フェスゴ配合皮下注 IN

添付文書情報2023年11月改定(第2版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 警告
- 1.1. 本剤を含むがん化学療法は、緊急時に十分対応できる医療施設において、がん化学療法に十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤が適切と判断される症例についてのみ実施すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
1.2. 心不全等の重篤な心機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前には必ず患者の心機能を確認し、また、本剤投与中は適宜心機能検査(心エコー等)を行い、患者の状態(左室駆出率(LVEF)の変動を含む)を十分に観察すること。特に次の患者については、心機能検査(心エコー等)を頻回に行うこと〔8.1、9.1.1、9.1.2、11.1.1参照〕[1)左室駆出率<LVEF>が低下している患者、2)アントラサイクリン系薬剤投与中の患者又はアントラサイクリン系薬剤投与歴のある患者、3)胸部への放射線治療中の患者又は胸部への放射線治療歴のある患者、4)うっ血性心不全若しくは治療を要する重篤な不整脈<心房細動・発作性上室性頻脈を除く>のある患者又はその既往歴のある患者、5)冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症等)の患者又はその既往歴のある患者、6)臨床上重大な心臓弁膜症のある患者、7)高血圧症の患者又はその既往歴のある患者]。
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。
- 効能・効果
- 1). HER2陽性乳癌。
2). がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸癌・がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の直腸癌。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 〈HER2陽性乳癌〉HER2陽性の検査は、十分な経験を有する病理医又は検査施設において実施すること。
5.2. 〈HER2陽性の乳癌〉HER2陽性の早期乳癌の術後患者のうち再発リスクの低い患者(HER2陽性の早期乳癌の術後患者のうちリンパ節転移のない患者)における本剤の有効性及び安全性は確立していないことから、再発リスクが高い患者を対象とすること〔17.1.3参照〕。
5.3. 〈がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、HER2陽性が確認された患者に投与すること(検査にあたっては、承認された体外診断用医薬品又は医療機器を用いること)。なお、承認された体外診断用医薬品又は医療機器に関する情報については、次のウェブサイトから入手可能である。
https://www.pmda.go.jp/review-services/drug-reviews/review-information/cd/0001.html。
5.4. 〈がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉RAS遺伝子変異陽性の患者に対する本剤の有効性及び安全性は確立していない。
5.5. 〈がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤・オキサリプラチン・イリノテカン治療歴なしの患者における本剤の有効性及び安全性は確立していない。
5.6. 〈がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉本剤の術後補助療法における有効性及び安全性は確立していない。
5.7. 〈がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉臨床試験に組み入れられた患者の前治療歴等について、「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、本剤以外の治療の実施についても慎重に検討し、適応患者の選択を行うこと〔17.1.6参照〕。
- 用法・用量
- 〈HER2陽性の乳癌〉
他の抗悪性腫瘍剤との併用において、通常、成人に対して1日1回、ペルツズマブ(遺伝子組換え)、トラスツズマブ(遺伝子組換え)及びボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)として初回投与時にはそれぞれ1200mg、600mg及び30000Uを、2回目以降はそれぞれ600mg、600mg及び20000Uを、初回投与時には8分以上、2回目以降は5分以上かけて3週間間隔で皮下投与する。ただし、HER2陽性乳癌で術前・術後薬物療法の場合には、投与期間は12カ月までとする。
〈がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉
通常、成人に対して1日1回、ペルツズマブ(遺伝子組換え)、トラスツズマブ(遺伝子組換え)及びボルヒアルロニダーゼ アルファ(遺伝子組換え)として初回投与時にはそれぞれ1200mg、600mg及び30000Uを、2回目以降はそれぞれ600mg、600mg及び20000Uを、初回投与時には8分以上、2回目以降は5分以上かけて3週間間隔で皮下投与する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 〈効能共通〉何らかの理由により予定された投与が遅れた場合には、次のとおり投与することが望ましい。
7.1.1. 〈効能共通〉前回投与日から6週間未満のときには、維持投与量(ペルツズマブ600mg/トラスツズマブ600mg/ボルヒアルロニダーゼ アルファ20000U)を投与する。
7.1.2. 〈効能共通〉前回投与日から6週間以上のときには、改めて初回投与量(ペルツズマブ1200mg/トラスツズマブ600mg/ボルヒアルロニダーゼアルファ30000U)を投与し次回以降は維持投与量(ペルツズマブ600mg/トラスツズマブ600mg/ボルヒアルロニダーゼアルファ20000U)を3週間間隔投与する。
7.2. 〈HER2陽性乳癌〉本剤と併用する抗悪性腫瘍剤は「17.臨床成績」の項を熟知した上で選択すること〔17.1.1-17.1.5参照〕。
7.3. 〈がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
- 生殖能を有する者
- 8.1. 心機能障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前には必ず患者の心機能を確認し、また、本剤投与中は、心症状の発現状況・重篤度に応じて、適宜心機能検査(心エコー等)を行い、患者の状態(左室駆出率(LVEF)の変動を含む)を十分に観察し、休薬、投与再開、中止を判断すること〔1.2、9.1.1、9.1.2、11.1.1参照〕。
8.2. 骨髄抑制があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行うなど観察を十分に行うこと〔11.1.4参照〕。
8.3. 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること〔11.1.6参照〕。
9.1.1. 重篤な心機能障害のある患者:治療上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと〔1.2、8.1、11.1.1参照〕。
9.1.2. 次のような心機能低下するおそれのある患者:心不全等の心機能障害があらわれるおそれがある〔1.2、8.1、11.1.1参照〕[1)左室駆出率<LVEF>が低下している患者、2)アントラサイクリン系薬剤投与歴のある患者、3)胸部への放射線治療中の患者又は胸部への放射線治療歴のある患者、4)うっ血性心不全若しくは治療を要する重篤な不整脈<心房細動・発作性上室性頻脈を除く>のある患者又はその既往歴のある患者、5)冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症等)の患者又はその既往歴のある患者、6)臨床上重大な心臓弁膜症のある患者、7)高血圧症の患者又はその既往歴のある患者]。
妊娠する可能性のある女性:妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後7カ月間において、避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること〔9.5妊婦の項参照〕。
- 相互作用
- 10.2. 併用注意:アントラサイクリン系薬剤[心不全等の心機能障害があらわれるおそれがある(心機能障害のリスクを増強させるおそれがある)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 心機能障害(3.6%):心不全、左室機能不全等があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与継続を検討し、適切な処置を行うこと(ただし、症状が重篤な場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと)〔1.2、8.1、9.1.1、9.1.2参照〕。
11.1.2. Infusion reaction(4.0%):本剤投与中又は投与開始後24時間以内に発熱、悪寒、頭痛等を含むInfusion reactionがあらわれることがあるので、本剤投与中に異常が認められた場合には、本剤の投与速度を遅らせる、又は投与を中断し、適切な処置を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること。症状が重篤なInfusion reactionの場合には、本剤の投与を直ちに中止し、以降、本剤を再投与しないこと。
11.1.3. 過敏症(0.8%)、アナフィラキシー(頻度不明)。
11.1.4. 骨髄抑制:好中球減少症(6.1%)、貧血(4.4%)、白血球減少症(3.2%)、発熱性好中球減少症(0.4%)等があらわれることがある〔8.2参照〕。
11.1.5. 間質性肺疾患(0.8%)。
11.1.6. 腫瘍崩壊症候群(頻度不明):異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること〔8.3参照〕。
11.1.7. 肝不全(頻度不明)、肝障害(0.4%)。
11.1.8. 腎障害(頻度不明)。
11.1.9. 昏睡(頻度不明)、脳血管障害(頻度不明)、脳浮腫(頻度不明)。
11.1.10. 敗血症(0.4%)。
- 11.2. その他の副作用
1). 精神神経系:(2%~5%未満)末梢性ニューロパチー、錯感覚、味覚異常、不眠症、(2%未満)頭痛、めまい、不安、うつ病、嗜眠、神経毒性、(頻度不明)運動失調、筋緊張亢進、感覚鈍麻、しびれ(しびれ感)、不全麻痺、傾眠、思考異常、振戦。
2). 眼:(2%未満)結膜炎、流涙増加、視力障害、眼乾燥、(頻度不明)霧視、視力低下。
3). 消化器:(5%以上)下痢(30.7%)、(2%~5%未満)口内炎、悪心、食欲減退、腹痛、便秘、(2%未満)嘔吐、消化不良、口内乾燥、(頻度不明)腹部膨満、肛門直腸障害、口唇炎、嚥下障害、腸炎、鼓腸、胃炎、胃食道逆流性疾患、胃腸炎、口腔内潰瘍形成、肛門出血。
4). 循環器:(2%未満)ほてり、血腫、頻脈、動悸、潮紅、高血圧、(頻度不明)低血圧、静脈炎、血管拡張。
5). 呼吸器:(2%~5%未満)呼吸困難、鼻出血、(2%未満)上気道感染、咳嗽、鼻漏、鼻乾燥、胸水、鼻部不快感、口腔咽頭痛、(頻度不明)喘息、気管支炎、発声障害、鼻潰瘍、咽喉頭疼痛、副鼻腔炎。
6). 皮膚:(5%以上)発疹、(2%~5%未満)爪障害、皮膚乾燥、手掌・足底発赤知覚不全症候群、脱毛症、(2%未満)爪感染、皮膚炎、紅斑、ざ瘡、皮膚そう痒症、皮膚亀裂、(頻度不明)発汗、皮膚色素過剰、蕁麻疹。
7). 筋骨格系:(2%~5%未満)筋肉痛、筋骨格痛、関節痛、(2%未満)筋骨格硬直、(頻度不明)筋痙縮、筋力低下、頚部痛。
8). 肝臓:(2%~5%未満)ALT増加、AST増加、(2%未満)γ-GTP増加。
9). 腎臓:(頻度不明)排尿困難。
10). 血液:(2%未満)リンパ球減少、血小板減少、(頻度不明)プロトロンビン減少。
11). 代謝:(2%未満)高クロール血症、LDH増加、高カルシウム血症、高トリグリセリド血症、低カリウム血症、(頻度不明)低マグネシウム血症。
12). その他:(5%以上)注射部位反応(14.1%)、疲労、(2%~5%未満)無力症、粘膜炎症、浮腫、(2%未満)倦怠感、発熱、体重減少、蜂巣炎、悪寒、丹毒、インフルエンザ様疾患、粘膜乾燥、疼痛、(頻度不明)乳房痛、胸部不快感、胸痛、膀胱炎、難聴、脱水、冷感、熱感、体液貯留、ヘルペスウイルス感染、帯状疱疹、インフルエンザ、月経障害、尿路感染、体重増加、カンジダ感染、感染症。
- 高齢者
- 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(高齢者では一般に生理機能が低下している)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。ペルツズマブでは、動物試験(サル)にて、流産、胚死亡・胎仔死亡、羊水過少、胎仔腎形成不全等が認められており、また、胎児の血清中にペルツズマブが検出されている。また、トラスツズマブを投与した妊婦に羊水過少が起きたとの報告があり、羊水過少を発現した症例で、胎児腎不全・新生児腎不全、胎児発育遅延、新生児呼吸窮迫症候群、胎児肺形成不全等が認められ死亡に至った例も報告されている〔2.2、9.4生殖能を有する者の項参照〕。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(本剤の有効成分の乳汁への移行性については不明であるが、ヒトIgGは母乳中に移行することが報告されており、また、トラスツズマブでは、動物試験(サル)にて、乳汁への移行(25mg/kg反復投与)が報告されている)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤投与時の注意14.1.1. 大腿部に皮下投与する(注射部位反応が報告されているので、同一箇所へ繰り返し注射することは避け、新たな注射部位は前回の注射部位から少なくとも2.5cm離す)。
14.1.2. 皮膚が敏感な部位、皮膚に異常のある部位<傷・発疹・発赤・硬結等>には注射しないこと。
14.1.3. 本剤は1回で全量使用する製剤であり、再使用しないこと。
外箱開封後は遮光して保存すること。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報国際共同第3相試験(FeDeriCa試験)の本剤群では、抗ペルツズマブ抗体は、231例中11例(4.8%)、抗トラスツズマブ抗体は232例中2例(0.9%)、抗ボルヒアルロニダーゼ アルファ抗体は225例中2例(0.9%)に認められた。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
健康成人男性にボルヒアルロニダーゼ アルファ注1)を含むペルツズマブ1200mg注2)及びトラスツズマブ600mg注2)を、それぞれ単独で又は混合調製して単回皮下投与注3)した時の薬物動態は次のとおりであった。(外国人データ)
注1)ボルヒアルロニダーゼ アルファ濃度:2000U/mL
注2)本剤とは異なる製剤を使用
注3)承認された用法及び用量は、初回にペルツズマブ1200mg、トラスツズマブ600mg、ボルヒアルロニダーゼ アルファ30000U、2回目(3週)以降はペルツズマブ600mg、トラスツズマブ600mg、ボルヒアルロニダーゼ アルファ20000Uを3週間間隔投与である。
図 ペルツズマブ単回皮下投与時濃度推移
図 トラスツズマブ単回皮下投与時濃度推移
表 ペルツズマブ及びトラスツズマブ単回皮下投与時薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
16.1.2 反復投与
HER2陽性の早期乳癌患者に初回投与時はペルツズマブ1200mg、トラスツズマブ600mg及びボルヒアルロニダーゼ アルファ30000Uを皮下投与し、2回目以降はペルツズマブ600mg、トラスツズマブ600mg及びボルヒアルロニダーゼ アルファ20000Uを3週間間隔で皮下投与した際の薬物動態は次のとおりであった。(日本人及び外国人データ)
表 ペルツズマブ及びトラスツズマブ反復皮下投与時濃度推移
→図表を見る(PDF)
17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈HER2陽性の乳癌〉
17.1.1 国際共同第III相試験(FeDeriCa試験)
HER2陽性(IHC法3+又はISH法陽性)の周術期の乳癌患者注1)500例(国内41例を含む)を対象に、ペルツズマブ点滴静注製剤+トラスツズマブ点滴静注製剤(P+T IV)と化学療法注2)併用治療を対照群として、本剤を3週間間隔で化学療法注2)と併用投与した。術後薬物療法期には、本剤を3週間間隔で14回投与し合計18回となるように大腿に皮下投与又はP+T IVを3週間間隔で14回投与し合計18回となるように静脈内投与した。本剤は、ペルツズマブ、トラスツズマブ及びボルヒアルロニダーゼ アルファとして、初回はそれぞれ1200mg、600mg及び30000U、2回目以降はそれぞれ600mg、600mg及び20000Uを投与した。ホルモン受容体陽性(エストロゲン受容体又はプロゲステロン受容体が陽性)の患者では、術後薬物療法期に標準的な内分泌療法を併用することとされた。主要評価項目であるサイクル8投与前のペルツズマブ血清中トラフ濃度の幾何平均値の比は1.22(90%信頼区間:1.14、1.31)、副次評価項目であるサイクル8投与前のトラスツズマブ血清中トラフ濃度の幾何平均値の比は1.33(90%信頼区間;1.24、1.43)であり、共に信頼区間の下限が非劣性マージンである0.8を上回り、本剤群の対照群に対する非劣性が示された。副次評価項目であるサイクル8の術前薬物療法後のpCR率は対照群で59.5%、本剤群で59.7%であり、pCR率の差は0.15%(90%信頼区間:-7.28、7.59)であった。[7.2参照]
本剤が投与された248例(日本人20例を含む)において、副作用が164例(66.1%)に認められた。主な副作用は、下痢76例(30.6%)、注射部位反応32例(12.9%)、疲労14例(5.6%)等であった。
注1)術前薬物療法施行前の時点において、TNM分類(AJCC第8版)による臨床病期II~IIICの患者が対象とされた。
注2)術前薬物療法期において、次の2つのいずれかを選択することとした。
1つは2週間を1サイクルとして、dose‐dense AC療法(ドキソルビシン60mg/m2、シクロホスファミド600mg/m2[各地域のガイドラインに従い、必要に応じて顆粒球コロニー刺激因子(G‐CSF)支持療法を追加])を4サイクル投与した後、パクリタキセル80mg/m2注3)併用下で本剤を3週間間隔で皮下投与、又はP+T IVを3週間間隔で静脈内投与した。パクリタキセルは1週間間隔で12週間投与した。
もう1つは3週間を1サイクルとして、AC療法(ドキソルビシン60mg/m2、シクロホスファミド600mg/m2)を4サイクル投与した後、ドセタキセル75mg/m2注4)併用下で本剤を3週間間隔で皮下投与、又はP+T IVを3週間間隔で静脈内投与した。ドセタキセルは3週間を1サイクルとして4サイクル投与した。
注3)国内において承認されている用量は210mg/m2(A法、少なくとも3週間休薬)又は100mg/m2(B法、週1回投与を6週連続し、少なくとも2週間休薬)である。
注4)初回投与における忍容性が確認できれば100mg/m2に増量可能。国内において承認されているドセタキセルの乳癌における用量は60mg/m2(ただし、75mg/m2まで増量可能)である。
17.1.2 国際共同第III相試験(CLEOPATRA試験)(参考):点滴静注製剤
転移・再発乳癌に対する前治療歴のないHER2陽性(IHC法3+又はFISH法陽性)転移・再発乳癌患者808例(国内53例を含む)を対象に、プラセボ+トラスツズマブ点滴静注製剤+ドセタキセル(プラセボ+T+D群)とペルツズマブ点滴静注製剤+トラスツズマブ点滴静注製剤+ドセタキセル(P+T+D群)を比較する第III相二重盲検無作為化比較試験を実施した。プラセボ又はペルツズマブは初回投与量840mg、2回目以降、維持投与量420mgを3週間間隔で、トラスツズマブは初回投与量8mg/kg(体重)、2回目以降、維持投与量6mg/kgを3週間間隔で投与した。有害事象又はその他の理由によるドセタキセル中止後はペルツズマブ及びトラスツズマブは同一の用法及び用量で病勢進行まで投与継続した。ドセタキセルは75mg/m2を3週間間隔で投与した注4)。ペルツズマブ及びトラスツズマブの投与が予定された投与から遅れた場合、前回投与日から6週間未満のときには維持投与量を投与し、6週間以上のときには改めて初回投与量を投与し、次回以降は維持投与量を3週間間隔で投与した。主要評価項目である独立判定機関による無増悪生存期間において、プラセボ+T+D群に比べてP+T+D群で有意な延長が認められた。[7.2参照]
また、安全性についてはドセタキセル、トラスツズマブ及びペルツズマブが併用投与された407例(日本人26例を含む)において、副作用が396例(97.3%)に認められた。主な副作用は、下痢236例(58.0%)、脱毛症232例(57.0%)、倦怠感212例(52.1%)、好中球減少症207例(50.9%)、悪心149例(36.6%)、爪の異常145例(35.6%)、ニューロパチー126例(31.0%)、発疹125例(30.7%)等であった。
独立判定機関評価による無増悪生存期間のKaplan‐Meier曲線
全生存期間のKaplan‐Meier曲線
日本人部分集団における独立判定機関評価による無増悪生存期間のKaplan‐Meier曲線
日本人部分集団における全生存期間のKaplan‐Meier曲線
17.1.3 国際共同第III相試験(APHINITY試験)(参考):点滴静注製剤
HER2陽性(IHC法3+又はFISH/CISH法陽性)の早期乳癌の術後患者(①TNM分類でT0を除くリンパ節転移を有する患者、②原発巣の腫瘍径が1cm超でリンパ節転移を有しない患者、及び③(i)組織学的/核グレードがGrade3、(ii)HR陰性、(iii)35歳未満のうち、少なくとも1つを満たす原発巣の腫瘍径が0.5cm超で1cm以下のリンパ節転移を有しない患者)4804例(国内302例を含む)を対象に、術後薬物療法としてプラセボ+トラスツズマブ点滴静注製剤+化学療法注5)(プラセボ群)とペルツズマブ点滴静注製剤+トラスツズマブ点滴静注製剤+化学療法注5)(ペルツズマブ群)を比較する第III相二重盲検無作為化比較試験を実施した。プラセボ又はペルツズマブは初回投与量840mg、2回目以降、維持投与量420mgを3週間間隔で、トラスツズマブは初回投与量8mg/kg(体重)、2回目以降、維持投与量6mg/kgを3週間間隔で投与した。ペルツズマブ及びトラスツズマブの投与が予定された投与から遅れた場合、前回投与日から6週間未満のときには維持投与量を投与し、6週間以上のときには改めて初回投与量を投与し、次回以降は維持投与量を3週間間隔で投与した。ペルツズマブ及びトラスツズマブは1年間投与した。主要評価項目である乳癌以外の続発性原発癌をイベントとして含まない浸潤性疾患のない生存期間(IDFS)において、プラセボ群に比べてペルツズマブ群で有意な延長が認められた。リンパ節転移陽性及び陰性の部分集団におけるハザード比の推定値は、それぞれ0.77(95%信頼区間:0.62、0.96)及び1.13(95%信頼区間:0.68、1.86)であった。[5.2、7.2参照]
また、安全性については、ペルツズマブ及びトラスツズマブが投与された2364例(日本人147例を含む)において、副作用が1538例(65.1%)に認められた。主な副作用は、下痢780例(33.0%)、発疹346例(14.6%)、疲労280例(11.8%)、悪心206例(8.7%)、筋骨格痛166例(7.0%)、爪の障害165例(7.0%)、好中球減少症157例(6.6%)、口内炎141例(6.0%)等であった。
注5)アントラサイクリン系薬剤を含む場合は、3週間を1サイクルとして、FEC療法(5‐FU500~600mg/m2、エピルビシン90~120mg/m2注6)、シクロホスファミド500~600mg/m2)、FAC療法(5‐FU500~600mg/m2、ドキソルビシン50mg/m2、シクロホスファミド500~600mg/m2)、EC療法(エピルビシン90~120mg/m2注6))、シクロホスファミド500~600mg/m2)又はAC療法(ドキソルビシン60mg/m2、シクロホスファミド500~600mg/m2)のいずれかを3~4サイクル投与した後、ペルツズマブ(又はプラセボ)+タキサン系薬剤(ドセタキセル75mg/m2注4)又はパクリタキセル80mg/m2注3))+トラスツズマブを逐次投与した。ドセタキセルは3週間を1サイクルとして3~4サイクル投与した。パクリタキセルは1週間間隔で12週間投与した注3)。アントラサイクリン系薬剤を含まない場合は、3週間を1サイクルとして、ペルツズマブ(又はプラセボ)+トラスツズマブ+ドセタキセル75mg/m2注4)+カルボプラチンAUC6mg・min/mL相当量(最大900mg/bodyまで注7))を6サイクル同時併用投与した。
注6)国内において承認されている用量は100mg/m2である。
注7)国内において承認されている用量は300~400mg/m2である。
APHINITY試験の有効性に関する成績
→図表を見る(PDF)
17.1.4 海外第II相試験(NEOSPHERE試験)(参考):点滴静注製剤
HER2陽性(IHC法3+又はIHC法2+かつFISH/CISH法陽性)の早期乳癌の術前患者(原発巣の腫瘍径が2cm超で遠隔転移を有しない患者)417例を対象に、術前薬物療法としてトラスツズマブ点滴静注製剤+ドセタキセル(T+D群)、ペルツズマブ点滴静注製剤+トラスツズマブ点滴静注製剤+ドセタキセル(P+T+D群)、ペルツズマブ点滴静注製剤+トラスツズマブ点滴静注製剤(P+T群)注10)、ペルツズマブ点滴静注製剤+ドセタキセル(P+D群)注10)を比較する第II相非盲検無作為化4群比較試験を実施した。ペルツズマブは初回投与量840mg、2回目以降、維持投与量420mgを3週間間隔で、トラスツズマブは初回投与量8mg/kg(体重)、2回目以降、維持投与量6mg/kgを3週間間隔で投与した。ドセタキセルは75mg/m2注4)を3週間間隔で投与した。いずれの薬剤も3週間を1サイクルとして、術前薬物療法として4サイクル投与した。トラスツズマブは術前薬物療法と術後薬物療法を合わせて1年間投与した。主要評価項目である病理学的完全奏効(pCR)率において、T+D群に比べてP+T+D群で有意に高かった。[7.2参照]
また、安全性については、術前薬物療法期間の副作用はT+D群で104/107例(97.2%)、P+T+D群で102/107例(95.3%)であった。主な副作用は、脱毛症(T+D群:65.4%、P+T+D群:63.6%、以下同順)、好中球減少症(62.6%、50.5%)、下痢(26.2%、43.0%)、悪心(31.8%、34.6%)、疲労(26.2%、18.7%)等であった。術後薬物療法期間の副作用はT+D群で90/103例(87.4%)、P+T+D群で85/102例(83.3%)であった。主な副作用は、悪心(T+D群:42.7%、P+T+D群:45.1%、以下同順)、好中球減少症(39.8%、37.3%)等であった。
注10)ペルツズマブ点滴静注製剤の承認された用法及び用量は、トラスツズマブ(遺伝子組換え)と他の抗悪性腫瘍剤との併用投与である。
NEOSPHERE試験の有効性に関する成績
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17.1.5 海外第II相試験(TRYPHAENA試験)(参考):点滴静注製剤
HER2陽性(IHC法3+又はIHC法2+かつFISH/CISH法陽性)の早期乳癌の術前患者(原発巣の腫瘍径が2cm超で遠隔転移を有しない患者)225例を対象に、術前薬物療法としてペルツズマブ点滴静注製剤+トラスツズマブ点滴静注製剤+化学療法注12)を比較する第II相非盲検無作為化3群(A群、B群、C群)比較試験を実施した。ペルツズマブは初回投与量840mg、2回目以降、維持投与量420mgを3週間間隔で、トラスツズマブは初回投与量8mg/kg(体重)、2回目以降、維持投与量6mg/kgを3週間間隔で投与した。トラスツズマブは術前薬物療法と術後薬物療法を合わせて1年間投与した。主要評価項目である術前薬物療法における忍容性に問題は認められなかった。副次評価項目であるpCR率は、A群が61.6%、B群が57.3%、C群が66.2%であった。[7.2参照]
また、安全性については、術前薬物療法期間の副作用はA群72/72例(100.0%)、B群71/75例(94.7%)、C群76/76例(100.0%)であった。主な副作用は、下痢(A群:61.1%、B群:57.3%、C群:67.1%、以下同順)、脱毛症(48.6%、52.0%、53.9%)、悪心(52.8%、52.0%、44.7%)、好中球減少症(51.4%、46.7%、48.7%)、嘔吐(40.3%、33.3%、38.2%)、疲労(33.3%、33.3%、38.2%)、貧血(18.1%、8.0%、35.5%)、血小板減少症(6.9%、1.3%、30.3%)等であった。術後薬物療法期間の副作用はA群30/68例(44.1%)、B群30/65例(46.2%)及びC群21/67例(31.3%)であった。主な副作用は、関節痛(A群:5.9%、B群:3.1%、C群:4.5%、以下同順)、下痢(7.4%、3.1%、4.5%)等であった。
注12)A群:3週間を1サイクルとして、ペルツズマブ+トラスツズマブ+FEC療法(5‐FU500mg/m2、エピルビシン100mg/m2、シクロホスファミド600mg/m2)を3サイクル投与した後、ペルツズマブ+トラスツズマブ+ドセタキセル75mg/m2注4)を3サイクル投与した。
B群:3週間を1サイクルとして、FEC療法を3サイクル投与した後、ペルツズマブ+トラスツズマブ+ドセタキセル75mg/m2注4)を3サイクル投与した。
C群:3週間を1サイクルとして、ペルツズマブ+トラスツズマブ+ドセタキセル75mg/m2注4)+カルボプラチンAUC6mg・min/mL相当量を6サイクル投与した。
〈がん化学療法後に増悪したHER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌〉
17.1.6 国内第II相試験(TRIUMPH試験)(参考):点滴静注製剤
化学療法歴のある注13)HER2陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌患者注14)30例を対象に、ペルツズマブ点滴静注製剤とトラスツズマブ点滴静注製剤を併用で投与した。ペルツズマブは初回840mg、2回目以降420mg、トラスツズマブは初回8mg/kg(体重)、2回目以降6mg/kgを3週間間隔で投与し、疾患進行又は治験中止基準に該当するまで継続した。主要評価項目であるRECIST ver.1.1に基づく治験担当医師判定による奏効率[95%信頼区間]は、腫瘍組織を用いた検査でHER2陽性の患者集団では29.6%[13.8、50.2](8/27例)、血液検体を用いた検査でHER2陽性の患者集団では28.0%[12.1、49.4](7/25例)であった。副作用は24/30例(80.0%)に発現した。主な副作用は、注入に伴う反応14例(46.7%)、下痢11例(36.7%)、口内炎4例(13.3%)、倦怠感3例(10.0%)等であった。[5.7参照]
注13)フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍剤、オキサリプラチン、イリノテカン塩酸塩水和物及び抗上皮増殖因子受容体(EGFR)抗体医薬品(セツキシマブ又はパニツムマブ)に不応又は不耐の患者が組み入れられた。
注14)腫瘍組織検体においてRAS遺伝子野生型であることが確認されており、かつ腫瘍組織又は血液検体を用いた検査により次のいずれかを満たす患者が対象とされた。なお、腫瘍組織を用いた検査結果に基づき組み入れられた27例全例がFISH法陽性であり、うち、IHC法3+及び2+はそれぞれ23例及び4例であった。
腫瘍組織を用いた検査:HER2についてIHC法3+又はFISH法陽性
血液検体を用いた検査:次世代シークエンサー法でHER2遺伝子増幅(遺伝子コピー数が2.4以上)かつRAS遺伝子野生型(cell‐free DNAにおいて、検出された最も頻度の高い遺伝子変異に対するRAS遺伝子変異の割合が30%以下)
18.1 作用機序
本剤は、ペルツズマブ、トラスツズマブ及びボルヒアルロニダーゼ アルファを含有する配合剤である。ペルツズマブは、HER2の細胞外領域のドメインIIに結合し、HER2の二量体形成を阻害し、下流のシグナル伝達経路の活性化を阻害することに加え、抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)活性を誘導することにより、腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。トラスツズマブは、HER2の細胞膜近接部位のドメインIVに結合し、ADCC活性を誘導すること等により腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。ボルヒアルロニダーゼ アルファは、結合組織におけるヒアルロン酸を加水分解する酵素である。
本剤は、ボルヒアルロニダーゼ アルファによりヒアルロン酸が加水分解され、皮下組織における浸透性が増加することで、拡散吸収されたペルツズマブ及びトラスツズマブが腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。
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おくすりのQ&A
自費で接種された、風疹ワクチンが申請により
補助が受けれることになり、母子手帳記載以外に、予診票の控えがいるとのこと
保管中の予診票の控えを渡したら...
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