ベリナートP静注用500
添付文書情報2023年12月改定(第1版)
商品情報
- 禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。
- 効能・効果
- 1). 遺伝性血管性浮腫の急性発作。
2). 侵襲を伴う処置による遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制。
- 用法・用量
- 〈効能共通〉
本剤を添付の日局注射用水全量で徐々に溶解し、直接静注するか、点滴静注する。直接静注の場合は、緩徐に行う。
〈遺伝性血管性浮腫の急性発作〉
通常、成人には1000~1500国際単位を投与する。本剤投与後、数時間以内に効果の発現が認められないか、あるいは、不十分な場合には、500~1000国際単位を追加投与する。また、24時間後でも症状の改善が不十分な場合には、その症状に応じて繰り返し投与する。
〈侵襲を伴う処置による遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制〉
通常、成人には侵襲を伴う処置前の6時間以内に1000~1500国際単位を投与する。
- 合併症・既往歴等のある患者
- 8.1. 〈効能共通〉本剤の使用にあたっては、疾病の治療における本剤の必要性とともに、本剤の製造に際し感染症の伝播を防止するための安全対策が講じられているが、血液を原料としていることに由来する感染症伝播のリスクを完全に排除することができないことを患者に対して説明し、理解を得るよう努めること。
8.2. 〈効能共通〉本剤の原材料となる血漿については、HBs抗原、抗HCV抗体、抗HIV-1抗体及び抗HIV-2抗体が陰性であることを確認している。さらに、プールした試験血漿については、HIV、HBV、HCV及びHAVについて核酸増幅検査(NAT)を実施し、適合した血漿を本剤の製造に使用しているが、当該NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存在する。また、ヒトパルボウイルスB19についてもNATによるスクリーニングを実施し、適合した血漿を用いている。
その後の製造工程である60℃、10時間液状加熱処理及びナノフィルトレーションは、HIV、HBV、HCV等のエンベロープを有するウイルス及びエンベロープを有しないHAV、ヒトパルボウイルスB19をはじめとする各種ウイルス除去・不活化効果が確認されているが、投与に際しては、次の点に十分に注意すること。
血漿分画製剤の現在の製造工程では、ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため、本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので、投与後の経過を十分に観察すること〔9.1.1、9.1.2、9.5妊婦の項参照〕。
8.3. 〈効能共通〉現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない。しかしながら、製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの、理論的なvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので、投与の際には患者への説明を十分行い、治療上の必要性を十分検討の上投与すること。
8.4. 〈効能共通〉肝炎ウイルス感染症等のウイルス感染症の危険性を完全に否定できないので、観察を十分に行い、肝障害があらわれた場合には適切な処置を行うこと。
8.5. 〈効能共通〉頻回輸注した場合、患者の血清中にC1-インアクチベーターに対するインヒビター発生を完全に否定できないので、観察を十分に行うこと。
8.6. 〈侵襲を伴う処置による遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制〉侵襲を伴う処置による遺伝性血管性浮腫の急性発作の発症抑制の場合、処置中及び処置後も患者の状態を慎重に観察するとともに、発作に備え適切な対応がとれるよう体制を整えておくこと。
9.1.1. 溶血性貧血・失血性貧血の患者:ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない(感染した場合には、発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある)〔8.2参照〕。
9.1.2. 免疫不全患者・免疫抑制状態の患者:ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない(感染した場合には、持続性貧血を起こすことがある)〔8.2参照〕。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明):頻脈、血圧上昇、血圧低下、潮紅、じん麻疹、呼吸困難、頭痛、めまい、悪心等が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと(なお、アナフィラキシーは遺伝性血管性浮腫の発作と同様の症状を示すため、観察を十分に行うこと)。
- 11.2. その他の副作用
1). 過敏症:(頻度不明)発疹、発熱、発赤等。
2). 投与部位:(頻度不明)注射部位反応。
- 高齢者
- 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下している)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(生殖発生毒性試験は実施していない、また、本剤の投与によりヒトパルボウイルスB19の感染の可能性を否定できない(感染した場合には胎児への障害(流産、胎児水腫、胎児死亡)が起こる可能性がある))〔8.2参照〕。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
- 小児等
- 低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児を対象とした臨床試験成績は得られていない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 「ベリナートP静注用500の使用方法」に従い調製を行うこと。
14.1.2. 他剤との混合注射は避けることが望ましい。
14.1.3. 本剤は溶解後ただちに使用すること。
14.1.4. 一部を使用した残液は、細菌汚染のおそれがあるので使用しないこと。
14.2. 薬剤投与時の注意溶解時に著しい沈殿の認められるものは投与しないこと。
本剤は特定生物由来製品に該当することから本剤を投与又は処方した場合は医薬品名(販売名)、製造番号(ロット番号)、投与又は処方日、投与又は処方を受けた患者の氏名、住所等を記録し使用日から少なくとも20年間保存すること。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報海外において、体外循環下の心臓外科手術の前後でのCapillary Leak Syndrome<承認外用法・用量>(毛細血管漏出症候群<承認外用法・用量>)を予防又は治療するために本剤を投与した場合において、致死的血栓症を発現したとの報告がある(承認外用法・用量)。
16.1 血中濃度
遺伝性血管性浮腫患者に本剤を投与したときの最高血中濃度到達時間、血中半減期、回収率、上昇率は次のとおりである(外国人データ)。
→図表を見る(PDF)
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内臨床試験
遺伝性血管性浮腫の急性発作治療を対象とした国内臨床試験において、急性発作を発症した患者3例に1,000~2,500国際単位を投与した結果、全症例とも有効以上であった。
総投与例7例中、本剤との因果関係が疑われる副作用は認められなかった。また、本剤に起因すると思われる臨床検査値異常も認められなかった。
17.2 製造販売後調査等
17.2.1 国内使用成績調査
遺伝性血管性浮腫の急性発作治療を対象とした市販後の使用成績調査において、有効性及び有用性解析対象症例70例における改善率は87.1%(61/70例)、有用率は92.9%(65/70例)であった。
安全性解析対象症例77例における副作用発現頻度は2.6%(2/77例)であり、発現した副作用はALT、Al‐Pの上昇各2件、AST、γ‐GTPの上昇、好酸球増多各1件であった。
18.1 作用機序
C1‐インアクチベーターは分子量105kDaの糖蛋白であり、プロテアーゼC1r及びC1sを不活化することで補体活性化経路を阻害する。また、血液凝固第XIIa因子、血漿カリクレインに対して阻害作用を有する。本剤は遺伝性血管性浮腫において欠如しているC1‐インアクチベーターを補充することにより治療効果を示す。
- 製造販売会社
- CSLベーリング
- 販売会社
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