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ビキセオス配合静注用

販売名
ビキセオス配合静注用
薬価
(144mg)1瓶 877877.00円
製造メーカー
日本新薬

添付文書情報2024年03月改定(第1版)

商品情報

薬効分類名
その他の抗悪性腫瘍用剤
一般名
ダウノルビシン塩酸塩・シタラビン注射用
規制区分
  • 特生
  • 特承
  • 覚原
警告
1.1. 従来のダウノルビシン塩酸塩製剤又はシタラビン製剤の代替として本剤を投与しないこと〔8.1参照〕。
1.2. 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、造血器悪性腫瘍の治療に対して十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤の投与が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、本剤による治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分に説明し、同意を得てから投与を開始すること。
1.3. 重篤な骨髄抑制に起因する感染、出血が起こることがあり、ときに致命的経過をたどることがあるので、定期的に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること〔8.2-8.4、9.1.1-9.1.3、11.1.1-11.1.3参照〕。
1.4. ダウノルビシン塩酸塩が有する心筋障害に注意すること(定期的に心機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察し、治療を開始又は継続することの有益性が危険性を上回る場合にのみ使用すること)〔8.5、8.6、9.1.4、10.2、11.1.4参照〕。
禁忌
2.1. 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 心機能異常又はその既往歴のある患者[心筋障害があらわれることがある]。
効能・効果
高リスク急性骨髄性白血病。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 本剤の投与対象となる高リスク急性骨髄性白血病の定義について、各種診療ガイドライン等で示されている高リスクや予後不良因子の定義と必ずしも一致はしていないため「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、適応患者の選択を行うこと〔17.1.1、17.1.2参照〕。
5.2. 強力な寛解導入療法の適応とならない急性骨髄性白血病患者における本剤の有効性及び安全性は確立していない。
用法・用量
(1). 寛解導入療法
通常、寛解導入療法として、本剤100ユニット(ダウノルビシン/シタラビンとして44mg/100mg)/㎡(体表面積)を1日1回、90分かけて、最大2サイクルまで投与する。
1サイクル目として本剤を1、3、5日目に点滴静注する。1サイクル目に寛解に到達しなかった患者で、本剤への忍容性が良好な場合、1サイクル目の投与開始から2~5週間後に、2サイクル目として本剤を1、3日目に点滴静注する。
(2). 地固め療法
通常、地固め療法として、本剤65ユニット(ダウノルビシン/シタラビンとして29mg/65mg)/㎡(体表面積)を1日1回、90分かけて、最大2サイクルまで投与する。
最後の寛解導入療法開始から5~8週間後に、1サイクル目として本剤を1、3日目に点滴静注する。1サイクル目の投与開始後に病態が進行していない患者で、本剤への忍容性が良好な場合、1サイクル目の地固め療法開始から5~8週間後に、2サイクル目として本剤を1、3日目に点滴静注する。
本剤の用量単位である1ユニットには、ダウノルビシン0.44mg及びシタラビン1mgが含まれる。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 地固め療法については、寛解に到達した患者に対し、好中球数>500/μLかつ血小板数>50000/μLに回復した後に開始する。
7.2. 他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
生殖能を有する者
8.1. 本剤はダウノルビシンとシタラビンをリポソームに封入した製剤であることから、本剤の有効性、安全性、薬物動態等は従来のダウノルビシン塩酸塩製剤又はシタラビン製剤と異なる。本剤を従来のダウノルビシン塩酸塩製剤又はシタラビン製剤の代替として使用しないこと。また、本剤を従来のダウノルビシン塩酸塩製剤又はシタラビン製剤と同様の用法・用量で投与しないこと〔1.1参照〕。
8.2. 骨髄抑制(発熱性好中球減少症等)、ネフローゼ症候群等が起こることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に臨床検査(血液検査、腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。また、骨髄抑制は遷延性に推移することがあるため、投与終了後も血球が回復するまで検査を継続すること〔1.3、8.3、8.4、9.1.1-9.1.3、11.1.1-11.1.3、11.1.12参照〕。
8.3. 感染症が発現又は感染症増悪することがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること〔1.3、8.2、9.1.2、11.1.2参照〕。
8.4. 出血が発現又は出血増悪することがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること〔1.3、8.2、9.1.3、11.1.3参照〕。
8.5. 心臓障害があらわれることがあるので、本剤投与開始前及び投与中は定期的に心機能検査(心電図、心エコー等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること〔1.4、9.1.4、11.1.4参照〕。
8.6. ダウノルビシンの総投与量が25mg/kgを超えると、重篤な心筋障害を起こすことがあるので十分に注意すること。ダウノルビシンの総投与量については、他のアントラサイクリン系薬剤や関連化合物による前治療又は併用を考慮すること〔1.4、10.2、11.1.4参照〕。
8.7. 過敏反応が起こることがあるので、本剤投与中は定期的にバイタルサイン(血圧、脈拍数)のモニタリングを行うなど、患者の状態を十分に観察すること〔11.1.5参照〕。
8.8. 腫瘍崩壊症候群があらわれることがあるので、血清中電解質濃度測定及び腎機能検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること〔11.1.11参照〕。
8.9. 痙攣、意識障害等があらわれることがあるので、自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には注意させること〔11.1.9参照〕。
8.10. シタラビンに特有な副作用として眼症状、皮膚症状が知られており、眼症状は結膜炎、眼痛、羞明、眼脂、結膜充血、角膜潰瘍等が発現する(これらの症状は副腎皮質ホルモン点眼剤により予防及び軽減することができる)。皮膚症状は四肢末端発疹、四肢末端発赤、四肢末端紅斑(しばしば高度の痛みを伴う)等が発現する(これらの症状は副腎皮質ホルモン剤により軽減することができる)(シタラビン)〔11.1.10参照〕。
9.1.1. 骨髄抑制のある患者:骨髄抑制を増悪させるおそれがある〔1.3、8.2、11.1.1参照〕。
9.1.2. 感染症を合併している患者:骨髄抑制により、感染症を増悪させるおそれがある〔1.3、8.2、8.3、11.1.2参照〕。
9.1.3. 出血性素因のある患者:骨髄抑制により、出血傾向を増悪させるおそれがある〔1.3、8.2、8.4、11.1.3参照〕。
9.1.4. 心臓障害のある患者:心臓障害を増悪させるおそれがある〔1.4、8.5、11.1.4参照〕。
9.1.5. ウィルソン病又はその他の銅代謝疾患のある患者:治療上の有益性が危険性を上回ると判断された場合にのみ投与すること(投与の際は臨床検査(血液検査、尿検査等)を実施し、急性銅中毒の徴候又は症状があらわれた場合は、本剤の投与を中止すること)本剤は添加剤としてグルコン酸銅(1バイアルあたり銅14mgに相当)を含有する。
腎機能障害患者:副作用が強くあらわれるおそれがある。
肝機能障害患者:副作用が強くあらわれるおそれがある。ビリルビン値が3mg/dLを超える患者は臨床試験では除外されている。
9.4.1. 妊娠する可能性のある女性:妊娠する可能性のある女性には、本剤投与中及び最終投与後6ヵ月間において避妊する必要性及び適切な避妊法について説明すること〔9.5妊婦の項、15.2.2参照〕。
9.4.2. 男性:男性には、本剤投与中及び最終投与後6ヵ月間においてバリア法(コンドーム)を用いて避妊する必要性について説明すること〔15.2.2参照〕。
9.4.3. 小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること〔15.2.3参照〕。
相互作用
10.2. 併用注意:1). 他の抗悪性腫瘍剤、放射線照射[骨髄抑制等の副作用が増強することがあるので、併用療法を行う場合には患者の状態を観察しながら、減量するなど慎重に行うこと(骨髄抑制等の相加・相乗作用による)]。
2). 投与前の心臓部あるいは縦隔への放射線照射、他の潜在的に心筋障害を有する抗悪性腫瘍剤(アントラサイクリン系薬剤等)〔1.4、8.6、11.1.4参照〕[心筋障害が増強されるおそれがある(心筋に対する蓄積毒性が増強される)]。
3). フルシトシン:①. フルシトシン[骨髄抑制の副作用が増強することがあるので、患者の状態を観察しながら、減量するなど慎重に投与すること(骨髄抑制の相加・相乗作用による)]。
②. フルシトシン[シタラビンはフルシトシンの効果を減弱させるとの報告がある(フルシトシンの血中濃度の低下による)]。
4). フルダラビン[骨髄抑制等の副作用が増強するおそれがある(in vivo試験及びin vitro試験において、シタラビンの活性代謝物であるAra-CTPの細胞内濃度の上昇が認められている)]。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 骨髄抑制:発熱性好中球減少症(66.2%)、血小板減少症(24.3%)、貧血(19.8%)、白血球減少症(16.2%)、好中球減少症(13.5%)、リンパ球減少症(9.0%)、播種性血管内凝固(1.8%)、汎血球減少症(0.5%)等があらわれることがある〔1.3、8.2、9.1.1参照〕。
11.1.2. 感染症:肺炎(18.5%)、菌血症(9.5%)、敗血症(9.5%)等があらわれることがある〔1.3、8.2、8.3、9.1.2参照〕。
11.1.3. 出血:胃腸出血(4.5%)、脳出血(0.9%)、中枢神経系出血(0.9%)、肺胞出血(0.9%)、硬膜下血腫(0.5%)等があらわれることがある〔1.3、8.2、8.4、9.1.3参照〕。
11.1.4. 心臓障害:うっ血性心不全(2.3%)、心嚢液貯留(1.4%)、心不全(0.9%)、心筋梗塞(0.9%)、心タンポナーデ(0.5%)、心膜炎(0.5%)等があらわれることがある〔1.4、8.5、8.6、9.1.4、10.2参照〕。
11.1.5. 過敏症:呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫、蕁麻疹等を伴うショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明)があらわれることがあるので、異常が認められた場合は直ちに投与を中止し、血圧の維持、体液の補充管理、気道の確保等の適切な処置を行うこと。
また、発疹(38.3%)、蕁麻疹(頻度不明)等の過敏反応があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、本剤の投与速度を下げる、又は投与を中断し、適切な処置(副腎皮質ホルモン剤、抗ヒスタミン剤の投与等)を行うこと〔8.7参照〕。
11.1.6. 消化管障害:腸閉塞(0.5%)、出血性腸炎(0.5%)、消化管潰瘍(0.5%)等があらわれることがある。
11.1.7. 呼吸障害:呼吸困難(8.1%)、呼吸不全(3.2%)、急性呼吸窮迫症候群(0.9%)等があらわれることがある。
11.1.8. 間質性肺疾患:肺臓炎(0.9%)、肺硬化(0.5%)等があらわれることがある。
11.1.9. 中枢神経系障害:脳梗塞(0.5%)、脳症(白質脳症を含む)(頻度不明)、麻痺(頻度不明)、痙攣(頻度不明)、小脳失調(頻度不明)、意識障害(意識消失を含む)(頻度不明)等があらわれることがある〔8.9参照〕。
11.1.10. シタラビン症候群(0.9%):シタラビン症候群として発熱、筋肉痛、骨痛、ときに斑状丘疹性皮疹、胸痛、結膜炎及び倦怠感があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には副腎皮質ホルモン剤の投与等、適切な処置を行うこと〔8.10参照〕。
11.1.11. 腫瘍崩壊症候群(0.5%):異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置(生理食塩液、高尿酸血症治療剤等の投与、透析等)を行うとともに、症状が回復するまで患者の状態を十分に観察すること〔8.8参照〕。
11.1.12. ネフローゼ症候群(頻度不明)〔8.2参照〕。
11.2. その他の副作用
1). 血液:(1%未満)リンパ節痛、リンパ節症、凝血異常、血小板増加症。
2). 代謝異常:(1~10%未満)低アルブミン血症、低カリウム血症、水分過負荷、低ナトリウム血症、(1%未満)血中銅増加、栄養障害、血液量増加症、高カリウム血症、体液貯留、代謝性アルカローシス、糖尿病。
3). 精神神経系:(10%以上)頭痛、(1~10%未満)浮動性めまい、味覚障害、睡眠障害、不安、失神、錯乱状態、嗜眠、うつ病、(1%未満)錯感覚、体位性めまい、末梢性感覚ニューロパチー、幻覚・幻視、失見当識、譫妄、感覚鈍麻、記憶障害、傾眠、健忘、尺骨神経管症候群、振戦、神経根障害、精神運動亢進、気分変化、激越、精神状態変化、落ち着きのなさ。
4). 内分泌:(1%未満)甲状腺機能異常。
5). 眼:(1~10%未満)ドライアイ、(1%未満)眼窩周囲浮腫、硝子体浮遊物、霧視、ぶどう膜炎、光視症、視力障害。
6). 耳:(1~10%未満)難聴、(1%未満)耳痛、耳鳴。
7). 循環器:(1~10%未満)低血圧、頻脈、高血圧、駆出率減少、心房細動、胸痛、血栓症、左室機能不全、(1%未満)心房粗動、僧帽弁閉鎖不全症、動悸、静脈炎、拡張機能障害、徐脈、心拡大、心筋症、心原性ショック、心室性期外収縮、不整脈、心雑音、心電図QT延長、蒼白、末梢静脈疾患。
8). 呼吸器:(10%以上)鼻出血、(1~10%未満)咳嗽(湿性咳嗽を含む)、低酸素症、口腔咽頭痛、胸水、肺水腫、呼吸音異常、鼻閉、(1%未満)ラ音、胸膜痛、鼻漏、喘鳴、しゃっくり、咽頭潰瘍、気管支痙攣、胸膜炎、口腔咽頭不快感、上気道うっ血、上気道咳症候群、肺腫瘤、鼻乾燥。
9). 消化器:(10%以上)悪心(36.0%)、下痢(24.3%)、食欲減退(20.7%)、便秘、嘔吐、口内炎、(1~10%未満)粘膜炎症、腹痛、消化不良、口腔内潰瘍形成、胃腸炎症、痔核、嚥下障害、口腔内痛、腹部不快感、腹部膨満、口唇障害、(1%未満)胃食道逆流性疾患、血便排泄、口内乾燥、嚥下痛、肛門周囲痛、メレナ、鼓腸、歯周病、歯肉肥厚、痔瘻、心窩部不快感、舌障害、舌苔、腸壁気腫症、吐血、肛門失禁、膵炎。
10). 肝臓:(1~10%未満)肝機能障害、肝機能検査値上昇、(1%未満)黄疸、肝病変。
11). 皮膚:(1~10%未満)皮膚そう痒症、皮膚血性水疱、寝汗、脱毛症、皮膚炎、紅斑、紫斑、湿疹、多汗症、皮膚乾燥、(1%未満)手掌・足底発赤知覚不全症候群、皮膚潰瘍、皮膚剥脱、薬疹、顔面腫脹、急性熱性好中球性皮膚症、皮膚局面、皮膚刺激、褥瘡性潰瘍。
12). 筋骨格系:(1~10%未満)背部痛、四肢痛、関節痛、筋力低下、筋肉痛、頚部痛、(1%未満)関節腫脹、側腹部痛、関節滲出液、筋痙縮、筋骨格系胸痛、四肢腫瘤、(頻度不明)筋骨格痛。
13). 腎臓:(1~10%未満)排尿困難、頻尿、血尿、(1%未満)急性腎障害、失禁、腎不全、尿細管間質性腎炎、水腎症、蛋白尿、尿意切迫、慢性腎臓病。
14). その他:(10%以上)疲労(20.3%)、発熱、浮腫、悪寒、(1~10%未満)倦怠感、無力症、投与部位反応、挫傷、注入に伴う反応、腫脹、体重減少、(1%未満)小結節、多臓器機能不全症候群、体調不良、処置による疼痛、転倒、皮膚擦過傷、脾腫、びくびく感、インフルエンザ様疾患、活動状態低下、口渇、硬結、歩行障害、滲出液、疼痛、口唇損傷、焼痂、頭部損傷、発熱性非溶血性輸血反応、体重増加。
授乳婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないことが望ましい(動物実験(マウス、ラット)においてダウノルビシン塩酸塩及びシタラビンは催奇形作用を示すことが報告されている)〔9.4.1参照〕。
授乳しないことが望ましい(本剤が乳汁に移行する可能性があり、乳児が乳汁を介して本剤を摂取した場合、乳児に重篤な副作用が発現するおそれがある)。
小児等
低出生体重児、新生児又は乳児に対する臨床試験は実施していない。
取扱い上の注意
14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 取扱い時にはゴム手袋、防護メガネ等の着用が望ましい。眼や皮膚に薬液が付着した場合は直ちに多量の水で十分に洗浄し、医師の診断を受けるなど、適切な処置を行うこと。
14.1.2. 溶解方法(1). 体表面積に対するダウノルビシンの投与量に基づいて、必要なバイアル数を決定する。バイアルを冷蔵庫から取り出し、室温で30分間静置する。
(2). 1バイアルに注射用水19mLを無菌的に注入し、30秒ごとにゆっくりと上下反転させながら5分間ゆるやかに渦をまくように回しながら完全に溶解させ、室温で15分間静置する(加熱、撹拌又は激しく振とうしない)。
(3). 溶解液は紫色の不透明な均一分散液である(溶解液に微粒子がないか目視で確認し、微粒子が認められた場合は使用しないこと)。
(4). 溶解後、直ちに希釈すること(やむを得ず保存する場合は、遮光した上で、2~8℃で保存し、溶解後4時間以内に投与を開始できるよう希釈すること)。
14.1.3. 希釈方法(1). 希釈時、溶解液の入ったバイアルを5回ゆっくりと上下反転させ、均一にする。
(2). 次の式を使用して本剤の必要量を計算し、必要量をバイアルから抜き取り、生理食塩液500mL又は5%ブドウ糖注射液500mLの輸液バッグで無菌的に希釈する(輸液バッグの上下を穏やかに反転させ、混和する)。
必要量(mL)=ダウノルビシンの投与量(mg/㎡)×患者の体表面積(㎡)÷2.2(mg/mL)。
(3). 希釈液は、濃紫色の半透明な均一分散液である(希釈液に微粒子がないか目視で確認し、微粒子が認められた場合は使用しないこと)。
(4). 希釈後直ちに投与を開始し、直ちに投与を開始しない場合2~8℃で保存し希釈後4時間以内に投与を開始する(もし溶解液を希釈前に4時間保存した場合希釈後さらに4時間保存することはできず直ちに投与を開始する)。
14.1.4. 本剤のバイアルは1回使い切りであり、残液をその後の投与に使用しないこと。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 点滴ポンプから中心静脈カテーテル又は末梢穿刺中心静脈カテーテルで90分かけて定速で点滴静注すること。また、インラインフィルターは使用しないこと。
14.2.2. 点滴静注に際し、血管外漏出しないよう慎重に投与すること。血管外漏出した場合には注射部位壊死を起こすことがある。血管外漏出が認められた場合は適切な処置を行うこと。
14.2.3. 本剤は他の注射剤<注射用水・ブドウ糖注射液又は生理食塩液以外>、輸液<注射用水・ブドウ糖注射液又は生理食塩液以外>と混合しないこと。他剤と連続注入する場合には、投与前後にラインを生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液で洗浄すること。
外箱開封後は、遮光して保存すること。
その他の注意
15.1. 臨床使用に基づく情報本剤の成分であるダウノルビシン塩酸塩製剤又はシタラビン製剤と他の抗悪性腫瘍剤を併用した患者に、白血病等の二次性悪性腫瘍が発生したとの報告がある。
15.2. 非臨床試験に基づく情報15.2.1. ダウノルビシン塩酸塩をラットに静脈内投与した実験で、乳腺腫瘍、腎腫瘍が、マウスに皮下投与した実験で局所腫瘍が発生したとの報告がある。
15.2.2. ダウノルビシン塩酸塩の細菌を用いた復帰突然変異試験、シタラビンのハムスター胚細胞又はラット由来H43細胞を用いたin vitro形質転換試験で遺伝子突然変異誘発性が報告されている。また、ダウノルビシン塩酸塩のヒトリンパ芽球細胞を用いた染色体異常試験、シタラビンのヒト白血病細胞を用いた染色体異常試験で染色体異常誘発性が報告されている〔9.4.1、9.4.2参照〕。
15.2.3. ダウノルビシン塩酸塩をイヌに静脈内投与した実験で、精巣萎縮と精細管の精母細胞全無形成が報告されている。また、シタラビンをマウスに腹腔内投与した実験で、精子頭部異常及び染色体異常が用量依存的に認められたことが報告されている〔9.4.3参照〕。

16.1 血中濃度
16.1.1 反復投与
日本人未治療高リスク急性骨髄性白血病(AML)患者6例に本剤100ユニット(ダウノルビシン/シタラビンとして44mg/100mg)/m2を1日1回、90分かけて1、3、5日目に点滴静注した場合の1日目及び5日目のダウノルビシン及びシタラビンの血漿中総濃度(リポソーム内濃度+リポソーム外濃度)推移及び薬物動態パラメータを示す。ダウノルビシン及びシタラビンのAUC48hrについて、1日目に対する5日目の蓄積比(平均値)はそれぞれ1.27及び1.43であった。
日本人未治療高リスクAML患者に本剤100ユニット/m2を点滴静注した場合のダウノルビシン及びシタラビンの血漿中総濃度推移(1日目及び5日目、平均値±標準偏差、n=6)

日本人未治療高リスクAML患者に本剤100ユニット/m2を点滴静注した場合のダウノルビシン及びシタラビンの血漿中総濃度に基づく薬物動態パラメータ(1日目及び5日目)
→図表を見る(PDF)

16.3 分布
急性白血病患者13例に本剤100ユニット/m2を1日1回、90分かけて1、3、5日目に点滴静注した場合、1日目の投与0.75~24時間後における血漿中総濃度に対するリポソーム外のダウノルビシン及びシタラビン濃度の割合は、それぞれ0.883~1.86%及び2.20~3.51%であった(外国人データ)。
16.4 代謝
本剤から放出された後、ダウノルビシンはアルド‐ケト還元酵素及びカルボニル還元酵素により、主として活性代謝物のダウノルビシノールに代謝される。シタラビンはシチジンデアミナーゼにより不活性代謝物uracil arabinoside(AraU)に代謝される。
16.5 排泄
急性白血病患者6例に本剤100ユニット/m2を1日1回、90分かけて1、3、5日目に点滴静注した場合の5日目投与後48時間までの尿中排泄率は、ダウノルビシン及びダウノルビシノールで3.19%及び5.80%、シタラビン及びAraUで1.11%及び69.6%であった(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
急性白血病患者で腎機能が正常な患者7例、中等度腎機能障害患者8例及び重度腎機能障害患者6例に、本剤100ユニット/m2を1日1回、90分かけて1、3、5日目に点滴静注し、5日目のダウノルビシン及びシタラビンの血漿中総濃度の薬物動態パラメータを比較した結果、腎機能が正常な患者と中等度及び重度腎障害患者で顕著な差はみられなかった(外国人データ)。
16.6.2 小児等
1~19歳の再発・難治性造血器腫瘍患者18例に本剤100ユニット/m2を1日1回、90分かけて1、3、5日目に点滴静注した場合の5日目のダウノルビシン及びシタラビンの血漿中総濃度の薬物動態パラメータを示す(外国人データ)。
1~19歳の再発・難治性造血器腫瘍患者に本剤100ユニット/m2を点滴静注した場合のダウノルビシン及びシタラビンの血漿中総濃度に基づく薬物動態パラメータ(5日目)
→図表を見る(PDF)

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第I/II相試験(NS87‐P1‐2)
60~75歳の未治療の高リスクAML患者注1)47例(第I相パート6例、第II相パート41例)を対象に非盲検非対照試験を実施した。寛解導入療法の1サイクル目として、1、3、5日目に本剤100ユニット/m2を90分かけて点滴静注し、1サイクル目に寛解に到達しなかった患者で、本剤への忍容性が良好な場合には、寛解導入療法の2サイクル目として1、3日目に本剤100ユニット/m2を90分かけて点滴静注することを可能とした。寛解導入療法により寛解注2)(完全寛解[CR]又は血球数の回復が不完全な完全寛解[CRi])に到達した患者には、地固め療法として、1、3日目に本剤65ユニット/m2を90分かけて点滴静注した(最大2サイクル)。
第II相パート(有効性解析対象35例)における主要評価項目である治験担当医師判定による寛解導入療法中の寛解(CR+CRi)率(90%信頼区間)は、60.0%(44.7、74.0)(21/35例)であった。
注1)高リスクAML患者の定義は、WHO分類(2008年版又は2017年版)におけるAMLのうち次のいずれかに該当する患者とする。
・治療関連AML
・骨髄異形成症候群(MDS)の既往があるAML(次の①~③のいずれかに該当する患者)
①過去にMDSと診断されたことがある患者
②1系統以上に10%以上の異形成、又は10%以上の巨核球系異形成がある患者
③いずれの系統でも異形成が10%未満であるが、MDSに特徴的なクローナルな細胞遺伝学的異常を有する患者
・骨髄異形成関連変化を伴うAML(AML‐MRC)と診断できる細胞遺伝学的異常を有するAML
・慢性骨髄単球性白血病(CMML)の既往があるAML
注2)CR:骨髄芽球<5%、アウエル(Auer)小体陽性芽球なし、髄外白血病なし、好中球数≧1000/μL、血小板数≧10×10の4乗/μL、赤血球輸血非依存
CRi:骨髄芽球<5%、Auer小体陽性芽球なし、髄外白血病なし、好中球数<1000/μL又は血小板数<10×10の4乗/μL、赤血球輸血非依存
副作用発現頻度は100%(47/47例)であった。主な副作用は、発熱性好中球減少症78.7%(37/47例)、血小板減少症59.6%(28/47例)、貧血53.2%(25/47例)、白血球減少症、好中球減少症、発熱、口内炎が各31.9%(15/47例)であった。[5.1参照]
17.1.2 海外第III相試験(CLTR0310‐301)
60~75歳の未治療の高リスクAML患者注1)を対象に、本剤の有効性と安全性をシタラビンとダウノルビシンの併用療法(7+3療法)注3)と比較するランダム化比較試験を実施した。本剤の用法・用量は、NS87‐P1‐2試験と同一であった。153例が本剤群に、156例が7+3療法群に割り付けられた。
主要評価項目である全生存期間(OS)について、死亡例が236例に達した段階でのOS中央値は、本剤群9.56ヵ月、7+3療法群5.95ヵ月であった。ハザード比(95%信頼区間)は0.69(0.52、0.90)で、7+3療法群と比較して、本剤群で統計学的に有意なOSの延長が認められた(片側P=0.003、層別Log rank検定)。
CLTR0310‐301試験のOSカプランマイヤー曲線

副作用発現頻度は95.4%(146/153例)であった。主な副作用は、発熱性好中球減少症60.1%(92/153例)、悪心42.5%(65/153例)、下痢32.7%(50/153例)、疲労28.8%(44/153例)、鼻出血24.2%(37/153例)、食欲減退22.9%(35/153例)、嘔吐20.9%(32/153例)、発疹20.9%(32/153例)であった。[5.1参照]
注3)7+3療法の用法及び用量は、次に示すとおりである。
寛解導入療法として、1サイクルの1~7日目にシタラビン100mg/m2を7日間持続静注し、ダウノルビシン60mg/m2を1~3日目に15分かけて点滴静注した。1サイクル目に寛解に到達しなかった患者で、本剤への忍容性が良好な場合には寛解導入療法の2サイクル目としてシタラビン100mg/m2を5日間持続静注し、ダウノルビシン60mg/m2を1、2日目に15分かけて点滴静注することを可能とした。寛解導入療法により寛解注2)(CR又はCRi)に到達した患者には、地固め療法として、シタラビン100mg/m2を5日間持続静注し、ダウノルビシン60mg/m2を1、2日目に15分かけて点滴静注した(最大2サイクル)。
17.1.3 海外第I相試験(CPX‐MA‐1201)
1~30歳(用量探索パート:1~21歳、用量拡大パート:1~30歳)の再発・難治性造血器腫瘍患者22例(AML患者18例含む)を対象に非盲検非対照試験を実施した。用量探索パート及び用量拡大パートにおいて、本剤を100ユニット/m2で1、3、5日目に90分かけて点滴静注した。
副作用発現頻度は100%(22/22例)であった。主な副作用は、血小板数減少95.5%(21/22例)、貧血86.4%(19/22例)、発熱性好中球減少症81.8%(18/22例)、白血球数減少及び斑状丘疹状皮疹が各72.7%(16/22例)、リンパ球数減少63.6%(14/22例)、好中球数減少45.5%(10/22例)であった。

18.1 作用機序
本剤は、ダウノルビシンとシタラビンを1:5のモル比で含有するリポソーム製剤である。ダウノルビシンは、DNAと結合し、トポイソメラーゼIIを阻害してDNA合成を阻害することにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。シタラビンは、生体内で活性代謝物(Ara‐CTP)に変換され、DNAポリメラーゼを阻害してDNA合成を阻害することにより、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。
本剤は、エンドサイトーシス等により腫瘍細胞に取り込まれ、本剤からダウノルビシン及びシタラビンを放出することで、腫瘍増殖抑制作用を示すと考えられている。
18.2 抗腫瘍作用
本剤は、ヒト急性前骨髄球性白血病由来HL‐60B細胞株を静脈内移植したマウスにおいて、ダウノルビシン及びシタラビンの非リポソーム型混合物と比較して、生存期間を延長させた。また、本剤は、マウス骨髄単球性白血病由来WEHI‐3B細胞株を腹腔内移植したマウスにおいて、ダウノルビシン又はシタラビンを含有するリポソーム製剤と比較して、生存期間を延長させた。

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