ビラノア錠20mg
添付文書情報2021年07月改定(第1版)
商品情報
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- 1). アレルギー性鼻炎。
2). 蕁麻疹。
3). 皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒。
- 用法・用量
- 通常、成人にはビラスチンとして1回20mgを1日1回空腹時に経口投与する。
- 腎機能障害患者
- 8.1. 〈効能共通〉効果が認められない場合には、漫然と長期にわたり投与しないように注意すること。
8.2. 〈アレルギー性鼻炎〉本剤を季節性の患者に投与する場合は、好発季節を考えて、その直前から投与を開始し、好発季節終了時まで続けることが望ましい。
9.2.1. 中等度腎機能障害(30≦GFR<50mL/min/1.73㎡)又は重度腎機能障害(GFR<30mL/min/1.73㎡)のある患者:本剤の血漿中濃度が上昇するおそれがある〔16.6.1参照〕。
- 相互作用
- ビラスチンはP糖蛋白の基質である。
10.2. 併用注意:エリスロマイシン、ジルチアゼム〔16.7.1、16.7.3参照〕[本剤の血漿中濃度を上昇させるとの報告がある(P糖蛋白の阻害による本剤の吸収率の増加に起因すると推定される)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)。
- 11.2. その他の副作用
1). 精神神経系:(1%未満)眠気、頭痛、(頻度不明)めまい、不眠、不安。
2). 消化器:(1%未満)口渇、下痢、腹痛、(頻度不明)胃不快感、口内乾燥、消化不良、胃炎、悪心。
3). 循環器:(頻度不明)右脚ブロック、洞性不整脈、心電図QT延長、心電図異常、頻脈、動悸。
4). 肝臓:(1%未満)AST上昇、γ-GTP上昇、(頻度不明)ALT上昇。
5). 腎臓:(頻度不明)血中クレアチニン上昇。
6). 呼吸器:(1%未満)鼻乾燥、(頻度不明)呼吸困難、鼻部不快感。
7). 過敏症:(頻度不明)発疹、そう痒症、血管性浮腫、多形紅斑。
8). その他:(頻度不明)耳鳴、発熱、体重増加、トリグリセリド上昇、無力症、口腔ヘルペス、食欲亢進、疲労。
- 高齢者
- 一般的に生理機能が低下していることが多く、腎臓からも排泄される本剤では血中濃度が上昇するおそれがある〔16.5参照〕。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
授乳中の女性には治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(動物実験(ラット)で乳汁中へ移行することが報告されている)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
16.1 血中濃度
健康成人男性20例に本剤20mgを空腹時単回経口投与したとき、血漿中濃度は速やかに上昇し、投与後1.00時間で最高血漿中濃度277.86ng/mLに到達した後、消失半減期10.54時間で消失した。
本剤の薬物動態は10mg、20mg及び50mgの用量注1)で線形性を示した。反復投与による蓄積はなかった。
注1)本剤の承認用量は1回20mg、1日1回である。
本剤20mg単回経口投与時のビラスチン血漿中濃度
空腹時投与、平均値±標準偏差(20例)
本剤20mg単回経口投与時の薬物速度論的パラメータ
→図表を見る(PDF)
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康成人男性20例にクロスオーバー法で空腹時及び食後(高脂肪食)に本剤20mgを単回経口投与したとき空腹時に比べ食後投与時のCmax及びAUC0-tはそれぞれ約60%及び約40%低下した。
16.3 分布
16.3.1 蛋白結合率
ビラスチンのin vitroヒト血漿蛋白結合率は0.2~1μg/mLの濃度範囲において、84.22~90.04%であった。
16.3.2 脳内への移行
健康成人(12例)を対象に、本剤20mg、ヒドロキシジン及びプラセボを二重盲検、クロスオーバーでそれぞれ単回投与し、脳への移行性を検討した結果、ビラスチンによる大脳皮質のヒスタミンH1受容体の占拠は認めなかった(外国人データ)。[17.3.1参照]
16.4 代謝
健康成人男性6例に14C‐ビラスチン20mgを単回経口投与したとき、ビラスチンはほとんど代謝されなかった(外国人データ)。
16.5 排泄
健康成人男性9例に本剤20mgを空腹時単回経口投与したとき、投与後72時間までの尿中ビラスチンの平均累積排泄率は47.3%であった。
健康成人男性6例に14C‐ビラスチン20mgを単回経口投与したとき、放射能は投与後7日までに尿中に33.1%、糞中に67.0%が排泄された。ビラスチンは、尿中に28.31%、糞中に66.53%が未変化体で排泄された(外国人データ)。[9.8参照]
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
成人の腎機能障害患者に本剤20mgを単回経口投与したとき、重度の腎機能障害患者におけるビラスチンのCmax及びAUC0-infは健康成人に比べそれぞれ1.6倍及び2.3倍高かった(外国人データ)。[9.2.1参照]
腎機能障害患者に本剤20mg単回経口投与時の薬物速度論的パラメータ
→図表を見る(PDF)
16.6.2 高齢者
若齢男性及び女性(18~35歳)、高齢男性及び女性(65歳以上)の4グループ(各8例、計32例)に本剤20mgを単回経口投与したとき、若齢男性と高齢男性ではビラスチンのCmax及びAUC0-infに差はなかった。若齢女性と高齢女性ではビラスチンのCmaxは若齢女性が1.7倍高かったが、AUC0-infに差はなかった(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
ビラスチンは有機アニオン輸送ポリペプチドOATP1A2の基質である。
16.7.1 エリスロマイシン
健康成人24例に本剤20mg1日1回とエリスロマイシン500mg1日3回7日間併用反復経口投与したとき、血漿中ビラスチンのCmax及びAUC0-24はそれぞれ約2.9倍及び約1.9倍に上昇した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.2 ケトコナゾール
健康成人24例に本剤20mg1日1回とケトコナゾール注2)400mg1日1回6日間併用反復経口投与したとき、血漿中ビラスチンのCmax及びAUC0-24はそれぞれ約2.6倍及び約2倍に上昇した(外国人データ)。
16.7.3 ジルチアゼム
健康成人12例(PK解析11例)に本剤20mgとジルチアゼム60mg併用単回経口投与したとき、血漿中ビラスチンのCmax及びAUC0-infはそれぞれ約1.5倍及び約1.3倍に上昇した(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.4 グレープフルーツジュース
健康成人12例に本剤20mgをグレープフルーツジュース240mLで投与したとき、血漿中ビラスチンのCmax及びAUC0-infはそれぞれ約0.6倍及び約0.7倍に低下した。この血漿中ビラスチン濃度の低下はグレープフルーツジュースによるビラスチンの消化管からの吸収阻害に起因すると推察されたが機序は不明である(外国人データ)。
注2)経口剤は国内未承認。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈アレルギー性鼻炎〉
17.1.1 国内第III相試験
通年性アレルギー性鼻炎患者を対象とした二重盲検比較試験において、本剤20mg(1日1回)、フェキソフェナジン塩酸塩120mg(1回60mg1日2回)又はプラセボを2週間経口投与した。主要評価項目である「総合鼻症状スコア(鼻汁、くしゃみ発作、鼻閉、鼻内そう痒感)の期間平均変化量a」は、本剤20mg1日1回投与によりプラセボに対して有意な減少を示した。
通年性アレルギー性鼻炎を対象とした比較試験成績
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本剤20mg投与群の副作用発現率は2.0%(5/255例)であった。その内訳は傾眠0.8%(2/255例)、下痢、鼻乾燥及び円形脱毛症が各0.4%(1/255例)であった。
〈蕁麻疹〉
17.1.2 国内第II/III相試験
国内試験において、慢性蕁麻疹患者を対象とした二重盲検比較試験において、本剤20mg(1日1回)、本剤10mg(1日1回)注)、又はプラセボを2週間経口投与した。主要評価項目である「総合症状スコア(発斑、かゆみ)の期間平均変化量a」は、本剤20mg1日1回投与によりプラセボに対して有意な減少を示した。
慢性蕁麻疹を対象とした比較試験成績
→図表を見る(PDF)
本剤20mg投与群の副作用発現率は2.0%(2/101例)であった。その内訳は血中ビリルビン増加及び頭痛が各1.0%(1/101例)であった。
〈皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒〉
17.1.3 国内第III相試験
皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒患者を対象に実施した非盲検長期投与試験(52週間投与)において、本剤20mg1日1回投与した結果(116例)、かゆみスコアは投与早期からベースラインに比べて減少し、52週まで持続した。
副作用発現率は2.5%(5/197例)であった。その内訳は傾眠1.0%(2/197例)、AST増加、γ‐GTP増加及び夜間頻尿が各0.5%(1/197例)であった。
17.3 その他
17.3.1 精神運動能に及ぼす影響
(1)健康成人(18例)を対象に、本剤20mg、本剤40mg注)、ヒドロキシジン及びプラセボを二重盲検、クロスオーバーでそれぞれ1日1回8日間反復投与し、ドライビング試験により自動車運転能に及ぼす影響を評価したとき、本剤の自動車運転能に及ぼす影響はプラセボと有意な差を認めなかった(外国人データ)。[16.3.2参照]
(2)健康成人(20例)を対象に、本剤20mg、本剤40mg、本剤80mg注)、ヒドロキシジン及びプラセボを二重盲検、クロスオーバーでそれぞれ1日1回7日間反復投与し、中枢神経系に及ぼす影響を評価した。客観的評価では本剤20mg及び40mgはプラセボとの間に差は認められなかったが、主観的評価では本剤40mg及び80mgではプラセボと比較して、影響が認められた(外国人データ)。[16.3.2参照]
17.3.2 心血管系へ及ぼす影響
健康成人(30例)を対象に、本剤20mg、本剤100mg注)、本剤20mg+ケトコナゾール400mg、モキシフロキサシン400mg及びプラセボを二重盲検、クロスオーバーでそれぞれ1日1回4日間反復投与し(モキシフロキサシンのみ3日間)、心室再分極に及ぼす影響を評価した。主要評価項目を「QTcNiaのベースラインからの変化量のプラセボとの差」として評価した結果、本剤20mg及び100mgでは、投与後のいずれの時点でもプラセボに対するQTcNiのベースラインからの変化量の片側95%信頼区間の上限は10msecを上回らなかった(外国人データ)。
a:線形補正し個別の被験者データを用いて補正したQT間隔
注)本剤の承認用量は1回20mg、1日1回である。
18.1 作用機序
本剤はヒスタミンH1受容体拮抗作用及び抗アレルギー作用を示す。
18.2 ヒスタミンH1受容体拮抗作用
受容体結合試験において、ヒトのヒスタミンH1受容体に拮抗作用(Ki値:64nmol/L)を示した(in vitro)。モルモット摘出回腸標本及び気管標本において、ヒスタミン誘発収縮をそれぞれ100nmol/Lと30nmol/Lより抑制した(in vitro)。経口投与による動物試験においては、ラット及びモルモットのヒスタミン誘発血管透過性亢進を抑制した。静脈内投与による動物試験においては、麻酔下モルモットのヒスタミン誘発気道収縮を抑制した。
18.3 抗アレルギー作用
抗原感作したモルモットの摘出回腸標本において、抗原誘発収縮を抑制した(IC50値:95.5nmol/L)(in vitro)。
- 一包可:不可
- 分割:不可
- 粉砕:不明
- 製造販売会社
- 大鵬薬品
- 販売会社
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