ボルヒール組織接着用
添付文書情報2024年04月改定(第2版)
商品情報
- 禁忌
- 2.1. 本剤の成分に対し過敏症又は牛肺を原料とする薬剤に対し過敏症(アプロチニン等)の既往歴のある患者。
2.2. 次の薬剤による治療を受けている患者〔10.1参照〕。
・ 凝固促進剤<蛇毒製剤>による治療中。
・ 抗線溶剤による治療中。
- 効能・効果
- 組織の接着・閉鎖(ただし、縫合あるいは接合した組織から血液、体液または体内ガスの漏出をきたし、他に適切な処置法のない場合に限る)。
- 用法・用量
- フィブリノゲン凍結乾燥粉末(バイアル1)をフィブリノゲン溶解液(バイアル2)全量で溶解し、A液とする。
トロンビン凍結乾燥粉末(バイアル3)をトロンビン溶解液(バイアル4)全量で溶解し、B液とする。溶解した両液の等容量を接着・閉鎖部位に重層又は混合して適用する。
通常、10c㎡あたりA液B液各々1mLを適用する。
なお、接着・閉鎖部位の状態、大きさなどに応じて適宜増減する。
- 肝機能障害患者
- 8.1. 本剤の使用にあたっては、疾病の治療における本剤の必要性とともに、本剤の製造に際しては感染症の伝播を防止するための安全対策が講じられているものの、ヒトの血液を原材料としていることに由来する感染症伝播のリスクを完全に排除することができないことを患者に対して説明し、その理解を得るよう努めること。
8.2. 本剤の構成成分である人フィブリノゲン、人血液凝固第13因子及びトロンビンの原材料となる献血者の血液については、HBs抗原、抗HCV抗体、抗HIV-1抗体、抗HIV-2抗体及び抗HTLV-1抗体陰性で、かつALT値でスクリーニングを実施している。さらに、HBV、HCV及びHIVについては個別の試験血漿で、HAV及びヒトパルボウイルスB19についてはプールした試験血漿で核酸増幅検査(NAT)を実施し、適合した血漿を本剤の製造に使用しているが、当該NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存在する。また、混入の可能性のあるウイルスの不活化を目的として、最終製造段階でフィブリノゲン(血液凝固第13因子を含む)には65℃、144時間、トロンビンには65℃、96時間の加熱処理を施し、また、各成分には製造工程においてウイルス除去膜処理を導入しているが、投与に際しては次の点に十分注意すること。
8.2.1. 血漿分画製剤の現在の製造工程では、ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため、本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので、投与後の経過を十分に観察すること〔9.1.2、9.1.3、9.5妊婦の項参照〕。
8.2.2. 肝炎ウイルス感染等のウイルス感染の可能性を完全には否定できないので、観察を十分に行うこと。
8.2.3. 現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない。しかしながら、製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの、理論的なvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので、投与の際には患者への説明を十分行い、治療上の必要性を十分検討の上投与すること。
8.3. アナフィラキシーを起こすおそれがあるので、観察を十分に行うこと。
8.4. 現在の知見では、本剤の使用によりヒトに伝達性海綿状脳症(TSE)を伝播するとの疫学的データはなく、また、本剤に含まれる牛由来アプロチニンは、製造工程においてTSE原因物質の除去処理を行っている。しかしながら、TSE伝播についての理論的な危険性を完全に否定することはできず、また、TSE原因物質がマウス脳内に直接投与されたとき感染が認められたとの報告もあるので、頭蓋腔内、脊椎腔内及び眼球内への使用においては、治療上の有益性を勘案した上で本剤を使用すること。
9.1.1. 汎発性血管内凝固症候群(DIC)が考えられる病態を有する患者:血管内への流入により、DIC状態を悪化させるおそれがある。
9.1.2. 溶血性貧血・失血性貧血の患者:ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない(感染した場合には、発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある)〔8.2.1参照〕。
9.1.3. 免疫不全患者・免疫抑制状態の患者:ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない(感染した場合には、持続性貧血を起こすことがある)〔8.2.1参照〕。
9.3.1. 重篤な肝障害が考えられる病態を有する患者:血管内への流入により、血栓を形成するおそれがある。
- 相互作用
- 10.1. 併用禁忌:凝固促進剤(ヘモコアグラーゼ<レプチラーゼ>)、抗線溶剤(トラネキサム酸<トランサミン>等)〔2.2参照〕[血栓形成傾向があらわれるおそれがある(凝固促進剤、抗線溶剤は血栓形成を促進する薬剤であり、併用により血栓形成傾向が相加的に増大する)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック(0.1%未満)。
- 11.2. その他の副作用
1). 消化器:(頻度不明)嘔吐。
2). 精神神経系:(頻度不明)頭痛。
3). その他:(頻度不明)過敏症、発熱。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(本剤の投与によりヒトパルボウイルスB19の感染の可能性を否定できない(感染した場合には胎児への障害(流産、胎児水腫、胎児死亡)が起こる可能性がある))〔8.2.1参照〕。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
- 小児等
- 低出生体重児、新生児を対象とした有効性及び安全性を指標とした臨床試験は実施していない。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 本剤の調製は「使用方法説明書」に従って行うこと。
14.1.2. 溶解時に著しい沈殿の見られるものは使用しないこと。
14.1.3. 一度溶解したものは時間をおいて再使用しないこと。
14.2. 薬剤適用時の注意14.2.1. 本剤を血管内に投与しないこと(血管内への流入により、血栓を形成するおそれがある)。
14.2.2. 本剤を体外循環終了時等の噴出性出血あるいは流出性出血の激しい部位の接着・閉鎖に使用する場合は、適切な方法で血流を遮断した上で適用すること。
14.2.3. 本剤の過量使用は避けること。
本剤は特定生物由来製品に該当することから、本剤を使用した場合は、医薬品名(販売名)、その製造番号又は製造記号(ロット番号)、使用年月日、使用した患者の氏名、住所等を記録し、少なくとも20年間保存すること。
16.2 吸収
本剤で作製したフィブリンゲルをラット皮下及び腹腔内に挿入した場合、7日目までに50~60%のフィブリンが吸収された。
16.5 排泄
125I標識フィブリノゲンを含む本剤をラット胃あるいは筋肉に塗布したところ、塗布部の放射能は主に尿を介して排泄され、3日目に1/2となり、7日目までにはほとんど消失した。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相臨床試験
手術症例389例を対象に、縫合部位に本剤を適用し有効性及び安全性を検討することを目的とした非盲検非対照試験において、有効性解析対象382例の成績の概要は次記の通りであった。
→図表を見る(PDF)
副作用は389例中2例(0.5%)に発熱が認められた。
18.1 作用機序
フィブリノゲンはトロンビンの作用により可溶性フィブリンとなる。さらに、カルシウムイオンの存在下で、血液凝固第XIII因子はトロンビンにより活性化され、フィブリンを尿素不溶性の安定化フィブリン塊とし、組織の接着・閉鎖が行われる。この安定化フィブリン塊内で、線維芽細胞が増殖し、膠原線維や肉芽基質成分が産生され、組織修復を経て、治癒に至る。
- 製造販売会社
- KMバイオロジクス
- 販売会社
- 日本血液製剤機構
おくすりのQ&A
保険審査の内容で恐縮ですが、先日の業界紙において、「社会保険診療報酬支払基金は31日、高血圧症に対して初回から第一選択薬として「配合剤」を投与することは、...
Cost of Concerta (methylphenidate)?
I am curious to find the cost of a month's supply of methylphenidate for ADHD...
わからないことがあったら、
気軽にすぐ質問しよう!
このコミュニティは、各種法令・通達が実務の現場で実際にはどう運用されているのか情報共有に使われることもあります。解釈に幅があるものや、関係機関や担当者によって対応が異なる可能性のあることを、唯一の正解であるかのように断言するのはお控えください。「しろぼんねっと」編集部は、投稿者の了承を得ることなく回答や質問を削除する場合があります。