ルパフィン錠10mg

添付文書情報2022年06月改定(第2版)
商品情報
- 禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症のある患者。
- 効能・効果
- 1). アレルギー性鼻炎。
2). 蕁麻疹。
3). 皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒。
- 用法・用量
- 通常、12歳以上の小児及び成人にはルパタジンとして1回10mgを1日1回経口投与する。
なお、症状に応じて、ルパタジンとして1回20mgに増量できる。
- 肝機能障害患者
- 8.1. 〈効能共通〉効果が認められない場合には、漫然と長期にわたり投与しないように注意すること。
8.2. 〈効能共通〉眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作に従事させないよう十分注意すること。
8.3. 〈アレルギー性鼻炎〉季節性の患者に投与する場合は、好発季節を考えて、その直前から投与を開始し、好発季節終了時まで続けることが望ましい。
9.1.1. てんかんの既往のある患者:十分な問診を行うこと(てんかん発作があらわれることがある)〔11.1.2参照〕。
腎機能障害患者:活性代謝物であるデスロラタジンの血漿中濃度が上昇するおそれがある。
肝機能障害患者:血中濃度が上昇するおそれがある。
- 相互作用
- 本剤は、主として肝代謝酵素CYP3A4で代謝される。
10.2. 併用注意:1). CYP3A4阻害剤(エリスロマイシン〔16.7.2参照〕、ケトコナゾール等〔16.7.3参照〕)[併用により、本剤の血中濃度が上昇したとの報告がある(CYP3A4阻害により本剤の代謝が阻害される)]。
2). グレープフルーツジュース〔16.7.1参照〕[同時摂取により本剤の血中濃度が上昇したとの報告がある(CYP3A4阻害により本剤の代謝が阻害される)]。
3). アルコール[中枢神経系に影響を与える可能性があるため、アルコールと併用する際は注意すること(中枢神経抑制作用が増強される可能性がある)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明):チアノーゼ、呼吸困難、血圧低下、血管浮腫等があらわれることがある。
11.1.2. てんかん(頻度不明)〔9.1.1参照〕。
11.1.3. 痙攣(頻度不明)。
11.1.4. 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明):著しいAST上昇、著しいALT上昇、著しいγ-GTP上昇、著しいAl-P上昇、著しいLDH上昇、著しいビリルビン上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
- 11.2. その他の副作用
1). 精神神経系:(5%以上)眠気(9.3%)、(0.1~5%未満)倦怠感、(0.1%未満)頭痛、しびれ感、めまい、(頻度不明)注意力障害、疲労、無力症、易刺激性。
2). 呼吸器系:(頻度不明)口腔咽頭痛、鼻乾燥、鼻出血、咽頭炎、咽喉乾燥、鼻炎、咳嗽。
3). 消化器:(0.1~5%未満)口渇、便秘、(0.1%未満)下痢、腹部不快感、口内乾燥、(頻度不明)悪心、嘔吐、消化不良、腹痛、食欲亢進。
4). 循環器:(頻度不明)動悸、頻脈。
5). 血液:(0.1%未満)リンパ球形態異常、白血球数増加。
6). 過敏症:(0.1%未満)発疹、浮腫(顔面浮腫、手足浮腫等)、(頻度不明)蕁麻疹。
7). 肝臓:(0.1~5%未満)AST上昇、ALT上昇、(0.1%未満)Al-P上昇。
8). 腎・泌尿器:(0.1~5%未満)尿蛋白、尿糖、尿中ウロビリノーゲン異常、血尿、(0.1%未満)BUN上昇。
9). その他:(0.1~5%未満)CPK上昇、(0.1%未満)筋痙縮、(頻度不明)関節痛、体重増加、筋肉痛、背部痛、発熱。
- 高齢者
- 一般に生理機能(肝、腎等)が低下しており、高い血中濃度が持続するおそれがある〔16.6.1参照〕。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与を避けることが望ましい(動物試験(ラット)で胎仔発育遅延等が認められている)。
授乳中の女性には、投与を避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は、授乳を避けさせること(本剤の活性代謝物であるデスロラタジンではヒト母乳中への移行が報告されている)。
- 小児等
- 12歳未満の小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
- その他の注意
- 15.2. 非臨床試験に基づく情報幼若雌性ラットにルパタジンを4週間反復経口投与した実験で、本薬の薬理作用に起因すると考えられる卵巣重量減少、性周期延長(発情間期延長)等が認められた。
16.1 血中濃度
16.1.1 反復投与
海外在住日本人の健康成人に対し、1日1回(10mg、20mgを5日間、各7例)反復経口投与したとき、ルパタジン及び活性代謝物であるデスロラタジンの平均血漿中濃度、Cmax及びAUCは、用量依存的に増加した。
ルパタジン及びデスロラタジンの血漿中濃度推移(初回投与)
ルパタジン及びデスロラタジンの薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
16.2 吸収
16.2.1 食事の影響
健康被験者(18歳以上)24例を対象としてルパタジン20mgを単回経口投与したところ、ルパタジンのCmax(平均値±標準偏差、以下同じ)は、空腹時で4.57±2.60ng/mL、非空腹時で4.30±2.57ng/mL、AUC0-96は、空腹時で16.59±10.62ng・hr/mL、非空腹時で20.43±10.49ng・hr/mLであった。食事摂食によりルパタジンのAUC0-96が23%増加した。
この傾向は活性代謝物であるデスロラタジンでは認められず、Cmaxは、空腹時で3.57±1.47ng/mL、非空腹時で3.20±1.23ng/mL、AUC0-96は、空腹時で50.45±25.04ng・hr/mL、非空腹時で47.72±22.56ng・hr/mLであった(外国人データ)。
16.3 分布
16.3.1 血漿タンパク結合率
ルパタジンフマル酸塩1~500ng/mLの濃度範囲において、ヒト血漿タンパク結合率及びPBS40g/Lに希釈したヒト血清アルブミンに対する血漿タンパク結合率はそれぞれ98.4~98.8%及び97.6~98.3%であった(in vitro)。
16.4 代謝
健康成人男性6例に14C‐ルパタジン水溶液(ルパタジンとして40mgに相当)を単回経口投与したとき、血漿中及び尿中の代謝物として、デスロラタジン、3‐OHデスロラタジン、3‐OHデスロラタジンのO‐グルクロン酸抱合体等が検出された(外国人データ)。
16.5 排泄
健康成人男性6例に14C‐ルパタジン水溶液(ルパタジンとして40mgに相当)を単回経口投与したとき、投与後24時間までに、投与放射能の19.96%が尿中、7.90%が糞中に排泄され、投与後7日までに、投与放射能の95.56%(尿中34.64%及び糞中60.92%)が排泄された。また、尿中及び糞中の未変化体は投与放射能の1%未満であった(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 高齢者
高齢者(64~72歳)12例においてルパタジン10mgを反復経口投与したとき、投与1日目、投与7日目のルパタジン及び活性代謝物であるデスロラタジンのCmax及びAUCは若年者(18~35歳)12例と比較して高かった(外国人データ)。[9.8参照]
ルパタジン10mg経口投与1日目及び7日目のルパタジン及びデスロラタジンの薬物動態パラメータ
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16.7 薬物相互作用
16.7.1 グレープフルーツジュース
健康被験者(19歳以上)24例を対象とし、グレープフルーツジュースを併用又は非併用下でルパタジン10mgを1日1回単回経口投与したとき、ルパタジンのCmax及びAUC0-168はグレープフルーツジュース併用により増加し、Cmax比は2.8、AUC0-168比は4.1であった。また、活性代謝物であるデスロラタジンにおいては、Cmax比は1.0、AUC0-168比は0.9であった(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.2 エリスロマイシン
健康被験者(18歳以上)24例を対象とし、ルパタジン20mgを1日1回7日間単独反復経口投与、エリスロマイシン500mgを1日3回7日間併用経口投与及びそれぞれの投与間に10日間のウォッシュアウト期間を設定し、両薬剤を投与したとき、ルパタジンのCmax及びAUC0-24は、エリスロマイシン併用により増加し、Cmax比は2.3、AUC0-24比は2.9であった。活性代謝物であるデスロラタジンにおいては、Cmax比は1.3であり、AUC0-24比は1.1であった(外国人データ)。[10.2参照]
16.7.3 ケトコナゾール
健康被験者(18歳以上)24例を対象とし、ケトコナゾール(200mg1日1回、経口投与)を併用又は非併用下で、ルパタジン20mgを1日1回7日間反復経口投与したとき、ルパタジンのCmax及びAUC0-24は増加し、Cmax比は8.2、AUC0-24比は10.9であった。活性代謝物であるデスロラタジンにおいては、Cmax比は0.5であり、AUC0-24比は0.7であった(外国人データ)。[10.2参照]
17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈アレルギー性鼻炎〉
17.1.1 国内第III相試験
季節性アレルギー性鼻炎患者を対象に、ルパタジン10mg、20mg又はプラセボを1日1回2週間投与した。主要評価項目である投与2週後における総鼻症状スコア(くしゃみ、鼻汁、鼻閉及び鼻内そう痒感の合計)のベースラインからの変化量において、プラセボに対するルパタジン10mg及び20mgの優越性が検証された。
副作用発現頻度は、ルパタジン10mg投与群で11.1%(33/298例)、ルパタジン20mg投与群で11.7%(35/300例)であった。主な副作用は、10mg投与群では傾眠7%(21/298例)及び倦怠感1.3%(4/298例)、20mg投与群では傾眠7.3%(22/300例)、ALT増加、AST増加各1.3%(4/300例)であった。
投与2週後までの総鼻症状スコアのベースラインからの変化量(FAS)
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17.1.2 国内第III相試験
通年性アレルギー性鼻炎患者を対象に、ルパタジン10mgを1日1回2週間投与した結果、総鼻症状スコア(くしゃみ、鼻汁、鼻閉及び鼻内そう痒感の合計)のベースラインからの変化量(平均値±標準偏差)は-0.64±1.53であった。2週間以降は増量基準に従い、1日1回20mgへの増量を可能として、52週間投与した結果、52週時におけるベースラインからの変化量(平均値±標準偏差)は-3.47±2.32であった。
副作用発現頻度は、12.5%(9/72例)であった。主な副作用は、傾眠9.7%(7/72例)、便秘1.4%(1/72例)、下痢1.4%(1/72例)であった。
〈蕁麻疹〉
17.1.3 国内第III相試験
慢性蕁麻疹患者を対象に、ルパタジン10mg、20mg又はプラセボを1日1回2週間投与した。主要評価項目である投与2週後における総そう痒スコア(日中の痒み及び夜間の痒みの合計)のベースラインからの変化量において、プラセボに対するルパタジン10mg及び20mgの優越性が検証された。
副作用発現頻度は、ルパタジン10mg投与群で13.2%(12/91例)、ルパタジン20mg投与群で9.8%(9/92例)であった。主な副作用は、10mg投与群では傾眠11.0%(10/91例)、末梢性浮腫、ALT増加、AST増加、血中CPK増加、血中尿素増加、肝機能検査異常、リンパ球形態異常各1.1%(1/91例)、20mg投与群では傾眠9.8%(9/92例)、浮動性めまい1.1%(1/91例)であった。
投与2週後までの総そう痒スコアのベースラインからの変化量(FAS)
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〈皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒〉
17.1.4 国内第III相試験
皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚そう痒症)に伴うそう痒を有する患者にルパタジン10mgを1日1回2週間投与した結果、総そう痒スコア(日中の痒み及び夜間の痒みの合計)のベースラインからの変化量(平均値±標準偏差)は湿疹・皮膚炎-1.07±1.23、皮膚そう痒症-1.18±1.67であった。2週目以降は増量基準に従い、1日1回20mgへの増量を可能として52週間投与した結果、52週時におけるベースラインからの変化量(平均値±標準偏差)は、湿疹・皮膚炎-2.63±1.45、皮膚そう痒症-2.50±1.87であった。
副作用発現頻度は、18.0%(37/206例)であった。主な副作用は、傾眠14.1%(29/206例)、口渇2.4%(5/206例)、肝機能検査値上昇1.0%(2/206例)であった。そのほか、便秘0.5%(1/72例)、倦怠感、腹部不快感、口内乾燥、感覚麻痺及び肝機能異常が各々0.5%(1/206例)であった。
17.3 その他
17.3.1 心血管系に及ぼす影響
健康被験者(168例)を対象とした臨床薬理試験(海外試験)において、ルパタジン10mg、100mgを1日1回5日間反復経口投与したときの心電図への影響を検討した。投与5日目におけるFridericia法により補正されたQTc間隔のベースラインからの変化量について、プラセボとの最も大きな群間差(平均値[90%信頼区間])は、ルパタジン10mgで6.1[2.5、9.7]ms、100mgで6.8[3.5、10.2]msであった(本剤の承認された通常用量は、ルパタジン10mgを1日1回であり、最大投与量は20mg1日1回である)。
17.3.2 運転・機械操作能力に対する影響
(1)健康成人27例を対象とした認知機能への影響に関する試験において、ルパタジンを1日1回5日間反復経口投与した結果、プラセボと比較して、ルパタジン10mgでは認知機能への影響は認められず、ルパタジン20mgで視覚に関する認知能の低下及び反応潜時の延長傾向が認められた。
(2)健康成人18例を対象とした中枢作用及び末梢作用への影響に関する試験において、ルパタジンを単回経口投与した結果、精神運動機能検査(運動機能、知覚検査、注意力検査、連想検査、認知検査、記憶検査)について全ての評価時点の変動を合計したとき、ルパタジンフマル酸塩20mg投与時に、プラセボ投与時と比較して精神運動機能の低下が認められた(外国人データ)。
(3)健康成人20例を対象とした運転能力への影響に関する試験において、ルパタジン10mgを単回経口投与した結果、プラセボ投与時と比較して運転能力への影響は認められなかった(外国人データ)。
18.1 作用機序
ルパタジンは、選択的ヒスタミンH1受容体拮抗作用に加えて、炎症や気管支収縮等に関与するケミカルメディエーターであるPAF(血小板活性化因子)に対する拮抗作用を併せ持っている。また、ルパタジンの代謝物のうち、デスロラタジンとその水酸化体はヒスタミン受容体に対する拮抗作用を有し、本剤の効果発現に寄与している。
18.2 抗ヒスタミン作用及び抗PAF作用
ルパタジン及び活性代謝物であるデスロラタジンは、モルモットH1受容体に拮抗作用を示し(Ki値:ルパタジン26.2nmol/L、デスロラタジン22nmol/L)、モルモット摘出回腸においてヒスタミン収縮を抑制した(IC50値:ルパタジン44nmol/L、デスロラタジン22nmol/L)。加えて、ルパタジンは、ウサギ及びイヌにおけるPAF誘発血小板凝集阻害作用を示した(in vitro)。
また、ルパタジンは、ヒスタミン又はPAF誘発によるラットの足蹠浮腫及び血管透過性亢進をそれぞれ抑制した(in vivo)。
18.3 抗アレルギー作用
ルパタジンは、マウスの抗原誘発アナフィラキシーショック及びラットの受身皮膚アナフィラキシー(PCA)反応を抑制した(in vivo)。
- 一包可:不可
- 分割:不可
- 粉砕:不明
- 製造販売会社
- 帝國製薬
- 販売会社
- 田辺三菱製薬
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