クイントバック水性懸濁注射用
添付文書情報2024年02月改定(第2版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 接種不適当者予防接種を受けることが適当でない者
- 2.1. 明らかな発熱を呈している者。
2.2. 重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者。
2.3. 本剤の成分によってアナフィラキシーを呈したことがあることが明らかな者。
2.4. 前記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状態にある者。
- 効能・効果
- 百日せき、ジフテリア、破傷風、急性灰白髄炎及びインフルエンザ菌b型による感染症の予防。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 本剤では、b型以外のインフルエンザ菌による感染症あるいは他の起炎菌による髄膜炎を予防することはできない。
5.2. 本剤は、インフルエンザ菌b型による感染症、特に侵襲性の感染症(髄膜炎、敗血症、蜂巣炎、関節炎、喉頭蓋炎、肺炎及び骨髄炎など)に対する予防効果が期待できる。
- 用法・用量
- バイアル製剤をシリンジ製剤の全量で溶解し、次のとおり使用する。
初回免疫:小児に通常、1回0.5mLずつを3回、いずれも20日以上の間隔をおいて皮下又は筋肉内に接種する。
追加免疫:小児に通常、初回免疫後6か月以上の間隔をおいて、0.5mLを1回皮下又は筋肉内に接種する。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 接種対象者・接種時期
本剤の接種は、生後2か月から90か月までの間にある者に行うが、初回免疫については、標準として生後2か月から7か月未満で開始し20~56日の間隔をおいて接種し、追加免疫については、標準として初回免疫終了後6か月から18か月を経過した者に接種する。
7.2. 同時接種
医師が必要と認めた場合には、他のワクチンと同時に接種することができる〔14.2.1参照〕。
- 肝機能障害を有する者
- 8.1. 本剤は、「予防接種実施規則」及び「定期接種実施要領」に準拠して使用すること。
8.2. 被接種者について、接種前に必ず問診、検温及び診察(視診、聴診等)によって健康状態を調べること。
8.3. 被接種者又はその保護者に、接種当日は過激な運動は避け、接種部位を清潔に保ち、また、接種後の健康監視に留意し、局所の異常反応や体調の変化、さらに高熱、けいれん等の異常な症状を呈した場合には、速やかに医師の診察を受けるよう事前に知らせること。
被接種者が次のいずれかに該当すると認められる場合は、健康状態及び体質を勘案し、診察及び接種適否の判断を慎重に行い、予防接種の必要性、副反応、有用性について十分な説明を行い、同意を確実に得た上で、注意して接種すること。
9.1.1. 心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する者〔9.2腎機能障害を有する者、9.3肝機能障害を有する者の項参照〕。
9.1.2. 予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者。
9.1.3. 過去にけいれんの既往のある者。
9.1.4. 過去に免疫不全の診断がなされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる者。
9.1.5. 本剤の成分に対してアレルギーを呈するおそれのある者。
9.1.6. 血小板減少症、凝固障害のある者、抗凝固療法施行中の者:筋肉注射部位の出血のおそれがある。
腎機能障害を有する者:接種要注意者である〔9.1.1参照〕。
肝機能障害を有する者:接種要注意者である〔9.1.1参照〕。
- 副作用
- 次の副反応があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副反応11.1.1. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明):蕁麻疹、呼吸困難、血管性浮腫等があらわれることがある。
11.1.2. 血小板減少性紫斑病(頻度不明):接種後数日から3週ごろに紫斑、鼻出血、口腔粘膜出血等があらわれることがあるので、本症が疑われる場合には、血液検査等を実施し、適切な処置を行うこと。
11.1.3. 脳症(頻度不明):発熱、四肢麻痺、けいれん、意識障害等の症状があらわれることがあるので、本症が疑われる場合には、MRI等で診断し、適切な処置を行うこと。
11.1.4. けいれん(熱性けいれんを含む)(頻度不明):接種直後から数日ごろまでにあらわれることがある。
- 11.2. その他の副反応1). 局所症状(注射部位):(5%以上)紅斑(75.7%)、硬結(51.8%)、腫脹(38.1%)、(1~5%未満)熱感、(1%未満)内出血、そう痒感、発疹、(頻度不明)疼痛、小水疱[本剤はアルミニウムを含む沈降ワクチンであるので、小さい硬結が1か月ぐらい残存することがある(注射部位)。2回以上の被接種者には、ときに著しい局所症状を呈することがあるが、通常、数日中に消失する]。
2). 皮膚:(1~5%未満)湿疹、(1%未満)紅斑、発疹、蕁麻疹、(頻度不明)皮膚そう痒症。
3). 精神神経系:(5%以上)気分変化、(1%未満)泣き、不眠、傾眠。
4). 呼吸器:(1~5%未満)上咽頭炎、咽頭炎、鼻漏、(1%未満)上気道炎、咳嗽、鼻閉、(頻度不明)咽頭紅斑、痰、喘鳴、くしゃみ、発声障害。
5). 消化器:(5%以上)下痢、(1~5%未満)嘔吐、食欲減退、排便回数増加、軟便、(頻度不明)胃腸音異常、悪心。
6). その他:(5%以上)発熱(65.2%)、(頻度不明)鼓膜充血、無力症。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 【クイントバック水性懸濁注射用の使用方法】に従い接種準備を行うこと。
14.1.2. 本剤はバイアル製剤をシリンジ製剤で用時溶解して用いる製剤であるため、各々単独で使用しないこと。
14.1.3. シリンジ製剤は、必ず振り混ぜ均等にすること。注射針のキャップが外れているときには使用しないこと。
14.1.4. バイアル製剤をシリンジ製剤で溶解し、振り混ぜる。
14.1.5. 本剤の調製は接種直前に行い、一度調製したものは直ちに使用すること。
14.2. 薬剤接種時の注意14.2.1. 接種時(1). 注射針及びシリンジは、被接種者ごとに取り換えること。また、開封後の使用
は1回限りとし、シリンジの再滅菌・再使用はしないこと。
(2). 本剤を他のワクチンと混合して接種しないこと〔7.2参照〕。
(3). 注射針の先端が血管内に入っていないことを確かめること。
14.2.2. 接種部位(1). 接種部位をアルコールで消毒する。なお、同一接種部位に反復して接種しないこと。
(2). 〈皮下接種〉接種部位は、通常、上腕伸側に皮下接種とする。
(3). 〈筋肉内接種〉接種部位は、通常、1歳未満の者には大腿前外側部に筋肉内接種、1歳以上の者には大腿前外側部又は上腕三角筋中央部に筋肉内接種とし、臀部には接種しないこと。
(4). 〈筋肉内接種〉筋肉内接種時、組織・神経等への影響を避けるため次記の点に注意すること。
・〈筋肉内接種〉針長は筋肉内接種に足る長さで、神経、血管、骨等の筋肉下組織に到達しないよう、各被接種者に対して適切な針長を決定すること。
・〈筋肉内接種〉筋肉内接種時神経走行部位を避けること。
・〈筋肉内接種〉注射針を刺入したとき、激痛の訴えや血液の逆流をみた場合は直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。
ブリスター包装開封後は遮光して保存すること。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報類薬(沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ混合ワクチン)において、因果関係は明確ではないが、ギラン・バレー症候群、急性散在性脳脊髄炎が報告されている。なお、本剤の臨床試験における報告はない。
17.1 有効性及び安全性に関する試験
17.1.1 国内第III相試験(370P3試験)
生後2か月以上60か月未満の乳幼児496例(本剤群:247例、対照薬群:249例)を対象に、評価者盲検ランダム化並行群間比較の国内第III相試験を実施した。本剤群、対照薬群のいずれも1回0.5mLを初回免疫として20日から56日間隔で3回、初回免疫終了後6か月後から18か月後に追加免疫として1回、皮下接種した。なお、対照薬群では、いずれも乾燥ヘモフィルスb型ワクチン(担体たん白質結合型)及び沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ混合ワクチンを同時接種した。
本剤群の初回免疫後の百日せき(百日せき毒素(以下、PT)、線維状赤血球凝集素(以下、FHA))、ジフテリア、破傷風、弱毒ポリオウイルス1型、2型、3型及びポリリボシルリビトールリン酸(以下、PRP)(1μg/mL以上)に対する抗体保有率は、対照薬群に対して非劣性であった(表1)。また、本剤群又は対照薬群の追加免疫後の抗体保有率は表2、初回免疫後及び追加免疫後の抗体価は表3のとおりであった。抗体保有基準である発症防御抗体レベルは、18.2参照。
表1 初回免疫後の各抗原に対する発症防御レベル以上の抗体保有率
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表2 追加免疫後の各抗原に対する発症防御レベル以上の抗体保有率
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表3 初回免疫後及び追加免疫後の各抗原に対する抗体価
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安全性について、本剤群で91.1%(225/247例)に副反応が認められた。発現割合が5%以上であった副反応は、発現割合が高い順に注射部位紅斑、発熱、注射部位硬結、注射部位腫脹、気分変化、下痢であった。また、接種6日後までに発現した注射部位紅斑、注射部位腫脹、注射部位硬結、発熱の副反応の発現割合は、注射部位紅斑75.7%(187/247例)、注射部位腫脹38.1%(94/247例)、注射部位硬結51.0%(126/247例)、発熱65.2%(161/247例)であり、それぞれの副反応の接種回別の発現割合は表4のとおりであった。これらの副反応のほとんどが数日後には回復した。
表4 本剤接種6日後までに発現した注射部位紅斑、注射部位腫脹、注射部位硬結、発熱の副反応の接種回別の発現割合
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17.1.2 国内第II相試験(370P2‐2試験)
生後2か月以上60か月未満の乳幼児108例(皮下接種群:53例、筋肉内接種群:55例)を対象に、評価者盲検ランダム化並行群間比較の国内第II相試験を実施した。本剤0.5mLを、初回免疫として20日から56日間隔で3回、初回免疫終了後6か月後から18か月後に追加免疫として1回、皮下又は筋肉内に接種した。
初回免疫後及び追加免疫後の百日せき(PT、FHA)、ジフテリア、破傷風、弱毒ポリオウイルス1型、2型、3型及びPRPに対する抗体保有率は表5、抗体価は表6のとおりであった。
表5 初回免疫後及び追加免疫後の各抗原に対する発症防御レベル以上の抗体保有率
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表6 初回免疫後及び追加免疫後の各抗原に対する抗体価
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安全性について、皮下接種群の94.3%(50/53例)、筋肉内接種群の85.5%(47/55例)に副反応が認められた。発現割合がいずれかの群で5%以上であった副反応は、発現割合が高い順に注射部位紅斑、発熱、注射部位硬結、注射部位腫脹、気分変化であった。皮下接種群及び筋肉内接種群で接種6日後までに発現した注射部位紅斑、注射部位腫脹、注射部位硬結、発熱の副反応の発現割合は、注射部位紅斑で84.9%(45/53例)及び29.1%(16/55例)、注射部位腫脹で41.5%(22/53例)及び20.0%(11/55例)、注射部位硬結で73.6%(39/53例)及び18.2%(10/55例)、発熱で62.3%(33/53例)及び76.4%(42/55例)であった。それぞれの副反応の接種回別の発現割合は表7のとおりであった。これらの副反応のほとんどが数日後には回復した。
表7 本剤接種6日後までに発現した注射部位紅斑、注射部位腫脹、注射部位硬結、発熱の副反応の接種回別の発現割合
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18.1 作用機序
百日せき、ジフテリア、破傷風、急性灰白髄炎及びインフルエンザ菌b型感染症の感染防御抗原に対する血中抗体により、各々の発症を防御する。
18.2 発症防御レベル
百日せきは、罹患小児の回復期血清で抗PT抗体及び抗FHA抗体をELISA法により測定した結果から、両抗体ともに少なくとも10EU(ELISA単位)/mL以上が血中に存在すればよいとする報告がある。ジフテリアに対する発症防御は、0.1IU(国際単位)/mLの抗毒素(抗体)が存在すればよいと考えられている。破傷風に対する発症防御は、0.01IU/mLの抗毒素(抗体)が存在すればよいと考えられている。急性灰白髄炎に対する発症防御には、中和抗体価1:8以上(log2表示で3以上)が必要と考えられている。
Hibの感染防御に必要な抗PRP抗体は0.15μg/mL以上で、長期の感染防御に必要な抗PRP抗体は1μg/mL以上と考えられている。
- 製造販売会社
- KMバイオロジクス
- 販売会社
- MeijiSeikaファルマ
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