アザクタム注射用0.5g

添付文書情報2020年09月改定(第9版)
商品情報
- 禁忌
- 本剤の成分によるショックの既往歴のある患者。
- 効能・効果
- 敗血症、肺炎、肺膿瘍、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(前立腺炎<急性症>、前立腺炎<慢性症>)、尿道炎、子宮頚管炎、腹膜炎、腹腔内膿瘍、胆嚢炎、胆管炎、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、子宮旁結合織炎、化膿性髄膜炎、角膜炎(角膜潰瘍を含む)、中耳炎、副鼻腔炎。
<効能・効果に関連する使用上の注意>
中耳炎、副鼻腔炎への使用にあたっては、「抗微生物薬適正使用の手引き」を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与する。
- 用法・用量
- アズトレオナムとして、1日1~2g(力価)を2回に分けて静脈内注射、点滴静注又は筋肉内注射する。但し、淋菌感染症及び子宮頚管炎には、1日1回1~2g(力価)を筋肉内注射又は静脈内注射する。
小児には、アズトレオナムとして、1日40~80mg(力価)/kgを2~4回に分けて静脈内注射又は点滴静注する。
なお、年齢、症状に応じて適宜増減するが、難治性又は重症感染症には、1日量4g(力価)まで増量し2~4回に分けて投与し、小児では1日量150mg(力価)/kgまで増量し3~4回に分けて投与する。
未熟児、新生児には、アズトレオナムとして、1回20mg(力価)/kgを生後3日までは1日2回、4日以降は1日2~3回静脈内注射又は点滴静注する。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめる。
<調製法>
1.静脈内注射:5mL以上の日本薬局方注射用水、日本薬局方生理食塩液又は日本薬局方ブドウ糖注射液で溶解し、1g(力価)あたり全量20mLにする。
2.点滴静注:糖液、電解質液又はアミノ酸製剤などの補液で溶解する。なお、点滴静注に際しては、注射用水を使用しない(溶液が低張になるため)。
3.筋肉内注射:日本薬局方注射用水又は日本薬局方生理食塩液で溶解し、1g(力価)あたり3mLとする。
<溶液の安定性>
本剤は溶解後微黄色~淡黄色澄明であり、この溶液は放置するとわずかに変色する。
溶解後は速やかに使用し、やむをえず、保存する場合には、冷蔵庫保存では48時間以内、室温保存では24時間以内に使用する(但し総合アミノ酸補液に溶解して保存しない)。
- 慎重投与
- 1.ペニシリン系又はセフェム系薬剤に対し過敏症の既往歴のある患者[交叉アレルギー反応が起こるとの報告がある]。
2.本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質の患者。
3.高度腎障害のある患者[血中濃度が持続するので、投与量を減ずるか、投与間隔を開けて使用する]。
4.高齢者。
5.経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者[ビタミンK欠乏症が現れる恐れがあるので観察を十分に行う]。
- 重要な基本的注意
- 1.本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとる。
1).事前に既往歴等について十分な問診を行う(なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認する)。
2).投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておく。
3).投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行い、特に、投与開始直後は注意深く観察する。
2.本剤の投与により、肝機能異常が現れることがあるので、必要に応じ肝機能検査を行うことが望ましい。
- 相互作用
- 併用注意:利尿剤(フロセミド等)[腎障害が悪化した報告がある(機序不明)]。
- 副作用
- 総症例15,267例(静注、点滴静注、筋注を含む)中、840例(5.50%)の副作用が報告されている(再審査終了時)。
- 重大な副作用
- 1.重大な副作用(頻度不明)1).ショック:ショックを起こすことがあるので、観察を十分に行い、不快感、口内異常感、喘鳴、眩暈、便意、耳鳴、発汗等が現れた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
2).急性腎障害:急性腎障害等の重篤な腎障害が現れることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
3).大腸炎:偽膜性大腸炎等の血便を伴う重篤な大腸炎が現れることがあるので、腹痛、頻回の下痢が現れた場合には、直ちに投与を中止するなど適切な処置を行う。
4).本剤投与中に中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)が現れることが報告されている。
2.重大な副作用(類薬)ペニシリン系又はセフェム系薬剤で溶血性貧血が現れたとの報告があるので、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行う。
- 3.その他の副作用
1).過敏症:(0.1~5%未満)発疹、発熱、(0.1%未満)蕁麻疹、そう痒感、(頻度不明)発赤[このような症状が現れた場合には投与を中止する]。
2).腎臓:(0.1%未満)血清カリウム上昇、血尿、(頻度不明)蛋白尿。
3).血液:(0.1~5%未満)好酸球増多、(0.1%未満)血小板減少、貧血、顆粒球減少。
4).肝臓:(0.1~5%未満)AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、Al-P上昇、γ-GTP上昇、LDH上昇、LAP上昇等、(頻度不明)黄疸。
5).消化器:(0.1%未満)嘔吐、食欲不振。
6).菌交代症:(頻度不明)口内炎、カンジダ症。
7).ビタミン欠乏症:(頻度不明)ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)。
8).その他:(0.1%未満)胸痛、知覚減退、頭痛、末梢性浮腫、動悸。
- 高齢者への投与
- 高齢者には、次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与する。
1.本剤は、主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多く、高齢者の体内薬物動態試験で高い血中濃度が持続する傾向が認められている。
2.高齢者ではビタミンK欠乏による出血傾向が現れることがある。
- 妊婦・産婦・授乳婦等への投与
- 1.妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する[妊娠中の投与に関する安全性は確立していない]。
2.ヒト母乳中へ移行するので、本剤投与中は授乳を避けさせる。
- 適用上の注意
- 1.投与時:1).静脈内注射時:静脈内大量投与により血管痛、静脈炎、灼熱感を起こすことがあるので、これを予防するために注射液の調製、注射部位、注射方法等について十分注意し、その注射の速度はできるだけ遅くする。
2).筋肉内注射時:筋肉内注射にあたっては、次記の点に注意する。
(1).筋肉内注射は、やむを得ない場合にのみ必要最小限に行う。なお、筋肉内注射時同一部位への反復注射は行わない。
(2).低出生体重児、新生児、乳児、幼児、小児には筋肉内投与しない。
(3).筋肉内注射時神経走行部位を避ける。
(4).注射針を刺入したとき激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合には、直ちに針を抜き、部位をかえて注射する。
(5).筋肉内注射時、注射部位に疼痛、硬結をみることがある。
2.調製方法:溶解後は速やかに使用する。特に総合アミノ酸補液に溶解して使用する場合には、溶解後保存することにより力価が低下することがあるので、用時溶解して使用する。
1.血中濃度
(1)静脈内注射
健康成人5名に本剤1g(力価)を単回静脈内注射した場合、投与5分後の平均血清中濃度は130.6μg/mLと高値を示し、半減期は1.85時間であった。また健康成人3~5名に本剤0.5、2g(力価)を単回静脈内注射した場合、投与5分後の平均血清中濃度はそれぞれ70.7、256.0μg/mLを示し、投与量にほぼ比例していた。
本剤0.5~2g単回静脈内投与後の平均血清中濃度
本剤0.5~2g単回静脈内投与後の薬物動態パラメータ
→図表を見る(PDF)
(2)点滴静注
健康成人5名に本剤1g(力価)を1時間で点滴静注した場合、平均血清中濃度は点滴終了直後に最高値93.4μg/mLであった。以後の血清中濃度の推移は静脈内注射と同様であった。
本剤1g単回点滴静注後の平均血清中濃度
(3)筋肉内注射
健康成人5名に本剤1g(力価)を単回筋肉内注射した場合、平均血清中濃度は投与40分後に最高値66.3μg/mLを示し、半減期は2.01時間であった。
本剤1g単回筋肉内注射後の平均血清中濃度
(4)反復投与
健康成人6名に本剤1g(力価)を12時間ごと、連続9回(5日間)静脈内注射しても、血清中濃度及び尿中排泄の推移から蓄積性は認められていない。
2.分布
患者の喀痰、胆汁、腹腔内浸出液、髄液、骨盤死腔浸出液、眼房水等の体液中への移行性及び胆嚢組織、前立腺組織、子宮・子宮付属器各組織、中耳粘膜等への移行性は良好である。
3.代謝及び排泄
生体内でほとんど代謝されることなく主として尿中に排泄される。健康成人に静脈内注射及び筋肉内注射した場合の投与後24時間までの尿中排泄率はそれぞれ57%、81%を示し、そのほとんどは投与後8時間以内に排泄された。
4.腎機能障害時の血中濃度と尿中排泄
腎機能障害成人8例に本剤1g(力価)を単回静脈内注射した時の血中濃度は、クレアチニン・クリアランス(Ccr)の低下とともに高値を示し、その半減期は延長した。尿中排泄率もCcrの低下とともに減少した。したがって、腎機能障害患者に本剤を投与する場合には、投与量、投与間隔の適切な調節が必要である。
5.小児の静脈内投与の血中濃度
小児に本剤10、20及び50mg(力価)/kgを単回静脈内注射した場合、投与15分後の平均血中濃度は50.1、160.4及び179.2μg/mLと高値を示した。半減期は1.35~1.56時間と健康成人と比べてやや短かった。
臨床効果
1.一般臨床試験
2,459例についての一般臨床試験の成績概要は次表のとおりである。
→図表を見る(PDF)
2.比較臨床試験
グラム陰性菌による呼吸器感染症及び複雑性尿路感染症を対象とした比較臨床試験により本剤の有用性が認められている。
1.緑膿菌を含むグラム陰性菌にすぐれた抗菌作用を示す。
大腸菌、シトロバクター属、クレブシエラ属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、プロビデンシア属、インフルエンザ菌、アズトレオナムに感性の淋菌、髄膜炎菌に対して強い抗菌力を示し、さらに、多くのβ‐ラクタム系抗生物質に抵抗を示す緑膿菌、セラチア属、エンテロバクター属にもすぐれた抗菌力を有する。
2.β‐ラクタマーゼに対する安定性及びその産生誘導能
各種細菌の産生するβ‐ラクタマーゼに対して安定であり、β‐ラクタマーゼ産生グラム陰性菌にも強い抗菌作用を示す。
また、β‐ラクタマーゼ産生誘導能もほとんど認められていない。
3.作用機序
感受性細菌のペニシリン結合蛋白(PBP)のうち、特にPBP3に高い結合親和性を有し、細胞壁合成阻害により強い殺菌作用を示す。
また、グラム陰性菌の外膜に対する透過性も良好である。
- 製造販売会社
- エーザイ
- 販売会社
おくすりのQ&A
製品インタビューフォームの苛酷試験などの結果に高分子量分子種の増加が認められる、と記載されている場合、どう捉えれば良いか分かりません。知りたいポイントは冷...
わからないことがあったら、
気軽にすぐ質問しよう!
このコミュニティは、各種法令・通達が実務の現場で実際にはどう運用されているのか情報共有に使われることもあります。解釈に幅があるものや、関係機関や担当者によって対応が異なる可能性のあることを、唯一の正解であるかのように断言するのはお控えください。「しろぼんねっと」編集部は、投稿者の了承を得ることなく回答や質問を削除する場合があります。