イスパロクト静注用3000
添付文書情報2024年03月改定(第3版)
商品情報
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- 効能・効果
- 血液凝固第8因子欠乏患者における出血傾向の抑制。
- 用法・用量
- 本剤を添付の専用溶解液全量で溶解し、1~2mL/分で緩徐に静脈内に注射する。
通常、1回体重1kg当たり10~30国際単位を投与するが、患者の状態に応じて適宜増減する。
定期的に投与する場合、12歳以上の患者には、通常、1回体重1kg当たり50国際単位を4日毎に投与する。なお、患者の状態に応じて、1回体重1kg当たり50国際単位を週2回、又は1回体重1kg当たり75国際単位を週1回投与することもできる。
12歳未満の小児には、通常、1回体重1kg当たり60国際単位を週2回投与する。なお、患者の状態に応じて、1回体重1kg当たり50~75国際単位を週2回又は3日毎に投与することもできる。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 1国際単位(IU)の第8因子活性は健常人の血漿1mL中の第8因子活性に相当する。必要量は、体重1kg当たり1IUの第8因子の投与により血漿第8因子活性が2IU/dL上昇するという経験則より、次の計算式に基づいて算出すること。
必要量(IU)=体重(kg)×血液凝固第8因子の目標上昇値(%又はIU/dL)×0.5[(IU/kg)/(IU/dL)]。
出血症状の程度又は手術の種類に応じて必要な期間、次に示す第8因子活性(%又はIU/dL)を下回らないように維持する。用量及び投与の間隔は臨床的な効果が得られるように個々の症例に応じて調整すること。
[出血エピソード及び外科手術における用量の指標]
1). 出血:
①. 軽度(早期の関節内出血、軽度の筋肉内出血又は口腔内出血):必要な第8因子活性値20~40(%)(IU/dL)、投与の間隔は12~24時間毎、治療期間は出血症状が消失するまで。
②. 中等度(より進行した関節内出血、筋肉内出血又は血腫):必要な第8因子活性値30~60(%)(IU/dL)、投与の間隔は12~24時間毎、治療期間は出血症状が消失するまで。
③. 重度又は生命を脅かす出血:必要な第8因子活性値60~100(%)(IU/dL)、投与の間隔は8~24時間毎、治療期間は危機的状況から脱するまで。
2). 外科手術:
①. 小手術(抜歯を含む):必要な第8因子活性値30~60(%)(IU/dL)、手術前1時間以内に投与。必要に応じ24時間毎に追加投与する。治癒が得られるまで最低1日間は投与する。
②. 大手術:必要な第8因子活性値80~100(%)(IU/dL)(手術前~術後)、目標範囲内の第8因子活性を達成するよう手術前1時間以内に投与。必要に応じ8~24時間毎に創傷が治癒するまで追加投与する。引き続き7日間は、第8因子活性を30~60%(IU/dL)に維持できるよう追加投与する。
7.2. 定期的な投与の用法及び用量は、直近の出血状況等、患者の状態を考慮して選択すること〔17.1.1、17.1.2参照〕。
- 合併症・既往歴等のある患者
- 8.1. 本剤の投与は、血友病の治療経験をもつ医師のもとで開始すること。
8.2. 患者の血中に血液凝固第8因子に対するインヒビター発生することがある。特に、血液凝固第8因子製剤による補充療法開始後、投与回数が少ない時期(補充療法開始後の比較的早期)や短期間に集中して補充療法を受けた時期にインヒビター発生しやすいことが知られている。本剤を投与しても予想した止血効果が得られない場合には、インヒビター発生を疑い、血液凝固第8因子回収率や血液凝固第8因子に対するインヒビターの検査を行うなど注意深く対応し、適切な処置を行うこと〔11.2参照〕。
8.3. 本剤の在宅自己注射は、医師がその妥当性を慎重に検討し、患者又はその家族が適切に使用可能と判断した場合のみに適用すること。本剤を在宅自己注射で処方する際には、使用方法等の患者教育を十分に実施した後、在宅にて適切な治療が行えることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。また、患者又はその家族に対し本剤の注射により発現する可能性のある副作用等についても十分説明し、在宅自己注射後何らかの異常の認められた場合や投与後の止血効果が不十分な場合には速やかに医療機関へ連絡するよう指導すること。在宅自己注射適用後、在宅自己注射の継続が困難な場合には、医師の管理下で慎重に観察するなど、適切な対応を行うこと。
8.4. 目標とする血液凝固第8因子レベルに達していることを確認するため、必要に応じ血液凝固第8因子レベルをモニタリングすること(本剤投与後に血液凝固第8因子活性を測定する場合は、最新の情報を参照し、適切な試薬を用いて測定を行うこと(測定試薬の種類により、測定結果が見かけ上、低値を示すことがある))。
9.1.1. ハムスター由来タンパク質に過敏症の既往歴のある患者〔11.1.1参照〕。
9.1.2. 本剤の成分又は他の血液凝固第8因子製剤に対し過敏症の既往歴のある患者〔11.1.1参照〕。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック、アナフィラキシー(頻度不明):じん麻疹、全身性じん麻疹、胸部圧迫感、喘鳴、低血圧などの症状が認められた場合は、投与を中止し、適切な処置を行うこと〔9.1.1、9.1.2参照〕。
- 11.2. その他の副作用
1). 過敏症:(1%未満)アレルギー反応。
2). 神経系障害:(1%以上)頭痛。
3). 皮膚及び皮下組織障害:(1%以上)発疹、(1%未満)紅斑、皮膚そう痒症。
4). 筋骨格系及び結合組織障害:(1%以上)関節痛。
5). 全身障害及び投与部位の状態:(1%未満)注射部位反応、注射部位腫脹。
6). 臨床検査:(1%以上)AST増加、ALT増加。
7). その他:(1%未満)*インヒビター発生。
*)〔8.2参照〕。
- 高齢者
- 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下している)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(生殖発生毒性試験は実施されていない)。
授乳中は、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(理論的に、血液凝固第8因子製剤が人の母乳中に存在する可能性がある)。
- 適用上の注意
- 14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 本剤及び添付の専用溶解液を冷所保存している場合、調製前に室温に戻しておくこと。
14.1.2. 添付の溶解液以外は使用しないこと。
14.1.3. 本剤に溶解用液全量を加えた後、バイアルを静かに円を描くよう回して溶解する(激しく振とうしない)。
14.1.4. 他の製剤と混合しないこと。
14.1.5. 溶解後はできるだけ速やかに使用(速やかに使用できない場合は、薬液をバイアルに入れた状態で、凍結を避け2~8℃で24時間まで、室温(30℃以下)で4時間まで保存できるが、保存条件を満たさない場合は廃棄)すること。
14.1.6. 使用後の残液は細菌汚染のおそれがあるので使用しないこと。
14.2. 薬剤投与時の注意沈殿・混濁が認められるものは使用しないこと。
14.3. 薬剤交付時の注意14.3.1. 患者が家庭で保存する場合においては、冷蔵庫内での保存が望ましいが取り出して40℃以下で保存した場合使用期限を超えない範囲で次の期間内は使用できる(再び冷蔵庫に戻さない):1)30℃を超えない場合12ヵ月以内、2)30℃超の場合3ヵ月以内。
14.3.2. 冷蔵庫の外で保存した場合は、再び冷蔵庫に戻さないように指導すること。
14.3.3. 光の影響を防ぐために、薬剤バイアルは外箱に入れた状態で保存すること。
14.3.4. 子供による誤用等を避けるため、薬剤の保管に十分注意すること。
14.3.5. 使用済みの医療機器の処理については、主治医の指示に従うこと。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報本剤はvon Willebrand因子を含んでいない。
16.1 血中濃度
16.1.1 単回投与時
20歳以上の日本人(2例)及び外国人の重症型血友病A患者(第VIII因子活性が1%未満)を対象に、本剤及び患者が試験前に使用していた非修飾型血液凝固第VIII因子製剤(血漿由来又は遺伝子組換え)を各々静脈内投与(25、50又は75IU/kg)した際の薬物動態パラメータは次のとおりであった。
→図表を見る(PDF)
また、日本人(18歳以上:3例)及び外国人の重症型血友病A患者(第VIII因子活性が1%未満)を対象に、本剤(50IU/kg)を静脈内投与した際の年齢別薬物動態パラメータは次のとおりであった。
→図表を見る(PDF)
16.1.2 定期投与時の血液凝固第VIII因子活性値
日本人(6~11歳:2例、12~17歳:1例、18歳以上:12例)及び外国人の重症型血友病A患者(第VIII因子活性が1%未満)を対象に、本剤を定期投与した際、投与頻度及び年齢別の血漿中血液凝固第VIII因子活性の推定値は次のとおりであった。
→図表を見る(PDF)
定常状態における第VIII因子活性プロファイルの予測(合成基質法による)では、投与から血液凝固第VIII因子活性が5IU/dL超を維持する推定時間は、11歳以下の週2回投与では2.5日、12歳以上の週2回又は4日毎投与では3.6日、週1回投与では4.0日であった。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国際共同第III相試験(12歳以上の小児及び成人)
(1)定期的な投与(定期補充療法)
治療歴のある重症型血友病A患者(第VIII因子活性が1%未満)175例(日本人患者13例)を対象に、本剤50IU/kgを4日毎に投与(必要に応じて週2回に変更可)した。最終登録患者が50回以上の投与を受けるまでを主要期間とした。また、主要期間に続き、延長期間として延長期間参加前6か月間の出血が0~2回であった患者55例に対し、50IU/Kgの4日毎投与(17例)又は75IU/Kgの7日毎投与(38例)の2群に無作為割付(割付比は1:2)を行い、24週間定期投与した。年換算出血率は次のとおりであった。[7.2参照]
→図表を見る(PDF)
(2)出血時の止血効果
本剤の定期投与又は出血時投与を受けた、治療歴のある重症型血友病A患者(第VIII因子活性が1%未満)186例(日本人患者15例)において、主要期間で止血成功と評価された出血の割合(著効又は有効と評価された割合注1))は88.4%(856/968回)であった。また、924回(95.5%)は本剤の1~2回投与で止血した。
注1)効果判定不明を失敗として含む
(3)安全性
治験開始から中間報告(治験期間:約5.5年)までに、安全性解析対象集団186例中29例(15.6%)に68件の副作用が認められた。試験期間中に第VIII因子抑制0.5%(1例1件)が発生した。
17.1.2 国際共同第III相試験(12歳未満の小児)
(1)定期的な投与(定期補充療法)
治療歴のある重症型血友病A患者(第VIII因子活性が1%未満)68例(日本人患者2例)を対象に、本剤60IU/kgを週2回投与(必要に応じて50~75IU/kgの範囲での用量調節、投与頻度の3日毎への変更が可)した際の主要期間(26週間)における年換算出血率の中央値は1.95回/人・年(四分位範囲:0.00、2.79、範囲:0.00、45.66注2))であった。[7.2参照]
注2)早期に中止・脱落した患者は、1年間の出血回数を推定してABRを算出した。
(2)出血時の止血効果
本剤の定期投与を受けた、治療歴のある重症型血友病A患者(第VIII因子活性が1%未満)68例(日本人患者2例)において、主要期間で止血成功と評価された出血の割合(著効又は有効と評価された割合注1))は78.6%(55/70回)であった。また、56回(80.0%)は本剤の1~2回投与で止血した。
(3)安全性
治験開始から中間報告(治験期間:約4.4年)までに、安全性解析対象集団68例中10例(14.7%)に15件の副作用が認められた。最も件数の多かった副作用は、発疹1.5%(1例3件)、過敏症1.5%(1例2件)であった。
17.1.3 国際共同第III相試験(12歳以上の小児及び成人)
(1)周術期の止血効果
治療歴のある重症型血友病A患者(第VIII因子活性が1%未満)33例において45件(日本人患者3例4件)の大手術が行われた。45件中43件(95.6%)の大手術において、止血効果は「著効」又は「有効」と評価された。
(2)安全性
安全性解析対象集団34例中5例(14.7%注3))に19件の副作用が認められ、最も頻度の高かった副作用は、ヘモグロビン減少5.9%注4)(2例2件)であった。
注3)試験期間中、数名の患者は複数回(最大4回)手術を受けたため、計画された手術を含む48件の手術における副作用発現頻度は10.4%であった。
注4)計画された手術を含む48件の手術における副作用発現頻度は4.2%であった。
18.1 作用機序
本剤は内因性von Willebrand因子と結合し、血液凝固第VIII因子と同様の作用機序を示す。本剤投与により血友病A患者の血液凝固第VIII因子血漿値が上昇し、凝固障害を改善する。
18.2 止血作用(in vivo試験)
血友病Aマウス(第VIII因子ノックアウト:FVIII‐KO)の尾出血モデル及び針穿刺膝関節出血モデルにおいて、非修飾型の血液凝固第VIII因子製剤(ツロクトコグ アルファ又はルリオクトコグ アルファ)と比較し、止血効果の延長が認められた。また、血友病Aイヌにおいて全血凝固時間が正常化した。
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