チエナム筋注用0.5g
添付文書情報2021年07月改定(第2版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者〔9.1.1参照〕。
2.2. バルプロ酸ナトリウム投与中の患者〔10.1参照〕。
2.3. リドカイン等のアニリド系局所麻酔剤に対し過敏症の既往歴のある患者[添付の懸濁用液はリドカインを含有している]。
- 効能・効果
- 外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、骨髄炎、関節炎、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、膿胸、慢性呼吸器病変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎(前立腺炎<急性症>、前立腺炎<慢性症>)、腹膜炎、胆嚢炎、胆管炎、肝膿瘍、バルトリン腺炎、子宮内感染、子宮付属器炎、子宮旁結合織炎。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 〈急性気管支炎〉「抗微生物薬適正使用の手引き」を参照し、抗菌薬投与の必要性を判断した上で、本剤の投与が適切と判断される場合に投与すること。
5.2. 〈効能共通〉重症感染症・難治性感染症の場合には、点滴用製剤を用いること。
- 用法・用量
- 通常成人にはイミペネムとして、1日0.5~1.0g(力価)を2回に分割し、筋肉内へ注射する。
なお、年齢・症状に応じて適宜増減する。
筋肉内注射に際しては、本剤0.5g(力価)/0.5gに対し添付の日局リドカイン注射液(0.5w/v%)を2mL用い、よく振盪して懸濁する。
(用法及び用量に関連する注意)
筋肉内投与は、静脈内注射が困難等のやむを得ない場合にのみ必要最小限に行うこと。
- 肝機能障害患者
- 8.1. 本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること〔11.1.2参照〕。
8.1.1. 事前に既往歴等について十分な問診を行う(なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認する)〔9.1.1、9.1.2参照〕。
8.1.2. 投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
8.1.3. 投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行う(特に、投与開始直後は注意深く観察する)。
8.2. 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
8.3. 重篤な肝障害があらわれることがあるので、定期的に検査を実施するなど観察を十分に行うこと〔11.1.4参照〕。
8.4. 重篤な血液障害があらわれることがあるので、定期的に検査を実施するなど観察を十分に行うこと〔11.1.6参照〕。
8.5. 重篤な腎障害があらわれることがあるので、定期的に検査を実施するなど観察を十分に行うこと〔11.1.7参照〕。
9.1.1. カルバペネム系、ペニシリン系又はセフェム系抗生物質に対し過敏症の既往歴のある患者(ただし、本剤に対し過敏症の既往歴のある患者には投与しないこと)〔2.1、8.1.1参照〕。
9.1.2. 本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギー症状を起こしやすい体質を有する患者〔8.1.1参照〕。
9.1.3. 経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪い患者:観察を十分に行うこと(ビタミンK欠乏症状があらわれることがある)。
9.1.4. てんかんの既往歴あるいは中枢神経系障害を有する患者:減量等を考慮すること(痙攣、呼吸停止、意識障害、呼吸抑制等の中枢神経症状が起こりやすい)〔11.1.1参照〕。
9.2.1. 腎機能障害患者:減量等を考慮すること(痙攣、呼吸停止、意識障害、呼吸抑制等の中枢神経症状が起こりやすい)〔11.1.1参照〕。
9.2.2. クレアチニン-クリアランスが20mL/min未満の患者:有効性、安全性は試験されていない(血清クレアチニン値そのものは腎機能の正確な指標とはならない)。クレアチニン-クリアランスは次の式により算出される。
1). クレアチニン-クリアランス(男性)=[(体重kg)×(140-年齢)]÷[72×(血清クレアチニン値mg/dL)]。
2). クレアチニン-クリアランス(女性)=0.85×前記算出値。
肝機能障害患者:肝障害が悪化するおそれがある〔11.1.4参照〕。
- 相互作用
- 10.1. 併用禁忌:バルプロ酸ナトリウム<デパケン>〔2.2参照〕[バルプロ酸の血中濃度が点滴用製剤との併用により低下してんかんの発作が再発することがある(機序不明)]。
10.2. 併用注意:1). ガンシクロビル[痙攣の発現が報告されている(機序不明)]。
2). ファロペネムナトリウム[ファロペネムナトリウムの血中濃度が上昇するおそれがある(動物実験(ラット)において、シラスタチンにより代謝酵素(DHP-1)が阻害され、ファロペネムナトリウムの血中濃度が上昇することが報告されている)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 中枢神経症状:痙攣(0.1%未満、点滴用で0.14%)、呼吸停止(頻度不明)、*意識障害(頻度不明)、意識喪失(頻度不明)、呼吸抑制(頻度不明)、錯乱(頻度不明)、不穏(頻度不明)等の中枢神経症状があらわれることがある〔9.1.4、9.2.1参照〕。
11.1.2. ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明):初期症状として、不快感、口内異常感、喘鳴、眩暈、便意、耳鳴、発汗又は呼吸困難、全身潮紅、浮腫等があらわれることがある〔8.1参照〕。
11.1.3. 中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)(頻度不明)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)(頻度不明)。
11.1.4. 重篤な肝障害:劇症肝炎(頻度不明)、肝炎(頻度不明)、肝不全(頻度不明)、*黄疸(頻度不明)等の重篤な肝障害があらわれることがある〔8.3、9.3肝機能障害患者の項参照〕。
11.1.5. *気管支痙攣(頻度不明)、間質性肺炎(頻度不明)、PIE症候群(頻度不明):喘息発作及び誘発等の気管支痙攣、また発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常、好酸球増多等を伴う間質性肺炎、PIE症候群等があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
11.1.6. 重篤な血液障害:*汎血球減少症(頻度不明)、*骨髄抑制(頻度不明)、無顆粒球症(頻度不明)、溶血性貧血(頻度不明)等の重篤な血液障害があらわれることがある〔8.4参照〕。
11.1.7. 重篤な腎障害:急性腎障害(頻度不明)、尿崩症(頻度不明)等の重篤な腎障害があらわれることがある〔8.5参照〕。
11.1.8. *偽膜性大腸炎(頻度不明):血便を伴う重篤な大腸炎があらわれることがある(腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には直ちに投与を中止するなど適切な処置を行うこと)。
*)点滴用で0.1%未満。
- 11.2. その他の副作用
1). 過敏症:(0.1~5%未満)発疹、そう痒、発熱、(0.1%未満)蕁麻疹、潮紅、紅斑。
2). 血液:(0.1~5%未満)顆粒球減少、好酸球増多、好塩基球増多、リンパ球増多、血小板減少・血小板増多、赤血球減少、ヘモグロビン減少、ヘマトクリット減少。
3). 肝臓:(0.1~5%未満)AST上昇、ALT上昇、LDH上昇、Al-P上昇、γ-GTP上昇、尿ウロビリノーゲン上昇。
4). 腎臓:(0.1~5%未満)BUN上昇、(0.1%未満)血清クレアチニン上昇、頻尿、(頻度不明)乏尿、血尿。
5). 消化器:(0.1~5%未満)腹痛、下痢、嘔気、嘔吐、食欲不振、(頻度不明)血中アミラーゼ上昇、舌変色。
6). 精神神経系:(0.1%未満)しびれ感、振戦、(頻度不明)幻覚、譫妄、激越、ジスキネジア。
7). 菌交代症:(0.1%未満)口内炎、カンジダ症。
8). ビタミン欠乏症:(0.1%未満)ビタミンK欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾向等)、ビタミンB群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、神経炎等)。
9). その他:(0.1~5%未満)注射部位の疼痛及び硬結、(0.1%未満)頭痛、倦怠感、浮腫、胸痛、味覚異常、血清ナトリウム低下、血清カリウム上昇・血清カリウム低下。
その他の副作用の項に記載の頻度は、原則として点滴用製剤、筋注用製剤各々の調査結果のうち、発現頻度の高い方の値に基づく。
- 高齢者
- 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(生理機能が低下している高齢者では副作用があらわれやすい)、本剤は腎排泄型の薬剤である。なお、他の抗生物質(セフェム系、アミノグリコシド系等)を投与した高齢者において、ビタミンK欠乏による出血傾向があらわれたとの報告がある。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(点滴用製剤においてヒト母乳中へ移行することが報告されている)。
- 小児等
- 小児等に対する臨床試験は実施していない。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤調製時の注意添付リドカイン注射液は、ワンポイントカットアンプルであるが、アンプルカット部分をエタノール綿等で清拭してからカットすることが望ましい。懸濁液調製後は速やか(30分以内)に使用すること。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 同一部位への反復注射は行わないこと。
14.2.2. 神経走行部位を避けること。
14.2.3. 注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合は直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。
14.2.4. 筋注用に懸濁した溶液は静脈内への注射は絶対に避けること。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報本剤投与患者において、イミペネムが分解され、尿が赤褐色を呈することがある。
15.2. 非臨床試験に基づく情報15.2.1. イミペネムをウサギに100mg/kg以上及びサルに180mg/kg1回静脈内投与すると、BUN上昇、クレアチニン上昇及び腎近位尿細管上皮細胞壊死を主症状とする腎障害が認められたが、この腎障害はシラスタチンを同量配合することにより完全に消失した。一方、ラットではイミペネムを1000mg/kg1回静脈内投与しても腎毒性は発現しなかった。
15.2.2. 妊娠ザルに、臨床最大推奨用量の約2倍(体表面積換算値)のイミペネム・シラスタチンを器官形成期に静脈内投与した結果、催奇形性は認められなかったが、胚損失増加したとの報告がある。
16.1 血中濃度
健康成人に本剤を筋注して得られた血中濃度は添付文書の図に示すとおりであり、イミペネムの血中濃度は用量依存性を示す。
図 イミペネムの血中濃度
16.3 分布
16.3.1 組織内移行
点滴用製剤において、イミペネムは、ヒトの喀痰、前立腺、腎、胆嚢、胆汁、腹腔内滲出液、子宮、骨盤死腔滲出液、骨髄、羊水、乳汁等への移行が認められている。
16.5 排泄
主として腎より排泄され、健康成人に本剤0.25g(力価)/0.25g及び0.5g(力価)/0.5gを筋注後24時間までのイミペネムの平均尿中回収率は53.0及び48.0%である。
また、本剤0.5g(力価)/0.5gを筋注後のイミペネムの尿中濃度は1時間までで582.7μg/mL、1~2時間で973.5μg/mL、2~4時間で637.3μg/mL、4~6時間で329.7μg/mL、8~10時間で56.6μg/mL、12~15時間で29.3μg/mLである。
注)本剤の承認用量は、通常成人に1日0.5~1.0g(力価)であり、年齢・症状により適宜増減する。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
国内で実施された臨床試験のうち、筋注用製剤235例及び点滴用製剤2,313例(3種の比較試験を含む)における適応疾患についての疾患別成績概要は次表のとおりである。筋注用製剤における総有効率は79.7%を示した。(副島林造 他:Chemotherapy,40(1):60,1992などより集計)
表 疾患別臨床効果
→図表を見る(PDF)
18.1 作用機序
イミペネムは細菌のペプチドグリカン細胞壁の特異的合成阻害により強力な殺菌作用を有する。
18.2 抗菌作用
イミペネムは嫌気性菌を含むグラム陽性及びグラム陰性菌に対し広範な抗菌スペクトルを有し、特に黄色ブドウ球菌、腸球菌、緑膿菌及びバクテロイデス・フラジリスに対しセフチゾキシム、セフォペラゾン等の第3世代セフェム系抗生物質よりも強い抗菌力を示す。更に、β‐ラクタマーゼに対し安定であり、かつ緑膿菌、大腸菌等のグラム陰性菌の産生するβ‐ラクタマーゼに対し阻害作用を示す(in vitro)。
18.3 シラスタチンナトリウムの薬理作用
イミペネムは優れた抗菌力を示すにもかかわらず、腎の酵素dehydropeptidase‐Iにより代謝を受け、不活性化されることから、この不活性化を抑制するためにシラスタチンナトリウムが配合された。シラスタチンナトリウムは、dehydropeptidase‐Iによるイミペネムの代謝・不活性化を抑制するのみならず、動物実験でみられるイミペネムの腎毒性も抑制する。なお、シラスタチンナトリウムには抗菌活性が認められず、イミペネムの抗菌活性にも影響を与えない。
注)菌種名は承認申請資料に基づき記載している。
- 製造販売会社
- MSD
- 販売会社
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