テイコプラニン点滴静注用200mg「日医工」
添付文書情報2023年06月改定(第1版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- 敗血症、深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、肺炎、膿胸、慢性呼吸器病変の二次感染。
(効能又は効果に関連する注意)
本剤はメチシリン耐性の黄色ブドウ球菌感染症に対してのみ有用性が認められている。
- 用法・用量
- 通常、成人にはテイコプラニンとして初日400mg(力価)又は800mg(力価)を2回に分け、以後1日1回200mg(力価)又は400mg(力価)を30分以上かけて点滴静注する。
敗血症には、初日800mg(力価)を2回に分け、以後1日1回400mg(力価)を30分以上かけて点滴静注する。
通常、乳児、幼児又は小児にはテイコプラニンとして10mg(力価)/kgを12時間間隔で3回、以後6~10mg(力価)/kg(敗血症などの重症感染症では10mg(力価)/kg)を24時間ごとに30分以上かけて点滴静注する。また、新生児(低出生体重児を含む)にはテイコプラニンとして初回のみ16mg(力価)/kgを、以後8mg(力価)/kgを24時間ごとに30分以上かけて点滴静注する。
なお、年齢、体重、症状により適宜増減する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 投与期間中は血中濃度をモニタリングすることが望ましい。トラフレベルの血中濃度は5~10μg/mLを保つことが投与の目安となるが、敗血症などの重症感染症においては確実な臨床効果を得るために10μg/mL以上を保つこと〔9.1.2、9.2.1、9.2.2、9.7小児等、9.8高齢者の項参照〕。
7.2. 本剤は主として腎臓から排泄され、腎機能障害患者では腎機能正常者よりも血中半減期が延長するので、投与量を調節して使用する必要があり、クレアチニン・クリアランスから投与量又は投与間隔を調節する目安は次のとおりである;1)障害度60mL/min≧Ccr>40mL/min:[初期投与(3日目まで)]腎機能正常者と等しい投与量、[4日目以降]1日の用量を半減するかあるいは隔日に投与する、2)障害度40mL/min≧Ccr>10mL/min:[初期投与(3日目まで)]腎機能正常者と等しい投与量、[4日目以降]1日の用量を1/3に減ずるかあるいは3日ごとに投与する、3)障害度10mL/min≧Ccr:[初期投与(3日目まで)]腎機能正常者と等しい投与量、[4日目以降]1日の用量を1/5に減ずるかあるいは5日ごとに投与する。なお、血液透析あるいは腹膜透析を受けている患者への投与は、[初期投与(3日目まで)]腎機能正常者と等しい投与量、[4日目以降]1日の用量を1/5に減ずるかあるいは5日ごとに投与とする〔9.2.1、9.2.2、16.6.1参照〕。
7.3. ショック及びレッドマン症候群(顔紅斑性充血、頸紅斑性充血、躯幹紅斑性充血、顔そう痒、頸そう痒、躯幹そう痒等)が報告されているので、本剤の使用にあたっては30分以上かけて点滴静注し、急速なワンショット静注では使用しないこと〔11.1.1参照〕。
- 肝機能障害患者
- 8.1. 本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること〔11.1.1参照〕。
8.1.1. 事前に既往歴等について十分な問診を行う(なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認する)。
8.1.2. 投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
8.1.3. 投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行う(特に、投与開始直後は注意深く観察する)。
8.2. 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
8.3. 眩暈、耳鳴、聴力低下等の第8脳神経障害があらわれることがあるので、聴力検査を行う等観察を十分に行うこと〔11.1.2参照〕。
8.4. 無顆粒球症、白血球減少、血小板減少があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと〔11.1.4参照〕。
8.5. 急性腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと〔11.1.5参照〕。
8.6. AST上昇、ALT上昇、LDH上昇、Al-P上昇、γ-GTP上昇、総ビリルビン上昇等、黄疸があらわれることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行うこと〔11.1.6参照〕。
9.1.1. アミノグリコシド系抗生物質、ペプチド系抗生物質又はバンコマイシン類に対し過敏症の既往歴のある患者(ただし、テイコプラニンに対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないこと)。
9.1.2. アミノグリコシド系抗生物質、グリコペプチド系抗生物質又はバンコマイシン類による難聴又はその他の難聴のある患者:血中濃度をモニタリングするなど安全性の確保に配慮すること〔7.1、10.2参照〕。
9.2.1. 血液透析患者:血中濃度をモニタリングするなどして必要なトラフレベルの血中濃度の確保に注意すること(透析膜の種類によっては除去される場合もあるが、一般にテイコプラニンは血液透析によって除去されない場合が多い)〔7.1、7.2、10.2、16.6.1参照〕。
9.2.2. 腎機能障害<血液透析を除く>のある患者:投与量を減ずるか、投与間隔をあけて使用し、また、血中濃度をモニタリングするなど慎重に投与すること(排泄が遅延し、蓄積する)〔7.1、7.2、10.2、16.6.1参照〕。
肝機能障害患者:肝障害を悪化させることがある〔11.1.6参照〕。
- 相互作用
- 10.2. 併用注意:ループ利尿剤(エタクリン酸、フロセミド等)〔9.2.1、9.2.2参照〕、腎障害・聴覚障害を起こす可能性のある薬剤(アミノグリコシド系抗生物質(アルベカシン、ゲンタマイシン、イセパマイシン等)、ペプチド系抗生物質(バンコマイシン)、アムホテリシンB、シクロスポリン、シスプラチン等)〔9.1.2、9.2.1、9.2.2参照〕[腎障害・聴覚障害を増強するおそれがあるので併用は避けることが望ましいが、やむを得ず併用する場合は、血中濃度をモニタリングするなど安全性の確保に配慮し、慎重に投与すること(腎障害、聴覚毒性が増強される)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明):気管支痙攣、血管浮腫、呼吸困難、顔面蒼白、発汗、頻脈等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと〔7.3、8.1参照〕。
11.1.2. 第8脳神経障害(頻度不明):眩暈、耳鳴、聴力低下等の第8脳神経障害があらわれることがある〔8.3参照〕。
11.1.3. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、急性汎発性発疹性膿疱症、紅皮症(剥脱性皮膚炎)(いずれも頻度不明)。
11.1.4. 無顆粒球症、白血球減少、血小板減少(いずれも頻度不明)〔8.4参照〕。
11.1.5. 急性腎障害(頻度不明)〔8.5参照〕。
11.1.6. 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明):AST上昇、ALT上昇、LDH上昇、Al-P上昇、γ-GTP上昇、総ビリルビン上昇等、黄疸があらわれることがある〔8.6、9.3肝機能障害患者の項参照〕。
- 11.2. その他の副作用
1). ※過敏症:(0.1~1%未満)発熱、発疹。
2). 肝臓:(1~5%未満*)AST上昇、ALT上昇、Al-P上昇、γ-GTP上昇、(0.1~1%未満)黄疸、LDH上昇、ビリルビン上昇。
3). 血液:(1~5%未満*)好酸球増多、(0.1~1%未満)貧血、白血球減少、(頻度不明)汎血球減少。
4). 腎臓:(1~5%未満*)BUN上昇、(0.1~1%未満)血清クレアチニン上昇。
5). ※※循環器:(0.1~1%未満)血圧低下、(0.1%未満)動悸、(頻度不明)血圧上昇。
6). 消化器:(0.1%未満)食欲不振、下痢、嘔吐、(頻度不明)悪心。
7). その他:(0.1%未満)痙攣、(頻度不明)注射部位疼痛、静脈炎、悪寒、頭痛、菌交代症。
*)発現頻度は承認時までの成人における臨床試験、小児等における市販後臨床試験及び特別調査、小児、成人における使用成績調査の結果を含む。
※)海外の報告によれば、使用期間中、そう痒は7日目までに、また、発熱、発疹は14日目まで(特に8~14日目)にあらわれることが多いので観察を十分に行うこと。また、本剤投与終了後においても遅発性の副作用が発現する可能性が否定できないので、特に外来患者に対しては、発疹、そう痒などの皮膚症状があらわれた場合には、速やかに主治医に連絡するよう指示するなど適切な対応をとること。
※※)ネコを用いたヒスタミン試験において24mg/kg投与で、投与直後にごくわずかな一過性血圧低下がみられたが速やかに回復した。
- 高齢者
- 血中濃度をモニタリングするなど安全性の確保に配慮し、また、投与前及び投与中に腎機能検査を行い、腎機能の低下の程度により、4日目以降の用量を減量するなど慎重に投与すること(腎機能が低下している場合が多い)〔7.1参照〕。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが認められている)。
- 小児等
- 原則として初期負荷用量(小児では10mg/kg12時間間隔3回、新生児では16mg/kg)投与終了後の次回投与開始前のトラフ値及びその後1週間間隔でトラフ値の血中濃度をモニタリングするなど、慎重に投与すること。腎の発達段階にあるため、特に低出生体重児、新生児においては血中濃度の半減期が延長し高い血中濃度が長時間持続するおそれがある〔7.1、16.1.3参照〕。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 注射液の調製にあたっては、1バイアル[200mg(力価)]には注射用水又は生理食塩液約5mLを加えてなるべく泡立たないように穏やかに溶解し溶液とし、この溶解液を100mL以上の生理食塩液等に加えて希釈する。なお、新生児、乳児、幼児及び小児においては、注射用水又は生理食塩液5mLを加えた溶解液から投与量相当分を採取し、生理食塩液等にて適宜希釈して調製する。
14.1.2. 大塚糖液5%、マルトス輸液10%との配合については、調製後、速やかに使用すること。
14.1.3. 調製後は速やかに使用し、残液は廃棄すること。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン、ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン、ガベキサートメシル酸塩、アムホテリシンB、ミノサイクリン塩酸塩と配合すると白濁・沈殿を生じることが確認されているので、これらの薬剤とは混注しないこと。
14.2.2. セフォチアムと混合すると、本剤の活性低下を来すことが確認されているので、併用する場合には別々に投与すること。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. 米国において感染性心内膜炎・敗血症及び骨・関節感染症を対象とし、高用量を用いた臨床試験[投与量:6~30mg/kg(400~2000mg)を初日は2回、2日目以降1日1回]で、トラフレベルの血中濃度が60μg/mL以上を示した症例に血清クレアチニン異常変動の発現頻度が高かったことから、トラフレベルの血中濃度が60μg/mL以上になった場合には腎障害・聴覚障害等の副作用の発現に注意すること。
また、トラフレベルの血中濃度が20μg/mL以上で、軽度に一過性肝機能検査値上昇したとの報告がある。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与(成人)
健康成人男子各群5例に2、4及び8mg/kgのテイコプラニンを30分かけて点滴静注したときの最高血漿中濃度はそれぞれ17.0、34.4及び71.8μg/mLを示し、投与後初期に比較的速やかに減少した後、終末半減期46~56時間ときわめて穏やかに消失した。
健康成人における用量別血漿中テイコプラニン濃度
(平均値±標準偏差、n=5)
16.1.2 反復投与(成人)
健康成人男子5例にテイコプラニンを、4mg/kg1日1回7日間反復静脈内投与(試験A)、及び、健康成人男子3例に初日400mg2回、2~5日目は1日1回400mgを反復静脈内投与(試験B)し、血漿中濃度を調べた。
試験Aにおいては、投与後24時間値(トラフ濃度)は2.5μg/mLであった。反復投与5~6回でほぼ定常状態に達し、最終投与後24時間値は初回投与時の約3倍(7.2μg/mL)となった。
試験Bにおいては、初回投与12時間後のloading doseによりトラフ濃度は速やかに定常状態に達し、以後反復投与により10~12μg/mLのトラフ濃度が維持された。
16.1.3 反復投与(小児)
小児(41日齢~10歳)に対してはテイコプラニン10mg/kgを12時間間隔で3回、以後10mg/kgを24時間ごとに点滴静注し、新生児注)(4日齢~93日齢)に対しては初回のみ16mg/kgを、以後8mg/kgを24時間ごとに点滴静注した際の血中濃度を測定した。[9.7参照]
→図表を見る(PDF)
16.3 分布
16.3.1 ヒトにテイコプラニンを静注又は点滴静注したとき、心臓組織、皮下脂肪、水疱液、骨組織、滑液、肺組織及び気管支分泌物への移行は良好で1~2μg/mL(又はg)以上であった(外国人データ)。
16.3.2 血清蛋白結合率
ヒト血清蛋白質への結合率は約90%である(外国人のデータ)。
16.3.3 アルブミンとの結合
ヒト血清アルブミン‐ビリルビン結合に対するテイコプラニンのビリルビン遊離作用を検討したとき、テイコプラニンのビリルビン遊離作用は認められなかった(in vitro)。
16.3.4 ラットに14C‐標識体を静脈内投与したときの組織内濃度は、肺、肝、腎、脾、副腎で高く、大脳、生殖腺、眼への分布は低かった。消失は緩慢で120時間後においても肝、腎、副腎で比較的高い値を示した。また、7日間連続静脈内投与時では、最終投与720時間後においても副腎では他の臓器に比べて高い値を示した。
16.5 排泄
健康成人男子各群5例に2、4及び8mg/kgのテイコプラニンを30分かけて点滴静注したとき、投与開始後96時間までの尿中排泄率は投与量の46~54%であった。8mg/kg投与後3日間の糞中排泄は平均1%未満であった。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
外国人腎機能障害患者に3mg/kgのテイコプラニンを投与したとき、投与後初期の血漿中濃度に健康成人と差は見られないが、クレアチニン・クリアランスの低下に相関して消失半減期が延長するとの報告がある。したがって腎機能障害患者においては投与間隔あるいは投与量の調節が必要である。[7.2、9.2.1、9.2.2参照]
テイコプラニン3mg/kgを静脈内投与した際の薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
注)93日齢の低出生体重児を含む。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
MRSA感染症(成人)における有効性評価対象症例は43例であり、有効率は79.1%であった。
→図表を見る(PDF)
MRSAに対する細菌学的効果は70.0%(28/40例)の菌消失率であった(成人)。
17.2 製造販売後調査等
17.2.1 小児
(1)小児及び新生児を対象とした市販後臨床試験において、維持用量を小児10mg/kg/日、新生児8mg/kg/日として投与を行った。小児(41日齢~10歳)では8例中5例、新生児注)(4日齢~93日齢)では9例中8例、合計76.5%(13/17例)の有効率(全般的改善度)であった。
テイコプラニンと因果関係の否定できない有害事象は17例中3例(17.6%)、5件にみとめられた。
(2)小児及び新生児を対象とした特別調査を行った結果、各種MRSA感染症と推定される小児及び新生児(0日齢~15歳)に対して、有効率(全般的改善度)は88.5%(23/26例)であった。また、菌消失率は75.0%(18/24例)であった。
副作用は9例(20.0%)、14件で、主な副作用は肝機能検査値の異常であった。
注)93日齢の低出生体重児を含む。
18.1 作用機序
テイコプラニンの作用は、細菌の細胞壁合成阻害によるものであり、その作用は殺菌的である。
18.2 抗菌作用
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対してin vitro及びマウスを用いた試験において優れた抗菌力を有し、グラム陰性菌に対しては抗菌力を示さない。
18.3 耐性
MRSAを用いたin vitroでの耐性獲得の継代培養試験により検討した結果、耐性化は低い。
- 製造販売会社
- 日医工
- 販売会社
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