ツルバダ配合錠
添付文書情報2024年08月改定(第4版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 警告
- B型慢性肝炎を合併している患者では、本剤の投与中止により、B型慢性肝炎が再燃するおそれがあるので、本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。特に非代償性B型慢性肝炎の場合、本剤の投与中止により、重症化するおそれがあるので注意すること〔9.1.1参照〕。
- 禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- 1). HIV-1感染症。
2). HIV-1感染症の曝露前予防。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 〈曝露前予防〉本剤は、HIV-1感染症の曝露前予防に関する国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に、HIV-1感染リスクの高い者における性的接触によるHIV-1感染の予防にのみ使用すること。
5.2. 〈曝露前予防〉本剤はHIV-1感染症を完全に予防できるとは限らないため、本剤を使用する場合は、他のHIV-1感染予防手段(コンドームの使用、パートナーのHIV-1感染状態の把握、性感染症の定期的な検査等)と併用して使用すること。
5.3. 〈曝露前予防〉本剤単独ではHIV-1感染症に対する治療としては不十分であり、薬剤耐性変異を誘導する可能性があるため、本剤を使用する場合は、検査によりHIV-1陰性であることを確認すること(急性HIV-1感染症と一致する臨床症状がある場合は、本剤を投与しないこと)。
- 用法・用量
- 1). HIV-1感染症
通常、成人には1回1錠(エムトリシタビンとして200mg及びテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩として300mgを含有)を1日1回経口投与する。なお、治療の場合、投与に際しては必ず他の抗HIV薬と併用すること。
2). HIV-1感染症の曝露前予防
通常、成人には1回1錠(エムトリシタビンとして200mg及びテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩として300mgを含有)を1日1回経口投与する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 〈効能共通〉エムトリシタビンを含む製剤及びテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を含む製剤と併用しないこと。また、テノホビル アラフェナミドフマル酸塩を含む製剤についても併用しないこと。
7.2. 〈治療〉本剤の有効成分であるエムトリシタビンの薬剤耐性を含むウイルス学的特性はラミブジンと類似しているので、本剤とラミブジンを含む製剤を併用しないこと。また、治療の場合、ラミブジン及びテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を含む抗HIV療法においてウイルス学的効果が得られないで、HIV-1逆転写酵素遺伝子M184V/I変異が認められた場合、ラミブジン及びテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を本剤に変更することのみで効果の改善は期待できない。
7.3. 〈治療〉腎機能障害のある患者では、エムトリシタビン製剤及びテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤の薬物動態試験において、エムトリシタビン及びテノホビルの血中濃度が上昇したとの報告があるので、腎機能の低下に応じて、次の投与方法を目安とする(外国人における薬物動態試験成績による)〔8.1、9.2.1、10.2、11.1.1、16.6.1参照〕[1)クレアチニンクリアランス(CLcr)50mL/min以上:本剤1錠を1日1回投与、2)クレアチニンクリアランス(CLcr)30~49mL/min:本剤1錠を2日間に1回投与、3)治療の場合、クレアチニンクリアランス<CLcr>30mL/min未満又は血液透析患者:本剤は投与しない]。
7.4. 〈治療〉核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)3成分のみを用いる一部の治療は、NRTI2成分に非核酸系逆転写酵素阻害薬又はHIV-1プロテアーゼ阻害薬を併用する併用療法と比べて、概して効果が低いことが報告されているので、本剤と他のNRTI1成分のみによる治療で効果が認められない場合には他の組み合わせを考慮すること。
- 腎機能障害患者
- 8.1. 〈効能共通〉本剤投与前にクレアチニンクリアランス、尿糖及び尿蛋白の検査を実施すること。また、本剤投与後も定期的な検査等により患者の状態を注意深く観察すること〔7.3、9.2.1、10.2、11.1.1、16.6.1参照〕。
8.2. 〈効能共通〉テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を含む多剤併用療法を長期間行った患者において、骨粗鬆症が現れ、大腿骨頚部骨折等の骨折を起こした症例が報告されている。長期投与時には定期的に骨密度検査を行う等骨密度減少に注意し、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。なお、テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩の試験において、144週間の投与により腰椎骨密度減少と大腿骨頚部骨密度減少が見られている。骨密度減少した患者の大部分は、投与開始後24~48週目にかけて発現し、以降は144週目まで持続していた。
8.3. 〈効能共通〉アジア系人種におけるエムトリシタビン製剤の薬物動態は十分検討されていないが、少数例の健康成人及びB型慢性肝炎のアジア系人種において、Cmax上昇を示唆する成績が得られているので、HBV感染症合併患者を含め、副作用の発現に注意すること。
8.4. 〈効能共通〉エムトリシタビン製剤の臨床試験において皮膚変色が発現し、その発現頻度は有色人種で高いことが示唆されている。その原因は現在のところ不明である。
8.5. 〈治療〉本剤の使用に際しては、国内外のガイドライン等の最新の情報を参考に、治療の場合、患者又はそれに代わる適切な者に次の事項についてよく説明し同意を得た後、使用すること。
8.5.1. 〈治療〉本剤はHIV感染症の根治療法薬ではないことから、日和見感染症を含むHIV感染症の進展に伴う疾病を発症し続ける可能性があるので、本剤投与開始後の身体状況の変化についてはすべて担当医に報告すること。
8.5.2. 〈治療〉本剤の長期投与による影響については現在のところ不明であること。
8.6. 〈治療〉本剤を含む抗HIV薬の多剤併用療法を行った患者で、免疫再構築炎症反応症候群が報告されている(投与開始後、免疫機能が回復し、症候性のみならず無症候性日和見感染に対する炎症反応(マイコバクテリウムアビウムコンプレックス、サイトメガロウイルス、ニューモシスチス等によるもの)等が発現することがあり、また、免疫機能の回復に伴い自己免疫疾患(甲状腺機能亢進症、多発性筋炎、ギラン・バレー症候群、ブドウ膜炎等)が発現するとの報告があるので、これらの症状を評価し、必要時には適切な治療を考慮すること)。
8.7. 〈曝露前予防〉本剤を服用している間は、少なくとも3カ月ごとに、HIV-1検査によりHIV-1陰性であることを確認すること。
8.8. 〈曝露前予防〉本剤によるHIV-1感染症の曝露前予防効果が認められているのは、1日1回連日投与した場合であるため、服用者に対して1日1回連日投与を遵守するよう指導すること。
8.9. 〈曝露前予防〉本剤の長期投与による影響については現在のところ不明である。
9.1.1. B型肝炎ウイルス感染を合併している患者:本剤の投与を中断する場合には十分注意すること。B型慢性肝炎を合併している患者では、本剤の投与中止により、B型慢性肝炎が再燃するおそれがある。特に非代償性B型慢性肝炎の場合、本剤の投与中止により、重症化するおそれがある〔1.警告の項参照〕。
9.1.2. 腎機能障害のリスクを有する患者:血清リンの検査を実施すること。
9.2.1. 中等度及び重度の腎機能障害のある患者〈効能共通〉中等度腎機能障害及び重度腎機能障害のある患者:エムトリシタビン及びテノホビルの血中濃度が上昇する〔7.3、8.1、10.2、11.1.1、16.6.1参照〕。
〈曝露前予防〉クレアチニンクリアランスが60mL/min未満の者への投与は推奨されない〔8.1、10.2、11.1.1参照〕。
- 相互作用
- 10.2. 併用注意:1). ジダノシン〔16.7.2参照〕[ジダノシンによる有害事象を増強するおそれがあるので、ジダノシンの減量を考慮すること(テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤とジダノシン製剤の併用により、ジダノシンのAUC及びCmaxが上昇する)]。
2). アタザナビル硫酸塩〔16.7.2参照〕[アタザナビルの治療効果が減弱するおそれがあるので、本剤とアタザナビル硫酸塩を併用する場合には、本剤とアタザナビル300mgをリトナビル100mgとともに投与することが望ましく、また、本剤による有害事象を増強するおそれがある(テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤とアタザナビル硫酸塩製剤の併用により、アタザナビルのAUCが25%、Cmaxが21%、Cminが40%低下し、テノホビルのAUCが24%、Cmaxが14%、Cminが22%上昇する)]。
3). ロピナビル・リトナビル〔16.7.2参照〕[本剤による有害事象を増強するおそれがある(テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤とロピナビル・リトナビル製剤の併用により、テノホビルのAUCが32%、Cminが51%上昇する)]。
4). アシクロビル、バラシクロビル、ガンシクロビル、バルガンシクロビル等[これらの薬剤又は本剤による有害事象を増強するおそれがある(尿細管への能動輸送により排泄される薬剤と併用する場合、排泄経路の競合により排泄が遅延し、これらの薬剤、エムトリシタビン又はテノホビルの血中濃度が上昇するおそれがある)]。
5). ダルナビル+リトナビル〔16.7.2参照〕、レジパスビル・ソホスブビル〔16.7.2参照〕[本剤による有害事象を増強するおそれがある(テノホビルのAUC、Cmax及びCminが上昇する)]。
6). 腎毒性を有する薬剤〔7.3、8.1、9.2.1、11.1.1、16.6.1参照〕[併用は避けることが望ましい(腎毒性を有する薬剤は腎機能障害の危険因子となる)]。
- 副作用
- 次の副作用が現れることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. 腎不全又は重度の腎機能障害(0.3%):腎機能不全、腎不全、急性腎障害、近位腎尿細管機能障害、ファンコニー症候群、急性腎尿細管壊死、腎性尿崩症又は腎炎等の重度腎機能障害が現れることがあるので、臨床検査値に異常が認められた場合には、投与を中止する等、適切な処置を行うこと(特に腎機能障害の既往がある患者や腎毒性のある薬剤投与中の患者では注意すること)〔7.3、8.1、9.2.1、10.2、16.6.1参照〕。
11.1.2. 膵炎(0.1%):血中アミラーゼ上昇、リパーゼ上昇、血中トリグリセリド上昇等の検査値の上昇がみられた場合には、投与を中止する等、適切な処置を行うこと。
11.1.3. 乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度肝腫大(脂肪肝)(頻度不明):乳酸アシドーシス又は肝細胞毒性が疑われる臨床症状又は肝細胞毒性が疑われる検査値異常(アミノトランスフェラーゼの急激な上昇等)が認められた場合には、本剤の投与を一時中止すること(特に肝疾患の危険因子を有する患者においては注意すること)。本剤を含む核酸系逆転写酵素阻害薬の単独投与又はこれらの併用療法により、重篤な乳酸アシドーシス及び脂肪沈着による重度肝腫大(脂肪肝)が、女性に多く報告されている。
- 11.2. その他の副作用
1). 代謝及び栄養障害:(2%未満)食欲不振、食欲亢進、食欲減退、(頻度不明*)高脂血症、体脂肪再分布/体脂肪蓄積、体重減少、高コレステロール血症、高血糖、低リン酸血症、低カリウム血症、高尿酸血症、糖尿病。
2). 精神障害:(頻度不明*)うつ病、神経過敏、不安、リビドー減退、睡眠障害、感情不安定。
3). 神経系障害:(2%以上)頭痛(2.7%)、(2%未満)浮動性めまい、不眠症、傾眠、(頻度不明*)錯感覚、異常な夢、ニューロパチー、末梢性ニューロパチー、前庭障害、思考異常、味覚異常、振戦。
4). 呼吸器、胸郭及び縦隔障害:(頻度不明*)気管支炎、鼻炎、呼吸困難、咽頭炎。
5). 胃腸障害:(2%以上)悪心(10.9%)、下痢(7.0%)、(2%未満)嘔吐、鼓腸、腹部膨満、口内乾燥、腹痛、上腹部痛、(頻度不明*)消化不良、便秘、胃炎、胃腸障害、口臭、アフタ性潰瘍、おくび。
6). 肝胆道系障害:(頻度不明*)脂肪肝、肝炎、肝機能異常。
7). 皮膚及び皮下組織障害:(2%以上)皮膚色素過剰(2.3%)、(2%未満)発疹、(頻度不明*)皮膚そう痒症、皮膚変色、多汗症、皮膚乾燥、脱毛症、湿疹、ざ瘡、脂漏、帯状疱疹、単純ヘルペス、皮膚良性新生物。
8). 筋骨格系及び結合組織障害:(頻度不明*)筋肉痛、関節痛、骨障害、背部痛、側腹部痛、筋痙攣、骨軟化症、ミオパチー、骨粗鬆症。
9). 一般・全身障害及び投与部位の状態:(2%以上)疲労(3.1%)、(2%未満)発熱、ほてり、(頻度不明*)無力症、疼痛、倦怠感、悪寒、胸痛、末梢性浮腫。
10). ※臨床検査:(2%以上)血中アミラーゼ増加(7.5%)、CK増加(7.1%)、血中トリグリセリド増加(4.3%)、AST増加(2.8%)、好中球数減少(2.8%)、ALT増加(2.0%)、血尿(2.0%)、(2%未満)Al-P増加、血中ブドウ糖増加、尿糖、(頻度不明*)リパーゼ増加、血中ビリルビン増加、血中リン減少、血小板数減少、蛋白尿、血中クレアチニン増加、γ-GTP増加。
11). その他:(頻度不明*)白血球減少症、血管拡張、感染、頻尿、インフルエンザ症候群、視覚異常、多尿、アレルギー反応、高血圧。
*)エムトリシタビン製剤又はテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤の臨床試験、市販後の調査及び自発報告等で報告された副作用を示した。
※)エムトリシタビン製剤とテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤の併用による比較試験で発現したグレード3及び4(NIAID DAIDSの重症度分類)の臨床検査値異常を示した。
- 高齢者
- 患者の肝、腎及び心機能の低下、合併症、併用薬等を十分に考慮すること。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(動物試験(サル)においてテノホビルの胎仔への移行が報告されている)。
授乳を避けさせること(エムトリシタビン及びテノホビルのヒト乳汁への移行が報告されており、テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩を用いた動物実験(ラット)において、テノホビルの乳汁中への移行が報告されており、また、女性のHIV感染症患者は、乳児のHIV感染を避けるため、乳児に母乳を与えないことが望ましい)。
- 小児等
- 小児等を対象とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 開栓後は、湿気を避けて保存すること。
- その他の注意
- 15.2. 非臨床試験に基づく情報15.2.1. テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩のマウスを用いたがん原性試験(2年間)において、臨床用量におけるヒトの全身曝露量の16倍で雌に肝細胞腺腫が高頻度に発現したとの報告がある。
16.1 血中濃度
16.1.1 日本人健康成人男性6例に本剤1錠を空腹時に経口投与した場合、エムトリシタビンの血漿中濃度は投与1.9±0.7時間後に最高値に達し、Cmax及びAUCはそれぞれ2,330±692ng/mL、10,845±1,241ng・hr/mLであった。エムトリシタビンの消失は二相性を示し、最終相の半減期は、12.0±2.1時間であった。
また、テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩の活性成分であるテノホビルの血漿中濃度は投与1.1±0.5時間後に最高値に達し、Cmax及びAUCはそれぞれ233±62.4ng/mL、1,972±229ng・hr/mLであった。テノホビルの消失は二相性を示し、最終相の半減期は、16.4±1.3時間であった。
16.1.2 エムトリシタビン製剤又はテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤単独投与での血中濃度
エムトリシタビン製剤:エムトリシタビンの血漿中濃度は、エムトリシタビン製剤(200mg)単回経口投与後1~2時間後にCmaxに達した。エムトリシタビン製剤(200mg)経口投与後のエムトリシタビンの血漿中半減期は約10時間であった(外国人における成績)(表1)。
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤:テノホビルの血清中濃度は、テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤(300mg)経口投与後1.0±0.4時間後にCmaxに達した。テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤(300mg)単回経口投与後のテノホビルのβ相半減期は約17時間であった(外国人における成績)(表1)。
表1 成人単回単独投与時のエムトリシタビン又はテノホビルの薬物動態パラメータ
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16.2 吸収
16.2.1 生物学的同等性
健康成人志願者39例を対象として空腹時単回投与により検討した結果、本剤1錠と、エムトリシタビン製剤(200mg)1カプセル及びテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤(300mg)1錠の併用とは生物学的に同等であった(外国人における成績)。
16.2.2 食事の影響
本剤を高脂肪食(784kcal、約58%が脂肪由来)と共に服用した場合、テノホビルのTmaxは約0.75時間延長し、AUCは約35%、Cmaxは約16%上昇した。また、本剤を軽食(373kcal、約20%が脂肪由来)と共に服用したときも同様の変化(Tmaxが約0.75時間延長、AUCが約34%上昇、Cmaxが約14%上昇)が認められた。また、本剤を高脂肪食又は軽食と共に服用した場合、エムトリシタビンのAUC及びCmaxは、影響を受けなかった(外国人における成績)。
16.3 分布
エムトリシタビン:ヒト血漿蛋白に対する結合率は、0.02~200μg/mLの濃度範囲において濃度に依存せず4%未満であった(外国人における成績)。
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩:ヒト血漿蛋白に対する結合率は0.01~25μg/mLの濃度範囲において濃度に依存せず0.7%未満であった(外国人における成績)。
16.4 代謝
エムトリシタビン:ヒト肝ミクロソームを用いた各種検討において、2%未満の代謝物が検出された。14C‐エムトリシタビンを単回投与したところ、投与量の13%の代謝物がヒト尿中に検出された(外国人における成績)。
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩:経口投与後、速やかにテノホビルに代謝され、その後、細胞内でテノホビル二リン酸に代謝された。in vitro試験において、テノホビル ジソプロキシル及びテノホビルはいずれもチトクロームP450の基質ではないことが示された(外国人における成績)。
16.5 排泄
エムトリシタビン:日本人健康被験者に本剤1錠を空腹時に経口投与したところ、エムトリシタビンの投与48時間後までの累積尿中排泄率は79±6%であった。外国人健康被験者にエムトリシタビン200mgを反復投与後14C‐エムトリシタビンを単回投与したところ、投与量の86%は尿中に、14%は糞中に回収された。腎クリアランスが推定クレアチニンクリアランスを上回ったことから、糸球体ろ過と尿細管への能動輸送の両方による排泄が示唆された。
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩:日本人健康被験者に本剤1錠を空腹時に経口投与したところ、テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩の活性成分であるテノホビルの投与48時間後までの累積尿中排泄率は21±3%であった。外国人HIV‐1感染症患者にテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩300mg1日1回食後反復経口投与したところ、投与量の32%(テノホビル換算)が24時間以内に尿中に排泄され、テノホビルを静脈内投与した場合は、投与量の70~80%が72時間までに、テノホビルとして尿中に排泄された。腎クリアランスは推定クレアチニンクリアランスを超えていると考えられたことから、糸球体ろ過と尿細管への能動輸送による腎排泄が示唆された。
16.6 特定の背景を有する患者
16.6.1 腎不全患者
本剤による腎不全患者を対象とした臨床試験成績は得られていないため、エムトリシタビン製剤(200mg)又はテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤(300mg)の単独投与での成績を示す。クレアチニンクリアランス(CLcr)が50mL/min未満の患者あるいは透析を必要とする末期腎不全患者では、エムトリシタビンとテノホビルのCmaxとAUCがそれぞれ上昇した(外国人における成績)(表2、3)。
なお、エムトリシタビン製剤(200mg)単回投与時には、投与1.5時間以内に開始した3時間の血液透析(血液流量400mL/min、透析液流量600mL/min)により投与量の約30%が除去された。また、テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤(300mg)単回投与時には4時間の血液透析(テノホビルの除去率は54%)により投与量の約10%が除去された。[7.3、8.1、9.2.1、10.2、11.1.1、13.1参照]
表2 腎機能障害を有する患者におけるエムトリシタビン製剤(200mg)の単回投与後の薬物動態パラメータ
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表3 腎機能障害を有する患者におけるテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤(300mg)の単回投与後の薬物動態パラメータ
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16.7 薬物相互作用
本剤による薬物相互作用試験は実施されていないため、エムトリシタビン製剤又はテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤による成績を示す。
エムトリシタビン製剤及びテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤の併用投与と、両製剤の単独投与とを比較したところ、エムトリシタビン及びテノホビルの定常状態の薬物動態に変化は認められなかった。
16.7.1 エムトリシタビン製剤の薬物相互作用
臨床使用量で血漿中に認められた濃度の14倍まで濃度を上昇させても、エムトリシタビンはヒトチトクロームP450分子種(CYP1A2、CYP2A6、CYP2B6、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6及びCYP3A4)によるin vitro薬物代謝を阻害しなかった。エムトリシタビンはグルクロン酸抱合を担う酵素(ウリジン‐5’‐二リン酸グルクロニルトランスフェラーゼ)を阻害しなかった。これらのin vitro実験結果及び確認されているエムトリシタビンの排泄経路を考慮すると、ヒトチトクロームP450を介するエムトリシタビンと他の薬剤との相互作用が生じる可能性は低い。健康成人志願者を対象にエムトリシタビンとテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩、インジナビル、サニルブジン及びジドブジンとの併用における薬物動態の評価を行った(外国人における成績)。併用薬がエムトリシタビンの薬物動態に及ぼす影響及びエムトリシタビンが併用薬の薬物動態に及ぼす影響について表4、5に示す。
表4 併用薬投与時のエムトリシタビン(エムトリシタビン製剤投与)の薬物動態パラメータ変化率
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表5 エムトリシタビン製剤投与時の併用薬の薬物動態パラメータ変化率
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16.7.2 テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤の薬物相互作用
In vivoにおいて認められる濃度よりもはるかに高濃度(約300倍)において、テノホビルはヒトチトクロームP450分子種(CYP3A4、CYP2D6、CYP2C9又はCYP2E1)を阻害しなかったが、CYP1Aをわずかに(6%)阻害した(外国人における成績)。
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤と主な薬剤との併用による、薬物動態への影響を次表に示す(表6、7)。
また、表8にテノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤とジダノシンとの相互作用を示す。
表6 併用薬投与時のテノホビル(テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤300mg1日1回投与)の薬物動態パラメータ変化率
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表7 テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤(300mg1日1回)投与時の併用薬の薬物動態パラメータ変化率
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表8 テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤(300mg1日1回)併用時のジダノシンの薬物動態パラメータ変化率[10.2参照]
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17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈治療〉
17.1.1 海外第III相試験(934試験)
抗レトロウイルス薬による治療を未経験者の患者511例を対象とし、エファビレンツにエムトリシタビン製剤+テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤又はジドブジン・ラミブジン配合剤を併用した多施設非盲検試験を実施した。
患者の平均年齢は38歳、86%が男性であり、59%が白人、23%が黒人であった。試験開始時の平均CD4リンパ球数は、245cells/mm3、血漿中HIV‐1 RNA量の中央値は5.01log10copies/mLであった。試験開始時のCD4リンパ球数が<200cells/mm3の患者は41%、血漿中HIV‐1 RNA量が>100,000copies/mLの患者は51%であった。試験開始時にエファビレンツ抵抗性を有していなかった患者の試験開始後48週の結果を表1に示す。
表1 934試験臨床試験結果(48週評価)
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また、試験開始後48週の血漿中HIV‐1 RNA量が<50copies/mLであった患者の比率は、エムトリシタビン製剤+テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤投与群で80%、ジドブジン・ラミブジン配合剤投与群で70%であった。
さらに、試験開始後48週のCD4リンパ球数の平均増加量は、エムトリシタビン製剤+テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤投与群で190cells/mm3、ジドブジン・ラミブジン配合剤投与群で158cells/mm3であった。試験開始後48週でCDC分類のカテゴリーCの事象を発現した症例は、エムトリシタビン製剤+テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤投与群で7例、ジドブジン・ラミブジン配合剤投与群で5例であった。
副作用発現頻度は、エムトリシタビン製剤+テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤投与群で32.7%(84/257例)であった。主な副作用は、悪心10.9%(28/257例)、下痢7.0%(18/257例)及び疲労3.1%(8/257例)であった。
18.1 作用機序
エムトリシタビン:エムトリシタビンは、シチジンの合成ヌクレオシド誘導体であり、細胞内酵素によりリン酸化されエムトリシタビン5’‐三リン酸となる。エムトリシタビン5’‐三リン酸はHIV‐1逆転写酵素の基質であるデオキシシチジン5’‐三リン酸と競合すること、及び新生ウイルスDNAに取り込まれた後に、DNA鎖伸長を停止させることにより、HIV‐1逆転写酵素の活性を阻害する。哺乳類のDNAポリメラーゼα、β、ε及びミトコンドリアDNAポリメラーゼγに対するエムトリシタビン5’‐三リン酸の阻害作用は弱い。
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩:テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩は、アデノシン一リン酸の非環状ヌクレオシド・ホスホン酸ジエステル誘導体である。テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩からテノホビルへの変換には、ジエステルの加水分解が必要であり、その後細胞内酵素によりリン酸化を受け、テノホビル二リン酸となる。テノホビル二リン酸は、HIV‐1逆転写酵素の基質であるデオキシアデノシン5’‐三リン酸と競合すること及びDNAに取り込まれた後にDNA鎖伸長を停止させることにより、HIV‐1逆転写酵素の活性を阻害する。哺乳類のDNAポリメラーゼα、β及びミトコンドリアDNAポリメラーゼγに対するテノホビル二リン酸の阻害作用は弱い。
18.2 抗ウイルス作用(in vitro)
エムトリシタビン+テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩:エムトリシタビンとテノホビルの併用により抗ウイルス活性を評価した試験では、相乗的な抗ウイルス作用が認められた。
エムトリシタビン:ヒトリンパ芽球様細胞株、MAGI‐CCR5細胞株及び末梢血単核細胞を用いて、HIV‐1の実験室株及び臨床分離株に対するエムトリシタビンの抗ウイルス活性を評価した。エムトリシタビンのEC50値は、0.0013~0.64μMの範囲であった。
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩:HIV‐1の実験室株及び臨床分離株に対するテノホビルの抗ウイルス活性を、ヒトリンパ芽球様細胞株、単球/マクロファージ初代培養細胞及び末梢血リンパ球において評価した。テノホビルのEC50値は、0.04~8.5μMの範囲であった。
18.3 薬剤耐性
エムトリシタビン+テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩:エムトリシタビンとテノホビルのin vitroでの併用により、両剤に対する感受性が低下したHIV‐1株を選択した。これらの分離株での遺伝子型解析の結果、ウイルス逆転写酵素遺伝子にM184V/I及び(あるいは)K65R変異が認められた。
934試験において、試験開始後144週までに血漿中HIV‐1 RNA量が>400copies/mLとなりウイルス学的失敗となった症例又は試験中止となった症例から分離したHIV‐1株の遺伝子型解析を行った。その結果、エファビレンツ関連変異が最も高頻度に認められたが、エムトリシタビン製剤+テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤投与群とジドブジン・ラミブジン配合剤投与群との間に差は認められなかった。エムトリシタビン及びラミブジンに関連した変異であるM184Vが、エムトリシタビン製剤+テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤投与群では19例中2例(11%)に、ジドブジン・ラミブジン配合剤投与群では29例中10例(34%)に認められた。K65R変異は試験開始後144週まで通常の遺伝子型解析で認められなかったが、さらに投与期間を延長した場合については不明である。
エムトリシタビン:In vitro及びin vivoにおいてエムトリシタビン耐性HIV‐1株を得た。これらの分離株の遺伝子型解析により、エムトリシタビンに対する感受性の低下と、HIV‐1逆転写酵素遺伝子のM184V/I変異との間に関連性が認められた。
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩:テノホビルに対する感受性が低下したHIV‐1分離株をin vitro試験により選択した結果、これらのウイルスは逆転写酵素遺伝子にK65R変異が発現しており、テノホビルに対する感受性が3~4倍低下していた。
抗レトロウイルス薬による治療を未経験の患者では、テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤による144週までの治療でK65R変異を持つHIV‐1株が8例に認められたが、そのうち7例は48週までに、1例は96週までに検出された。また、治療を経験した患者では、テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩製剤の治療によるウイルス学的失敗例304例のうち14例からテノホビル耐性株が認められた。分離された耐性株を遺伝子型解析したところ、HIV‐1逆転写酵素遺伝子にK65R変異が発現していた。
18.4 交差耐性
エムトリシタビン+テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩:これまでに一部の核酸系逆転写酵素阻害薬の間には交差耐性が認められている。エムトリシタビンとテノホビルの併用でin vitroにおいて選択されたM184V/I及び(あるいは)K65R変異は、テノホビルとラミブジンあるいはエムトリシタビンの併用による治療、アバカビルによる治療、あるいはジダノシンによる治療に失敗した患者由来のHIV‐1分離株からも認められている。したがって、これらの変異の両方あるいは一方を持つウイルスを有する患者では、これらの薬剤間で交差耐性を起こす可能性がある。
エムトリシタビン:エムトリシタビン耐性株(M184V/I)はラミブジン及びザルシタビンに対して交差耐性を示したが、ジダノシン、サニルブジン、テノホビル、ジドブジン及び非核酸系逆転写酵素阻害薬(デラビルジン、エファビレンツ及びネビラピン)に対してはin vitroで感受性を維持した。アバカビル、ジダノシン、テノホビル及びザルシタビンによりin vivoで選択されるK65R変異を有するHIV‐1分離株では、エムトリシタビンに対する感受性の低下が確認された。ジドブジン関連変異(M41L、D67N、K70R、L210W、T215Y/F、K219Q/E)又はジダノシン関連変異(L74V)を有するウイルスは、エムトリシタビンに対する感受性を維持した。非核酸系逆転写酵素阻害薬耐性と関連づけられるK103N変異を有するHIV‐1は、エムトリシタビンに対して感受性を示した。
テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩:テノホビルで選択されるK65R変異は、アバカビル、ジダノシン及びザルシタビンにより治療された症例から分離したHIV‐1株でも認められている。この変異株はエムトリシタビンやラミブジンに対する感受性も低下していたことから、K65R変異を持つウイルスを有する患者では、これらの薬剤間で交差耐性を起こす可能性がある。また、平均3ヵ所のジドブジン関連変異(M41L、D67N、K70R、L210W、T215Y/F又はK219Q/E/N)を有するHIV‐1臨床分離株(20例)では、テノホビルに対する感受性が3.1倍低下していた。さらに、T69S変異の後に二アミノ酸が挿入される変異を持つ多剤耐性株においても、テノホビルに対する感受性は低下していた。
- 一包可:不明
バラ包装
- 分割:可能
- 粉砕:可能
- 製造販売会社
- ギリアド・サイエンシズ
- 販売会社
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