ピフェルトロ錠100mg
添付文書情報2023年08月改定(第4版)
商品情報
- 禁忌
- 2.1. カルバマゼピン投与中、フェノバルビタール投与中、フェニトイン投与中、ホスフェニトイン投与中、エンザルタミド投与中、リファンピシン投与中、ミトタン投与中、セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品摂取中(St.John’s Wort)の患者〔10.1、16.7.2参照〕。
2.2. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- HIV-1感染症。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 次のいずれかのHIV-1感染症患者に使用すること。
・ 抗HIV薬による治療経験がない患者に使用すること。
・ ウイルス学的失敗の経験がなく、切り替え前に6ヵ月間以上ウイルス学的抑制(HIV-1 RNA量が50copies/mL未満)が得られており、ドラビリンに対する耐性関連変異を持たず、本剤への切り替えが適切であると判断される抗HIV薬既治療患者に使用すること。
5.2. 本剤による治療にあたっては、患者の治療歴及び可能な場合には薬剤耐性検査(遺伝子型解析あるいは表現型解析)を参考にすること。
- 用法・用量
- 通常、成人にはドラビリンとして100mgを1日1回経口投与する。本剤は、食事の有無にかかわらず投与できる。投与に際しては、必ず他の抗HIV薬と併用すること。
(用法及び用量に関連する注意)
本剤とリファブチンを併用投与する場合は、本剤100mgを約12時間の間隔を空けて1日2回に増量すること(なお、リファブチンの併用を中止した場合は、本剤100mgを1日1回に減量すること)〔10.2、16.7.2参照〕。
- 特定の背景を有する患者に関する注意
- 8.1. 本剤の使用に際しては、国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に、患者又はそれに代わる適切な者に、次の事項についてよく説明し同意を得た後、使用すること。
・ 本剤はHIV感染症の根治療法薬ではないことから、日和見感染を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので、本剤投与開始後の身体状況の変化については、すべて担当医に報告すること。
・ 本剤の長期投与による影響については、現在のところ不明であること。
・ 本剤の抗ウイルス効果を最大にするために、担当医の指示なしに用量を変更したり、服用を中止したりしないこと。
・ 本剤は併用薬剤と相互作用を起こすことがあるため、服用中のすべての薬剤を担当医に報告すること。また、本剤で治療中に新たに他の薬剤を服用する場合、事前に担当医に相談すること。
8.2. 本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で、免疫再構築症候群が報告されている(投与開始後、免疫機能が回復し、症候性のみならず無症候性日和見感染に対する炎症反応(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス、サイトメガロウイルス、ニューモシスチス等によるもの)等が発現することがあり、また、免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので、これらの症状を評価し、必要時には適切な治療を考慮すること)。
- 相互作用
- ドラビリンは主にCYP3A4で代謝される〔16.4参照〕。
10.1. 併用禁忌:カルバマゼピン<テグレトール>、フェノバルビタール<フェノバール>、フェニトイン<アレビアチン>、ホスフェニトイン<ホストイン>、エンザルタミド<イクスタンジ>、リファンピシン<リファジン>、ミトタン<オペプリム>、セイヨウオトギリソウ<セント・ジョーンズ・ワート>含有食品(St.John’s Wort)〔2.1、16.7.2参照〕[本剤の血漿中濃度が低下し治療効果が減弱するおそれがある(これらの薬剤及び食品の強力なCYP3A4誘導作用により、本剤の代謝が促進されると予測される)]。
10.2. 併用注意:リファブチン〔7.用法及び用量に関連する注意の項、16.7.2参照〕[本剤の血漿中濃度が低下し治療効果が減弱するおそれがある(リファブチンのCYP3A4誘導作用
により、本剤の代謝が促進される)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 11.2. その他の副作用
1). 胃腸障害:(2%以上5%未満)悪心、下痢。
2). 一般・全身障害および投与部位の状態:(2%以上5%未満)疲労。
3). 神経系障害:(2%以上5%未満)頭痛、浮動性めまい。
4). 精神障害:(2%以上5%未満)異常な夢。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(ラット及びウサギにおいて胎盤移行が認められた。なお、臨床推奨用量の最大約9倍(ラット)及び約8倍(ウサギ)の曝露量で実施した生殖発生毒性試験において、妊娠及び胚胎仔発生への有害な影響はなかった)。
授乳を避けさせること(HIV母児感染の可能性があり、動物実験(ラット)において経口投与後にドラビリンの乳汁中への移行が認められているが、本剤がヒトの乳汁中に移行するか否かは不明である)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 湿気を避けるため、瓶のまま密栓して保存し、常時乾燥剤を入れておくこと。
16.1 血中濃度
健康被験者に本剤を単回経口投与した際のドラビリンの血漿中薬物動態パラメータを表1に示す。
表1 ドラビリンの薬物動態パラメータ(健康被験者)
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健康被験者にドラビリン30~240mgを1日1回反復経口投与したところ、2日目までに概して定常状態に到達し、単回投与時に比べAUC0-24hr、Cmax及びC24hrは1.2~1.4倍に増加した(外国人データ)。
母集団薬物動態解析で得られたドラビリン100mg1日1回反復経口投与時の定常状態でのHIV‐1感染患者の薬物動態パラメータを表2に示す(外国人データ)。
表2 ドラビリンの母集団薬物動態パラメータ(HIV‐1感染患者)
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16.2 吸収
16.2.1 バイオアベイラビリティ
本剤の絶対バイオアベイラビリティは約64%であった(外国人データ)。
16.2.2 食事の影響
高脂肪食を摂取した健康被験者に本剤1錠を投与したところ、ドラビリンのAUC及びC24hrはそれぞれ16%及び36%上昇したが、Cmaxに有意な影響は認められなかった(外国人データ)。
16.3 分布
ドラビリンはヒト血漿蛋白に約76%結合した(In vitroデータ)。
16.4 代謝
ドラビリンは主に酸化代謝により消失し、主としてCYP3A4によって代謝された(In vitroデータ)。[10.参照]
16.5 排泄
ドラビリンの腎排泄量は少なく、投与量の約6%が未変化体として尿中に排泄された(外国人データ)。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎機能障害患者
重度腎機能障害を有する被験者8例と腎機能正常被験者8例を比較した試験において、ドラビリン100mg単回経口投与時の血漿中曝露量(AUC)は重度腎機能障害を有する被験者の方が43%高かった(外国人データ)。母集団薬物動態解析では、ドラビリン100mgを1日1回投与した際の定常状態における血漿中曝露量(AUC)の幾何平均は、軽度及び中等度腎機能障害を有する患者では腎機能正常患者よりそれぞれ5%及び20%高いと予測された(外国人データ)。
16.6.2 肝機能障害患者
中等度(Child‐Pugh分類B)肝機能障害を有する被験者8例と肝機能正常被験者8例を比較した試験において、ドラビリン100mg単回経口投与時の血漿中曝露量(AUC)の幾何平均比(中等度肝機能障害/肝機能正常)は0.99であった(外国人データ)。
16.6.3 高齢者
第I相試験において、ドラビリン100mg単回経口投与時の血漿中曝露量(AUC)の幾何平均比(65歳以上/65歳未満)は0.85~0.97であった(外国人データ)。母集団薬物動態解析では、ドラビリン100mgを1日1回投与した際の定常状態における血漿中曝露量(AUC)の幾何平均は、65歳以上の患者で65歳未満の患者より30%高いと予測された(外国人データ)。
16.7 薬物相互作用
16.7.1 非臨床薬物相互作用試験
ドラビリンはP‐gpの基質であり、OATP1B1、OATP1B3、BCRP、P‐gp、OAT1、OAT3、OCT2、MATE1及びMATE2Kに対し阻害作用を示した(IC50値はそれぞれ39、31、51、>300、>75、16、67、>50及び>50μM)。
16.7.2 臨床薬物相互作用試験
臨床薬物相互作用試験の結果を表3及び表4に示す。[2.1、7.、10.1、10.2参照]
表3 併用薬がドラビリンの薬物動態に及ぼす影響(外国人データ)
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表4 ドラビリンが併用薬の薬物動態に及ぼす影響(外国人データ)
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注)本剤の承認された用量は1日1回100mgである。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 海外第III相試験[DRIVE‐FORWARD(018)試験]
抗HIV薬による治療経験のないHIV‐1 RNA量≧1,000copies/mLのHIV‐1感染症患者766例を対象に、ドラビリン(DOR)100mg1日1回投与又はダルナビル及びリトナビル(DRV+r)800/100mg1日1回投与した無作為化二重盲検比較試験を実施した。両群ともに背景治療としてエムトリシタビン(FTC)・テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩(TDF)又はアバカビル(ABC)・ラミブジン(3TC)のいずれかを投与した。48週時及び96週時の有効性の概要を表1に示す。本試験のDOR100mg1日1回投与群において、96週時点で383例中123例(32.1%)に副作用が認められた。主な副作用は、悪心27例(7.0%)、頭痛23例(6.0%)及び下痢22例(5.7%)であった。
表1 DRIVE‐FORWARD試験の有効性の概要(48週時及び96週時)
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17.1.2 海外第III相試験[DRIVE‐AHEAD(021)試験]
抗HIV薬による治療経験のないHIV‐1 RNA量≧1,000copies/mLのHIV‐1感染症患者728例を対象に、DOR(100mg)・3TC・TDF1日1回投与又はエファビレンツ(EFV)(600mg)・FTC・TDF1日1回投与した無作為化二重盲検比較試験を実施した。48週時及び96週時の有効性の概要を表2に示す。本試験のDOR(100mg)・3TC・TDF1日1回投与群において、96週時点で364例中116例(31.9%)に副作用が認められた。主な副作用は、浮動性めまい25例(6.9%)、悪心18例(4.9%)及び異常な夢18例(4.9%)であった。
表2 DRIVE‐AHEAD試験の有効性の概要(48週時及び96週時)
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17.1.3 海外第III相試験[DRIVE‐SHIFT(024)試験]
リトナビル又はコビシスタットを併用したPI、コビシスタットを併用したエルビテグラビル又はNNRTIにNRTI2剤を併用し、6ヵ月間以上ウイルス学的抑制が得られているHIV‐1感染症患者を対象に、DOR・3TC・TDFに切り替える無作為化非盲検試験を実施した。Immediate Switch群[ISG(Day1からDOR・3TC・TDFを投与)]又はDelayed Switch群[DSG(24週時にDOR・3TC・TDFに切り替えるまでベースラインレジメンを継続)]のいずれかに無作為に患者を割り付けた。
ISGの48週時及びDSGの24週時の有効性の概要を表3に示す。本試験のISGでは48週時点で447例中100例(22.4%)に副作用が認められた。主な副作用は、ALT増加10例(2.2%)及び頭痛7例(1.6%)であった。
表3 DRIVE‐SHIFT試験の有効性の概要
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17.3 その他
17.3.1 心電図に及ぼす影響
健康成人を対象にドラビリン1200mgの単回投与が心電図に及ぼす影響を評価した結果、QTc間隔に臨床的に有意な変化はなかった。
注)本剤の承認された用量は1日1回100mgである。
18.1 作用機序
ドラビリンは、ピリジノン型の非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NNRTI)であり、HIV‐1逆転写酵素を非競合的に阻害することにより、HIV‐1の複製を阻害する。ドラビリンは、ヒト細胞DNAポリメラーゼα、β及びミトコンドリアDNAポリメラーゼγを阻害しない。
18.2 In vitro抗ウイルス作用
GFPレポーター遺伝子導入MT4細胞に野生型HIV‐1実験室株を感染させた試験系において、100%正常ヒト血清存在下でのドラビリンのEC50値は12±4.4nmol/Lであった。HIV‐1分離株(A、A1、AE、AG、B、BF、C、D、G及びH)に対するドラビリンのEC50値は1.2~10nmol/Lの範囲であった。
18.3 薬剤耐性
18.3.1 In vitro試験
由来及びサブタイプの異なる野生型HIV‐1及びNNRTI耐性HIV‐1を細胞に感染させ、培養してドラビリン耐性株を選択した結果、HIV‐1逆転写酵素のV106A、V106M、V106I、V108I、F227L、F227C、F227V、H221Y、M230I、L234I、P236L及びY318F変異が認められた。
18.3.2 臨床試験
(1)抗HIV薬による治療経験のないHIV‐1感染症患者(48週時)
DRIVE‐FORWARD試験及びDRIVE‐AHEAD試験では、ウイルス学的失敗となった時点又は早期に試験中止となった時点のHIV‐1 RNA量が400copies/mL超であった耐性データを有する30例中7例において、ドラビリン耐性変異の発現が認められた。
逆転写酵素領域でのドラビリン耐性変異は、A98G、V106I、V106A、V106M/T、Y188L、H221Y、P225H、F227C、F227C/R及びY318Y/Fの変異を1つ以上含んでいた。
(2)抗HIV薬による治療経験のないHIV‐1感染症患者(48週時以降から96週時)
DRIVE‐FORWARD試験では、1例でV106A及びP225Hのドラビリン耐性変異の発現が認められ、この変異によりドラビリンに対する感受性が95倍を超えて低下した。DRIVE‐AHEAD試験では、ドラビリン耐性変異の発現は認められなかった。
(3)抗HIV薬による治療経験のあるHIV‐1感染症患者
DRIVE‐SHIFT試験のISG及びDSGでは、DOR・3TC・TDFの投与期間中に遺伝子型又は表現型解析において、新たな耐性変異の発現は認められなかった。DSGでは、ベースラインレジメンの継続期間中に1例でM184M/Iの変異及び3TC及びFTCに対する表現型耐性が認められた。ベースライン時にNNRTI耐性変異(K103N、G190A又はY181C)を有していた24例(ISG:11例、DSG:13例)では、48週時又は試験中止時までにウイルス学的失敗は認められなかった。
(4)NNRTI耐性変異を有する抗HIV薬による治療経験のないHIV‐1感染症患者[DRIVE‐BEYOND(030)試験]
逆転写酵素領域K103N、Y181C又はG190Aのいずれか一つのNNRTI耐性変異を有する治療経験のないHIV‐1感染症患者10例を対象に、1日1回DOR・3TC・TDFを投与した非盲検単群試験を実施した。9例が有効性解析の基準を満たした(1例はスクリーニング時に中央検査機関においてK103Nの変異が確認されなかった)。8例[K103N(7例)及びG190A(1例)]は48週時までの試験を完了し、全員がウイルス学的抑制(HIV‐1 RNA量50copies/mL未満)を達成した。なお、48週時以前に中止した2例は、中止前にウイルス学的抑制を達成した。試験期間中にその他の薬剤耐性変異を示した患者は認められなかった。
18.4 交差耐性
K103N、Y181C又はK103N/Y181C変異を有するHIV‐1実験室株では、100%正常ヒト血清存在下で評価した結果、ドラビリンに対する感受性が3倍未満に低下した。NNRTI耐性関連変異(K103N、Y181C、G190A及びE138K)に対して、ドラビリンは臨床での血漿中濃度に相当する濃度で抑制した。
Y188L、K103N/Y188L、V106I/Y188L、V106A/G190A/F227L及びE138K/Y181C/M230L変異を有する臨床分離株では、ドラビリンに対する感受性が100倍を超えて低下した。
治療により発現するドラビリン耐性変異は、エファビレンツ、リルピビリン、ネビラピン及びエトラビリンに対して交差耐性をもたらす可能性がある。表現型解析による耐性検査の結果、ドラビリンに耐性を示した8例のうち、8例はネビラピンに、6例はエファビレンツに、4例はリルピビリンに耐性を示し、3例はエトラビリンに部分的な耐性を示した。
- 一包可:条件付可
湿気を避けるため、瓶のまま密栓して保存し、常時乾燥剤を入れておく。
- 分割:条件付可
- 粉砕:条件付可
- 製造販売会社
- MSD
- 販売会社
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