注射用パニマイシン100mg

添付文書情報2020年09月改定(第6版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 禁忌
- 本剤の成分並びにアミノグリコシド系抗生物質又はバシトラシンに対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- 敗血症、深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、腹膜炎、中耳炎。
<効能・効果に関連する使用上の注意>
扁桃炎、急性気管支炎、中耳炎への使用にあたっては、「抗微生物薬適正使用の手引き」を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与する。
- 用法・用量
- 1.筋注の場合:ジベカシンとして、1日量100mg(力価)を1~2回に分け、小児にはジベカシンとして、1日量1~2mg(力価)/kgを1~2回に分け、それぞれ筋肉内注射する。
2.点滴静注の場合:ジベカシンとして、1日量100mg(力価)を2回に分け、100~300mLの補液中に溶解し、30分~1時間かけて点滴静注する。
なお、いずれの場合も年齢、症状により適宜増減する。
<用法・用量に関連する使用上の注意>
1.本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめる。
2.腎障害のある患者には、投与量を減ずるか、投与間隔をあけて使用する。
- 慎重投与
- 1.腎障害のある患者[高い血中濃度が持続し、腎障害が悪化する恐れがあり、また、第8脳神経障害等の副作用が強く現れる恐れがある]。
2.肝障害のある患者[肝障害を悪化させる恐れがある]。
3.重症筋無力症の患者[神経筋遮断作用がある]。
4.高齢者。
5.経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者[ビタミンK欠乏症状が現れることがあるので観察を十分に行う]。
- 重要な基本的注意
- 1.本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとる。
1).事前に既往歴等について十分な問診を行う(なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認する)。
2).投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておく。
3).投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行い、特に、投与開始直後は注意深く観察する。
2.眩暈、耳鳴、難聴等の第8脳神経障害が現れることがあるので慎重に投与する(特に腎機能障害患者、高齢者、長期間投与患者及び大量投与患者等では血中濃度が高くなりやすく、聴力障害の危険性がより大きくなるので、聴力検査を実施することが望ましい)、アミノグリコシド系抗生物質の聴力障害は、高周波音に始まり低周波音へと波及するので、障害の早期発見のために、聴力検査の最高周波数である8kHzでの検査が有用である。
3.急性腎障害等の重篤な腎障害が現れることがあるので慎重に投与する。
- 相互作用
- 併用注意:1.腎障害を起こす恐れのある血液代用剤(デキストラン、ヒドロキシエチルデンプン等)[腎障害が発現・悪化することがあるので、併用は避けることが望ましく、腎障害が発生した場合には、投与を中止し、透析療法等適切な処置を行う(機序は明確ではないが、併用によりアミノグリコシド系抗生物質の血中への蓄積、近位尿細管上皮の空胞変性が生じるという報告がある)]。
2.ループ利尿剤(エタクリン酸、フロセミド、アゾセミド等)[腎障害及び聴器障害が発現・悪化する恐れがあるので、併用は避けることが望ましい(機序は明確ではないが、併用によりアミノグリコシド系抗生物質の血中濃度の上昇、腎への蓄積が起こるという報告がある)]。
3.腎毒性及び聴器毒性を有する薬剤(バンコマイシン、エンビオマイシン、白金含有抗悪性腫瘍剤(シスプラチン、カルボプラチン、ネダプラチン)等)[腎障害及び聴器障害が発現・悪化する恐れがあるので、併用は避けることが望ましい(両薬剤ともに腎毒性、聴器毒性を有するが相互作用の機序は不明)]。
4.麻酔剤、筋弛緩剤(ツボクラリン、パンクロニウム臭化物、ベクロニウム臭化物、トルペリゾン、A型ボツリヌス毒素等)[呼吸抑制が現れる恐れがあるので、呼吸抑制が現れた場合には、必要に応じ、コリンエステラーゼ阻害剤、カルシウム製剤の投与等の適切な処置を行う(両薬剤ともに神経筋遮断作用を有しており、併用によりその作用が増強される)]。
5.腎毒性を有する薬剤(シクロスポリン、アムホテリシンB等)[腎障害が発現・悪化する恐れがある(両薬剤ともに腎毒性を有するが、相互作用の機序は不明)]。
- 副作用
- 筋注:全国の医療機関より寄せられた筋注での症例報告32,446例中副作用発現は、334例(1.03%)であった。その種類は神経系(0.22%)、腎(0.18%)、肝(0.07%)、皮膚(0.24%)、消化器(0.14%)、疼痛(0.12%)、その他(0.06%)であった(注射用パニマイシン及びパニマイシン注射液の副作用
頻度調査終了時)。
点滴静注:点滴静注の市販後使用成績調査の結果は次のとおりであった。
全国852施設より寄せられた症例報告9,320例中副作用発現症例数は、126例(1.35%)であり、副作用発現件数は163件であった。
主な副作用は、肝臓・胆管系障害(AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇等)49例、泌尿器系障害(腎機能障害、BUN上昇、血中クレアチニン上昇等)34例、皮膚・皮膚付属器官障害(発疹等)17例、消化管障害(下痢等)15例であった(注射用パニマイシン及びパニマイシン注射液の再審査終了時)。
- 重大な副作用
- 1.重大な副作用
1).ショック(0.1%未満)を起こすことがあるので、観察を十分に行い、症状が現れた場合には、投与を中止し、適切な処置を行う。
2).急性腎障害等の重篤な腎障害(0.1%未満)が現れることがあるので、定期的に検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行う。
3).眩暈、耳鳴、難聴(0.1%未満)等の第8脳神経障害が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止することが望ましいが、やむを得ず投与を続ける必要がある場合には、慎重に投与する。
- 2.その他の副作用
1).過敏症:(0.1~5%未満)発疹等、(0.1%未満)紅斑、浮腫性紅斑、そう痒、発熱等[症状が現れた場合には、投与を中止する]。
2).腎臓:(0.1~5%未満)腎機能障害(BUN上昇、クレアチニン上昇等)[観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止する]、(0.1%未満)浮腫、蛋白尿、血尿、カリウム異常等の電解質異常。
3).肝臓:(0.1~5%未満)AST上昇(GOT上昇)、ALT上昇(GPT上昇)、Al-P上昇、LDH上昇等[観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止する]。
4).消化器:(0.1~5%未満)下痢等、(0.1%未満)悪心・嘔吐、食欲不振等。
5).血液:(0.1%未満)貧血、好酸球増多等。
6).ビタミン欠乏症:(0.1%未満)ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)。
7).注射部位:(0.1%未満)注射局所の疼痛又は硬結(筋肉内注射時)。
8).その他:(0.1%未満)頭痛、口唇部のしびれ感。
- 高齢者への投与
- 高齢者には、次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意するなど患者の状態を観察しながら慎重に投与する。
1.本剤は主として腎臓から排泄されるが、高齢者では腎機能が低下していることが多いため、高い血中濃度が持続する恐れがあり、第8脳神経障害、腎障害等の副作用が現れやすい。
2.高齢者では、ビタミンK欠乏による出血傾向が現れることがある。
- 妊婦・産婦・授乳婦等への投与
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、投与しないことが望ましい[動物実験で新生仔第8脳神経障害が報告されている]。
- 小児等への投与
- 1.筋肉内注射の場合:低出生体重児、新生児における筋肉内注射での安全性は確立していない。
2.点滴静注の場合:低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児における点滴静注での安全性は確立していないので、これらの患者には点滴静注で使用しない。
- 適用上の注意
- 1.投与経路:筋肉内注射又は点滴静注にのみ使用する。
2.調製時:カルベニシリン、スルベニシリン、チカルシリン、ピペラシリンと混合すると、両剤の反応によりアミドを形成し本剤の活性低下を来すので、それぞれ別経路で投与する。
3.溶解後:点滴静注に用いる場合は、溶解後は速やかに使用する。
4.投与時:静脈内投与により、ときに血管痛を起こすことがあるので、注射液の調製、注射部位、注射方法に注意し、注射速度はできるだけ遅くする。
5.筋肉内注射時:筋肉内注射にあたっては、組織・神経などへの影響を避けるため、次記の点に注意する。
1).筋肉内注射時同一部位への反復注射はなるべく行わない。また、低出生体重児、新生児、乳児、幼児、小児には特に注意する。
2).筋肉内注射時神経走行部位を避けるよう注意する。なお、注射針を刺入したとき、神経に当たったと思われるような激痛を訴えた場合は、直ちに針を抜き、部位をかえて注射する。
3).筋肉内注射時、注射器の内筒を軽くひき、血液の逆流がないことを確かめて注射する。
4).筋肉内注射時、硬結を来すことがあるので、筋肉内注射直後は局所を十分にもむ。
- その他の注意
- クエン酸水和物で抗凝固処理した血液を大量輸血された患者にアミノグリコシド系抗生物質を投与すると、投与経路にかかわらず、神経筋遮断症状、呼吸麻痺が現れることがある。
(1)血中濃度
1)腎機能正常者
腎機能正常成人男子(n=4)に、本剤100mgを筋注あるいは、50mg及び100mgを1時間かけて点滴静注した時の血清中濃度を検討した。100mg筋注の最高血清中濃度は投与後0.5時間に発現し、6.83μg/mLであった。50mg点滴静注の最高血清中濃度は点滴終了時に得られ、4.37±0.26μg/mL、血中濃度半減期は1.59±0.67hr(文献から算出)であった。また、100mg点滴静注の最高血清中濃度は点滴終了時に得られ、8.41±1.81μg/mL、血中濃度半減期は1.12±0.20hr(文献から算出)であった。
図1 腎機能正常成人でのパニマイシン投与時の血清中濃度
2)腎機能障害者
クレアチニン・クリアランス(Ccr)>60mL/minのいわゆる軽度障害(n=7)までとCcr30~60mL/minの中等度障害(n=7)、並びにCcr<30mL/minの高度障害(n=1)に本剤50mgを1時間かけて点滴静注したところ、軽度障害者の血清中濃度ピーク値及び半減期(T1/2)は健康成人のそれと差がなかった。しかし、中等度障害者では血清中濃度ピークは健康成人の値とほぼ同じであったが、T1/2は延長傾向がみられた。高度障害者では更に、T1/2の延長がみとめられた。
(2)体液、組織内濃度
筋注では、胆汁、のう水腫術後のリンパ液への移行はかなり高濃度であり、前房水内、喀痰への移行は低濃度であった。羊水中への移行はごく微量であった。
(3)排泄
健康成人での、投与8時間までの累積尿中排泄率は100mgを筋注又は静注した場合、投与量の約60~80%を示した。しかし、腎機能障害者では、尿中排泄は低値にとどまっていた。
(4)腎機能障害患者への投与法
腎機能障害患者では、血中濃度の半減期が延長し、高い血中濃度が長時間持続して、第8脳神経障害又は腎障害があらわれるおそれがあるので、腎機能障害度に応じて、次のような方法により投与量及び投与間隔を調節すべきである。
1)腎機能正常者と等しい初回量を用い、維持量を半減して使用間隔を延長する方法。
→図表を見る(PDF)
2)腎機能正常者と等しい使用間隔で、初回量も維持量も減量する方法。
Ccrを用い、添付文書の図2及び計算式より求めた初回量及び維持量を投与する。
図2
(5)血中濃度モニタリング
血中濃度は、年齢、体重、腎機能等に影響を受けるが、特に腎機能の影響が大きく、腎機能障害患者では半減期が延長し、血中濃度が高く持続する傾向がみられる。
12μg/mL以上の血中濃度が繰り返されると聴力障害や腎障害の危険性が大きくなるといわれているので血中濃度を測定して異常な高値を示す場合には、投与量や投与間隔を調整することが望ましい。例えば、異常に高い最高血中濃度が繰り返されている場合は投与量を減量し、異常に高い最低血中濃度が繰り返されている場合は投与間隔を延長するなど調整を行う。
図3 クレアチニン・クリアランス値毎に層別化した成人でのパニマイシン50mg1時間点滴静注時の血清中濃度と半減期
→図表を見る(PDF)
深在性皮膚感染症(せつ、蜂窩織炎)、扁桃炎、急性気管支炎及び慢性呼吸器病変の二次感染(気管支炎)、肺炎、腎盂腎炎、膀胱炎、腹膜炎、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染(術後感染症)に対して筋注では総計766例中72~100%の有効率を示し、点滴静注では総計356例中56~100%の有効率を示した。
(1)in vitro抗菌作用
ジベカシンの細菌に対する最小発育阻止濃度(MIC)は表のとおりである。
→図表を見る(PDF)
(2)作用機序
細菌の蛋白合成を阻害することにより抗菌作用を示し、その作用は殺菌的である。
- 製造販売会社
- MeijiSeikaファルマ
- 販売会社
おくすりのQ&A
イベニティにて治療中、途中で歯科治療が始まり一旦注射をストップし、決まった期間内に決まった回数接種できない場合があります。その場合、途中でストップするしか...
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