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ザイボックス注射液600mg

販売名
ザイボックス注射液600mg
薬価
600mg300mL1袋 11402.00円
製造メーカー
ファイザー

添付文書情報2021年05月改定(第2版)

商品情報

薬効分類名
その他の合成抗菌剤
一般名
リネゾリド注射液
警告
本剤の耐性菌の発現を防ぐため、「5.効能又は効果に関連する注意」、「8.重要な基本的注意」の項を熟読の上、適正使用に努めること。
禁忌
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
効能・効果
1). 本剤に感性のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA):敗血症、深在性皮膚感染症、慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、肺炎。
2). 本剤に感性のバンコマイシン耐性エンテロコッカス・フェシウム:各種感染症。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として他の抗菌薬及び本剤に対する感受性(耐性)を確認すること〔18.2.2参照〕。
用法・用量
通常、成人及び12歳以上の小児にはリネゾリドとして1日1200mgを2回に分け、1回600mgを12時間ごとに、それぞれ30分~2時間かけて点滴静注する。
通常、12歳未満の小児にはリネゾリドとして1回10mg/kgを8時間ごとに、それぞれ30分~2時間かけて点滴静注する。なお、1回投与量として600mgを超えないこと。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 点滴静注、経口投与及び切り替え投与のいずれの投与方法においても、28日を超える投与の安全性及び有効性は検討されていない。したがって、原則として本剤の投与は28日を超えないことが望ましい〔8.6参照〕。
7.2. 本剤はグラム陽性菌に対してのみ抗菌活性を有するため、グラム陰性菌等を含む混合感染と診断された場合、又は混合感染が疑われる場合は適切な薬剤を併用して治療を行うこと。
7.3. 注射剤から錠剤への切り替え
注射剤からリネゾリドの投与を開始した患者において、経口投与可能であると医師が判断した場合は、同じ用量の錠剤に切り替えることができる。
腎機能障害患者
8.1. 本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、次のことに注意すること。
・ 感染症の治療に十分な知識と経験を持つ医師又はその指導のもとで投与を行うこと。
・ 投与期間は、感染部位、重症度、患者の症状等を考慮し、適切な時期に、本剤の継続投与が必要か判定し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
8.2. 骨髄抑制があらわれることがあるので、血液検査を定期的(週1回を目処)に実施すること〔9.1.1、11.1.1参照〕。
8.3. 乳酸アシドーシス等の代謝性アシドーシスがあらわれることがあるので、嘔気、嘔吐の症状が繰り返しあらわれた場合には、直ちに医師の診断を受けるよう患者を十分指導すること〔11.1.2参照〕。
8.4. 低ナトリウム血症があらわれることがあるので、定期的に血清ナトリウム値の測定を行うこと〔11.1.7参照〕。
8.5. まれに発熱、腹痛、白血球増多、粘液便・血液便を伴う激症下痢を主症状とする重篤な大腸炎で、内視鏡検査により偽膜斑等の形成をみる偽膜性大腸炎があらわれることがあり、発症後直ちに投与を中止しなければ電解質失調、低蛋白血症等に陥り、特に高齢者及び衰弱患者では予後不良となることがある。したがって本剤を投与する場合には、投与患者に対し、投与中又は投与後2~3週間までに腹痛、頻回な下痢があらわれた場合、直ちに医師に通知するよう注意すること〔11.1.8参照〕。
8.6. 本剤を28日を超えて投与した場合、視神経障害があらわれることがあり、更に視力喪失に進行する可能性があるので観察を十分に行うこと。また、視力低下、色覚異常、霧視、視野欠損のような自覚症状があらわれた場合、直ちに医師に連絡するように患者を指導すること〔7.1、11.1.3参照〕。
8.7. 本剤によるショック、アナフィラキシーの発生を確実に予知できる方法がないので、次の措置をとること。
・ 事前に既往歴等について十分な問診を行う(なお、抗生物質等によるアレルギー歴は必ず確認する)。
・ 投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備をしておくこと。
・ 投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分な観察を行う(特に、投与開始直後は注意深く観察する)。
8.8. 抗菌薬の使用は、非感受性菌の過剰増殖を促進する可能性があるので、治療中に重複感染が発現した場合には、適切な処置を行うこと。
9.1.1. 投与前に貧血、投与前に白血球減少症、投与前に汎血球減少症、投与前に血小板減少症等の投与前に骨髄抑制が確認されている患者、骨髄抑制作用を有する薬剤との併用が必要な患者、感染症のため長期にわたり他の抗菌薬を本剤の投与前に投薬されていた、あるいは、他の抗菌薬を本剤と併用して投薬される患者、14日を超えて本剤を投与される可能性のある患者:血液検査値に注意すること(貧血、白血球減少症、汎血球減少症、血小板減少症等の骨髄抑制の傾向や貧血悪化、白血球減少症悪化、汎血球減少症悪化、血小板減少症悪化等の骨髄抑制悪化が認められた場合には、本剤の投与中止等の適切な処置を行うこと)〔8.2、11.1.1参照〕。
9.1.2. 体重40kg未満の患者:貧血の発現頻度が高くなる傾向が認められている。
9.2.1. 高度腎機能障害のある患者〔16.1.3参照〕。
9.2.2. 血液透析患者:血液透析後にリネゾリドを投与することが望ましい〔13.1、16.1.3参照〕。
相互作用
10.2. 併用注意:1). モノアミン酸化酵素<MAO>阻害剤(セレギリン塩酸塩)[両薬剤が相加的に作用し血圧上昇等があらわれるおそれがある(本剤は非選択的、可逆的MAO阻害作用を有する)]。
2). アドレナリン作動薬(ドパミン塩酸塩、アドレナリン、フェニルプロパノールアミン塩酸塩含有医薬品等)[血圧上昇、動悸があらわれることがあるので、患者の状態を観察しながら、これらの薬剤の初回量を減量するなど用量に注意すること(本剤は非選択的、可逆的MAO阻害作用を有する)]。
3). セロトニン作動薬(炭酸リチウム、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤<SNRI>、選択的セロトニン再取り込み阻害剤<SSRI>、トラマドール塩酸塩、トリプタン系薬剤、L-トリプトファン含有製剤等)[セロトニン症候群の徴候及び症状(錯乱、せん妄、情緒不安、振戦、潮紅、発汗、超高熱)があらわれるおそれがあるので、十分に注意し、これらの徴候や症状が認められた場合には、本剤と併用薬の両方あるいはいずれか一方の投与を中止するなど適切な処置を行うが、なお、セロトニン作動薬の急激な減量又は投与中止により離脱症状があらわれることがあるので注意すること(本剤は非選択的、可逆的MAO阻害作用を有する)]。
4). リファンピシン[リファンピシンとの併用により本剤のCmax及びAUCがそれぞれ21%及び32%低下した(機序不明)]。
5). チラミンを多く含有する飲食物(チーズ、ビール、赤ワイン等[チラミン含有量:チーズ;0~5.3mg/10g、ビール;1.1mg/100mL、赤ワイン;0~2.5mg/100mL])[血圧上昇、動悸があらわれることがあるので、本剤投与中には、チラミン含有量の高い飲食物の過量摂取(1食あたりチラミン100mg以上)を避けさせること(本剤は非選択的、可逆的MAO阻害作用を有する)]。
副作用
次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重大な副作用
11.1. 重大な副作用
11.1.1. 骨髄抑制:投与中止によって回復しうる貧血(4.8%)・白血球減少症(1.9%)・汎血球減少症(0.8%)・血小板減少症(11.9%)等の骨髄抑制があらわれることがある。なお、本剤の臨床試験において、14日を超えて本剤を投与した場合に血小板減少症の発現頻度が高くなる傾向が認められている〔8.2、9.1.1参照〕。
11.1.2. 代謝性アシドーシス(0.2%):乳酸アシドーシス等の代謝性アシドーシスがあらわれることがあるので、嘔気、嘔吐の症状が繰り返しあらわれた場合や原因不明のアシドーシスもしくは血中重炭酸塩減少等の症状があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと〔8.3参照〕。
11.1.3. 視神経症(頻度不明)〔8.6参照〕。
11.1.4. ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(頻度不明)。
11.1.5. 間質性肺炎(0.1%)。
11.1.6. 腎不全(0.3%):クレアチニン上昇、BUN上昇等を伴う腎不全があらわれることがある。
11.1.7. 低ナトリウム血症(0.9%):意識障害、嘔気、嘔吐、食欲不振等を伴う低ナトリウム血症があらわれることがある〔8.4参照〕。
11.1.8. 偽膜性大腸炎(頻度不明):腹痛、頻回の下痢があらわれた場合には直ちに投与を中止するなど、適切な処置を行うこと〔8.5参照〕。
11.1.9. 肝機能障害(頻度不明):AST上昇、ALT上昇、LDH上昇、Al-P上昇、γ-GTP上昇等を伴う肝機能障害があらわれることがある。
11.2. その他の副作用
1). 血液:(0.1~1%未満)好酸球増加症、(0.1%未満)血小板血症、白血球増加症、(頻度不明)好中球減少症、紫斑。
2). 代謝・栄養:(0.1~1%未満)リパーゼ増加、アミラーゼ増加、低クロール血症、高血糖、高カリウム血症、低カリウム血症、高尿酸血症、(0.1%未満)CK増加、脱水、(頻度不明)痛風、低カルシウム血症、体重増加。
3). 神経:(0.1~1%未満)浮動性めまい、(0.1%未満)痙攣、意識消失、振戦、落ち着きのなさ、傾眠、失見当識、(頻度不明)末梢神経障害、一過性脳虚血発作、回転性めまい、感覚鈍麻、錯感覚、不眠症、不安、多幸症、幻覚。
4). 感覚器:(頻度不明)霧視、眼障害、視覚異常、瞳孔反射障害、耳鳴、耳障害、味覚消失、味覚倒錯。
5). 循環器:(0.1%未満)上室性期外収縮、高血圧、動悸、血栓性静脈炎、(頻度不明)QT延長、頻脈、低血圧、血管拡張、静脈炎。
6). 呼吸器:(0.1~1%未満)呼吸困難、(0.1%未満)肺炎、肺水腫、気胸、(頻度不明)咳嗽、喘鳴、咽頭炎、気管炎、気管支炎、胸水、鼻出血。
7). 消化器:(1%以上)下痢、(0.1~1%未満)悪心、嘔吐、食欲不振、食道炎・胃腸炎、(0.1%未満)胃腸出血、腹痛、麻痺性イレウス、口渇、胃食道逆流、(頻度不明)腹部膨満、口唇炎、口内炎、口腔内潰瘍、口腔内白斑症、舌障害、舌炎、舌変色、歯変色、食欲亢進、膵炎、消化不良、便秘、メレナ。
8). 肝臓:(1%以上)肝機能検査値異常、(0.1~1%未満)ビリルビン血症、AST増加、ALT増加、γ-GTP増加、ALP増加、(頻度不明)LDH増加、肝炎。
9). 皮膚:(1%以上)発疹、(0.1%未満)皮膚水疱、(頻度不明)皮膚炎、斑状丘疹状皮疹、剥脱性皮膚炎、皮膚単純疱疹、湿疹、紅斑、蕁麻疹、皮膚感染、真菌性皮膚炎、皮膚びらん、皮膚そう痒、皮膚刺激、過敏性血管炎。
10). 筋・骨格:(0.1%未満)筋痛。
11). 泌尿器・生殖器:(0.1%未満)排尿困難、頻尿、多尿、(頻度不明)腟痛、腟感染、性器分泌物、不正子宮出血、陰茎感染。
12). その他:(0.1~1%未満)網状赤血球減少症、血管痛、浮腫、倦怠感、網状赤血球数増加、(0.1%未満)頭痛、背部痛、発熱、カンジダ症、下肢脱力、β-HCG増加、(頻度不明)血管神経性浮腫、顔面浮腫、アレルギー反応、光線過敏性反応、無力症、疲労、悪寒、発汗、粘膜乾燥、膿瘍、真菌感染、注射部/血管カテーテル部浮腫、注射部/血管カテーテル部そう痒感、注射部/血管カテーテル部疼痛、注射部/血管カテーテル部静脈炎/血栓性静脈炎、注射部/血管カテーテル部反応。
授乳婦
妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが認められている)。
小児等
投与間隔を12時間ごとにすることを考慮すること(生後7日目までの早産<在胎34週未満>新生児においてクリアランスが低い値を示し、7日目以降にクリアランスは迅速に増加するとの報告がある)〔16.1.7参照〕。
取扱い上の注意
14.1. 薬剤投与前の注意14.1.1. 投与前に、不溶物の認められるものは使用しないこと。
14.1.2. バッグを押すことにより液漏れの有無の確認を行うこと(液漏れが認められた場合には、無菌性が損なわれている可能性があるため使用しないこと)。
14.1.3. バッグの液目盛りはおよその目安として使用すること。
14.1.4. 本剤は、時間の経過とともに黄色を呈することがあるが、効力に影響を及ぼすことはない。
14.2. 薬剤調製時の注意14.2.1. 配合変化:本剤は、次の薬剤と配合禁忌である:アムホテリシンB、クロルプロマジン塩酸塩、ジアゼパム、ペンタミジンイセチオン酸塩、エリスロマイシンラクトビオン酸塩、フェニトインナトリウム、スルファメトキサゾール・トリメトプリム、セフトリアキソンナトリウム。
14.2.2. 本剤に他の薬剤を注入して使用しないこと。
14.3. 薬剤投与時の注意14.3.1. 本剤を他の薬剤と併用投与する場合には、各薬剤の定められた用法・用
量に従い、別々に投与すること。
14.3.2. 本剤と他の薬剤を同一の輸液チューブにより連続注入する場合には、本剤及び他の薬剤と配合変化を起こさない輸液(生理食塩液)を本剤の投与前後に輸液チューブ内に流すこと。
14.3.3. 投与は、バッグの青色ポートより行い、白色ポートは使用しないこと。
14.3.4. 本剤は、軟らかいバッグであるので、大気圧で自然に内容液が排出されるため、通気針は不要である。
14.3.5. U字管連結は行わないこと。
14.3.6. 本剤は添加剤としてブドウ糖水和物5%(1バッグ300mL中、15.072g)を含有する。点滴静注する場合の速度は、10mL/kg/hr(ブドウ糖水和物として0.5g/kg/hr)以下とすること。
14.3.7. 本剤は、調製不要の使い切りバッグであるので残液は使用しないこと。
本品を包んでいる外袋は遮光性の包材を使用しているので、製品の品質を保持するため、使用時まで開封しないこと。
その他の注意
15.2. 非臨床試験に基づく情報15.2.1. イヌにおける1ヵ月間反復経口投与毒性試験(0、20、40及び80mg/kg/日:AUCの比較で、ヒトの経口投与及び静脈内投与における曝露量のそれぞれ0.4倍以上及び0.8倍以上)において、対照群を含み投与群の雄に前立腺低形成、精巣低形成及び精巣上体低形成が報告されているが、イヌにおける他の反復投与毒性試験では生殖器に変化は認められていない。
15.2.2. ラットにおける授胎能・生殖能(受胎能・生殖能)及び授乳期における生殖試験(0、2.5、15及び50mg/kg/日)において、高用量群(AUCの比較で、ヒトの経口投与及び静脈内投与における曝露量のそれぞれ0.7倍及び1.3倍に相当)に軽度の精子運動能低下が報告されている。幼若ラットにおける反復投与試験(100mg/kg/日、22~35日齢)では、可逆的な精子運動性低下及び可逆的な精子形態変化が、いずれも可逆的な変化として認められた。このときの曝露量は、3ヵ月齢~11歳の小児患者(外国人)で認められるAUCの5.9倍であった。
15.2.3. 幼若雄ラットにおける反復投与試験(7~36日齢に50mg/kg/日、37~55日齢に100mg/kg/日)では、軽度の授胎能低下が認められた。このときの曝露量は、3ヵ月齢~11歳の小児患者(外国人)で認められるAUCの5.1倍であった。
15.2.4. 雌ラットの妊娠及び授乳期にリネゾリド50mg/kg/日投与群(AUCの比較で、ヒトの経口投与及び静脈内投与における曝露量のそれぞれ0.7倍及び1.3倍に相当)において、生後1~4日における新生仔生存率低下した。
15.2.5. ラットにおける雄性生殖能回復試験(0、50及び100mg/kg/日、9週間投与)において、高用量群(AUCの比較で、ヒトの経口投与及び静脈内投与における曝露量のそれぞれ2.1倍及び4.0倍に相当)で投与4週目のテストステロン値減少がみられたが、回復12週目のテストステロン値に変化はみられていないと報告されている。雄性ラットにおける他の生殖能試験では、テストステロン値の減少は認められていない。

16.1 血中濃度
16.1.1 健康成人
リネゾリドを単回又は反復経口投与又は点滴静注した後の平均薬物動態パラメータを、表1に要約する。
リネゾリド600mgを12時間ごとに反復静脈内持続投与(30分)した後のリネゾリドの平均最低血漿中濃度(Cmin)は3.68μg/mL、平均最高血漿中濃度(Cmax)は15.1μg/mLと計算され、反復静脈内持続投与後の血漿中濃度は適応菌種におけるMIC90(≦4μg/mL)を概ね上回った。リネゾリド625mgを1日2回12時間ごとに反復静脈内持続投与した後の定常状態における血漿中濃度推移を添付文書の図1に示す(外国人及び日本人データ)。
表1.リネゾリドの薬物動態パラメータの平均(標準偏差、外国人)
→図表を見る(PDF)

図1.リネゾリド625mgを1日2回12時間ごとに反復静脈内持続投与(30分)した後の定常状態における血漿中濃度推移(平均値±標準偏差、外国人、n=6)

なお、日本人健康成人にリネゾリド600mg1日2回反復静脈内投与した後の定常状態における薬物動態パラメータ(平均値±標準偏差)については、Cmaxは19.9±0.7μg/mL、AUCは110.5±9.8μg・h/mL、t1/2は5.3±0.6hであった。体重(kg)あたりのCLは1.55±0.18mL/min/kgであり、欧米人のCLと同様な値を示した。
16.1.2 患者
日本人及び外国人の患者から得られたリネゾリド血漿中濃度を用いて母集団薬物動態解析法により検討したところ、リネゾリドの薬物動態は、体重及び年齢の影響を受け、体重70kg年齢40歳、及び体重40kg年齢80歳のそれぞれの患者にリネゾリド1時間の静脈内持続注入後におけるAUCはそれぞれ241.3及び473.5μg・h/mL、Cmaxはそれぞれ16.5及び30.1μg/mL、t1/2は6.9及び8.2hと推定されるが、この薬物動態の変化により、忍容性の範囲を超えることはないと考えられる。
16.1.3 腎機能障害患者
腎機能障害により、リネゾリドの薬物動態は変化しなかった。しかし、2種の主要代謝物、アミノエトキシ酢酸代謝物(A)及びヒドロキシエチルグリシン代謝物(B)については、腎機能障害の程度が高くなるに従い、AUCの増加がみられた(表2)。腎機能障害により、リネゾリドの血漿中濃度推移は変化せず、腎機能障害患者において、投与量調節の必要はないものと考えられるが、主要代謝物の蓄積性については、臨床的に十分に検討されていない。
血液透析によりリネゾリドと2種の主要代謝物は除去される。血液透析患者において、リネゾリドを投与した3時間後から血液透析を開始したところ、投与量の約30%が3時間の血液透析により消失した。血液灌流によるリネゾリドの除去については、データが得られていない。また、腹膜透析時におけるリネゾリドの薬物動態については検討していない(外国人データ)。[9.2.1、9.2.2、13.1参照]
表2.腎機能障害患者及び健康成人にリネゾリド600mgを単回経口投与した後のリネゾリド、アミノエトキシ酢酸代謝物(A)及びヒドロキシエチルグリシン代謝物(B)のAUC及びt1/2の平均値(標準偏差)
→図表を見る(PDF)

16.1.4 肝機能障害患者
軽度ないし中等度の肝機能障害患者におけるリネゾリドの薬物動態は、健康成人と比較し、変化しなかった。重度肝機能障害患者におけるリネゾリドの薬物動態については検討していない(外国人データ)。
16.1.5 高齢者
高齢者(65歳以上の患者)におけるリネゾリドの薬物動態は、それ以外の成人(患者)と同様であった(外国人データ)。
16.1.6 性差(健康成人)
女性におけるリネゾリドの血漿中濃度は男性よりも高値を示し、分布容積は男性よりも低値を示した。リネゾリドを600mg単回経口投与した後の平均クリアランスは、女性のほうが男性よりわずかに低値を示したが、平均の見かけの消失速度定数又は平均半減期に有意な性差は認められなかった。したがって、女性において血漿中濃度が増加しても、忍容性が認められる範囲を超えることはないと考えられる(外国人データ)。
16.1.7 小児患者
(1)リネゾリド10mg/kgを小児に単回点滴静注した後の平均薬物動態パラメータを、表3に要約する。
リネゾリド10mg/kgを静脈内投与した小児患者のCmaxについては、リネゾリド600mgを投与した成人との類似性が認められたが、小児(生後1週~11歳)の体重(kg)あたりの平均クリアランスは大きく、見かけの消失半減期が短くなることが明らかとなっている(外国人データ)。[9.7参照]
表3.小児に単回点滴静注した後の薬物動態パラメータの平均(%CV)
→図表を見る(PDF)

(2)脳室腹腔短絡術を施行した小児患者にリネゾリド単回及び反復投与後の薬物動態学的知見から、脳脊髄液中リネゾリド濃度はバラツキが大きく、有効濃度に確実に到達しない又は維持しないことが示されている。脳室腹腔短絡術を施行した小児患者(8例、0.2~11.6歳)にリネゾリド10mg/kgを8時間ごとに反復点滴静注したとき、定常状態時における脳室液中リネゾリド濃度のCmax及びCmin(平均値±標準偏差及び範囲)はそれぞれ5.84±2.77μg/mL(1.82~9.34μg/mL)及び1.94±1.63μg/mL(0.335~4.62μg/mL)であった(外国人データ)。
16.2 吸収(健康成人)
リネゾリドは、経口投与(錠剤)後に速やかに吸収された。最高血漿中濃度には投与後1~2時間で到達し、生物学的利用率は約100%であった。
リネゾリドを高脂肪食摂取直後に投与したとき、Tmaxは投与後1.5時間から2.2時間に遅れ、Cmaxは約17%減少したが、AUCは空腹時投与と同様の値を示した(外国人データ)。
16.3 分布(健康成人)
リネゾリドは、ヒトにおいて生体中広範囲に速やかに分布した。リネゾリドの血漿蛋白結合率は約31%で、0.1~100μg/mLの広範囲において一定値を示した。定常状態時の分布容積は、健康成人において平均40~50Lであった。
健康成人において、リネゾリドの唾液中濃度と血漿中濃度の比率は1.2:1、汗中濃度と血漿中濃度は0.55:1であった(外国人データ)。
16.4 代謝
リネゾリドは、生体中にて主にモルホリン環の酸化によりモルホリン環が開環し2種の抗菌活性を示さない代謝物、アミノエトキシ酢酸代謝物(A)及びヒドロキシエチルグリシン代謝物(B)が生成する。代謝物Bは、in vitro試験の結果より、非酵素的酸化反応により生成するものと考えられる。
16.5 排泄(健康成人)
腎外クリアランスは、リネゾリドの全身クリアランスの約65%を占めた。定常状態では、投与量の約30%がリネゾリドとして、40%が代謝物Bとして、10%が代謝物Aとして尿中に排泄された。リネゾリドの腎クリアランス(平均40mL/min)は糸球体ろ過速度よりも低く、尿細管における再吸収の可能性が示唆された。糞中にはリネゾリドとしてはほとんど排泄されず、投与量の約6%が代謝物Bとして、3%が代謝物Aとして排泄された。
リネゾリドの用量増加に伴って、クリアランスにわずかな減少が認められた。また、投与量が増加するに伴い、リネゾリドの腎クリアランス及び腎外クリアランスはわずかに低下したが、見かけの消失半減期に変化はみられなかった(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 チトクロームP450により代謝される薬物
リネゾリドはヒトチトクロームP450(CYP)により代謝されないと考えられ、ヒトCYP1A2、2C9、2C19、2D6、2E1、3A4の活性を阻害しなかった。リネゾリドの併用投与は、主にCYP2C9によって代謝される(S)‐ワルファリンの薬物動態をほとんど変化させなかった。
リネゾリドは、動物実験(ラット)においてCYPを誘導しなかった。
16.7.2 抗生物質(健康成人)
(1)アズトレオナム:リネゾリド又はアズトレオナムの薬物動態は、併用投与により変化しなかった(外国人データ)。
(2)ゲンタマイシン:リネゾリド又はゲンタマイシンの薬物動態は、併用投与により変化しなかった(外国人データ)。

17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)感染症〉
17.1.1 海外第III相試験
VRE感染症あるいはVRE感染症が疑われる成人患者を対象として、注射剤、錠剤あるいは注射剤から錠剤への切り替え投与によって、高用量(600mg1日2回)と低用量(200mg1日2回注))を比較する無作為化多施設二重盲検試験(投与期間7~28日)を行った。
この試験(注射剤、錠剤あるいは注射剤から錠剤への切り替えを用いた試験)における有効率は次のとおりである。
→図表を見る(PDF)

このうち、菌血症を伴うVRE感染症に対する有効率は、600mg1日2回投与で59%(10/17)、200mg1日2回投与で29%(4/14)であった。
高用量(600mg1日2回)投与群における安全性評価対象例79例中、副作用の発現症例は20例(25.3%)であった。その主なものは、血小板減少3例(3.8%)、便失禁2例(2.5%)、嘔吐2例(2.5%)及び発疹2例(2.5%)等であった。
注)本剤の承認用量は、1回600mgを12時間ごとに投与(ただし、12歳未満の小児には1回10mg/kgを8時間ごとに投与)
〈メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症〉
17.1.2 国内第III相試験
MRSA感染症あるいはMRSA感染症が疑われる成人患者を対象として、注射剤から錠剤への切り替え投与を可能とした臨床試験(投与期間7~28日)を行った。
投与終了時の有効率は次のとおりである。
→図表を見る(PDF)

安全性評価対象例100例中、副作用の発現症例は55例(55.0%)であった。その主なものは、血小板減少症19例(19.0%)、貧血13例(13.0%)、下痢10例(10.0%)、白血球減少症7例(7.0%)及び低ナトリウム血症7例(7.0%)等であった。

18.1 作用機序
リネゾリドは細菌リボソームと結合し、翻訳過程の70S開始複合体の形成を妨げ、細菌の蛋白合成を阻害する。一方、ポリソームの伸長あるいはペプチド結合の合成は阻害せず、作用機序は従来の抗菌薬と異なる。
18.2 抗菌作用
18.2.1 抗菌力
リネゾリドはバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)及びメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)に対して抗菌力を有する。日本、米国及び欧州で実施された試験における検討で、VRE(Enterococcus faecium、Enterococcus faecalis)及びMRSAに対するリネゾリドのMIC90値は、いずれも≦4μg/mL(Clinical and Laboratory Standards Institute(CLSI)の標準法に準ずる)であった。なお、Enterococcus faecalisは臨床経験が少ないため、適応外である。
18.2.2 感受性試験方法及び判定基準
VRE及びMRSAのうち本剤感受性菌とする際の試験法・判定基準は、CLSIの標準法に準ずる。[5.1参照]
リネゾリドの感受性判定基準
→図表を見る(PDF)

18.3 耐性
18.3.1 VRE及びMRSAに対して、リネゾリドと既存の抗菌薬との間に交差耐性の報告はない。
18.3.2 In vitro試験において、Staphylococcus aureus及びStaphylococcus epidermidisにおける自然発生変異の頻度は10の-8乗~10の-11乗であった。また、薬剤の増量的継代培養による試験管内耐性獲得試験におけるEnterococcus faecium及びEnterococcus faecalisを用いた20回の継代培養で、各々の菌種でMICは4μg/mLから8μg/mL及び2μg/mLから64μg/mLに感受性の低下が認められた。また、Staphylococcus aureusでは19回の継代培養で、4μg/mLから>64μg/mLに感受性の低下が認められた。

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