スパイクバックス筋注
添付文書情報2024年04月改定(第3版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 接種不適当者予防接種を受けることが適当でない者
- 2.1. 明らかな発熱を呈している者。
2.2. 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者。
2.3. 本剤の成分に対し、重度過敏症の既往歴のある者〔8.3、11.1.1参照〕。
2.4. 前記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある者。
- 効能・効果
- SARS-CoV-2による感染症の予防。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 本剤の予防効果の持続期間は確立していない。
- 用法・用量
- 〈12歳以上の者〉
1回0.5mLを筋肉内に接種する。
〈5歳以上12歳未満の者〉
1回0.25mLを筋肉内に接種する。
〈生後6ヵ月以上5歳未満の者〉
初回免疫として、1回0.25mLを2回、通常、4週間の間隔をおいて、筋肉内に接種する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 5歳以上の者
7.1.1. 〈5歳以上の者〉接種時期:通常、前回のSARS-CoV-2ワクチンの接種から少なくとも3ヵ月経過した後に接種することができる。
7.1.2. 接種回数:過去にSARS-CoV-2ワクチンの接種歴のない5歳以上の者には、およそ4週間の間隔をおいて2回目接種を行うことができる〔8.8参照〕。
7.2. 生後6ヵ月以上5歳未満の者
7.2.1. 〈生後6ヵ月以上5歳未満の者〉接種対象者:過去にSARS-CoV-2ワクチンの接種歴のない者。
7.2.2. 〈生後6ヵ月以上5歳未満の者〉接種間隔:1回目の接種から4週間を超えた場合には、できる限り速やかに2回目の接種を実施すること。
7.2.3. 〈生後6ヵ月以上5歳未満の者〉接種回数:本剤は2回接種により効果が確認されていることから、原則として、他のSARS-CoV-2に対するワクチンと混同することなく2回接種するよう注意すること。
7.3. 同時接種
医師が必要と認めた場合には、他のワクチンと同時に接種することができる〔14.2.1参照〕。
- 肝機能障害を有する者
- 8.1. 本剤は、「予防接種実施規則」及び「定期接種実施要領」に準拠して使用すること。
8.2. 被接種者について、接種前に必ず問診、検温及び診察によって健康状態を調べること〔9.1接種要注意者(接種の判断を行うに際し、注意を要する者)の項参照〕。
8.3. ショック、アナフィラキシーがあらわれることがあるため、接種前に過敏症の既往歴等に関する問診を十分に行い、接種後一定時間、被接種者の状態を観察することが望ましい。また、本剤の接種でショック、アナフィラキシーが発現したことがある者には、以降、本剤の接種は行わないこと〔2.3、9.1.4、9.1.6、11.1.1参照〕。
8.4. 心筋炎、心膜炎があらわれることがあるため、被接種者又はその保護者に対しては、心筋炎、心膜炎が疑われる症状(胸痛、動悸、むくみ、呼吸困難、頻呼吸等)が認められた場合には、速やかに医師の診察を受けるよう事前に知らせること〔11.1.2、15.1.1、15.1.2参照〕。
8.5. コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチン接種後に、ギラン・バレー症候群が報告されている。被接種者又はその保護者に対しては、ギラン・バレー症候群が疑われる症状(四肢遠位から始まる弛緩性麻痺、腱反射の減弱ないし消失等)が認められた場合には直ちに医師等に相談するよう、あらかじめ説明すること。
8.6. 被接種者又はその保護者に、接種当日は過激な運動は避け、接種部位を清潔に保ち、また、接種後の健康監視に留意し、局所の異常反応及び体調の変化、さらに高熱、けいれん等の異常な症状を呈した場合には、速やかに医師の診察を受けるよう事前に知らせること。
8.7. ワクチン接種直後又は接種後に注射による心因性反応を含む血管迷走神経反射として失神があらわれることがある。失神による転倒を避けるため、接種後一定時間は座らせるなどした上で被接種者の状態を観察することが望ましい。
8.8. 本剤と他のSARS-CoV-2に対するワクチンの互換性に関するデータはない〔7.1.2参照〕。
被接種者が次のいずれかに該当すると認められる場合には、健康状態及び体質を勘案し、診察及び接種適否の判断を慎重に行い、予防接種の必要性、副反応、有用性について十分な説明を行い、同意を確実に得た上で、注意して接種すること〔8.2参照〕。
9.1.1. 血小板減少症又は凝固障害を有する者、抗凝固療法施行中の者:本剤接種後に出血又は注射部位に血腫があらわれるおそれがある。
9.1.2. 過去に免疫不全の診断がなされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる者:本剤に対する免疫応答が低下するおそれがある。
9.1.3. 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する者〔9.2腎機能障害を有する者、9.3肝機能障害を有する者の項参照〕。
9.1.4. 予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者〔8.3、9.1.6、11.1.1参照〕。
9.1.5. 過去にけいれんの既往のある者。
9.1.6. 本剤の成分に対して、アレルギーを呈するおそれのある者〔8.3、9.1.4、11.1.1参照〕。
腎機能障害を有する者:接種要注意者である〔9.1.3参照〕。
肝機能障害を有する者:接種要注意者である〔9.1.3参照〕。
- 副作用
- 次の副反応があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副反応11.1.1. ショック、アナフィラキシー(頻度不明)〔2.3、8.3、9.1.4、9.1.6参照〕。
11.1.2. 心筋炎、心膜炎(頻度不明)〔8.4、15.1.1、15.1.2参照〕。
- 11.2. その他の副反応1). 局所症状(注射部位):(1%以上)*疼痛(88.5%)、*腫脹・*硬結(15.4%)、*発赤・*紅斑(12.9%)、(注射部位)※遅発性反応(※遅発性疼痛、※遅発性腫脹、※遅発性紅斑等)[※:接種後7日目以降に認められることがある]、(注射部位)(1%未満)そう痒感、じん麻疹。
2). 精神神経系:(1%以上)*易刺激性・*泣き(77.1%)、*傾眠(49.9%)[生後6ヵ月~5歳の小児を対象とした臨床試験において収集した副反応の発現頻度]、*頭痛(58.7%)、(頻度不明)急性末梢性顔面神経麻痺、感覚鈍麻、錯感覚。
3). 消化器:(1%以上)*悪心・*嘔吐(21.7%)。
4). 代謝・栄養:(1%以上)*食欲減退(43.8%)[生後6ヵ月~5歳の小児を対象とした臨床試験において収集した副反応の発現頻度]。
5). 筋・骨格系:(1%以上)*筋肉痛(49.8%)、*関節痛(35.5%)。
6). 皮膚:(1%未満)発疹。
7). 血液:(1%以上)*リンパ節症(20.2%)[注射部位と同じ側の腋窩腫脹又は注射部位と同じ側の腋窩圧痛]。
8). その他:(1%以上)*疲労(66.8%)、*悪寒(38.3%)、*発熱(16.3%)、(1%未満)顔面腫脹。
*)臨床試験において電子日誌により収集した副反応の発現頻度。
- 高齢者
- 接種に当たっては、問診等を慎重に行い、被接種者の健康状態を十分に観察すること(一般に生理機能が低下している)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ接種すること。
予防接種上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(本剤及び本剤に対する抗体のヒト乳汁中への移行は不明である)。
- 小児等
- 生後6ヵ月未満を対象とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 接種用器具は、ガンマ線等により滅菌されたディスポーザブル品を用い、被接種者ごとに取り換えること。
14.1.2. 使用前に、遮光して冷蔵庫(2~8℃)又は常温(15~25℃)で解凍すること(また、解凍後に再凍結しないこと)。
14.1.3. 使用前であれば、解凍後、遮光して2~8℃で最長30日間、8~25℃で最長24時間保存することができる(いずれの場合も有効期間内に使用すること)。
14.1.4. 使用前に常温に戻しておくこと。
14.1.5. 本剤の1バイアルには1回の接種用量0.5mLとして5回接種分、0.25mLとして10回接種分の薬液が充填されているが使用する注射筒及び注射針によっては1回の接種用量0.25mLを10回採取できないことがある。1回0.25mLを採取できない場合、残量は廃棄すること。
14.1.6. 使用前にバイアルに変色、異物の混入その他の異常がないかを目視で確認し、異常を認めたものは使用しないこと。
14.1.7. 吸引の前に容器を静かに回し、混和すること(振り混ぜないこと)。吸引の際には容器の栓及びその周囲をアルコールで消毒し、注射針をさし込み、所要量を吸引すること。この操作に当たっては、雑菌が迷入しないよう注意すること。
14.1.8. 栓を取り外し、あるいは他の容器に移し使用しないこと。
14.1.9. 一度針を刺したバイアルは、遮光して2~25℃で保存し、12時間以上経過したものは廃棄すること。
14.2. 薬剤接種時の注意14.2.1. 本剤を他のワクチンと混合して接種しないこと〔7.3参照〕。
14.2.2. 通常、三角筋中央部又は大腿前外側部に筋肉内接種、1歳未満は大腿前外側部に筋肉内接種すること。臀部には接種しないこと。また、静脈内、皮内、皮下への接種も行わないこと。
14.2.3. 注射針の先端が血管内に入っていないことを確かめること。
14.2.4. 組織・神経等への影響を避けるため次記の点に注意すること。
(1). 針長は筋肉内接種に足る長さで、神経、血管、骨等の筋肉下組織に到達しないよう、各被接種者に対して適切な針長を決定すること。
(2). 神経走行部位を避けること。
(3). 注射針を刺入したとき、激痛の訴えや血液の逆流がみられた場合は直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。
20.1. 外箱開封後は遮光して保存すること。
20.2. -50℃以下で保管しないこと。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報15.1.1. 海外において、コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチン接種後に心筋炎、心膜炎が報告されている(過去にSARS-CoV-2ワクチンの接種歴のない者に対する2回目までの接種において報告された症例の多くは若年男性であり、特に2回目接種後数日以内に発現しており、また、大多数の症例で、入院による安静臥床により症状が改善している)〔8.4、11.1.2参照〕。
15.1.2. 接種開始後の国内副反応疑い報告における心筋炎、心膜炎の報告率と、国内の医療情報データベースを用いて算出した一般集団から推測される心筋炎、心膜炎の発現率とを比較したところ、過去にSARS-CoV-2ワクチンの接種歴のない者に対するスパイクバックス筋注(1価:起源株)2回接種後の若年男性で頻度が高いことが示唆された〔8.4、11.1.2参照〕。
15.1.3. 海外において、皮膚充填剤との関連性は不明であるが、皮膚充填剤注入歴のある被接種者において、コロナウイルス(SARS-CoV-2)RNAワクチン接種後に、皮膚充填剤注入部位周辺の腫脹(特に顔面腫脹)が報告されている。
15.1.4. 海外において、スパイクバックス筋注(1価:起源株)接種後に、主に手足浮腫、低血圧、血液濃縮、低アルブミン血症等を呈する毛細血管漏出症候群再燃が報告されている。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
本項における初回免疫とは、過去にSARS‐CoV‐2ワクチンの接種歴のない者を対象に、スパイクバックス筋注を4週間隔で2回接種することであり、追加免疫とは初回免疫を完了した者にスパイクバックス筋注を追加接種することである。
17.1.1 海外第II/III相試験(P205試験)(追加免疫)
初回免疫及び追加免疫1回目としてSARS‐CoV‐2のmRNAワクチン(1価:起源株)を接種した後、追加免疫2回目としてSARS‐CoV‐2のmRNAワクチン(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)を接種した18歳以上の者を対象に、追加免疫2回目から3ヵ月以上後にスパイクバックス筋注(1価:オミクロン株XBB.1.5)50μgを1回筋肉内接種したときの免疫原性、安全性及び反応原性を検討した。追加免疫3回目としてスパイクバックス筋注(1価:オミクロン株XBB.1.5)を接種した50例のうち、SARS‐CoV‐2感染既往の有無は問わず、免疫原性評価が規定どおり行われたスパイクバックス筋注(1価:オミクロン株XBB.1.5)群49例を対象に、接種後14日のオミクロン株(XBB.1.5)及び起源株に対する血清中和抗体価の幾何平均値(GMT)及び幾何平均増加倍率(GMFR)を検討した。結果は表1のとおりであった。
表1 追加免疫3回目としてスパイクバックス筋注(1価:オミクロン株XBB.1.5)50μgを接種したときのオミクロン株(XBB.1.5)及び起源株に対する中和抗体価(50%阻害希釈倍率)
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安全性は、追加免疫3回目の接種を完了した50例で評価した。接種後7日間は電子日誌により副反応が収集され、スパイクバックス筋注(1価:オミクロン株XBB.1.5)の接種後に発現頻度が20%を超えた副反応の発現状況(全体及びグレード3以上)は表2のとおりであった。なお、本試験でグレード4の副反応は認められなかった。副反応の持続期間中央値は3.0日であった。
表2 主な副反応の発現状況
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17.1.2 海外第III相試験(P306試験)(初回免疫)(参考:スパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1))
SARS‐CoV‐2ワクチン未接種の生後6ヵ月~5歳の者を対象に、スパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)25μgを4週間隔で2回筋肉内接種したときの安全性及び免疫原性を検討した。本試験にはスパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)群179例が組み入れられた。主要評価項目である免疫原性は、ベースライン時のSARS‐CoV‐2感染の有無が判明しており(有無は問わない)、規定された2回目接種を受け、ベースライン及び2回目接種後の抗体評価を行ったスパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)群の71例を対象に評価し、17.1.9海外第II/III相試験のスパイクバックス筋注(1価:起源株)群の同年齢の被験者データと比較した。スパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)の2回目接種から28日後のオミクロン株(BA.1)及び起源株に対する血清中和抗体濃度は表3のとおりであった。
表3 2回目接種28日後の起源株及びオミクロン株(BA.1)に対する血清中和抗体濃度
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安全性は、治験薬を少なくとも1回接種した179例で評価した。各接種後7日間は電子日誌により副反応が収集され、スパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)のいずれかの接種後に認められた主な副反応の発現状況(全体及びグレード3以上)は表4のとおりであった。なお、本試験でグレード4の副反応は認められなかった。副反応の大部分は、接種後1日以内に発現し、持続期間中央値は1~2日であった。
表4 主な副反応の発現状況
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17.1.3 海外第II/III相試験(P205試験)(追加免疫)(参考:スパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1))
初回免疫としてスパイクバックス筋注(1価:起源株)100μgの2回接種及び追加免疫としてスパイクバックス筋注(1価:起源株)50μgを1回接種した18歳以上の者を対象に、追加免疫1回目から3ヵ月以上後にスパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)50μg又はスパイクバックス筋注(1価:起源株)50μgを1回筋肉内接種したときの免疫原性、安全性、反応原性を検討した。追加免疫2回目としてスパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)を接種した437例、スパイクバックス筋注(1価:起源株)を接種した377例のうち、追加免疫2回目接種前のSARS‐CoV‐2検査結果※が陰性で免疫原性評価が規定どおり行われたスパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)群334例、スパイクバックス筋注(1価:起源株)群260例を対象に、接種後28日の起源株及びオミクロン株(BA.1)に対する血清中和抗体価及び中和抗体応答率を評価した。結果は表5のとおりであった。
※RT‐PCR検査又は抗体検査
表5 追加免疫2回目としてスパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)50μg又はスパイクバックス筋注(1価:起源株)50μgを接種したときの起源株及びオミクロン株(BA.1)に対する中和抗体価(50%阻害希釈倍率)及び中和抗体応答率
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安全性は、追加免疫2回目の接種を完了した814例で評価した。なお、接種後7日間は電子日誌により副反応が収集された。スパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.1)の接種後に発現頻度が20%を超えた副反応の発現状況(全体及びグレード3以上)は表6のとおりであった。なお、本試験でグレード4の副反応は認められなかった。副反応の持続期間中央値は2.0日であった。
表6 主な副反応の発現状況
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17.1.4 海外第II/III相試験(P205試験)(追加免疫)(参考:スパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5))
初回免疫としてスパイクバックス筋注(1価:起源株)100μgの2回接種及び追加免疫としてスパイクバックス筋注(1価:起源株)50μgを1回接種した18歳以上の者を対象に、追加免疫1回目から3ヵ月以上後にスパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)50μg又はスパイクバックス筋注(1価:起源株)50μgを1回筋肉内接種したときの免疫原性、安全性、反応原性を検討した。追加免疫2回目としてスパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)を接種した511例、スパイクバックス筋注(1価:起源株)を接種した376例のうち、追加免疫2回目接種前のSARS‐CoV‐2検査結果※が陰性で免疫原性評価が規定どおり行われたスパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)群209例、スパイクバックス筋注(1価:起源株)群259例を対象に、接種後28日の起源株及びオミクロン株(BA.4/BA.5)に対する血清中和抗体価及び中和抗体応答率を評価した。結果は表7のとおりであった。
※RT‐PCR検査又は抗体検査
表7 追加免疫2回目としてスパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)50μg又はスパイクバックス筋注(1価:起源株)50μgを接種したときの起源株及びオミクロン株(BA.4/BA.5)に対する中和抗体価(50%阻害希釈倍率)及び中和抗体応答率
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安全性は、追加免疫2回目の接種を完了したスパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)群511例で評価した。なお、接種後7日間は電子日誌により副反応が収集された。スパイクバックス筋注(2価:起源株/オミクロン株BA.4-5)の接種後に発現頻度が20%を超えた副反応の発現状況(全体及びグレード3以上)は表8のとおりであった。なお、本試験でグレード4の副反応は認められなかった。副反応の持続期間中央値は3.0日であった。
表8 主な副反応の発現状況
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17.1.5 海外第III相試験(P301試験)(初回免疫)(参考:スパイクバックス筋注(1価:起源株))
SARS‐CoV‐2ワクチン未接種の18歳以上の者を対象に、無作為化プラセボ対照観察者盲検の第III相試験を実施し、スパイクバックス筋注(1価:起源株)100μg又はプラセボを4週間隔で2回筋肉内接種したときの有効性及び安全性を検討した。主要評価項目であるワクチンの有効性(VE)は、ベースライン時のSARS‐CoV‐2感染が否定され、2回目接種後14日以降に発症したCOVID‐19確定例を対象に評価した。中間解析はCOVID‐19確定例が95例、主要解析は196例、集積した時点で実施し、SARS‐CoV‐2による感染症に対するVEを評価した。解析結果は表9のとおりであった。なお、中間解析時及び主要解析時の2回目接種後の追跡期間(中央値)はそれぞれ49日と64日であった。
表9 SARS‐CoV‐2による感染症に対する有効性
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安全性は、治験薬を少なくとも1回接種した30351例で評価した。各接種後7日間は電子日誌により副反応が収集され、スパイクバックス筋注(1価:起源株)群でいずれかの接種後に発現頻度が20%を超えた又はグレード4が複数例に発現した副反応の発現状況(全体及びグレード3以上)は表10のとおりであった。副反応の大部分は、接種後1~2日以内に発現し、持続期間中央値は1~3日であった。
表10 主な副反応の発現状況
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17.1.6 国内第I/II相試験(1501試験)(初回免疫)(参考:スパイクバックス筋注(1価:起源株))
SARS‐CoV‐2ワクチン未接種の20歳以上の日本人健康成人を対象に、無作為化プラセボ対照観察者盲検の第I/II相臨床試験を実施し、スパイクバックス筋注(1価:起源株)100μg又はプラセボを4週間隔で2回筋肉内接種したときの安全性及び免疫原性を検討した。本試験にはスパイクバックス筋注(1価:起源株)群150例及びプラセボ群50例が組み入れられ、2回目接種から28日後のSARS‐CoV‐2に対する血清結合抗体価及び野生型ウイルスに対する血清中和抗体価の幾何平均値(GMT)、幾何平均増加倍率(GMFR)及び抗体陽転率(SCR)が検討された。結果は表11のとおりであった。
表11 2回目接種28日後のSARS‐CoV‐2血清結合抗体価及び血清中和抗体価
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安全性は、治験薬を少なくとも1回接種した200例で評価した。接種後7日間は電子日誌により副反応が収集され、スパイクバックス筋注(1価:起源株)群でいずれかの接種後に発現頻度が20%を超えた副反応の発現状況(全体及びグレード3以上)は表12のとおりであった。副反応の大部分は、接種後1~2日以内に発現し、持続期間中央値は1~3日であった。
表12 主な副反応の発現状況
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17.1.7 海外第II/III相試験(P203試験)(初回免疫)(参考:スパイクバックス筋注(1価:起源株))
SARS‐CoV‐2ワクチン未接種の12~17歳の者を対象に、無作為化プラセボ対照観察者盲検の第II/III相試験を実施し、スパイクバックス筋注(1価:起源株)100μg又はプラセボを4週間隔で2回筋肉内接種したときの安全性、免疫原性及び有効性を検討した。本試験にはスパイクバックス筋注(1価:起源株)群2489例及びプラセボ群1243例が組み入れられた。主要評価項目である免疫原性は、ベースライン時のSARS‐CoV‐2感染が否定され、規定された2回目接種を受けたスパイクバックス筋注(1価:起源株)群の340例を対象に評価し、17.1.5海外第III相試験のスパイクバックス筋注(1価:起源株)群のうち18~25歳の被験者データと比較した。スパイクバックス筋注(1価:起源株)の2回目接種から28日後のシュードウイルスに対する血清中和抗体価及び中和抗体応答率は表13のとおりであり、12~17歳の18~25歳に対する非劣性が確認された。
表13 2回目接種28日後のシュードウイルスに対する血清中和抗体価(50%阻害希釈倍率)及び中和抗体応答率
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副次評価項目であるワクチンの有効性(VE)は、ベースライン時のSARS‐CoV‐2感染が否定され、2回目接種後14日以降に発症したCOVID‐19確定例を対象に評価した。データカットオフ日時点のSARS‐CoV‐2による感染症に対するVEは表14のとおりであった。データカットオフ日時点で、2回目接種後の追跡期間(中央値)は53日であった。
表14 SARS‐CoV‐2による感染症に対する有効性
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安全性は、治験薬を少なくとも1回接種した3726例で評価した。各接種後7日間は電子日誌により副反応が収集され、スパイクバックス筋注(1価:起源株)群でいずれかの接種後に発現頻度が20%を超えた又はグレード4が複数例に発現した副反応の発現状況(全体及びグレード3以上)は表15のとおりであった。副反応の大部分は、接種後1~2日以内に発現し、持続期間中央値は1~3日であった。
表15 主な副反応の発現状況
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17.1.8 海外第II/III相試験(P204試験)(初回免疫)(参考:スパイクバックス筋注(1価:起源株))
SARS‐CoV‐2ワクチン未接種の6~11歳の者を対象に、無作為化プラセボ対照観察者盲検の第II/III相試験を実施し、スパイクバックス筋注(1価:起源株)50μg又はプラセボを4週間隔で2回筋肉内接種したときの安全性、免疫原性及び有効性を検討した。本試験にはスパイクバックス筋注(1価:起源株)群3012例及びプラセボ群1004例が組み入れられた。主要評価項目である免疫原性は、ベースライン時のSARS‐CoV‐2感染が否定され、規定された2回目接種を受け、ベースライン及び2回目接種後の抗体評価を行ったスパイクバックス筋注(1価:起源株)群の320例を対象に評価し、17.1.5海外第III相試験のスパイクバックス筋注(1価:起源株)群のうち18~25歳の被験者データと比較した。スパイクバックス筋注(1価:起源株)の2回目接種から28日後のシュードウイルスに対する血清中和抗体価及び中和抗体応答率は表16のとおりであり、6~11歳の18~25歳に対する非劣性が確認された。
表16 2回目接種28日後のシュードウイルスに対する血清中和抗体価(50%阻害希釈倍率)及び中和抗体応答率
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副次評価項目であるワクチンの有効性(VE)は、ベースライン時のSARS‐CoV‐2感染が否定され、2回目接種後14日以降に発症したCOVID‐19確定例を対象に評価した。データカットオフ日時点のSARS‐CoV‐2による感染症に対するVEは表17のとおりであった。データカットオフ日時点で、2回目接種後の追跡期間(中央値)は51.0日であった。
表17 SARS‐CoV‐2による感染症に対する有効性
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安全性は、治験薬を少なくとも1回接種した3997例で評価した。各接種後7日間は電子日誌により副反応が収集され、スパ
18.1 作用機序
本剤は脂質ナノ粒子に封入されたヌクレオシド修飾メッセンジャーRNA(mRNA)を含有する。脂質ナノ粒子によりmRNAは宿主細胞内に送達され、SARS‐CoV‐2のスパイクタンパク質を一過性に発現する。発現したスパイクタンパク質は免疫細胞により外来抗原として認識され、これに対する中和抗体産生及び細胞性免疫応答が誘導される。
18.2 変異株に対する中和抗体産生能
1価(オミクロン株XBB.1.5)製剤を21日間隔で2回投与したマウスにおいて、最終投与の2週間後にオミクロン株(XBB.1.5)に対する中和抗体の産生が認められた。また、1価(起源株)製剤を21日間隔で2回投与し、初回投与から90日後に1価(オミクロン株XBB.1.5)製剤を1回投与したマウスにおいても、最終投与の2週間後にオミクロン株(XBB.1.5)に対する中和抗体の産生が認められた。
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