与前及び投与中は定期的に血液検査を行い、患者の状態を十分に観察すること〔11.1.1参照〕。
8.2. せん妄、錯乱等の精神障害があらわれることがあるので、症状について患者等に説明をし、異常が認められた場合には医師等に連絡するように指導すること〔11.1.3参照〕。
8.3. QT間隔延長があらわれることがあるため、本剤投与開始前及び本剤投与中は定期的に心電図検査及び電解質検査(カリウム、マグネシウム等)を行い、患者の状態を十分に観察すること(また、必要に応じて電解質補正を行うこと)〔9.1.1、10.2、11.1.5参照〕。
9.1.1. QT間隔延長のおそれ又はその既往歴のある患者:QT間隔延長が起こるおそれがある〔8.3、11.1.5参照〕。
本剤は主に腎臓から排泄されるため、血中濃度が上昇する可能性がある(なお、腎機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない)。
9.4.1. 妊娠可能な女性:妊娠可能な女性に対しては、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること〔9.5妊婦の項参照〕。
9.4.2. パートナーが妊娠する可能性のある男性:パートナーが妊娠する可能性のある男性に対しては、本剤投与中及び投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること〔15.2.1参照〕。
9.4.3. 生殖可能な男性に投与する場合には、造精機能低下があらわれる可能性があることを考慮すること(動物実験(マウス、ラット、イヌ)において、精巣精細管変性・精巣精細管萎縮、伸長精子細胞変性、精巣上体中精子数減少等が報告されている)。
- 相互作用
- 10.2. 併用注意:QT間隔延長を起こすことが知られている薬剤(クラリスロマイシン、モキシフロキサシン、ベプリジル等)〔8.3、11.1.5参照〕[QT間隔延長を増強するおそれがあるため、患者の状態を十分に観察すること(本剤及びこれらの薬剤はいずれもQT間隔を延長させるおそれがあり、併用によりQT間隔延長作用が増強するおそれがある)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 骨髄抑制:貧血(12.3%)、好中球減少(12.3%)、血小板減少(12.3%)、白血球減少(4.6%)、リンパ球減少(4.6%)、発熱性好中球減少症(1.5%)等があらわれることがある〔8.1参照〕。
11.1.2. 感染症:肺炎(1.5%)、敗血症性ショック(1.5%)、帯状疱疹(1.5%)等があらわれることがある。
11.1.3. 精神障害:せん妄(9.2%)、錯乱(3.1%)、幻覚(3.1%)、不眠症(3.1%)、不安(1.5%)、失見当識(1.5%)等があらわれることがある〔8.2参照〕。
11.1.4. 中枢神経障害:傾眠(3.1%)、浮動性めまい(3.1%)、脳梗塞(1.5%)、回転性めまい(1.5%)、認知障害(1.5%)等があらわれることがある。
11.1.5. QT間隔延長(3.1%)〔8.3、9.1.1、10.2参照〕。
- 11.2. その他の副作用
1). 神経系障害:(5%以上)味覚障害、末梢性感覚ニューロパチー、(5%未満)感覚鈍麻、末梢性ニューロパチー、頭痛。
2). 心臓:(5%未満)心筋炎、心電図PR延長。
3). 血管系:(5%未満)血管痛。
4). 耳:(5%未満)聴力低下。
5). 消化器:(5%以上)嘔吐、(5%未満)便秘、悪心、下痢、口内炎、腹痛、消化不良、口腔障害。
6). 皮膚:(5%未満)発疹、脱毛症、ざ瘡様皮膚炎、斑状丘疹状皮疹、爪線状隆起。
7). 泌尿器:(5%未満)血中クレアチニン増加。
8). 代謝:(5%以上)食欲減退、(5%未満)高カリウム血症、低カリウム血症、脱水、低マグネシウム血症、低ナトリウム血症。
9). 肝臓:(5%以上)AST増加、ALT増加、(5%未満)肝障害、γ-GTP増加。
10). 全身:(5%以上)疲労(倦怠感)、発熱、(5%未満)異常感、歩行障害、低体温、末梢性浮腫。
11). その他:(5%未満)注入に伴う反応、血中ALP増加、LDH増加、CRP増加。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと(動物実験(ウサギ)において、胚致死及び生存胎仔数減少が認められた)。また、ヒトへのヒ素の過剰な長期摂取により、自然流産及び死産のリスク増加等の生殖発生に対する有害性を示す可能性が報告されている〔2.2、9.4.1参照〕。
本剤投与中及び投与終了後一定期間は授乳を避けさせること(本剤のヒト乳汁中への移行は確認していないが、無機ヒ素において乳汁への移行が報告されている。また、ヒ素化合物が混入したミルクを摂取した乳児において死亡例や皮膚症状の発生が報告されている)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 調製時には、防護具(眼鏡、手袋、マスク等)を着用すること。薬液が皮膚に付着した場合は直ちに石鹸及び流水で洗い流し、また、粘膜に付着した場合は直ちに流水で洗い流すこと。
14.1.2. 本剤1バイアルに注射用水1.8mLを注入後、澄明で均一になるまでバイアルを振り混ぜ、75mg/mLの溶解液を調製する。
14.1.3. 溶解液調製後は速やかに希釈液を調製すること(なお、溶解後やむを得ず保存する場合は、室温では6時間以内、2~8℃では24時間以内に希釈すること)。
14.1.4. 必要な投与量を含有する溶解液をバイアルから抜き取り、生理食塩液250mLに加えて混和し、希釈液を調製する。
14.1.5. 希釈液調製後は速やかに投与すること(なお、希釈後やむを得ず保存する場合は室温で保存し、24時間以内に投与すること)。
14.1.6. 他の注射剤<注射用水・生理食塩液を除く>と配合又は混注しないこと。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 投与前に溶液を目視により確認すること(異物又は変色が確認された場合は使用しないこと)。
14.2.2. 中心静脈から投与することが望ましい。末梢静脈から投与する場合には、血管外への薬液の漏出に注意して慎重に投与すること。末梢静脈からの投与により投与部位異常が発現することがある。
20.1. 外箱開封後は遮光して保存すること。
20.2. 使用後の残液及び薬液に触れた器具等は適用法令等に従って廃棄すること。
- その他の注意
- 15.2. 非臨床試験に基づく情報15.2.1. 遺伝毒性試験において、細菌を用いた復帰突然変異試験の結果で変異原性が認められた〔9.4.2参照〕。
15.2.2. イヌを用いた反復投与毒性試験において、投与直後に過剰興奮、不快感、跳躍、転倒、異常運動、虚脱、嗜眠、嘔吐・嘔気、線維束性収縮等のヒ素曝露の急性症状に類似した一般状態異常が認められた。
16.1 血中濃度
16.1.1 反復投与
日本人の再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫患者18例に本剤300mg/m2を約1時間かけて5日間静脈内投与したときの血漿中ヒ素濃度推移及び薬物動態パラメータは次のとおりであった。なお、血漿中ヒ素濃度は、本剤投与後のヒ素を含有する化合物の総濃度を表している。
血漿中ヒ素濃度推移(平均値±標準偏差、N=18)
5日間静脈内投与したときのDay1及びDay5の血漿中ヒ素の薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
16.3 分布
ダリナパルシン(ヒ素濃度:0.5~10μg/mL)添加時のヒト血漿タンパク結合率は78.3~82.9%であり、ダリナパルシン(ヒ素濃度:1~10μg/mL)添加時のヒト血液/血漿中濃度比は5.53~7.00であった。なお、ダリナパルシンは血漿中で不安定なため、複数のヒ素含有化合物が含まれた値である。ジメチルアルシン酸(ヒ素濃度:0.1~10μg/mL)はヒト血漿タンパクに結合しなかった(in vitro)。
16.4 代謝
日本人を含む再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫患者に本剤300mg/m2を5日間静脈内投与したとき、Day5の投与1~4時間後の血漿中での主成分はジメチルアルシン酸であった(試料中総ヒ素に対する割合は91.8%)。ダリナパルシンからジメチルアルシン酸への変換は主に非酵素的な分解であることが示唆された(in vitro)。
16.5 排泄
日本人を含む再発又は難治性の末梢性T細胞リンパ腫患者に本剤300mg/m2を5日間静脈内投与したとき、Day5の投与24時間後までの尿中ヒ素排泄率は67.7%であり、尿中での主成分はジメチルアルシン酸であった(試料中総ヒ素に対する割合は99%超)。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 その他
ジメチルアルシン酸はCYP2B6、CYP2C8及びCYP3A4を誘導した(in vitro)。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国際共同第II相試験(SP‐02L02試験)
再発又は難治性のPTCL患者注)65例(日本人37例を含む)を対象に、本剤300mg/m2を5日間静脈内投与した後に16日間休薬する21日間を1サイクルとして投与を繰り返した。有効性評価対象57例における奏効率は、19.3%(11/57例)(90%信頼区間:11.2~29.9%)であった。病理組織型別の奏効率は次表のとおりであった。
注)対象とされた病理組織型は、末梢性T細胞リンパ腫・非特定型(PTCL‐NOS)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫(AITL)、未分化大細胞リンパ腫・ALK陽性型及び未分化大細胞リンパ腫・ALK陰性型(ALK陰性ALCL)
→図表を見る(PDF)
安全性評価対象65例中45例(69.2%)に副作用が認められた。主な副作用は、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加(16.9%)、発熱(15.4%)、アラニンアミノトランスフェラーゼ増加(15.4%)、倦怠感(13.8%)、貧血(12.3%)、食欲減退(10.8%)、血小板数減少(10.8%)、せん妄(9.2%)、好中球減少症(6.2%)、味覚不全(6.2%)、嘔吐(6.2%)、疲労(6.2%)、好中球数減少(6.2%)及び末梢性感覚ニューロパチー(6.2%)であった。[5.2参照]
18.1 作用機序
ダリナパルシンは、生体内における無機ヒ素化合物の代謝過程で生じる中間代謝物の一つであり、グルタチオン抱合体構造を有する有機ヒ素化合物である。ダリナパルシンは、ミトコンドリアの機能障害(膜電位の低下等)、細胞内活性酸素種の産生促進等を引き起こすことにより、アポトーシス及び細胞周期停止を誘導し、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。
- 製造販売会社
- ソレイジア・ファーマ
- 販売会社
- 日本化薬
おくすりのQ&A
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