タイコバック水性懸濁筋注0.5mL
添付文書情報2024年03月改定(第1版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 接種不適当者予防接種を受けることが適当でない者
- 2.1. 明らかな発熱を呈している者。
2.2. 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者。
2.3. 本剤の成分に対し重度過敏症の既往歴のある者。
2.4. 前記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある者。
- 効能・効果
- ダニ媒介性脳炎の予防。
- 用法・用量
- 初回免疫の場合、1回0.5mLを3回、筋肉内に接種する。2回目接種は、1回目接種の1~3ヵ月後、3回目接種は、2回目接種の5~12ヵ月後に接種する。免疫の賦与を急ぐ場合には、2回目接種を1回目接種の2週間後に行うことができる。
追加免疫の場合、1回0.5mLを筋肉内に接種する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 接種対象者
接種対象者:16歳以上の者。
7.2. 追加免疫
必要に応じて、3回目接種の3年後に追加免疫を行い、以降は16~60歳では5年ごと、60歳以上では3年ごとの追加免疫を行うこと。
7.3. 2回目接種以降に接種が中断された場合は、できるだけ速やかに接種し、以降の接種を継続すること。
7.4. 医師が必要と認めた場合には、他のワクチンと同時に接種することができる。
7.5. 0.25mL接種対象者には使用しないこと。
7.6. 初回免疫完了前にダニ媒介性脳炎ウイルスに感染するリスクがある場合(ダニ媒介性脳炎流行時期における流行地域への渡航等)は、その前に本剤を2回接種すること。
- 肝機能障害を有する者
- 8.1. 本剤は「予防接種実施規則」及び「定期接種実施要領」に準拠して使用すること。
8.2. 被接種者について、接種前に必ず問診、検温及び診察によって健康状態を調べること〔9.1接種要注意者(接種の判断を行うに際し、注意を要する者)の項参照〕。
8.3. 被接種者又はその保護者に、接種当日は過激な運動は避け、接種部位を清潔に保ち、また、接種後の健康監視に留意し、局所の異常反応や体調の変化、さらに高熱、痙攣等の異常な症状を呈した場合には速やかに医師の診察を受けるよう事前に知らせること。
8.4. ショック、アナフィラキシーがあらわれることがあるため、接種前に過敏症の既往歴等に関する問診を十分に行うとともに、ショック、アナフィラキシーに対する緊急処置ができるよう、適切な監視下において接種すること。また、接種後一定時間、被接種者の状態を観察すること〔11.1.1参照〕。
8.5. ワクチン接種直後又は接種後に注射による心因性反応を含む血管迷走神経反射として失神があらわれることがある。失神による転倒を避けるため、接種後一定時間は座らせるなどした上で被接種者の状態を観察することが望ましい。
被接種者が次のいずれかに該当すると認められる場合は、健康状態及び体質を勘案し、診察及び接種適否の判断を慎重に行い、予防接種の必要性、副反応、有用性について十分な説明を行い、同意を確実に得た上で、注意して接種すること〔8.2参照〕。
9.1.1. 自己免疫疾患を有する者又は自己免疫疾患が疑われる者:ベネフィットとリスクを考慮した上で接種の要否を判断すること(本剤接種により自己免疫疾患が悪化する、もしくはその経過に悪影響を及ぼす可能性がある)〔11.1.2参照〕。
9.1.2. 活動性脱髄疾患又はコントロール不良のてんかん等の脳障害を有する者:本剤接種の必要性について十分に検討すること。
9.1.3. 出血性疾患を有する者、抗凝固療法中の者:本剤接種後に出血があらわれることがある。
9.1.4. 過去に免疫不全の診断がなされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる者。
9.1.5. 本剤の成分に対してアレルギーを呈するおそれのある者。
9.1.6. 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する者。
9.1.7. 予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者。
9.1.8. 過去に痙攣の既往のある者。
腎機能障害を有する者:接種要注意者である。
肝機能障害を有する者:接種要注意者である。
- 副作用
- 次の副反応があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副反応11.1.1. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明)〔8.4参照〕。
11.1.2. 多発性硬化症(多発性硬化症増悪を含む)(頻度不明)〔9.1.1参照〕。
11.1.3. 急性散在性脳脊髄炎、ギラン・バレー症候群、脊髄炎、横断性脊髄炎(いずれも頻度不明)。
11.1.4. 脳炎(頻度不明)。
- 11.2. その他の副反応1). 局所症状(注射部位):(10%以上*)注射部位疼痛(35.0%)、(10%未満*)注射部位出血、注射部位腫脹、注射部位そう痒感、注射部位硬結、注射部位血腫、注射部位発赤・注射部位紅斑、注射部位熱感、注射部位知覚異常、(頻度不明)注射部位関節運動障害、注射部位関節痛、注射部位結節、注射部位炎症。
2). 感染症:(10%未満*)上気道感染、(頻度不明)帯状疱疹再燃。
3). 血液:(10%未満*)リンパ節症。
4). 免疫系:(10%未満*)過敏症。
5). 精神神経系:(10%未満*)頭痛、神経痛、傾眠、浮動性めまい、(頻度不明)痙攣、感覚異常及び運動機能障害(第7脳神経麻痺、顔面不全麻痺、麻痺、不全麻痺、神経炎、視神経炎)、髄膜症。
6). 感覚器:(10%未満*)回転性めまい、(頻度不明)視力障害、羞明、眼痛、耳鳴。
7). 循環器:(頻度不明)頻脈。
8). 呼吸器:(頻度不明)呼吸困難。
9). 消化器:(10%以上*)※下痢、(10%未満*)悪心、嘔吐、腹痛。
10). 皮膚:(10%未満*)皮膚そう痒症、発疹(紅斑性皮疹、斑状丘疹状皮疹)、紅斑、蕁麻疹、(頻度不明)皮膚炎、多汗症。
11). 筋・骨格系:(10%未満*)筋肉痛、関節痛、四肢痛、筋骨格硬直、(頻度不明)背部痛、関節腫脹、頚部痛。
12). その他:(10%未満*)疲労、倦怠感、発熱、無力症、インフルエンザ様疾患、(頻度不明)悪寒、歩行障害、浮腫。
*)治験参加者日誌により収集した副反応を含む。
※)B9371039試験(n=100)における発現頻度。
- 高齢者
- 接種にあたっては、問診等を慎重に行い、被接種者の健康状態を十分に観察すること(一般に、生理機能が低下している)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ接種すること(生殖発生毒性試験は実施していない)。
予防接種上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(ヒト母乳中への移行は不明である)。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 使用前に室温に戻すこと。
14.1.2. 使用前に、均一な乳白色の懸濁液となるよう振り混ぜること(異物の混入又は外観の変化がないかを目視で確認し、異常を認めたものは使用しないこと)。
14.1.3. 本剤を他のワクチンと混合して接種しないこと。
14.2. 薬剤接種時の注意14.2.1. 通常、上腕三角筋に筋肉内接種すること。静脈内、皮内、皮下への接種は行わないこと。他の注射用ワクチンを同時に接種する場合は、別々の部位(できれば別々の四肢)に接種すること。
14.2.2. 組織・神経等への影響を避けるため次記の点に注意すること。
(1). 針長は筋肉内接種に足る長さで、神経、血管、骨等の筋肉下組織に到達しないよう、各被接種者に対して適切な針長を決定すること。
(2). 神経走行部位を避けること。
(3). 注射針を刺入したとき、激痛の訴えや血液の逆流がみられた場合は直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。
20.1. 外箱開封後は、遮光して保存すること。
20.2. 凍結させないこと。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
<初回免疫>
17.1.1 国内第III相試験(B9371039試験)
ダニ媒介性脳炎ウイルスに対して感染歴のない16歳以上の健康成人を対象に、本剤を3回筋肉内接種(1回目接種の21~35日後に2回目接種、2回目接種の5~12ヵ月後に3回目接種)したときの免疫原性及び安全性を検討した。
99例を対象に、主要な免疫原性評価項目である3回目接種後1ヵ月時の抗体陽性率を評価した結果、表1のとおり事前に規定された、主要な免疫原性評価項目の達成基準(抗体陽性率の95%信頼区間の下限が90%を上回る)を満たした。
表1 中和試験a)による日本人を対象とした3回目接種後抗体陽性率b)
→図表を見る(PDF)
安全性は、1回目、2回目を接種した100例及び3回目を接種した99例を対象に、本剤接種後7日間の事前に規定した局所反応及び全身性反応を電子日誌で収集し評価した。主な局所反応は注射部位疼痛であり、それぞれ1回目接種後59例(59.0%)、2回目接種後44例(44.0%)、3回目接種後36例(36.4%)が報告された。全ての局所反応の重症度は軽度又は中等度であり、持続期間は1~2日(中央値)であった。
全身性反応について、1回目接種後には筋肉痛19例(19.0%)、疲労16例(16.0%)及び頭痛13例(13.0%)が主に報告され、2回目接種後には頭痛10例(10.0%)が主に報告され、3回目接種後には頭痛11例(11.1%)と疲労11例(11.1%)が主に報告された。全身性反応の多くは軽度又は中等度であり、持続期間は発熱(1回目接種後6.5日;2例、2回目接種後5日;1例、3回目接種後1日;1例、いずれも中央値)を除き1~2.5日(中央値)であった。
17.1.2 海外第IIIb相試験(690601試験)
690601試験では、ダニ媒介性脳炎ウイルスに対する感染歴がなく、通常のスケジュールよりも短い接種間隔(1回目及び2回目接種は14日の間隔)で本剤を2回接種した16歳以上の健康成人を対象に、1回目接種から6ヵ月後に本剤を1回接種(3回目接種)したときの免疫原性及び各回接種の安全性を検討した。
297例を対象に、有効性評価項目である3回目接種後3週時の抗体陽性率を評価した結果、表2のとおりであった。
表2 中和試験a)による3回目接種後抗体陽性率b)
→図表を見る(PDF)
安全性は、340例(16~49歳群は1回目接種170例、2回目接種167例、3回目接種158例、50歳以上群は1回目接種170例、2回目接種168例、3回目接種164例)を対象に、本剤接種後4日間の事前に規定した局所反応及び全身性反応を収集し評価した。主な局所反応は、注射部位疼痛[いずれかの接種回後に16~49歳群で19~25例(11.2~15.8%)、50歳以上群で12~15例(7.1~8.9%)]及び圧痛[いずれかの接種回後に16~49歳群で13~20例(8.2~12.0%)、50歳以上群で9~20例(5.5~11.9%)]が報告された。
主な全身性反応は、1回目接種後及び2回目接種後に16~49歳群で頭痛、リンパ節腫脹、倦怠感及び疲労が、50歳以上群では頭痛、リンパ節腫脹及び倦怠感が報告された[それぞれいずれかの接種回後で6~8例(3.6~4.7%)]。3回目接種後の主な全身性反応は16~49歳群で頭痛[5例(3.2%)]及び倦怠感[4例(2.5%)]が、50歳以上群でリンパ節腫脹、関節痛及び筋肉痛[各2例(1.2%)]が報告された。
<追加免疫>
17.1.3 海外第IV相試験(223試験)
223試験では、本剤の海外臨床試験において通常の接種スケジュールにより3回目接種(初回免疫)を完了した18~67歳の健康成人を対象に、本剤の3回目接種から3年後に本剤を4回目接種(1回目の追加免疫)したときの免疫原性及び安全性を検討した。
240例を対象に、有効性評価項目である4回目接種後1ヵ月時の抗体陽性率を評価した結果、表3のとおりであった。
表3 中和試験a)による4回目接種(1回目追加免疫)後抗体陽性率b)
→図表を見る(PDF)
安全性は、328例を対象に、本剤接種後4日間の事前に規定した局所反応及び全身性反応を収集し評価した。局所反応は、計22例に発現し、圧痛[16例(4.9%)]、注射部位疼痛[13例(4.0%)]が報告された。全身反応は計2例に発現し、倦怠感及び筋肉痛[各1例(0.3%)]が報告された。
<免疫持続性>
17.1.4 海外第IV相試験(223試験、690701試験、691101試験)
223試験では、本剤の海外臨床試験において通常の接種スケジュールにより3回目接種(初回免疫)を完了した18~67歳の健康成人を対象に、3回目接種から2年後及び3年後の抗体価を検討した。690701及び691101試験では、223試験で4回目接種(1回目の追加免疫)を完了した健康成人を対象に、本剤の4回目接種から27、34、46、58ヵ月後(690701試験)、82、94、106及び118ヵ月後(691101試験)の免疫持続性を検討した。
初回免疫後の抗体持続性については、表4のとおり、18~50歳及び51~67歳のいずれの年齢層においても抗体陽性率が3年間にわたり高い値を維持した。1回目の追加免疫完了後の抗体持続性については、表5のとおり223試験参加時18~49歳、50~60歳、60歳超のいずれの年齢層においても抗体陽性率が34ヵ月後(約3年間)まで高い値を維持した。さらに、18~49歳及び50~60歳においては58ヵ月後(約5年間)まで高い値を維持した。
表4 中和試験a)による3回目接種(初回免疫)2年後及び3年後における抗体陽性率
→図表を見る(PDF)
表5 中和試験a)による1回目追加免疫後抗体陽性率
→図表を見る(PDF)
18.1 作用機序
本剤接種により、ダニ媒介性脳炎ウイルスに対する中和抗体の産生が誘導されることで、ダニ媒介性脳炎ウイルスによる感染症の予防に寄与すると考えられている。
- 製造販売会社
- ファイザー
- 販売会社
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