サイモグロブリン点滴静注用25mg
添付文書情報2023年04月改定(第2版)
商品情報
- 習
- 処
- 生
- 特生
- 特承
- 毒
- 劇
- 麻
- 覚
- 覚原
- 向
- 警告
- 本剤は、緊急時に十分対応できる医療施設において、再生不良性貧血、造血幹細胞移植又は臓器移植に関する十分な知識・経験を持つ医師のもとで、本剤が適切と判断される症例についてのみ投与すること。また、治療開始に先立ち、患者又はその家族に有効性及び危険性を十分説明し、同意を得てから投与すること。
- 禁忌
- 2.1. 本剤の試験投与でショック状態等の過敏症が認められた患者〔7.1参照〕。
2.2. 重症感染症(肺炎、敗血症等)を合併している患者[感染症が増悪し致命的となることがある]。
2.3. 妊婦〔9.5妊婦の項参照〕。
2.4. 弱毒生ワクチン投与中の患者〔10.1参照〕。
- 効能・効果
- 1). 中等症以上の再生不良性貧血。
2). 造血幹細胞移植の前治療。
3). 造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病。
4). 次記の臓器移植後の急性拒絶反応の治療:腎移植、肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植。
(効能又は効果に関連する注意)
5.1. 〈中等症以上の再生不良性貧血〉本剤は次記の重症度基準による中等症以上の再生不良性貧血患者に使用すること。
[再生不良性貧血の重症度基準(厚生労働省特定疾患特発性造血障害調査研究班基準(平成16年度修正))]
1). 〈中等症以上の再生不良性貧血〉最重症:好中球200/μL未満に加えて、次の1項目以上を満たす(網赤血球20000/μL未満、血小板20000/μL未満)。
2). 〈中等症以上の再生不良性貧血〉重症:次の2項目以上を満たす(網赤血球20000/μL未満、好中球500/μL未満、血小板20000/μL未満)。
3). 〈中等症以上の再生不良性貧血〉やや重症:次の2項目以上を満たし、定期的な赤血球輸血を必要とする(網赤血球60000/μL未満、好中球1000/μL未満、血小板50000/μL未満)。
4). 〈中等症以上の再生不良性貧血〉中等症:次の2項目以上を満たす(網赤血球60000/μL未満、好中球1000/μL未満、血小板50000/μL未満)。
5). 〈中等症以上の再生不良性貧血〉軽症:それ以外のもの。
定期的な赤血球輸血とは毎月2単位以上の輸血が必要なときを指す。
5.2. 〈造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病〉ステロイド療法によっても十分な効果が得られない場合にのみ適用を考慮すること。
5.3. 〈臓器移植後の急性拒絶反応の治療〉本剤は、原則としてステロイド療法で十分な治療効果が得られない場合に使用すること。
5.4. 〈臓器移植後の急性拒絶反応の治療〉原則として、急性拒絶反応の確定診断後に本剤を投与すること。
- 用法・用量
- 〈中等症以上の再生不良性貧血〉
通常、1日1回体重1kgあたり抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして2.5~3.75mgを、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液500mLで希釈して、6時間以上かけ緩徐に点滴静注する。投与期間は5日間とする。
〈造血幹細胞移植の前治療〉
通常、1日1回体重1kgあたり抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして2.5mgを、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液500mLで希釈して、6時間以上かけ緩徐に点滴静注する。投与期間は造血幹細胞移植5日前より4日間とする。
〈造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病〉
通常、1日1回体重1kgあたり抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして2.5~3.75mgを、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液500mLで希釈して、6時間以上かけ緩徐に点滴静注する。投与期間は5日間とする。
〈臓器移植後の急性拒絶反応の治療〉
腎移植の場合
通常、1日1回体重1kgあたり抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして1.5mgを、1バイアル(抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして25mg)あたり、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液50mLで希釈して、6時間以上かけ緩徐に点滴静注する。投与期間は7~14日間とする。
肝移植、肺移植、膵移植及び小腸移植の場合
通常、1日1回体重1kgあたり抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして1.5mgを、1バイアル(抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして25mg)あたり、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液50mLで希釈して、6時間以上かけ緩徐に点滴静注する。投与期間は最大14日間とする。
心移植の場合
通常、1日1回体重1kgあたり抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして1.5~2.5mgを、1バイアル(抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして25mg)あたり、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液50mLで希釈して、6時間以上かけ緩徐に点滴静注する。投与期間は最大14日間とする。
(用法及び用量に関連する注意)
7.1. 〈効能共通〉アナフィラキシー等の過敏症状を起こすことがあるので、使用に際しては、十分な問診を行うとともに、あらかじめ本剤の試験投与を行うこと。
試験投与は通常、本剤1バイアルを日局注射用水5mLにて溶解後、その0.5mL(抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして2.5mg)を100mLの生理食塩液で希釈して、1時間以上かけて点滴静注する。試験投与中は医師が患者の状態を十分に観察し、安全性を確認すること〔2.1参照〕。
7.2. 〈効能共通〉本剤投与歴又は他のウサギ血清製剤投与歴のある患者には、他種由来の抗ヒト胸腺細胞免疫グロブリン製剤の投与も考慮した上で、本剤をやむを得ず再投与する際には、投与に先立って、本剤に対する抗体の有無の確認や救急処置対策等、必要な処置を講じた上で、医師の十分な観察のもと慎重に投与すること〔8.6参照〕。
7.3. 〈臓器移植後の急性拒絶反応の治療〉本剤を投与する際には、血小板を含む全血算値に十分注意し、次に示す減量基準等を参考に、適切な処置を行うこと。
(1). 〈臓器移植後の急性拒絶反応の治療〉血小板数が50000~75000/mm3又は白血球数が2000~3000/mm3の場合、本剤の減量を考慮すること。
(2). 〈臓器移植後の急性拒絶反応の治療〉持続的で重度の血小板減少症<50000/mm3未満>又は白血球減少症<2000/mm3未満>が認められた場合、本剤の投与中止を考慮すること。
7.4. 〈臓器移植後の急性拒絶反応の治療〉心移植後の急性拒絶反応の治療において、1.5mg/kgよりも高用量を投与する期間は、過度の免疫抑制状態の持続を避けるため、5日間までを目安にすること。
- 肝機能障害患者
- 8.1. ショック等重篤な副作用を起こすことがあるので、投与前にショック症状発現時の救急処置対策を考慮しておくこと。投与中は注意して使用し、医師が経過を十分に観察すること〔11.1.1参照〕。
8.2. 本剤の投与前に感染症が認められた場合、感染症の治療を優先し、患者の状態が安定した後、本剤を投与すること。また、投与中並びに投与後に重篤な感染症(ウイルス感染症、細菌感染症、真菌感染症等)が発症する場合がある〔11.1.3-11.1.6参照〕。
8.3. 間質性肺炎を起こすことがあるので、咳嗽、呼吸困難、低酸素症等の呼吸器症状に注意すること〔11.1.7参照〕。
8.4. 本剤投与の初期に発熱、悪寒、呼吸困難、悪心、嘔吐、下痢、頻脈、低血圧、高血圧、倦怠感、発疹、頭痛等があらわれることがあるので、その旨を患者にあらかじめ説明しておくこと。また、重度infusion reaction(サイトカイン放出症候群を含む)があらわれ、重篤な心障害や重篤な肺障害(心筋梗塞、急性呼吸窮迫症候群、肺水腫)に至ることがあるので、投与中は患者を厳密に観察すること(これらの症状を軽減させるため、あらかじめ副腎皮質ホルモン剤等を投与することが望ましく、また、解熱剤、抗ヒスタミン剤の併用も本剤の投与初期に頻発するこれらの症状を軽減する)〔11.1.2参照〕。
8.5. 本剤投与時に交差反応性抗体に起因する血小板減少があらわれ、出血傾向増悪するおそれがあるので、定期的に血小板数を測定し、患者の状態を十分に観察すること〔11.1.8、11.1.9参照〕。
8.6. 本剤投与に先立って、本剤又は他のウサギ血清製剤の治療歴の有無を必ず確認すること。また、本剤の投与後には患者にウサギ血清製剤を投与した旨を十分認識させるために本剤の医薬品名を記載した用紙に使用量、使用期間、病院名、担当医師名を記入し治療終了後に治療歴として保管するとともに同様の記録を患者に渡すこと〔7.2参照〕。
8.7. AST上昇、ALT上昇等を伴う重篤な肝障害、血小板減少、白血球減少があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行うこと〔9.3肝機能障害患者の項、11.1.8、11.1.10参照〕。
8.8. 急性腎障害があらわれることがあるので、投与に先立って患者が脱水状態にないことを確認すること〔11.1.12参照〕。
9.1.1. 本剤投与歴又は他のウサギ血清製剤投与歴のある患者:ショックを起こすおそれがある。
9.1.2. ウイルス感染症の患者:本剤の免疫抑制作用により病態を悪化させるおそれがある。
9.1.3. 細菌感染症の患者:本剤の免疫抑制作用により病態を悪化させるおそれがある。
9.1.4. 真菌感染症の患者:本剤の免疫抑制作用により病態を悪化させるおそれがある。
9.1.5. 薬物過敏症の既往歴のある患者。
9.1.6. アレルギー素因のある患者。
9.1.7. 心疾患のある患者:心機能を悪化させるおそれがある。
9.1.8. 免疫抑制剤を投与された肝炎ウイルスキャリアの患者:免疫抑制剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリアの患者において、B型肝炎ウイルス再活性化による肝炎があらわれることがある。また、HBs抗原陰性の患者において、免疫抑制剤の投与開始後にB型肝炎ウイルス再活性化による肝炎を発症した症例が報告されている。また、C型肝炎ウイルスキャリアの患者において、免疫抑制剤の投与開始後にC型肝炎悪化がみられることがある。肝炎ウイルスキャリアの患者に本剤を投与する場合は、肝機能検査値や肝炎ウイルスマーカーのモニタリングを行うなど、B型肝炎ウイルス再活性化やC型肝炎悪化の徴候や症状の発現に注意すること〔11.1.3参照〕。
9.1.9. 急性腎障害の危険性の高い患者:投与量及び投与速度を出来るだけ低くすることが望ましい〔11.1.12参照〕。
腎機能障害患者:腎機能を悪化させるおそれがある〔11.1.12参照〕。
肝機能障害患者:肝機能を悪化させるおそれがある〔8.7、11.1.10参照〕。
- 相互作用
- 10.1. 併用禁忌:弱毒生ワクチン(おたふくかぜワクチン、麻疹ワクチン、風疹ワクチン及びおたふくかぜ・麻疹・風疹の混合ワクチン等)〔2.4参照〕[本剤投与後、弱毒生ワクチンを接種する場合には、発病するおそれがある(本剤の免疫抑制作用による)]。
10.2. 併用注意:他の免疫抑制剤(シクロスポリン等)[過度の免疫抑制による感染症あるいはリンパ増殖性疾患を惹起する危険性があるので、併用する場合には慎重に投与すること(相加的に免疫抑制作用が増強される可能性がある)]。
- 副作用
- 次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 重大な副作用
- 11.1. 重大な副作用
11.1.1. ショック(頻度不明)、アナフィラキシー(0.4%):呼吸困難、血圧低下、頻脈等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと〔8.1参照〕。
11.1.2. 重度infusion reaction(サイトカイン放出症候群を含む)(頻度不明):重篤な心障害や重篤な肺障害(心筋梗塞、急性呼吸窮迫症候群、肺水腫)に至ることがあるので、発熱、悪寒、呼吸困難、悪心、嘔吐、下痢、頻脈、低血圧、高血圧、倦怠感、発疹、頭痛等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと〔8.4参照〕。
11.1.3. 感染症(肺炎、敗血症等)(11.2%):ウイルス(アデノウイルス、サイトメガロウイルス、ヘルペス等)、細菌、真菌(アスペルギルス等)等による重篤な感染症があらわれることがある。また、免疫抑制剤を投与されたB型肝炎ウイルスキャリア又はC型肝炎ウイルスキャリアの患者において、B型肝炎ウイルス再活性化による肝炎やC型肝炎悪化があらわれることがある〔8.2、9.1.8参照〕。
11.1.4. 発熱性好中球減少症(頻度不明)〔8.2参照〕。
11.1.5. 進行性多巣性白質脳症(PML)(頻度不明):本剤の治療期間中及び治療終了後は患者の状態を十分に観察し、意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状があらわれた場合は、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと〔8.2参照〕。
11.1.6. BKウイルス腎症(頻度不明):減量又は投与を中止し、適切な処置を行うこと〔8.2参照〕。
11.1.7. 間質性肺炎(2.1%):発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線検査異常等が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと〔8.3参照〕。
11.1.8. 血小板減少(31.0%)、白血球減少(頻度不明)〔8.5、8.7、13.1参照〕。
11.1.9. 出血傾向:脳出血(1.7%)、下血、胃腸出血(いずれも1.2%)、くも膜下出血、肺出血、肺胞出血(いずれも0.4%)等の出血があらわれることがある〔8.5参照〕。
11.1.10. 重篤な肝障害(6.2%)〔8.7、9.3肝機能障害患者の項参照〕。
11.1.11. リンパ増殖性疾患(1.2%):発熱、リンパ節腫大等が認められた場合には、適切な処置を行うこと。
11.1.12. 急性腎障害(頻度不明):腎機能検査値悪化(BUN値悪化、血清クレアチニン値悪化等)、尿量減少が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと〔8.8、9.1.9、9.2腎機能障害患者の項参照〕。
- 11.2. その他の副作用
1). 過敏症:(10~40%未満)発疹、そう痒症、(10%未満)筋痛、紅斑[副腎皮質ホルモン剤等の併用で軽減される]、*血清病[*:発熱、発疹、関節痛、筋肉痛などの症状を伴い、なお、これらの症状は自然に消退する場合があるが、副腎皮質ホルモン剤の投与で速やかに軽減される]。
2). 発熱及びインフルエンザ様症状:(40%以上)発熱、熱感、(10~40%未満)頭痛、関節痛、悪寒、(10%未満)胸痛[副腎皮質ホルモン剤、解熱剤及び抗ヒスタミン剤等の併用で軽減される]。
3). 血液:(10~40%未満)好中球減少、リンパ球減少、血清総蛋白減少、赤血球減少、ヘマトクリット減少、ヘモグロビン減少、高カリウム血症。
4). 精神神経系:(10%未満)感覚減退、筋硬直、めまい。
5). 消化器:(10~40%未満)悪心、嘔吐、下痢、腹痛。
6). 肝臓:(10~40%未満)AST増加、ALT増加、LDH増加、(10%未満)Al-P増加、ビリルビン増加。
7). 循環器:(10~40%未満)動悸、血圧上昇、(10%未満)血圧低下、頻脈。
8). 血管:(10%未満)静脈炎。
9). その他:(40%以上)CRP増加、(10~40%未満)脱力、疼痛、末梢性浮腫、(10%未満)耳鳴、呼吸困難、無力症、倦怠感、投与部位反応(投与部位疼痛、投与部位腫脹、投与部位紅斑)。
- 高齢者
- 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能(腎機能、肝機能、免疫機能等)が低下している)。
- 授乳婦
- 妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、投与しないこと〔2.3参照〕。
治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること。
- 小児等
- 慎重に投与すること(小児等を対象とした臨床試験は実施していない)。
- 取扱い上の注意
- 14.1. 薬剤調製時の注意14.1.1. 溶解(1). 本剤に日局注射用水5mLを加え、粉末が完全に溶解するまで、できるだけ泡を立てないよう静かに円を描くように回して溶解する(急激な振盪溶解を避けること)。
(2). 本剤は蛋白製剤であるため、その溶液はわずかに混濁することがあるが、本剤の薬効には影響を及ぼさない(なお、これ以外の外観上の異常を認めた場合には使用しないこと)。
(3). 本剤には防腐剤が含まれていないので、溶解後は速やかに使用すること。
14.1.2. 希釈(1). 〈効能共通〉生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液以外の製剤との配合は避けること。
(2). 〈中等症以上の再生不良性貧血、造血幹細胞移植の前治療、造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病〉中等症以上の再生不良性貧血、造血幹細胞移植の前治療、造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病の場合、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液500mLで希釈すること。
(3). 〈臓器移植後の急性拒絶反応の治療〉臓器移植後の急性拒絶反応の治療の場合、1バイアル(抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリンとして25mg)あたり、生理食塩液又は5%ブドウ糖注射液50mLで希釈すること。
14.2. 薬剤投与時の注意14.2.1. 1回の投与は6時間以上かけて注入するよう流速を設定すること。
14.2.2. 点滴静注する際には、点滴セットにインラインフィルター(ポアサイズ0.2ミクロン)を使用すること。
14.2.3. 注入後に残った残液は廃棄すること。
外箱開封後は遮光して保存すること。
- その他の注意
- 15.1. 臨床使用に基づく情報海外市販後の自発報告において本剤投与後の核酸増幅検査でB型肝炎ウイルス陽性であった症例が1例報告されている。
15.2. 非臨床試験に基づく情報2週間反復静脈内投与試験(サル)において赤血球パラメータ減少(赤血球数減少、ヘマトクリット減少、ヘモグロビン減少)がみられた。
16.1 血中濃度
中等症以上の再生不良性貧血患者を対象とした国内第II相臨床試験において、サイモグロブリン2.5mg/kg/日及び3.75mg/kg/日を、5日間、12時間以上かけて点滴静注したときの薬物動態を検討した結果は次のとおりであった。各投与量におけるCmaxは、投与量の増加に伴った上昇が認められた。血中サイモグロブリン濃度は、投与期間中徐々に上昇し、最終投与終了後から緩やかに消失した。また、サイモグロブリン投与後、両投与群の11症例において14日目以降から抗体の出現が認められた。
再生不良性貧血患者における薬物動態学的パラメータ
→図表を見る(PDF)
17.1 有効性及び安全性に関する試験
〈中等症以上の再生不良性貧血、造血幹細胞移植の前治療、造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病〉
17.1.1 国内第II相試験
〈中等症以上の再生不良性貧血〉
中等症以上の再生不良性貧血患者を対象とした国内第II相臨床試験(登録症例数:41例)における有効性解析対象は28例であり、6ヵ月目の有効率(「著効」+「有効」/症例数)は、2.5mg/kg/日群が13.3%(2/15例)、3.75mg/kg/日群が23.1%(3/13例)であり、全体では17.9%(5/28例)であった。
〈造血幹細胞移植の前治療〉
骨髄移植患者を対象とした国内第II相臨床試験(登録症例数:再登録2例を含む107例)における急性GVHD抑制の有効性解析対象は71例、生着の有効性解析対象は70例であった。急性GVHDの抑制効果は、グレードII以上の急性GVHD発症率は2.5mg/kg/日投与で18.3%(13/71例)であった。グレードIII以上の急性GVHD発症率は2.5mg/kg/日投与で9.9%(7/71例)であった。生着率は2.5mg/kg/日投与で81.4%(57/70例)であった。
〈造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病〉
骨髄移植後の移植片対宿主病(GVHD)患者を対象とした国内第II相臨床試験(登録症例数:40例)における有効性解析対象は既存療法無効例と考えられた急性GVHD患者24例であり、有効率(「著効」+「有効」/症例数)は2.5mg/kg/日群が61.5%(8/13例)、3.75mg/kg/日群が72.7%(8/11例)であり、全体では66.7%(16/24例)であった。
国内における再生不良性貧血、造血幹細胞移植の前治療及び造血幹細胞移植後の急性移植片対宿主病に対する臨床試験での安全性評価対象症例160例中159例(99.4%)に3,443件の副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、発熱145例(90.6%)、熱感120例(75.0%)、白血球減少120例(75.0%)、CRP増加113例(70.6%)、好中球減少87例(54.4%)等であった。
〈臓器移植後の急性拒絶反応の治療〉
17.1.2 海外臨床試験
外国における腎移植後の急性拒絶反応の治療を目的とした二重盲検比較試験において、腎移植後に急性拒絶反応が発生した患者に、免疫抑制剤併用下、本剤1.5mg/kgを1日1回静脈内投与した結果、血清クレアチニン値を指標とした寛解率は87.8%(72/82例)であった。なお、本剤の投与日数(中央値[最小値、最大値])は10日[3日、14日]であった。
安全性評価対象症例のうち本剤が投与された82例中82例(100%)に940件の副作用(関連性がunlikelyのものを含む)が認められた。主な副作用は、悪寒40例(48.8%)、疼痛38例(46.3%)、白血球減少32例(39.0%)、腹痛31例(37.8%)、高血圧30例(36.6%)、末梢性浮腫28例(34.1%)、無力症、血小板減少症、高カリウム血症各22例(26.8%)、発熱20例(24.4%)、貧血19例(23.2%)等であった。
17.1.3 国内臨床研究
腎移植後にステロイド抵抗性の急性拒絶反応が発現した患者に、免疫抑制剤併用下、本剤1.5mg/kgを1日1回静脈内投与した結果、投与終了14日後の血清クレアチニン値が投与前値よりも低い患者の割合は85.7%(6/7例)であった。なお、本剤の投与日数(中央値[最小値、最大値])は7日[5日、10日]であった。
17.1.4 肝移植、心移植、肺移植、膵移植、小腸移植後の急性拒絶反応の治療における副作用発現頻度が明確となる臨床試験は実施していない。
18.1 作用機序
本剤は、T細胞表面抗原(CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD25、TCRαβ)並びに白血球表面抗原(CD11a)に対し親和性を示した。また、ヒトリンパ球細胞傷害性試験において補体存在下リンパ球を溶解させた。以上のことから、本剤は、ヒトT細胞表面抗原に結合し、補体依存性の細胞傷害を惹起させることにより、再生不良性貧血並びにGVHDに関与しているT細胞を減少させ、その結果これらの疾患に対して効果を示すと考えられる。
18.2 免疫抑制作用
18.2.1 ヒトリンパ球細胞傷害性試験(in vitro)
ヒトリンパ球に対する補体依存性の細胞傷害性を検討した結果、本剤約20μg/mLは陰性対照と比較してリンパ球の溶解を25%増加させた。
18.2.2 E‐ロゼット形成阻止作用(in vitro)
ヒトリンパ球を用いたE‐ロゼット形成阻止作用を検討した結果、本剤約15μg/mLは陰性対照と比較してE‐ロゼット形成を50%抑制した。
18.2.3 サルにおける皮膚移植片生着延長試験(in vivo)
本剤(25mg/匹)は、サルにおける皮膚移植片が拒絶されるまでの日数を延長させ、in vivoでの拒絶反応を抑制した。
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