ビケンHA
添付文書情報2024年07月改定(第7版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 接種不適当者予防接種を受けることが適当でない者
- 2.1. 明らかな発熱を呈している者。
2.2. 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者。
2.3. 本剤の成分によってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな者。
2.4. 前記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある者。
- 効能・効果
- インフルエンザの予防。
- 用法・用量
- 6ヶ月以上3歳未満のものには0.25mLを皮下に、3歳以上13歳未満のものには0.5mLを皮下におよそ2~4週間の間隔をおいて2回注射する。13歳以上のものについては、0.5mLを皮下に、1回又はおよそ1~4週間の間隔をおいて2回注射する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 接種間隔
2回接種を行う場合の接種間隔は、免疫効果を考慮すると4週間おくことが望ましい。
7.2. 同時接種
医師が必要と認めた場合には、他のワクチンと同時に接種することができる〔14.1.1参照〕。
- 肝機能障害を有する者
- 8.1. 本剤は、「予防接種実施規則」及び「定期接種実施要領」に準拠して使用すること。
8.2. 被接種者について、接種前に必ず問診、検温及び診察(視診、聴診等)によって健康状態を調べること。
8.3. 本剤は添加剤としてチメロサール(水銀化合物)を含有しており、チメロサール含有製剤の投与(接種)により、過敏症(発熱、発疹、蕁麻疹、紅斑、そう痒等)があらわれたとの報告があるので、問診を十分に行い、接種後は観察を十分に行うこと。
8.4. 被接種者又はその保護者に、接種当日は過激な運動は避け、接種部位を清潔に保ち、また、接種後の健康監視に留意し、局所の異常反応や体調の変化、さらに高熱、けいれん等の異常な症状を呈した場合には、速やかに医師の診察を受けるよう事前に知らせること。
被接種者が次のいずれかに該当すると認められる場合は、健康状態及び体質を勘案し、診察及び接種適否の判断を慎重に行い、予防接種の必要性、副反応、有用性について十分な説明を行い、同意を確実に得た上で、注意して接種すること。
9.1.1. 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する者〔9.2腎機能障害を有する者、9.3肝機能障害を有する者の項参照〕。
9.1.2. 予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者。
9.1.3. 過去にけいれんの既往のある者。
9.1.4. 過去に免疫不全の診断がなされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる者。
9.1.5. 間質性肺炎、気管支喘息等の呼吸器系疾患を有する者。
9.1.6. 本剤の成分に対してアレルギー又は鶏卵由来のものに対してアレルギー、鶏肉由来のものに対してアレルギー、その他鶏由来のものに対してアレルギーを呈するおそれのある者。
腎機能障害を有する者:接種要注意者である〔9.1.1参照〕。
肝機能障害を有する者:接種要注意者である〔9.1.1参照〕。
- 相互作用
- 10.2. 併用注意:免疫抑制剤等(シクロスポリン等)[本剤の効果が得られないおそれがある(免疫抑制的な作用を持つ製剤の投与中の者、特に免疫抑制的な作用を持つ製剤の長期投与中あるいは免疫抑制的な作用を持つ製剤の大量投与中の者は免疫機能が低下していることがある)]。
- 副作用
- 次の副反応があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副反応11.1.1. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明):蕁麻疹、呼吸困難、血管性浮腫等があらわれることがある。
11.1.2. 急性散在性脳脊髄炎(ADEM)(頻度不明):通常、接種後数日から2週間以内に発熱、頭痛、けいれん、運動障害、意識障害等があらわれるので、本症が疑われる場合には、MRI等で診断し、適切な処置を行うこと。
11.1.3. 脳炎・脳症、脊髄炎、視神経炎(いずれも頻度不明):異常が認められた場合には、MRI等で診断し、適切な処置を行うこと。
11.1.4. ギラン・バレー症候群(頻度不明):四肢遠位から始まる弛緩性麻痺、腱反射減弱ないし腱反射消失等の症状があらわれることがある。
11.1.5. けいれん(熱性けいれんを含む)(頻度不明)。
11.1.6. 肝機能障害、黄疸(いずれも頻度不明):AST上昇、ALT上昇、γ-GTP上昇、Al-P上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。
11.1.7. 喘息発作(頻度不明)。
11.1.8. 血小板減少性紫斑病、血小板減少(いずれも頻度不明):紫斑、鼻出血、口腔粘膜出血等が認められた場合には、血液検査等を実施すること。
11.1.9. 血管炎(IgA血管炎、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症、白血球破砕性血管炎等)(頻度不明)。
11.1.10. 間質性肺炎(頻度不明):発熱、咳嗽、呼吸困難等の臨床症状に注意し、異常が認められた場合には、胸部X線等の検査を実施すること。
11.1.11. 皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、急性汎発性発疹性膿疱症(いずれも頻度不明)。
11.1.12. ネフローゼ症候群(頻度不明)。
- 11.2. その他の副反応1). 〈全ての被接種者〉①. 〈全ての被接種者〉過敏症:(頻度不明)発疹、蕁麻疹、湿疹、紅斑、多形紅斑、そう痒、血管性浮腫。
②. 〈全ての被接種者〉局所症状(注射部位):(頻度不明)発赤、腫脹、硬結、熱感、疼痛、しびれ感、小水疱、蜂巣炎。
③. 〈全ての被接種者〉精神神経系:(頻度不明)頭痛、一過性意識消失、めまい、顔面神経麻痺等の麻痺、末梢性ニューロパチー、失神・血管迷走神経反応、しびれ感、振戦。
④. 〈全ての被接種者〉消化器:(頻度不明)嘔吐・嘔気、腹痛、下痢、食欲減退。
⑤. 〈全ての被接種者〉筋・骨格系:(頻度不明)関節痛、筋肉痛、筋力低下。
⑥. 〈全ての被接種者〉その他:(頻度不明)発熱、悪寒、倦怠感、リンパ節腫脹、咳嗽、動悸、ぶどう膜炎。
2). 〈6か月以上3歳未満の小児〉①. 〈6か月以上3歳未満の小児〉局所症状(注射部位):(5%以上)紅斑、腫脹、硬結、熱感、そう痒感。
②. 〈6か月以上3歳未満の小児〉呼吸器:(0.1~5%未満)鼻漏。
③. 〈6か月以上3歳未満の小児〉消化器:(0.1~5%未満)下痢。
④. 〈6か月以上3歳未満の小児〉皮膚:(0.1~5%未満)湿疹。
⑤. 〈6か月以上3歳未満の小児〉その他:(0.1~5%未満)発熱。
3). 〈3歳以上13歳未満の小児〉①. 〈3歳以上13歳未満の小児〉局所症状(注射部位):(5%以上)紅斑、疼痛、腫脹、そう痒感、熱感、硬結。
②. 〈3歳以上13歳未満の小児〉呼吸器:(5%以上)鼻漏、(0.1~5%未満)咳嗽。
③. 〈3歳以上13歳未満の小児〉その他:(0.1~5%未満)発熱、倦怠感。
- 高齢者
- 接種に当たっては、予診等を十分に行い、被接種者の健康状態を観察すること(一般に生理機能が低下している)。
- 妊婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ接種すること。なお、小規模ながら、接種により先天異常の発生率は自然発生率より高くならないとする報告がある。
- 小児等
- 低出生体重児、新生児及び6か月未満の乳児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤接種時の注意14.1.1. 接種時(1). 接種用器具は、ガンマ線等により滅菌されたディスポーザブル品を用い、被接種者ごとに取り換えること。
(2). 冷蔵庫から取り出し室温になってから、必ず振り混ぜ均等にして使用すること。
(3). 本剤を他のワクチンと混合して接種しないこと〔7.2参照〕。
(4). 容器の栓及びその周囲をアルコールで消毒した後、注射針をさし込み、所要量を注射器内に吸引する。この操作に当たっては雑菌が迷入しないよう注意する。また、栓を取り外し、あるいは他の容器に移し使用しないこと。
(5). 注射針の先端が血管内に入っていないことを確かめること。
(6). 一度針をさしたものは、遮光して、10℃以下に凍結を避けて保存し、24時間以内に使用すること。
14.1.2. 接種部位:接種部位は、通常、上腕伸側とし、アルコールで消毒する。
なお、同一接種部位に反復して接種しないこと。
外箱開封後は遮光して保存すること。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第II/III相試験(小児)
日本人健康小児に対する国内第II/III相非盲検非対照試験において、本剤を6か月以上3歳未満(34例)には0.25mL/回、3歳以上13歳未満(34例)には0.5mL/回を、21日(±7日)間隔で2回皮下接種した。1回目接種後及び2回目接種後の免疫原性の結果及び全期間における副反応発生状況は次のとおりであった。
6か月以上3歳未満:0.25mL:34例
→図表を見る(PDF)
3歳以上13歳未満:0.5mL:34例
→図表を見る(PDF)
欧州医薬品庁(EMA)の季節性不活化インフルエンザワクチンの毎年の製造株変更時の安全性及び有効性の評価に関するガイダンス(CPMP/BWP/214/96)において、有効性(予防効果)と相関する免疫原性の評価基準が定められており、この基準を用いて免疫原性の評価を行ったところ、いずれの接種用量においても2回接種後では3株全てで評価基準を3項目中1項目以上満たした。ただし、接種用量0.25mLのうち、6か月以上1歳未満(17例)のサブグループにおいては、B型株で評価基準を3項目とも満たさなかった(抗体陽転率23.5%(4例)、GMT変化率2.4、抗体保有率23.5%(4例))。
皮下2回接種したときの副反応は、6か月以上3歳未満では29.4%(10/34例)、3歳以上13歳未満では55.9%(19/34例)であった。主な副反応は、6か月以上3歳未満で注射部位紅斑26.5%(9/34例)、注射部位腫脹17.6%(6/34例)、注射部位硬結11.8%(4/34例)、3歳以上13歳未満で注射部位紅斑35.3%(12/34例)、注射部位疼痛29.4%(10/34例)、注射部位腫脹23.5%(8/34例)、注射部位そう痒感20.6%(7/34例)、注射部位熱感14.7%(5/34例)、注射部位硬結11.8%(4/34例)であった。
17.1.2 国内第II/III相試験(成人)
20歳以上の健康成人100例を対象とした国内第II/III相非盲検試験において、A型インフルエンザHAワクチン(A/カリフォルニア/7/2009(H1N1))0.5mLを上腕に2回皮下接種したときの中和抗体価及びHI抗体価を測定した。1回目接種後及び2回目接種後の抗体陽転率及び副反応発生状況は次のとおりであった([参考]他社製剤による成績)。
中和法およびHI法による抗体陽転率注3)
→図表を見る(PDF)
皮下1回接種したときの副反応発現頻度は、65.0%(65/100例)であった。主な副反応は、注射部位紅斑38.0%(38/100例)、注射部位疼痛35.0%(35/100例)、注射部位熱感23.0%(23/100例)、注射部位そう痒感22.0%(22/100例)、注射部位腫脹20.0%(20/100例)、倦怠感17.0%(17/100例)、頭痛12.0%(12/100例)、鼻漏7.0%(7/100例)であった。
皮下2回接種したときの副反応発現頻度は、78.0%(78/100例)であった。主な副反応は、注射部位紅斑50.0%(50/100例)、注射部位疼痛50.0%(50/100例)、注射部位そう痒感37.0%(37/100例)、注射部位腫脹32.0%(32/100例)、注射部位熱感26.0%(26/100例)、倦怠感24.0%(24/100例)、頭痛15.0%(15/100例)、鼻漏8.0%(8/100例)であった。
17.2 製造販売後調査等
17.2.1 国内臨床研究(高齢者)
1997~2000年において老人福祉施設・病院に入所(院)している高齢者(65歳以上)を対象にインフルエンザHAワクチンを1回接種し有効性を評価した。有効性の正確な解析が可能であった98/99シーズンにおける結果から、発病阻止効果は34~55%、インフルエンザを契機とした死亡阻止効果は82%であり、インフルエンザHAワクチンは重症化を含め個人防衛に有効なワクチンと判断された。なお、解析対象者は同意が得られたワクチン接種者1198人、非接種者(対照群)1044人であった。
3シーズンを通じてワクチン接種後に発現した主な副反応は、注射部位の発赤13.3%(449/3381例)、注射部位の腫脹4.5%(152/3381例)、注射部位の疼痛2.3%(78/3381例)、発熱0.8%(28/3381例)であった。
18.1 作用機序
ヘムアグルチニンは、インフルエンザウイルスの表面抗原の一つであり、ウイルスの宿主細胞への吸着に関与している。本剤の接種により、ヘムアグルチニンに対する抗体が産生され、インフルエンザウイルスの防御抗体として働くことで、インフルエンザの予防が期待される。
18.2 効果の持続
インフルエンザHAワクチンを3週間隔で2回接種した場合、接種1か月後に被接種者の77%が有効予防水準に達する。接種後3か月で有効抗体水準が78.8%であるが、5か月では50.8%と減少する。効果の持続は、流行ウイルスとワクチンに含まれているウイルスの抗原型が一致した時において3か月続くことが明らかになっている。基礎免疫を持っている場合は、ワクチン接種群における有効な抗体水準は、3か月を過ぎても維持されているが、基礎免疫のない場合には、効果の持続期間が1か月近く短縮される。
- 製造販売会社
- 阪大微生物病研究会
- 販売会社
- 田辺三菱製薬
おくすりのQ&A
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