サイバインコ錠200mg

添付文書情報2023年07月改定(第4版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 警告
- 1.1. 本剤投与により、結核、肺炎、敗血症、ウイルス感染等による重篤な感染症の新たな発現もしくは重篤な感染症悪化等が報告されており、本剤との関連性は明らかではないが、悪性腫瘍の発現も報告されている。本剤が疾病を完治させる薬剤でないことも含め、重篤な感染症の新たな発現もしくは悪化等が報告され、本剤との関連性は明らかではないが、悪性腫瘍の発現も報告されていることを患者に十分説明し、患者が理解したことを確認した上で、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
また、本剤投与により重篤な副作用が発現し、致命的な経過をたどることがあるので、緊急時の対応が十分可能な医療施設及び医師が使用し、本剤投与後に副作用が発現した場合には、主治医に連絡するよう患者に注意を与えること〔2.2、2.3、8.1-8.4、8.7、9.1.1、9.1.2、9.1.5、9.8高齢者の項、11.1.1、15.1.1、15.1.2参照〕。
1.2. 感染症1.2.1. 重篤な感染症:敗血症、肺炎、真菌感染症を含む日和見感染症等の致死的感染症が報告されているため、十分な観察を行うなど感染症の発症に注意すること〔2.2、8.1、8.2、8.4、9.1.1、9.1.5、9.8高齢者の項、11.1.1、15.1.1参照〕。
1.2.2. 結核:ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤において、播種性結核(粟粒結核)及び肺外結核(脊椎結核、リンパ節結核等)を含む結核が報告されている。結核の既感染者では症状の顕在化及び悪化のおそれがあるため、本剤投与に先立って結核に関する十分な問診及び胸部X線検査に加え、インターフェロン-γ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認すること。結核の既往歴を有する患者及び結核の感染が疑われる患者には、結核等の感染症について診療経験を有する医師と連携の下、原則として本剤の投与開始前に適切な抗結核薬を投与すること。
ツベルクリン反応等の検査が陰性の患者に投与後活動性結核が認められた例も報告されている〔2.3、8.3、9.1.2、11.1.1参照〕。
1.3. 本剤についての十分な知識と適応疾患の治療の知識・経験を持つ医師が使用すること。
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
2.2. 重篤な感染症(敗血症等)の患者[症状が悪化するおそれがある]〔1.1、1.2.1、8.1、9.1.1、9.1.5、11.1.1、15.1.1参照〕。
2.3. 活動性結核の患者[症状が悪化するおそれがある]〔1.1、1.2.2、8.3、9.1.2、11.1.1参照〕。
2.4. 重度肝機能障害<Child Pugh分類C>のある患者〔9.3.1、16.6.2参照〕。
2.5. 好中球数が1000/mm3未満の患者〔8.8、9.1.7、11.1.3参照〕。
2.6. リンパ球数が500/mm3未満の患者〔8.8、9.1.8、9.8高齢者の項、11.1.3参照〕。
2.7. ヘモグロビン値が8g/dL未満の患者〔8.8、9.1.9、11.1.3参照〕。
2.8. 血小板数が50000/mm3未満の患者〔8.8、9.1.10、9.8高齢者の項、11.1.3参照〕。
2.9. 妊婦又は妊娠している可能性のある女性〔9.5妊婦の項参照〕。
- 効能・効果
- 既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. ステロイド外用剤やタクロリムス外用剤等の抗炎症外用剤による適切な治療を一定期間施行しても、十分な効果が得られず、強い炎症を伴う皮疹が広範囲に及ぶ患者に用いること。
5.2. 原則として、本剤投与時にはアトピー性皮膚炎の病変部位の状態に応じて抗炎症外用剤を併用すること。
5.3. 本剤投与時も保湿外用剤を継続使用すること〔8.11参照〕。
- 用法・用量
- 通常、成人及び12歳以上の小児には、アブロシチニブとして100mgを1日1回経口投与する。なお、患者の状態に応じて200mgを1日1回投与することができる。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 中等度腎機能障害(30mL/分/1.73㎡≦eGFR<60mL/分/1.73㎡)及び重度腎機能障害(eGFR<30mL/分/1.73㎡)を有する患者には、50mgを1日1回経口投与すること。中等度腎機能障害を有する患者においては、患者の状態に応じて100mgを1日1回投与することができる〔9.2.1、9.2.2、16.6.1参照〕(eGFR:推算糸球体ろ過量)。
7.2. 強いCYP2C19阻害薬と併用投与する場合には、50mgを1日1回経口投与する(患者の状態に応じて100mgを1日1回投与することができる)〔10.2、16.7.1参照〕。
7.3. 本剤による治療反応は、通常投与開始から12週までには得られるため、12週までに治療反応が得られない場合は、投与中止を考慮すること。
7.4. 免疫抑制作用が増強されると感染症のリスクが増加することが予想されるので、本剤と適応疾患<アトピー性皮膚炎>の生物製剤、他の経口JAK阻害剤、シクロスポリン<局所製剤以外>等の免疫抑制剤<局所製剤以外><感染症のリスクが増加>との併用はしないこと(本剤とこれらの薬剤との併用経験はない)。
- 生殖能を有する者
- 8.1. 本剤は、免疫反応に関与するJAKファミリーを阻害するので、感染症に対する宿主免疫能に影響を及ぼす可能性があり、本剤の投与に際しては十分な観察を行い、感染症の発現や感染症増悪に注意すること。また、患者に対し、発熱、倦怠感等があらわれた場合には、速やかに主治医に相談するよう指導すること〔1.1、1.2.1、2.2、9.1.1、9.1.5、11.1.1参照〕。
8.2. 本剤は免疫抑制作用を有することから、皮膚バリア機能が低下しているアトピー性皮膚炎患者への投与に際しては十分な観察を行い、皮膚感染症の発現に注意すること(アトピー性皮膚炎患者を対象とした臨床試験において重篤な皮膚感染症が報告されている)〔1.1、1.2.1、9.8高齢者の項、11.1.1参照〕。
8.3. 本剤投与に先立って結核に関する十分な問診及び胸部X線検査に加え、インターフェロン-γ遊離試験又はツベルクリン反応検査を行い、適宜胸部CT検査等を行うことにより、結核感染の有無を確認すること。本剤投与中は胸部X線検査等の適切な検査を定期的に行うなど結核の発現には十分に注意し、患者に対し、結核を疑う症状が発現した場合(持続する咳、発熱等)には速やかに主治医に連絡するよう説明すること〔1.1、1.2.2、2.3、9.1.2、11.1.1参照〕。
8.4. ヘルペスウイルス再活性化を含むウイルス再活性化(帯状疱疹、単純ヘルペス等)が報告されている。また、重篤な帯状疱疹や播種性帯状疱疹も認められていることから、ヘルペスウイルス再活性化等の徴候や症状の発現に注意すること(ヘルペスウイルス等の再活性化の徴候や症状の発現が認められた場合には、患者に受診するよう説明し、本剤の投与を中断し速やかに適切な処置を行うこと)。また、ヘルペスウイルス以外のウイルス再活性化にも注意すること〔1.1、1.2.1、9.8高齢者の項、11.1.1参照〕。
8.5. JAK阻害剤によるB型肝炎ウイルス再活性化が報告されているので、本剤投与に先立って、B型肝炎ウイルス感染の有無を確認すること〔9.1.3参照〕。
8.6. 感染症発現のリスクを否定できないので、本剤開始直前及び投与中の生ワクチンの接種は行わないこと。
8.7. 悪性リンパ腫、固形癌等の悪性腫瘍の発現が報告されている。本剤との因果関係は明らかではないが、悪性腫瘍の発現には注意すること〔1.1、15.1.1、15.1.2参照〕。
8.8. 好中球減少、リンパ球減少、ヘモグロビン減少及び血小板減少があらわれることがあるので、本剤の投与開始前及び投与開始後は定期的に好中球数、リンパ球数、血小板数及びヘモグロビン値を確認すること〔2.5-2.8、9.1.7-9.1.10、9.8高齢者の項、11.1.3参照〕。
8.9. 総コレステロール上昇、LDLコレステロール上昇、HDLコレステロール上昇及びトリグリセリド上昇等の脂質検査値異常があらわれることがあるので、本剤投与開始後は定期的に脂質検査値を確認すること(臨床上必要と認められた場合には、高脂血症治療薬の投与等の適切な処置を考慮すること)。
8.10. 肝機能障害があらわれることがあるので、トランスアミナーゼ値上昇に注意するなど観察を十分に行うこと〔11.1.5参照〕。
8.11. 本剤が疾病を完治させる薬剤でなく、本剤投与中も保湿外用剤等を併用する必要があることを患者に対して説明し、患者が理解したことを確認したうえで投与すること〔5.3参照〕。
9.1.1. 感染症<重篤な感染症を除く>の患者又は感染症が疑われる患者〔1.1、1.2.1、2.2、8.1、11.1.1参照〕。
9.1.2. 結核の既感染者(特に結核の既往歴のある患者及び胸部レントゲン上結核治癒所見のある患者)又は結核感染が疑われる患者〔1.1、1.2.2、2.3、8.3、11.1.1参照〕。
(1). 結核の既感染者では、結核を活動化させるおそれがある。
(2). 結核の既往歴を有する場合及び結核感染が疑われる場合には、結核の診療経験がある医師に相談すること。次のいずれかの患者には、原則として本剤の開始前に適切な抗結核薬を投与すること[1)胸部画像検査で陳旧性結核に合致するか推定される陰影を有する患者、2)結核の治療歴(肺外結核を含む)を有する患者、3)インターフェロン-γ遊離試験やツベルクリン反応検査等の検査により、結核既感染が強く疑われる患者、4)結核患者との濃厚接触歴を有する患者]。
9.1.3. B型肝炎ウイルスキャリアの患者又はB型肝炎既往感染者(HBs抗原陰性かつHBc抗体陽性又はHBs抗原陰性かつHBs抗体陽性):肝機能検査値やHBVDNAのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルス再活性化の徴候や症状の発現に注意すること。JAK阻害剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者又は既往感染者において、B型肝炎ウイルスの再活性化が報告されている〔8.5参照〕。
9.1.4. C型肝炎患者:HCV抗体陽性、HCV RNA陽性の患者は臨床試験から除外されている。
9.1.5. 易感染性の状態にある患者:感染症を発現するリスクが高い〔1.1、1.2.1、2.2、8.1、11.1.1参照〕。
9.1.6. 静脈血栓塞栓症のリスクを有する患者:深部静脈血栓症及び肺塞栓症が報告されている〔11.1.2参照〕。
9.1.7. 好中球減少<好中球数1000/mm3未満を除く>のある患者:好中球減少が更に悪化するおそれがある〔2.5、8.8、11.1.3参照〕。
9.1.8. リンパ球減少<リンパ球数500/mm3未満を除く>のある患者:リンパ球減少が更に悪化するおそれがある〔2.6、8.8、11.1.3参照〕。
9.1.9. ヘモグロビン値減少<ヘモグロビン値8g/dL未満を除く>のある患者:ヘモグロビン減少が更に悪化するおそれがある〔2.7、8.8、11.1.3参照〕。
9.1.10. 血小板減少<血小板数50000/mm3未満を除く>のある患者:血小板減少が更に悪化するおそれがある〔2.8、8.8、11.1.3参照〕。
9.1.11. 間質性肺炎の既往歴のある患者:定期的に問診を行うなど、注意すること(間質性肺炎があらわれるおそれがある)〔11.1.4参照〕。
9.1.12. 腸管憩室のある患者:消化管穿孔があらわれるおそれがある〔11.1.6参照〕。
9.2.1. 中等度腎機能障害(30mL/分/1.73㎡≦eGFR<60mL/分/1.73㎡)を有する患者:減量し、慎重に投与すること(腎機能が正常な患者に比べ、活性成分の曝露量が増加するため、副作用が強くあらわれるおそれがある)〔7.1、16.6.1参照〕。
9.2.2. 重度腎機能障害(eGFR<30mL/分/1.73㎡)を有する患者:本剤投与の適否を慎重に検討した上で減量し、慎重に投与すること(腎機能が正常な患者に比べ、活性成分の曝露量が増加するため、副作用が強くあらわれるおそれがある)〔7.1、16.6.1参照〕。
9.3.1. 重度肝機能障害<Child Pugh分類C>のある患者:投与しないこと(重度の肝機能障害患者を対象とした臨床試験は実施していない)〔2.4、16.6.2参照〕。
妊娠可能な女性:妊娠可能な女性は、本剤投与中及び本剤投与終了後一定期間は適切な避妊を行うよう指導すること(ラットを用いた受胎能試験において、妊娠率低下、黄体数減少及び着床数減少、着床後胚損失率上昇を含めた受胎能への影響が認められ、このときの血漿中薬物濃度はアトピー性皮膚炎患者に本剤200mgを1日1回投与したときの血漿中濃度と比較したとき7倍程度であった)。
- 相互作用
- 本剤は主にCYP2C19及びCYP2C9で代謝される。また、本剤はCYP2C19に対して阻害作用を示す〔16.4、16.7.2参照〕。
10.2. 併用注意:1). CYP2C19の強い阻害薬(フルコナゾール、フルボキサミン、チクロピジン)〔7.2、16.7.1参照〕[本剤の作用が増強する可能性があるので、これらの薬剤は可能な限り他の類薬に変更する、又はこれらの薬剤を休薬する等を考慮すること(これらの薬剤がCYP2C19の代謝活性を阻害するため、アブロシチニブの血中濃度が上昇する可能性がある)]。
2). CYP2C19の強い誘導薬又はCYP2C19の中程度の誘導薬及びCYP2C9の強い誘導薬又はCYP2C9の中程度の誘導薬(リファンピシン等)〔16.7.1参照〕[本剤の効果が減弱する可能性があるので、これらの薬剤は誘導作用のない又は弱い他の類薬に変更する等を考慮すること(これらの薬剤がCYP2C19及びCYP2C9の代謝活性を誘導するため、アブロシチニブの血中濃度が低下する可能性がある)]。
3). P-gpの基質となる薬剤(ダビガトランエテキシラート、ジゴキシン等)〔16.7.2参照〕[これらの薬剤の作用が増強されるおそれがあるので、患者の状態を慎重に観察し、副作用発現に十分注意すること(本剤がP-gpを阻害することにより、これらの薬剤の血漿中濃度が上昇する可能性がある)]。
4). クロピドグレル[クロピドグレルの作用が減弱されるおそれがあるので、併用する際には注意すること(本剤がCYP2C19を阻害することにより、クロピドグレルの活性代謝物の血中濃度が低下する)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 感染症:単純ヘルペス(3.2%)[口腔ヘルペス、単純ヘルペス、眼部単純ヘルペス、ヘルペス眼感染、ヘルペス性皮膚炎、鼻ヘルペスを含む]、帯状疱疹(1.6%)[帯状疱疹、眼帯状疱疹を含む]、肺炎(0.2%)、結核(頻度不明)等の重篤な感染症があらわれ、致死的経過をたどることがあるので、重篤な感染症、敗血症、日和見感染を発現した場合には、感染症がコントロールできるようになるまで本剤を休薬すること〔1.1、1.2.1、1.2.2、2.2、2.3、8.1-8.4、9.1.1、9.1.2、9.1.5、9.8高齢者の項、15.1.1参照〕。
11.1.2. 静脈血栓塞栓症:肺塞栓症(0.1%未満)及び深部静脈血栓症(0.1%未満)を含む静脈血栓塞栓症があらわれることがある〔9.1.6参照〕。
11.1.3. 血小板減少(1.4%)、ヘモグロビン減少(ヘモグロビン減少0.9%、貧血0.6%)、リンパ球減少(0.7%)、好中球減少(0.4%)。
血小板数:本剤投与開始後、血小板数が50000/mm3未満になった場合には、投与を中止すること。
ヘモグロビン値:本剤投与開始後、ヘモグロビン値が8g/dL未満になった場合には、8g/dL以上に回復するまで休薬すること。
リンパ球数:本剤投与開始後、リンパ球数が500/mm3未満になった場合には、500/mm3以上に回復するまで休薬すること。
好中球数:本剤投与開始後、好中球数が1000/mm3未満になった場合には、1000/mm3以上に回復するまで休薬すること〔2.5-2.8、8.8、9.1.7-9.1.10、9.8高齢者の項参照〕。
11.1.4. 間質性肺炎(0.1%):発熱、咳嗽、呼吸困難等の呼吸器症状に十分に注意し、異常が認められた場合には、速やかに胸部X線検査、速やかに胸部CT検査及び速やかに血液ガス検査等を実施し、本剤の投与を中止するとともにニューモシスチス肺炎との鑑別診断(β-Dグルカンの測定等)を考慮に入れ適切な処置を行うこと〔9.1.11参照〕。
11.1.5. 肝機能障害:ALT上昇(0.8%)、AST上昇(0.6%)等を伴う肝機能障害(頻度不明)があらわれることがある〔8.10参照〕。
11.1.6. 消化管穿孔(頻度不明):異常が認められた場合には投与を中止するとともに、腹部X線、CT等の検査を実施するなど十分に観察し、適切な処置を行うこと〔9.1.12参照〕。
- 11.2. その他の副作用
1). 胃腸障害:(1%以上)悪心(11.0%)、腹痛、嘔吐、下痢、(1%未満)消化不良、腹部不快感、胃食道逆流性疾患、腹部膨満。
2). 一般・全身障害及び投与部位の状態:(1%以上)疲労、(1%未満)無力症、発熱。
3). 感染症及び寄生虫症:(1%以上)上咽頭炎、上気道感染、毛包炎、(1%未満)尿路感染、結膜炎、ヘルペス性状湿疹、膿痂疹、インフルエンザ、咽頭炎、副鼻腔炎、気管支炎、膀胱炎、せつ、膿瘍、皮膚感染、胃腸炎、下気道感染、感染性湿疹、皮膚真菌感染。
4). 血液及びリンパ系障害:(1%未満)白血球減少、リンパ節症、赤血球減少、白血球増加。
5). 血管障害:(1%未満)高血圧。
6). 呼吸器、胸郭及び縦隔障害:(1%未満)咳嗽、鼻出血。
7). 心臓障害:(1%未満)動悸、心室内伝導障害。
8). 神経系障害:(1%以上)頭痛(4.4%)、浮動性めまい、(1%未満)傾眠。
9). 代謝及び栄養障害:(1%未満)体重増加、高脂血症(脂質異常症を含む)。
10). 皮膚及び皮下組織障害:(1%以上)ざ瘡(3.6%)、(1%未満)脱毛症、蕁麻疹、皮膚そう痒症。
11). 良性、悪性及び詳細不明の新生物(嚢胞及びポリープを含む):(1%未満)皮膚乳頭腫(疣贅等)。
12). 臨床検査:(1%以上)血中CK増加、(1%未満)NK細胞減少、LDH増加、γ-GT上昇、尿中蛋白陽性、プロトロンビン時間延長。
- 高齢者
- 患者の状態を観察しながら、用量に留意して慎重に投与すること(臨床試験において65歳以上の患者では帯状疱疹、リンパ球減少及び血小板減少の発現割合が高かった)〔1.1、1.2.1、2.6、2.8、8.2、8.4、8.8、11.1.1、11.1.3参照〕。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないこと。ラットの胚・胎仔発生試験において、器官形成期の経口投与で胎仔毒性が認められ、このときの血漿中薬物濃度はアトピー性皮膚炎患者に本剤200mgを1日1回投与したときの血漿中濃度と比較したとき17倍であった。ラットの出生前及び出生後の発生に関する試験では、出生後生存率低下及び出生仔体重低下し、このときの血漿中薬物濃度はアトピー性皮膚炎患者に本剤200mgを1日1回投与したときの血漿中濃度と比較したとき11倍以上であった〔2.9、9.6授乳婦の項参照〕。
本剤投与中は授乳しないことが望ましい(ラットで乳汁中へ移行することが報告されている)〔9.5妊婦の項参照〕。
- 小児等
- 12歳未満の小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤交付時の注意PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することがある)。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. アトピー性皮膚炎患者を対象とした後期第2相試験1試験及び第3相試験6試験の併合解析において、重篤な感染症の発現頻度(因果関係問わない)は、本剤100mg投与群で1.9%(19/1023例)、本剤200mg投与群で1.3%(27/2105例)であり、100人年あたりの発現率(95%信頼区間)は本剤100mg投与群で2.18(1.31,3.40)、本剤200mg投与群で2.11(1.39,3.07)であった。また、悪性腫瘍<非黒色腫皮膚癌を除く>の発現頻度(因果関係問わない)は、本剤100mg投与群で0.1%(1/1023例)、本剤200mg投与群で0.1%(2/2105例)であり、100人年あたりの発現率(95%信頼区間)は本剤100mg投与群で0.11(0.00,0.63)、本剤200mg投与群で0.16(0.02,0.56)であった〔1.1、1.2.1、2.2、8.7、11.1.1参照〕。
15.1.2. 心血管系事象のリスク因子を有する関節リウマチ患者を対象としたJAK阻害剤トファシチニブクエン酸塩の海外臨床試験の結果、主要評価項目である主要な心血管系事象(Major Adverse Cardiovascular Events:MACE)及び悪性腫瘍<非黒色腫皮膚癌を除く>の発現率について、TNF阻害剤群に対するハザード比(95%信頼区間)はそれぞれ1.33(0.91,1.94)及び1.48(1.04,2.09)であり、95%信頼区間上限は予め設定していた非劣性マージン1.8を超え、TNF阻害剤群に対する非劣性が検証されなかったことが報告されている〔1.1、8.7参照〕。
15.2. 非臨床試験に基づく情報ラットのがん原性試験(24ヵ月投与)において、10mg/kg/日以上の雌で良性胸腺腫の発現頻度の上昇が認められ、このときの血漿中薬物濃度はアトピー性皮膚炎患者に本剤200mgを1日1回投与したときの血漿中濃度と比較したとき1.9倍であった。
また、本剤はJAK阻害作用を有することから免疫系及び造血系へ影響を及ぼす可能性があり、非臨床試験ではリンパ球数減少及び赤血球数減少等に加えて、免疫抑制に起因する二次的な作用(日和見感染症など)がみられた。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与時
健康成人に本剤100mg及び200mgを空腹時単回投与したときのアブロシチニブの薬物動態パラメータは次の通りである(外国人データ)。
→図表を見る(PDF)
図1 健康成人に本剤100mg及び200mgを単回投与後の血漿中濃度推移(中央値)
16.1.2 反復投与時
母集団薬物動態モデルを用いたシミュレーションの結果、日本人アトピー性皮膚炎患者に本剤100mg及び200mgを1日1回反復投与したときのアブロシチニブのAUCtauはそれぞれ3680及び8280ng・h/mL、Cmaxはそれぞれ740及び1580ng/mLであった。
16.2 吸収
16.2.1 バイオアベイラビリティ
健康成人6例に本剤200mgを単回経口投与及び80μgを単回静脈内投与したときのアブロシチニブの絶対的バイオアベイラビリティは約60%(90%信頼区間:46%~78%)であった(外国人データ)。
16.2.2 食事の影響
健康成人15例に本剤200mgを食後(高脂肪食)投与したとき、空腹時投与と比較して、アブロシチニブのAUCinf及びCmaxはそれぞれ約26%及び29%増加した(外国人データ)。
16.3 分布
健康成人5例にアブロシチニブ80μgを単回静脈内投与したときの分布容積は約100Lであった(外国人データ)。アブロシチニブ、活性代謝物のM1及びM2のタンパク結合率はそれぞれ約64%、37%及び29%であった(in vitro)。
16.4 代謝
アブロシチニブは主に肝代謝により消失し、CYP2C19(約53%)及びCYP2C9(約30%)が主要な代謝酵素であった(in vitro)。健康成人6例に14C‐アブロシチニブ80μgを単回経口投与したとき、血漿中では未変化体が最も多く(26%)、他M1(3‐ヒドロキシプロピル体、11%)、M2(2‐ヒドロキシプロピル体、12%)及びM4(ピロリジノンピリミジン体、14%)が同定された(外国人データ)。M1及びM2は未変化体と同等の薬理活性を有する。[10.、18.2参照]
16.5 排泄
健康成人6例に14C‐アブロシチニブ80μgを単回経口投与したとき、投与放射能の約85%が尿中、約10%が糞中に排泄された。未変化体の尿中排泄率は1%未満であった(外国人データ)。代謝物のM1、M2及びM4はOAT3の基質であり、主に尿中に排泄された。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害
中等度(30≦eGFR〔mL/分〕<60:7例)の腎機能障害を有する被験者に本剤200mgを単回経口投与したとき、腎機能正常被験者(eGFR≧90:8例)と比較して、アブロシチニブ、活性代謝物のM1及びM2、ならびにこれらの活性成分の非結合型曝露量(それぞれの相対力価で補正)の総和(以下、活性成分)のAUCinfはそれぞれ約83%、54%、170%及び110%増加した。重度(eGFR<30:8例)の腎機能障害を有する被験者に本剤200mgを単回経口投与したとき、腎機能正常被験者と比較して、アブロシチニブ、M1及びM2、ならびに活性成分のAUCinfはそれぞれ約21%、187%、471%及び191%増加した(外国人データ)。これらの結果から、軽度(60≦eGFR<90)の腎機能障害を有する被験者のeGFRが60の場合、アブロシチニブ、M1及びM2、ならびに活性成分のAUCinfは約29%、61%、138%及び70%増加すると推定された。[7.1、9.2.1、9.2.2参照]
16.6.2 肝機能障害
軽度(Child‐Pugh分類A:8例)の肝機能障害を有する被験者に本剤200mgを単回投与したとき、肝機能正常被験者(8例)と比較して、アブロシチニブ、M1及びM2、ならびに活性成分のAUCinfはそれぞれ約33%増加、68%、22%及び4%減少した。中等度(Child‐Pugh分類B:8例)の肝機能障害を有する被験者に本剤200mgを単回投与したとき、肝機能正常被験者(8例)と比較して、アブロシチニブ、M1及びM2、ならびに活性成分のAUCinfはそれぞれ約54%増加、51%減少、14%減少及び15%増加した(外国人データ)。[2.4、9.3.1参照]
16.7 薬物相互作用
16.7.1 併用薬がアブロシチニブの薬物動態に及ぼす影響
アブロシチニブ、M1及びM2、ならびに活性成分の曝露量に及ぼす併用薬の影響を次表に示す(外国人データ)。[7.2、10.2参照]
(1)フルコナゾール(CYP2C19の強い阻害薬、CYP2C9及びCYP3Aの中程度の阻害薬)
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(2)フルボキサミン(CYP2C19の強い阻害薬、CYP3Aの中程度の阻害薬)
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(3)リファンピシン(CYP2C19、CYP2C9及びCYP3A4の強い誘導薬)
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(4)プロベネシド(OAT3の阻害薬)
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16.7.2 アブロシチニブが併用薬の薬物動態に及ぼす影響
In vitro試験において、アブロシチニブはCYP3A、CYP2C19及びCYP2D6に対して弱い時間依存的阻害作用を示し、CYP3A4に対して弱い誘導作用を示した。アブロシチニブはOATP1B1/1B3、OAT1、OCT2及びBSEPを阻害しなかったが、OAT3、P‐gp、BCRP、OCT1、MATE1及びMATE2Kを阻害した。薬物相互作用を検討した臨床試験の結果、アブロシチニブはP‐gp及びCYP2C19のみを阻害した。
アブロシチニブが併用薬の薬物動態に及ぼす影響を次表に示す(外国人データ)。[10.、10.2参照]
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17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国際共同第III相試験単剤投与試験
ステロイド外用剤又はタクロリムス外用剤等の外用剤治療で効果不十分、又は外用薬治療が医学的に不適切、あるいは疾患コントロールのために全身療法を必要とする12歳以上の中等症から重症注1)のアトピー性皮膚炎(AD)患者391例(日本人患者44例を含む)を対象に、本剤200mg、本剤100mg又はプラセボを1日1回、12週間投与した注2)。主要評価項目とした投与後12週時点のIGA改善達成注3)及びEASI‐75達成注4)において、本剤の両用量群はプラセボ群に比べて統計的に有意な改善効果を示した。
注1)IGAスコアが3以上、EASIスコアが16以上、及び体表面積に占めるAD病変の割合が10%以上、そう痒の重症度のNRSスコアが4以上
注2)投与期間中は保湿剤の併用は許容されており、経口シクロスポリン、経口ステロイド等の全身療法及び光線療法の併用を禁止した
注3)IGAスコアが「消失」(スコア0)又は「ほぼ消失」(スコア1)と判定され、かつベースライン時から2段階以上の改善達成
注4)EASIスコアのベースライン時からの75%以上の改善達成
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副作用発現頻度は、本剤200mg投与群で34.8%(54/155例)及び本剤100mg投与群では19.6%(31/158例)であった。主な副作用は本剤200mg投与群では悪心13.5%(21/155例)及び頭痛5.8%(9/155例)、本剤100mg投与群では悪心4.4%(7/158例)及び頭痛2.5%(4/158例)であった。
17.1.2 国際共同第III相試験外用剤併用投与試験(成人)
ステロイド外用剤又はタクロリムス外用剤等の外用剤治療で効果不十分、あるいは疾患コントロールのために全身療法を必要とする18歳以上の中等症から重症注1)のAD患者837例(日本人患者76例を含む)を対象に、ステロイド外用剤併用下で、本剤200mg、本剤100mgを1日1回とデュピルマブに対応するプラセボを隔週投与、デュピルマブ300mgの隔週投与(初回用量は600mg)と本剤に対応するプラセボを1日1回、又は第1日から16週間本剤に対応するプラセボを1日1回とデュピルマブに対応するプラセボを隔週投与で16週間投与した注2)。主要評価項目とした投与後12週時点のIGA改善達成注3)及びEASI‐75達成注4)において、本剤の両用量群はプラセボ群に比べて統計的に有意な改善効果を示した。
注1)IGAスコアが3以上、EASIスコアが16以上、及び体表面積に占めるAD病変の割合が10%以上、そう痒の重症度のNRSスコアが4以上
注2)投与期間中は保湿剤の併用を必須とし、経口シクロスポリン、経口ステロイド等の全身療法及び光線療法の併用を禁止した
注3)IGAスコアが「消失」(スコア0)又は「ほぼ消失」(スコア1)と判定され、かつベースライン時から2段階以上のIGAスコアの改善達成
注4)EASIスコアのベースライン時からの75%以上の改善達成
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副作用発現頻度は、本剤200mg投与群で29.6%(67/226例)及び本剤100mg投与群では19.7%(47/238例)であった。主な副作用は本剤200mg投与群では悪心10.2%(23/226例)、頭痛3.5%(8/226例)及びざ瘡3.5%(8/226例)、本剤100mg投与群では上咽頭炎3.8%(9/238例)及び悪心2.1%(5/238例)であった。
17.1.3 国際共同第III相試験外用剤併用投与試験(青少年)
ステロイド外用剤又はタクロリムス外用剤等の外用剤治療で効果不十分、あるいは疾患コントロールのために全身療法を必要とする12歳以上18歳未満の中等症から重症注1)のAD患者285例(日本人患者26例を含む)を対象に、ステロイド外用剤併用下で、本剤200mg、本剤100mg又はプラセボを1日1回、12週間投与した注2)。主要評価項目とした投与後12週時点のIGA改善達成注3)及びEASI‐75達成注4)において、本剤の両用量群はプラセボ群に比べて統計的に有意な改善効果を示した。
注1)IGAスコアが3以上、EASIスコアが16以上、及び体表面積に占めるAD病変の割合が10%以上、そう痒の重症度のNRSスコアが4以上
注2)投与期間中は保湿剤の併用を必須とし、経口シクロスポリン、経口ステロイド等の全身療法及び光線療法の併用を禁止した
注3)IGAスコアが「消失」(スコア0)又は「ほぼ消失」(スコア1)と判定され、かつベースライン時から2段階以上のIGAスコアの改善達成
注4)EASIスコアのベースライン時からの75%以上の改善達成
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副作用発現頻度は、本剤200mg投与群で33.0%(31/94例)及び本剤100mg投与群では20.0%(19/95例)であった。主な副作用は本剤200mg投与群では悪心16.0%(15/94例)、浮動性めまい6.4%(6/94例)及び頭痛6.4%(6/94例)、本剤100mg投与群では悪心5.3%(5/95例)及び毛包炎3.2%(3/95例)であった。
18.1 作用機序
アブロシチニブはATPとの結合を遮断することにより、JAKを選択的かつ可逆的に阻害する経口投与が可能な低分子である。
18.2 JAK阻害活性
単離酵素を用いて4種類のJAKアイソフォームに対するアブロシチニブの阻害能を測定したところ、JAK1、JAK2、JAK3及びTYK2に対するIC50値はそれぞれ29.2nmol/L、803nmol/L、10,000nmol/L超及び1250nmol/Lであった(in vitro)。
JAKアイソフォームが介在してシグナル伝達が行われる細胞内では、JAK1が介在する種々のSTATのリン酸化を阻害(IC50値:32.5~1690nmol/L)し、JAK2のみが介在するSTAT5のリン酸化を阻害(IC50値:794~7780nmol/L)した(in vitro)。未変化体と2つの活性代謝物のサイトカインシグナル伝達の阻害は同等であった。[16.4参照]
- 一包可:不可
- 分割:不可
- 粉砕:不明
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