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ハベカシン注射液25mg

販売名
ハベカシン注射液25mg
薬価
25mg0.5mL1管 2256.00円
製造メーカー
MeijiSeikaファルマ

添付文書情報2023年05月改定(第1版)

商品情報

薬効分類名
その他の主としてグラム陽性菌に作用するもの
一般名
アルベカシン硫酸塩注射液
規制区分
  • 特生
  • 特承
  • 覚原
禁忌
本剤の成分並びにアミノグリコシド系抗生物質又はバシトラシンに対し過敏症の既往歴のある患者。
効能・効果
敗血症、肺炎。
(効能又は効果に関連する注意)
本剤はメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症に対してのみ有用性が認められている。なお、MRSAが検出されただけではMRSA感染症とは限らないので、本剤投与にあたっては、次の点に留意すること。
・ MRSA感染症の診断が確定した場合にのみ投与することを原則とする。
・ 臨床症状及び菌の検出状況からMRSA感染症であることが推定された場合には、個々の患者背景や臨床症状の推移などを考慮のうえ、本剤の投与の可否を判断する。
用法・用量
成人への投与
通常、成人にはアルベカシン硫酸塩として、1日1回150~200mg(力価)を30分~2時間かけて点滴静注する。必要に応じ、1日150~200mg(力価)を2回に分けて点滴静注することもできる。また、静脈内投与が困難な場合、アルベカシン硫酸塩として、1日150~200mg(力価)を1回又は2回に分けて筋肉内注射することもできる。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。
小児への投与
通常、小児にはアルベカシン硫酸塩として、1日1回4~6mg(力価)/kgを30分かけて点滴静注する。必要に応じ、1日4~6mg(力価)/kgを2回に分けて点滴静注することもできる。なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 本剤の薬効は最高血中濃度と最も相関するとされていることから、1日1回静脈内投与が望ましい。
7.2. 本剤の使用にあたっては、腎機能異常及び聴力障害等の副作用に留意し、本剤の投与期間は、原則として14日以内とすること(患者の状態などから判断して、14日以上にわたって本剤を投与する場合には、その理由を常時明確にし、漫然とした継続投与は行わないこと)〔11.1.3、11.1.4参照〕。
7.3. 体の大きい小児に投与するときには、成人の1日最高量200mg(力価)を超えないよう注意すること。
肝機能障害患者
8.1. 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
8.2. 本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること〔11.1.1参照〕。
・ 事前に既往歴等について十分な問診を行う(なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認する)。
・ 投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
・ 投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行う(特に、投与開始直後は注意深く観察する)。
8.3. 投与期間中は血中濃度をモニタリングすることが望ましい〔9.7.2、9.7.3、9.8高齢者の項、16.6.1、16.8.1参照〕。
8.4. 眩暈、耳鳴、難聴等の第8脳神経障害があらわれることがあるので慎重に投与すること(特に腎機能障害患者、小児、高齢者、長期間投与患者及び大量投与患者等では血中濃度が高くなり易く、聴力障害の危険性がより大きくなるので、可能な限り聴力検査を実施することが望ましい)、アミノグリコシド系抗生物質の聴力障害は、高周波音に始まり低周波音へと波及するので、障害の早期発見のために、聴力検査の最高周波数である8kHzでの検査が有用である〔9.1.1、9.2腎機能障害患者、9.7.4、9.8高齢者の項、11.1.3参照〕。
8.5. 急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、投与中は定期的に腎機能検査を行うこと〔9.1.3、9.7.5、9.8高齢者の項、11.1.4参照〕。
8.6. 肝機能障害があらわれることがあるので、投与中は肝機能検査を行うこと。
8.7. 汎血球減少、貧血、白血球減少、血小板減少、好酸球増多があらわれることがあるので、定期的に検査を行うこと〔11.1.5、11.2参照〕。
9.1.1. 本人又はその血族がアミノグリコシド系抗生物質による難聴又はその他の難聴のある患者:難聴が発現又は増悪するおそれがある〔8.4、11.1.3参照〕。
9.1.2. 経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者:観察を十分に行うこと(ビタミンK欠乏症状があらわれることがある)。
9.1.3. 重篤な基礎疾患・重篤な合併症を有する患者:投与量の設定等にも十分留意し、観察を十分に行うこと(急性腎障害等の重篤な腎障害があらわれることがある)〔8.5、11.1.4参照〕。
9.1.4. 重症筋無力症の患者:神経筋遮断作用による呼吸抑制があらわれるおそれがある。
腎機能障害患者:高い血中濃度が持続し、腎障害が悪化するおそれがあり、また、第8脳神経障害等の副作用が強くあらわれるおそれがある〔8.4、11.1.3、16.6.1参照〕。
肝機能障害患者:肝障害を悪化させるおそれがある。
相互作用
10.2. 併用注意:1). 腎障害を起こすおそれのある血液代用剤(デキストラン、ヒドロキシエチルデンプン等)[腎障害が発現・悪化することがあるので、併用は避けることが望ましく、腎障害が発生した場合には、投与を中止し、透析療法等適切な処置を行うこと(機序は明確ではないが、併用によりアミノグリコシド系抗生物質の血中への蓄積、近位尿細管上皮の空胞変性が生じるという報告がある)]。
2). ループ利尿剤(フロセミド、アゾセミド等)[腎障害及び聴器障害が発現・悪化するおそれがあるので、併用は避けることが望ましい(機序は明確ではないが、併用によりアミノグリコシド系抗生物質の血中濃度の上昇、腎への蓄積が起こるという報告がある)]。
3). 腎毒性及び聴器毒性を有する薬剤(バンコマイシン塩酸塩、エンビオマイシン硫酸塩、白金含有抗悪性腫瘍剤(シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン)等)[腎障害及び聴器障害が発現・悪化するおそれがあるので、併用は避けること(やむを得ず併用する場合は、減量するなど慎重に投与すること)、ただし、小児(特に低出生体重児・新生児)では、バンコマイシンは原則併用しないこと(両薬剤ともに腎毒性、聴器毒性を有するが相互作用の機序は不明)]。
4). (小児に投与する場合)他のアミノグリコシド系抗生物質<注射剤>[腎障害及び聴器障害が発現・悪化するおそれがある(小児(特に低出生体重児・新生児)では腎機能が未発達であるため)]。
5). 麻酔剤、筋弛緩剤(ベクロニウム臭化物、A型ボツリヌス毒素等)[呼吸抑制があらわれるおそれがあるので、呼吸抑制があらわれた場合には、必要に応じ、コリンエステラーゼ阻害剤、カルシウム製剤の投与等の適切な処置を行うこと(両薬剤ともに神経筋遮断作用を有しており、併用によりその作用が増強される)]。
6). 腎毒性を有する薬剤(シクロスポリン、アムホテリシンB等)[腎障害が発現・悪化するおそれがある(両薬剤ともに腎毒性を有するが、相互作用の機序は不明)]。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック(0.1%未満)〔8.2参照〕。
11.1.2. 痙攣(0.1%未満)。
11.1.3. 眩暈、耳鳴、耳閉感(いずれも0.1%未満)、難聴(0.1~5%未満)等の第8脳神経障害〔7.2、8.4、9.1.1、9.2腎機能障害患者、9.7.4、9.8高齢者の項参照〕。
11.1.4. 急性腎障害等の重篤な腎障害(0.1~5%未満)〔7.2、8.5、9.1.3、9.7.5、9.8高齢者の項参照〕。
11.1.5. 汎血球減少(0.1%未満)〔8.7参照〕。
11.2. その他の副作用
1). 肝臓:(0.1~5%未満)AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇、LDH上昇、γ-GTP上昇、(0.1%未満)黄疸。
2). 腎臓:(0.1~5%未満)BUN上昇、クレアチニン上昇、蛋白尿、カリウム異常等電解質異常、(0.1%未満)浮腫、血尿。
3). 過敏症:(0.1~5%未満)発疹、(0.1%未満)そう痒、発赤、発熱、蕁麻疹。
4). *血液:(0.1~5%未満)貧血、白血球減少、血小板減少、好酸球増多。
5). 消化器:(0.1~5%未満)下痢、(0.1%未満)下血、軟便、腹痛、悪心・嘔吐、食欲不振。
6). 注射部位:(0.1%未満)注射局所の疼痛又は硬結(筋肉内注射時)。
7). ビタミン欠乏症:(0.1%未満)ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)。
8). その他:(0.1%未満)頭痛、手指しびれ感、全身倦怠感。
*)〔8.7参照〕。
高齢者
次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
・ 本剤は主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続するおそれがあり、第8脳神経障害、腎障害等の副作用があらわれやすい〔8.3-8.5、11.1.3、11.1.4、16.8.1参照〕。
・ ビタミンK欠乏による出血傾向があらわれることがある。
授乳婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(新生児に第8脳神経障害があらわれるおそれがあり、また、ラットの筋注による器官形成期投与試験で出生仔の発育遅滞が認められている)。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
小児等
9.7.1. 〈投与経路共通〉本剤により症状が改善されない場合は、速やかに他剤に切り替えること(小児(特に低出生体重児・新生児)では防御機構が未熟であるため、容易に症状が増悪するおそれがある)。
9.7.2. 〈投与経路共通〉原則として本剤の投与終了直後と次回投与直前に血中濃度を測定し、小児等に対しての適切な投与計画をたてること〔8.3、16.8.1参照〕。
9.7.3. 〈投与経路共通〉投与量を減ずるか、投与間隔をあけるなど慎重に投与すること(腎の発達段階にあるため、特に低出生体重児、新生児においては血中濃度の半減期が延長し、高い血中濃度が長時間持続することにより、最低血中濃度2μg/mLを超えるおそれがあるので、少なくとも次回投与直前に血中濃度を測定し、投与間隔を調整すること)。特に低出生体重児においては、正常な新生児と比較しても著しく半減期が延長し、かつ、個体差が大きいことが知られている〔8.3、16.1.2、16.8.1参照〕。
9.7.4. 〈投与経路共通〉特に低出生体重児及び新生児には聴力検査を実施し慎重に投与すること(第8脳神経障害があらわれることがある)。また、3歳未満の患者においては、ABR(聴性脳幹反応)を用いた聴力検査が有用である〔8.4、11.1.3参照〕。
9.7.5. 〈投与経路共通〉腎毒性の発現を防ぐため、腎機能検査を行い、慎重に投与すること〔8.5、11.1.4参照〕。
9.7.6. 〈点滴静注〉低出生体重児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
9.7.7. 〈筋肉内注射〉小児等を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない〔14.2.2参照〕。
適用上の注意
14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 〈投与経路共通〉現在までに、次の注射剤と混合後、配合変化をおこすことが確認されているので、混注しないこと。
・ セフォペラゾンナトリウム・スルバクタムナトリウム注射剤、セファゾリンナトリウム注射剤、フェノバルビタール注射剤、D-マンニトール注射剤、ブロムヘキシン塩酸塩注射剤、ヒドロコルチゾンコハク酸エステル注射剤、塩化カルシウム水和物注射剤、ドキソルビシン塩酸塩注射剤と混注すると、白濁・沈殿を生じることがある。
・ アンピシリンナトリウム注射剤、アンピシリンナトリウム・クロキサシリンナトリウム注射剤、イミペネム・シラスタチンナトリウム注射剤、セフメタゾールナトリウム注射剤、ピペラシリンナトリウム注射剤、フロモキセフナトリウム注射剤、ラタモキセフナトリウム注射剤と混注すると、両剤の反応によりアミドを形成し本剤の活性低下を来すので、それぞれ別経路で投与すること。
14.1.2. 〈点滴静注〉点滴静注時、希釈後は速やかに使用すること。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 〈点滴静注〉副作用の発生を防ぐため、必ず30分以上かけて投与すること。
14.2.2. 〈筋肉内注射〉筋肉内注射時、組織・神経などへの影響を避けるため、次記の点に注意すること。
・ 〈筋肉内注射〉筋肉内注射時同一部位への反復注射はなるべく行わないこと。
また、小児には特に注意すること〔9.7.7参照〕。
・ 〈筋肉内注射〉筋肉内注射時神経走行部位を避けるよう注意すること。
なお、注射針を刺入したとき、神経に当たったと思われるような激痛を訴えた場合は、直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。
・ 〈筋肉内注射〉筋肉内注射時、注射器の内筒を軽くひき、血液の逆流がないことを確かめて注射すること。
・ 〈筋肉内注射〉硬結をきたすことがあるので、筋肉内注射直後は局所を十分にもむこと。
その他の注意
15.1. 臨床使用に基づく情報クエン酸水和物で抗凝固処理した血液を大量輸血された患者にアミノグリコシド系抗生物質を投与すると、投与経路にかかわらず、神経筋遮断症状、呼吸麻痺があらわれることがある。

16.1 血中濃度
16.1.1 健康成人
健康成人に本剤200mg(力価)を1時間かけて点滴静注したときの血清中濃度は、添付文書の図1のとおりで、薬物動態パラメータは、表1のとおりであった。また、75mg(力価)又は100mg(力価)を1時間かけて点滴静注又は筋注したときの薬物動態パラメータは、表1のとおりであった。
図1 200mg(力価)1時間点滴静注(単回投与)したときの血清中濃度推移(健康成人)

表1 健康成人における薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)

16.1.2 小児患者
乳児・幼児(生後29日以上6歳未満まで)、新生児(生後28日まで)に本剤2~3mg(力価)/kgを30分間点滴静注したときの血漿中濃度は、添付文書の図2のとおりで、薬物動態パラメータは表2のとおりであった。CLtotは新生児よりも乳児・幼児の方が大きかった。[9.7.3参照]
図2 2~3mg(力価)/kg30分間点滴静注(単回投与)したときの血漿中濃度推移(小児患者)

表2 小児における薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)

16.3 分布
16.3.1 蛋白結合
平衡透析法により測定したヒト血清蛋白との結合率は5~20μg/mLの濃度範囲で3~12%であった(in vitro)。
16.3.2 体液・組織内濃度
(1)喀痰中濃度
慢性気道感染症患者に本剤100mg(力価)を点滴静注したときの喀痰中濃度の最高値は1.15~1.32μg/mLを示した。
(2)腹水中濃度
腹膜炎患者に本剤75mg(力価)を点滴静注したときの最高腹水中濃度は0.36~5.29μg/mLであった。
(3)胆汁中濃度
胆道手術患者に本剤75mg(力価)を筋注したときの胆汁中濃度は2時間後に最高値0.67μg/mLを示した。
16.4 代謝
尿中に抗菌活性代謝物は認められていない。
16.5 排泄
本剤は、主として腎臓より排泄される。健康成人に本剤200mg(力価)を1時間点滴静注(単回投与)したとき、投与24時間までの尿中排泄率は約80%であった。また、75mg(力価)又は100mg(力価)を投与したとき、投与8時間までの尿中排泄率は点滴静注で70~80%、筋注で約70%であった。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
(1)200mg(力価)30分間点滴静注
腎機能障害程度の異なる患者に本剤200mg(力価)を30分間点滴静注したときの血中濃度は添付文書の図3のとおりで、薬物動態パラメータは表3のとおりであった。腎機能が正常な患者と軽度腎機能障害患者では各パラメータはほぼ同様であり、中等度-高度腎機能障害患者では、腎機能正常患者と比較してCmin、T1/2、AUC0-24が大きく、CLtotは小さかった。[8.3、9.2参照]
図3 200mg(力価)30分間点滴静注(単回投与)したときの血中濃度推移(腎機能による層別)

表3 患者における腎機能別の薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)

(2)100mg(力価)1時間点滴静注
健康成人及び腎機能障害程度の異なる患者に本剤100mg(力価)を1時間点滴静注したところ、障害の程度に応じてT1/2の延長が認められた(表4)。[9.2参照]
表4 健康成人及び腎機能障害患者における薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)

また、クレアチニン・クリアランス(Ccr)が50未満の患者の24時間までの尿中排泄率は56.9%でCcrが100の健康成人のそれは90.3%で明らかに障害程度が高くなるにつれ、尿中排泄の遅延傾向が認められた。
16.8 その他
16.8.1 血中濃度モニタリング
アミノグリコシド系抗生物質による副作用発現の危険性は、最高血中濃度(ピーク値)あるいは最低血中濃度(次回投与直前値)が異常に高い値を繰り返すほど大きくなるといわれており、特に本剤の場合は、最低血中濃度が2μg/mL以上が繰り返されると第8脳神経障害や腎障害発生の危険性が大きくなる可能性がある。また、最高血中濃度は薬効と関係しており、本剤では、その標準的な目安は9~20μg/mLと考えられている。
特に新生児、低出生体重児、高齢者及び大量投与患者では適切な間隔で最高血中濃度(A、A’)と最低血中濃度(B、B’)を測定し、異常な高値を示す場合には、次回投与より投与量や投与間隔を調整することが望ましい。例えば、異常に高い最高血中濃度が繰り返されている場合は投与量を減量し、異常に高い最低血中濃度が繰り返されている場合は投与間隔を延長するなど調整を行う。[8.3、9.7.2、9.7.3、9.8参照]

17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内一般臨床試験
MRSA感染症における臨床効果は、敗血症(敗血症の疑い1例を含む)に対して5例中4例、肺炎に対して13例中9例に有効であった。
(1)高齢者への投与
高齢者(70歳以上)のMRSA感染症における臨床効果は敗血症及び肺炎に対して7例中5例に有効であった。
(2)小児への投与
小児(16歳未満)のMRSA感染症における臨床効果は敗血症(敗血症の疑い1例を含む)及び肺炎に対して8例中5例に有効であった。
17.1.2 臨床薬理試験
成人のMRSA感染症における臨床試験では、肺炎に対して1日1回200mg(力価)を30分かけて点滴静注し、14例中10例に有効であった。
17.2 製造販売後調査等
17.2.1 特定使用成績調査
成人では、1日1回150~200mg(力価)を投与し、敗血症に対して19例中17例、肺炎に対して78例中63例に有効であった。
小児(15歳未満)では、1日1回4~6mg(力価)/kgを投与し、敗血症に対して2例中1例、肺炎に対して1例中1例に有効であった。

18.1 作用機序
細菌のリボソームの30Sサブユニットに結合し、タンパク合成の開始反応を阻害することにより抗菌作用を示す。
18.2 抗菌作用
18.2.1 in vitro抗菌作用
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対して強い抗菌力を有し、アミノグリコシド系抗生物質の中で最も優れた抗菌力を示した。
また、MRSAの産生する各種の不活化酵素に対して安定であった。
18.2.2 in vivo有効性
マウスにシクロホスファミドを投与して感染防御機能を低下させた実験的MRSA感染症に対して優れた防御効果を示した。また、MRSAによる実験的マウス皮下膿瘍に対しても優れた防御効果を示した。
18.3 耐性獲得
MRSAのマウスを用いた生体内耐性獲得試験では耐性獲得は認められなかったが、増量的継代培養法による試験管内耐性獲得試験ではMICの上昇がみられたことから、臨床における耐性菌発現の可能性は否定できない。

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