ビロイ点滴静注用100mg
添付文書情報2024年06月改定(第2版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 警告
- 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の使用が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に本剤の有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
- 禁忌
- 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- CLDN18.2陽性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. *CLDN18.2陽性の定義について「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、CLDN18.2陽性が確認された患者に投与すること(検査にあたっては、承認された体外診断用医薬品又は医療機器を用いること)。なお、承認された体外診断用医薬品又は医療機器に関する情報については、次のウェブサイトから入手可能である。https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/cd/0001.html〔17.1.1、17.1.2参照〕。
*)胃癌組織においてCLDN18陽性が確認された場合には、CLDN18.2陽性と判断できる。
5.2. HER2陰性の患者に投与すること。
5.3. 本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。
- 用法・用量
- 他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはゾルベツキシマブ(遺伝子組換え)として、初回は800mg/㎡(体表面積)を、2回目以降は600mg/㎡(体表面積)を3週間間隔又は400mg/㎡(体表面積)を2週間間隔で2時間以上かけて点滴静注する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 本剤の投与速度は次を参考とし、患者の忍容性が良好な場合には投与開始から30~60分後以降は徐々に投与速度を上げることができる。
1). 用量800mg/㎡:(投与速度)投与開始から30~60分後まで100mg/㎡/時、その後200~400mg/㎡/時。
2). 用量600mg/㎡:(投与速度)投与開始から30~60分後まで75mg/㎡/時、その後150~300mg/㎡/時。
3). 用量400mg/㎡:(投与速度)投与開始から30~60分後まで50mg/㎡/時、その後100~200mg/㎡/時。
7.2. 併用する他の抗悪性腫瘍剤は「17.臨床成績」の項の内容を熟知し選択すること〔17.1.1、17.1.2参照〕。
7.3. 本剤投与により副作用が発現した場合には、次を参考に、本剤の中断・中止等を考慮すること〔11.1.1-11.1.3参照〕。
[副作用発現時における本剤の中断・中止等の目安]
1). 過敏症又はinfusion reaction:
①. Grade2の過敏症又はGrade2のinfusion reaction:Grade1以下に回復するまで投与を中断し、回復後、減速して投与を再開できる(次回の投与時は、予防薬の前投与を行い、本剤の推奨投与速度に従って投与を行う)。
②. アナフィラキシー、アナフィラキシーが疑われる場合、Grade3以上の過敏症又はGrade3以上のinfusion reaction:投与を中止する。
2). Grade2以上の悪心:Grade1以下に回復するまで投与を中断し、回復後、減速して投与を再開できる(次回の投与時は、予防薬の前投与を行い、本剤の推奨投与速度に従って投与を行う)。
3). 嘔吐:
①. Grade2の嘔吐又はGrade3の嘔吐:Grade1以下に回復するまで投与を中断し、回復後、減速して投与を再開できる(次回の投与時は、予防薬の前投与を行い、本剤の推奨投与速度に従って投与を行う)。
②. Grade4の嘔吐:投与を中止する。
GradeはNCI-CTCAE ver.5.0に準じる。
- 特定の背景を有する患者に関する注意
- 悪心、嘔吐が高頻度にあらわれるので、本剤投与前に制吐剤の予防投与を検討すること〔11.1.3参照〕。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 過敏症(16.9%):アナフィラキシーを含む過敏症があらわれることがある〔7.3参照〕。
11.1.2. Infusion reaction(44.3%)〔7.3参照〕。
11.1.3. 重度悪心・重度嘔吐(15.9%*):本剤投与中(特に投与開始後最初の1サイクル)は観察を十分に行い、異常が認められた場合には、補液等の適切な処置を行うこと〔7.3、8.重要な基本的注意の項参照〕。
*)NCI-CTCAE ver.4.03のGrade3以上の副作用。
- 11.2. その他の副作用
1). 血液及びリンパ系障害:(10%以上)好中球減少症、貧血、血小板減少症、白血球減少症。
2). 代謝及び栄養障害:(10%以上)食欲減退、(5~10%未満)低アルブミン血症、(5%未満)低カリウム血症、低カルシウム血症、低マグネシウム血症、低ナトリウム血症、低リン血症。
3). 精神障害:(5%未満)不眠症。
4). 神経系障害:(5%未満)味覚不全、浮動性めまい、末梢性感覚ニューロパチー、頭痛、錯感覚、末梢性ニューロパチー、感覚鈍麻。
5). 心臓障害:(5%未満)頻脈。
6). 血管障害:(5~10%未満)高血圧、(5%未満)低血圧。
7). 呼吸器、胸郭及び縦隔障害:(5%未満)咳嗽、呼吸困難、しゃっくり。
8). 胃腸障害:(10%以上)悪心(64.9%)、嘔吐(59.1%)、下痢、(5~10%未満)腹痛、便秘、上腹部痛、(5%未満)消化不良、流涎過多、口内乾燥、腹部膨満、胃食道逆流性疾患、上部消化管出血、腹部不快感、レッチング。
9). 皮膚及び皮下組織障害:(5%未満)脱毛症、多汗症、手掌・足底発赤知覚不全症候群。
10). 筋骨格系及び結合組織障害:(5%未満)背部痛。
11). 一般・全身障害及び投与部位の状態:(10%以上)疲労、無力症、(5~10%未満)倦怠感、発熱、(5%未満)末梢性浮腫、悪寒、胸部不快感、非心臓性胸痛。
12). 臨床検査:(10%以上)アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ増加、(5~10%未満)アラニンアミノトランスフェラーゼ増加、体重減少、(5%未満)血中ビリルビン増加、血中アルカリホスファターゼ増加、リンパ球数減少、血中クレアチニン増加、γ-グルタミルトランスフェラーゼ増加。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(ヒトIgGは胎盤を通過することが知られており、動物試験(マウス)において、胎仔の血清中に本剤が認められている)。
授乳しないことが望ましい(本剤のヒト乳汁中への移行は検討されていないが、ヒトIgGは母乳中に移行することが報告されており、乳児が乳汁を介して本剤を摂取した場合、乳児に重篤な副作用が発現するおそれがある)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 溶解(1). 日本薬局方注射用水5.0mLにより溶解し、ゾルベツキシマブ(遺伝子組換え)を20mg/mLの濃度とする。
(2). 溶解する時は本剤のバイアルの内壁に沿ってゆっくりと無菌的に注入し、振らずに緩徐に撹拌し、完全に溶解すること。溶解後のバイアルは、気泡がなくなるまで静置すること(直射日光にあてないこと)。
(3). 溶解後の液は、無色~わずかに黄色の澄明又はわずかに乳白光を呈する(目視により確認し、粒子状物質や変色が認められた場合には、使用せず廃棄すること)。
(4). 溶解後速やかに希釈しない場合は、室温保存で5時間を超えないこと。
14.1.2. 希釈(1). 必要量をバイアルから抜き取り、希釈後の濃度が2.0mg/mLとなるように日本薬局方生理食塩液の輸液バッグ等に加え、溶液が泡立たないよう輸液バッグ等を静かに転倒混和すること(直射日光にあてないこと)。
(2). 希釈後の液を目視により確認し、粒子状物質が認められた場合には、使用しないこと。
(3). 希釈後の液は速やかに使用し、室温で希釈後6時間以内に投与を完了すること(なお、やむを得ず希釈した液を保存する場合は、2~8℃で保存し、希釈後24時間以内に使用し、残液は廃棄すること)。
14.2. 薬剤投与時の注意同一の点滴ラインを使用して他の薬剤<日本薬局方注射用水・日本薬局方生理食塩液を除く>との同時投与は行わないこと。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報臨床試験において、本剤に対する抗体産生が報告されている。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
日本人のCLDN18.2陽性の進行胃癌患者に、本剤800mg/m2(体表面積)又は1000mg/m2(体表面積)を3週間間隔で静脈内投与注)したときの初回投与後(サイクル1)の血清中濃度推移及び薬物動態パラメータは次のとおりであった。
図 本剤初回投与後の血清中濃度推移(800mg/m2:15例、1000mg/m2:3例)
表 本剤初回投与後の薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
16.1.2 反復投与
日本人のCLDN18.2陽性の進行胃癌患者に、本剤を初回は800mg/m2(体表面積)を、2回目以降は600mg/m2(体表面積)を3週間間隔(800/600mg/m2 Q3W)で静脈内投与したときの血清中濃度推移及び薬物動態パラメータは次のとおりであった。
図 3週間間隔で静脈内投与したときの血清中濃度推移(サイクル1:15例、サイクル3:10例)
表 3週間間隔で静脈内投与したときの薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
16.1.3 母集団薬物動態解析
国内外の臨床試験8試験で得られた714例のデータを用いて母集団薬物動態解析を実施した。推定されたクリアランスと消失半減期はそれぞれ0.0150L/h及び43.6日であった。
この解析に含まれた日本人患者73例について、本剤を初回は800mg/m2(体表面積)を、2回目以降は600mg/m2(体表面積)を3週間間隔(800/600mg/m2 Q3W)又は400mg/m2(体表面積)を2週間間隔(800/400mg/m2 Q2W)で静脈内投与したときの母集団薬物動態パラメータ(推定値)は、次の表のとおりであった。
表 本剤投与時の母集団薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
16.8 その他
本剤の有効性及び安全性に対する曝露-反応解析の結果、本剤を初回は800mg/m2(体表面積)を、2回目以降は600mg/m2(体表面積)を3週間間隔又は400mg/m2(体表面積)を2週間間隔で静脈内投与した際の有効性及び安全性に明確な差異はないと予測された。
注)本剤の承認された用法及び用量は「他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人にはゾルベツキシマブ(遺伝子組換え)として、初回は800mg/m2(体表面積)を、2回目以降は600mg/m2(体表面積)を3週間間隔又は400mg/m2(体表面積)を2週間間隔で2時間以上かけて点滴静注する。」である。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国際共同第III相試験(SPOTLIGHT試験)
化学療法歴のないCLDN18.2陽性注1)かつHER2陰性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌(食道胃接合部腺癌を含む)患者565例(日本人65例を含む)を対象に、FOLFOX注2)併用下で本剤注3)とプラセボの有効性及び安全性を比較することを目的とした無作為化二重盲検比較試験を実施した。
主要評価項目である独立評価委員会判定による無増悪生存期間の中央値[95%信頼区間]は、本剤群で10.6[8.90~12.5]カ月、プラセボ群で8.67[8.21~10.3]カ月であり、本剤群はプラセボ群に対し統計的に有意な延長を示した(ハザード比[95%信頼区間]:0.751[0.598~0.942]、p=0.0066、層別ログランク検定(片側))。また、主要評価項目に続き、階層的な検定手順により仮説検定が実施された副次評価項目である全生存期間の中央値[95%信頼区間]は、本剤群で18.2[16.4~22.9]カ月、プラセボ群で15.5[13.5~16.5]カ月であり、本剤群はプラセボ群に対し統計的に有意な延長を示した(ハザード比[95%信頼区間]:0.750[0.601~0.936]、p=0.0053、層別ログランク検定(片側))。
本剤群279例(日本人31例を含む)において、副作用が255例(91.4%)に認められた。主な副作用は、悪心192例(68.8%)、嘔吐161例(57.7%)、食欲減退68例(24.4%)、好中球減少症54例(19.4%)、下痢51例(18.3%)、疲労49例(17.6%)、好中球数減少43例(15.4%)であった。[5.1、7.2参照]
図 無増悪生存期間のKaplan‐Meier曲線
図 全生存期間のKaplan‐Meier曲線
17.1.2 国際共同第III相試験(GLOW試験)
化学療法歴のないCLDN18.2陽性注1)かつHER2陰性の治癒切除不能な進行・再発の胃癌(食道胃接合部腺癌を含む)患者507例(日本人51例を含む)を対象に、CAPOX注4)併用下で本剤注3)とプラセボの有効性及び安全性を比較することを目的とした無作為化二重盲検比較試験を実施した。
主要評価項目である独立評価委員会判定による無増悪生存期間の中央値[95%信頼区間]は、本剤群で8.21[7.46~8.84]カ月、プラセボ群で6.80[6.14~8.08]カ月であり、本剤群はプラセボ群に対し統計的に有意な延長を示した(ハザード比[95%信頼区間]:0.687[0.544~0.866]、p=0.0007、層別ログランク検定(片側))。また、主要評価項目に続き、階層的な検定手順により仮説検定が実施された副次評価項目である全生存期間の中央値[95%信頼区間]は、本剤群で14.4[12.3~16.5]カ月、プラセボ群で12.2[10.3~13.7]カ月であり、本剤群はプラセボ群に対し統計的に有意な延長を示した(ハザード比[95%信頼区間]:0.771[0.615~0.965]、p=0.0118、層別ログランク検定(片側))。
本剤群254例(日本人24例を含む)において、副作用が231例(90.9%)に認められた。主な副作用は、悪心154例(60.6%)、嘔吐154例(60.6%)、食欲減退73例(28.7%)、好中球数減少41例(16.1%)、下痢40例(15.7%)、貧血40例(15.7%)であった。[5.1、7.2参照]
図 無増悪生存期間のKaplan‐Meier曲線
図 全生存期間のKaplan‐Meier曲線
注1)75%以上の腫瘍細胞において、細胞膜がCLDN18の免疫組織化学染色で中程度~強度の染色を示す。
注2)2週間を1サイクルとして、第1日目にオキサリプラチン85mg/m2及びホリナート400mg/m2又はレボホリナート200mg/m2を静脈内投与し、フルオロウラシル400mg/m2を急速静脈内投与後、フルオロウラシル2400mg/m2を持続静脈内投与した(オキサリプラチンは最大12サイクル投与)。本剤との併用投与時は、本剤の投与終了後に化学療法の投与を開始した。
注3)初回は本剤800mg/m2(体表面積)を、2回目以降は本剤600mg/m2(体表面積)を3週間間隔で点滴静注した。
注4)3週間を1サイクルとして、第1日目にオキサリプラチン130mg/m2を静脈内投与し、第1~14日目にカペシタビン1000mg/m2を1日2回経口投与した(オキサリプラチンは最大8サイクル投与)。本剤との併用投与時は、本剤の投与終了後に化学療法の投与を開始した。
18.1 作用機序
ゾルベツキシマブは、ヒトCLDN18.2に対する抗体であり、胃癌細胞等の細胞膜上に発現するCLDN18.2に結合し、抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性及び補体依存性細胞傷害(CDC)活性により、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。
18.2 抗腫瘍作用
ゾルベツキシマブは、ヒト胃癌由来NUGC‐4細胞株を皮下移植したヌードマウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した。
- 製造販売会社
- アステラス製薬
- 販売会社
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