ミチーガ皮下注用30mgバイアル
添付文書情報2024年05月改定(第2版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 警告
- 本剤についての十分な知識と適応疾患の治療の知識・経験をもつ医師が使用すること。
- 禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- 既存治療で効果不十分な次記疾患:
1). *アトピー性皮膚炎に伴うそう痒。
2). 結節性痒疹。
*)最適使用推進ガイドライン対象。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 〈アトピー性皮膚炎に伴うそう痒〉ステロイド外用剤やタクロリムス外用剤等の抗炎症外用剤及び抗ヒスタミン剤等の抗アレルギー剤による適切な治療を一定期間施行しても、そう痒を十分にコントロールできない患者に投与すること〔17.1.1参照〕。
5.2. 〈アトピー性皮膚炎に伴うそう痒〉本剤はそう痒を治療する薬剤であり、そう痒が改善した場合も含め、本剤投与中はアトピー性皮膚炎に対して必要な治療を継続すること〔8.2参照〕。
5.3. 〈アトピー性皮膚炎に伴うそう痒〉原則として、本剤投与時にはアトピー性皮膚炎の病変部位の状態に応じて抗炎症外用剤を併用すること〔8.2参照〕。
5.4. 〈アトピー性皮膚炎に伴うそう痒〉アトピー性皮膚炎に伴うそう痒の場合、本剤投与時も保湿外用剤を継続使用すること〔8.2参照〕。
5.5. 〈結節性痒疹〉「17.臨床成績」の項の内容を熟知し、臨床試験に組み入れられた患者の背景を十分理解した上でステロイド外用剤等の抗炎症外用剤及び抗ヒスタミン剤等の抗アレルギー剤による適切な治療を一定期間施行しても痒疹結節を主体とする病変が多発し複数部位に及ぶ患者に投与すること〔17.1.2参照〕。
5.6. 〈結節性痒疹〉最新の診療ガイドライン等を参考に、臨床症状及び全身検索に基づいて他の皮膚疾患との鑑別を行うこと。
- 用法・用量
- 〈アトピー性皮膚炎に伴うそう痒〉
通常、6歳以上13歳未満の小児にはネモリズマブ(遺伝子組換え)として1回30mgを4週間の間隔で皮下投与する。
〈結節性痒疹〉
通常、成人及び13歳以上の小児にはネモリズマブ(遺伝子組換え)として初回に60mgを皮下投与し、以降1回30mgを4週間の間隔で皮下投与する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 本剤投与後に浮腫性紅斑、湿疹等の発現を含む、皮膚症状の悪化が認められているので、皮膚症状が悪化した場合には、本剤の継続の可否について慎重に検討すること。
7.2. 本剤とミチーガ皮下注用60mgシリンジの生物学的同等性は示されていないことから、互換使用を行わないこと。
- 合併症・既往歴等のある患者
- 8.1. 〈効能共通〉本剤投与中の患者に生ワクチンを接種する場合は、患者の状態を慎重に確認し、十分な注意を払うこと。
8.2. 〈アトピー性皮膚炎に伴うそう痒〉次の点について患者に説明し、理解したことを確認したうえで投与すること〔5.2-5.4参照〕。
・ アトピー性皮膚炎に伴うそう痒の場合、本剤はそう痒を治療する薬剤であることから、アトピー性皮膚炎に対する治療を継続すること。
・ アトピー性皮膚炎に伴うそう痒の場合、そう痒が改善した場合もアトピー性皮膚炎に対する治療を怠らないこと。
9.1.1. 長期ステロイド内服療法を受けている患者:本剤投与開始後に経口ステロイド剤を急に中止しないこと(経口ステロイド剤の減量が必要な場合には、医師の管理の下徐々に行うこと)。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 重篤な感染症(頻度不明):ウイルス、細菌、真菌等による重篤な感染症があらわれることがある。
11.1.2. 重篤な過敏症(頻度不明):アナフィラキシー(血圧低下、呼吸困難、蕁麻疹等)などの重篤な過敏症があらわれることがある。
- 11.2. その他の副作用
1). 皮膚:(5%以上)湿疹、紅斑、貨幣状湿疹、(5%未満)丘疹、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、皮膚炎、(頻度不明)脱毛症、中毒疹、ざ瘡、尋常性疣贅、自家感作性皮膚炎、落屑。
2). 感染症:(5%未満)皮膚感染症(膿痂疹、ヘルペス感染、蜂巣炎等)、(頻度不明)上気道炎、胃腸炎、結膜炎。
3). 注射部位:(5%未満)注射部位反応(紅斑、そう痒感、腫脹等)。
4). その他:(5%未満)血清TARC上昇、下痢、肝機能検査値異常、(頻度不明)好酸球増加、頭痛、末梢性浮腫、アレルギー性結膜炎、咳嗽、腹痛、倦怠感、回転性めまい、血中CPK増加、高尿酸血症、発熱。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物実験(カニクイザル)において本剤の胎盤通過性を示唆する報告がある)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(動物実験(カニクイザル)において本剤の乳汁移行がわずかに認められている)。
- 小児等
- 〈アトピー性皮膚炎に伴うそう痒〉アトピー性皮膚炎に伴うそう痒の6歳未満の患者を対象とした臨床試験は実施していない。
〈結節性痒疹〉結節性痒疹の13歳未満の患者を対象とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. バイアル1本に対して日局注射用水0.9mLを注入する。
14.1.2. 静かにバイアルを回転させ、完全に溶解すること。
14.1.3. 溶解後、直ちに投与すること(直ちに投与できない場合は、室温で保存し、24時間以内に投与すること)。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 調製後の薬液は無色~微黄色の液となる(変色や不溶物を認めた場合には使用しないこと)。
14.2.2. 次に従い、必要な液量を注射筒に採取すること。
1). 用量(ネモリズマブ(遺伝子組換え)として)30mg:投与する液量0.6mL。
2). 用量(ネモリズマブ(遺伝子組換え)として)60mg:投与する液量1.2mL。
14.2.3. 投与部位は腹部、大腿部又は上腕部とすること。同一箇所へ繰り返し注射することは避けること。
14.2.4. 正常な皮膚の部位に注射すること。皮膚が敏感な部位、皮膚に損傷・打撲や傷のある部位、強い炎症のある部位には注射しないこと。
14.2.5. 本剤の使用は1回限りとし、使用後は廃棄すること。
外箱開封後は遮光して保存すること。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与
(1)健康成人
健康成人男性を対象にネモリズマブを0.003~3mg/kg(各群6例)単回皮下投与したとき注)の血清中ネモリズマブ濃度推移は次のとおりであった。なお、0.003及び0.01mg/kg群はすべて定量下限値未満(<0.1μg/mL)であった。
図 単回投与時の血清中濃度推移
また、0.03~3mg/kgを単回皮下投与したときの薬物動態パラメータは次のとおりであった。
表 単回投与時の薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
(2)小児アトピー性皮膚炎患者
小児アトピー性皮膚炎患者(6歳以上13歳未満)を対象にネモリズマブを0.5mg/kg(7例)または1mg/kg(6例)単回皮下投与したとき注)の薬物動態パラメータは次のとおりであった。
表 単回投与時の薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
16.1.2 反復投与
(1)アトピー性皮膚炎患者
6歳以上13歳未満のアトピー性皮膚炎患者38例にネモリズマブ30mgを4週間隔で反復皮下投与した。
ネモリズマブの血清中トラフ濃度の平均は、16週後及び68週後で、4.85μg/mL及び4.75μg/mLであり、投与16週後には定常状態に到達した。
(2)結節性痒疹患者
13歳以上の結節性痒疹患者77例にネモリズマブを初回60mg、以降30mgを4週間隔で反復皮下投与した。
血清中ネモリズマブ濃度の平均は、投与7日後に最高値に達し、その後は4週後まで緩やかに低下した。血清中トラフ濃度の平均は、16週後及び68週後で、2.86μg/mL及び2.93μg/mLであり、投与16週後には定常状態に到達した。
16.3 分布
16.3.1 分布容積
母集団薬物動態解析の結果、見かけの分布容積の母集団平均は8.44Lであった。
16.3.2 組織移行性
雄性カニクイザルに[125I]ネモリズマブを1mg/kgの用量で単回皮下投与し、全身オートラジオルミノグラフィーにより評価した。放射能濃度は甲状腺を除くと血液で最も高く、血液以外では血液が豊富な組織(肺、肝臓、腎臓など)で比較的高かった。
注)本剤の承認された用法・用量を確認すること。[6.参照]
17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈アトピー性皮膚炎に伴うそう痒〉
17.1.1 国内第III相試験(6歳以上13歳未満)
既存治療を実施したにもかかわらず中等度以上のそう痒を有する注1)6歳以上13歳未満のアトピー性皮膚炎患者89例を対象としたプラセボ対照ランダム化二重盲検比較試験及び長期継続投与試験を実施した。既存外用療法注2)との併用下で、本剤30mg又はプラセボを4週間隔で16週間皮下投与した後、本剤30mgを52週間皮下投与した。
主要評価項目とした投与開始16週後のかゆみスコア変化量は次のとおりであり、本剤群とプラセボ群の間で統計的に有意な改善効果を示した。
副次評価項目とした投与開始16週後のEASI注3)変化率(平均)は本剤群で-52.41%、プラセボ群で-41.47%であった。
投与開始68週後の本剤群及びプラセボから本剤に移行した群のかゆみスコアの変化量(平均)はそれぞれ-1.80及び-1.78、EASI変化率(平均)はそれぞれ-77.06%及び-79.48%であった。
副作用は29.2%(26/89例)で認められ、主な副作用は紅斑7.9%(7/89例)、ケモカイン増加3.4%(3/89例)であった。[5.1参照]
表 かゆみスコアの成績
→図表を見る(PDF)
注1)かゆみスコア(スコア0~4)が3(中等度)以上
注2)初回投与日の14日以上前からミディアムクラスあるいはストロングクラスのステロイド外用剤又はタクロリムス外用剤を固定の用法で継続した。生物製剤、免疫抑制剤、経口ステロイド剤等の全身療法及び光線療法の併用は禁止した。
注3)EASI(スコア0~72):Eczema area and severity index。ベースラインの平均は本剤群で19.78、プラセボ群で16.21であった。
〈結節性痒疹〉
17.1.2 国内第II/III相試験(13歳以上)
既存治療で効果不十分な注4)、又はステロイド外用剤や抗ヒスタミン剤・抗アレルギー剤が推奨されない、13歳以上の結節性痒疹患者注5)153例注6)を対象としたプラセボ対照ランダム化二重盲検比較試験及び長期継続投与試験を実施した。既存外用療法注7)との併用下で、初回本剤60mg又はプラセボを皮下投与し、以降4週間隔で本剤30mg又はプラセボをのべ16週間皮下投与した後、本剤30mg注8)を52週間皮下投与した。
主要評価項目とした投与開始16週後のPP‐NRS週平均の変化率及び副次評価項目とした投与開始16週後の結節性痒疹数(頭頸部を除く全身)の変化率はそれぞれ次のとおりであった。主要評価項目で本剤群はプラセボ群よりも統計的に有意な改善効果を示した。
投与開始68週後の本剤群及びプラセボから本剤に移行した群のPP‐NRSの変化率(平均)はそれぞれ-78.59%及び-78.38%、結節性痒疹数(頭頸部を除く全身)の変化率(平均)はそれぞれ-94.51%及び-95.02%であった。
副作用は39.3%(44/112例)で認められ、主な副作用は湿疹10.7%(12/112例)、貨幣状湿疹7.1%(8/112例)、紅斑4.5%(5/112例)であった。[5.5参照]
表 有効性の成績
→図表を見る(PDF)
注4)ベリーストロングクラス以上のステロイド外用剤を4週間以上固定の用法で投与し、かつ、抗ヒスタミン剤・抗アレルギー剤を医師の指示通りに2週間以上内服しても、PP‐NRS(Peak pruritus‐numerical rating scale、0~10)が7以上、かゆみスコアが3(中等度)以上で、少なくとも上肢又は下肢に結節性痒疹の病変が認められ、全身で計20個以上の結節性痒疹が両側性に生じている患者
注5)ドーム状又は疣状の、角化性で硬い孤立性の結節となる痒疹で、径5mm以上を目安として、治験責任医師又は治験分担医師により結節性痒疹と診断された患者
注6)承認されていない用量の群に関する情報を除く。
注7)安全性の理由等からステロイド外用治療が実施できない患者を除いて、結節性痒疹及びアトピー性皮膚炎(合併している場合)に対して、初回投与日の14日以上前からストロングクラスのステロイド外用剤を固定用法で継続して治療することを原則としたが、皮疹の症状に応じて、減量、中止及び休薬等を可能とした。生物製剤、免疫抑制剤、経口ステロイド剤等の全身療法の併用は禁止した。
注8)プラセボから本剤へと切り替えた群の本剤の初回投与量は60mgである。
18.1 作用機序
ネモリズマブは、ヒト化抗ヒトIL‐31受容体A(IL‐31RA)モノクローナル抗体であり、IL‐31と競合的にIL‐31RAに結合することにより、IL‐31の受容体への結合及びそれに続く細胞内へのシグナル伝達を阻害する。
18.2 IL‐31結合阻害作用
ネモリズマブは、可溶型IL‐31RAに高い親和性で結合し、IL‐31RAを発現させた組換え細胞へのIL‐31の結合を濃度依存的に阻害した(in vitro)。
18.3 そう痒抑制作用
カニクイザルIL‐31で全身性のそう痒を誘発させたカニクイザルモデルにおいて、ネモリズマブはそう痒抑制効果を示した。
- 製造販売会社
- マルホ
- 販売会社
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